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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】井戸管理システム
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
F04D15/00 J
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021504289
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019043594
(87)【国際公開番号】W WO2020023836
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】16/046,441
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507293446
【氏名又は名称】アムトロール ライセンシング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ハーレン クリストファー エー.
(72)【発明者】
【氏名】コグリアーチ マイケル
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0342161(US,A1)
【文献】特開2018-003786(JP,A)
【文献】特表2003-523488(JP,A)
【文献】特開2006-219988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
井戸システムの制御装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサを、少なくとも井戸ポンプを含む前記井戸システムの1つ以上の構成要素と作動可能に接続するための構成要素インターフェースと、
通信ネットワークを介して管理システムまたはクライアントデバイスの少なくとも1つとの通信を可能にするための通信インターフェースと、
動作設定、動作データ、およびコンピュータ実行可能な命令を記憶するコンピュー可読記憶媒体と、
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行される場合、前記プロセッサを、
前記構成要素インターフェースを介して、前記井戸システムの前記1つ以上の構成要素に関連する前記動作データを収集し、
前記井戸ポンプの動作を制御し、
前記動作データを、前記通信インターフェースを介して前記管理システムまたは前記クライアントデバイスの少なくとも1つに送信し、
前記通信インターフェースを介して、構成のアップデートを前記管理システムまたは前記クライアントデバイスの少なくとも1つから受信し、当該構成のアップデートに基づいて、前記動作設定を更新する
ように構成し、
前記井戸ポンプの動作は、前記動作データおよび前記動作設定に従って制御され、
前記動作設定は、複数の動作モードのうちの1つに対応し、当該複数の動作モードは、初期起動モードを含み、
前記初期起動モードの間、前記プロセッサは、
前記井戸ポンプを起動して井戸圧力タンクを充填し
力センサから受けた、前記井戸ポンプと前記井戸圧力タンクとの間の流路内の圧力測定値に基づいて前記井戸圧力タンクの空気チャンバのプリチャージ圧力を決定し、
前記プリチャージ圧力に基づいてカットイン圧力およびカットオフ圧力の値を確立する、
ように構成され、
前記プロセッサは、前記カットイン圧力未満であるときに前記井戸ポンプを作動させ、前記カットオフ圧力以上であるときに前記井戸ポンプを停止させる、ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサ、前記通信インターフェース、前記コンピュータ可読記憶媒体、および前記構成要素インターフェースを含むハウジングをさらに備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記圧力センサをさらに含む、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記井戸圧力タンクに取り付けられるように構成されている、請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記圧力センサは、前記井戸システム内の流体圧力の圧力測定値を提供するように構成され、
前記動作設定は、前記カットイン圧力および前記カットオフ圧力を特定する圧力パラメータを含み、
前記プロセッサは、さらに、前記圧力センサが前記カットイン圧力を示したときに前記井戸ポンプを起動し、前記カットオフ圧力を示したときに前記井戸ポンプを停止するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記動作設定はアラーム条件を含み、
前記プロセッサは、前記動作データが前記アラーム条件を満たすときに、前記管理システムまたは前記クライアントデバイスのうちの少なくとも1つにアラートメッセージを送信するようにさらに構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記動作データは、動作中の前記井戸ポンプの電気特性、前記井戸ポンプへの電気供給の状態、前記井戸ポンプのサイクル時間、および前記圧力センサからの圧力データを含む、請求項3に記載の制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記井戸システムに関する問題を識別するために前記動作データを分析し、前記問題の識別に応答して、前記井戸ポンプの動作を前記動作設定から逸脱させるようにさらに構成される、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記構成要素インターフェースを介して接続された前記1つ以上の構成要素は、井戸圧力タンク内の水量を検出するように構成されたセンサを含み、
前記プロセッサは、前記管理システムまたは前記クライアントデバイスのうちの少なくとも1つに送信される前記動作データ内に前記水量を含むようにさらに構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記複数の動作モードは、セットアップモードを含み、
前記セットアップモード中に、前記プロセッサは、前記通信ネットワークを介して前記クライアントデバイスまたは前記管理システムの少なくとも1つと通信するための前記通信インターフェースを構成するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記複数の動作モードは休暇モードを含み、
前記休暇モードの間、前記プロセッサは、前記井戸ポンプの動作を防止するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項12】
前記複数の動作モードはストームモードを含み、
前記ストームモードの間、前記プロセッサは、前記井戸ポンプのカットイン圧力およびカットオフ圧力を調節して、井戸圧力タンク内の最大容積を維持するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記複数の動作モードは保守モードを含み、
前記保守モードの間、前記プロセッサは、前記井戸ポンプの動作を防止し、井戸圧力タンクのプリチャージを決定するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
井戸システム制御アプリケーションのためのコンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、プロセッサによって実行される場合、前記プロセッサを、
管理システムまたは制御装置の少なくとも1つから、当該制御装置を有する井戸システムに関連する井戸システム情報を受信し、
前記井戸システム情報の一部を介して前記井戸システム情報およびナビゲーションの表示を可能にするユーザインターフェースを出力し、
前記井戸システム情報の一部に対する変更リクエストを示すユーザ入力を前記ユーザインターフェースを介して受信し、
前記変更リクエストを実行するために、前記管理システムまたは前記制御装置の少なくとも1つにメッセージを送信し、
前記井戸システム情報の一部に対する前記変更リクエストを反映するために前記ユーザインターフェースを更新する
ように構成し、
前記コンピュー可読記憶媒体は、動作設定および動作データをさらに記憶し、
前記井戸システムの井戸ポンプの動作は、前記動作データおよび前記動作設定に従って制御され、
前記動作設定は、複数の動作モードのうちの1つに対応し、当該複数の動作モードは、初期起動モードを含み、
前記初期起動モードの間、前記プロセッサは、
前記井戸ポンプを起動して井戸圧力タンクを充填し
力センサから受けた、前記井戸ポンプと前記井戸圧力タンクとの間の流路内の圧力測定値に基づいて前記井戸圧力タンクの空気チャンバのプリチャージ圧力を決定し、
前記プリチャージ圧力に基づいてカットイン圧力およびカットオフ圧力の値を確立する、
ように構成され、
前記プロセッサは、前記カットイン圧力未満であるときに前記井戸ポンプを作動させ、前記カットオフ圧力以上であるときに前記井戸ポンプを停止させる、ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
さらに、前記管理システムまたは前記制御装置のうちの少なくとも1つからアラート通知を受信し、前記アラート通知を表示して、前記井戸システムとのアラート状態をユーザに通知するように前記プロセッサを構成する、
コンピュータ実行可能命令を記憶する、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記ユーザは、前記井戸システムを保守し、住宅所有者によって設定されたシステムアクセスレベルに従って前記井戸システムへのアクセスを提供するように選択されたサービス専門家である、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記井戸システム情報の一部への前記変更リクエストは、前記制御装置の動作モードへの変更を表す、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
流体を貯蔵し、圧力下の前記流体を分配システムに送るように構成されたタンクと、
請求項1に記載の前記制御装置と、
