(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】交換式歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 7/04 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A46B7/04
(21)【出願番号】P 2020214089
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 茉以
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-339443(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0263798(US,A1)
【文献】実開昭52-090558(JP,U)
【文献】特開2013-017670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 7/04
B25G 1/04-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ本体部と、
前記ブラシ本体部の先端側に着脱自在に装着される替えブラシと、
を備える交換式歯ブラシであって、
前記ブラシ本体部は、ハンドル部と、前記ハンドル部の先端から長軸方向に延在する軸部と、を備え、
前記替えブラシは、前記ブラシ本体部の先端側に装着される装着部を備え、
前記装着部には、前記装着部の外周面及び後端面で開口し、長軸方向に延びる溝状の軸挿入部が形成され、
前記軸部が前記装着部の外周面側の開口から前記軸挿入部内に挿入されることにより、前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着され、
前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着された状態で、前記装着部の外周面側の開口から見て前記軸挿入部内の前記軸部が遮蔽部で遮蔽されており、
前記遮蔽部が、前記ハンドル部の先端から長軸方向に延在し、かつ前記軸部よりも前記ハンドル部の外周面側に配置され、
前記遮蔽部と前記軸部が連結されて連結体が形成され、
前記連結体の先端側及び側面側の少なくとも一方の前記遮蔽部と前記軸部の間に窪み部が形成され、
前記装着部の内部に、前記軸挿入部内に挿入された前記軸部が嵌め込まれる板バネ部が設けられ、
前記連結体が前記装着部の外周面側の開口から前記軸挿入部内に挿入され、前記遮蔽部と前記軸部の両方が前記軸挿入部内に挿入されることにより、前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着され、
前記軸挿入部内に挿入された前記連結体における前記窪み部が形成された部分の前記軸部が前記板バネ部に嵌め込まれている、交換式歯ブラシ。
【請求項2】
前記連結体の先端側の前記遮蔽部と前記軸部の間に前記窪み部が形成され、前記軸部の先端部分が前記板バネ部に嵌め込まれている、請求項1に記載の交換式歯ブラシ。
【請求項3】
ブラシ本体部と、
前記ブラシ本体部の先端側に着脱自在に装着される替えブラシと、
を備える交換式歯ブラシであって、
前記ブラシ本体部は、ハンドル部と、前記ハンドル部の先端から長軸方向に延在する軸部と、を備え、
前記替えブラシは、前記ブラシ本体部の先端側に装着される装着部を備え、
前記装着部には、前記装着部の外周面及び後端面で開口し、長軸方向に延びる溝状の軸挿入部が形成され、
前記軸部が前記装着部の外周面側の開口から前記軸挿入部内に挿入されることにより、前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着され、
前記装着部の内部に、前記軸挿入部内に挿入された前記軸部が嵌め込まれる板バネ部が設けられ、
前記板バネ部は、長軸方向から見て前記軸部の周囲を両側から囲う一対のバネ片を備え、
前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着された状態で、前記装着部の外周面側の開口から見て、前記一対のバネ片
が遮蔽部となって前記軸挿入部内の前記軸部の少なくとも一部が遮蔽されている、交換式歯ブラシ。
【請求項4】
前記一対のバネ片が、前記装着部の外周面側の開口から中心軸に向かう径方向に平行し、互いに向かい合う対向面をそれぞれ有し、
前記径方向において、前記対向面の長さが前記軸部の長さよりも大きい、請求項3に記載の交換式歯ブラシ。
【請求項5】
長軸方向から見て、前記一対のバネ片の少なくとも一方が、先端から基端に向かうにつれて他方の前記バネ片に近づく傾斜面を有している、請求項3に記載の交換式歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換式歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題が深刻化していることから樹脂廃棄量の低減が求められており、歯ブラシにおいても、ヘッド部を交換して使用する交換式歯ブラシが提案されている。
