(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】アースドリル機およびアースドリル機のワイヤリング方法
(51)【国際特許分類】
E21B 15/00 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
E21B15/00
(21)【出願番号】P 2021035182
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 孝治
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-148693(JP,U)
【文献】実開昭59-069235(JP,U)
【文献】特開2002-349174(JP,A)
【文献】特開2002-339359(JP,A)
【文献】特開2005-097888(JP,A)
【文献】実開平01-102282(JP,U)
【文献】実開昭58-171929(JP,U)
【文献】特開2018-204285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00-49/10
E02D 7/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に取り付けられるリーダと、
前記リーダの先端部に取り付けられるリーダヘッドと、を備えたアースドリル機であって、
前記リーダヘッドの背面側への回動を所定の回動位置で規制する回動規制機構を備え
、
前記リーダヘッドは、前記リーダの先端部に第1連結部材と第2連結部材とにより固定されていると共に、前記第2連結部材が外された状態で前記第1連結部材を前記リーダヘッドの回動中心である支点として背面側に回動し、
前記回動規制機構は、前記支点周りの背面側に回動させる回動部と、前記回動部による回動を規制する回動規制部を有し、
前記リーダヘッドは、当該リーダヘッドを吊るための第1吊り部を有し、
前記リーダヘッドおよび前記リーダの一方は、前記リーダヘッドを前記リーダの先端部に取り付ける際に、前記第1連結部材が挿入される前記リーダヘッド側の孔部と前記リーダ側の孔部との位置合わせのためのガイド部を有し、
前記リーダヘッドが前記第1吊り部によって吊られた姿勢において、
前記リーダヘッド側の孔部と前記リーダ側の孔部との位置合わせが完了した際に、前記リーダヘッドおよび前記リーダの他方が前記ガイド部と接触しない構造であることを特徴とするアースドリル機。
【請求項2】
本体と、
前記本体に取り付けられるリーダと、
前記リーダの先端部に取り付けられるリーダヘッドと、を備えたアースドリル機であって、
前記リーダヘッドの背面側への回動を所定の回動位置で規制する回動規制機構を備え、
前記リーダヘッドは、前記リーダの先端部に第1連結部材と第2連結部材とにより固定されていると共に、前記第2連結部材が外された状態で前記第1連結部材を前記リーダヘッドの回動中心である支点として背面側に回動し、
前記回動規制機構は、
前記リーダヘッドと前記リーダの先端部とのうち一方に設けられ、前記第1連結部材に対して前記第2連結部材と反対側に位置する後傾姿勢保持用ピンと、
前記リーダヘッドと前記リーダの先端部とのうち他方に設けられ、前記後傾姿勢保持用ピンを受ける後傾姿勢保持用ピン受け部と、を含むことを特徴とするアースドリル機。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のアースドリル機において、
前記回動規制機構は、前記リーダヘッドの正面側への回動を許容することを特徴とする
アースドリル機。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のアースドリル機において、
前記リーダヘッドは、その重心に対して前記リーダヘッドの回動中心である支点と反対側の位置に、前記支点を中心にして前記リーダの正面側へ前記リーダヘッドを回動させるための第2吊り部を有することを特徴とするアースドリル機。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のアースドリル機において、
前記リーダヘッドは、架台に取り付ける
固定用ラグを有することを特徴とするアースドリル機。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアースドリル機のワイヤリング方法であって、
前記リーダの背面が地面と対向するように前記リーダを倒伏させる工程と、