通信ネットワークを介して前記制御装置に通信可能に接続された管理システムと、
前記管理システムと通信可能に接続され、制御アプリケーションのためのコンピュータ実行可能命令を格納するクライアントデバイスと、を備えるシステムであって、
前記制御装置は、前記ポンプと前記システムの圧力測定値を提供する圧力センサとに作動可能に接続されると共に、前記圧力測定値およびポンプ動作データに基づき、アクティブ動作モードに従って前記ポンプの動作を制御するように構成され、
前記管理システムは、前記制御装置からシステム情報を受信し、前記システム情報を前記制御装置に対応する識別子と関連付けて記憶するように構成され、
前記制御アプリケーションは、前記管理システムからシステム情報を受信し、前記システム情報をユーザに表示し、前記管理システムを介して制御コマンドを前記制御装置に送信するように前記クライアントデバイスを構成する、
前記制御コマンドは、前記アクティブ動作モードを変更するための少なくとも1つのコマンドを含む、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、井戸システムに関し、より詳細には、インターネット対応の井戸管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
井戸システムは、一般に、井戸から構造物の配管システムに水を汲み上げる水ポンプを含む。圧力タンクは、水ポンプを補うために、また、水ポンプが間欠的に作動することを可能にするために、配管システムに圧力下の水を供給するためにしばしば利用される。ポンプが需要を満たす能力がある場合でも、継続的に稼働するポンプの稼働寿命は短くなることがある。
【0003】
圧力スイッチを使用すると、井戸ポンプは間欠的に運転することができ、同時に、システムは確実に圧力を維持することができる。圧力スイッチは、圧力スイッチの入力に対して作用する水圧に基づいて電気的接触を開閉する装置である。圧力スイッチは、入力に対して作用する圧力が所定のカットイン圧力に低下すると、電気的接触を閉じ、ポンプを作動させるように構成される。同様に、圧力スイッチは、入力に対して作用する圧力が所定のカットアウト圧力まで上昇すると、電気的接触を開く(すなわち、ポンプをオフにする)ように構成される。
【0004】
圧力スイッチは、単にシステム圧力を構成された範囲内に維持するものであり、ポンプを保護するものではない。さらに、状況を確認し、および/またはシステム調整を行うために、井戸システム(すなわち、圧力タンクおよび/またはポンプ)の物理的検査が必要である。
【発明の概要】
【0005】
ここで、後述する詳細な説明および添付の図面における例示的・非限定的な実施形態の様々な態様の基本的または一般的な理解を可能にするために、簡単に概要を説明する。但し、この概要は、広範囲または網羅的な概要を意図しない。本概要の目的は、後述する様々な実施形態のより詳細な説明の前提として、いくつかの例示的・非限定的な実施形態に関連するいくつかの概念を簡潔に提示することにある。
【0006】
様々な非限定的な実施形態では、井戸管理システムは、ポンプおよび圧力タンクを含むことができる井戸システムのインターネット対応モニタリング、構成、および制御を提供する。制御装置は、流体を供給源から分配システムに移動させるポンプと作動可能に連結される。制御装置は、システムの流体圧力を測定する圧力センサを組み込んだり、または圧力センサと通信可能に連結することができる。制御装置は、センサからの圧力測定値に基づいてポンプを制御し、システム内の構成された圧力範囲を維持する。
【0007】
制御装置は、通信ネットワークを介して管理システムと通信できる。管理システムは、さらに、住宅所有者、サービスプロバイダ、製造業者などに関連付けられ得る1つまたは複数のクライアントデバイスと通信する。管理システムを介して、クライアントデバイスは制御装置から情報を受信し、制御装置にコマンドを送信できる。
【0008】
これらおよび他の実施形態は、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
種々の非限定的実施形態について、以下の図面を参照して更に説明する。
【0010】
図1】1つまたは複数の態様による井戸管理システムの例示的・非限定的な実施形態の概略ブロック図である。
図2図1の井戸管理システムの制御装置の例示的・非限定的な実施形態の概略ブロック図である。
図3図1の井戸管理システムのバックエンドシステムの例示的・非限定的な実施形態の概略ブロック図である。
図4図1の井戸管理システムのクライアントデバイスの例示的・非限定的な実施形態の概略ブロック図である。
図5】様々な態様による、制御装置とクライアントデバイスとの間の通信を容易にするための例示的・非限定的な実施形態のフローチャートである。
図6】様々な態様による井戸システムを制御するための例示的・非限定的な実施形態のフローチャートである。
図7】1つまたは複数の態様による、クライアントデバイスを介して井戸システムを管理するための例示的・非限定的な実施形態のフローチャートである。
図8図1の井戸管理システム内における例示的・非限定的な通信シーケンスの通信図である。
図9】住宅所有者のクライアントデバイスによって実行されるソフトウェアアプリケーションの例示的なスクリーンショットである。
図10】サービス契約者のクライアントデバイスによって実行されるソフトウェアアプリケーションの例示的なスクリーンショットである。
図11】本明細書で説明する様々な実施形態を実施することができる、クラウドまたはインターネットベースの例示的・非限定的なネットワーク環境を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(一般的な要旨)
背景技術で論じたように、圧力スイッチは、井戸ポンプの動作を制御するためにしばしば採用される。このような装置は、井戸システムのロバストな管理、制御、または保護を提供しない。また、圧力スイッチは、調整のために物理的なアクセスを必要とする。
【0012】
種々の非限定的な実施形態では、井戸システムの管理のためのシステムおよび関連する方法が提供される。井戸ポンプおよび圧力タンクを含む井戸システムのために、圧力スイッチの機能を上回る特徴を提供しつつ、ポンプ動作を制御することができる制御装置が提供される。制御装置は、設定可能な圧力設定値を有すること、ポンプおよび/またはシステム保護を提供すること、システム診断をサポートおよび実行すること、システムに関連する動作情報を記録すること、エネルギ節約オプションを可能にすること、アラートおよび通知を発行することなどが可能なプロセッサベースのデバイスであり得る。さらに、制御装置は、ネットワークを介して様々な遠隔装置またはシステムとの通信を可能にする通信インターフェースを含むことができる。したがって、井戸システムをオフサイトで監視・管理することができる。
【0013】
一態様によれば、制御装置は、バックエンドシステムと通信する。そして、バックエンドシステムは、住宅所有者、サービス契約者、製造業者などに関連付けられ得る1つまたは複数のクライアントデバイスと通信する。制御装置およびバックエンドシステムは、住宅所有者(すなわち、井戸システムの所有者)とサービス契約者(すなわち、井戸システムの保守を実行するサービス専門家)との間の関連付けを作成することができる。
【0014】
一態様によれば、上記関連付けは、住宅所有者によって完全に制御される。例えば、特定のサービス契約者は、住宅所有者によって選択され、制御装置(すなわち、住宅所有者の制御装置)と関連付けられることができる。その後、サービス契約者は、制御装置によってバックエンドシステムに通信された情報にアクセスすることができる。かかる情報は、制御装置によって発行されたアラートまたは通知を含むことができる。サービス契約者が利用可能なアクセスレベルは、住宅所有者によって設定可能である。
【0015】
井戸システムのリモート管理および制御を容易にするために、クライアントデバイスは、クライアントデバイスとバックエンドシステムおよび/または制御装置との間の通信を可能にするように構成されたソフトウェアアプリケーションを備えることができる。井戸システムの完全な制御は、クライアントデバイスにインストールされたソフトウェアアプリケーションを介して行うことができる。例えば、ソフトウェアアプリケーションを介して、圧力設定値を構成することができ、システム動作データを見ることができ、診断データを取得することができ、アラートまたは通知を見ることができ、および/または井戸システムの動作モードを設定することができる。井戸システムに関連付けられたサービスコントラクタもこの情報を見ることができ、住宅所有者によって設定されたアクセス許可に従いソフトウェアアプリケーションを介して井戸システムを制御することができる。
【0016】
追加の態様によれば、制御装置は、完全なシステム制御および保護を提供する。例えば、制御装置は、構成されたカットインおよびカットアウト圧力レベルに従ってポンプがそれぞれ作動および停止される通常の作動モードだけでなく、いくつかの作動モードのうちの1つに設定することができる。休暇モードでは、制御装置は、住宅所有者が戻るまでポンプを遮断することができる。ストームモードでは、制御装置は圧力設定値を一時的にオーバーライドして、圧力タンク(例えば、圧力タンクのダイヤフラム)の最大許容圧力に一致させる。このモードでは、停電時に圧力タンクにできるだけ多くの水を保持できるよう、制御装置はタイトな差動で井戸システムを作動させる。保守モードでは、住宅所有者またはサービス契約者に、井戸システムの動作状態を理解し、問題を診断するための情報が提供される。例えば、保守モードは、劣化を診断するために、圧力タンクのチャージを測定し、初期測定値と比較することを可能にしてもよい。制御装置は、自律的に、またはユーザコマンドによって保護モードに入ることもでき、この保護モードでは、制御装置は、システム構成要素を保護するように動作する。例えば、制御装置がポンプへの異常な電流供給を検出した場合、制御装置はポンプを停止することができる。別の例では、制御装置は、ポンプの作動中であっても、無視できる圧力変化を検出し、システムを遮断することができる。
【0017】