例えば、ブラシ本体部の先端から長軸方向に延在する軸部を、替えブラシの後端に形成された穴に挿し込むことにより、替えブラシを着脱自在にブラシ本体部の先端側に装着する交換式歯ブラシが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記交換式歯ブラシでは、替えブラシの交換時に替えブラシを引き抜こうとする手が歯ブラシの長軸方向に滑り、誤ってヘッド部に手が触れてしまうことがあるため、使用者が不衛生だと感じやすい。
【0005】
替えブラシの着脱時に手が長軸方向に滑りにくい機構としては、替えブラシの外周面に、長軸方向に延び、後端まで達する溝状の軸挿入部を形成し、ブラシ本体部の先端から延在する軸部を替えブラシの外周面側の開口から軸挿入部内に挿入して装着する機構が考えられる。このような機構であれば、替えブラシの交換時には軸部を短軸方向に動かすため、手が長軸方向に滑りにくく、誤って手がヘッド部に触れることが抑制される。
しかし、この機構を採用した交換式歯ブラシでは、替えブラシの装着時でも溝状の長い軸挿入部が目立ちやすく、替えブラシの外周面側の開口から軸挿入部内の軸部が見えるため、使用者が不衛生に感じるおそれがある。
【0006】
本発明は、替えブラシの交換時に手が長軸方向に滑りにくく、替えブラシの装着時に軸部や軸挿入部が目立ちにくく、衛生性に優れた交換式歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ブラシ本体部と、前記ブラシ本体部の先端側に着脱自在に装着される替えブラシと、を備える交換式歯ブラシであって、
前記ブラシ本体部は、ハンドル部と、前記ハンドル部の先端から長軸方向に延在する軸部と、を備え、
前記替えブラシは、前記ブラシ本体部の先端側に装着される装着部を備え、
前記装着部には、前記装着部の外周面及び後端面で開口し、長軸方向に延びる溝状の軸挿入部が形成され、
前記軸部が前記装着部の外周面側の開口から前記軸挿入部内に挿入されることにより、前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着され、
前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着された状態で、前記装着部の外周面側の開口から見て前記軸挿入部内の前記軸部の少なくとも一部が遮蔽部で遮蔽されている、交換式歯ブラシ。
[2]前記遮蔽部が、前記ハンドル部の先端から長軸方向に延在し、かつ前記軸部よりも前記ハンドル部の外周面側に配置されており、
前記遮蔽部と前記軸部の両方が前記軸挿入部内に挿入され、前記装着部の外周面側の開口から見て前記遮蔽部によって前記軸部が遮蔽されている、[1]に記載の交換式歯ブラシ。
[3]前記遮蔽部と前記軸部が連結されて連結体が形成されており、
前記連結体が前記装着部の外周面側の開口から前記軸挿入部内に挿入されることにより、前記替えブラシが前記ブラシ本体部に装着される、[2]に記載の交換式歯ブラシ。
[4]前記連結体の先端側及び側面側の少なくとも一方の前記遮蔽部と前記軸部の間に窪み部が形成され、
前記装着部の内部に、前記軸挿入部内に挿入された前記軸部が嵌め込まれる板バネ部が設けられ、
前記軸挿入部内に挿入された前記連結体における前記窪み部が形成された部分の前記軸部が前記板バネ部に嵌め込まれている、[3]に記載の交換式歯ブラシ。
[5]前記連結体の先端側の前記遮蔽部と前記軸部の間に前記窪み部が形成され、前記軸部の先端部分が前記板バネ部に嵌め込まれている、[4]に記載の交換式歯ブラシ。
[6]前記装着部の内部に、前記軸挿入部内に挿入された前記軸部が嵌め込まれる板バネ部が設けられ、
前記板バネ部は、長軸方向から見て前記軸部の周囲を両側から囲う一対のバネ片を備え、
前記装着部の外周面側の開口から見て、前記一対のバネ片が前記遮蔽部となって前記軸部の少なくとも一部が遮蔽されている、[1]に記載の交換式歯ブラシ。
[7]前記一対のバネ片が、前記装着部の外周面側の開口から中心軸に向かう径方向に平行し、互いに向かい合う対向面をそれぞれ有し、
前記径方向において、前記対向面の長さが前記軸部の長さよりも大きい、[6]に記載の交換式歯ブラシ。
[8]長軸方向から見て、前記一対のバネ片の少なくとも一方が、先端から基端に向かうにつれて他方の前記バネ片に近づく傾斜面を有している、[6]に記載の交換式歯ブラシ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、替えブラシの交換時に手が長軸方向に滑りにくく、替えブラシの装着時に軸部や軸挿入部が目立ちにくく、衛生性に優れた交換式歯ブラシを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の交換式歯ブラシの正面図である。
【
図3】
図1の交換式歯ブラシの替えブラシを示した図であり、
図3(A)は正面図、
図3(B)は側面図、
図3(C)は底面図である。
【
図4】
図1の交換式歯ブラシのブラシ本体部の軸部を拡大して示した斜視図である。
【
図5】
図1の交換式歯ブラシにおいて替えブラシをブラシ本体部に装着する様子を示した正面図である。
【
図6】
図1の交換式歯ブラシのA-A断面図である。
【
図7】他の実施形態の交換式歯ブラシの装着部の断面図である。