前記リーダヘッドを前記リーダの先端部に部分的に取り付けた後、前記リーダヘッドの回動中心である支点を中心にして前記リーダヘッドを前記リーダの背面側に傾けた状態にする工程と、
前記リーダヘッドが傾いた状態で前記リーダヘッドにロープを巻き掛ける工程と、
前記リーダヘッドにロープが巻き掛けられた状態で、前記支点を中心にして前記リーダヘッドを前記リーダの正面側に回動させ、前記リーダヘッドを前記リーダに固定する工程と、を含むことを特徴とするアースドリル機のワイヤリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースドリル機およびアースドリル機のワイヤリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、本体に起伏可能に支持されたリーダと、リーダの先端に取り付けられたリーダヘッドと、を備えたアースドリル機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。リーダヘッドには、ポイントシーブおよびガイドシーブが取り付けられており、これらシーブにはワイヤロープが巻き掛けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアースドリル機は、リーダを後ろ向きに地面に倒伏させて、リーダヘッドのポイントシーブにワイヤロープを取り付ける。この際、リーダヘッドに取り付けられたポイントシーブが地面から高い位置にあるので、ワイヤリング作業を高所で行う必要があった。
【0005】
本発明の主な目的は、リーダヘッドのワイヤリング作業をより低い位置で行うことができるアースドリル機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明は、本体と、前記本体に取り付けられるリーダと、前記リーダの先端部に取り付けられるリーダヘッドと、を備えたアースドリル機であって、前記リーダヘッドの背面側への回動を所定の回動位置で規制する回動規制機構を備え、前記リーダヘッドは、前記リーダの先端部に第1連結部材と第2連結部材とにより固定されていると共に、前記第2連結部材が外された状態で前記第1連結部材を前記リーダヘッドの回動中心である支点として背面側に回動し、前記回動規制機構は、前記支点周りの背面側に回動させる回動部と、前記回動部による回動を規制する回動規制部を有し、前記リーダヘッドは、当該リーダヘッドを吊るための第1吊り部を有し、前記リーダヘッドおよび前記リーダの一方は、前記リーダヘッドを前記リーダの先端部に取り付ける際に、前記第1連結部材が挿入される前記リーダヘッド側の孔部と前記リーダ側の孔部との位置合わせのためのガイド部を有し、前記リーダヘッドが前記第1吊り部によって吊られた姿勢において、前記リーダヘッド側の孔部と前記リーダ側の孔部との位置合わせが完了した際に、前記リーダヘッドおよび前記リーダの他方が前記ガイド部と接触しない構造であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、リーダヘッドのワイヤリング作業をより低い位置で行うことができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】リーダが掘削姿勢のアースドリル機の側面図である。
【
図2】リーダが前傾姿勢のアースドリル機の側面図である。
【
図6】(a)はリーダの背面が地面を向くように倒した状態で、リーダヘッドがリーダの先端に取り付けられた状態を示す左側面図であり、(b)はリーダの背面が地面を向くように倒した状態で、リーダヘッドがリーダの先端から背面側に傾けられた状態を示す左側面図である。
【
図8】架台にリーダヘッドが載置された状態を示す右側面図である。
【
図9】ワイヤリング作業の手順を示す説明図である。
【
図10】ワイヤリング作業の手順を示す説明図である。
【
図11】ワイヤリング作業の手順を示す説明図である。
【
図12】ワイヤリング作業の手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、リーダ11が掘削姿勢のアースドリル機1の側面図である。
図2は、リーダ11が前傾姿勢のアースドリル機1の側面図である。
【0010】
本実施形態に係るアースドリル機1は、走行体2と、走行体2上に旋回可能に支持された旋回体3と、旋回体3に支持されたフロントアタッチメント10とを主に備える。走行体2および旋回体3は、本体の一例を構成する。但し、本体は、フロントアタッチメント10を支持可能であれば、走行体2および旋回体3の組み合わせに限定されない。
