(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
F04B49/06 321B
(21)【出願番号】P 2021157785
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小堀 智之
(72)【発明者】
【氏名】岡藤 啓
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112162(JP,A)
【文献】特開2019-132175(JP,A)
【文献】特開2000-027787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04D 15/00
E03B 5/00
E03B 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポンプと、前記ポンプを制御する制御装置を有する給水装置であって、
前記制御装置は、
第1の前記ポンプ
が、始動条件より運転状態となってから停止状態までの第3の時間と、
第1の前記ポンプが、始動条件より運転状態となってから並列要求状態までの第4の時間と、
第1の前記ポンプが、始動条件より運転状態となってから号機切替条件成立により待機状態となるまでの第5の時間とを積算した時間である第1の時間と第2の前記ポンプの運転に関する第2の時間とを計測し、
第1の前記時間と第2の前記時間を比較し、前記ポンプの運転状態を制御する給水装置。
【請求項2】
複数のポンプと、前記ポンプを制御する制御装置を有する給水装置であって、
前記制御装置は、
第1の前記ポンプの運転に関する第1の時間と
第1の前記ポンプが、待機状態となってから並列追従機として第2の前記ポンプと並列状態になるまでの第6の時間と、
第2の前記ポンプが、運転中で待機状態となってから第2の前記ポンプが停止するまでの第7の時間と、
第2の前記ポンプが運転中に、第1の前記ポンプが待機状態でありながら号機切替により運転状態に遷移するまでの第8の時間とを積算した時間である
第2の前記ポンプの運転に関する第2の時間とを計測し、
第1の前記時間と第2の前記時間を比較し、前記ポンプの運転状態を制御する給水装置。
【請求項3】
複数のポンプと、前記ポンプを制御する制御装置を有する給水装置において、
前記制御装置は、
第1の前記ポンプの運転に関する1の時間と第2の前記ポンプの運転に関する第2の時間とを計測し、
第1の前記ポンプと第2の前記ポンプとの並列条件を判定し、
第1の前記時間と第2の前記時間を比較し、前記ポンプの運転状態を制御し並列運転をする場合には、第1の前記ポンプもしくは第2の前記ポンプの運転時間の計測を停止する給水装置。
【請求項4】
請求項1に記載の給水装置において、
前記制御装置は、
号機切替を判定し、
第1の前記ポンプまたは第2の前記ポンプの一方を待機状態に制御をし、第1の前記ポンプまたは第2の前記ポンプの一方の運転時間の計測を停止させ、第1の前記ポンプまたは第2の前記ポンプの他方を運転状態にさせる制御をする給水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の給水装置において、
前記制御装置は、
第1の前記ポンプを制御する第1のポンプ制御装置と、第2の前記ポンプを制御する第2のポンプ制御装置とを有する給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のターボ機械を制御する複数のインバータの上位に設ける外付けの高価な制御装置を不要とし、簡単で小型軽量、低コスト化を実現するために、並列に設けられた2台のターボ機械の夫々に対応したインバータを2台設け、各インバータは、ターボ機械の負荷状態検出値を取り込み自己に接続されたターボ機械を負荷状態検出値に応じて駆動制御するマイコンを内蔵していると共に、信号配線により相互に接続され信号配線を介して各々の運転状態を連絡し合い各インバータの運転可否を決定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、台数制御装置を用いることなく、各インバータを連絡しあうことで運転順序の制御と運転台数の制御することを特徴としており、あらかじめ定められたパターンに則り各ポンプの始動回数が均一となるようにしている。
【0005】
ただし、各ポンプの運転時間はユーザの給水需要傾向に依存するため、ターボ機械の総運転時間が偏ることがある。片方のターボ機械に集中してしまうと摩耗や電気部品の寿命により故障しやすくなるなどの課題があった。
