(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】鉛冷却材を備えた高速中性子炉用の逆蒸気発生器
(51)【国際特許分類】
G21D 1/00 20060101AFI20240705BHJP
F22B 1/06 20060101ALI20240705BHJP
G21D 1/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G21D1/00 S
F22B1/06 Z
G21D1/02 A
(21)【出願番号】P 2021534196
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 RU2020000040
(87)【国際公開番号】W WO2020122770
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】516219347
【氏名又は名称】ステート・アトミック・エナジー・コーポレーション・ロスアトム・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ロシアン・フェデレーション
【氏名又は名称原語表記】STATE ATOMIC ENERGY CORPORATION ‘ROSATOM’ ON BEHALF OF THE RUSSIAN FEDERATION
【住所又は居所原語表記】B. Ordynka st., 24 Moscow, 119017 Russia
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシリエフ セルゲイ ヴィクトロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドロニチェワ ヴィクトリア フェドロフナ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504035(JP,A)
【文献】特開昭55-107810(JP,A)
【文献】特表2018-500581(JP,A)
【文献】特開昭63-254301(JP,A)
【文献】国際公開第93/020386(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 1/00-9/00
G21C 1/00-1/32
F22B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛冷却材を備えた高速中性子反応器用
の蒸気発生器
1であって、
内部に熱交換管
13の束が配置された円
筒体2であって、前記熱交換管13の端部
は管固定板に固定され、
中間支持グリッド12が前記熱交換管13を支持する、円筒体2と
液体金属冷却
材を
加熱された状態で収容するための入口球形チャンバー
4及び
液体金属冷却材を冷却された状態で収容するための出口球形チャンバー
6であって、互いに接続された入口球形チャンバー4及び出口球形チャンバー6と、
入口水用の下部の分岐管
10と、
蒸気出口用の上部の分岐管
7と、を含み、
前記円
筒体2は、互いに対して高低差を有し、かつ縦方向部によって接続される下部水平部及び上部水平部によって画定されるZ字型に湾曲し、熱交換管
13の束も、円筒体
2の
湾曲形状に合致するZ字型に
湾曲されている
ことを特徴とする、
鉛冷却材を備えた高速中性子反応器用
の蒸気発生器。
【請求項2】
前記円筒体
2及び前記熱交換管
13の束
の曲げ角度は
、40~45°であ
ることを特徴とする、請求項1に記載の鉛冷却材を備えた高速中性子反応器用
の蒸気発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力技術、特に、液体金属冷却材を備えた蒸気発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、BN-600型、BN-800型等の原子炉プラント用の液体金属冷却材を備えた貫流型の蒸気発生器のモジュール構造が知られている。このような構造においては、垂直部分が蒸発器及び過熱器の別々の部分に分割されている (非特許文献1)。上記複数のモジュールは、一つのモジュール内に、内部の管の束、給水チャンバー、わずかに過熱された蒸気を排出するチャンバーを備え、わずかに過熱された蒸気を供給する複数のチャンバー及び過熱蒸気を除去する複数のチャンバーを備える。これらのモジュールにおいて、供給される水は、配管空間を流れ、一方、ナトリウムは、環状空間内のケーシング内部に存在する。これらのモジュールにおいて、機械的拡張、管固定板への配管の溶接、及び、油圧拡張を用いて、熱交換用の配管は、管固定板内において、シールされる。イコノマイザ、蒸発器、過熱器のエリアは、異なるハウジングに配置されているため、このような構造物は、金属含有量が大きい。
【0003】
技術的本質及び達成される結果に最も近いものは、鉛冷却材を備えた逆蒸気発生器である。この逆蒸気発生器は、本体内部に管の束を備え、鉛溶融物が配管を通じて流れ、環状空間において、供給される水と過熱蒸気は、モジュール本体内に存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Teplovyye i atomnyye elektricheskiye stantsii. Spravochnik. Pod obshchey redaktsiyey V.A.Grigor'yeva i V.M.Zorina. Moskva, Energoizdat 1982g., str.245...248).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既知の蒸気発生器の欠点は、蒸発器及び過熱器のそれぞれの分離されたモジューに対する金属消費量の増加、高圧ハウジングと管の束の様々な温度増加に関する問題解決の複雑さ、-自己補正の欠如、主循環ポンプによって、蒸気発生器の垂直モジュール構造の最も高い高さに、溶融鉛をポンプで送り込むための操作コストが高いことである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、蒸気発生器の技術的、経済的特性の改善である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の技術結果は、構造物における金属消費量の軽減及び熱交換用配管及び本体の自己補正(compensation)の改善、溶融鉛をポンプで送り込むための操作コストの削減によるエネルギー消費量の軽減である。特定の技術結果は、蒸気発生器の円筒本体が水平に配置され、高低差のあるZ字型に曲げられ、熱交換用の管の束も、円筒本体の曲げに合わせ、Z字型に形成されている、という事実により達成される。蒸気発生器の管の束及び本体の幾何学的特性の提案される比率は、蒸気過熱エリアからのイコノマイザエリア及び蒸発エリアの最適な分割を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の本質は、
図1に示されている。この図は、蒸気発生器モジュールの縦断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
蒸気発生器1は、Z字形の円筒形のケーシング2(本体)を備えており、ケーシング2の内部には、Z字形の熱交換管の束13が配置されている。ケーシング2の内部の熱交換管の束13の管11の一方の端部は、ケーシング2の一方のサイドで、高温鉛を供給するチャンバー4の管固定板3に固定されており、他方の端部は、低温鉛を排出するチャンバー6の管固定板5に固定されている。Z字形の円筒形のケーシング2内において、管の束は、中間サポートグリッド12に支持されている。溶融した鉛冷却材の炉心からの入口8及び管固定板3を備える球形底部15は、入口チャンバー4を構成する。一方、低温の鉛冷却材の出口9及び管固定板5を備える球形底部6は、出口チャンバー16を構成する。
【0011】
蒸気発生器は、原子力発電所の密閉された格納容器(ハーメチックシール容器)において、個別に仕切られた蒸気発生器の格納庫に配置される。溶融鉛冷却材は、炉心から出て、入口8のパイプ経由で、チャンバー4に入り、次に、管固定板3の面で分配され、熱交換管の束13の熱交換用の管11に入る。配管11からの冷却された溶融鉛は、チャンバー6に流れ、ブランチパイプ9を経て、パイプラインを経て、炉心に戻る。同時に、作動中の流体(入口において-供給される水、出口において-過熱蒸気)は、分岐管10から給水配管を経由して、蒸気発生器モジュールの円筒形のケーシング2及び管の束13に入る。円筒形のケーシング2及び管の束13の下部の水平部において、供給される水は、飽和温度に達する。一方、縦方向部において、水は、蒸発し、蒸気に変わり、前述の蒸気は、上部水平部において指定温度まで過熱され、上部の分岐管7を経由し、過熱蒸気配管を経由して、原子力発電所のタービンに向けて排出される。Z字形の円筒形のケーシング2及び熱交換管13の束の曲げ角度は、40~45°である。
【0012】
本発明の技術解決策は、蒸気発生器の構成要素の熱膨張を自己補正するとともに、その軽量化を可能にする。蒸気発生器モジュールの縦型構造に比べ高低差を縮小することで、鉛冷却材を送り込むための主循環ポンプに対する要件が緩和され、ランニングコストも削減される。