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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】田植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A01C11/02 350H
A01C11/02 350Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021062828
(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公開番号】P2022158130
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】目野 鷹博
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165719(JP,A)
【文献】特開2019-076116(JP,A)
【文献】特開2019-092411(JP,A)
【文献】特開2019-047786(JP,A)
【文献】特開2020-103162(JP,A)
【文献】特開2020-110107(JP,A)
【文献】特開2019-109132(JP,A)
【文献】特開2012-039920(JP,A)
【文献】特開2020-199939(JP,A)
【文献】特開2020-000044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右両側に立設された下端側部、及び、前記左右両側の下端側部の上部に横架された上端側部を有する予備苗支持フレームと、
前記左右両側の下端側部に回動可能な態様で支持される予備苗載せ台と、
前記上端側部と前記下端側部とに振り分けて支持される複数の電装品と、
前記複数の電装品それぞれに接続されるハーネスと、が備えられ
前記上端側部は、前記下端側部に連結固定されており、
前記予備苗載せ台の左右端より前記機体の幅方向に離間した状態で前記機体から前記上端側部に向けて立設されて、前記複数の電装品それぞれに接続されるハーネスが沿わせて配設された支柱部が備えられている田植機。
【請求項2】
前記予備苗支持フレームの下端が、前記機体の下方に回り込み、前記支柱部が、前記予備苗支持フレームの前記機体の下方に位置する部分に支持され、
前記支柱部の上端が前記電装品の近傍に至る請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記支柱部が、前記電装品を挟んでならぶ2本の支柱を有する請求項1または2に記載の田植機。
【請求項4】
前記支柱部が、上部が二股に分かれる構成である請求項1または2に記載の田植機。
【請求項5】
運転者が搭乗する運転部と、
前記運転部よりも前側に設けられ、各種の情報を表示する情報端末が支持される支持アームとを備え、
前記支柱部が前記支持アームに支持される請求項1から4のいずれか一項に記載の田植機。
【請求項6】
前記支柱部が中空部を有し、前記ハーネスが前記支柱部の前記中空部に挿通される請求項1から5のいずれか一項に記載の田植機。
【請求項7】
前記支柱部は、前記中空部に至る複数の開口部を有し、
前記電装品と前記ハーネスとが複数の接続コネクタで接続され、
それぞれの前記接続コネクタは複数の前記ハーネスと接続され、
前記接続コネクタのそれぞれの出力ハーネスが、互いに異なる前記開口部から前記支柱部の前記中空部に挿通される請求項6に記載の田植機。
【請求項8】
前記ハーネスは、前記電装品と、前記電装品を制御する制御部または電源と接続され、
前記制御部は、前記予備苗支持フレーム上に支持され、
前記支柱部に配設される前記ハーネスは前記電源と接続される請求項1から7のいずれか一項に記載の田植機。
【請求項9】
前記電装品と前記制御部とは無線通信によって接続され、
前記電装品と前記電源は前記ハーネスによって接続される請求項8に記載の田植機。
【請求項10】
前記複数の電装品のうち、前記上端側部に支持される電装品は、機体の位置情報を取得する測位ユニット、および、外部から機体を操作するリモコンの受信装置のうちの少なくとも1つを含み、