【0006】
本発明の目的は、ポンプの総運転時間が偏らないようにする給水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例としては、複数のポンプと、前記ポンプを制御する制御装置を有する給水装置であって、
前記制御装置は、
第1の前記ポンプが、始動条件より運転状態となってから停止状態までの第3の時間と、
第1の前記ポンプが、始動条件より運転状態となってから並列要求状態までの第4の時間と、
第1の前記ポンプが、始動条件より運転状態となってから号機切替条件成立により待機状態となるまでの第5の時間とを積算した時間である第1の時間と第2の前記ポンプの運転に関する第2の時間とを計測し、
第1の前記時間と第2の前記時間を比較し、前記ポンプの運転状態を制御する給水装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポンプの総運転時間が偏らないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】交互運転をした際の運転サイクルの一例を示す。
【
図8】並列運転をした際の運転サイクルの一例を示す。
【
図9】号機切替をした際の運転サイクルの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1における給水装置の全体構成図の一例である。
【0012】
図1に示す給水装置は、受水槽1、第1の流入管2-1と第2の流入管2-2、第1の流入側仕切弁3-1と第2の流入側仕切弁3-2、第1のポンプ4-1と第2のポンプ4-2、第1のポンプ4-1を駆動する第1のモータ5-1、第2のポンプ4-2を駆動する第2のモータ5-2、第1のモータ5-1の回転周波数などを制御する第1のインバータ6-1、第2のモータ5-2の回転周波数などを制御する第2のインバータ6-2、第1のインバータ6-1と接続する第1のポンプ制御基板9-1、第2のインバータ6-2と接続する第2のポンプ制御基板9-2、給水圧を検出する圧力センサ12、タンク13を備える。
【0013】
第1のポンプ制御装置は、可変速装置である第1のインバータ(INV1)6-1と、第1のインバータ6-1の上位にModbus通信にて第1のポンプ4-1を制御するとともに表示器を有する第1のポンプ制御基板9-1とを有する。
【0014】
第2のポンプ制御装置は、第2のインバータ(INV2)6-2と、第2のインバータ6-2の上位にModbus通信にて第2のポンプ4-2を制御するとともに表示器を有する第2のポンプ制御基板9-2とを有する。
【0015】
第1のポンプ制御装置および第2のポンプ制御装置は、CPU(中央処理装置)などのプロセッサー、メモリなどのハードウエアを備え、プリント基板等で構成される。また、第1のポンプ制御装置および第2のポンプ制御装置は、メモリなどの記録装置に記録されたプログラムを読み出してプロセッサーが、インバータやポンプを制御する処理を実行する。
【0016】
第1のインバータ6-1と第2のインバータ6-2とは、信号線で接続される。第1のインバータ6-1と第2のインバータ6-2は、それぞれの出力端子DO11、DO12から相手側に信号を出力し、それぞれの入力端子DI4、DI5に信号を入力する。これらの信号線でポンプの運転、停止、待機、並列要求等の状態を信号のON/OFFで連絡を行う。
【0017】
圧力センサ12の信号は信号線14を介して、第1のインバータ6-1と第2のインバータ6-2のそれぞれのアナログ信号入力端子Oに入力される。
【0018】
第1のインバータ6-1は、第1のインバータ6-1を制御するインバータマイコン7-1を有する。インバータマイコン7-1と第1のポンプ制御基板マイコン10-1は信号線8-1を介して接続し、Modbus通信を実行する。
【0019】
第2のインバータ6-2は、第2のインバータ6-2を制御するインバータマイコン7-2を有する。インバータマイコン7-2と第2のポンプ制御基板マイコン10-2は信号線8-2を介して接続し、Modbus通信を実行する。
【0020】
第1のポンプ制御装置と第2のポンプ制御装置で実施するポンプの制御は圧力制御を行っており、圧力センサ12からの入力値の変動に応じて、周波数の増減とポンプの台数制御を実施する。
【0021】
第1のポンプ制御基板9-1は、第1のポンプ制御基板マイコン10-1とタイマ11-1とを備える。第2のポンプ制御基板9-2は、第2のポンプ制御基板マイコン10-2とタイマ11-2とを備える。
