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特許7515486ガスタービンを光学的に検査するボアスコープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ガスタービンを光学的に検査するボアスコープ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/245 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
G01B11/245 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021540291
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2020000008
(87)【国際公開番号】W WO2020148084
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】102019100821.2
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503371373
【氏名又は名称】ルフトハンザ・テッヒニク・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】LUFTHANSA TECHNIK AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】ペータース,ヤン オケ
(72)【発明者】
【氏名】ティース,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ラシェ,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ドマシュケ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュップシュトゥール,トアステン
(72)【発明者】
【氏名】ネッダーマイヤー,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】バール,ゼンケ
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-163723(JP,A)
【文献】特開2013-218252(JP,A)
【文献】特開平5-303032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 3/00-3/32
G02B 23/24-23/26
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン、特に航空機エンジン(1)を光学的に検査するボアスコープ(10,11)であって、
ボアスコープ開口への挿入及びボアスコープ対物レンズのボアスコープ開口に対する正確な位置決めに適しており、画像キャプチャユニット(12)のためのデータ及び供給ライン(15)が案内される、シャフト(13)の先端に前記ボアスコープ対物レンズとして電子画像キャプチャユニット(12)を備え、
前記画像キャプチャユニット(12)は、2つの離間した画像キャプチャセンサ(18)を有し、それらの記録コーン(18’’)は、前記2つの画像キャプチャセンサ(18)の画像データが三角測量により3Dデータに処理され得るように、記録領域(23)を形成する目的で、特定の記録平面(22)で重なり合っており、
前記画像キャプチャユニット(12)は、前記データ及び供給ライン(15)を介して伝送されるデータを低減するために、前記画像キャプチャセンサ(18)によって生成された前記画像データを前処理する、集積回路(20)を備えており、
前記集積回路(20)は、前記画像キャプチャセンサ(18)によって同時に記録された前記画像データを処理して、三角測量を用いて3Dデータを形成するように具現化されている、ボアスコープ。
【請求項2】
前記画像キャプチャセンサ(18)は、両方の画像キャプチャセンサ(18)の前記記録コーン(18’)の軸(18’’)が、前記画像キャプチャユニット(12)の長手方向軸に対して特定の角度(24)で整列するように配置及び/又は構成されている、
請求項1に記載のボアスコープ。
【請求項3】
前記画像キャプチャセンサ(18)は、2mm~20mmの中心間隔で配置されている、
請求項1又は2のいずれか1つに記載のボアスコープ。
【請求項4】
前記画像キャプチャセンサ(18)は、8mm~11mmの中心間隔で配置されている、
請求項1又は2に記載のボアスコープ。