一実施形態によれば、井戸システムのための制御装置が提供される。制御装置は、プロセッサと、前記プロセッサを前記井戸システムの1つ以上の構成要素(少なくとも井戸ポンプ)に動作可能に接続するための構成要素インターフェースと、通信ネットワークを介して管理システムまたはクライアントデバイスの少なくとも1つとの通信を可能にするための通信インターフェースと、動作構成、動作データ、およびコンピュータ実行可能な命令を記憶するコンピュー可読記憶媒体と、を含むことができる。プロセッサによって実行される場合、当該命令は、プロセッサを、構成要素インターフェースを介して、井戸システムの1つ以上の構成要素に関連する動作データを収集し、動作データおよび動作構成に従って井戸ポンプの動作を制御し、動作データを、通信インターフェースを介して管理システムまたはクライアントデバイスの少なくとも1つに送信し、通信インターフェースを介して、構成のアップデートを管理システムまたはクライアントデバイスの少なくとも1つから受信し、当該構成のアップデートに基づいて、動作構成を更新する。
【0018】
様々な例によれば、制御装置は、プロセッサ、通信インターフェース、コンピュータ可読記憶媒体、および構成要素インターフェースを含むハウジングを有することができる。ハウジングは、圧力センサを収容することができる。さらに、ハウジングは、井戸圧力タンクに取り付けるように構成されている。
【0019】
別の例によれば、制御装置は、井戸システム内の流体圧力の圧力測定を提供するように構成された圧力センサを含むことができる。この例では、動作構成は、カットイン圧力およびカットオフ圧力を指定する圧力パラメータを含む。プロセッサは、さらに、圧力センサがカットイン圧力を示したときに井戸ポンプを起動し、カットオフ圧力を示したときに井戸ポンプを停止するように構成することができる。
【0020】
別の例では、動作構成は、アラーム条件を含むことができる。プロセッサは、動作データがアラーム条件を満たす場合に、管理システムまたはクライアントデバイスのうちの少なくとも1つにアラートメッセージを送信するように構成され得る。さらに別の例では、動作データは、動作中の井戸ポンプの電気特性、井戸ポンプへの電気供給の状態、井戸ポンプのサイクル時間、および圧力センサからの圧力データを含む。さらに、プロセッサは、動作データを分析して井戸システムの問題を識別し、問題の識別に応じて動作構成から逸脱するように構成することができる。
【0021】
一例では、構成要素インターフェースを介して連結された1つまたは複数の構成要素は、井戸圧力タンク内の水量を検出するように構成されたセンサを含むことができる。プロセッサは、管理システムまたはクライアントデバイスのうちの少なくとも1つに送信される動作データ中に水量を含むように構成され得る。
【0022】
別の例では、動作構成は、複数の動作モードのうちの1つに対応する。複数の運転モードは、初期起動モードを含むことができる。初期起動モードの間、プロセッサは、井戸ポンプを起動して井戸圧力タンクを充填し、圧力タンクからの圧力測定値に基づいて井戸圧力タンクのプリチャージを決定し、プリチャージに基づいてカットイン圧力およびカットオフ圧力の値を設定するように構成される。複数の運転モードは、セットアップモードを含むことができる。セットアップモードの間、プロセッサは、通信ネットワークを介してクライアントデバイスまたは管理システムの少なくとも1つと通信するように通信インターフェースを構成するように構成される。複数の動作モードは、休暇モードを含むことができる。休暇モードの間、プロセッサは、井戸ポンプの動作を防止するように構成される。複数の動作モードは、ストームモードを含むことができる。ストームモード中、プロセッサは、井戸ポンプが井戸圧力タンク内の最大容積を維持するようにカットイン圧力およびカットオフ圧力を調整するように構成される。複数の動作モードは、保守モードを含むことができる。保守モード中、プロセッサは、井戸ポンプの動作を防止し、井戸圧力タンクのプリチャージを決定するように構成される。
【0023】
別の実施形態では、井戸システム制御アプリケーションのためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ実行可能命令は、プロセッサによって実行されるときに、管理システムまたは制御装置の少なくとも1つから井戸システム情報を受信し、井戸システム情報の一部を介して井戸システム情報およびナビゲーションの表示を可能にするユーザインターフェースを出力し、井戸システム情報の一部に対する変更リクエストを示すユーザ入力をユーザインターフェースを介して受信し、変更リクエストを実行するために、管理システムまたは制御装置の少なくとも1つにメッセージを送信し、井戸システム情報の一部に対する変更を反映するためにユーザインターフェースを更新する。なお、井戸システム情報とは、制御装置を有する井戸システムに関連する情報である。
【0024】
一例によれば、井戸システム情報の一部に対する変更リクエストは、制御装置の動作モードに対する変化を表す。別の例では、コンピュータ可読媒体は、さらに、管理システムまたは制御装置の少なくとも1つからアラート通知を受信し、当該アラート通知を表示して井戸システムとのアラート状態をユーザに知らせるようにプロセッサを構成する命令を記憶する。ユーザは、井戸システムを保守するために選ばれ、住宅所有者によって設定されたシステムアクセスレベルに応じて井戸システムへのアクセスが提供されるサービス専門家とすることができる。
【0025】
さらに別の実施形態では、システムが提供される。システムは、流体を貯蔵し、圧力下の流体を分配システムに送るように構成されたタンクを含む。システムは、タンクまたは分配システムのうちの1つに流体を供給するためにポンプの動作を制御するように構成された制御装置をさらに含む。制御装置は、ポンプと、システムの圧力測定値を提供する圧力センサとに作動可能に接続される。制御装置は、圧力測定値およびポンプ動作データに基づいて、アクティブ動作モードに従い井戸ポンプの動作を制御するように構成される。システムは、通信ネットワークを介して制御装置に通信可能に接続された管理システムをさらに含むことができる。管理システムは、制御装置からシステム情報を受信し、当該システム情報を制御装置に対応する識別子と関連付けて記憶するように構成される。さらに、システムは、管理システムに通信可能に接続され、制御アプリケーションのためのコンピュータ実行可能命令を記憶するクライアントデバイスを含むことができる。制御アプリケーションは、管理システムからシステム情報を受信し、当該システム情報をユーザに表示し、管理システムを介して制御コマンドを制御装置に送信するように、クライアントデバイスを構成する。
【0026】
以上、井戸管理システムのいくつかの実施形態の要旨を示した。続いて、管理システムをより詳細に説明し、特定の実施例を説明する。その後、上記実施形態および/または特徴を実行可能な、例示的なコンピューティング/ネットワーク環境について説明する。当該特徴および実施形態は図面を参照しつつ説明されるが、同様の参照符号は、全体を通して同様の要素を参照するために使用される。
【0027】
(井戸管理システム)
上述のように、様々な実施形態では、改善された井戸管理システムは、通信ネットワークを介してバックエンドシステムと通信することができ、バックエンドシステムを介して1つまたは複数のクライアントデバイスと通信することができる制御装置を含むことができる。
【0028】
図1は、インターネット対応井戸管理システムの例示的・非限定的な実施形態の概略ブロック図を示す。システム100は、井戸から流体を移動させるポンプ120に動作可能に接続された制御装置110を含むことができる。ポンプ120は、流体を圧力タンク130および/または分配システム140(例えば、構造物の配管システム)に供給する。タンク130は、内部容積を水チャンバから空気チャンバに分離する内部ダイヤフラムを有する圧力容器とすることができる。空気チャンバには、ポンプ120が作動していないときでも分配システム140に圧力下の流体を供給するように、空気圧力の予備チャージがされている。
【0029】
制御装置110は、システム100に対して設定された動作モードに従って、ポンプ120を起動および停止させる。より具体的には、制御装置110は、システム100の様々な構成要素に関連する動作データを収集し、動作データおよび制御装置110に記憶された動作構成に従ってポンプ120を動作させる。
【0030】
一例として、動作構成は、圧力設定値を含むことができ、動作データは、センサ112からの圧力測定値を含むことができる。センサ112は、ポンプ120とタンク130または分配システム140との間の流路に接続することができる。センサ112は、流路内の圧力測定値を提供し、圧力測定値を制御装置110に通信する。通常の動作モードでは、制御装置110は、圧力測定値がカットイン圧力未満に低下したときにポンプ120を作動させ、圧力測定値がカットアウト圧力以上であるときにポンプ120を停止させる。なお、制御装置110と分離して描かれているが、センサ112は制御装置110と一体的に設けることができることが理解されるべきである。例えば、センサ112は、制御装置110の回路基板と少なくとも部分的に一体化することができ、および/または共通のハウジング内に収容することができる。さらに、制御装置110および/またはセンサ112を含む共通のハウジングは、タンク130上に設置されても、タンク130に取り付けられてもよい。
【0031】
制御装置110は、ポンプ120に関連する動作データを取得することができる。例えば、ポンプ120の電気特性(例えば、電流、電圧、抵抗)、ならびにサイクル時間を制御装置110によって記録することができる。その他の動作データには、タンク130内の水位、システム出力履歴、および/または他のセンサ(例えば、水使用量センサ、温度センサなど)からのデータを含むことができる。さらに、動作データは、システム100の物理的セットアップの画像、保守メモなどのユーザ入力を含むこともできるが、これらに限定されない。
【0032】
制御装置110の動作構成は、アラーム条件またはイベントトリガを含むことができる。制御装置110は、制御装置110によって取得された動作データがアラーム条件またはイベントトリガを満たす場合に、事前に構成されたアクションで応答することができる。例えば、制御装置110は、アラーム条件またはイベントトリガに応答して、通常動作モードから逸脱してもよい。逸脱には、ある期間、および/または条件が解消されるまで、ポンプを停止することを含むことができる。
【0033】
制御装置110はまた、住宅所有者またはサービス契約者にシステム状態を通知するために通知またはアラートメッセージを送信することができる。この動作を可能にするために、制御装置110は、バックエンドシステム150および/またはクライアントデバイス160と通信するように構成することができる。通信は、通信ネットワークを介して実行することができ、場合によっては、通信は、直接的なデバイス間通信であってもよい。