【0011】
走行体2は、走行モータ(図示省略)が回転駆動することによって走行する。旋回体3は、旋回モータ(図示省略)が回転駆動することによって、走行体2に対して旋回する。また、旋回体3は、キャブ4と、カウンタウェイト5と、主巻ウインチ6と、補巻ウインチ7とを主に備える。
【0012】
キャブ4は、旋回体3の前端に設けられている。キャブ4には、アースドリル機1のオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。また、キャブ4の内部空間には、アースドリル機1を操作する操作装置(図示省略)が設けられている。そして、キャブ4の内部空間に搭乗したオペレータが操作装置を操作することによって、走行体2が走行し、旋回体3が旋回し、フロントアタッチメント10が動作する。
【0013】
カウンタウェイト5は、旋回体3の後端に設けられている。カウンタウェイト5は、フロントアタッチメント10および荷物Mの重量とのバランスをとる重量物である。主巻ウインチ6は、主巻用油圧モータ(図示省略)によって回転駆動されて、主巻ロープ16を巻き上げ或いは巻き下げる。補巻ウインチ7は、補巻用油圧モータ(図示省略)によって回転駆動されて、補巻ロープ17を巻き上げ或いは巻き下げる。
【0014】
フロントアタッチメント10は、旋回体3に取り付けられている。フロントアタッチメント10は、操作装置の操作に従って作業を行う。フロントアタッチメント10の作業とは、掘削ツール21を用いて地面を掘削する掘削作業と、フック22に係止した荷物Mを昇降させる吊作業とを含む。
【0015】
フロントアタッチメント10は、リーダ11と、フロントフレーム12と、リーダヘッド13と、主巻シーブ14と、補巻シーブ15と、主巻ロープ16と、補巻ロープ17と、ケリーバ18と、ケリートップガイド19と、ロータリドライブ20と、掘削ツール21と、フック22(吊り具)とを主に備える。
【0016】
リーダ11は、長尺な管状の部材である。リーダ11は、下端部がフロントフレーム12に起伏可能に支持されている。より詳細には、リーダ11は、
図1に示す掘削姿勢と、
図2に示す前傾姿勢とに姿勢変化(起伏)可能に構成されている。また、リーダ11の上端部には、リーダヘッド13が取り付けられている。さらに、リーダ11は、ケリートップガイド19およびロータリドライブ20を、延設方向に沿って昇降可能に支持する。
【0017】
掘削姿勢は、リーダ11が地面に対して鉛直方向に沿って延設されている姿勢である。また、掘削姿勢は、掘削ツール21を用いて地面を掘削するときのリーダ11の姿勢である。一方、前傾姿勢は、掘削姿勢より前傾(リーダ11の上端が前方に変位)したリーダ11の姿勢である。また、前傾姿勢は、フック22に係止した荷物Mを昇降させるときのリーダ11の姿勢である。なお、掘削姿勢におけるリーダ11の延設方向は、前傾姿勢におけるリーダ11の延設方向(例えば、鉛直方向に対して7°)より鉛直方向に近ければ、厳密に鉛直方向であることに限定されない。
【0018】
フロントフレーム12は、旋回体3に起伏可能に支持されていると共に、リーダ11を起伏可能に支持する。より詳細には、フロントフレーム12は、左右方向に延びるピン23によってリーダ11を起伏可能に支持している。また、リーダ11とフロントフレーム12とは、油圧シリンダ24によって接続されている。そして、油圧シリンダ24が伸長することによってリーダ11が倒伏し、油圧シリンダ24が縮小することによってリーダ11が起立する。
【0019】
リーダヘッド13は、リーダ11の上端(先端)に取り付けられている。リーダヘッド13は、主巻ガイドシーブ14aおよび主巻ポイントシーブ14b(これらを総称して、「主巻シーブ14」と表記することがある。)と、補巻ガイドシーブ15aおよび補巻ポイントシーブ15b(これらを総称して、「補巻シーブ15」と表記することがある。)とを回転可能に支持する。リーダヘッド13の詳細な構成は、
図3~
図5を参照して後述する。
【0020】
主巻ロープ16は、主巻ウインチ6から延出され、主巻ガイドシーブ14aおよび主巻ポイントシーブ14bに巻き掛けられて、主巻ポイントシーブ14bの前端から下方に垂下されている。補巻ロープ17は、補巻ウインチ7から延出され、補巻ガイドシーブ15aおよび補巻ポイントシーブ15bに巻き掛けられて、補巻ポイントシーブ15bの前端から下方に垂下されている。また、主巻ロープ16および補巻ロープ17には、背面ガイドシーブ25によって所定のテンションが付与されている。