【0022】
タイマ11-1、タイマ11-2は、自己機が1台で運転する時間(以下、Tr自己機の運転時間)と、自己機が待機状態かつ他号機が運転している時間(以下、Tw相手運転時間)と自己機の運転開始から停止するまでの時間を計測する3種の内部タイマ機能を持つ。
【0023】
図2は、第1のインバータと第2のインバータにおける出力端子DO11とDO12で出力される信号によって表される第1のポンプ制御装置と第2のポンプ制御装置の状態を示す一例である。DO11、DO12はそれぞれ、0または1を信号として出力可能である。以後、DO11が0、DO12が1を出力している場合を(0、1)と表して説明する。
【0024】
(1、1)は並列要求状態を示す。並列要求状態とは、1台で自己機が運転中に給水圧が目標に到達しないときに要求を出す事で2台目を起動させる。または、2台並列で運転中に給水圧が目標に対して高い場合は要求を出す事で自己機が停止し並列解除させ、他号機を1台運転させる。
【0025】
(0、1)は運転状態を示す。運転状態とは待機状態から運転を開始し周波数可変の運転を実施する。
【0026】
(1、0)は待機状態を示す。待機状態は、自己機が停止した状態かつ運転開始の条件となるまで停止した状態である。運転が開始すると(0、1)に遷移する。
【0027】
(0、0)は停止状態を示す。停止状態は(0、1)の状態から運転停止条件を満たす時に出力する。
【0028】
一方で入力端子DI4、DI5は、相手側の制御装置が出力する制御装置の状態を示す信号を受信する。入力端子DI4、DI5が受信する信号は出力端子DO11、DO12で出力する信号と同じ規則であらわされており、DO11が0、DO12が1を受信している場合を(0、1)であらわす。
【0029】
以後の表記では()の4桁の数字で第1のポンプ4-1と第2のポンプ4-2の状態を示し、例として(1001)のとき、第1のポンプ4-1の出力は(1、0)であり、第2のポンプ4-2は出力(0、1)となる。つまり、第1のポンプ4-1は待機状態、第2のポンプ4-2は運転状態を示す。
【0030】
図3は、ポンプ2台で可変速運転した場合の運転特性図であり、横軸に水量、縦軸に全揚程を示す。曲線Aは、ポンプ1台がf0の周波数で運転したQ-H性能曲線を示す。
【0031】
曲線C、Dは、それぞれインバータの周波数をf2、f1の周波数で運転した際のQ-H性能曲線を示す。
【0032】
曲線Bは、インバータの周波数f0でポンプ2台を並列運転したQ-H性能曲線を示しており、1台運転時の曲線Aの全揚程を一定にして水量を2倍に合成している。
【0033】
直線Eは、本実施例である吐出圧一定制御を実施した際の下限の目標圧力(P00)であり、一定となるように周波数制御を行う。
【0034】
次に
図3を使って、可変速ポンプの動作と状態遷移について説明する。説明の便宜上、最初は水が使用されない締切状態で給水圧が高くポンプが2台とも静止した状態で、第1のポンプ4-1が先行して動くよう待機状態である(1000)でスタートする。水が使用されると給水圧が低下し圧力センサで検出した圧力が始動圧力ヘッドPon以下となったときに第1のポンプ4-1を始動させる。このとき状態は(0110)となり、第2のポンプ4-2は追従運転に備え、待機した状態である。使用水量がQminからQ1の間は状態を維持し続け、目標圧力値に従って圧力一定制御を行う。
【0035】
使用水量が増大してQ1を超えると第1のポンプ4-1の周波数がf0となり圧力センサの検出した圧力がPton(並列要求をするかを判定する閾値)未満になるか所定時間で確認し、真であれば、第1のポンプ制御装置は並列要求を(1、1)を出力し、待機状態であった第2のポンプ4-2を起動させ2台で並列運転する。
【0036】
並列運転中は先行して動いた第1のポンプ4-1が可変速で運転し、並列追従で起動した第2のポンプ4-2は周波数fOまで上昇し並列追従の定速運転をする。この状態で表すと(0111)である。
【0037】
ここで2台並列運転の状態から使用水量が減少しQ1未満となると、圧力センサの検出した給水圧力Ptoff以上となっているか所定時間で確認し、真であれば先行した第1のポンプ4-1を停止(減台)させ、第2のポンプ4-2の1台運転となる交互運転をするように第1のポンプ制御装置と第2のポンプ制御装置が制御する。
【0038】