【請求項5】
前記画像キャプチャセンサ(18)は、色情報を直接にキャプチャするように具現化されているか、または、
前記画像キャプチャセンサ(18)は、グレースケール値の決定に適しており、追加のカラーセンサ(19)が設けられ、その情報は、前記画像キャプチャセンサ(18)の前記グレースケール値と結合されて、カラー画像を形成可能である、
請求項1~4のいずれか1つに記載のボアスコープ。
【請求項6】
前記画像キャプチャセンサ(18)は、CCDセンサまたはCMOSセンサであり、少なくとも400×400ピクセルの解像度、最大240フレーム/秒のリフレッシュレート、及び/又は35°~65°の画角を有している、
請求項1~5のいずれか1つに記載のボアスコープ。
【請求項7】
前記画像キャプチャセンサ(18)は、CCDセンサまたはCMOSセンサであり、少なくとも400×400ピクセルの解像度、最大240フレーム/秒のリフレッシュレート、及び/又は60°±5°の画角を有している、
請求項1~5のいずれか1つに記載のボアスコープ。
【請求項8】
前記画像キャプチャユニット(12)は、前記記録領域を照明するための少なくとも1つのLED(21,21’)を備えており、前記少なくとも1つのLED(21,21’)は、可視光及び/又は赤外線を放射する、
請求項1~7のいずれか1つに記載のボアスコープ。
【請求項9】
前記シャフト(13)は堅いか又は柔軟である、
請求項1~8のいずれか1つに記載のボアスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン、特に航空機のエンジンを光学的に検査するためのボアスコープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術は、ガスタービン、特にジェットエンジンなどの航空機エンジンを光学的に検査するための様々な方法を開示してきた。この方法では、ボアスコープを横方向の開口から完全に組み立てられたガスタービンに挿入して、ガスタービンの内部を光学的に検査できる。
【0003】
作業中に作用する負荷を考慮して、特にボアスコープは航空機エンジンのタービンやコンプレッサーのブレードの検査に使用されている。従来の技術では、該工程において、ボアスコープを航空機エンジンに横向きに挿入し、タービンまたはコンプレッサステージのブレードとエンジンブレードの接続領域(比較的大きなエンジンブレードの場合はブレード表面の所定の高さの範囲)がボアスコープの画像領域内に完全に位置するように、ガス流路の内部に配置する。その後、タービンステージ又はコンプレッサーステージを回転させ、対応するステージのすべてのエンジンブレードを動的にキャプチャできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにして生成されたビデオ記録は、エンジンブレードの構築状態を記録するために手動で分析される。損傷が大きい場合には、損傷をより詳細に分析するために、個々のエンジンブレードの手動による静的な3Dキャプチャが実施され得る。しかし、この3Dキャプチャは非常に複雑で時間がかかるため、例外的なケースでしか実施されない。
【0005】
本発明は、ガスタービン内部の3次元キャプチャを容易にするボアスコープを開発する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、主請求項に記載されたボアスコープによって達成される。有利な展開は、従属請求項の主題である。
【0007】
したがって、本発明は、ガスタービン、特に航空機エンジンを光学的に検査するためのボアスコープに関し、ボアスコープ開口への挿入及びボアスコープ対物レンズをボアスコープ開口に対して正確に位置決めするのに適しており、画像キャプチャユニットのためのデータおよび供給ラインが案内されている、シャフトの先端にボアスコープ対物レンズとしての電子画像キャプチャユニットを備えている。画像キャプチャユニットは、離間した2つの画像キャプチャセンサを有し、それらの記録コーンは、2つの画像キャプチャセンサの画像データが三角測量によって3Dデータに処理されるように、記録領域を形成する目的で、特定の記録平面内で重なり合っている。
【0008】
本発明に係るボアスコープは、いわゆるビデオスコープの原理に基づいており、ボアスコープの自由端にある光学ユニットによって記録された画像は、光路によってボアスコープの他端にある接眼レンズやカメラに導かれるのではなく、自由端で直ちに電子的な画像情報に変換され、データラインを介して、更なる処理のために、例えばディスプレイ又はコンピュータに伝送される。
【0009】