【0021】
ケリーバ18は、長尺な管状の部材である。ケリーバ18は、主巻ポイントシーブ14bの前端から垂下された主巻ロープ16の下端に吊下されている。ケリーバ18の上端は、ケリートップガイド19に固定されている。また、ケリーバ18の下端部は、ロータリドライブ20に挿入されている。さらに、ロータリドライブ20を通過したケリーバ18の下端には、掘削ツール21が着脱可能に取り付けられる。
【0022】
ケリートップガイド19は、ロータリドライブ20より上方において、リーダ11に昇降可能に支持されている。また、ケリートップガイド19は、ケリーバ18を回転可能に支持している。なお、「ケリーバ18の回転」とは、ケリーバ18の延設方向に延びる回転軸線回りの回転を指す(以下同じ)。
【0023】
ロータリドライブ20は、ケリートップガイド19より下方において、リーダ11に昇降可能に支持されている。また、ロータリドライブ20は、ケリーバ18を回転可能に支持している。また、ロータリドライブ20は、スラストシリンダ26の伸縮によって昇降する。さらに、ロータリドライブ20は、ケリーバ18を回転駆動する油圧モータ(図示省略)を搭載している。
【0024】
これにより、ケリーバ18は、リーダ11が掘削姿勢のときに、ケリートップガイド19およびロータリドライブ20によって鉛直方向に延設される。そして、主巻ウインチ6で主巻ロープ16を巻き上げると、ケリーバ18が上昇する。また、主巻ウインチ6で主巻ロープ16を巻き下げると、ケリーバ18が下降する。これにより、ケリーバ18の下端に装着された掘削ツール21が昇降する。また、ケリートップガイド19は、ケリーバ18と一体になって昇降する。
【0025】
また、ロータリドライブ20に搭載された油圧モータを駆動させることによって、ケリーバ18と、ケリーバ18に装着された掘削ツール21とが回転する。ロータリドライブ20は、ケリーバ18および掘削ツール21を駆動させるドライブ装置の一例である。
【0026】
掘削ツール21は、ケリーバ18及びロータリドライブ20を介して主巻ロープ16に吊り下げられている。掘削ツール21は、例えば、スラストシリンダ26を伸ばして地面に押圧された状態で回転することによって、地面を掘削するオーガである。但し、掘削ツール21の具体例は地面を掘削する機能を有するものであればオーガに限定されず、ドリリングバケット等でもよい。
【0027】
フック22は、補巻ポイントシーブ15bの前端から垂下された補巻ロープ17の下端に吊り下げられている。フック22は、荷物Mを係止可能に構成されている。そして、補巻ウインチ7で補巻ロープ17を巻き上げると、フック22が上昇する。また、補巻ウインチ7で補巻ロープ17を巻き下げると、フック22が下降する。これにより、フック22に係止された荷物Mが昇降する。なお、フック22には任意の荷物Mを係止することができるが、荷物Mの典型例としては、掘削ツール21で掘削した穴に挿入する鉄筋カゴ等が挙げられる。
【0028】
次に、
図3~
図5を参照して、リーダヘッド13の構造について説明する。
図3は、リーダヘッド13の平面図である。
図4は、リーダヘッド13の左側面図である。
図5は、リーダヘッド13の右側面図である。
【0029】
リーダヘッド13は、リーダ11の上端に取り付けられている。リーダヘッド13は、主巻ガイドシーブ14a、主巻ポイントシーブ14b、補巻ガイドシーブ15a、および補巻ポイントシーブ15bを、左右方向に延びる支軸周りに回転可能に支持する。リーダヘッド13は、ベースプレート30と、主巻シーブ14を回転可能に支持する一対の支持プレート31a、31bと、補巻シーブ15を回転可能に支持する一対の支持プレート32a、32bとを主に備える。但し、リーダヘッド13はシーブ14a、14b、15a、15bを支持することができれば、具体的な構造は以下の例に限定されない。
【0030】
ベースプレート30は、リーダ11に取り付けられると共に、支持プレート31a、31b、32a、32bを支持する板状の部材である。ベースプレート30の下面には、ピン孔(孔部)33、34、35、36が設けられている。ピン孔33、34、35、36は、ベースプレート30の下面において、前後方向および左右方向に離間して配置されている。そして、ピン孔33、34、35、36には、リーダヘッド13をリーダ11に固定するためのピン(上側ピン52、53、下側ピン50、51/
