(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】軸方向磁束機械用のステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/28 20060101AFI20240705BHJP
H02K 21/24 20060101ALI20240705BHJP
H02K 3/18 20060101ALI20240705BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H02K3/28 J
H02K21/24
H02K3/18 J
H02K9/19 A
(21)【出願番号】P 2021564782
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020063024
(87)【国際公開番号】W WO2020229399
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-08
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513039333
【氏名又は名称】ヤサ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティム ウールマー
(72)【発明者】
【氏名】トム ヒルマン
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-022919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0200890(US,A1)
【文献】特表2013-537797(JP,A)
【文献】特開2003-124019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00- 3/28
H02K 3/30- 3/52
H02K 9/19
H02K 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向磁束機械用のステータであって、
軸周りに間隔をあけて円周方向に配置された複数のステータバーであって、各ステータバー
はその周りに巻き付付けられた一連の巻線を有し、前記軸に概して平行な磁場を発生させるためにステータコイルスタックを形成し、前記複数のステータ
コイルスタックが前記軸の中心に中空領域を提供するように配列され、前記ステータ
コイルスタックが前記軸から離れる方向に
半径方向に面している外側の周面および前記軸に向かって
半径方向に面している内側の周面を有する複数のステータバー、および
複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続であって、
前記複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続のそれぞれは、前記外側の周面の2つ以上の巻線を一緒に接続し、前記複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続は、前記複数のステータ
コイルスタックの外側の周面の半径方向外向きに配置され、前記ステータ
コイルスタックの外側の周面の少なくとも一部に沿って周方向に延在する複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続、
複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続であって、
前記複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続のそれぞれは、前記内側の周面の2つ以上の巻線を一緒に接続し、前記複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続は、前記ステータ
コイルスタックの半径方向内向きに配置され、前記ステータ
コイルスタックの内側の周面の少なくとも一部に沿って周方向に延在する複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続、を備え、
前記ステータの前記外側の周面は、1つ以上の部分
のみに沿って半径方向外向きに配置される相互接続を欠いていることを特徴とする軸方向磁束機械用のステータ。
【請求項2】
半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた前記1つ以上の部分に対応する前記ステータの半径方向内向きの部分は、半径方向内向きに配置される電気的相互接続を備えることを特徴とする請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記半径方向内向きおよび半径方向外向きの電気的相互接続の間に1つ以上の電気的遷移を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のステータ。
【請求項4】
前記半径方向内向きおよび半径方向外向きの電気的相互接続の間の前記1つ以上の遷移のそれぞれは、それぞれの巻線を経由して発生することを特徴とする請求項3に記載ステータ。
【請求項5】
各巻線のセットは前記ステータバー上に巻線の単一層を備え、前記巻線の層がリボン形状のワイヤーの表面を横切る幅が前記リボン形状のワイヤーを通る厚さよりも大きいリボン形状のワイヤーを備え、前記巻線は、前記リボン形状ワイヤーの隣接するリボン形状ワイヤーの表面が互いに当接するように、前記軸に概ね直交する方向に前記ステータバーに沿って積層されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項6】
前記ステータ
コイルスタックの巻線は、3相星型配列で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項7】
前記ステータ
コイルスタックを囲むステータハウジングであって、前記ステータバーの両端に環状の側壁を、ならびに前記ステータ
コイルスタックの半径方向内向きおよび半径方向外向きのそれぞれに内側および外側の円周側を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項8】