本発明によれば、画像キャプチャユニットは、離間した2つの画像キャプチャセンサを備えており、これらのセンサは、例えば、キャプチャ可能なボアスコープの画像セクションを増大させる目的で互いに平行に配置されていないが、その記録コーンは、両方の記録コーンによってキャプチャされた記録領域が記録平面内に生じるように、記録平面内で重なり合っている。2つの画像キャプチャセンサの間隔と、それによって生じる記録領域への偏った視野角のために、三角測量を用いて、記録領域の実質的にすべての点について画像キャプチャユニットからの距離を3Dデータとして把握することが可能である。この目的に適した方法は用語ステレオビジョンにより知られている。ボアスコープにより記録された対象物の3Dモデル又は画像領域の3Dモデルは、3Dデータとともに画像情報から生成できる。
【0010】
特に、本発明に係るボアスコープにより有利な動的キャプチャを行う場合には、2つの画像キャプチャセンサにより非常に大量のデータが生成され、前記データをディスプレイ又は外部コンピュータに直接送信するためには、多数の高性能データラインが必要となり、その結果、シャフトの直径が大きくなってしまう。そのため、画像キャプチャユニットには、データラインにより伝送するデータを低減するための、画像キャプチャセンサにより生成されたデータを前処理する、集積回路を備えることが好ましい。例えば、画像センサからの生データを圧縮することにより、データ縮小を達成できる。さらに又は追加で、例えば「フィールドプログラマブルゲートアレイ」(FPGA)である集積回路が、生データから、両方のセンサによりキャプチャされる画像キャプチャ系の最終的な記録領域を映し出さないデータを除去することも可能である。
【0011】
しかしながら、集積回路が2つの画像キャプチャセンサにより同時に記録された画像情報を三角測量によって3次元データとして把握していることが特に好ましい。そうすれば、2つの画像の代わりに、3Dデータにより完全とされた1つの画像をデータラインで伝送することのみ必要であり、データ転送量を大幅に低減できる。送信される1つの画像は、2つの画像キャプチャセンサのうち1つよりキャプチャされた画像でもよく、又は、2つの画像キャプチャセンサのデータから合成された画像でもよい。画像は、3Dデータとは別に伝送してもよく、又は、すでに集積回路により処理されて3Dモデルに形成された3Dデータと一緒に伝送してもよい。
【0012】
画像キャプチャセンサは、2つの画像キャプチャセンサの記録コーンの軸が、画像キャプチャユニットの長手方向の軸に対して特定の角度である視野角で配置されるように、配置及び/又は構成してもよい。この視野角が90°であれば、画像キャプチャユニットの側方の領域をキャプチャできる。視野角を90°からずらす異なる選択は、ボアスコープの挿入方向に対して前方の領域(角度範囲30°~90°)又は後方の領域(角度範囲90°~150°)をキャプチャすることを可能にする。これは、例えば、ブレードの根元及び/又はブレードの先端において頻繁である、横方向からのキャプチャではボアスコープにより見ることができない領域に関して、特に関連がある。
【0013】
所望の領域の全てをキャプチャするために、必要に応じて、ガスタービン内で順次使用される視野角の異なる複数のボアスコープを用意することが可能である。しかしながら、単一のボアスコープに複数対の画像キャプチャセンサを設け、複数対それぞれが異なる視野角を有するようにすることも可能である。特に、2対の画像キャプチャセンサを設けることができ、一方の対の2つの画像キャプチャセンサの記録コーンは、他方の対の2つの画像キャプチャセンサの記録コーンに対して、画像キャプチャユニットの長手方向の軸に対して異なる視野角で整列されている。
【0014】
画像キャプチャセンサは、2mm~20mm、好ましくは5mm~15mm、さらに好ましくは8mm~11mmの中心間隔で配置するのが好ましい。「中心間隔」とは、2つのセンサの中心の相互の距離を示す。三角測量による3Dデータの確認の正確性は、限られた利用可能な設置スペースによる、2つの画像キャプチャセンサ間の距離に依存し、記録面が画像キャプチャユニットから決まってわずかな距離しかないことによる光学的歪みが制限要因となる。上記距離は、特にガスタービンを検査するための本発明に係るボアスコープの使用に関して、有利であることがわかった。特に、2つ以上の画像キャプチャセンサ、例えば3つの画像キャプチャセンサを設けることも可能であり、複数の画像キャプチャセンサのうちの2つ、または3つの画像キャプチャセンサそれぞれの画像データのみが、三角測量を用いて3Dデータを把握するために使用される。複数の画像キャプチャセンサつまり3つの画像キャプチャセンサが適切に配置されている場合、最終的に使用する2つの画像キャプチャセンサを選択することによって、互いの距離を変化させ、それぞれの記録状況に合わせて後者を調整できる。