【0034】
一態様によれば、バックエンドシステム150は、1人または複数のユーザを制御装置110に登録することができる。これらのユーザは、クライアントデバイス160を用いて、構成されたアクセスレベルに従ってバックエンドシステム150を介して制御装置110と通信することができる。例えば、住宅所有者は、すべての情報に対して完全なアクセス権限を持つことができる。住宅所有者は、サービス契約者を指定し、当該サービス契約者をバックエンドシステム150に登録することができる。サービス契約者に付与される情報アクセスのレベルは、住宅所有者によって調整可能に制御される。
【0035】
制御装置110は、バックエンドシステム150によって情報をポーリングすることができる。あるいは、制御装置110は、情報を定期的に送信するように構成することができる。一実施形態では、バックエンドシステム150は、制御装置110とクライアントデバイス160との間のリレーとして動作することができる。例えば、バックエンドシステム150は、制御装置110によって送信される情報をクライアントデバイス160に転送し、クライアントデバイス160から制御装置110にコマンドおよびリクエストを転送することができる。別の実施形態では、動作データおよび他の動作履歴情報は、制御装置110によって、バックエンドシステム150に送信し記録することができる。バックエンドシステム150は、アクセスレベルに従って、記憶された情報を制御装置110から独立してクライアントデバイス160に提供することができる。システム100は、上述の2つのアプローチの間で連続的に動作することができることを理解されたい。例えば、制御装置110上の記憶装置の効率的な利用を可能にするために、バックエンドシステム150が他の情報を記憶している間、制御装置110はある情報を保持することができる。
【0036】
別の態様では、制御装置110は、直接的なデバイス間通信を利用することができる。例えば、クライアントデバイス160は、制御装置110と類似していてもよい(すなわち、同じ構造、同じ部屋など)。このような場合、有線または無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、無線USB、アドホックWiFi等)の通信をクライアントデバイス160と制御装置110との間に確立することができる。
【0037】
制御装置110の動作構成は、制御装置110が現在動作している複数の動作モードまたは状態のうちの1つを指定することができる。前述の通り、制御装置110は、圧力設定値および圧力測定値を利用して、通常動作モードでポンプ120を起動/停止させる。制御装置110は、初めて電源が投入されると、初期起動モードに入ることができる。初期起動モードでは、制御装置110は、ポンプ120を作動させてタンク130を充填し、タンク130の予備チャージを決定し、予備チャージに基づいて圧力設定を確立することができる。これらの圧力設定は、その後、通常動作モードで利用することができる。
【0038】
追加のモードは、セットアップモード、休暇モード、ストームモード、および保守モードを含むことができる。セットアップモードでは、制御装置110は、バックエンドシステム150との通信を登録し、構成するために、最初はクライアントデバイス160との直接的なデバイス間通信を利用することができる。休暇モードでは、制御装置110は、ポンプ120の起動を防止するように構成される。ストームモードでは、制御装置110は、タンク130に貯蔵される水量を最大にするために、圧力設定値をオーバーライドする。保守モードでは、制御装置110はタンク130のチャージを再検査することができる。この値は、チャージの低下を判断するために初期測定値と比較することができる。このようにして、保守モードは、システム100の健全性状態チェックを提供する。さらに、クライアントデバイス160上のメンテナンスビューは、チャージ低下、現在のプリチャージ測定値、ポンプ120への電気入力等の健全性状態情報を提供することができるが、これらに限定されない。さらに、制御装置110が、通常動作モードからの逸脱を正当化するアラーム条件または他のイベントを検出したときは、保護モードが利用可能である。
【0039】
図2を参照すると、制御装置110の例示的・非限定的な実施形態の概略ブロック図が示されている。図2に示すように、制御装置110は、井戸システムの管理および通信処理を構成する命令などの、コンピュータ実行可能命令204を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ200を含む。このようなコンピュータ実行可能命令は、メモリ202のような非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に記憶することができる。例えば、メモリ202は、命令204、設定206(例えば、構成設定、パラメータ設定、圧力設定値など)、および/またはデータ208(例えば、動作データ、履歴データ、水使用量データ、システム健全性データ、圧力データ、電流データ、電圧データ、抵抗データ、ユーザ格納データなど)を永続的に格納するための不揮発性記憶装置を含むことができる。メモリ202はまた、プロセッサ200による実行中に命令204、他のデータ(作業データまたは変数)、またはそれらの一部を記憶する不揮発性記憶装置を含むことができる。
【0040】
制御装置110は、インターネットまたは他の通信ネットワークを介して、バックエンドシステム、クライアントデバイス、他の制御装置、またはインターネット対応デバイス(例えば、IoTセンサ)など、これらに限定されない様々な遠隔システムに制御装置110を接続するための通信インターフェース210を有する。通信インターフェース210は、WiFiインターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェース、Bluetooth(登録商標)インターフェース、光ファイバインターフェース、携帯無線インターフェース、衛星インターフェースなどを含むが、これらに限定されない有線または無線インターフェースとすることができる。通信インターフェース210は、上述のように、井戸システムと共存するローカルエリアネットワーク(例えば、ホームネットワーク)を介して、クライアントデバイスおよび/またはバックエンドシステムと通信するように構成することができる。このように確立された通信設定は、メモリ202に記憶することができる。
【0041】
また、制御装置110を井戸システム100の種々の構成要素に接続するために、構成要素インターフェース212が設けられている。例えば、構成要素インターフェース212は、制御装置110をセンサ(圧力センサ112、水位センサ、流量センサなど)、井戸ポンプ120、入出力装置(例えば、ボタン、インジケータ、LED、表示器など)に接続することができる。制御装置110は、構成要素インターフェース212を介して、ポンプ120を起動し(すなわち、電気スイッチを閉じ)、ポンプ120を停止し(すなわち、スイッチを開き)、ポンプ120の電気特性(すなわち、電流、電圧、抵抗など)を取得し、センサからの測定値を取得し、LEDを起動し、入力装置からの入力を受信し、表示データを出力するなどすることができる。したがって、構成要素インターフェース212は、プロセッサ200、メモリ202などに接続された制御装置110の回路基板または内部バス上に複数の電気接続を含むことができる。さらに、構成要素インターフェース212は、USBインターフェース、シリアルインターフェース、WiFiインターフェース、短距離RFインターフェース(Bluetooth)、赤外線インターフェース、近距離通信(NFC)インターフェース等の様々な有線または無線インターフェースを実現することができる。
【0042】
図2に示すように、制御装置110は、統合型圧力センサ214を含むことができる。したがって、井戸システムの圧力測定値を提供するように構成された圧力センサを、制御装置110の他の構成要素(すなわち、プロセッサ200、メモリ204など)と共通のハウジング内に含めることができる。しかし、圧力センサは、例えば図1に示すように、構成要素インターフェース212を介して制御装置110に接続された別個の部品であってもよいことが理解されるべきである。
【0043】
図3を参照すると、バックエンドシステム150の例示的・非限定的な実施形態が示されている。図3に示すように、バックエンドシステム150は、サーバ処理を構成する命令など、コンピュータ実行可能命令304を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ300を含み、ユーザと関連付けられたクライアントデバイスおよび井戸システムの制御装置間における、井戸の制御および管理を統合する。このようなコンピュータ実行可能命令は、メモリ302または記憶部306のような、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に記憶することができる。例えば、記憶部306は、制御装置110から受信した命令304および/または井戸管理情報308(例えば、動作データ、履歴データ、水使用量データ、システム健全性データ、圧力データ、電流データ、電圧データ、抵抗データ、ユーザ格納データなど)を永続的に格納するための不揮発性記憶装置を含むことができる。メモリ302はまた、プロセッサ300による実行中に命令304、他のデータ(作業データまたは変数)、またはそれらの一部を記憶する不揮発性記憶装置を含むことができる。井戸管理情報308は、ユーザ(例えば、住宅所有者、サービス契約者、製造業者など)および/またはシリアル番号もしくは制御装置110の他の識別子と関連付けて記憶され得る。さらに、アクセス許可情報は、井戸管理情報306をオーバーレイし、どのユーザまたはデバイスが、接続された井戸システムの情報および/または制御装置にアクセスできるかを決定する。
【0044】