図6(a)参照)が挿入される。すなわち、リーダヘッド13は、前後方向および左右方向に離間した4か所の固定位置において、リーダ11に固定される。下側ピン50、51は本発明の「第1連結部材」に相当し、上側ピン52、53は本発明の「第2連結部材」に相当する。ここで、本発明の第1連結部材および第2連結部材はピンに限定されない。リーダヘッド13とリーダ11とを固定できれば、あらゆる固定手段を用いることができる。
【0031】
なお、ピン孔33~36はそれぞれ一対で設けられており、後述するリーダ11のピン孔40~43が一対のピン孔33~36の間に挟まれるようにしてリーダヘッド13とリーダ11とがピン結合される。
【0032】
さらに、ベースプレート30の下部には、ピン孔33、34より後側(
図4の右側)の位置にピン孔37が設けられており、ピン孔37には回動規制ピン55が挿入されている。そして、詳細は後述するが、回動規制ピン55が、リーダヘッド13のピン孔33、34とリーダ11のピン孔40、41との位置合わせを行うための当て部を兼ねている。
【0033】
一対の支持プレート31a、31bは、左右方向に離間した位置において、ベースプレート30の上面に立設されている。また、一対の支持プレート31a、31bは、上下方向および前後方向において、互いに平行に配置されている。そして、一対の支持プレート31a、31bは、その後端で主巻ガイドシーブ14aを回転可能に支持し、その前端で主巻ポイントシーブ14bを回転自在に支持している。
【0034】
さらに、一対の支持プレート31a、31bは、左側のピン孔33、35と、右側のピン孔34、36との間に配置されている。すなわち、主巻ガイドシーブ14aおよび主巻ポイントシーブ14bは、左右方向において、リーダ11に対するリーダヘッド13の左右の固定位置の間に配置されている。
【0035】
主巻ガイドシーブ14aおよび主巻ポイントシーブ14bは、前後方向に延びる同一直線上に配置されている(
図3参照)。また、主巻ガイドシーブ14aおよび主巻ポイントシーブ14bは、前後方向に所定の距離だけ離間して配置されている(
図3参照)。さらに、主巻ガイドシーブ14aおよび主巻ポイントシーブ14bは、上下方向に所定の距離だけ離間して配置されている(
図4参照)。
【0036】
一対の支持プレート32a、32bは、左右方向に離間した位置において、ベースプレート30の上面に立設されている。また、一対の支持プレート32a、32bは、上下方向および前後方向において、互いに平行に配置されている。そして、一対の支持プレート32a、32bは、その後端で補巻ガイドシーブ15aを回転可能に支持し、その前端で補巻ポイントシーブ15bを回転自在に支持している。
【0037】
さらに、一対の支持プレート32a、32bは、4か所のピン孔34~36のうち、右側のピン孔34、36からさらに右方にオフセットした位置において、ベースプレート30から上方に突出している。すなわち、補巻ガイドシーブ15aおよび補巻ポイントシーブ15bは、左右方向において、リーダ11に対するリーダヘッド13の固定位置から右方向にオフセットして配置されている。
【0038】
但し、一対の支持プレート32a、32bの位置は、リーダ11に対するリーダヘッド13の固定位置から左右方向にオフセットしていれば、
図3の位置に限定されない。すなわち、一対の支持プレート32a、32bは、左側のピン孔33、35よりさらに左方にオフセットして配置されていてもよい。
【0039】
補巻ガイドシーブ15aおよび補巻ポイントシーブ15bは、前後方向に延びる同一直線上に配置されている(
図3参照)。また、補巻ガイドシーブ15aおよび補巻ポイントシーブ15bは、前後方向に所定の距離だけ離間して配置されている(
図3参照)。さらに、補巻ガイドシーブ15aおよび補巻ポイントシーブ15bは、上下方向に所定の距離だけ離間して配置されている(
図5参照)。
【0040】
本実施形態に係るシーブ14a、14b、15a、15bは、直径が同一である。また、主巻ガイドシーブ14aおよび補巻ガイドシーブ15aは、リーダヘッド13を側方から見たときに、互いに重なる位置(すなわち、上下方向および前後方向の同一位置)に配置されている。一方、補巻ポイントシーブ15bは主巻ポイントシーブ14bより前方かつ高い位置に配置されている(
図1参照)。
【0041】
また、リーダヘッド13をロープ80で吊ってリーダ11に取り付けるために、リーダヘッド13には、各種吊環が設けられている。具体的には、リーダヘッド13を起こすための吊環(第2吊り部)61と、リーダヘッド13を吊るための吊環(第1吊り部)63とが設けられている。吊環63は、リーダヘッド13を略水平姿勢で吊って、リーダ11との位置合わせを行い、下側ピン50、51を取り付ける際に用いられる(