前記複数の電装品のうち、前記下端側部に支持される電装品は、情報を表示する積層灯である請求項1から9のいずれか一項に記載の田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装品が搭載される田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、田植機は、自立走行可能なものがある。このような田植機は、自機位置を検出するために自機位置検出モジュール(測位ユニット)を備える。
自機位置検出モジュールは、予備苗台(予備苗載せ台)を支持する予備苗フレーム(予備苗支持フレーム)上に配置され、自機位置検出モジュールと機体に設けられる制御ECUとを接続するハーネスは、予備苗フレームに沿って配設される。
【0003】
特許文献2に開示されるように、田植機には、補給用の苗を搭載する予備苗載せ台が回動するものがある。このような予備苗載せ台には、予備苗支持フレームに沿って回動するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-99250号公報
【文献】特開2015-159777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、予備苗載せ台が予備苗支持フレームに沿って回動する田植機の予備苗支持フレーム上に測位ユニット等の電装品が配置される場合、予備苗支持フレームに沿ってハーネスが配設されると、予備苗載せ台の回動に伴って予備苗載せ台とハーネスとが接触し、ハーネスが破損・破断する場合がある。
【0006】
ハーネスの本数が少ない場合には、ハーネスを予備苗支持フレームの内部に配設することにより、予備苗載せ台とハーネスとの接触を回避することも可能であるが、ハーネスの本数が多くなると、ハーネスを予備苗支持フレームの内部に配設することができない。
【0007】
本発明は、回動する予備苗載せ台を支持する予備苗支持フレーム上に電装品が配置される場合であっても、ハーネスの破損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る田植機は、機体の左右両側に立設された下端側部、及び、前記左右両側の下端側部の上部に横架された上端側部を有する予備苗支持フレームと、前記左右両側の下端側部に回動可能な態様で支持される予備苗載せ台と、前記上端側部と前記下端側部とに振り分けて支持される複数の電装品と、前記複数の電装品それぞれに接続されるハーネスと、が備えられ前記上端側部は、前記下端側部に連結固定されており、前記予備苗載せ台の左右端より前記機体の幅方向に離間した状態で前記機体から前記上端側部に向けて立設されて、前記複数の電装品それぞれに接続されるハーネスが沿わせて配設された支柱部が備えられている
【0009】
電装品はハーネスを備え、ハーネスは機体に設けられる制御部や電源等と接続される。
ハーネスは、予備苗支持フレームに沿って配設することもできるが、予備苗載せ台が予備苗支持フレームに沿って回動する場合、予備苗載せ台の回動に伴って、予備苗載せ台とハーネスとが接触し、ハーネスが破損・破断するおそれがある。
【0010】
上記構成によると、予備苗支持フレームとは別に支柱部が設けられ、ハーネスが支柱部に配設されるため、予備苗載せ台とハーネスとが接触することが抑制され、ハーネスが破損することが抑制される。
【0011】
また、前記予備苗支持フレームの下端が、前記機体の下方に回り込み、前記支柱部が、前記予備苗支持フレームの前記機体の下方に位置する部分に支持され、前記支柱部の上端が前記電装品の近傍に至っても良い。
【0012】
このような構成により、支柱部を容易に支持し、電装品から支柱部に効率的にハーネスをつなげるようにガイドすることができる。
【0013】
また、前記支柱部が、前記電装品を挟んでならぶ2本の支柱を有しても良い。
【0014】
電装品が機体左右に渡って配置された場合や、ハーネスの本数が多い場合、一本の支柱部にハーネスが配設されると、配線が複雑になり、適切にハーネスを支柱部に配設することが困難となる。上記のような構成により、このような場合でも、効率的にハーネスを支柱部に配設するようガイドすることができる。
【0015】
また、前記支柱部が、上部が二股に分かれる構成であっても良い。
【0016】
このような構成により、支柱部が機体に支持される部分を最小限にとどめながら、電装品のハーネスの本数が多い場合や、複数の電装品が離間して配置される場合でも、効率的にハーネスを支柱部に配設するようガイドすることができる。