この時、第1のポンプ4-1は次の運転開始に備え待機した状態となるので状態としては(1001)である。更に、使用水量減少して、過小水量Qmin以下になり、所定時間が経過すると第2のポンプ4-2は停止し(0、0)を出力することで、ポンプは全停止となる。再び水の使用があると次に運転開始するポンプは待機状態(1、0)のポンプとなる。
【0039】
もし交互運転中に1台が起動開始から連続して運転を続け、所定の設定時間に達すると号機切替動作により、連続運転したポンプを停止させ、待機中のポンプを起動させる。
【0040】
この号機切替動作によりある程度は運転時間の偏り抑制が可能である。ただし、例えば、1号機は号機切替の時間まで動き、切替後の2号機は5分間運転して停止するというパターンが連続して続くような極端な使われ方をすると運転時間の偏りが大きく生じてしまい問題となる。
【0041】
この運転時間の偏りを解決するため、どのように処理するかについてフローチャートの
図4、
図5、
図6に示す。また、タイムチャートを
図7、
図8、
図9に示す。
【0042】
図4、
図5、および
図6は、自己機(第1のポンプ)を制御する第1のポンプ制御装置の処理フローと、他号機(第2のポンプ)を制御する第2のポンプ制御装置の処理フローを示す図である。
【0043】
自己機と他号機共に待機状態(1010)であるように第1の制御装置および第2の制御装置が信号を出力し、自己機と他号機を制御する(ステップ302)。
【0044】
1号機設定であるかを第1の制御装置が判定する(ステップ303)。電源入れて最初に動くポンプは1号機となる。
【0045】
ステップ303で、YESの場合には、自己機は待機状態を継続し他号機は停止状態(1000)とするように第1の制御装置と第2の制御装置により制御される(ステップ304)。ステップ304の後に
図6のステップ601(C)に続く。
【0046】
ステップ303で、NOの場合には、自己機は停止状態にして他号機は待機状態(0010)とする(ステップ305)。ステップ305の後に
図5のステップ401(A)に続く。
【0047】
次に、
図5を使い、他号機のフローチャートを示す。
図5で、自己機が待機状態かつ他号機が運転している時間(以下、Tw相手運転時間)を示す。
【0048】
自己機の制御装置である第1の制御装置は、他号機の運転状態(0、1)が入力されたかどうかを判定する(ステップ401)。
【0049】
ステップ401でNOの場合には、ステップ401に戻る。ステップ401でYESの場合には、自己機が待機状態(1、0)を出力し、自己機と他号機とが(1001)の状態になるように制御される(ステップ402)。
【0050】
ステップ402の後、もしくは
図6のBの場合には、他号機の運転時間を計測する相手運転タイマを起動するように制御する(ステップ403)。
【0051】
他号機の停止状態(0、0)が、第1の制御装置に入力されたかどうかを判定する(ステップ416)。
【0052】
ステップ416でYESの場合には、自己機の第1の制御装置は待機状態(1、0)を出力(1000)する(ステップ404)。
【0053】
ステップ404の後、第1の制御装置は、他号機である相手運転のタイマを停止させるように制御する(ステップ405)。
【0054】
第1の制御装置は、自己機の運転時間の積算である積算自己機運転時間ΣTrと、自己機が待機状態かつ他号機が運転している時間の積算である積算待機時間ΣTwとを比較し、積算自己機運転時間ΣTr>積算待機時間ΣTwであるかどうかを判定する(ステップ406)。
【0055】
ステップ406でYESの場合には、自己機の第1の制御装置は停止状態(0、0)を出力し、他号機は待機状態になり、自己機と他号機は(1000→0010)の状態になるように制御される(ステップ407)。
【0056】
ステップ406でNOの場合には、
図6のステップ601(C)に続く。
【0057】
ステップ407の後は、
図5のステップ401(A)に続く。
【0058】
ステップ416でNOの場合には、他号機が号機切替するため他号機が待機状態(1、0)である信号が第1の制御装置に入力されたかどうかを判定する(ステップ408)。
【0059】
ステップ408でYESの場合には、自号機の第1の制御装置は運転状態(0、
1)を出力し、自号機および他号機は(0110)の状態となるようにする(ステップ409)。
【0060】
ステップ409の後に、第1の制御装置が相手運転のタイマを停止させる制御をする(ステップ410)。
【0061】