半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている前記ステータの外側の周面の1つ以上の部分に対応するそれぞれの前記ステータハウジングの1つ以上の部分は、半径方向外向きに配置された相互接続を備える前記ステータの領域において、前記外向きの円周側とステータバーの間の寸法よりも小さい前記外向きの円周側と前記ステータバーの間の寸法を有することを特徴とする請求項7に記載ステータ。
【請求項9】
前記ハウジングは、冷却流体を包含するチャンバーを画定し、前記ステータハウジングは、冷却流体の供給用のポートおよび排出用のポートを含むことを特徴とする請求項7または8に記載のステータ。
【請求項10】
前記ハウジングおよびステータバーは、冷却流体が前記ステータバーの内半径と外半径の間を行き来するのを可能にするべく配列されていることを特徴とする請求項9に記載のステータ。
【請求項11】
前記ステータは、前記ステータハウジングと1つ以上のそれぞれのステータバーとの間に、前記ステータハウジングに配列された1つ以上のブロックを備え、前記冷却流体が前記ブロックによって前記ステータバー間の隙間に押し込まれることを特徴とする請求項10に記載のステータ。
【請求項12】
前記ハウジングの外向きの円周側は、半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている前記ステータの外側の周面の1つ以上の部分に対応するそれぞれのステータの領域において1つ以上のステータバーに当接し、当該当接が前記ハウジングと前記ステータバーとの間の冷却
流体の流れを遮断し、そして前記冷却流体が隣接するステータバー間に押し込まれることを生じさせることを特徴とする請求項11に記載のステータ。
【請求項13】
半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている2つの部分が存することを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項14】
半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている前記2つの部分は、円周において互いに対向していることを特徴とする請求項13に記載のステータ。
【請求項15】
軸方向磁束機械であって、
軸周りに間隔をあけて円周方向に配置された複数のステータバーを備えるステータであって、前記ステータバーのそれぞれは、
その周りに巻かれた巻線のセットを有し、前記軸に概して平行な磁場を発生させるために、
ステータコイルスタックを形成し、前記複数のステータ
コイルスタックは前記軸の中心に中空領域を提供するべく配列され、前記ステータコイルスタックは前記軸から離れて
半径方向に面する外側の周面および前記軸に向かって
半径方向に面している内側の周面を有するステータ、
永久磁石のセットを備えて前記機械の前記軸の回りに回転するために取り付けられたローターであって、前記ステータとローターの間に間隙を画定するために、前記機械の前記軸に沿って前記ステータから離間されて配列されたローター、を備え、前記ステータは、
半径方向外向きに配置される複数の電気的相互接続であって、
前記半径方向外向きに配置される複数の電気的相互接続のそれぞれは、2つ以上の巻線を一緒に接続し、前記複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続は、前記複数のステータ
コイルスタックの
外側の周面の半径方向外向きに配置され、かつ
前記ステータ
コイルスタックの外側の周面の少なくとも一部に沿って円周方向に延在する
半径方向外向きに配置される複数の電気的相互接続、および
複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続であって、
前記複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続は2つ以上の巻線を一緒に接続し、前記複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続は、前記ステータ
コイルスタックの半径方向内向きに配置され、かつ前記ステータ
コイルスタックの内側の周面の少なくとも一部に沿って円周方向に延在する
複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続を備え、
前記ステータは、1つ以上の部分
のみに沿って半径方向外向きに配置される相互接続を欠いていることを特徴とする軸方向磁束機械。
【請求項16】
前記ステータの半径方向内向きの部分は、前記半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた1つ以上の部分に対応し、半径方向内向きに配置される電気的相互接続を備えることを特徴とする請求項15に記載の機械。
【請求項17】
前記半径方向内向きおよび半径方向外向きの電気的相互接続間に1つ以上の電気的遷移を備えることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の機械。
【請求項18】
前記半径方向内向きおよび半径方向外向きの電気的相互接続間の前記1つ以上の遷移のそれぞれは、それぞれの巻線を経由して発生することを特徴とする請求項17に記載の機械。
【請求項19】
巻線の各セットは、前記ステータバー上の巻線の単一層を含み、前記巻線の層はリボン形状のワイヤーの表面を横切る幅がリボン形状のワイヤーを通る厚さよりも大きい幅を有するリボン形状のワイヤーを備え、前記巻線は、前記リボン形状のワイヤーの表面が隣接しているリボン形状のワイヤーの表面に互いに当接するように、軸に概ね直交する方向に前記ステータバーに沿って積み重ねられていることを特徴とする請求項15~18のいずれか一項に記載の機械。
【請求項20】
前記ステータ
コイルスタックの巻線は、3相星型配列で電気的に接続されていることを特徴とする請求項15~19のいずれか一項に記載の機械。
【請求項21】
前記ステータ
コイルスタックを囲むステータハウジングであって、前記ステータと前記ローターとの間の前記ステータバーの両端に環状の側壁、ならびに前記ステータ