バックエンドシステム150は、さらに、インターネットまたは他の通信ネットワークを介してバックエンドシステム150を制御装置110およびクライアントデバイス160に接続するための通信インターフェース310を含む。通信インターフェース310は、WiFiインターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェース、Bluetooth(登録商標)インターフェース、光ファイバインターフェース、携帯無線インターフェース、衛星インターフェースなどを含むが、これらに限定されない有線または無線インターフェースとすることができる。図3に示すように、バックエンドシステム150は、制御装置110、制御装置110、…、制御装置110を含む複数の制御装置110を処理することができる。ここで、nは1以上の整数である。制御装置110は、異なる住宅所有者によって所有される異なる井戸システムに関連付けることができる。同様に、複数のクライアントデバイス160、160、…、160(mは1以上の整数)が、バックエンドシステム150と通信することができる。クライアントデバイス160は、住宅所有者、サービス契約者、製造業者などの様々なユーザに関連付けることができる。
【0045】
次に、図4を参照すると、クライアントデバイスの例示的・非限定的な実施形態の概略ブロック図が示されている。クライアントデバイス160は、管理アプリケーション412を構成する命令のようなコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ400を含む。このようなコンピュータ実行可能命令は、メモリ402または記憶部408のような、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に記憶することができる。例えば、記憶部408は、制御装置110から受信した管理アプリケーション412および/またはデータ414(例えば、動作データ、履歴データ、水使用量データ、システム健全性データ、圧力データ、電流データ、電圧データ、抵抗データ、ユーザ格納データなど)を永続的に格納するための不揮発性記憶装置を含むことができる。メモリ402は、プロセッサ400による管理アプリケーション412の実行中に、命令、他のデータ(作業データまたは変数)、またはそれらの一部を記憶する不揮発性記憶装置も含むことができる。
【0046】
クライアントデバイス160は、さらに、インターネットまたは他の通信ネットワークを介して、クライアントデバイス160を制御装置110およびバックエンドシステム150に接続するための通信インターフェース406を含む。通信インターフェース406は、WiFiインターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェース、Bluetooth(登録商標)インターフェース、光ファイバインターフェース、携帯無線インターフェース、衛星インターフェースなどを含むが、これらに限定されない有線または無線インターフェースとすることができる。クライアントデバイス160は、さらに、ユーザ入力を取得し、ユーザ出力を伝達するための様々な要素を含むユーザインターフェース410を含むことができる。例えば、ユーザインターフェース410は、入力デバイスおよび出力デバイスの両方として動作するタッチディスプレイを備えることができる。さらに、ユーザインターフェース410は、ユーザがクライアントデバイス160に情報を入力することができる様々なボタン、スイッチ、キーなど、および他の情報をユーザに出力することができる他のディスプレイ、LEDインジケータなどを含むこともできる。さらに、ユーザインターフェース410は、キーボード、ポインティングデバイス、およびスタンドアロンディスプレイなどの入力デバイスを含むことができる。
【0047】
一実施形態によれば、クライアントデバイス160は、スマートフォンまたはタブレットデバイスなどの、ユーザによって容易に持ち運びできる計算機である。しかしながら、クライアントデバイス160は、ラップトップコンピュータ、コンバーチブルラップトップ、時計型計算機などの他の携帯可能な形態とすることができることを理解されたい。さらに、クライアントデバイス160は、デスクトップコンピュータ、または他のより大型で持ち運びに向かない計算機であってもよい。すなわち、管理アプリケーション412は、本明細書で説明されるように、バックエンドシステム150および/または制御装置110と通信することができる実質的にあらゆる計算機にインストールして実行することができる。
【0048】
管理アプリケーション412は、クライアントデバイス160がバックエンドシステム150または制御装置110から井戸システム情報を受信するように構成する。管理アプリケーション412は、ユーザが井戸システム情報を表示することを可能にするグラフィカルユーザインターフェースを出力する。管理アプリケーション412は、グラフィカルユーザインターフェースに従い、ユーザインターフェース410を介してユーザ入力を取得することができる。ユーザ入力は、井戸システム情報の一部を表示するリクエストおよび/または井戸システム情報の一部を変更するリクエスト(すなわち、設定またはモードを変更するリクエスト)を示すことができる。管理アプリケーション412は、さらに、クライアントデバイス160が、通信インターフェース406を介して、リクエストをバックエンドシステム150または制御装置110に送信するように構成する。
【0049】
例えば、管理アプリケーション412を用いることで、ユーザは、通知またはシステムのアラートを確認したり、圧力タンク内の水位を確認したり、診断情報(例えば、電流測定値、電圧測定値、抵抗測定値)を、完全なサイクルについてのプロットされた値として、または瞬間値として確認したり、その他のシステム情報(例えば、画像、サービスメモなど)を確認したりすることができる。ユーザはまた、井戸システムのモードを、休暇モード、ストームモード、保守モードなどに切り替えることができる。使用量情報も、管理アプリケーション412を介して利用可能である。例えば、電力利用および水使用を制御装置110によって追跡し、管理アプリケーション412で確認することができる。一般に、井戸システムの全体的な制御が、管理アプリケーション412を介して利用可能である。
【0050】
ここで図5を参照すると、制御装置とクライアントデバイスとの間の通信を容易にするための方法500のフローチャートが示されている。方法500は、例えば、上述のバックエンド装置150によって実施することができる。502において、住宅所有者プロファイルと制御装置との間の関連付けが確立される。住宅所有者アカウントと住宅所有者の制御装置の識別子との間のリンクにより、バックエンドシステムが制御装置から情報を受信することが可能となり、住宅所有者はクライアントデバイス上の管理アプリケーションを介してログインして情報を閲覧し、井戸システムを制御することができる。504において、井戸システム情報が制御装置から取得され、住宅所有者プロファイルに関連付けて記憶される。井戸システム情報には、ステータス情報、動作履歴情報、構成設定、通知などを含めることができる。506で、クライアントデバイスの管理アプリケーションから、制御装置に関連する設定の変更または情報の抽出リクエストを受信する。508において、クライアントデバイスに関連付けられたユーザのアクセスレベルに基づいてリクエストが評価される。例えば、住宅所有者は、すべての情報への自由なアクセスを有することができるが、サービス契約者は、住宅所有者によって指定された制約を受け、アクセスが制限されることがある。510において、アクセスが許可されるとリクエストが処理され、応答情報がクライアントデバイスに送信される。512において、バックエンドシステムは、リクエストに基づいて、必要に応じて制御装置と通信する。例えば、リクエストは、制御装置の設定またはモードに対する変更であってもよい。したがって、バックエンドシステムは、制御装置と通信して変更を実施する。別の例では、リクエストは、バックエンドシステムに格納されていない情報の一部に関連するものとできる。このような場合、バックエンドシステムは制御装置と通信して、リクエストされた情報を抽出する。
【0051】
次に、図6を参照すると、井戸システムを制御するための例示的な方法600のためのフローチャートが描かれる。方法600は、例えば、制御装置110によって実施することができる。602において、データがシステム構成要素から取得される。例えば、圧力センサ、圧力タンクに関連するセンサ、漏れセンサ、および井戸ポンプからのデータが、制御装置によって収集され得る。604で、圧力測定値が設定値(具体的にはカットイン圧力)を上回っているか否か判断される。否定される場合、制御装置は、606でポンプを作動させ、圧力がカットオフレベルに増加するまでポンプを作動させ続ける。604において圧力が設定値を上回る場合、制御装置は、システム構成要素から取得されたデータを評価して、608において、何らかのアラーム条件が存在するか否かを判断する。アラーム条件が存在する場合、制御装置は、610でバックエンドシステムに通知を送信する。アラーム条件が存在しない場合、または通知を送信した後、制御装置は、612において、メッセージがバックエンドシステムから受信されたかどうかを判定する。メッセージが受信されない場合、制御装置は602に戻り、システム構成要素から新しいデータを取得し、方法600を繰り返すことができる。しかしながら、メッセージが受信されると、制御装置は、614において、受信されたメッセージに従って設定を更新し、および/または情報を送信することができる。
【0052】
図7では、クライアントデバイスを介して井戸システムを管理するための例示的な方法700のフローチャートが示されている。方法700は、例えば、クライアントデバイス160および/または管理アプリケーション412によって実施することができる。702において、クライアントデバイス(管理または制御アプリケーション)とバックエンドシステム(または制御装置)との間に接続が確立される。接続は、インターネットのような通信ネットワークを介して、またはデバイス間の直接接続を介してもよい。704において、バックエンドシステムまたは制御装置から情報を受信する。706において、受信された情報の少なくとも一部が、クライアントデバイス上に表示される。708で、バックエンドシステムまたは制御装置にリクエストが送信される。リクエストは、クライアントデバイスがユーザから受け取ったユーザ入力に基づくものとすることができる。リクエストを送信した後、方法700は、ステップ704に戻り、繰り返すことができる。
【0053】
