(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】折り込み装置および折り込み方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61F13/15 356
A61F13/15 390
(21)【出願番号】P 2021518351
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2020017648
(87)【国際公開番号】W WO2020226074
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2019087491
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】大内 将
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰隆
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/152346(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線31の回りに回転するドラム3の円周方向Rに折り込みユニットUが複数配置され、
前記各折り込みユニットUは、
ワークWの中央部Wcをパッド面4Sに保持するパッド4と、
前記ワークWの他部を前記中央部Wcに重ねて折る折り面10を有する第1折り込み部材11および第2折り込み部材12と、
前記パッド4に吸着された前記ワークWの中央部Wcを押える押さえ機構2と、
前記パッド面4Sに平行に配置された回動軸13とを備え、
前記折り面10が前記パッド面4Sに対面する対面位置および対面姿勢まで前記第1折り込み部材11および第2折り込み部材12を前記回動軸13と共に回転させるとともに、前記回動軸13を前記パッド面4Sに交差する前記ドラム3の径方向D1に変位させるように構成されており、
かつ、前記ワークWの中央部Wcが前記パッド4に吸着され、かつ、前記押さえ機構2の第1押さえ板21により上から押さえられた状態で、前記ワークWの他部である第1端部W1が前記押さえ機構2の第1押さえ板21の端部2Eの近傍において、前記第1折り込み部材11の基端部1lBで径方向D1に押されるように構成されて
おり、
前記パッド4が前記ワークWの中央部WCを保持し、前記第1折り込み部材11が前記ワークWの長手方向WLの第1端部W1に接し、前記第2折り込み部材12が前記ワークWの前記長手方向WLの第2端部W2に接するように構成されており、
前記各折り込みユニットUの押さえ機構2の第1押さえ板21は、前記第1端部W1側に配置された第1折り込み部材11と前記第2端部W2側に配置された前記第2折り込み部材12との間において、前記ワークWの中央部WCの露出表面WSに対面ないし接触して前記ワークWの折り目を規定するように構成されている、
折り込み装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記回動軸13を前記パッド面4Sよりも前記径方向D1の外方D11に突出させた後に、前記折り面10が前記パッド面4Sに対面する対面位置まで前記第1折り込み部材11および第2折り込み部材12を回転させるように構成されている、折り込み装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記回動軸13の変位に伴って、前記回動軸13と共に前記第1折り込み部材11および第2折り込み部材12を回転させるように構成されている、折り込み装置。
【請求項4】
請求項2もしくは3において、
前記折り面10が前記パッド面4Sに対面する対面位置において、前記折り面10の前記回動軸13から離れた先端部11T,12Tが前記折り面10の前記回動軸13に近い基端部11B,12Bよりも前記パッド面4Sに向かって突出するように構成されている、折り込み装置。
【請求項5】
ドラム3の円周方向Rに複数配置された折り込みユニット∪でワークWを折り畳む折り込み方法であって、
前記ワークWの中央部Wcを前記折り込みユニットUのパッド面4S上に保持する工程と、
前記ワークWの第1端部W1を折る第1折り込み部材11が回動軸13の回りに回転して前記第1端部W1を折り曲げる工程と、
前記回動軸13を前記ドラム3の径方向D1に変位させて、前記第1折り込み部材11で前記ワークWを押す工程と、
前記第1端部W1が前記中央部Wcに重なるように、前記第1折り込み部材11の折り面10が前記ワークWを介して前記パッド面4Sに対面するまで回転する第1畳み工程と、