【
図8】他の実施形態の交換式歯ブラシのブラシ本体部の軸部を拡大して示した斜視図である。
【
図9】
図8のブラシ本体部に替えブラシを装着した状態の装着部の断面図である。
【
図10】他の実施形態の交換式歯ブラシのブラシ本体部の軸部を拡大して示した斜視図である。
【
図11】第2実施形態の交換式歯ブラシの正面図である。
【
図12】
図11の交換式歯ブラシのブラシ本体部の軸部を拡大して示した斜視図である。
【
図14】
図11の交換式歯ブラシの軸挿入部を開口側から見た様子を拡大して示した側面図である。
【
図15】他の実施形態の交換式歯ブラシの装着部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の交換式歯ブラシの実施形態の一例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0011】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の交換式歯ブラシ1は、ブラシ本体部2と、ブラシ本体部2の先端側に着脱自在に装着される替えブラシ3と、を備えている。
【0012】
図1、
図2、及び
図3(A)~(C)に示すように、替えブラシ3は、ブラシ本体部2の先端側に装着される装着部6と、装着部6の先端側に設けられたヘッド部7と、ヘッド部7と装着部6とを接続するネック部8と、を備えている。交換式歯ブラシ1では、ヘッド部7の植毛面7aに形成された複数の植毛穴10に毛束12が植設されて植毛部14が形成されることで、歯のブラッシングが可能になっている。
【0013】
以下の説明では、ヘッド部7の植毛面7aが設けられた側(植毛面側)を交換式歯ブラシ1の正面側とし、ヘッド部7の植毛面7aが臨む側とは逆側を交換式歯ブラシ1の背面側とする。
加えて、ブラシ本体部2が延びる方向を長軸方向とし、
長軸方向に直交し、後述の軸挿入部16における装着部6の外周面6a側の開口から底に向かう方向を短軸方向とし、
植毛面7aと平行、かつ、長軸方向に直交する方向を交換式歯ブラシ1の幅方向とし、
植毛面7aに直交する方向を交換式歯ブラシ1の厚さ方向とする。
また、替えブラシ3が設けられる側を先端側とし、ブラシ本体部2が設けられる側を後端側とする。
【0014】
(ヘッド部7)
この例の替えブラシ3は、円柱状の装着部6の先端側に、ネック部8を介して正面視略矩形状のヘッド部7が設けられている。
ヘッド部とネック部の境界P1(図示せず)は、ヘッド部7の平面視形状における、ネック部8寄りの隅切を形成する曲線の終点、即ち、隅切を形成する曲線の曲がり方向が変化する位置である。即ち、ヘッド部とネック部の境界P1は、平面視でのヘッド部におけるネック部寄りの隅切部分の幅が狭くなる両縁を形成する曲線又は直線から、幅が広がる曲線もしくは直線、又は幅が同じ直線に変化する位置である。
【0015】
ヘッド部7の形状は、正面視略矩形状には限定されず、公知の形状を制限なく採用できる。ヘッド部7の寸法は、適宜設定でき、例えば、長さを10mm以上33mm以下、幅を7mm以上13mm以下、厚さを2mm以上5mm以下とすることができる。
【0016】
ヘッド部7の植毛面7aに形成された植毛穴10に毛束12を植設する態様は、特に限定されない。例えば、複数本の用毛(フィラメント)を束ねて二つ折りにし、その間に平線と呼ばれる金属製の抜止め具(図示せず)を挟んで植毛穴10に打ち込む態様を例示できる。
【0017】
植毛穴10の数は、特に限定されず、例えば、10個以上40個以下とすることができる。植毛穴10の配置パターンは、特に限定されず、適宜設計できる。
植毛穴10の直径は、適宜設定でき、例えば、1.2mm以上3.0mm以下とすることができる。
【0018】
毛束12を構成する用毛としては、特に限定されず、例えば、ストレート毛、毛先に向かって漸次その径が小さくなる用毛(テーパー毛)、先端分岐毛を例示できる。用毛の材質としては、特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリオレフィン(ポリプロピレン等)、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを例示できる。
用毛の寸法は、適宜設定でき、例えば、毛丈は6mm以上13mm以下、用毛径は4mil以上13mil以下とすることができる。
【0019】
(ネック部8)
ネック部8の形状は、特に限定されず、公知の形状を制限なく採用できる。
ヘッド部7と装着部6とを接続するネック部8は、ヘッド部とネック部の境界P1から装着部6に向かい略同一径で延び、次いで拡径して、装着部6との境界P2(図示せず)に至るものである。前記境界P2は、ネック部8の拡径の終点、即ち、平面視において、拡幅する部分の両縁を形成する直線の終点又は拡幅する部分の両縁を形成する曲線の曲がり方向が変化する位置である。
図1であれば、ネック部とハンドル部の境界P2は、平面視でネック部における幅が広がる部分の両縁を形成する直線又は曲線から、幅が徐々に狭くなる曲線に変化する位置である。
【0020】
ネック部8の寸法は、適宜設定でき、例えば、長さを40mm以上70mm以下、幅を3mm以上5mm以下、厚さを3mm以上5mm以下とすることができる。