図8を参照すると、井戸管理システム100の制御装置110、バックエンドシステム150、およびクライアントデバイス160間の通信を示す例示的な通信シーケンス図が示されている。図8に示すように、第1のシーケンスでは、バックエンドシステム150が制御装置110にポーリングリクエスト802を送信する。ポーリングリクエストにより、制御装置110による井戸システム情報804のバックエンドシステム150へのデータ送信を開始することができる。あるいは、制御装置110は、明示的なポーリングなしに、井戸システム情報804を周期的に送信するように構成することができる。バックエンドシステム150は、806において、受信した情報を記憶する。
【0054】
第2の例示的なシーケンスでは、クライアントデバイス160は情報リクエスト808をバックエンドシステム150に送信し、バックエンドシステム150はリクエストに応答して情報応答810をクライアントデバイス160に送信する。第3のシーケンスでは、制御装置110は、アラーム状態を検出し、その状態を示すメッセージ812を送信することができる。バックエンドシステム150は、制御装置110に関連付けられたクライアントデバイス160に通知814を送信して、ユーザにアラーム状態を警告する。第4の例示的なシーケンスでは、バックエンドシステムは、クライアントデバイス160からコマンドリクエスト816を受信することができる。コマンドリクエスト816は、制御装置110の構成を変更するモードまたは設定の変更を示すことができる。バックエンドシステム150は、コマンドリクエスト816に応答して、構成の更新818を制御装置110に送信する。制御装置110は、承認820をバックエンドシステム150に送ることができ、バックエンドシステムは、次に、コマンド応答822をクライアントデバイス160に送ることができる。構成の更新818に応答して、制御装置110は、記憶された構成情報または設定を更新することができ、その後、新しい構成に従って井戸システムを動作させることができる。
【0055】
(例示的な実施形態)
以下のセクションは、上記した例示的・非限定的な井戸管理システムの具体的かつ詳細な実施形態について説明する。以下の実施形態は、単に1つの実施可能な形態を示すものであり、主題の特許請求の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。
【0056】
井戸システム制御装置は、入力として交流115または230ボルトのいずれかをサポートする電気装置であり得る。井戸ポンプを制御するために、制御装置はポンプへの電力の両側に介入することができる。制御装置は、1つまたは複数のLEDインジケータを含むことができる。1つのインジケータ(例えば、緑色)は、制御装置がアクティブな通信接続を有するときに点灯することができる。別のインジケータ(例えば、赤色)は、エラーに対応して点灯することができる。単一の多色LEDを、両方のインジケータとして利用することもできることが理解されるべきである。制御装置は、約10PSI~100PSIの範囲のシステム流体圧力で動作するように構成することができる。制御装置は、入力電圧または他のシステム要件に応じて、1馬力または2馬力のポンプで動作できる。制御装置は、2.4GHz、5GHz、または他の動作周波数での802.11a/b/g/n通信に適したWiFiアダプタを含むことができる。制御装置には、定格30アンペアまでのリレーを含めることができる。電源接続および/またはポンプ接続用の端子ブロックインターフェースは、最大でAWG10のソリッドワイヤまたは撚り線ワイヤを受け入れるように構成できる。
【0057】
適切な圧力センサは、125PSIGの耐圧および375PSIGの破裂圧力を有することができる。圧力精度は、125PSIGの過圧後でも維持され得る。圧力センサは、10PSIGから100PSIGまでは線形応答性能を有することができる。一実施形態では、ソフトウェアは、10PSIG未満のシステム圧力に対しては全てゼロPSIGを示し得る。圧力センサは、10~100PSIGの間では最大圧力の±2%の較差を有し、温度に対して最大圧力の±5%の精度を有することができる。
【0058】
制御装置出力には、アンペア数(ポンプ稼働中の測定値)、オーム数(ポンプ稼働中の測定値)、電圧(ポンプに送られる電位)、ランタイム(例えば、サイクルランタイムと合計ランタイムの両方)、およびエラーコードを含めることができる。
【0059】
回路基板、センサ等のための筐体ハウジングは、0.25インチの雌型NPTへの取り付けに適したパイプインターフェースを含むことができる。
【0060】
制御装置ソフトウェアは、起動モード、セットアップモード、標準モード、休暇モード、ストームモード、および保守モードを含むが、これらに限定されない、様々な動作モードを有することができる。デバイスとの直接接続は、制御装置のシリアル番号に基づく。起動モードでは、圧力タンクが充填されてプリチャージが決定され、圧力設定が自動的に+2PSIと+22PSIのプリチャージが設定される。制御装置ソフトウェアは、ウェブページ、またはクライアントデバイスにダウンロードされるソフトウェアアプリケーションを介してセットアップモードを入力することができる。クライアントデバイスは、例えば、ホームルーターを介してインターネットに接続するようにWiFiアダプタを設定できる。WiFi構成は、制御ボード上のリセットボタンでクリアすることができる。リセットボタンはまた、圧力タンク(新品または交換品)をセットアップするために、制御装置を初期起動モードに移行させることができる。標準モードでは、ポンプは設定されたカットインおよびカットアウト圧力に従って運転される。休暇モードでは、ポンプの運転が防止される。休暇モード中にシステムリクエストが発生した場合(すなわち、タップの開放があった場合)、アラート通知を送信することができる。クライアントデバイス上のアプリケーションは、動作をオーバーライドし、許可することができる。ストームモードでは、カットイン圧力とカットアウト圧力は、タンクサイズに基づいて最大許容容量を維持するように調整される。制御装置は、ある期間(例えば、48時間)の経過後、電力をリセットした後、または初期セットアップの後に、標準モードに戻ることができる。保守モードでは、ポンプを作動不能にすることができ、制御装置は、蛇口が開かれた後にタンクのプリチャージ圧力を確認するために、負の圧力勾配をプロファイルする。
【0061】
制御装置は、ポンプサイクルおよびプリチャージ低下の監視を提供することができる。例えば、ポンプ運転時間が、コミッショニング中に観察されるよりも50%短い場合、プリチャージ低下黄色アラートを発することができる。また、制御装置は、急速なサイクルまたは長期需要を監視することができる。例えば、ポンプが30分間(調整可能な値)稼動すると、長期需要アラートを送信してポンプの電源を切ることができる。低圧状態(例えば、10PSIG未満)が30秒間測定される場合、ポンプを60分間無効にすることができ、低圧アラートを送信することができる。
【0062】
また、制御装置は、電圧監視のために構成されてもよい。範囲外の電圧が60秒間検出されると、ポンプは無効になり、電圧アラートが送信される。電圧が再び範囲内に下がると、ポンプは再び有効になる。制御装置は、運転時間の記録と報告によってポンプの運転時間を監視する。参照用に初期ランタイムの測定をすることができる。制御装置は、上記のすべてのアラートとメッセージにタイムスタンプを付けることができる。
【0063】
制御装置ソフトウェアは、WiFi接続を介してリモートでアップデートできる。不揮発性メモリを内蔵することで、停電からの再起動時に制御装置を初期設定に戻さないようにすることができる。
【0064】
制御装置ソフトウェアは、井戸システムの初期運転のための起動モードに置かれてもよい。起動モードでは、制御装置ソフトウェアは、予め設定された圧力設定点まで井戸圧力タンクを自動的に満たす。井戸圧力タンクを排水すると、制御装置ソフトウェアは自動的に井戸圧力タンクのプリチャージ圧力を計算する。カットインおよびカットアウト圧力の設定値は、井戸システムの初期試運転中に記録された井戸圧力タンクのプリチャージ圧力ごとに計算され、自動的に設定される。カットインおよびカットアウト圧力の設定値は、それぞれプリチャージ圧力よりも2PSI高い値とプリチャージ圧力よりも22PSI高い値に設定される。例えば、井戸圧力タンクのプリチャージ圧力が20PSIであれば、カットイン圧力が22PSI、カットアウト圧力が42PSIとなる。起動モードでは、WiFiは有効にならない。このため、他のすべての制御装置モードは、井戸システムの初期運転が完了し、制御装置ソフトウェアが起動モードを終えるまで、無効とされる。
【0065】
井戸システムの初期運転が完了した後、制御装置ソフトウェアはセットアップモードに置かれてもよい。セットアップモードは、制御装置110をローカルWiFiネットワークに接続し、初期設定を制御装置110メモリ202にプログラムする役割を果たす。これらの設定は、井戸システムのその後のパワーアップのために保持され、利用される。WiFi接続が確立されると、ユーザは、クライアントデバイス160を介して、ホームアドレス、ホーム電子メール、契約者電話番号、契約者電子メール、井戸ポンプ馬力、井戸圧力タンクモデル番号、制御装置ソフトウェアパスワードなどのセットアップ情報を入力する。起動モードから確立された自動カットインおよびカットアウト圧力の設定値は、クライアントデバイス160からの直接的なユーザ入力によって、異なる圧力値に手動でオーバーライドされてもよい。制御装置ソフトウェアは、制御装置設定への変更がクライアントデバイス160を介して行われない限り、自動的に構成された設定値を用いて井戸ポンプシステムを動作させる。制御装置設定がクライアントデバイス160を介して調整される場合、制御装置ソフトウェアは、手動で調整された設定を用いて動作する。制御装置ソフトウェアは、不適切な制御装置設定に対して確認チェックを実行する。これらのセットアップモードチェックは、保存された値と、プリチャージ圧力、カットイン圧力、カットアウト圧力、流量、井戸ポンプ馬力、井戸圧力タンク体積などの測定値を使用して実行され、アラートを発信したり不適切な設定に対する補正値を提案したりするために使用されることがある。例えば、設定モード中に情報を入力すると、制御装置は、不適切なカットイン圧力、不適切な井戸圧力タンクサイズなどに対してアラートを発し、補正カットイン圧力、井戸タンクサイズなどを示唆することができる。必要であれば、制御装置110を介してハードリセットを発すると、セットアップモード構成設定をクリアし、再度起動モードに入ることができる。
【0066】