図10参照)。
【0042】
一方、吊環61は、後述するようにリーダヘッド13を、下側ピン50、51を中心にして回動させる(引き起こす)際に用いられる(
図11参照)。そのため、吊環61は、リーダヘッド13の重心Gに対して下側ピン50、51と反対側の位置に設けられている。別言すれば、吊環61は、下側ピン50、51を中心とする半径方向において、重心Gより外側に位置している(
図6(b)参照)。これにより、ロープ80を吊環61に掛けてリーダヘッド13を下側ピン50、51を中心にして容易に回動させることができる。
【0043】
また、リーダヘッド13には、後述する架台70に固定するための固定用ラグ(架台取付部)65が設けられている。
【0044】
次に、リーダヘッド13とリーダ11の先端部との取付構造について説明する。
図6(a)は、リーダ11の背面が地面を向くように倒した状態で、リーダヘッド13がリーダ11の先端に取り付けられた状態を示す左側面図であり、
図6(b)は、リーダ11の背面が地面を向くように倒した状態で、リーダヘッド13がリーダ11の先端から背面側に傾けられた状態を示す左側面図である。ここで、リーダの前面側(正面側)とは、リーダ11が旋回体3に取り付けられた状態において、ケリーバ18が位置する側であり、リーダの背面側とは、ケリーバ18が位置するのと反対側である。
【0045】
図6(a)、(b)に示すように、リーダ11の先端部には、リーダヘッド13のピン孔33~36とピン結合するためのピン孔40~43が設けられている。一対のピン孔33の間にピン孔40が挿入され、一対のピン孔33とピン孔40とを貫通するように下側ピン50が挿入される。同様にして、一対のピン孔34とピン孔41とに下側ピン51が挿入され、一対のピン孔35とピン孔42とに上側ピン52が挿入され、一対のピン孔36とピン孔43とに上側ピン53が挿入される。リーダヘッド13は、下側ピン50、51のみが挿入された状態において、下側ピン50、51を支点(回動中心)として回動可能であり、下側ピン50、51および上側ピン52、53が挿入されると、リーダヘッド13がリーダ11の先端部に完全に固定される。なお、
図6(a),(b)における上側および下側とは、リーダ11の背面(
図1における後側の面)が地面と対面するようにリーダ11を倒した状態での上側および下側である。よって、
図1および
図2において、下側ピン50、51はリーダヘッド13の後側に位置し、上側ピン52、53はリーダヘッド13の前側に位置する。
【0046】
リーダヘッド13のベースプレート30の下面において、下側ピン50、51に対して上側ピン52、53と反対側の所定の位置(下側ピン50、51よりも後方の位置)には、リーダヘッド13の回動を規制するための回動規制ピン(後傾姿勢保持用ピン)55が設けられている。具体的には、ベースプレート30に設けられたピン孔37に回動規制ピン55が挿入されている(
図4、5参照)。一方、リーダ11の先端部には、この回動規制ピン55を受けるピン受け部(後傾姿勢保持用ピン受け部)45が設けられている。なお、回動規制ピン55とピン受け部45とは本発明の「回動規制機構」に相当する。ここで、本実施形態において、回動規制ピン55はリーダヘッド13に設けられ、ピン受け部45はリーダ11の先端部に設けられているが、これらは逆であっても良い。すなわち、回動規制ピン55がリーダ11の先端部に設けられ、ピン受け部45がリーダヘッド13に設けられても良い。
【0047】
リーダヘッド13は、下側ピン50、51を中心にして
図6(b)中のA方向(リーダ11の背面側に向かう方向)に回動し、所定の角度θ(例えば50度)になると、回動規制ピン55がピン受け部45と当接する。こうして、リーダヘッド13のA方向の回動が角度θを超えないように回動範囲が規制され、リーダヘッド13の回動位置が保持される。よって、回動規制ピン55とピン受け部45とは、リーダヘッド13を所定の回動位置に保持する保持機構と言うこともできる。つまり、リーダヘッド13のリーダ背面側への回動を所定の回動位置で規制する回動規制機構とは、所定の回動位置で保持する保持機構であるとも言うことができる。なお、回動規制ピン55はピン受け部45と当接しているだけなので、リーダヘッド13は下側ピン50、51を中心として図中のB方向(リーダヘッド13が吊り上げられる方向/リーダ11の前面側に向かう方向)への回動は許容されている。なお、リーダヘッド13が下側ピン50、51を中心にしてリーダ11の背面側に向かう方向に回動するとは、リーダヘッド13に取り付けられた主巻ガイドシーブ14aが下側ピン50、51を中心にしてリーダ11の背面(後面)に近づく方向に回動することと同義である。また、リーダヘッド13が下側ピン50、51を中心にしてリーダ11の前面側に向かう方向に回動するとは、リーダヘッド13に取り付けられた主巻ポイントシーブ14bがリーダ11の前面に近づく方向に回動することと同義である。