【0021】
(装着部6)
装着部6は、円柱状には限定されず、例えば、円錐台状等であってもよい。
交換式歯ブラシ1では、替えブラシ3の装着部6に、装着部6の外周面6a及び後端面6bで開口し、長軸方向に延びる溝状の軸挿入部16が形成されている。この例では、軸挿入部16は、装着部6の外周面6aにおける、替えブラシ3を正面側から見たときの側面側に開口するように形成されている。なお、軸挿入部16は、装着部6の外周面6aにおける正面側や背面側に開口するように形成されていてもよい。
【0022】
(軸挿入部16)
軸挿入部16は、
図1、
図2のように後述のブラシ本体部2の軸部5及び遮蔽部9を内部に受け入れる溝状になっている。
軸挿入部16の長軸方向の長さは、軸部5及び遮蔽部9を内部に受け入れられる長さであればよく、替えブラシ3の装着時に軸挿入部16及び軸部5が目立ちにくい点から、遮蔽部9の長さと同じ長さが好ましい。
軸挿入部16の長軸方向の長さは、5mm以上、40mm以下が好ましく、10mm以上、25mm以下がより好ましい。
【0023】
長軸方向から見た軸挿入部16の短軸方向に垂直な方向の長さを
図3(B)のようにL1とし、軸挿入部16の短軸方向の長さ、すなわち軸挿入部16の装着部6の外周面6a側の開口から底に向かう深さを
図3(A)のようにL2とする。このとき、L1とL2は、L1<L2の関係である。
L1は、軸部5及び遮蔽部9を内部に受け入れられる長さであればよく、替えブラシ3の装着時に軸挿入部16及び軸部5が目立ちにくい点から、長軸方向から見た遮蔽部9の短軸方向に垂直な方向の長さと同じ長さが好ましい。
L2は、軸部5及び遮蔽部9の両方を受け入れられる長さであればよく、装着部6の外周面6aから中心軸まで達する長さであることが好ましい。
【0024】
装着部6、ヘッド部7及びネック部8を構成する樹脂としては、硬質樹脂のみを用いてもよく、軟質樹脂のみを用いてもよく、硬質樹脂と軟質樹脂の両方を用いてもよい。ブラッシング時の撓み量が抑制される点では、装着部6、ヘッド部7及びネック部8を構成する樹脂として硬質樹脂のみを用いることが好ましい。装着部6、ヘッド部7及びネック部8を構成する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0025】
硬質樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を例示できる。また、生分解性樹脂、植物由来樹脂、紙配合樹脂、植物配合樹脂等を用いてもよい。なかでも、成形性に優れ、コスト面で有利な点では、PPが好ましい。
軟質樹脂としては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを例示できる。
【0026】
図6に示すように、装着部6の内部には、軸挿入部16内に挿入された後述の軸部5が嵌め込まれる板バネ部30が設けられている。
板バネ部30は、基部31と、基部31から突き出る一対のバネ片32,33とを備えている。長軸方向から見て、板バネ部30の基部31は、軸挿入部16の底の開口側とは反対側に位置している。また、一対のバネ片32,33は、それぞれ基部31から軸挿入部16の開口側へと円弧状に突き出しており、それらの先端部分が軸挿入部16の対向する両側の内壁面から軸挿入部16内へと突き出ている。
【0027】
バネ片32,33の軸挿入部16の開口側(先端部分)のそれぞれの最小厚さは、0.5mm以上4.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下がより好ましい。バネ片32,33の最小厚さが前記範囲の下限値以上であれば、軸部5の保持力が十分となり、使用中に替えブラシ3が予期せず外れることを抑制しやすい。バネ片32,33の最小厚さが前記範囲の上限値以下であれば、バネ片32,33の弾性が十分となり、板バネ部30に軸部5を嵌め込むことが容易になる。
【0028】
(ブラシ本体部2)
図1、
図2及び
図4に示すように、ブラシ本体部2は、ハンドル部4と、ハンドル部4の先端4aから長軸方向に延在する軸部5と、を備えている。
また、ブラシ本体部2は、ハンドル部4の先端4aから長軸方向に延在し、かつ先端側から見て軸部5よりもハンドル部4の外周面4b側に配置された遮蔽部9をさらに備えている。
交換式歯ブラシ1では、
図4に示すように、ハンドル部4の先端側に延在する遮蔽部9と軸部5が連結部18によって連結されて連結体20が形成されている。
【0029】
図5に示すように、ブラシ本体部2の先端側に替えブラシ3を装着する際には、替えブラシ3とブラシ本体部2を互いに短軸方向に近づけるように動かし、軸部5を、装着部6の外周面6a側の開口から軸挿入部16内に挿入する。このとき、
図1及び
図2に示すように、連結体20を軸部5側から軸挿入部16内に挿入する。すなわち、軸部5が軸挿入部16の中心軸側(底側)となるように、軸部5と遮蔽部9の両方を軸挿入部16内に挿入する。ブラシ本体部2の先端側に替えブラシ3を装着した状態で、ブラシ本体部2の中心軸と替えブラシ3の中心軸は一致している。また、ブラシ本体部2の先端側に替えブラシ3を装着した状態で、軸部5は、装着部6の外周面6a側の開口から見た軸挿入部16の底に位置していることが好ましい。