コイルスタックの半径方向内向きおよび半径方向外向きのそれぞれに内側および外側の円周側を有するステータハウジングを備えることを特徴とする請求項15~20のいずれか一項に記載の機械。
【請求項22】
半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている前記ステータの外周面の1つ以上の部分に対応するそれぞれの前記ステータハウジングの1つ以上の部分は、前記外周側と前記ステータバーの間で、半径方向外向きに配置された相互接続を備えるステータの領域においての前記外周側と前記ステータバーの間の寸法よりも小さい寸法を有していることを特徴とする請求項21に記載の機械。
【請求項23】
前記ハウジングは、冷却流体を包含するチャンバーを画定し、前記ステータハウジングは冷却流体供給用のポートおよび冷却流体排出用のポートを含んでいることを特徴とする請求項21または22に記載の機械。
【請求項24】
前記ハウジングおよびステータ
コイルスタックは、前記冷却流体が前記ステータ
コイルスタックの内半径と外半径の間を行き来することを可能にするように配列されていることを特徴とする請求項23に記載の機械。
【請求項25】
前記ステータは、前記ステータハウジングと1つ以上のそれぞれのステータ
コイルスタックとの間で前記ステータハウジングに配置された1つ以上のブロックを備え、前記冷却流体が、前記ブロックによって前記ステータ
コイルスタックの間の間隙を通して押し込められることを特徴とする請求項24に記載の機械。
【請求項26】
前記ハウジングの外周側は、半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている前記ステータの外周面の1つ以上の部分に対応するそれぞれの前記ステータの領域において、1つ以上のステータ
コイルスタックに当接し、当該当接が前記ハウジングと前記ステータ
コイルスタックとの間で前記冷却
流体の流れを遮断し、かつ前記冷却流体が隣接するステータ
コイルスタック間に押し込められることを生じさせることを特徴とする請求項25に記載の機械。
【請求項27】
永久磁石のセットを備えて前記機械の前記軸を中心に回転するように取り付けられた第2のローターを備え、前記第2のローターは、前記ステータと前記第2のローターとの間に間隙を画定するべく、前記機械の前記軸に沿ってステータから離隔され、かつ前記第2のローターは、前記ローターに反対して前記ステータの側面に配列されていることを特徴とする請求項15~26のいずれか一項に記載の機械。
【請求項28】
半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた2つの部分が存することを特徴とする請求項15~27のいずれか一項に記載の機械。
【請求項29】
前記半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた2つの部分は、円周で互いに対向していることを特徴とする請求項28に記載の機械。
【請求項30】
機械はモーターまたは発電機であることを特徴とする請求項15~29のいずれか一項に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械、特にモーターや発電機として用いられる軸方向磁束電気機械に用いられるステータの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モーターや発電機などの電気機械の電力密度を向上させる必要がある。その理由の一つは、陸上車両や航空機を含む電気駆動車への関心の増大である。しかしながら、電源、送電、補助部品に利用可能なボリュームは限られており、電力貯蔵を含む様々な要因が、空間と性能の向上のために電気機械の電力密度を高めるように設計者にさらなる圧力をかけている。
【0003】
電気機械の電力密度を改善することは、多くの場合、より高いアンペアターン(起磁力)を可能にするために、冷却方法、モータートポロジーおよび材料の1つ以上に向けられている。これらのアプローチは大きな進歩を遂げてきたが、電力密度をさらに改善する強いインセンティブは残っている。特に、軸方向磁束については、機械の電力定格を高めるセグメント化されたアーマチュアフォーマットが、これらの機械の内部がすでに高電力動作用に設計されているので、効果的な液体の冷却剤の流れに依存することが多く、追加の問題を引き起こしている。再設計は、電力密度を高めるための変更を受け入れながら、効果的な冷却を維持する必要がある。
【0004】
軸方向磁束セグメント化アーマチュア機械の1つのタイプは、ヨークレスでセグメント化されたアーマチュア(YASA)機械である。典型的なYASA機械は、ステータから離れて熱が伝導され得るステータヨークがないので、冷却が困難である。先行技術の機械は、ステータハウジング内に包含された流動液体の冷却剤内に浸漬されたステータコイルを有し、熱放散およびそれ故に電力供給を大幅に増加させていた。特許文献1は、YASAタイプの機械に対する追加の改善された冷却機能を開示している。液体の冷却剤が、機械の電気ステータコイルに接触するだけでなく、コイル面やポールシューズに接触することができるチャンバーの周りに循環され、それによって、主要部品からの放熱を改善し、電力密度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】英国特許第2511925号
【文献】国際出願公開第2012/022974号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、我々は、機械の形状因子内のより大きな電力密度を可能にする改善されたモーター構造についての必要性を高く認識している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、したがって、本明細書に添付される独立請求項に従う軸方向磁束機械用のステータおよび軸方向磁束機械を提供する。さらに有利な実施形態もまた、本明細書に添付される従属請求項によって提供される。
【0008】
本発明は、軸方向磁束機械用のステータを提供し、ステータは、