前記第1折り込み部材11が閉方向に回転する際に、前記第1折り込み部材11における前記回動軸13に近い基端部11Bが径方向D1の外方に向かって移動し、前記ワークWの前記第1端部W1に前記第1折り込み部材11の折り面10を押し当てる工程とを備え、
前記押し当てる工程および前記折り曲げる工程が同時に実行され、
前記押し当てる工程および前記折り曲げる工程において、前記ワークWの中央部Wcを押さえる押さえ機構2の第1押さえ板21の長手方向WLの端部2EがワークWの折り目
を規定するように、前記ワークWの中央部Wcが前記パッド4に吸着され、かつ、前記押さえ機構2の第1押さえ板21により上から押さえられた状態で、前記第1折り込み部材11が前記ワークWの第1端部W1を折り曲げることを特徴とする、折り込み方法。
【請求項6】
請求項
5において、
前記第1折り込み部材11の前記折り面10が前記ワークWの前記第1端部W1に面接触しながら前記折り曲げる工程を連続的に実行することで、前記押す工程および第1畳み工程が実行される、折り込み方法。
【請求項7】
請求項
6において、
前記パッド面4Sが前記ワークWの前記中央部WCを吸着すると共に、前記第1折り込み部材11の前記折り面10が前記ワークWの前記第1端部W1を非吸着状態で、かつ、前記ワークWの第2端部W2を折る第2折り込み部材12の折り面10が前記ワークWの第2端部Wを非吸着状態で、前記各工程が実行される、折り込み方法。
【請求項8】
請求項
7において、
前記折り込まれた前記第1端部W1に前記ワークWの第2端部W2が重なるように前記第2折り込み部材12が前記第2端部W2を折り込む第2畳み工程を更に備える、折り込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として着用物品(例えば、生理用ナプキンや失禁パッドなど)の製品、半製品、材料などを折り込む折り込み装置および折り込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の回転中心のまわりに回動するアームの先端に固定された折り込みバーを有し、当該折り込みバーにより着用物品を折り込む折り込み機構や折り装置が知られている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】JP4,354,103 B
【文献】JP6,313,101 B
【発明の概要】
【0004】
しかし、従来のアーム型の折り込み装置等では、アームの速度を上げて、折り込みに要する時間の短縮を図った場合、所定以上の速度を超えると、折り込みバーが折り位置から原点位置に復帰する際に、当該折り込みバーが物品に引っ掛かる事象が生じうる。これにより、物品に皺が発生するなどして、所定の形状に折り込めなくなり、その結果、不良品となるおそれがある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、折り込みの速度を上げても、物品を所定の形状に折り込むことができる折り込み装置および折り込み方法を提供することである。
【0006】
本折り込み装置は、軸線31の回りに回転するドラム3の円周方向Rに折り込みユニットUが複数配置され、前記各折り込みユニットUは、
ワークWの一部をパッド面4Sに保持するパッド4と、
前記ワークWの他部を前記一部に重ねて折る折り面10を有する第1折り込み部材11および第2折り込み部材12と、
前記パッド面4Sに平行に配置された回動軸13とを備え、
前記折り面10が前記パッド面4Sに対面する対面位置および対面姿勢まで前記第1折り込み部材11および第2折り込み部材12を前記回動軸13と共に回転させるとともに、
前記回動軸13を前記パッド面4Sに交差する前記ドラム3の径方向D1に変位させるように構成されている。
【0007】
本折り込み方法は、ドラム3の円周方向Rに複数配置された折り込みユニットUでワークWを折り畳む折り込み方法であって、
前記ワークWの中央部WCを前記折り込みユニットUのパッド面4S上に保持する工程と、
前記ワークWの第1端部W1を折る第1折り込み部材11が回動軸13の回りに回転して前記第1端部W1を折り曲げる工程と、
前記回動軸13を前記ドラム3の径方向D1に変位させて、前記第1折り込み部材11で前記ワークWを押す工程と、
前記第1端部W1が前記中央部WCに重なるように、前記第1折り込み部材11の折り面10が前記ワークWを介して前記パッド面4Sに対面するまで回転する第1畳み工程とを備える。
【0008】
これらの発明において、パッドがワークを保持する機能はエアの負圧による吸着でもよいし、パッドの表面に設けられた多数の針などで保持してもよいし、あるいは、別途、爪で保持してもよい。
【0009】