【0015】
画像キャプチャセンサを、カラー情報を直接取り込むために具現化してもよい。対応するカラー画像センサのための利用可能な設置スペースが十分にない場合、画像キャプチャセンサはグレースケール値を決定するように具現化のみされてもよい。一般に、対応する黒/白画像センサはカラー画像センサより小さい。2つの画像キャプチャセンサがグレースケール値を決定するためだけに具現化されている場合、追加のカラーセンサを用意して、その情報を画像キャプチャセンサのグレースケール値と結合してカラー画像を形成することができる。このカラーセンサーは、例えば、必ずしも画像キャプチャセンサと同じ解像度である必要はないため、利用可能な設置スペースに合わせて十分に小さく構成できる。
【0016】
画像キャプチャセンサは、好ましくはCCDセンサ又はCMOSセンサであり、好ましくはグローバルシャッターを有する。画像キャプチャセンサは、好ましくは、少なくとも400×400ピクセル(例えば、最大2400×2400ピクセル)の解像度、最大240フレーム/秒のフレームレート、及び/又は35°~65°、90°又は120°、好ましくは40°、50°又は60°、それぞれの場合で±5°、好ましくはそれぞれの場合で±3°の画角を有する。対応する画像キャプチャセンサは、特に、画像情報の連続的な記録を容易にし、ガスタービンのコンポーネント、例えばエンジンブレードの、例えばガスタービンの1つ以上のシャフトを回転させることによって生じる、動的なキャプチャを可能にする。
【0017】
画像キャプチャユニットは、記録領域を照明するための少なくとも1つのLEDを含んでいることが好ましい。LEDを画像キャプチャユニットの一部として直接配置することで、記録領域の良好な照明および点灯を確保できる。少なくとも1つのLEDは、画像キャプチャセンサが設計されている波長範囲に応じて、可視光及び/又は赤外線を放射してもよい。当然ながら、複数の異なるLEDを設けることも可能であり、例えば、1つは可視範囲用、1つは赤外範囲用とすることができる。
【0018】
ボアスコープのシャフトは、堅くてもよく又は柔軟であってもよい。シャフトが柔軟であれば、ボアスコープはガイドチューブを介して案内され得る。この場合、ガイドチューブは、ボアスコープの一部であってもよく、別個のガイド装置の一部であってもよい。ガイドチューブを用いて、ガイドチューブに対してシャフトを変位させたり回転させたりすることによって達成され得る画像キャプチャユニットの位置や配置の微調整によって、ボアスコープ又はその画像キャプチャユニットの基本的な位置を画定することができる。堅いボアスコープの場合、ガスタービン内部における画像キャプチャユニットの位置及び配列が、ガスタービンから突出しているボアスコープの部分において、同等に読み取ることができる。
【0019】
本発明に係るボアスコープは、ガスタービンのエンジンブレード、特に航空機エンジンのエンジンブレードの動的キャプチャに適している。特に、例えば、DE102017218426.4に記載されており、その全体がここで参照される、ボアスコープの(半)自動ガイドと組み合わせて、本発明に係るボアスコープは、エンジンブレードの自動3Dキャプチャに使用することができ、この場合、ボアスコープは、制御された方法で回転するエンジンステージに沿って案内され、その過程でエンジンブレードを3次元でキャプチャする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る2つのボアスコープを備えた航空機エンジンの概略断面図を示す。
図2】本発明に係る第1ボアスコープを有する図1の航空機エンジンの概略部分図を示す。
図3】航空機エンジンへの挿入に続く、図1および図2の本発明に係る第1ボアスコープの詳細図を示す。
図4a図3のボアスコープの画像キャプチャユニットの詳細図を示す。
図4b図3のボアスコープの画像キャプチャユニットの詳細図を示す。
図5a図3のボアスコープの様々な実施形態の変形例の概略図を示す。
図5b図3のボアスコープの様々な実施形態の変形例の概略図を示す。
図5c図3のボアスコープの様々な実施形態の変形例の概略図を示す。
図6】航空機エンジンへの挿入に続く図1のような、第2ボアスコープの概略部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面を参照して、有利な実施形態に基づいて例示的態様で本発明を説明する。
【0022】