軸周りに間隔をあけて円周方向に配置された複数のステータバーであって、各ステータバーが軸に概して平行な磁場を発生させるためにその周りに巻き付付けられた一連の巻線を有し、前記複数のステータバーは軸の中心に中空領域を提供するように配列され、軸から離れる方向に面している外側の周面および軸に向かって面している内側の周面を有する複数のステータバー、および
2つ以上の巻線を一緒に接続するための複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続であって、複数のステータバーの半径方向外向きに配置され、ステータバーの外側の周面の少なくとも一部に沿って周方向に延在する複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続、
2つ以上の巻線を一緒に接続するための複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続であって、ステータバーの半径方向内向きに配置され、ステータバーの内側の周面の少なくとも一部に沿って周方向に延在する複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続を備え、
ステータの外側の周面は、1つ以上の部分に沿って半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている。
【0009】
このような配列は、多くの利点を提供する。ステータがハウジング内に囲まれている場合、ハウジングの所定のサイズに対して、ステータのコイルおよびこれらが巻かれているポールはサイズが増大されてもよく、外向きに配置された相互接続配線のない領域に拡大し、それにより、機械の最大出力を増加させる可能性がある。したがって、このようなステータを用いた機械は、同じサイズの従来のステータを用いた機械に比べて高い出力を有するであろう。
【0010】
さらに、上記と同じ形状を保持するハウジングの代わりに、このようなハウジングの一部は、外向きに配置される相互接続を欠いているステータの領域に対応して、ハウジングの外寸法を低減するために平坦化されてもよい。このような配列は、有利にも、同等のサイズのステータよりも正反対に小さいステータを提供する。このように、このようなステータを使用する機械は、ステータバーや巻線のサイズが変わっていないので、従来のステータを使用する機械よりも小型化できる。
【0011】
ステータの半径方向内向きの部分は、半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた1つ以上の部分に対応し、半径方向内向きに配置される電気的相互接続を備えてもよい。
【0012】
ステータは、半径方向内向きおよび半径方向外向きの電気的相互接続の間に1つ以上の電気的遷移(electrical transitions)を備えてもよい。半径方向内向きおよび半径方向外向きの電気的相互接続の間の1つ以上の遷移の各々は、それぞれの巻線を経由して発生してもよい。
【0013】
内側および外側の電気的相互接続の間の遷移のために巻線自体を使用すると、遷移を達成させるための追加のバスバーの必要性が不要になる。このようなバスバーは、ステータに不必要な半径寸法を追加させうる。
【0014】
各巻線のセットは、ステータバー上に巻線の単一層を備えてもよく、巻線の層は、リボン形状のワイヤーの表面を横切る幅がリボン形状のワイヤーを通る厚さよりも大きいリボン形状のワイヤーを備え、巻線は、リボン形状ワイヤーの隣接するリボン形状ワイヤーの表面が互いに当接するように、軸に概ね直交する方向にステータバーに沿って積層されている。
【0015】
ステータバーの巻線は、3相星型配列で電気的に接続されてもよいが、デルタまたはデルタ星型などの他の配列が、代わりに、電気機械の分野で知られている他の配列と共に可能であってもよい。
【0016】
ステータは、ステータバーを囲むステータハウジングを備えてもよく、ステータハウジングは、ステータバーの両端部に環状側壁を、ならびにステータバーの半径方向内向きおよび半径方向外向きのそれぞれに、内側および外側の円周側部を有している。半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている、ステータの外側の周面の1つ以上の部分のそれぞれに対応するステータハウジングの1つ以上の部分は、半径方向外向きに配置される相互接続を備えるステータの領域において、外向きの円周側およびステータバーの間の寸法よりも小さい外向きの円周側とステータバーの間の寸法を有してもよい。
【0017】
ステータハウジングのこのような配列は、従来のステータに比べて、低減された半径寸法を有するステータを有利に提供し、そのような機械の出力を損なうことなく小型機械が提供されることを可能にする。
【0018】
ステータハウジングは、冷却流体を包含するチャンバーを画定することができ、ステータハウジングは、冷却流体の供給用ポートおよび排出用ポートを含むことができる。ハウジングおよびステータバーは、冷却流体がステータバーの内半径と外半径の間を行き来するように、配列され得る。ステータは、ステータハウジング内で、ステータハウジングと1つ以上のそれぞれのステータバーとの間に配列された1つ以上のブロックを備えてもよく、ここで冷却流体は、ブロックによってステータバー間の間隙を通るのが強制される。
【0019】
ステータハウジングの外周側は、半径方向外向きに配置される相互接続を欠いているステータの外周面の1つ以上の部分のそれぞれに対応するステータの領域において、1つ以上のステータバーに当接してもよく、この当接は、ハウジングとステータバーとの間での冷却液の流れを遮断し、そして、冷却流体が隣接するステータバー間に押し込まれることを引き起こす。
【0020】
上記ステータは、2つの半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた部分を含んでもよい。これらの2つの半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた部分は、円周で互いに対向し合っていてもよい。
【0021】
本発明はまた軸方向磁束機械を提供し、軸方向磁束機械は、