【0030】
替えブラシ3を取り外す際には、替えブラシ3とブラシ本体部2を互いに短軸方向に離れるように動かし、装着部6の外周面6a側の開口から軸挿入部16から抜き取る。このように、交換式歯ブラシ1では、替えブラシ3の交換時に、替えブラシ3とブラシ本体部2を短軸方向に動かす。そのため、交換時に替えブラシ3をブラシ本体部2から長軸方向に引き抜く動作がなく、替えブラシ3を持つ手が長軸方向に滑りにくいため、誤って手がヘッド部7に触れることが抑制される。
【0031】
替えブラシ3がブラシ本体部2に装着された状態では、軸挿入部16内で軸部5よりも開口側に遮蔽部9が位置する。そのため、装着部6の外周面6a側の開口から見て、軸挿入部16内の軸部5の少なくとも一部が遮蔽部9で遮蔽され、軸部5が目立ちにくくなる。また、軸挿入部16の軸部5よりも開口側の部分が遮蔽部9で埋められるため、軸挿入部16も目立ちにくくなる。これらのことから、使用者が交換式歯ブラシ1を衛生的であると感じやすい。
【0032】
(軸部5)
この例の軸部5は円柱状であり、ハンドル部4の中心軸と一致するようにハンドル部4の先端4aに設けられている。なお、軸部5の形状は、軸挿入部16に挿入することによって替えブラシ3をブラシ本体部2に装着できれば円柱状には限定されず、例えば四角柱状等であってもよい。ハンドル部4の先端4aにおける軸部5の位置は、ハンドル部4の中心軸と一致する位置には限定されず、中心軸からずれていてもよい。
【0033】
軸部5の長軸方向の長さは、5mm以上40mm以下が好ましく、10mm以上25mm以下がより好ましい。軸部5の長軸方向の長さが前記範囲の下限値以上であれば、ブラシ本体部と替えブラシの保持力が弱くなり、使用中に外れやすくなる。軸部5の長軸方向の長さが前記範囲の上限値以下であれば、ブラシ本体部への替えブラシの嵌め込みが困難となる。
【0034】
連結体20の短軸方向の長さを、
図4のようにL3とし、長軸方向から見た軸部5の短軸方向に垂直な方向の長さを、
図4のようにL4と有する。このとき、L3とL4は、L4<L3の関係である。
L3は、1.0mm超10mm以下が好ましい。L3が前記範囲の下限値以上であれば、ブラシ本体部と替えブラシの保持力が弱くなり、使用中に外れやすくなる。L3が前記範囲の上限値以下であれば、ブラシ本体部への替えブラシの嵌め込みが困難となる。
L4は、1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上3.5mm以下がより好ましい。
また、挿入性と挿入後の固定の点から、L1とL4の関係はL1≧L4が好ましく、L2とL3の関係はL2≧L3が好ましい。
【0035】
(遮蔽部9)
この例の遮蔽部9は円柱状であり、先端側から見た平面視で遮蔽部9の外周面がハンドル部4の外周面4bと一致するように設けられている。なお、遮蔽部9の形状は、軸挿入部16に挿入した状態で軸部5を遮蔽できれば円柱状には限定されず、例えば四角柱状等であってもよい。
【0036】
ハンドル部4の先端4aにおける遮蔽部9の位置は、軸部5よりもハンドル部4の外周面4b側であればよく、軸挿入部16が目立ちにくい点から、ハンドル部4の外周面4bに近いほど好ましい。なお、遮蔽部9の位置は、ハンドル部4の外周面4bよりも中心側に位置していてもよい。
【0037】
遮蔽部9の長軸方向の長さは、軸挿入部16に挿入できる範囲において、軸部5の長軸方向の長さと同じか、軸部5よりも長いことが好ましい。これにより、軸挿入部16内の軸部5が遮蔽部9によって遮蔽されるため、軸部5が目立ちにくくなる。
遮蔽部9の短軸方向の長さは、軸挿入部16に挿入できる範囲において、軸部5の短軸方向の長さと同じか、軸部5の短軸方向の長さよりも大きいことが好ましい。長軸方向から見た遮蔽部9の短軸方向に垂直な方向の長さは、軸挿入部16に挿入できる範囲において、軸部5の長さL4と同じか、軸部5の長さL4よりも大きいことが好ましい。これにより、軸挿入部16内の軸部5が遮蔽部9によって遮蔽されるため、軸部5が目立ちにくくなる。
【0038】
図7に示すように、交換式歯ブラシ1では、遮蔽部9の外周面9aにおける軸挿入部16に挿入されたときの開口側の形状を、装着部6の外周面6aの形状に沿った形状とし、替えブラシ3を装着した状態で遮蔽部9の外周面9aと装着部6の外周面6aの段差がなく、軸挿入部16が完全に埋められるようにすることが好ましい。これにより、替えブラシ3を装着した状態で、軸挿入部16がさらに目立ちにくくなるため、使用者が交換式歯ブラシ1をより衛生的であると感じる。
【0039】
(連結部18)
図4に示すように、長軸方向において、連結部18の長軸方向の長さは、軸部5と遮蔽部9の長軸方向の長さよりも短くなっており、連結体20の先端側の遮蔽部9と軸部5の間には窪み部22が形成されている。また、長軸方向から見た連結部18の短軸方向に垂直な方向の長さは、軸部5の長さL4、及び長軸方向から見た遮蔽部9の短軸方向に垂直な方向の長さよりも小さくなっており、連結体20の側面側の遮蔽部9と軸部5の間には長軸方向に延びる窪み部24が形成されている。
【0040】