【0017】
また、運転者が搭乗する運転部と、前記運転部よりも前側に設けられ、各種の情報を表示する情報端末が支持される支持アームとを備え、前記支柱部が前記支持アームに支持されても良い。
【0018】
支持アームは、機体の比較的高い位置に設けられる。上記構成により、支持アームから電装品までの距離が短くなり、支柱部の長さを短くすることができる。そのため、支柱部の支持が容易となると共に、支柱部の大きさを最小限にとどめることができ、支柱部の強度を確保しやすくなる。
【0019】
また、前記支柱部が中空部を有し、前記ハーネスが前記支柱部の前記中空部に挿通されても良い。
【0020】
このような構成により、ハーネスを保護することが容易となり、より効率的にハーネスが破損することを抑制することができる。
【0021】
また、前記支柱部は、前記中空部に至る複数の開口部を有し、前記電装品と前記ハーネスとが複数の接続コネクタで接続され、それぞれの前記接続コネクタは複数の前記ハーネスと接続され、前記接続コネクタのそれぞれの出力ハーネスが、互いに異なる前記開口部から前記支柱部の前記中空部に挿通されても良い。
【0022】
このような構成により、支柱部に挿通されるハーネスの本数を減らすと共に、ハーネスが支柱部に挿入される入り口となる開口部を振り分けてハーネスを挿入することができるため、容易にハーネスを支柱部に挿通させることができる。
【0023】
また、前記ハーネスは、前記電装品と、前記電装品を制御する制御部または電源と接続され、前記制御部は、前記予備苗支持フレーム上に支持され、前記支柱部に配設される前記ハーネスは前記電源と接続されても良い。
【0024】
このような構成により、電装品はハーネスを介して、制御部との信号の送受信を行い、電源の供給を受けることができる。
【0025】
また、電装品と制御部とを接続するハーネスを支柱部に配設する必要がなくなり、支柱部に配設されるハーネスの数を削減できるため、より効率的にハーネスを支柱部に配設するようガイドすることができる。
【0026】
また、前記電装品と前記制御部とは無線通信によって接続され、前記電装品と前記電源は前記ハーネスによって接続されても良い。
【0027】
このような構成によっても、電装品と制御部とを接続するハーネスを支柱部に配設する必要がなくなり、支柱部に配設されるハーネスの数を削減できるため、より効率的にハーネスを支柱部に配設するようガイドすることができる。
【0028】
また、前記複数の電装品のうち、前記上端側部に支持される電装品は、機体の位置情報を取得する測位ユニット、および、外部から機体を操作するリモコンの受信装置のうちの少なくとも1つを含み、前記複数の電装品のうち、前記下端側部に支持される電装品は、情報を表示する積層灯であっても良い。
【0029】
測位ユニットや受信装置は、外部からの電波を送受信するため、機体の高い位置に設ける必要があり、予備苗支持フレームに支持されることが多い。また、積層灯も機体の外部に情報を伝える必要があり、できるだけ機体の高い位置に設けられることが好ましく、予備苗支持フレームに支持されることが多い。そのため、これらのハーネスを支柱部に配設することにより、ハーネスの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】自動走行可能な田植機の左側面図である。
図2】自動走行可能な田植機の平面図である。
図3】自動走行可能な田植機の正面図である。
図4】ハーネスの配設構成を例示する図である。
図5】別実施形態における支柱部の構成を示す概略図である。
図6】別実施形態における支柱部の構成を示す概略図である。
図7】別実施形態における支柱部の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の田植機について説明する。ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(図1に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(図1に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)、すなわち、「左」(図2に示す矢印Lの方向)および「右」(図2に示す矢印Rの方向)は、それぞれ、機体左方向および機体右方向を意味するものとする。また、上下方向は、機体前後方向に直交する機体縦断方向(鉛直方向)、すなわち、「上」(図1に示す矢印Uの方向)および「下」(図1に示す矢印Dの方向)は、それぞれ、機体上方向および機体下方向を意味するものとする。