軸周りに間隔をあけて円周方向に配置された複数のステータバーを備えるステータであって、各ステータバーは、軸に概して平行な磁場を発生させるために、その周りに巻かれた巻線のセットを有し、複数のステータバーが軸の中心に中空領域を提供するべく配列され、ステータバーが軸から離れて面する外側の周面および軸に向かって面している内側の周面を有するステータと、
永久磁石のセットを備えて機械の軸の回りに回転するために取り付けられたローターであって、ステータとローターの間に間隙を画定するために、機械の軸に沿ってステータから離間されて配列されたローターと、を備える軸方向磁束機械であって、ここで、前記ステータは、
半径方向外向きに配置され、2つ以上の巻線を一緒に接続するための複数の電気的相互接続であって、複数の半径方向外向きに配置される電気的相互接続は、複数のステータバーの半径方向外向きに配置され、そしてステータバーの外側の周面の少なくとも一部に沿って円周方向に延在する電気的相互接続、および
2つ以上の巻線を一緒に接続するための複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続であって、複数の半径方向内向きに配置される電気的相互接続は、ステータバーの半径方向内向きに配置され、そしてステータバーの内側の周面の少なくとも一部に沿って円周方向に延在する電気的相互接続を備え、ここで、前記ステータは、1つ以上の部分に沿って半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている。
【0022】
上で説明したように、このような配列は多くの利点を提供する。ステータが、所定のサイズのハウジングに対して、ハウジング内に囲まれている場合、ステータコイルとそれが巻回されたポールはサイズが大きくなり、外向きに配置された相互接続配線のない領域へ拡大し、それにより機械の最大出力を増加させる。したがって、このようなステータを用いた機械は、同じサイズの従来のステータを用いた機械に比べて高い出力を有するであろう。
【0023】
さらに、上記と同じ形状を保持するハウジングの代わりに、外向きに配置される相互接続の欠けたをステータの領域に対応する、このようなハウジングの一部分は、ハウジングの外部寸法を小さくするために平坦化されてもよい。このような配列は、同等のサイズにされたステータよりもまさに小さいステータを有利に提供する。このように、このようなステータを使用する機械は、ステータバーや巻線のサイズが変わっていないので、従来のステータを用いた機械よりも小型化できる。
【0024】
半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた1つ以上の部分に対応するステータの半径方向内向きの部分は、半径方向内向きに配置される電気的相互接続を含んでもよい。
【0025】
機械のステータは、半径方向内向きと半径方向外向きとの電気的相互接続間の1つ以上の電気的遷移を伴い得る。半径方向内向きおよび半径方向外向きの電気的相互接続の間の1つ以上の遷移の各々は、それぞれの巻線を経由して発生してもよい。
【0026】
各巻線のセットは、ステータバー上に巻線の単一層を備えてもよく、巻線の層は、リボン形状のワイヤーを通る厚さよりもリボン形状のワイヤーの表面を横切る、より大きな幅を有するリボン形状のワイヤーを備えており、巻線は、前記リボン形状のワイヤーの隣接するリボン形状ワイヤーの表面が互いに当接するように、軸に対して概ね直交する方向にステータバーに沿って積層されている。
【0027】
ステータバーの巻線は、3相星型配列で電気的に接続されているが、デルタまたはデルタ星型などの他の配列が、電気機械の分野で知られている他の配列と共に、代わりに可能である。
【0028】
機械は、ステータバーを囲むステータハウジングを備え、ステータハウジングは、ステータとローターの間のステータバーのいずれかの端部に環状の側壁、ならびにステータバーの半径方向内向きおよび半径方向外向きのそれぞれに内側および外側の円周側部を有している。半径方向外向きに配置される相互接続を欠いているステータの外周面のそれぞれの1つ以上の部分に対応するステータハウジングの1つ以上の部分は、半径方向外向きに配置される相互接続を備えるステータの領域において、外側の円周側とステータバーの間の寸法よりも小さい、外側の円周側とステータバーの間の寸法を有してもよい。
【0029】
ハウジングは、冷却流体を包含するチャンバーを画定してもよく、ステータハウジングは、冷却流体の供給用ポートおよび排出用のポートを含むことができる。ハウジングおよびステータバーは、冷却流体がステータバーの内半径と外半径の間を行き来して流れるのを可能にするように配列されてもよい。
【0030】
ステータは、ステータハウジングと1つ以上のそれぞれのステータバーとの間でステータハウジングに配置された1つ以上のブロックを備えてもよく、ここで冷却流体は、ブロックによって、ステータバー間の間隙を通るのが強制される。ハウジングの外周側は、半径方向外向きに配置される相互接続を欠いているステータの外周面の1つ以上の部分のそれぞれに対応するステータの領域内で、1つ以上のステータバーに当接し、当該当接が、ハウジングとステータバーの間の冷却液の流れを遮断し、そして冷却流体が隣接するステータバー間に押し込まれることを引き起こし得る。
【0031】
機械は、永久磁石のセットを備えて、機械の軸の回りを回転するために取り付けられた第2のローターを備えてもよく、第2のローターは、ステータと第2のローターの間の間隙を画定するために、機械の軸に沿ってステータから離隔されており、且つ第2のローターは、ローターに対して反対のステータの側部に配置されている。
【0032】
機械は、2つの半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた部分を含んでもよい。2つの半径方向外向きに配置される相互接続を欠いた部分は、互いに円周で対向していてもよい。
【0033】
上記のいずれでも、機械はモーターまたは発電機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明が、ほんの一例のみとして、添付の図を参照して、以下に説明される。
【
図1a】
図1aは、2ローターの軸方向磁束機械の一般的な構成を示している。
【
図1b】
図1bは、軸方向磁束永久磁石機械のトポロジー例を示している。
【
図1c】