本発明によれば、折り込み部材の回動軸がドラムの径方向D1に変位して折り曲げが開始される。そのため、ワークの一部がパッド面に保持された状態で、ワークの他部は回動軸に押されて、前記一部と他部との境界に折り目が付けられ前記曲げる工程と押す工程とが実行される。その後、前記一部が他部に重なるように折り部材の折り面がワークを畳む。
【0010】
このように、折り目が付けられた後に折り込まれ、そのため、折り込み部材が原点位置に戻る際に折り込み部材にワークが引っ掛けられるおそれがない。したがって、折り込みの速度を上げても、皺が発生しにくく、ワークを所定の形状に折り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態を示す折り込み装置の概略正面図である。
【
図2】
図2はポイントP1~P3における各折り込みユニットの正面図である。
【
図3】
図3はポイントP2における折り込みユニットをドラムの一部と共に示す斜視図である。
【
図4】
図4はポイントP3~P6における折り込みユニットの動作を示す正面図である。
【
図5】
図5はポイントP1における同実施形態を示す折り込みユニットの斜視図である。
【
図6】
図6はポイントP2における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図7】
図7はポイントP3における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図8】
図8はポイントP4における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図9】
図9はポイントP5における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図10】
図10はポイントP6における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図11】
図11はポイントP7における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図12】
図12はポイントP8における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図13】
図13はポイントP9における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図14】
図14はポイントP10における同折り込みユニットの斜視図である。
【
図16】
図16はワークである着用物品の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。なお、添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0013】
図1に示すように、本発明の一実施形態である折り込み装置100は、軸線31の回りに回転するドラム3と、複数の折り込みユニットUとを備える。ドラム3には、円周方向Rに沿って各折り込みユニットUが配置されている。
【0014】
各折り込みユニットUは、原点(ポイントP1)から1回転する間(同ポイントP1に戻ってくるまで)に、ポイントP2で第1搬送装置81からワークWを受け取り、ポイントP3~P7においてワークWを折り込み、ポイントP10において折り込んだワークWを第2搬送装置82に渡す。
【0015】
図1の各ポイントP1~P10に対応する折り込みユニットUの状態が
図5~
図14に図示されている。
【0016】
ここで、ワークWについて説明する。
図16(a)に示すように、ワークWは、例えば生理用ナプキンのような長尺状の物品である。また、ワークWは、長手方向に延びる両サイドW
Sを有しており、当該両サイドW
Sは、幅方向中心に向かって折り畳まれている。本実施形態では、ワークWは、第1端部W1および第2端部W2が中央部W
Cに重なるように折り畳まれる。
なお、
図1~
図15において、ワークWは、作図の便宜上、平板状に図示されている。
【0017】
つぎに、
図3を参照して、ドラム3と折り込みユニットUの主たる部品との配置関係を説明する。
【0018】
図3に示すように、各折り込みユニットUは、パッド4と、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12と、押さえ機構2とを備える。
【0019】
パッド4は、折り込みユニットUに対して着脱可能に設けられており、ワークWの大きさ(長手方向WLの長さ)に応じて、適宜付け換えられる。
【0020】
また、パッド4のパッド面4Sには、多数の吸引孔4Hが形成されている。本実施形態においては、ワークWの中央部WCは、不図示のバキュームに繋がっている吸引孔4Hを介して、パッド面4Sに吸着されることにより、パッド4に保持される。なお、本実施形態の場合、ワークWの両側の端部、つまり第1端部W1および第2端部W2は、パッド4に保持されていない状態で、かつ、パッド4からはみ出している。