図1は、2スプールエンジン1の断面を模式的に示しており、ファン2と低圧コンプレッサ3は、第1シャフト4を介して低圧タービン5と共回りするように接続されている一方で、高圧コンプレッサ6は、第2シャフト7を介して高圧タービン8と共回りするように接続されている。燃焼室9は、高圧コンプレッサ6と高圧タービン8との間に配置されている。
【0023】
第1ボアスコープ10は、高圧コンプレッサのコンプレッサブレード6’を検査する目的でエンジン1に挿入されている。高圧タービン8のタービンブレード8’は、エンジン1に挿入された第2ボアスコープ11を介して検査することができる。
【0024】
第1ボアスコープ10は、堅いボアスコープ10であって、ガイド装置30によってガイドされる。ここで、ガイド装置30は、ボアスコープ10のエンジン1への電子制御された挿入用に構成されている。別の表現をすれば、ボアスコープ10がエンジン1に挿入されるべき範囲を、ここでは図示されていない制御装置を介してガイド装置30に特定することができ、ガイド装置30はこれに応じて実行する。
【0025】
図2は、第1ボアスコープ10が挿入されたエンジン1の領域をより詳細に示している。なお、ボアスコープ10を明確に識別できるように、ガイド装置30の図示が省略されている。
【0026】
堅いボアスコープ10は、高圧コンプレッサ6の2つのベーン6’’の間のボアスコープ開口を通ってエンジン1に導入されており、高圧コンプレッサ6の第1段のブレード6’をボアスコープ10を用いて観察できるように整列されている。第2シャフト7(図1参照)を回転させることによって、ブレード6’をボアスコープ10の先に案内して、それにより高圧コンプレッサ6の第1段のすべてのブレード6’を検査できる。
【0027】
図1及び図2の第1ボアスコープ10を図3に示す。
【0028】
ボアスコープ10は、第1ボアスコープ10において堅い実施形態を有し、画像キャプチャユニット12の領域に横方向の開口を有する、ボアスコープ開口に挿入するために設けられたシャフト13の一端に、ボアスコープ対物レンズとしての電子画像キャプチャユニット12を備えている。シャフト13の他端には、ガイド装置30(図1参照)に接続するためにも好適に具現化されたハンドル14が設けられている。画像キャプチャユニット12のためのデータおよび供給ライン15は、シャフト13を介して案内される。シャフトの外径は7.6mmである。
【0029】
画像キャプチャユニット12は、シャフト13に完全に受け入れられるように、図4aに示すように、互いに上に配置されており互いに接続された複数のプリント回路基板17,17’からなるパッケージ16を備えている。シャフト13の開口に面する最上部のプリント回路基板17’の頂面は、図4bに示されている。
【0030】
プリント基板17’には、2つの画像キャプチャセンサ18が10mm間隔で配置されている。ここで、画像キャプチャセンサ18は、グローバルシャッタ付きのCMOSセンサであって、小さな設置サイズのために、グレースケール値のキャプチャのみできる。それにもかかわらず、カラー情報を取り込むことができるように、追加のカラーセンサ19が設けられている。画像キャプチャセンサ18の解像度は400×400ピクセルであって、フレームレートは最大240フレーム/秒である。カラーセンサ19には、より低い解像度で十分な場合が多い。しかしながら、特に、カラーセンサ19についてグローバルシャッターを使わず、代わりにローリングシャッターを使用することが可能であり、その結果、CMOSセンサとして具現化した場合、カラーセンサ19の設置サイズを大幅に縮小できる。
【0031】
2つの画像キャプチャセンサ18とカラーセンサ19は、原則として同じ記録領域23をカバーするように構成されている。この場合、記録領域23は、図5に基づいてさらに詳細に説明されているように、センサ18,19の記録コーンの適切な構成によって、広い領域で自由に画定できる。この目的のために、センサ18,19に直接に接着されたレンズ(不図示)を用意することができる。
【0032】
レンズの使用及びその構成とは無関係に、2つの画像キャプチャセンサ18の記録コーン18’(またはそのそれぞれの軸18’’)は、互いに実質的に平行に延びている。その結果、2つの画像キャプチャセンサ18の画像データから、三角測量を利用した既知のステレオビジョン法により、比較的少ない支出で3Dデータを把握することができ、当該3Dデータは、画像キャプチャユニット12からの個々の画素の距離を反映している。これらの3Dデータの把握は、画像キャプチャユニット12に設けられた集積回路20(FPGA)によって直接に実施され、それによって2つの画像キャプチャセンサ18のうちの1つの画像データおよびカラーセンサ19の色情報と組み合わされて、記録領域の着色された3Dモデルが形成される。この3Dモデルのみが、データライン15を介して、ディスプレイ又はデータをさらに処理し又は保存するコンピュータ(図示せず)に伝送される。様々なセンサ18,19の生データは廃棄される。あるいは、データライン15を介して生データを伝送することも当然可能である。