ステップ410の後に、第1の制御装置は、自己機が運転状態で、第2の制御装置は他号機が待機状態である(0110)の状態となるような制御をする(ステップ411)。
【0062】
ステップ411の後に、
図6のステップ604に続く(D)。
【0063】
ステップ408でNOの場合には、並列要求(1、1)が第2の制御装置から入力されたどうかを第1の制御装置が判定する(ステップ412)。
【0064】
ステップ412でYESの場合には、自己機の第1の制御装置は、自己機は他号機の追従機として並列運転状態(1、1)の出力をし、自己機と他号機の状態は(1101)となる(ステップ413)。
【0065】
ステップ412でNOの場合には、ステップ416に戻る。ステップ413の後、自己機の第1の制御装置は相手運転のタイマを停止するように制御をする(ステップ414)。
【0066】
ステップ414の後で、自己機の第1の制御装置は、並列解除要求(1、1)が入力されたかどうかを判定する(ステップ415)。
【0067】
ステップ415でYESの場合には、
図6のステップ604に続く(D)。ステップ415でNOの場合には、ステップ415に戻る。
【0068】
次に、
図6を使い、ポンプ始動時に先行機として動作する自己機を例にフローチャートを示す。
図6で、自己機が待機状態かつ他号機が運転している時間(以下、Tr自己機の運転時間)を示す。
【0069】
自己機の第1の制御装置は、締切状態で自己機が待機状態であるように制御し、他号機は停止状態である(1000)(ステップ601)。
【0070】
ステップ601の後に、第1の制御装置は、起動条件をみたす(圧力がPon以下になる)かどうかを判定する(ステップ602)。
【0071】
ステップ602でYESの場合には、第1の制御装置は、自己機が運転状態となるように制御し、運転状態を出力する(ステップ603)。このステップの自己機と他号機の状態は(0110)である。
【0072】
ステップ602でNOの場合には、ステップ602に戻る。ステップ603の後、第1の制御装置は、自己機の運転のタイマを起動させるように制御する(ステップ604)。
【0073】
ステップ604の後、第1の制御装置は、自己機の内部タイマを起動させるように制御する(ステップ605)。
【0074】
ステップ605の後、第1の制御装置は、自己機が過少水量検出により停止可能かどうかを判定する(ステップ606)。
【0075】
ステップ606でYESの場合には、第1の制御装置は、自己機を停止状態に制御し、(0、0)の信号を第2の制御装置へ出力し、(0010)の状態となる(ステップ607)。
【0076】
ステップ607の後で、第1の制御装置は、運転のタイマを停止させるように制御する(ステップ608)。
【0077】
ステップ608の後で、第1の制御装置は、内部タイマをリセットさせるように制御する(ステップ609)。ステップ609の後は、
図5のステップ401に戻る(A)。
【0078】
ステップ606でNOの場合には、第1の制御装置は、内部タイマのタイムアップにより号機切替え条件を満たすかどうかを判定する(ステップ610)。
【0079】
ステップ610でYESの場合には、第1の制御装置は、自己機は待機状態となるように制御し、(1、0)を出力する(ステップ611)。このステップでは自己機と他号機は(0110→1001)の状態となる。
【0080】
ステップ611の後で、第1の制御装置は、運転のタイマを停止させる制御をする(ステップ612)。
【0081】
ステップ612の後で、第1の制御装置は、内部のタイマをリセットさせる制御をする(ステップ613)。ステップ613の後は、
図5のステップ403に戻る(B)。
【0082】
ステップ610でNOの場合には、第1の制御装置は、並列条件を満たすかどうかを判定する(ステップ614)。
【0083】
ステップ614でYESの場合には、第1の制御装置は、自己機が並列要求(1、1)を出力するように制御し、他号機は運転開始する。つまり(1110→0111)の状態になる(ステップ615)。また、ステップ614でNOの場合には、ステップ606に戻る。
【0084】
ステップ615の後で、第1の制御装置は、運転のタイマを停止させるように制御をする(ステップ616)。
【0085】
ステップ616の後で、第1の制御装置は、自己機が並列解除条件を満たすかどうかを判定する(ステップ618)。
【0086】
ステップ618でYESの場合には、第1の制御装置は、並列運転解除(1、1)を出力後、自己機が停止するように制御し、他号機が1台で運転する(ステップ619)。このステップでの状態は(1111→0001→1001)のように推移する。