【0032】
〔全体構造〕
図1図3に示すように、田植機は、乗用型で四輪駆動形式の機体1を備える。機体1は、機体1の後部に昇降揺動可能に連結された平行四連リンク形式のリンク機構13、リンク機構13を揺動駆動する油圧式の昇降リンク13a、リンク機構13の後端部領域にローリング可能に連結される苗植付装置3、および、機体1の後端部領域から苗植付装置3にわたって架設されている施肥装置4等を備える。
【0033】
機体1は、走行のための機構として車輪12、エンジン2(駆動源)、および主変速装置である油圧式の無段変速装置9を備える。無段変速装置9は、例えばHST(Hydro-Static Transmission:静油圧式無段変速装置)であり、モータ斜板およびポンプ斜板の角度を調節することにより、エンジン2から出力される動力(回転数)を変速する。車輪12は、操舵可能な左右の前輪12Aと、操舵不能な左右の後輪12Bとを有する。エンジン2および無段変速装置9は、機体1の前部に搭載される。
【0034】
苗植付装置3は、一例として8条植え形式に構成される。苗植付装置3は、苗載せ台21、8条分の植付機構22等を備える。なお、この苗植付装置3は、図示されていない各条クラッチの制御により、2条植え、4条植え、6条植え等の形式に変更可能である。
【0035】
苗載せ台21は、8条分のマット状苗を載置する台座である。苗載せ台21は、マット状苗の左右幅に対応する一定ストロークで左右方向に往復移動し、苗載せ台21が左右のストローク端に達するごとに、苗載せ台21上の各マット状苗を苗載せ台21の下端に向けて所定ピッチで縦送りする。8個の植付機構22は、ロータリ式で、植え付け条間に対応する一定間隔で左右方向に配置される。そして、各植付機構22は、植付クラッチ(図示せず)が伝動状態に移行されることによりエンジン2から動力が伝達され、苗載せ台21に載置された各マット状苗の下端から一株分の苗(植付苗とも称す)を切り取って、整地後の泥土部に植え付ける。これにより、苗植付装置3の作動状態では、苗載せ台21に載置されたマット状苗から苗を取り出して水田の泥土部に植え付けることができる。
【0036】
施肥装置4(供給装置)は、粒状または粉状の肥料(薬剤やその他の農用資材)を貯留するホッパ25(貯留部)と、ホッパ25から肥料を繰り出す繰出機構26と、繰出機構26によって繰出された肥料を搬送すると共に肥料を圃場に排出する施肥ホース28(ホース)とを有する。ホッパ25に貯留された肥料が、繰出機構26によって所定量ずつ繰り出されて施肥ホース28へ送られて、ブロワ27の搬送風によって施肥ホース28内を搬送され、作溝器29から圃場へ排出される。このように、施肥装置4は圃場に肥料を供給する。
【0037】
作溝器29は、整地フロート15に配備される。そして、各作溝器29は、各整地フロート15と共に昇降し、各整地フロート15が接地する作業走行時に、水田の泥土部に施肥溝を形成して肥料を施肥溝内に案内する。
【0038】
図1図3に示すように、機体1は、その後部側領域に運転部14を備える。運転部14は、前輪操舵用のステアリングホイール10、無段変速装置9の変速操作を行うことで車速を調節する主変速レバー7A、副変速装置の変速操作を可能にする副変速レバー7B、苗植付装置3の昇降操作と作動状態の切り換え等を可能にする作業操作レバー11、各種の情報を表示(報知)してオペレータに報知(出力)すると共に、各種の情報の入力を受け付けるタッチパネルを有する情報端末5、および、オペレータ(運転者・作業者)用の運転座席16等を備える。運転部14において、エンジン2を覆うボンネット6の後方箇所に、施肥装置4よりも左右幅の狭い搭乗ステップ14Aが設けられる。また、ボンネット6の左右の横外側には、機体1の前端部からの乗降を可能にする乗降ステップ14Bが、搭乗ステップ14Aと同じ高さで搭乗ステップ14Aに連なる状態で設けられる。
【0039】
