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特許7515408ファブリックスリーブを備えるケーブルとその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ファブリックスリーブを備えるケーブルとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/08 20060101AFI20240705BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240705BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H02G1/08
H02G3/04
H02G9/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020565848
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019035315
(87)【国際公開番号】W WO2019236531
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-31
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】62/681,744
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/429,229
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512044862
【氏名又は名称】ウエスコ、エクイティ、コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】WESCO EQUITY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・エル・アレン
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】山崎 慎一
【審判官】吉田 美彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-525792(JP,A)
【文献】特開2013-258802(JP,A)
【文献】特開平11-007856(JP,A)
【文献】米国特許第05278356(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G1/08
H02G3/04
H02G9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さを有する1つのケーブルを1枚のファブリック材料のシートに閉じ込め、閉じ込めた前記ケーブルを管路に挿入する方法であって、
前記ファブリック材料の側縁にのみ接着剤を配置するステップと、
前記ファブリック材料の対向する層を形成するために前記ファブリック材料の前記シートを折り畳むステップと、
前記折り畳むステップの後に、前記ファブリック材料の前記シートの長さ方向に沿って前記ケーブルを前記層の間に配置するステップと、
前記シートの一方の前記側縁の前記接着剤を当該シートの他方の前記側縁の前記接着剤に付着させて翼部を形成し、前記接着剤が前記ケーブルに接触することなく前記ファブリック材料の前記層が前記ケーブルの周りに締め付けられるように前記ケーブルを前記層の間に閉じ込め、それによって前記ケーブルを前記層に直接接着させないステップと、
その後、前記翼部を把持しながら、閉じ込められた前記ケーブルを前記管路に挿入するステップと、
を備えた、方法。
【請求項2】
1つのケーブルを1枚のファブリック材料のシートに閉じ込める方法であって、
前記ファブリック材料の前記シートの側縁にのみ接着剤を配置するステップと、
各側縁の前記接着剤上に剥離ストリップを配置するステップと、
前記側縁同士が互いに隣接するような前記ファブリック材料の対向する層を形成するために前記ファブリック材料の前記シートを折り畳むステップと、
前記ファブリック材料の前記層が前記ケーブルの周りに締め付けられるように前記ケーブルを前記ファブリック材料の前記側縁の間を通すことによって前記ケーブルを前記ファブリック材料の前記層の間に配置するステップと、
前記ケーブルが前記層の前記側縁の間に配置された後、前記剥離ストリップを除去するステップと、
その後、一方の前記層の前記接着剤を他方の前記層の前記接着剤に付着させて翼部を形成し、前記接着剤で前記ファブリック材料を前記ケーブルに直接付着させずに前記層の間に前記ケーブルを閉じ込めるステップと、
を備えた、方法。
【請求項3】
長手方向に延びる管路に挿入される装置であって、
長さを有するとともに摩擦係数を有する1つのケーブルと、
前記ケーブルの摩擦係数よりも小さい摩擦係数を有し、側縁にのみ接着剤を有する1枚のファブリック材料のシートと、
を備え、
前記ケーブルを前記シートに直接接着することなく、前記ファブリック材料の層が前記ケーブルの周りに締め付けられ前記シートの長さ方向に沿って前記ケーブルを閉じ込めるように、前記ファブリック材料の前記シートはその側縁同士が取り付けられており、