図6に示すように、連結体20における窪み部22が形成されている部分では、軸部5の先端部分が独立して存在しており、その軸部5の先端部分が軸挿入部16内で板バネ部30に嵌め込まれている。これにより、軸部5が軸挿入部16から予期せず抜けにくくなるため、替えブラシ3を安定して装着できる。交換式歯ブラシ1では、連結体20の先端側に窪み部22が形成されていることで、軸部5の先端部分を板バネ部30の一対のバネ片32,33でしっかりと囲い込んで保持できるため、替えブラシ3の装着状態がより安定になる。
【0041】
図4において、軸部5と連結部18の長軸方向の長さの差△H、すなわち窪み部22の深さは、20mm以下が好ましく、10mm以上15mm以下がより好ましい。軸部5と連結部18の長さの差△Hが前記範囲の上限値以下であれば、板バネ部30によって軸部5を容易に保持することが可能となる。軸部5と連結部18の長さの差△Hが前記範囲の下限値以上であれば、板バネ部30による軸部5の保持力が向上し、替えブラシ3の装着状態がより安定になる。
【0042】
ブラシ本体部2を構成する樹脂としては、硬質樹脂のみを用いてもよく、軟質樹脂のみを用いてもよく、硬質樹脂と軟質樹脂の両方を用いてもよい。ブラッシング時の撓み量が抑制される点では、ブラシ本体部2を構成する樹脂として硬質樹脂のみを用いることが好ましい。特に遮蔽部9、軸部5及び連結部18を構成する樹脂としては、硬質樹脂が好ましい。ブラシ本体部2を構成する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0043】
遮蔽部9の色は、装着部6の色と同一であることが好ましい。これにより、替えブラシ3を装着した状態で軸挿入部16がさらに目立ちにくくなるため、使用者が衛生的であると感じやすくなる。
【0044】
交換式歯ブラシ1の製造方法は、特に限定されない。例えば、ブラシ本体部2、替えブラシ3の装着部6、ネック部8及びヘッド部7の成形方法としては、射出成形、ブロー成形を例示でき、射出成形が好ましい。射出成形のランナーとしては、コールドランナーでもよく、ホットランナーでもよく、ホットランナーが好ましい。射出成形のゲートは、特に限定されず、例えばダイレクトゲートを例示できる。
【0045】
以上説明したように、交換式歯ブラシ1では、替えブラシ3の交換時に替えブラシ3とブラシ本体部2を互いに短軸方向に動かして脱着を行うため、替えブラシ3をブラシ本体部2から長軸方向に引き抜く動作がない。そのため、替えブラシ3の交換時に替えブラシ3を持つ手が長軸方向に滑りにくいため、誤って手がヘッド部7に触れることが抑制される。また、替えブラシ3がブラシ本体部2に装着された状態では、軸挿入部16内で軸部5よりも開口側に遮蔽部9が位置する。そのため、装着部6の外周面6a側の開口から見たとき、軸挿入部16内の軸部5の少なくとも一部が遮蔽部9で遮蔽されているうえ、軸挿入部16の軸部5よりも開口側の部分が遮蔽部9で埋められる。これにより、替えブラシ3を装着した状態で軸部5及び軸挿入部16が目立ちにくくなるため、使用者が交換式歯ブラシ1を衛生的であると感じる。
【0046】
なお、第1実施形態の交換式歯ブラシは、前記した交換式歯ブラシ1には限定されない。
例えば、軸部と遮蔽部が連結された連結体の先端側と側面側の一方のみに窪み部が形成されていてもよい。具体的には、例えば、
図8に示すように、軸部5と遮蔽部9がそれらと同じ長さの連結部18Aで連結され、側面側の軸部5と遮蔽部9の間の部分だけに窪み部24が形成されている連結体20Aを備えているブラシ本体部2であってもよい。連結体20Aの場合も、連結体20の場合と同様に、替えブラシ3を装着した状態で軸部5及び軸挿入部16が目立ちにくくなるため、使用者が交換式歯ブラシ1を衛生的であると感じる。
【0047】
図9に示すように、この態様でも、連結体20Aの窪み部24が形成されている部分で軸部5を板バネ部30に嵌め込むことで、替えブラシ3を安定してブラシ本体部2に装着できる。なお、連結体20Aでは、窪み部24が長軸方向において先端から後端まで全体的に形成されているが、連結体の側面側の窪み部は長軸方向において部分的に形成されていてもよい。
【0048】
軸部と遮蔽部が連結された連結体は、先端側と側面側のいずれにも窪み部がなくてもよい。例えば、
図10に示すように、軸部5と遮蔽部9が連結されて一体となった扁平形状の連結体20Bであってもよい。連結体20Bの場合も、連結体20の場合と同様に、替えブラシ3を装着した状態で軸部5及び軸挿入部16が目立ちにくくなるため、使用者が交換式歯ブラシ1を衛生的であると感じる。
【0049】
図10に示すように、連結体20Bの短軸方向の長さの最小値Dに対する、短軸方向に直交する方向の長さLの比率は、1.0以上10以下が好ましく、1.3以上4.6以下がより好ましい。前記比率が前記範囲の下限値以上であれば、ブラシ本体部と替えブラシの保持力が弱くなり、使用中に外れやすくなる。前記比率が前記範囲の上限値以下であれば、ブラシ本体部への替えブラシの嵌め込みが困難となる。
Lの長さは前述のL3と同じであってもよく、Dの長さはL4と同じであってよい。
【0050】
[第2実施形態]
図11に示すように、第2実施形態の交換式歯ブラシ41は、ブラシ本体部42と、ブラシ本体部2の先端側に着脱自在に装着される替えブラシ43と、を備えている。