【0048】
また、ピン受け部45には、リーダ11の背面側(
図6(a)、(b)では下方)に延びて、リーダヘッド13とリーダ11との位置合わせを行うためのガイド部46が設けられている。このガイド部46は、リーダヘッド13のピン孔33、34とリーダ11のピン孔40、41との位置合わせのために用いられ、位置合わせの際の目印になるものである。具体的には、回動規制ピン55がガイド部46と当接することで、ピン孔33、34とピン孔40、41の位置を容易に合わすことができるように構成されている。
【0049】
ここで、リーダヘッド13が吊環63によって吊られた姿勢(
図6(b)の状態)において、リーダヘッド13のピン孔33、34とリーダ11のピン孔40、41との位置合わせが完了した際に、リーダヘッド13の回動規制ピン55がガイド部46に接触しない構造となっている。別言すれば、ガイド部46とリーダヘッド13の回動規制ピン55とは、位置合わせの際に僅かに隙間が形成される構成となっている。これは、下側ピン50、51をピン孔33、34とピン孔40、41とに挿入する際にガイド部46と回動規制ピン55とが当接していると、下側ピン50、51を挿入し難くなるからである。一方で、ガイド部46に回動規制ピン55を当接させるだけで、ピン孔33、34とピン孔40、41との位置が概ね一致すれば、両者の位置合わせが簡単となり、下側ピン50、51の挿入作業がやり易すくなる。そのため、上記の通り、位置合わせが完了した際に、ガイド部46と回動規制ピン55との間に僅かの隙間が形成される構成としている。
【0050】
次に、リーダヘッド13を載置する架台70について説明する。リーダヘッド13をリーダ11の先端部に取り付ける際、リーダヘッド13を所定の姿勢に保持するために架台70が用いられる。
図7は架台70の斜視図、
図8は架台70にリーダヘッド13が載置された状態を示す右側面図である。
【0051】
架台70は、
図7、8に示すように、例えば溝形鋼などから成る支持部材71、72、73を適宜組み合わせた構造体から成り、上部にリーダヘッド13を載置するための4つの着座部74と、リーダヘッド13を固定するための固定用ラグ75とを有して構成されている。リーダヘッド13を着座部74に載置して、リーダヘッド13の固定用ラグ65と架台70の固定用ラグ75とをピン77及び抜け止めピンで固定すれば、リーダヘッド13は架台70に所定の姿勢で保持される。
【0052】
(ワイヤリング作業について)
次に、リーダヘッド13の主巻シーブ14および補巻シーブ15にロープ16、17を巻き掛けるワイヤリング作業の手順について説明する。
図9~
図12はワイヤリング作業の手順を示す説明図である。なお、以下の説明は、リーダ11が上下に2分割されている場合の手順である。
【0053】
作業者は、フロントフレーム12や下部側のリーダ11を含むサブフレーム組立品100をロープ(80)で吊って、アースドリル機1の本体に取り付ける(
図9)。
【0054】
次に、作業者は、地上でリーダ11の先端部にリーダヘッド13を取り付ける。まず、作業者は、予め架台70に載置されたリーダヘッド13をロープ80で吊って、リーダ11の先端付近まで移動させ(
図10(a))、リーダヘッド13をリーダ11の先端付近に置く(
図10(b))。次いで、作業者は、リーダヘッド13をロープ80で吊った状態でリーダヘッド13を架台70から外し、リーダヘッド13の回動規制ピン55をリーダ11のガイド部46を目印にして徐々に近づける。そして、回動規制ピン55をガイド部46に当接させて、ピン孔33とピン孔40の位置を合わせる(ピン孔34とピン孔41も同様)。そして、作業者は、ピン孔33、40に下側ピン50を挿入し、ピン孔34、41に下側ピン51を挿入したら、ロープ80を巻下げ、リーダヘッド13をA方向に回動させ、回動規制ピン55をピン受け部45に当接させる(
図10(c))。
【0055】
この状態で作業者はワイヤリング作業を行う(