ステップ618でNOの場合には、ステップ618に戻る。
【0087】
ステップ619の後で、第1の制御装置は、内部タイマを停止させるように制御する(ステップ617)
【0088】
ステップ617の後、
図5のステップ403に戻る(B)。
【0089】
本実施例では、自己機が1台で運転する時間である自己機運転時間Trは、以下に説明するTr1とTr2とTr3とからなる。
【0090】
Tr1は「始動条件より運転開始し運転状態(0、1)を出力してから停止条件成立により停止状態(0、0)を出力するまでの時間」であり、ステップ603から、ステップ604、ステップ605、ステップ606、ステップ607を経て、ステップ608までの時間である。
【0091】
Tr2は「始動条件より運転開始し運転状態(0、1)を出力してから並列条件成立より(1、1)が入力されるまでの時間」であり、ステップ604から、ステップ605、ステップ606、ステップ610、ステップ614、ステップ615を経て、ステップ616までの時間である。
【0092】
Tr3は「始動条件より運転開始し運転状態(0、1)を出力してから号機切替条件成立により待機状態(1、0)を出力するまでの時間」であり、ステップ604から、ステップ605、ステップ606、ステップ610、ステップ611を経て、ステップ612までの時間である。自己機運転時間Trは、これら3種の時間を自己機運転時間Trとしてタイマで都度計測し、その積算値を記録したものを積算自己機運転時間ΣTrとする。
【0093】
一方で他号機が運転しており、自己機が待機している時間Twは、以下に説明するTw1とTw2とTw3とからなる。
【0094】
Tw1は、「待機状態(1、0)を出力してから自己機が並列追従機として並列状態(1、1)になるまでの時間」であり、ステップ403から、ステップ416、ステップ408、ステップ412、ステップ413を経て、ステップ414までの時間である。
【0095】
Tw2は、「他号機が運転中で待機状態(1、0)を出力してから他号機の停止を確認するまでの時間」であり、ステップ403から、ステップ416、ステップ404を経て、ステップ405までの時間である。
【0096】
Tw3は、「他号機が運転中に待機状態(1、0)でありながら号機切替により運転状態(1、0)に遷移するまでの時間」であり、ステップ403から、ステップ416、ステップ408、ステップ409を経て、ステップ410までの時間である。自己機が待機している時間Twは、これらの3種の待機時間のことであり、その積算時間を記録したものを積算待機時間ΣTwとする。
【0097】
ここで、自己機が待機状態(1、0)で他号機が先行機として交互運転しており、過少水量を検出により停止して自己機に(0、0)が入力された際に、ΣTrとΣTwの比較を実施する。もしΣTr>ΣTwであれば自己機の運転時間が長いため、待機状態(1、0)から停止状態(0、0)に遷移させ、他号機を待機状態にし起動条件を満たしたとき優先的に先行機として動作するようにする。
【0098】
一方でΣTw≧ΣTrであれば、自己機の運転時間が少ないため待機状態を維持し、次に起動条件となるときに先行機として動作する。この運転時間の差異によって起動順序を制御することによって運転時間の平準化を図る。
【0099】
図7は、自己機(1号機)と他号機(2号機)が1台ずつ交互に運転をした際の運転サイクルの一例を示す。
【0100】
図8は、自己機(1号機)と他号機(2号機)が並列運転をした際の運転サイクルの一例を示す。並列した状態は互いがタイマはカウントしない。
【0101】
図9は、自己機(1号機)からに他号機(2号機)に号機切替をした際の運転サイクルの一例を示す。
図9では、1号機が号機切替になるまで4hの間を動いたため、2号機は4hの間を動こうとする。他号機から自己機に号機切替する場合は、
図9の1号機と2号機の運転サイクルが逆になるように制御される。
【0102】
本実施例によれば、複数のポンプを制御するインバータの上位に台数制御装置を必要とせず、安価に各ポンプの積算運転時間を平均化し、給水制御装置の寿命を長くすることができる。
【符号の説明】
【0103】
4-1…第1のポンプ、4-2…第2のポンプ、5-1…第1のモータ、5-2…第2のモータ、6-1…第1のインバータ、6-2…第2のインバータ、9-1…第1のポンプ制御基板、9-2…第2のポンプ制御基板