【0051】
図12に示すように、ブラシ本体部42は、遮蔽部9及び連結部18を備えず、ハンドル部4の先端4aに軸部5のみが設けられている以外は、第1実施形態のブラシ本体部2と同様の態様である。
図11及び
図13に示すように、替えブラシ43は、板バネ部30の代わりに、軸挿入部16内に挿入された軸部5が嵌め込まれる板バネ部50が備えられている以外は、第1実施形態の替えブラシ3と同様の態様である。
図11~13における
図1、
図4及び
図6と同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。
【0052】
板バネ部50は、基部51と、一対のバネ片52,53と、を備えている。基部51は、長軸方向に延びる柱状であり、長軸方向から見て軸挿入部16の底の開口側とは反対側に位置している。一対のバネ片52,53は、それぞれ長軸方向に延びる板状であり、長軸方向から見て基部51から軸挿入部16の開口側へと円弧状に突き出しており、それらの先端部分が軸挿入部16の対向する両側の内壁面から軸挿入部16内へと突き出ている。
【0053】
交換式歯ブラシ41では、交換式歯ブラシ1と同様に、軸部5が装着部6の外周面6a側の開口から軸挿入部16内に挿入されることによって、ブラシ本体部42の先端側に替えブラシ43が装着される。
図13に示すように、ブラシ本体部42の先端側に替えブラシ43を装着した状態では、軸挿入部16内に挿入された軸部5が板バネ部50に嵌め込まれている。替えブラシ43を取り外す際には、替えブラシ43をブラシ本体部42に対して短軸方向に離れるように動かし、軸部5を板バネ部50から脱離させて軸挿入部16の外側に引き出す。
【0054】
このように、交換式歯ブラシ41では、交換式歯ブラシ1と同様に、交換時に替えブラシ43をブラシ本体部42から長軸方向に引き抜く動作がなく、替えブラシ43を持つ手が長軸方向に滑りにくいため、誤って手がヘッド部7に触れることが抑制される。また、
図13及び
図14に示すように、替えブラシ3を装着した状態では、一対のバネ片52,53が軸挿入部16の軸部5の周囲を両側から囲っており、軸挿入部16の軸部5よりも開口側に一対のバネ片52,53の先端部分が位置している。これら一対のバネ片52,53の先端部分が遮蔽部9A,9Aとして機能し、装着部6の外周面6a側の開口から見たとき、軸挿入部16内の軸部5の少なくとも一部が遮蔽部9A,9Aで遮蔽され、軸部5が目立ちにくくなる。また、軸挿入部16の軸部5よりも開口側の部分が遮蔽部9A,9Aで埋められるため、軸挿入部16も目立ちにくくなる。これらのことから、使用者が交換式歯ブラシ41を衛生的であると感じる。
【0055】
装着部6の外周面6a側の開口から見たときに軸部5が目立ちにくい点から、板バネ部50の一対のバネ片52,53の長軸方向の長さは、軸部5の長軸方向の長さと同じか、それ以上であることが好ましい。
【0056】
この例の板バネ部50では、バネ片52のバネ片53側に向く対向面52aと、バネ片53のバネ片52側に向く対向面53aは、いずれも装着部6の外周面6a側の開口から中心軸に向かう径方向に平行している。
また、
図13に示すように、装着部6の外周面6a側の開口から中心軸に向かう径方向において、一対のバネ片52,53の平行する対向面52a,53aの短軸方向の最大長さd1は、軸部5の短軸方向の最大長さd2よりも大きくなっている。
【0057】
軸部5の短軸方向の最大長さd2に対する、一対のバネ片52,53の平行する対向面52a,53aの短軸方向の最大長さd1の比(d1/d2)は、1.5以上9.0以下が好ましく、2.0以上4.6以下がより好ましい。d1/d2が前記範囲の下限値以上であれば、装着部6の外周面6a側の開口から見て軸部5を視認しにくくなるため、使用者が衛生的であると感じやすくなる。d1/d2が前記範囲の上限値以下であれば、板バネ部50に軸部5を嵌め込むことが容易になる。
d1は、1.5mm以上、9.0mm以下が好ましく、3.0mm以上、7.0mm以下がより好ましい。
d2は、1.0mm以上、5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上、3.5mm以下がより好ましい。
【0058】
長軸方向から見た軸部5の短軸方向に垂直な方向の最大長さd3に対する、バネ片52の対向面52aとバネ片52の対向面53aとの距離d4の比(d4/d3)は、0.1以上0.5以下が好ましく、0.2以上0.4以下がより好ましい。d4/d3が前記範囲の上限値以下であれば、装着部6の外周面6a側の開口から見て軸部5を視認しにくくなるため、使用者が衛生的であると感じやすくなる。d4/d3が前記範囲の下限値以上であれば、板バネ部50に軸部5を嵌め込むことが容易になる。
d3は、1.0mm以上、5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上、3.5mm以下がより好ましい。
d4は、0.5mm以上、2.5mm以下が好ましく、0.6mm以上、2.0mm以下がより好ましい。
【0059】