副変速レバー7Bは、走行車速を、作業中の作業速と移動中の移動速とに切り替える操作に用いられる。例えば、圃場間の移動は移動速で行われ、植付作業等は作業速で行われる。運転座席16より前側で、ボンネット6より後側の領域に、支持アーム5Aが設けられ、情報端末5は支持アーム5Aに支持される。支持アーム5Aは、運転部14のフロントパネル19の上方を跨ぐように、フロントパネル19の左右の2か所に支持される。
【0040】
さらに、運転部14の前方に、予備苗を収容する予備苗収納装置18が予備苗支持フレーム17に支持される。予備苗支持フレーム17は、機体1の左右両側に設けられる下端側部17aと、左右の下端側部17aの上部に横架された上端側部17bとを有する。予備苗収納装置18は、それぞれの予備苗支持フレーム17の下端側部17aに支持される。それぞれの下端側部17aは、機体1に支持され、下端部は機体1の下方に回り込む。
【0041】
予備苗収納装置18は、予備苗支持フレーム17に対して、水平方向に回動可能な構成である。予備苗収納装置18は、予備苗載せ台18Aと、筒状部材18Bと、ハンドル18Cとを有する。筒状部材18Bは、予備苗支持フレーム17の一部を覆う状態で支持され、予備苗支持フレーム17の中心軸を軸芯として回動可能な構成である。予備苗載せ台18Aおよびハンドル18Cは筒状部材18Bに支持される。ハンドル18Cを操作することにより、筒状部材18Bが予備苗支持フレーム17を中心に回動し、筒状部材18Bの回動に伴って、予備苗載せ台18Aが予備苗支持フレーム17を中心に回動する。このように、予備苗載せ台18Aが水平方向に回動することにより、予備苗載せ台18Aの向きを調整することにより、予備苗の補給等の作業を効率良く行うことが可能となる。
【0042】
また、予備苗支持フレーム17の上端側部17b上には、各種の電装品が設けられる。
電装品は、例えば、測位ユニット8である。測位ユニット8は、機体1の位置(位置情報)および方位を算出するための測位データを出力する。測位ユニット8には、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星からの電波を受信する衛星測位モジュール8Aと、機体1の三軸の傾きや加速度を検出する慣性計測モジュール8Bが含まれる。測位ユニット8は、ハーネス31を介して測位データを制御ECU20に送信する。
【0043】
電装品として、他にも受信装置23や積層灯24が予備苗支持フレーム17に設けられても良い。受信装置23は、リモコンからの無線指令信号を受信し、受信した無線指令信号を電気信号に変換してハーネス31を介して制御ECU20に送信する。積層灯24は、各種の情報を機体1の外部に表示する。積層灯24は、ハーネス31を介して、制御ECU20から制御信号を受信する。
【0044】
また、ハーネス31は、機体1に設けられる電源(図示せず)と電装品との接続にも用いられ、電装品に電源から電力が供給される。
【0045】
〔支柱部〕
以下、図1図4を用いて、支柱部30およびハーネス31の構成について説明する。
【0046】
電装品から伸びるハーネス31は、予備苗支持フレーム17に沿って配設されても良いが、予備苗載せ台18Aが予備苗支持フレーム17の周りを回動する構成の場合、予備苗載せ台18Aの回動に伴って、予備苗載せ台18Aや筒状部材18Bとハーネス31とが接触し、ハーネス31が破損・破断する場合がある。そのため、予備苗支持フレーム17とは別に、ハーネス31が配設される支柱部30が設けられる。
【0047】
支柱部30は、予備苗支持フレーム17の下端側部17aの機体1の下方部分に立設される。具体的には、支柱部30は、2本の支柱30Aからなり、支柱30Aは、予備苗支持フレーム17の予備苗収納装置18が支持される領域より機体1の内側で、ボンネット6の両横外側に設けられる。つまり、支柱部30は、予備苗載せ台18Aの横方向における左右端より左右方向(機体1の幅方向)に離間した状態で機体1に立設される。それぞれの支柱30Aは、下端部が機体1より下側における予備苗支持フレーム17の下端側部17aに支持され、上端部が電装品の近傍に至るように配置される。例えば、それぞれの支柱30Aは、下部領域が予備苗支持フレーム17の下端側部17aの支持部から鉛直方向に伸び、機体1の内方で、かつ、後方に向かって途中の箇所で折れ曲がる。このように折れ曲がることにより、予備苗支持フレーム17の上端側部17b上に横並びで配置された測位ユニット8および受信装置23に近接する位置に、それぞれの支柱30Aの上端部が位置するように配置することができる。例えば、2つの支柱30Aの上端部は、測位ユニット8を挟む位置に設けられる。