標準モードでは、制御装置ソフトウェアは、制御装置の始動およびセットアップモード中に構成された設定を使用して動作する。制御装置110は、それに応じて、井戸システムのポンプ120を監視し、制御する。エネルギを節約し、コスト節約を促進するために、制御装置は、事前に設定されたオフピーク時間は井戸ポンプの運転を制限するように設計されたオフピーク電力設定を含む。オフピーク時間は、クライアントデバイス160を介して設定される。オフピーク時間に井戸ポンプ120の作動頻度を減らすことにより、井戸システムの電力消費を減らし、住宅所有者の電力コストを節約する。
【0067】
休暇モードでは、制御装置ソフトウェアは、予定外の使用を防止したり、想定される漏れなどから保護したりするために、井戸ポンプが作動するのを防止する。もし井戸ポンプが作動し始めると、制御装置はアラートを発し、井戸ポンプを停止する。休暇モード中の計画されたまたは予想される使用を可能にするために、制御装置は、バイパスモードを組み込む。バイパスモードは、スプリンクラシステムの実行などのスケジュールされたイベントを可能にするために、クライアントデバイス160を介して有効または無効にすることができる。バイパスモードにある間は、予想される使用がスケジュールされた通りに続くことを可能にするために、井戸制御装置は、アラートを発しないか、または井戸ポンプ120を停止しない。
【0068】
ストームモードでは、制御装置ソフトウェアは、井戸圧力タンクを最大容量まで充填し、停電や工事の場合に、最大容量の使用可能な水が確実に井戸タンクに貯蔵されるようにする。制御装置ソフトウェアは、井戸システムのセットアップモード中に得られたタンクモデル番号と圧力設定を使用して、最大タンク体積を計算する。ストームモードは、クライアントデバイス160を介して手動で、またはローカルWiFiネットワークを介して受信された地元の気象データを利用して自動的に入ることができる。制御装置ソフトウェアは、最大48時間、またはクライアントデバイス160を介して新しいモードが選択されるか、いずれか早い方までストームモードを維持する。48時間の最大時間の後、制御装置ソフトウェアは標準モードに戻る。
【0069】
制御装置ソフトウェアは、井戸システムの予定された保守を可能にするために保守モードにすることができる。制御装置ソフトウェアが保守モードにある間、井戸ポンプ120は始動することなく、制御装置ソフトウェアによって自動的に停止される。例えば、制御装置ソフトウェアは、プリチャージ圧力分析を可能にするために保守モードにされてもよく、その間、井戸ポンプは、システム140からの水需要にかかわらずオフのままである。制御装置ソフトウェアは、非保守井戸機能を再開するために、保守モードから別のモード(例えば、標準モード)にされてもよい。
【0070】
井戸管理システム用の制御装置ソフトウェアは、プリチャージ低下、大規模な水使用、井戸ポンプ急速サイクル、井戸ポンプ低電流、井戸ポンプ高電流、井戸ポンプ不適切電圧、低稼働圧力、休暇モードでの井戸ポンプ使用、ストームモード不作動、WiFi接続のロス等の様々なアラーム条件について監視し、アラートを発行するようにプログラムされてもよい。制御装置ソフトウェアによって生成された各アラートメッセージは、タイムスタンプ(すなわち、WiFiネットワークを通じて提供された日時)を付けられ、クライアントデバイス160に送信され、将来の参照のために記録される。アラートはまた、井戸システムのセットアップモードで構成されるように、指定された契約者に送信されてもよい。アラートはまた、制御装置ソフトウェアによって生成されたアラートに関して指定された契約者に連絡するオプションと共に、電子メールによって住宅所有者に送信されてもよい。さらに、アラートは、電子メールを介して、またはクライアントデバイス160を介して、契約者に直接送信されてもよい。
【0071】
制御装置ソフトウェアは、プリチャージ低下を監視し、アラートを発することができる。プリチャージ低下を判断するために、制御装置ソフトウェアは、起動モードにある間、最初の井戸ポンプ実行サイクルから記録された井戸ポンプ運転時間を、井戸ポンプの後続の実行サイクルに記録された井戸ポンプ運転時間と比較する。最初の起動モードから記録された井戸ポンプ運転時間は、その後に記録されたすべての井戸ポンプ運転時間との基本比較として役立つ。後続の井戸ポンプ実行時間が、最初に記録された実行時間から50%以上減少した場合、制御装置ソフトウェアは、クライアントデバイス160にアラート(例えば、プリチャージ低下警告)を発する。
【0072】
制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプシステム140からの大規模な水の使用を監視し、アラートを発することができる。設定された閾値を超える水の使用を検出すると、制御装置ソフトウェアは、クライアントデバイス160にアラートを発し、井戸ポンプ120を停止する。アラートは、無視されてもよく、または井戸システムのセットアップモードで構成されるように、指定された契約者に送信されてもよい。アラートが無視されると、制御装置ソフトウェアは、指定された時間(例えば、1時間)後にアラートをクリアし、アラートがクリアされると、制御装置ソフトウェアの標準モードごとの自動システム制御に戻る。制御装置ソフトウェアがバイパスモードにある間、スケジュールされたまたは計画されたイベント(例えば、水泳用プールを満たすこと)を可能にするために、大規模な水使用の監視およびアラートは無効にされる。
【0073】
制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプ120の急速なサイクルを監視し、アラートを発することができる。井戸ポンプ総運転時間は、24時間にわたって記録され、監視される(すなわち、時計時間に依存しない)。制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプの実行サイクル数(1実行サイクルは、ポンプオフ-ポンプオン-ポンプオフを意味する)に基づいて、またはポンプ実行サイクルの長さに基づいて、またはポンプ実行サイクルの数および長さの両方に基づいて、急速サイクルのアラートを発してもよい。急速なサイクルを検出すると、制御装置ソフトウェアは、クライアントデバイス160にアラートを発する。但し、制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプ120を作動させ続ける。アラートは、無視されてもよく、または井戸システムのセットアップモードで構成されるように、指定された契約者に送信されてもよい。アラートが無視されると、制御装置ソフトウェアは指定された時間(例えば、24時間)後にアラートをクリアする。
【0074】
制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプからの低電流引き込みを監視し、アラートを発することができる。制御装置が井戸ポンプを作動させようとしている間に、設定された閾値未満の電流引き込みを検出すると、制御装置ソフトウェアは、クライアントデバイス160にアラートを発し、井戸ポンプ120を停止する。アラートは、無視されてもよく、または井戸システムのセットアップモードで構成されるように、指定された契約者に送信されてもよい。アラートが無視されると、制御装置ソフトウェアは、指定された時間(例えば、1時間)後にアラートをクリアし、アラートがクリアされると、制御装置ソフトウェアの標準モードごとの自動システム制御に戻る。
【0075】
制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプからの過剰な電流の引き込みを監視し、アラートを発することができる。制御装置が井戸ポンプを作動させようとしている間に、設定された閾値を超える電流引き込みを検出すると、制御装置ソフトウェアは、クライアントデバイス160にアラートを発する。但し、制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプ120を作動させ続ける。アラートは、無視されてもよく、または井戸システムのセットアップモードで構成されるように、指定された契約者に送信されてもよい。アラートが無視されると、制御装置ソフトウェアは指定された時間(例えば、24時間)後にアラートをクリアする。
【0076】
制御装置ソフトウェアは、井戸ポンプの不適切な電圧を監視し、アラートを発することができる。不適切な電圧を検出すると、制御装置ソフトウェアは、クライアントデバイス160にアラートを発し、指定された時間(例えば、2分)の経過後に井戸ポンプ120を停止する。アラートは、無視されてもよく、または井戸システムのセットアップモードで構成されるように、指定された契約者に送信されてもよい。アラートが無視されると、制御装置ソフトウェアは、指定された時間(例えば、1時間)後にアラートをクリアし、アラートがクリアされると、制御装置ソフトウェアの標準モードごとの自動システム制御に戻る。
【0077】
制御装置ソフトウェアは、低作動圧力を監視し、アラートを発することができる。センサ112からの作動圧力が設定された閾値(例えば、10PSI)未満であることを検出すると、制御装置ソフトウェアは、クライアントデバイス160にアラートを発し、井戸ポンプ120を停止する。アラートは、無視されてもよく、または井戸システムのセットアップモードで構成されるように、指定された契約者に送信されてもよい。アラートが無視されると、制御装置ソフトウェアは、指定された時間(例えば、24時間)後にアラートをクリアし、アラートがクリアされると、制御装置ソフトウェアの標準モードごとの自動システム制御に戻る。
【0078】
クライアントデバイス160は、井戸管理システムに関する有用な情報を示すことができる。カットイン圧力、カットアウト圧力、低電流タイマー、オフピーク時間、システムシリアル番号、井戸タンクモデル番号、住宅所有者アドレス、契約者連絡先情報、プリチャージ圧力、パスワード設定などの利用可能なシステム設定にアクセスすることができる。さらに、システム実行時間、WiFi接続、実行サイクル数、電流引き込み、電圧引き込み、抵抗、井戸タンク圧、水量などの種々のシステム状態をクライアントデバイス160で見ることができる。クライアントデバイスから、制御装置ソフトウェアモードを表示し、開始することができる。現在の(すなわち、過去ではない)井戸システム情報に加えて、制御装置は、ジョブサイトメモ、ジョブサイト写真、電流引き込み履歴、電圧引き込み履歴、電圧履歴、システム総実行時間などの過去の情報を記憶することができる。クライアントデバイス160を介して利用可能な情報および設定は、住宅所有者または井戸システムに関連付けられた契約者によってアクセスされてもよい。契約者のアクセスは、井戸システムに関して住宅所有者によって設定された許可によって制限される(すなわち、契約者は、クライアントデバイス160を介した井戸システムへの完全なアクセスを有することもあり、制限されたアクセス、またはアクセスを一切有しないこともある)。