長軸方向から見たバネ片52,53の最小厚さは、0.5mm以上4.0mm以下が好ましく、1.5mm以上3.5mm以下がより好ましい。バネ片52,53の最小厚さが前記範囲の下限値以上であれば、軸部5の保持力が十分となり、使用中に替えブラシ43が予期せず外れることを抑制しやすい。バネ片52,53の最小厚さが前記範囲の上限値以下であれば、バネ片52,53の弾性が十分となり、板バネ部50に軸部5を嵌め込むことが容易になる。
【0060】
以上のように、交換式歯ブラシ41では、交換式歯ブラシ1と同様に、替えブラシ43の交換時に替えブラシ43を持つ手が長軸方向に滑りにくいため、誤って手がヘッド部7に触れることが抑制される。また、板バネ部50の一対のバネ片52,53の先端部分が遮蔽部9A,9Aとなって軸部5を遮蔽するため、軸部5及び軸挿入部16が目立ちにくくなり、使用者が衛生的であると感じる。
【0061】
なお、第2実施形態の交換式歯ブラシは、前記した交換式歯ブラシ41には限定されない。例えば、
図15に示すように、板バネ部50の代わりに、板バネ部50Aを備える替えブラシ43であってもよい。板バネ部50Aは、一対のバネ片52,53の代わりに、一対のバネ片54,55を備えている。
【0062】
長軸方向から見て、バネ片54は、先端から基端に向かうにつれて、他方のバネ片55に近づく先端側傾斜面54aを有している。また、バネ片54は、先端側傾斜面54aの後端から基部51に向かうにつれて他方のバネ片55から遠ざかる基部側傾斜面54bを有している。同様に、バネ片55は、先端から基端に向かうにつれて、他方のバネ片54に近づく先端側傾斜面55aを有している。また、バネ片55は、先端側傾斜面55aの後端から基部51に向かうにつれて他方のバネ片54から遠ざかる基部側傾斜面55bを有している。
【0063】
替えブラシ43の脱着時以外は、バネ片54の先端側傾斜面54aの後端とバネ片55の先端側傾斜面55aの後端とは接しており、板バネ部50Aが閉じた状態になっている。すなわち、一対の先端側傾斜面54aと先端側傾斜面55aが遮蔽部9B,9Bとなって軸部5を遮蔽する。これにより、装着部6の外周面6a側の開口から軸挿入部16内の軸部5を視認できないため、使用者が衛生的であると感じる。
【0064】
板バネ部50Aの場合、軸挿入部16内に挿入し、板バネ部50Aに向かって押し込んだ軸部5によってバネ片54,55の先端側傾斜面54a,55aが押されることで、一対のバネ片54,55が外側から押し開かれる。そのため、替えブラシ43の装着前の状態において一対のバネ片54,55が閉じていても、板バネ部50Aに軸部5を嵌め込むことが容易である。
【0065】
また、板バネ部50Aに嵌め込んだ軸部5を取り外す際には、引き抜こうとする軸部5がバネ片54,55の基部側傾斜面54b,55bを押すことで、一対のバネ片54,55が内側から押し開かれる。そのため、替えブラシ43を装着した状態において一対のバネ片54,55が閉じていても、板バネ部50Aに軸部5を取り外すことが容易である。このように、板バネ部50Aを用いることで、軸部5を視認できないようにしつつ、替えブラシ3の着脱を容易にすることができる。
さらに、板バネ部50Aでは、軸部5の挿入時や抜き取り時に、バネ片54,55の先端側傾斜面54a,55aや基部側傾斜面54b,55bがガイドとして作用する。そのため、軸部5の板バネ部50への嵌め込みや抜き取りが容易になる。
【0066】
装着部6の外周面6a側の開口から中心軸に向かう径方向において、バネ片54とバネ片55の接触点から軸挿入部16の開口までの距離d5は、一対のバネ片54,55の先端から軸挿入部16の開口までの距離d6よりも大きくなっている。
距離d6は、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上3.0mm以下がより好ましい。距離d6が前記範囲の下限値未満の場合は、バネ片54、55から軸部5を取り外すことができない。距離d6が前記範囲の上限値を超える場合は、軸部5の着脱が困難となる。
【0067】
距離d5は、距離d6よりも大きい範囲で、1.0mm以上9.0mm以下が好ましく、3.0mm以上7.0mm以下がより好ましい。距離d5が前記範囲の下限値以上であれば、バネ片54,55の先端側傾斜面54a,55aや基部側傾斜面54b,55bがガイドとして作用する。距離d5が前記範囲の上限値以下であれば、軸部5の板バネ部50への嵌め込みや抜き取りが容易になる。
【0068】
板バネ部は、板バネ部50Aにおいて、一対のバネ片54,55のいずれか一方のみが先端側傾斜面を有しているものであってもよい。板バネ部は、先端側傾斜面のみを有し、基部側傾斜面を有していないものであってもよい。
その他、本発明は様々な形態で実施でき、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1,41…交換式歯ブラシ、2,42…ブラシ本体部、3,43…替えブラシ、4…ハンドル部、5…軸部、6…装着部、6a…外周面、6b…後端面、7…ヘッド部、8…ネック部、9,9A…遮蔽部、10…植毛穴、12…毛束、14…植毛部、16…軸挿入部、18…連結部、20…連結体、22,24…窪み部、30…板バネ部、31…基部、32,33…バネ片、50…板バネ部、52~55…バネ片、54a,55a…先端側傾斜面、54b,55b…基部側傾斜面。