図1cは、ヨークレスでセグメント化されたアーマチュア(YASA)機械の概略側面図を示している。
【
図3】
図3は、YASA機械用のステータおよびステータハウジングの分解斜視図を示している。
【
図4】
図4は、本発明によるステータ配列を示している。
【
図5】
図5は、ステータコイルの電気的相互接続の一例を示している。
【
図7】
図7は、ハウジングを有するステータ配列を示している。
【
図8】
図8は、平坦化された部分を備えるハウジングを有するステータ配列を示している。
【
図9】
図9は、ステータの外向きに配置される相互接続を欠いた領域の斜視図を示している。
【
図10】
図10は、ステータコイルの電気的相互接続の代替例を示している。
【
図11】
図11は、外向きに配置される相互接続を欠いた2つの領域が存するハウジングを有するステータ配列を示している。
【
図12】
図12は、2つの平坦化された部分を備えるハウジングを有するステータ配列を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
まず、本発明のステータの使用例である軸方向磁束機械の配列の背景について議論する。まず、特許文献2(本出願人の国際特許出願第2012/022974号)から取り出された
図1c、
図2および
図3を参照するに、
図1cは、ヨークレスでセグメント化されたアーマチュア機械10の概略図を示している。
【0036】
機械10は、ステータ12と2つのローター14a、14bを備えている。ステータ12は、ローター14a、14bの回転軸20を中心にして周方向に離隔された、別々のステータバー16の集合体である。各バー16は、独自の軸(図示せず)を有しており、これは好ましくは、本質的には回転軸20に平行に配置されている。各ステータバーの各端部には、コイルスタック22を閉じ込める物理的目的を果たす靴(シュー)18a、18bが設けられ、このスタック22は、高い充填率が達成され得るように、好ましくは正方形/矩形断面の断熱線である。コイル22は、電気回路(図示せず)に接続され、モーターの場合には、コイル内を流れる電流によって発生される磁界の極が、隣接するステータコイル22において反対となるようにコイルを励磁する。
【0037】
2つのローター14a、14bは、間にステータコイル22と共に互いに向き合っている永久磁石24a、24bを担持している(スタテーターバーが傾斜されているときは、図示していないが、磁石も同様である)。2つのエア間隙26a、26bは、それぞれのシューと磁石との対18a/24a、18b/24bの間に配列されている。回転軸20の周りには、離隔された多数のコイルと磁石が存し、そして好ましくは、コイルが対応する磁石の対に対して同時に、そしてステータに対してローターの同じ回転位置で整列しないように、異なる数のコイルと磁石が存している。これはコギングを減らすのに役立つ。
【0038】
モーターにおいては、コイル22は、コイルが異なる時間に異なる磁石対と整列するのを引き起こし、ローターとステータの間にトルクが印加されるべく、その極性が交替するように励磁される。ローター14a、14bは、一般に、ステータ12に対して(例えば、不図示のシャフトによって)一緒に接続され、軸20の回りに一緒に回転する。磁気回路30は、2つの隣接するステータバー16と2つの磁石対24a、24bとバックアイアン32a、32bごとに各磁石24a、24bの裏面間の磁束を結び、それぞれのコイル22から離れる方向に向いている。ステータコイル16は、エア間隙26a、26bを通って延在し、そして冷却媒体が供給されるチャンバーを画定しているハウジング内に囲まれている。
【0039】
図3を参照するに、ステータ12aが示され、そこでは、ステータコイルがプラスチック材料のクラムシェル42a、42bの間に位置されている。これらのクラムシェルは、外側の円筒壁44、内側の円筒壁46、および半径方向に配列された環状の壁48を有している。
図3の先行技術の例では、半径方向の壁48は、ステータ12aの2つのクラムシェルハウジング42a、42bが組み合わされるときに、ステータバー16のシュー18a、18bを受け入れ、ステータコイルの集合体16、22、18a、18bを配置する役割を果たす内部ポケット50を含んでいる。ステータハウジング42a、42bは、コイル22の内部で空間52およびコイル22の外側周りの54で空間を画定し、そしてコイルの間には空間56が存する。空間52、54、56は、相互に連結され冷却チャンバーを画定している。
図3には示されていないが、組み立てられたとき、ステータハウジング42a、42bには、コイルの周りを循環し、それらを冷却するために、油などの冷却媒体を空間52、54、56にポンプで送り込むことを可能にするポートが設けられている。
【0040】
本発明に目を向けるに、この概念は、YASA機械におけるセグメント化されたアーマチュアの電気的相互接続に関している。動作の基本であるが、電気的相互接続は、大幅な電力密度改善の源としては見られていない。しかしながら、機械における電力密度の向上に対する継続的なニーズが、アーマチュアコイルの相互接続と二重目的のステータハウジングが組み合わさってYASA機械の電力密度を大幅に向上させることができるという驚くべき発見につながっている。
【0041】
簡潔に言えば、本発明は、軸の周りに間隔を置いて円周方向に配列された複数のステータバーを有するステータを提供する。各ステータバーは、軸に概して平行な磁場を発生させるために、その周りに巻かれた巻線のセットを有している。2つ以上の巻線を一緒に接続するための複数の半径方向外向きに配置された電気的相互接続が、複数のステータバーの半径方向外向きに設けられており、ステータバーの外周の少なくとも一部に沿って円周方向に延在している。2つ以上の巻線を一緒に接続するための複数の半径方向内向きに配置された電気的相互接続もまた、ステータバーの半径方向内向きに設けられており、ステータバーの内周の少なくとも一部に沿って円周方向に延在している。本発明において、ステータの外周の少なくとも一部は、半径方向外向きに配置される相互接続を欠いている。
【0042】
さて、本発明に目を向けるに、