【0021】
図3の第1折り込み部材11および第2折り込み部材12は、方形状のパッド4の短辺側に配置されており、詳しくは、非折り込み状態において、各々、ワークWの長手方向W
Lの第1端部W1側および第2端部W2側に配置されている。この第1折り込み部材11および第2折り込み部材12は、それぞれ、回動軸13を中心に回動する。また、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12は、ワークWを折り込むための折り面10をそれぞれ有している。
【0022】
図13に明示するように、第1折り込み部材11は、上面視においてU字状となるように形成されており、回動軸13から離れた先端部11Tと、回動軸13に近い基端部11Bとを有する。先端部11Tは、基端部11B側の折り面10に対して当該折り面10の法線方向に突出している。
また、第2折り込み部材12は、上面視においてU字状となるように形成されており、回動軸13から離れた先端部12Tと、回動軸13に近い基端部12Bとを有する。先端部11Tは、基端部11B側の折り面10に対して当該折り面10の法線方向に突出している。
なお、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12の上面視における形状は、U字状に限定されず、方形状またはそれ以外の形状でも良い。
【0023】
図3の第1折り込み部材11および第2折り込み部材12のうちの少なくとも一方は、不図示の位置調整機構により、ドラム3の軸線31に平行な幅方向D2に移動可能に設けられており、ワークWの大きさ(長手方向W
Lの長さ)に応じて、適宜位置調整が行われる。
【0024】
図4に示すように、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12は、それぞれ、ワークWの第1端部W1および第2端部W2を中央部W
Cに重ねるように折り込む(
図7~
図10参照)。
【0025】
図3のパッド4と第1折り込み部材11および第2折り込み部材12とは、前記円周方向Rにおいて互いに同じ位置に配置されている。
また、ドラム3の軸線31に平行な幅方向D2は、ワークWの長手方向W
Lに設定されている。そのため、
図1のように、複数の折り込みユニットUにおいて、円周方向Rに互いに隣り合うパッド4間のピッチを小さくできる。これにより、パッド4を円周方向Rに沿ってドラム3上に多数配置することができるため、単位時間当たりの生産量の増大を図ることができる。
【0026】
つぎに、
図2の押さえ機構2の詳細について説明する。
【0027】
図2~
図5に示すように、
図2の押さえ機構2は、一対の押さえ部20と、回動フレーム23と、不図示の回動機構とを備える。
ここで、押さえ部20の一方は、円周方向Rに沿った回転方向の前方側Fに配置されており、押さえ部20の他方は、円周方向Rに沿った回転方向の後方側Bに配置されている。詳しくは、押さえ部20は
図3のパッド4の各長辺側に配置されている。
【0028】
図3~
図15に示すように、各押さえ部20は、長手方向W
Lに2分割された第1押さえ板21および第2押さえ板22を有する。
【0029】
図15に示すように、第1押さえ板21および第2押さえ板22は、上面視においてL字形状となるように形成されている。これにより、一対の押さえ部20がワークWの露出表面に対面ないし接触した際、一方の押さえ部20の第1押さえ板21および第2押さえ板22と他方の押さえ部20の第1押さえ板21および第2押さえ板22とにより、方形の枠状が形成されて、ワークWの一対の折り目Wb(
図15(f))が規定される。
【0030】
図4において、第1押さえ板21および第2押さえ板22は、それぞれ長孔24を有し、当該長孔24を挿通する固定ボルト25により回動フレーム23に固定されている。
【0031】
図4の長孔24は長手方向W
Lに延びるように形成されている。そのため、固定ボルト25を緩めて、第1押さえ板21および第2押さえ板22のうちの少なくとも一方を長手方向W
Lに移動させた後、再度、固定ボルト25を締めることにより、押さえ部20の長手方向W
Lの位置を調節できる。
これにより、第1押さえ板21および/または第2押さえ板22の各端部2Eの長手方向W
Lの位置を調節できるため、ワークWの大きさ(長手方向WLの長さ)に応じて、各折り目Wbの長手方向W
Lの位置を自在に設定できる。
【0032】
つぎに、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12の駆動について説明する。