前記シートの前記側縁同士が互いに取り付けられたときに形成され、前記ケーブルの長さ方向に沿って前記ケーブルから外側に延びる少なくとも1つの翼を更に備え、
前記ファブリック材料は前記ケーブルに直接接着されておらず、前記シートに取り囲まれた前記ケーブルはより容易に前記管路に挿入される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月7日に出願された米国仮特許出願第62/681,744号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ファブリック(fabric)で囲まれたケーブルと、ケーブルを通信導管に容易に挿入し得るファブリックスリーブを備えたケーブルを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
数千フィートにわたって延在する地下の通信用導管にケーブルを配置することは、長い間の課題であった。そのような課題は、既にその中にケーブルを有する導管の中に、1つ以上の追加のケーブルを配置することが所望される場合にとりわけ深刻になる。導管内のケーブルは、とりわけそのプラスチックの外被のため、新たなケーブルが導管の中に挿入されようとするときに新たなケーブルに対して多大な摩擦を及ぼす。結果として、新たな、または既存のケーブルは、摩擦により容易に損傷され得る。これは導管内のケーブルがうねっており、導入されるケーブルが、曲がりくねった断片(fraction)を含む経路を取らざるを得ない場合に深刻になる。
【0004】
この課題に対して非常に成功している解決策は、TVC Communications,LLCによってMAXCELL(登録商標)として販売されているファブリック内部ダクトであり、この内部ダクトによる解決策は、米国特許第6,262,371号に示されており、その内容は、本発明を理解するために必要となり得る詳細事項のため、参照により組み込まれる。この内部ダクトは、はじめに導管の中に配置されており、導管を長手方向に延在する複数の区画に分割する。ケーブルが複数の区画のうちの1つに配置されるとき、他の区画にある引き込み用テープまたはロープが、第2のケーブルをその区画の中に引き込むために利用され得る。ケーブル間にファブリックがあるため、摩擦はケーブルの外被ではなくファブリックにかかり、これにより導入が容易になる。
【0005】
しかしながら、これらの内部ダクトを長い距離にわたって延在する小さな直径の導管の中で使用する場合、問題が存在し得る。これらの小さな導管においては、ファブリック内部ダクトが導管内のスペースの大部分を占め、テープまたはロープが内部ダクトの中に押し込められており、これにより、ケーブルを引き込む機能を妨げ得る。
【0006】
その結果、米国特許第9,054,507号に示されるように、ファブリックで覆われたケーブルが設計され、その内容は、本発明を理解するために必要となり得る詳細事項のため、参照により本明細書に組み込まれる。これは当技術分野における大幅な改善を表すが、改善されたケーブルおよびケーブルにファブリックを取り付ける簡易な様態はまだ開発されていない。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の一態様の目的は、ファブリックをケーブルに取り付ける方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の態様の目的は、接着剤を利用した取り付けを提供することである。
【0009】
本発明の追加の態様の目的は、外向きに延在する翼部を備えた被覆されたケーブルを提供することである。
【0010】
本発明におけるこれらの目的、および他の目的は、既存の先行技術が形成する利点を超える利点と並んで、後の説明から明らかになるが、後に説明および特許請求される改善により達成される。
【0011】
一般に、ファブリック材料をケーブルに取り付ける方法は、ファブリックの対向する層上に接着剤を配置するステップと、層間にケーブルを配置するステップと、一方の層の接着剤を他方の層の接着剤に取り付けて層間のケーブルを閉じ込めるステップとを含む。
【0012】
この方法によって形成された、被覆されたケーブルは、ケーブルから外向きに延在する少なくとも1つの翼部を有するファブリックで覆われたケーブルを含む。
【0013】
翼部を備えたファブリックで覆われたケーブルを作製するための好ましい方法は、本発明が具現化され得るすべての様々な形態および変形例を示すことを試みることなく添付の図面に例示され、本発明は、明細書の詳細ではなく、添付の特許請求の範囲によって判断される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】2層のファブリック材料の間に配置されたケーブルの断面図である。
図2図1のような断面図であるが、ケーブルの周りを被覆する層を示す図である。
図3図2に示したものを断片化した上面図である。
図4図1に示したものの代替的な実施形態の断面図であり、2層のファブリック材料間に配置されたケーブルを示す図である。
図5図4のような断面図であるが、ケーブルの周りを被覆する層を示す図である。
図6】対向する2層の材料を描写する、さらに別の実施形態の断面図である。
図7図6に示す被覆されたケーブルを示す断面図である。
図8図7に示したものを断片化した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