図4は、多数の相互接続されたステータコイルのスタック/巻線130を備えるステータ100の簡略図を示している。巻線の各セットは、それぞれのステータバーポールピース120の周りに巻かれ、これは好ましくは、ステータバーポールピース120にコイル130を所定の位置に保つために、どちらかの端部にステータシュー(不図示)を有している。この図は、18個のステータバー120を示しているが、当業者は、この数が18より多いまたは少ない可能性があることを理解するであろう。電流が巻線130を通して流されると、磁場が作り出される。
【0043】
このステータバー120は、このようなステータ配列を用いた機械の軸である軸110の回りに間隔を置いて円周方向に配列され、ローターは、ステータ100に対してこの軸110の回りに回転しうる。このステータバー120は、軸から離れて面する外側の周面と、軸に向かって面する内側の周面を有している。巻線130によって発生される磁場は、軸110に概して平行である。このステータバー120は、ステータの中心に中空領域140を提供する配列である。
【0044】
巻線130自体に関しては、それらは、円形断面被覆ワイヤーの複数の層であってもよい。しかしながら、巻線130のための好ましい配列は、ステータバー上のリボン形状の巻線の単層を使用することである。巻線の層は、リボン形状のワイヤーを通る厚さよりも、リボン形状のワイヤーの表面を横切るより大きな幅を有するリボン形状のワイヤーを備える。巻線は、隣接するリボンの形状のワイヤー表面が互いに当接するように、軸に概ね直交する方向にステータバーに沿って積み重ねられる。
【0045】
図示された配列では、ステータコイル巻線130に、3相供給(U、V、W)が入力される。各巻線は、それぞれの他の巻線130に相互接続されるか、または複数の相互接続150、160を経由して供給するべく相互接続される。相互接続の一部は、ステータバー120の半径方向外向き150に配置され、ステータバー120の外周の少なくとも一部に沿って周方向に延在する。相互接続は、ステータバー120の異なる高さに位置され、複数のクリップ(不図示)またはスペーサーによってステータバー120に対する適切な位置に維持される。
【0046】
また、複数の半径方向内向きの電気的相互接続160が設けられている。これらは、ステータバーの半径方向内向きに配置され、ステータバーの内周面の少なくとも一部に沿って周方向に延在する。外向きの相互接続150と同様に、内向きの相互接続160が、ステータバー120の異なる高さに位置され、複数のクリップ(不図示)またはスペーサーによって、ステータバー120に対して適切な位置に維持されてもよい。
【0047】
接続された巻線130間の相互接続は、ステータバー120の内側と外側の周辺との間で遷移し得る。このような遷移180では、これは、好ましくは巻線130自体を経由して発生する。すなわち、巻線130は、巻線130の一端部における接続が内側または外側の周辺で終了し、且つ巻線130の他方端における接続は、それぞれ外側または内側の周辺で終了するように、ステータバー130の周囲に巻かれる。一方の周辺と他方との間を遷移するために巻線130を使用すると、2つの周辺の間で動作する追加の相互接続の必要性がなくなり、ステータの(ステータバーの高さの方向、すなわち、一方のポールシューと他方の間における)幅の増大に帰するであろう。
【0048】
もちろん、ステータバー120上の巻線130は、代わりに、同じ周辺で終了するように巻かれてもよく、すなわち、巻線130への入力および出力は、内側または外側の周辺のいずれかで終了してもよい。
【0049】
異なる巻線130の接続、遷移180および相互接続150、160を注意深く考慮することによって、ステータは、外向きに配置される電気的相互接続を欠いているステータバー120の外周の1つ以上の部分170を有するように設計されてもよい。
【0050】
図5は、すべてのステータバー120と電源U、V、Wとの間の接続方式の簡素化された実施例を示す。
図4と同様に、実施例の配列には、18個のステータバーが存している。この実施例では、巻線130は、3相星型配列として接続されているが、他の接続方式も可能である。例えば、デルタ配列、デルタ星型配列、または他の既知の配列が使用され得る。
図6は、本発明で使用されている簡略化された星型構成を示している。
【0051】
図4と同様に、ステータ100は、内向き160および外向き150の電気的相互接続を含んでいる。ステータバー120の内側と外側の周辺間の遷移180は、巻線130自体を経由して生じ得る。さらに、外向きに配置される相互接続150を欠いている領域170が設けられている。
【0052】
このような配列の利点は、
図7、8および9を参照して明らかになるであろう。
【0053】
図7および
図8は、ステータ100の同一の配列と
図4のすべての要素を有するが、
図7および
図8は、ステータ100を囲むステータハウジング200を有している。
図7と
図8の違いは、
図7は概して丸いハウジング200を有しているが、一方、
図8のハウジング200は平坦化された外側部分240を備えている。
図9は、
図8の配列の斜視図を示している。
【0054】
ステータバー120および相互接続150、160を囲んでいるステータハウジング200は、ステータバー120の両端に環状の側壁230、ステータバー120の半径方向内向きおよび半径方向外向きのそれぞれに内側210および外側220の円周側を有している。このハウジング200の配列は、ステータ100の中心に中空領域140を保持している。
【0055】
図7および
図8は、外向きに配置される相互接続を欠いた部分170との関連で、
図4のステータの配列の利点を示している。
【0056】
図7に関して、ハウジング200の所定のサイズに対して、ステータコイル130およびそれらが巻かれたポール120は、大きさにおいて増大され得、外向きに配置される相互接続配線150を含まない領域170に拡大して、そしてそれによって機械の最大電力出力を増加させる。したがって、このようなステータ100を用いた機械は、同じサイズの従来のステータを用いた機械に比べて、高い出力を有するであろう。
【0057】
図8および
図9に関して、