【0033】
各折り込みユニットUは第1折り込み部材11および第2折り込み部材12ごとに第1駆動部5(図示省略)を備える。
【0034】
図7~
図10に示すように、第1駆動部5は、折り面10がパッド面4Sに対面する対面位置および対面姿勢まで、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12を回動軸13と共に回動させる。
また、第1駆動部は、
図4に示すように、回動軸13をドラム3の径方向D1(パッド面4Sに交差する方向)に変位させる。なお、
図5の回動軸13はパッド面4Sに対し平行に配置されている。
【0035】
以上のような構造により、第1駆動部5の動作にともない
図4の回動軸13がパッド面4Sよりも径方向D1の外方D11に移動した後、折り面10と前記パッド面4Sとが対面する対面位置まで第1折り込み部材11および第2折り込み部材12が回転する。
【0036】
つぎに、押さえ部20の駆動について説明する。
【0037】
図5に示すように、各折り込みユニットUは、第2駆動部6を備える。第2駆動部6は、
図5の押さえ部20がパッド4に対し円周方向R(
図3)に離れた位置から回転して、
図7のワークWの露出表面に対面ないし接触するように押さえ部20を回転させる。
【0038】
上述の動作により、
図4のワークWの中央部W
Cがパッド4に保持された状態において、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12は、それぞれ、ワークWの第1端部W1および第2端部W2に接しながら、当該第1端部W1および第2端部W2を順次折り曲げる。これにより、第1端部W1が中央部W
Cに重なるように折り込まれた後、更に、第2端部W2が第1端部W1および中央部W
Cに重なるように折り込まれる。
【0039】
つぎに、折り込み装置100によるワークWの折り込み動作について説明する。
【0040】
図2の原点位置であるポイントP1(
図1等)において、押さえ機構2および第1折り込み部材11,第2折り込み部材12は全開状態である(
図5等)。このポイントP1では、パッド4の吸引孔4Hからエアの吸引が開始されるとともに、ドラム3の軸線31回りの回転により、ポイントP1に位置する折り込みユニットUが、ポイントP2に向かって移動する。
【0041】
図2の折り込み前のワークWの受取位置であるポイントP2では、折り込みユニットUがパッド4上にワークWを受け取る(
図1等)。ここで、
図3のワークWは、ドラム3の幅方向D2と当該ワークWの長手方向W
Lとが略平行となる姿勢でパッド4に対面するとともに、ワークWの中央部W
Cがパッド4に吸着されて、第1搬送装置81(
図1)から折り込みユニットUに移動する。
【0042】
なお、本実施形態の場合、
図2のように、受取位置(ポイントP2)は、例えば、ドラム3の真横の位置(軸線31を通る水平方向延長上の位置)に設定されている。
【0043】
図3のポイントP2においても、押さえ機構2、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12は全開状態である。また、ポイントP2に位置する折り込みユニットUは、当該ポイントP2から
図2のポイントP3に向かって引き続き移動する。
【0044】
図2のポイントP2からポイントP3へ折り込みユニットUが移動する間に、一対の押さえ部20が互いに反対方向に回転して閉じる。
詳しくは、前方側の押さえ部20が円周(回転)方向Rの逆転方向に回転するとともに、後方側の押さえ部20が円周(回転)方向Rの正転方向に回転する。
これにより、
図7の各押さえ部20の第1押さえ板21および第2押さえ板22がワークWの中央部W
C(露出表面)に対面ないし接触した際、方形の枠状に形成されて、ワークWの折り目Wb(
図8)が規定される。
なお、第1押さえ板21および第2押さえ板22はワークWの表面を緩く押す程度に接触するのが好ましい。
【0045】
図3のポイントP3においても、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12は全開状態である。また、ポイントP3に位置する折り込みユニットUは、当該ポイントP3からポイントP4(
図1)に向かって引き続き移動する。
【0046】
図1のポイントP3からポイントP4へと折り込みユニットUが移動する間に、
図4の第1折り込み部材11の回動軸13をドラム3の径方向D1に変位させて、第1折り込み部材11の折り面10をワークWの第1端部W1に押し当てる工程と、第1折り込み部材11を回動軸13の回りに回動させて、ワークWの第1端部W1を折り曲げる工程とが実行される。
【0047】
一方、