【0079】
図9は、バックエンドシステムを介して制御装置に接続する管理または制御アプリケーションのための例示的な住宅所有者インターフェースを示す。図10は、管理または制御アプリケーションのための例示的な契約者インターフェースを示す。
【0080】
(例示的な計算機)
当業者であれば、本明細書に記載される井戸管理システムの様々な実施形態は、コンピュータネットワークの一部として、またはクラウドなどの分散コンピューティング環境において展開することができる、任意の計算機、クライアントデバイス、またはサーバデバイスに関連して実施することができることを理解することができる。本明細書で説明される様々な実施形態は、任意の数のメモリまたは記憶ユニット、任意の数の処理ユニット、ならびに任意の数の記憶ユニットおよび処理ユニットにわたって発生する任意の数のアプリケーションおよびプロセスを有する、実質的に任意のコンピュータシステムまたはコンピューティング環境で実施することができる。これは、複数のコンピューティング可能なオブジェクト間に分散されるコンピューティング資源(すなわち、メモリ、永続的記憶部、プロセッササイクル、ネットワーク帯域幅など)を集約する物理的な計算機(例えば、サーバ)を有するクラウド環境を含むが、これらに限定されない。物理的な計算機は、有線通信媒体(例えば、光ファイバ、ツイストペア線、同軸ケーブルなど)および/または無線通信媒体(例えば、マイクロ波、衛星、携帯、無線またはスペクトル拡散、自由空間光など)のような種々の物理通信リンクを介して相互通信することができる。物理的な計算機は、クライアント計算機にコンピューティングサービスまたは機能を提供するために、アプリケーションまたはサービスプロバイダによって使用されるさまざまなレベルの抽象化に従って集約および公開することができる。クライアント計算機は、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、ウェブブラウザ、または他のスタンドアロンアプリケーションまたはネットワークアプリケーションを介してコンピューティングサービスまたは機能にアクセスすることができる。したがって、井戸管理システムの態様は、このようなクラウド環境に基づいて実施することができる。例えば、バックエンドシステム150は、その機能性を実現するコンピュータ実行可能命令が、複数の物理的な計算機によって提供される集約されたコンピューティングリソースと共に実行されるように、クラウド環境に常駐することができる。クラウド環境は、クライアントデバイス160および制御装置110上の管理アプリケーション412によって利用される、バックエンドシステム150への1つ以上のアクセス方法を提供する。これらのアクセス方法には、IPアドレス、ドメイン名、URIなどが含まれる。集約されたコンピューティングリソースは、互いに離れた場所にある物理的な計算機によって提供できるので、クラウド環境は、ネットワークデータを適切に調整するルータ、ロードバランサ、スイッチなどの追加のデバイスを含むことができる。
【0081】
図11は、クラウドコンピューティング環境1100などの例示的なネットワーク化コンピューティング環境または分散コンピューティング環境の概略図を提供する。クラウドコンピューティング環境1100は、一般にインターネットを介して1つ以上のクライアントデバイスに利用可能なコンピューティングリソースの集合を表す。クラウドコンピューティング環境1100は、様々なレベルの抽象化、すなわち、インフラストラクチャ1110、プラットフォーム1120、およびアプリケーション1130を備える。インフラストラクチャ1110からアプリケーション1130までの各レベルは、一般に、下位レベルの上に実装され、インフラストラクチャ1110は、最下位レベルを表す。
【0082】
インフラストラクチャ1110は、一般に、クラウドサービスが配備される物理リソースおよび部品を包含する。例えば、インフラストラクチャ1110は、仮想マシン1112、物理マシン1114、ルータ/スイッチ1116、およびネットワークインターフェース1118を含むことができる。ネットワークインターフェース1118は、インターネットまたは他のネットワークを介して、計算機1140、1152、1160等のクライアントデバイスからクラウドコンピューティング環境1100へのアクセスを提供する。すなわち、ネットワークインターフェース1118は、クラウドコンピューティング環境1100の最も外側の境界を提供し、クラウドコンピューティング環境1100を他のネットワーク、インターネット、およびクライアント計算装置に接続する。ルータ/スイッチ1116は、ネットワークインターフェース1118を、コンピュータプロセッサ、メモリ、大容量記憶装置を含む計算機たる物理マシン1114に接続する。物理マシン1114のハードウェアを仮想化して、仮想マシン1112を提供することができる。一態様では、仮想マシン1112は、1つまたは複数の物理マシン1114上で実行することができる。すなわち、1つの物理マシン1114は、複数の仮想マシン1112を含むことができる。
【0083】
インフラストラクチャ1110上に実装されるプラットフォーム1120は、アプリケーション1130の基礎を形成するソフトウェアを含む。ソフトウェア形成プラットフォーム1120は、オペレーティングシステム1122、プログラミングまたは実行環境1124、ウェブサーバ1126、およびデータベース1128を含む。プラットフォーム1120のソフトウェアは、仮想マシン1112および/または物理マシン1114にインストールすることができる。
【0084】
アプリケーション1130は、プラットフォーム1120上に実装され、様々なクライアントデバイスにサービスを提供するユーザ向けソフトウェアアプリケーションを含む。この点に関して、本明細書で説明される井戸管理システム100のバックエンドシステム150は、例示的なアプリケーション1130である。図11に示すように、クライアントデバイスは、計算機1140、1152、およびモバイル装置1160を含むことができる。計算機1140、1152は、インターネット、従ってクラウドコンピューティング環境1100に直接接続することができ、またはWAN/LAN 1150を介してインターネットに間接的に接続することができる。WAN/LAN 1150は、モバイル装置1160との無線通信(例えば、WiFi)を可能にするアクセスポイント1154を含むことができる。この点に関して、アクセスポイント1154およびWAN/LAN 1150を介して、モバイル装置1160は、クラウドコンピューティング環境1100と無線で通信することができる。モバイル装置1160はまた、GSM、LTE、WiMAX、HSPAなど(これらに限定されない)のような携帯技術に従って無線で通信することができる。したがって、モバイル装置1160は、無線通信プロバイダのコアネットワーク1164に接続されている基地局1162と無線通信することができる。コアネットワーク1164は、インターネットへのゲートウェイを含み、インターネットを介して、クラウドコンピューティング環境1100への通信経路を提供する。
【0085】
上述したように、種々の計算機およびネットワークアーキテクチャに関連して例示的な実施形態を説明したが、基礎となる概念は、画像セグメント化システムを実施することが望ましいあらゆるネットワークシステムおよびあらゆる計算機または計算システムに適用することができる。
【0086】
また、同一または類似の機能を実装する方法は複数ある。例えば、本明細書に提供される技術を利用可能なアプリケーションおよびサービス、すなわち、適切なAPI、ツールキット、ドライバコード、オペレーティングシステム、制御、独立のまたはダウンロード可能なソフトウェアオブジェクト等である。したがって、本明細書の実施形態は、API(または他のソフトウェアオブジェクト)の観点、ならびに、本明細書に記載される1つ以上の実施形態を実施するソフトウェアまたはハードウェアオブジェクトから企図されている。したがって、本明細書に記載される種々の実施形態は、全体がハードウェアである態様、部分的にハードウェアである態様、部分的にソフトウェアである態様、および全体がソフトウェアである態様を有することができる。
【0087】
用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図される。すなわち、別段の指定がない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを使用する」とは、自然な包括的置換のいずれかを意味することが意図される。すなわち、「XはAまたはBを使用する」とは、以下のいずれの意味も包含する:XはAを使用する;XはBを使用する;またはXはAおよびBの両方を使用する。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、別段の指定がない限り、または文脈から単数形を指すことが明らかでない限り、一般に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0088】
さらに、本明細書で使用される「例示的」という用語は、「何かの説明または例としての役割を果たす」ことを意味することを意図している。
【0089】
上記に、例示的な実施形態を説明した。上記の装置および方法は、クレームされた主題の一般的な範囲から逸脱することなく、変更および修正を組み込むことができることは、当業者に明らかであろう。これは、クレームされた主題事項の範囲内で、そのようなすべての修正および変更を含むことが意図されている。さらに、「包含する」という用語は、詳細な説明または請求項のいずれかで使用されている限りにおいて、請求項の移行語(transitional word)として「備える」という用語が用いられる際の解釈と同様に、包括的なものとして意図されている。
図1
図2
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図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11