図7と同じ形状を保持するハウジング200の代わりに、外向きに配置される相互接続部150を欠いたステータの領域170に対応するハウジング200の部分240が、外周側壁220とステータバー120の外周面との間の寸法を低減するように平坦化されている。このような配列は、有利には、従来のステータよりも正反対に小さいステータを提供する。このように、本発明のステータ100を用いた機械は、ステータバー120および巻線130の大きさが変化しないので、従来のステータを用いる機械よりも小さくすることができる。
【0058】
図7および
図8の概念を組み合わせること、すなわち、わずかに大きいバー120とコイル130を有するステータと、ステータ100の寸法が許容するわずかに小さいハウジジング200を提供することも可能である。
【0059】
図10は、ステータ相互接続の配列の代替実施例を示している。
図5と同様に、
図10は、すべてのステータバー120と電源U、V、Wとの接続方式の簡素化された実施例を示している。実施例の配列には、18個のステータバーが存している。この実施例では、巻線130は、3相星型配列として接続されているが、他の接続方式も可能である。例えば、デルタ配列が用いられてもよく、またはデルタ星型配列、または他の既知の配列が使用され得る。
【0060】
ステータ100は、内向きの電気的相互接続160および外向きの電気的相互接続150を備えている。ステータバー120の内側と外側の周面間の遷移180は、巻線130自体を経由して生じ得る。
【0061】
しかしながら、この特定の相互接続の配列の利点は、外向きに配置される相互接続150を欠いている2つの領域170が提供される点である。
【0062】
図11および
図12は、ステータ100と
図4のすべての要素との同様の配列を有するが、しかしながら、
図11および
図12は、ステータ100を囲むステータハウジング200を有している。
図11と
図12の違いは、
図11は概ね丸いハウジング200を有し、一方、
図12のハウジング200は2つの平坦化された外側部分240を備えている。
【0063】
ステータバー120および相互接続150、160を囲んでいるステータハウジング200は、ステータバー120の両端に環状の側壁230、ステータバー120の半径方向内向きおよび半径方向外向きのそれぞれに内側210および外側220の円周側を有している。ハウジング200のこの配列は、ステータ100の中心に中空領域140を保持している。
【0064】
図7~
図9を参照して示された実施例と同様に、コイルは、ハウジング200内の利用可能な空間を満たすような大きさに設定することができ、それによって、機械の電力出力を増加させ、または、機械の電力出力を低下させることなく機械の外寸法を小さくするために、ハウジングがより小さくされてもよい。または、これらの2つの利点の組み合わせが使用されてもよい。
【0065】
図12では、2つの平坦化された部分240が互いに対向して示されているが、代わりに、平坦化された領域が、互いに対してハウジング200の周りの他の角度に位置されるように、相互接続を配列することも可能である。
【0066】
上記のいずれの実施例においても、ハウジング200はまた、冷却流体を包含したチャンバーを画定するように構成および配列されてもよい。このような場合、ハウジング200はまた、冷却流体の供給用ポートと、冷却流体の排出用ポートとを備え、これらは油または誘電性流体であってもよい。冷却流体は、ハウジング200内の空洞の周りを流れ、コイルを冷却する。
【0067】
冷却流体は、外周内(すなわち、ハウジング200の外周側壁220とステータバー120の外周との間)、内周内(すなわち、ハウジング200の内周側壁210とステータバー120の内周との間)および隣接するステータバー120の間を流れ得る。ハウジング内のこれらの通路のすべてに冷却流体が流れることを可能にすることは、効率的で非常に効果的な冷却ソリューションを提供する。
【0068】
ブロック(図示せず)もまた、内側の円周側壁210とステータバー120の間、または、外側の円周側壁220とステータバー120との間に位置されて、空洞内に設けられてもよい。ブロックの目的は、それぞれの半径方向内向きまたは半径方向外向きの冷却流体流路を遮断し、隣接するステータバー120の間への流れ、および他の冷却流体流路へ遷移するように冷却流体を強制することである。空洞全体にブロックを配列することにより、冷却流体は、入口から出口に流れるとき、空洞を通るその経路(すなわち、外側と内側の冷却流体の流路間の遷移)を蛇行させる原因となる可能性がある。これは、ステータの冷却性能を大幅に向上させる。
【0069】
図8、9および12に示されるハウジング200の構成において、ハウジング200自体の平坦部240は、冷却流体流路に対してブロックの機能を果たし得る。平坦部240が対応するステータバー120に関連して適切に寸法付けられている場合、ハウジングは、冷却流体を遮断し、そして冷却流体を隣接するステータバー120の間に押し込む、すなわち、ハウジング200の外周壁220とステータバー120の間の外周路から内周壁210とステータバー120との間の内周路に遷移させる。
【0070】
ステータ100は、モーターや発電機などの電気機械の形成に用いることができる。このような機械では、永久磁石のセットを備えるローターが、機械の軸を中心とした回転のために取り付けられている。ローターは、ステータ100とローターとの間に間隙を画定するために、機械の軸に沿ってステータ100から離間されている。二重ローター構成では、第2のローターが、第1のローターと反対にステータ100の側部に取り付けられ、そしてステータ100に対して軸を中心に回転させるために取り付けられる。第1のローターと第2のローターは、一緒に連結されてもよいし、独立して動作してもよい。
【0071】
上述したように、本明細書に記載されたタイプのこのような電気機械は、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することができるか、またはその逆である。機械エネルギーを電気エネルギーに変換する動作時には、これらの機械は発電機として動作している。電気エネルギーを機械エネルギーに変換する動作時には、これらの機械はモーターとして動作している。単一の電気機械が、両方の機能を行い得る。
【0072】
間違いなく、他の多くの効果的な選択肢が、当業者には生ずる。本発明は、記載された実施形態に限定されず、本明細書に添付される請求の範囲内に横たわる当業者に明らかな修飾を包含することが理解されよう。