図1のポイントP3からポイントP4へと折り込みユニットUが移動する間に、
図4(a)のように、第2折り込み部材12の回動軸13が径方向D1に変位するとともに、第2折り込み部材12の折り面10がパッド面4Sと略同一平面に沿った配置になる位置まで当該第2折り込み部材12が回転する。すなわち、ワークWの第2端部W2はまだ折られていない状態である。
【0048】
第1折り込み部材11の折り曲げ動作について、
図4を用いて詳しく説明する。
図4(a)に示すように、第1折り込み部材11は、閉方向に回転する際に、回動軸13に近い基端部11Bが径方向D1の外方に向かって移動し、
図4(a)に示すように、ワークWの第1端部W1に第1折り込み部材11の折り面10を押し当てる工程と、第1折り込み部材11を回動軸13の回りに回動させてワークWの第1端部W1を折り曲げる工程とが同時に実行される。
【0049】
これら2つの工程において、
図8の押さえ機構2の長手方向W
Lの端部(一方の端部)2EがワークWの折り目(一方の折り目)の基準となるように第1折り込み部材11を折り曲げる。なお、この動作については第2折り込み部材12にも同様である。
【0050】
ここで、
図4(a)のワークWは、中央部W
Cがパッド4に吸着され、かつ、押さえ機構2により上から押さえられた状態で、第1端部W1が第1押さえ板21の端部2Eの近傍において、第1折り込み部材11の基端部11Bで径方向D1に押される。
そのため、中央部W
Cと第1端部W1との間において、
図4のように、折り目Wb(
図8)が規定される。このように、折り目が規定されたワークWの第1端部W1を第1折り込み部材11で折ることにより、高速でワークWを折り曲げてもワークに皺が生じにくい。
【0051】
続いて、
図1の折り込みユニットUは、ポイントP4からポイントP5に向かって移動する。この際、
図9の第1折り込み部材11は第1端部W1を折り込み、一方、第2折り込み部材12は第2端部W2を折り曲げる。
【0052】
この後、
図9の第1端部W1が中央部W
Cに重なるように、
図10の第1折り込み部材11の折り面10がワークWを介してパッド面4Sに対面するまで回転する第1畳み工程が実行される。
【0053】
以上の押し当てる工程、第1曲げ工程および第1畳み工程において、
図4(a)および(b)の第1折り込み部材11の折り面10は、ワークWの第1端部W1に面接触しながらワークを連続的に折り曲げる。
更に、パッド面4SがワークWの中央部W
Cを吸着し、かつ、第1折り込み部材11の折り面10がワークWの第1端部W1を吸着しない非吸着状態で各工程が実行される。
また、
図9に示すように、ワークWの第2端部W2が、第2折り込み部材12により曲げられる第2曲げ工程が実行される。なお、第2曲げ工程は前述の第1曲げ工程と同様に実行されるので、その説明を省略する。
【0054】
ここで、第1折り込み部材11による折り込み動作について説明する。
図4(b)に示すように、ワークWの折り込み中において、第1折り込み部材11が回動軸13のまわりに回転すると共に、回動軸13が径方向D1の外方に向かって移動する。そのため、ワークWが、第1押さえ板21の端部2Eの近傍においてヘアピンのように曲がる。その結果、厚みの大きいワークWであってもワークWを折り込み易い。
【0055】
続いて、
図1の折り込みユニットUは、ポイントP5からポイントP6に向かって移動する。この際、
図10の第1折り込み部材11が第1端部W1を折り込んだ状態を維持しながら、第2折り込み部材12が第2端部W2を折り込む。
【0056】
こうして、折り込まれた第1端部W1にワークWの第2端部W2が重なるように折り込む第2畳み工程が実行される。第2折り込み部材12による第2押し工程、曲げ工程および畳み工程は、第1折り込み部材11によるそれと同様であり、したがって、その説明を省略する。
なお、
図4(b)に示すように、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12の各折り面10がパッド面4Sに対面する姿勢において、第2折り込み部材12の回動軸13が第1折り込み部材11の回動軸13よりも外方D11に位置するように設定されてもよい。
【0057】
続いて、
図1の折り込みユニットUは、ポイントP6からポイントP7に向かって移動する。この際、
図11に示すように、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12が、各々、ワークWの第1端部W1および第2端部W2を押さえ付けた状態で、テープTが第1端部W1と第2端部W2とに跨るように貼付装置83(
図1)により貼付される。
【0058】
続いて、