図11)。具体的には、主巻ロープ16及び補巻ロープ17を主巻シーブ14及び補巻シーブ15にそれぞれ巻き掛ける。この際、リーダヘッド13は回動規制ピン55によって回動が規制されているため、主巻ポイントシーブ14bは、高さHaの位置に保持されている。この高さHaは、リーダヘッド13をリーダ11に取り付けた状態(
図6(a)参照)と比べて高さHだけ低くなっている(
図6(b)参照)。これにより、作業者はワイヤリング作業を低い位置(高さHaの位置)で安全に、かつ、効率良く行うことができる。同様に、補巻ポイントシーブ15bの高さも、リーダヘッド13をリーダ11に取り付けた状態よりも低い高さの位置に保持されている。
【0056】
その後、作業者は、リーダヘッド13の吊環61にロープ80を掛けて吊り上げる(
図11)。吊環61は、リーダヘッド13の重心Gより外側に位置しているため、リーダヘッド13を吊り上げると、リーダヘッド13は下側ピン50、51を中心にしてB方向に容易に回動する。そして、作業者は、上側ピン52をピン孔35、42に挿入し、上側ピン53をピン孔36、43に挿入する(
図12)。こうして、リーダヘッド13がリーダ11の先端部に固定される。なお、リーダヘッド13はA方向への回動は回動規制ピン55により規制されているが、B方向への回動は許容されているため、リーダヘッド13をB方向に引き起こす際に、特に回動規制ピン55を取り外す必要はない。
【0057】
リーダヘッド13回りのワイヤリング作業が完了し、リーダヘッド13をリーダ11に固定できたら、作業者は、リーダ11をロープ80で吊ってアースドリル機1の本体に固定する。具体的には、作業者は、リーダヘッド13が取り付けられたリーダ11の上部とサブフレーム組立品100とを連結する(
図12)。その後、主巻ロープ16及び補巻ロープ17を適宜接続して、ワイヤリング作業が完了する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、リーダヘッド13の回動規制ピン55とリーダ11のピン受け部45とによって下側ピン50、51を中心とするA方向の回動が規制されているため、リーダ11を地面に倒伏させたときに、リーダヘッド13の主巻ポイントシーブ14b及び補巻ポイントシーブ15bの高さ位置を低くできる。これにより、作業者はワイヤリング作業を高所で行わなくて済み、安全性と作業効率が向上する。しかも、リーダヘッド13の下側ピン50、51を中心とするB方向の回動は許容されているため、ワイヤリング作業後にリーダヘッド13を引き起こす際にも、仮固定用のピンを取り外すなどの特段の注意は不要である。
【0059】
また、下側ピン50、51をピン孔33、34、40、41に挿入する際には、作業者は、リーダヘッド13の吊環63をロープ80で吊って、回動規制ピン55をガイド部46に当接させるだけで、ピン孔33、34とピン孔40,41とを容易に位置合わせできる。そのため、下側ピン50,51の挿入作業が簡単である。
【0060】
また、リーダヘッド13には、架台70に固定するための固定用ラグ65が設けられているため、リーダヘッド13を架台70に容易に固定できる。
【0061】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 アースドリル機
2 走行体(本体)
3 旋回体(本体)
4 キャブ
5 カウンタウェイト
6 主巻ウインチ
7 補巻ウインチ
10 フロントアタッチメント
11 リーダ
12 フロントフレーム
13 リーダヘッド
14 主巻シーブ
14a 主巻ガイドシーブ
14b 主巻ポイントシーブ
15 補巻シーブ
15a 補巻ガイドシーブ
15b 補巻ポイントシーブ
16 主巻ロープ
17 補巻ロープ
18 ケリーバ
19 ケリートップガイド
20 ロータリドライブ
21 掘削ツール
22 フック
23 ピン
24 油圧シリンダ
25 背面ガイドシーブ
26 スラストシリンダ
30 ベースプレート
31a,31b,32a,32b 支持プレート
33,34,35,36,37 ピン孔(孔部)
40,41,42,43 ピン孔(孔部)
45 ピン受け部(後傾姿勢保持用ピン受け部/回動規制機構)
46 ガイド部
50,51 下側ピン(第1連結部材)
52,53 上側ピン(第2連結部材)
55 回動規制ピン(後傾姿勢保持用ピン/回動規制機構)
61 吊環(第2吊り部)
63 吊環(第1吊り部)
65 固定用ラグ(架台取付部)
70 架台
71,72,73 支持部材
74 着座部
75 固定用ラグ
77 ピン