【0048】
測位ユニット8や受信装置23から伸びるハーネス31は、支柱部30に沿って配設され、機体1に設けられる制御ECU20や電源(図示せず)等に接続される。この時、ハーネス31は、図3に示すように支柱部30の前側面に配設されても良いが、後側面や横側面に配設されても良い。
【0049】
また、積層灯24は、予備苗支持フレーム17の下端側部17aのうち、予備苗収納装置18の上方に設けられる場合がある。積層灯24のハーネス31は、直接支柱部30につなげても良いが、下端側部17aおよび上端側部17bを介して支柱部30につなげられても良い。
【0050】
また、支柱部30の各支柱30Aに中空部33を設け、中空部33内にハーネス31が挿通されても良い。この場合、支柱部30は、側面に、中空部33に至る開口部35を有し、ハーネス31は、開口部35から支柱部30の中空部33に挿入され、中空部33の内部を通る態様で配設される。
【0051】
このように、電装品のハーネス31が、予備苗支持フレーム17に沿って配設されずに、別途設けられた支柱部30に沿って配設、あるいは、支柱部30の内部に挿通される(以下、いずれの状態も「支柱部30に沿って配設」と称す場合がある)ことにより、予備苗載せ台18Aが回動したとしても、ハーネス31が損傷することを抑制することができる。
【0052】
特に、ハーネス31が支柱部30の内部に挿通されることにより、ハーネス31が保護され、予備苗載せ台18Aの回動以外の外的要因によるハーネス31の損傷を抑制することができる。
【0053】
なお、ハーネス31を支柱部30の内部に挿通させる場合、ハーネス31の数が多いと支柱部30の内部に挿通させることが困難である。そのため、複数のハーネス31を1つの接続コネクタに接続し、接続コネクタから出力する出力ハーネス40を支柱部30に沿って配設、または支柱部30の内部に挿通させることが好ましい。
【0054】
具体的には、接続コネクタ37および接続コネクタ38が用いられる。接続コネクタ37は、電装品のハーネス31のうち、複数のハーネス31と接続され、それぞれのハーネス31に対応する端子を備える。接続コネクタ38は、接続コネクタ37の端子に対応する端子を備え、これらの端子に対応する配線が束ねられた1つの出力ハーネス40を備える。それぞれの端子が接続されるように、接続コネクタ37と接続コネクタ38とが接続されることにより、接続コネクタ37に接続されたハーネス31に出力ハーネス40を対応させることができる。接続コネクタ37および接続コネクタ38を複数用いることにより、非常に多数のハーネス31を、数本の出力ハーネス40に変換することができる。
【0055】
このように、接続コネクタ37,38を用いて、支柱部30の内部に挿通させるハーネス31の数を減らすことにより、容易に出力ハーネス40を支柱部30の内部に挿通させることができる。なお、ハーネス31を支柱部30に沿って配設する際にも、接続コネクタ37,38を用いてハーネス31の数を減らし、接続コネクタ38の出力ハーネス40が支柱部30に沿って配設されても良い。これにより、容易にハーネス31を支柱部30に沿って配設するようガイドすることができる。
【0056】
また、この際、支柱部30に複数の開口部35を設け、複数の出力ハーネス40を複数の開口部35に振り分けて、それぞれの開口部35から出力ハーネス40を支柱部30の内部に挿通させることが好ましい。また、複数の開口部35は、それぞれ支柱30Aの周方向における位置を異ならせることが好ましい。
【0057】
1つの開口部35から複数の出力ハーネス40を挿入し、支柱部30の内部に挿通させることが困難となる場合もあるが、上記構成により、それぞれの出力ハーネス40を、父のずれた開口部35から挿入することができ、既に挿入されている出力ハーネス40が別の出力ハーネス40の挿入の妨げとなることを抑制し、出力ハーネス40を開口部35から支柱部30の内部に挿通することが容易となる。
【0058】