図1の折り込みユニットUは、ポイントP7からポイントP8を経てポイントP9まで移動する。この際、
図12および
図13の一対の折り込み部材(第1折り込み部材11,第2折り込み部材12)が開いてワークWから離れると共に、押さえ機構2が開いてワークWから離れる。
【0059】
続いて、
図1の折り込みユニットUは、ポイントP9からポイントP10に向かって移動すると共に、ポイントP10において
図14のワークWの吸着保持を終了する(不図示のバキュームを停止させる)。同時に、ポイントP10において、折り込みユニットUから
図1の第2搬送装置82にワークWが渡される。
【0060】
その後、
図1の折り込みユニットUは、ポイントP10から再びポイントP1の原点位置まで移動し、次のワークWを第1搬送装置81から受け取る。
【0061】
ところで、上述の実施形態では、
図7の第1折り込み部材11および第2折り込み部材12がワークWの折り込み動作を開始する前に押さえ機構2によるワークWの折り目を規定する工程が完了したが、これに限られず、第1折り込み部材11または第2折り込み部材12がワークWの折り込み動作を完了する前に、押さえ機構2によるワークWの折り目を規定する工程が完了していればよい。
【0062】
また、
図1のポイントP8およびポイントP9において第1折り込み部材11,第2折り込み部材12および押さえ部20を開く工程は、いずれが先行してもよいし、互いに同時であってもよい。
【0063】
さらに、本実施形態では、ポイントP10において、折り込みユニットUから第2搬送装置82に折り込まれたワークWを渡したが、これに限定されず、一対の折り込み部材(第1折り込み部材11,第2折り込み部材12)が開いてワークWから離れると共に、押さえ機構2が開いてワークWから離れた後のポイント(ポイントP8またはポイントP9)であれば、折り込みユニットUから第2搬送装置82に折り込まれたワークWを渡しても良い。
【0064】
つぎに、
図8の押さえ部20の端部2Eによる折り目の位置を変更する場合について説明する。
【0065】
折り目の位置は、ワークWの種類が変更された場合の他、以下のような場合にも変更される。
【0066】
本例の場合、
図1および
図3に示すように、ワークWは横長の状態で、かつ、パッド4がワークの中央部W
Cのみを吸着した状態で受け取る。そのため、ワークの第1端部W1または第2端部W2が重い場合などにおいて、
図15(a)に示すように、ワークWがパッド面4Sに対して傾いた状態でパッド4に吸着されることがある。
【0067】
この状態で、
図15(a)~(c)に示すように、ワークWを折り込むと、
図15(c)に示すように、ワークの折り込み状態が悪く、商品価値の低下や、梱包時にワークが嵩高くなり易い。
【0068】
そこで、ワークの折り込み状態を改善するために以下のような手法を採用してもよい。
【0069】
前述のとおり、
図4(a)の押さえ部20の第1押さえ板21および第2押さえ板22は、長手方向W
Lに2分割されており、かつ、回転フレーム23において長手方向W
Lに位置変更ができるようにボルト25で固定されている。したがって、各第1押さえ板21および第2押さえ板22の各端部2Eの長手方向W
Lの位置をワークに応じて変更することができる。
【0070】
例えば、
図15(d)のように、ワークWがパッド4に対して傾いている場合、互いに対角に配置された前方側Fの第2押さえ板22と後方側Bの第1押さえ板21とをワークWの中央寄りに固定する。
すなわち、前方側Fの第2押さえ板22は後方側Bの第2押さえ板22よりも中央寄りに固定され、一方、後方側Bの第1押さえ板21は前方側Fの第1押さえ板21よりも中央寄りに固定される。これにより、
図15(e)の第1端部W1の折り目Wbと
図15(f)の第2端部W2の折り目Wbは、互いに平行に、かつ、パッド4に対し斜めになる。そのため、ワークの折り込み状態が改善される。
【0071】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
【0072】
好ましい装置においては、第1駆動部5が前記回動軸13を前記パッド面4Sよりも前記径方向D1の外方D11に突出させた後に、
前記折り面10が前記パッド面4Sに対面する対面位置まで第1駆動部5が前記第1折り込み部材11および第2折り込み部材12を回転させる。
【0073】
この場合、ワークWの他部はワークWの一部に対し、径方向の外方に変位した後に折り込まれ、そのため、着用物品のような厚いワークWであっても、折り込み後に皺が生じにくいだろう。
【0074】
より好ましくは、第1駆動部5による回動軸13の変位に伴って、第1駆動部5が回動軸13と共に一対の折り込み部材(第1折り込み部材11および第2折り込み部材12)を回転させる。