従来の通信ケーブルは、図面中の数字10で示される。ケーブル10は、伝統的に、プラスチックシースで覆われたワイヤのコアを含む。このようなケーブルは、ロール形状で通常保管され、これは、2500フィート以上のケーブルを運び得る。
【0016】
図1に示すように、ケーブル10を、ケーブルのシースよりも摩擦係数が低いファブリックなどの柔軟な材料で被覆するために、概して数字11で示される第1のシートアセンブリと、概して数字12で示される第2のシートアセンブリと、が提供される。シートアセンブリ11は、ケーブル10の長さに沿って長手方向に延在し、接着剤層14が取り付けられたファブリック層13を含む。同様に、シートアセンブリ12は、ケーブル10の長さに沿って長手方向に延在し、接着剤層16が取り付けられたファブリック層15を含む。
【0017】
図2に示すファブリックで被覆されたケーブル17を作製するために、アセンブリ11およびアセンブリ12は、接着剤層14と接着剤層16とが互いに対向し、従来のケーブル10が層14と層16との間に配置されるように、図1に示すように配置される。次に、アセンブリ11およびアセンブリ12は、ケーブル10に係合する接着層14および16でケーブル10の周りに被覆され、被覆されたケーブル17を形成する。アセンブリ11および12の側縁は、接着剤層14と接着剤層16との側縁が互いに係合するときに翼部18を形成する。翼部18は、ケーブル17の略正反対に対向する側面から半径方向外向きに延在する。このような翼部18は、ケーブル17に強度を加える傾向があり、それらを利用して、ケーブルが導管内に引き込まれ得る。すなわち、引き込みデバイスがケーブルの翼部に取り付けられるか、または別の方法でケーブルの翼部を把持して、ケーブルを導管内に挿入し得る。
【0018】
被覆されたケーブル17は、シートアセンブリ11および12とともに、ケーブル10を長手方向に移動させ、折り畳みステーションを提供することによって作製され得る。ケーブル10、ならびにアセンブリ11および12が、そのステーションを通過するとき、アセンブリ11および12は、前述のようにケーブル10の周りに被覆される。これは、ケーブルの製造現場で遂行され得、または被覆されたケーブル17が導管に導入される場所で提供され得る。その場合、結果として得られるケーブル17が導管中に導入されているときに、ケーブル10を被覆するデバイスを介して、ケーブル10のロール、ならびにシートアセンブリ11および12のロールが、提供かつ繰り出され得る。
【0019】
ケーブル10を被覆する代替的な様態が、図4および図5に示されている。そこでは、第1のシートアセンブリ21および第2のシートアセンブリ22が提供される。シートアセンブリ11は、ファブリック層13と同一であり得るファブリック層23を含む。シートアセンブリ23はまた、ファブリック層23の外側周辺に配置された2つの小さな層24から形成される接着剤層を含む。同様に、シートアセンブリ22は、ファブリック層15と同一であり得るファブリック層25を含む。シートアセンブリ22はまた、ファブリック層25の外側周辺に配置された2つの小さな層26から形成される接着剤層を含む。
【0020】
図5に示すファブリックで被覆されたケーブル17を作製するために、アセンブリ21およびアセンブリ22は、接着剤層24と接着剤層26とが互いに対向し、従来のケーブル10が、シートアセンブリ21とシートアセンブリ22との間に配置されるように、図4に示すように配置される。次に、アセンブリ21および22は、ケーブル10の周りにしっかりと被覆され、接着剤層部分24は、図5に示されるように、接着剤層部分26と係合して、翼部28を形成する。図5の実施形態は、シートアセンブリ23、25のうちの1つのみが接着部分24または接着部分26を備えている場合、ケーブル17を良好に作製することも企図される。したがって、残りの接着剤部分は、対向するシートアセンブリに直接取り付けられるであろう。いずれの場合においても、結果として得られる図5の平面図は、図3と同じである。結果として得られたファブリックで被覆されたケーブル17は、図1図3の実施形態に関して説明したものと同じ様態で製造され得る。
【0021】
別のケーブル被覆バージョンを図6図8に示す。そこでは、概して数字30で示される1枚のファブリック材料の連続シートが折り畳まれており、その端部に小さな接着剤層34を有する第1のファブリック層33を形成し、その端部に小さな接着剤層36を有する第2のファブリック層35を形成する。材料30が製造されるとき、剥離シート37が各接着剤層34、36上に配置される。図7に示されるファブリックで被覆されたケーブル17を作製することが所望される場合、ケーブル10は、接着剤層34と接着剤層36との間の開口部を通って延在することによって、層33と層35との間に配置される。次に、剥離シート37が接着剤層34、36から除去され、層33および層35がケーブル10の周りに締め付けられ、接着剤層34、36が互いに取り付けられて翼部38を形成するように被覆されたケーブル17を形成する。
【0022】
したがって、前述のことを考慮して、被覆されたケーブルを作製するための開示されたオプションのいずれかは、本発明の目的を達成し、さもなければ実質的に当技術分野を改善することは明らかであるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8