なお、この際、複数の開口部35のそれぞれの高さ位置(支柱30Aの上端からの距離)を異ならせることが好ましい。これにより、それぞれの開口部35から支柱部30の内部に出力ハーネス40が挿入される高さ位置が異なり、既に挿入されている出力ハーネス40を回避しながら別の出力ハーネス40を挿入することがより容易となる。
【0059】
〔別実施形態〕
(1)支柱部30は2本の支柱30Aから構成される構成に限らず、3以上の支柱30Aを有しても良い。
【0060】
これにより、複数の電装品が離れて配置されている場合や、電装品が多くのハーネス31と接続している場合であっても、容易にハーネス31を支柱部30に沿って配設させることができる。
【0061】
(2)支柱部30は、予備苗支持フレーム17に支持されても良いが、機体フレーム1E等、機体1の任意の位置に支持されても良い。
【0062】
これにより、支柱部30の配置自由度が向上し、容易かつ適切に支柱部30を設けることができる。
【0063】
(3)支柱部30は、複数本の支柱30Aからなる構成に限らず、図5に示すように、1本の支柱30Aからなる構成としても良い。これにより、支柱部30の配置自由度が向上する。
【0064】
この際、支柱部30は、予備苗支持フレーム17の下端側部17aに支持されても良いし、機体フレーム1E等の機体1の任意の位置に支持されても良い。
【0065】
支柱部30の太さは、ハーネス31または出力ハーネス40を配設させる数に応じて決定される。
【0066】
(4)また、支柱部30は、図6に示すように、Y字形等、上部領域が複数に分岐される構成であっても良い。具体的には、支柱部30は、機体1に支持される下部領域が1本の支柱30Aからなり、上部領域となる支柱30Bが複数に分岐され、電装品の近傍に至る構成であっても良い。
【0067】
このような構成により、支持構成の自由度を維持しながら、ハーネス31の数が多い場合にも、容易に対応することができる。
【0068】
(5)また、支柱部30は、図7に示すように、情報端末5を支持する支持アーム5Aに支持されても良い。支持アーム5Aは、運転座席16の前方のフロントパネル19より高い高さに設けられ、機体1の比較的高い位置に設けられており、比較的小さな支柱部30で、電装品の近傍に至る支柱部30を構成することができる。
【0069】
(6)電装品を制御する制御部が予備苗支持フレーム17に支持され、支柱部30には、電装品と電源とを接続するハーネス31が配設される構成としても良い。
【0070】
これにより、支柱部30につなげられるハーネス31を縮減でき、より容易に、ハーネス31(出力ハーネス40)を支柱部30に配設するようガイドすることができる。
【0071】
(7)電装品と制御部との接続を無線通信により実現し、支柱部30には、電装品と電源とを接続するハーネス31が配設される構成としても良い。
【0072】
これにより、支柱部30につなげられるハーネス31を縮減でき、より容易に、ハーネス31(出力ハーネス40)を支柱部30に配設、または支柱部30の内部に挿入することができる。
【0073】
(8)測位ユニット8、受信装置23、積層灯24以外の電装品が予備苗支持フレーム17に設けられても良く、これらのうちの少なくとも1つが予備苗支持フレーム17に設けられ、予備苗支持フレーム17に設けられた電装品のハーネス31が支柱部30に沿って配設されれば良い。
【0074】
(9)電装品のハーネス31の接続先は、制御ECU20に限らず、機体1に設けられた任意の制御部であっても良い。また、測位ユニット8、受信装置23、積層灯24等の電装品毎に、それぞれ異なる制御部にハーネス31が接続されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、電装品を備える田植機を始め、種々の作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 機体
5 情報端末
5A 支持アーム
8 測位ユニット(電装品)
14 運転部
17 予備苗支持フレーム
17a 下端側部
17b 上端側部
18A 予備苗載せ台
20 制御ECU(制御部)
23 受信装置(電装品)
24 積層灯(電装品)
30 支柱部
30A 支柱
31 ハーネス
33 中空部
35 開口部
37 接続コネクタ
38 接続コネクタ
40 出力ハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7