この場合、回動軸13の変位と一対の折り込み部材(第1折り込み部材11および第2折り込み部材12)の回転とが、第1駆動部5により連動し、駆動源を1つにすることができる。
【0075】
好ましくは、折り面10がパッド面4Sに対面する対面位置において、折り面10の回動軸13から離れた先端部11T(12T)が折り面10の回動軸13に近い基端部11B(12B)よりもパッド面4Sに向かって突出している。
この場合、先端部11Tがワークをパッド面に押し付けた状態において、基端部11Bはワークの折り目近傍に緩く接触し、そのため、ワークの折り目近傍がヘアピン状に湾曲する。その結果、厚物のワークに皺が生じにくい。
【0076】
ワークは三つ折りにされてもよい。
例えば、前記パッド4が前記ワークWの中央部WCを保持し、前記第1折り込み部材11が前記ワークWの長手方向WLの第1端部W1に接し、前記第2折り込み部材12が前記ワークWの前記長手方向WLの第2端部W2に接してもよい。すなわち、第1折り込み部材11がワークWの第1端部W1を折り込み、第2折り込み部材12がワークWの第2端部W2を折り込むようにしてもよい。
【0077】
好ましくは、各折り込みユニットUは前記第1端部W1側に配置された第1折り込み部材11と前記第2端部W2側に配置された前記第2折り込み部材12との間において、ワークWの中央部WCの露出表面WSに対面ないし接触してワークWの折り目を規定する押さえ機構2を更に備える。
この場合、ワークをパッド面に保持するだけでなく、ワークの露出表面WSに対面ないし接触する押さえ機構2により、ワークの折り目の位置にバラツキが生じにくい。
【0078】
好ましい折り込み方法においては、第1折り込み部材11の前記折り面10がワークWの第1端部W1に面接触しながら折り曲げる工程を連続的に実行することで、押す工程および第1畳み工程が実行される。
【0079】
第1折り部材11が第1端部W1に面接触することにより、ワークの変形した形状が維持され易く、折り曲げられ中のワークや、折り畳まれたワークが不用意に元の形状に戻るのを防止できる。
【0080】
より好ましくは、前記パッド面4Sが前記ワークWの前記中央部WCを吸着すると共に、前記第1折り込み部材11の前記折り面10が前記ワークWの前記第1端部W1を非吸着状態で、かつ、前記ワークWの第2端部W2を折る第2折り込み部材12の折り面10が前記ワークWの第2端部Wを非吸着状態で、前記各工程が実行される。
【0081】
この場合、パッド面でワークの中央部を吸着する一方で、第1折り込み部材11および第2折り込み部材12はワークを吸着していない。これにより、厚物のワークであっても、折り面10に沿う形でワークがヘアピン状に緩やかに屈曲するため、ワークに皺が生じにくい。
【0082】
本折り込み方法は、前記折り込まれた前記第1端部W1に前記ワークWの第2端部W2が重なるように前記第2折り込み部材12が前記第2端部W2を折り込む第2畳み工程を更に備えていてもよい。すなわち、前記第1折り部材11によって前記第1端部W1を折り込んだ後に当該折り込まれた前記第1端部W1に重なるように前記第2折り部材12によって前記第2端部W2を折り込んでもよい。
【0083】
1つの前記各技術思想または前述の実施形態に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の技術思想または他の実施形態において同一または類似な形で、および/または他の技術思想または実施形態の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0084】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、折り込みユニットの数は2以上であればよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明はナプキンや失禁パッドなどの着用物品や動物用の吸収性物品などの物品の折り込み装置および折り込み方法に適用し得る。
【符号の説明】
【0086】
10:折り面 11B,12B:基端部 11T,12T:先端部
11,12:(第1、第2)折り込み部材 13:回動軸
2:押さえ機構 20:押さえ部 21,22:(第1、第2)押さえ板 2E:端部
23:回動フレーム 24:長孔 25:ボルト
F:前方側 B:後方側
3:ドラム 31:軸線
4:パッド 4S:パッド面 4H:吸引孔
5:第1駆動部 6:第2駆動部
81,82:第1、第2搬送装置 83:貼付装置
D1:径方向 D11:径方向の外方 D2:幅方向
R:円周方向(回転方向) T:テープ
U:折り込みユニット
W:ワーク W1,W2:(第1、第2)端部 Wb:折り目 WC:中央部 WL:長手方向 WS:露出表面