【0033】
さらに、記録領域を照明するために、可視光を発するLED21や赤外線LED21’が画像キャプチャユニット12に設けられている。これらのLEDは、記録領域を均一に照らすことができるように、必要に応じて、接着された適切なレンズを備えてもよい。
【0034】
図5a~cは、図3のボアスコープ10の様々な実施形態の変形例をスケッチしたものである。ここで、実施形態の変形例は、原理的にはボアスコープ10の構造が同一であり、レンズが画像キャプチャセンサ18に接着されている点でのみ互いに異なる。したがって、図5a~cの図示は、画像キャプチャユニット12が配置されているボアスコープ10の領域に限定されている。
【0035】
図5aによる実施形態の変形例における2つの画像キャプチャセンサ18の記録コーン18’の軸18’’はそれぞれ、シャフト13の軸または画像キャプチャユニット12の軸に対してほぼ直角に配置されている。記録領域23は、記録すべき対象物、例えばブレード6’(図1及び2参照)からボアスコープ10の典型的な距離に配置された記録平面22において、2つの画像キャプチャセンサ18によってキャプチャされた領域として現れる。
【0036】
レンズは、図5bにおいて、2つの画像キャプチャセンサ18の記録コーン18’の軸18’’が依然として互いに平行に延びているが、ボアスコープ10の挿入方向で考えた場合、シャフト13の軸に対して約65°の視野角を有するように、画像キャプチャセンサ18上で選択される。その結果、ボアスコープ10の挿入方向前方に位置する領域、例えば、図1および図2に示されるように、ブレード6’のブレード根元を検査することが可能となる。
【0037】
同様に、画像キャプチャセンサ18上のレンズは、図5cの実施形態の変形例では、2つの画像キャプチャセンサ18の記録コーン18’の軸18’’がそれぞれ、ボアスコープ10の挿入方向で考えたときに、シャフト13の軸に対して約115°の視野角で延びるように選択されている。その結果、記録領域23は挿入方向に対して後方に変位し、そのため、例えばブレード6’(図1および図2参照)の先端の検査を簡素化できる。記録コーン18’またはその軸18’’は、単純なステレオビジョン計算または三角測量を容易にするために、平行に延び続けている。
【0038】
次に、図1の第2ボアスコープ11について、より詳細に説明する。この場合、ボアスコープ11およびそれに設けられたガイド装置30は、基本的に、詳細な説明に関連して参照されるDE102017218426.4のように具現化される。それは、高圧タービン8の第1ステージのタービンブレード8’を検査するのに機能する。
【0039】
ボアスコープ11は、柔軟なボアスコープ11として構成されており、すなわち、シャフト13は完全に柔軟で可撓性を有している。ガイド装置30は、ボアスコープ11を燃焼室9を通して問題のタービンブレード8’に案内するために、ボアスコープ11を押し通すことができる適切に曲げられたガイド管31を有している。ガイド管31の自由端は、ガイド装置30を介して、例えばコンピュータ制御の駆動装置を用いて正確に移動させて位置決めすることができ、その結果、そこに案内されるボアスコープ11を正確に位置決めすることも可能である。また、ボアスコープ11の位置を微調整するように、ガイド管31内のボアスコープ11の挿入深さを変更することも可能である。
【0040】
図6は、エンジン1に挿入されたガイド管31の自由端をより詳細に示したものである。ガイド管31は、高圧タービン8のベーンを通して案内される。ボアスコープ11は、ガイド管31から突出している。
【0041】
ガイド管31を通って押されたボアスコープ11の可撓性シャフト13は、その挿入端においてシャフト13の画像キャプチャユニット12のある領域が、使用状態で図示されるように角度がついているが、シャフト13がガイド管31を通って後退したときには、ガイド管31と同軸に整列するように、弾性的に捻じれている。
【0042】
画像キャプチャユニット12は、三角測量に適した画像を記録するための2つの画像キャプチャセンサ18を有している。ここで、画像キャプチャユニット12は、第1ボアスコープ10の画像キャプチャユニット12と同等の実施形態を有することができるが、そのため、より詳細な説明に関連して、上述した記述を参照する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6