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特許7515521エラストマーインサートを使用したケーブル留めを有する超音波プローブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】エラストマーインサートを使用したケーブル留めを有する超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021569329
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020064357
(87)【国際公開番号】W WO2020239654
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】62/852,460
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】カスクーナ ディノ フランチェスコ
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-315751(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/033281(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によるハンドヘルド動作のための筐体と、
前記筐体に結合され、超音波データを取得するトランスデューサアレイと、
前記筐体に結合されたケーブルであって、前記ケーブルが、コンジットと、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である複数の導電体とを備え、前記複数の導電体が、前記筐体内に配置された遠位部分と、前記コンジット内に配置された近位部分とを備えるケーブルと、
前記筐体内に配置され、圧縮状態及び非圧縮状態を有するエラストマーインサートであって、前記ケーブルに対する力の印加によって前記複数の導電体が前記エラストマーインサートを前記圧縮状態に圧縮させるように、さらに前記ケーブルへの力の停止時に、前記エラストマーインサートが前記非圧縮状態に戻りながら前記複数の導電体を移動するように、前記エラストマーインサートが前記複数の導電体と接触するエラストマーインサートと、
を備え、
前記複数の導電体の前記遠位部分が第1の束及び第2の束となるように構成され、
前記第1の束が前記エラストマーインサートの第1の側に配置され、前記第2の束が前記エラストマーインサートの、対向する第2の側に配置される、超音波プローブ。
【請求項2】
形状構成を形成する前記第1の束と第2の束との交差が前記エラストマーインサートの遠位であり、
前記複数の導電体が前記エラストマーインサートの近位で前記第1の束及び第2の束になるように構成される、
請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記筐体内に配置され、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である電子回路をさらに備え、前記第1の束及び前記第2の束が前記電子回路を構成する2つの印刷回路基板の対向する側に結合される、
請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記筐体内に配置され、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である第1の回路基板及び第2の回路基板をさらに備え、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板と比べて上方に配置され、
前記筐体の近位部分において、前記第1の束が前記第2の束と比べて上方に配置され、
前記筐体の長さに沿って、前記第1の束及び前記第2の束が互いに交差するように、前記第1の束が前記第2の回路基板に結合され、前記第2の束が前記第1の回路基板に結合される、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記エラストマーインサートが前記第1の側に第1の溝を有し、前記第2の側に第2の溝を有し、
前記第1の束が前記第1の溝内に配置され、前記第2の束が前記第2の溝内に配置される、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記エラストマーインサートが、前記第1の溝と前記第2の溝との間に配置された細穴を有する、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記エラストマーインサートが、第1の本体部分と、第2の本体部分と、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に延出するコネクタとを備える、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記第1の束及び前記第2の束が前記コネクタの対向する側に配置される、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記第1の束及び前記第2の束が、前記第1の本体部分の対向する側と前記第2の本体部分の対向する側とに配置される、請求項に記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記複数の導電体の前記遠位部分が第1の束と第2の束とになるように構成され、
前記ケーブルに対する力が長手方向に作用し、
前記ケーブルに対する前記長手方向の力が、前記エラストマーインサートを圧縮させる前記第1の束及び前記第2の束の水平方向移動を引き起こすように、前記エラストマーインサート、前記第1の束、及び前記第2の束が構造的に構成される、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項11】
前記エラストマーインサートが前記ケーブルの遠位部分内に配置される、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項12】
前記エラストマーインサートの形状が前記ケーブルの前記遠位部分の形状と一致する、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項13】
前記エラストマーインサートが前記非圧縮状態のとき、前記複数の導電体が前記筐体内で第1の長さだけ延出し、
前記エラストマーインサートが前記圧縮状態のとき、前記複数の導電体が前記筐体内でより短い第2の長さだけ延出する、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項14】
使用者によるハンドヘルド動作のための筐体と、
前記筐体に結合され、超音波データを取得するトランスデューサアレイと、
前記筐体に結合されたケーブルであって、前記ケーブルが、コンジットと、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である複数の導電体とを備え、前記複数の導電体が、前記筐体内に配置された遠位部分と、前記コンジット内に配置された近位部分とを備えるケーブルと、
前記筐体内に配置され、圧縮状態及び非圧縮状態を有するエラストマーインサートであって、前記ケーブルに対する力の印加によって前記複数の導電体が前記エラストマーインサートを前記圧縮状態に圧縮させるように、また、前記ケーブルへの力の停止時に、前記エラストマーインサートが前記非圧縮状態に戻りながら前記複数の導電体を移動するように、前記複数の導電体と接触するエラストマーインサートと、を備える超音波プローブと、
前記複数の導電体を介して前記トランスデューサアレイと通信可能状態であり、前記超音波データに基づいて超音波画像を生成するコンピュータと、
を備え、
前記複数の導電体の前記遠位部分が第1の束及び第2の束となるように構成され、
前記第1の束が前記エラストマーインサートの第1の側に配置され、前記第2の束が前記エラストマーインサートの、対向する第2の側に配置される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、一般に超音波プローブの構造的構成に関し、より詳しくは1つ又は複数の導電体束に対する引張損傷を防ぐために超音波プローブ内に配置されたエラストマーインサートに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 外部超音波イメージング装置は、その非侵襲性、及び絶えず増加している解像度のため、現代医療において不可欠な診断ツールとなった。従来の超音波イメージングプローブにおいて、力が印加された際の電気配線への引張損傷を防ぐゲーブル管理技法として、筐体内でエポキシプラグ(接着アンカーとも呼ばれる)が用いられる。例えば使用者が超音波プローブの取り扱いを誤った結果、及び/又は人が超音波プローブのケーブルに誤ってつまずいた結果として、力が機械的にかけられる場合がある。接着アンカーは、装置の機能を妨げることなく、効果的な引張アンカーとなるように、精度よく配置される必要がある。しかしながら、そのような接着アンカーは、ヒンジ点を形成することによって導電体に対する誤った配置及び剛性を引き起こすことがわかっている。導電体が筐体内で移動することを防ぐのではなく、接着アンカーは電気配線と筐体の壁部との間の摩擦を増やすことがわかっている。配線の周囲の絶縁体は、電気配線と筐体の壁部との間の摩擦の結果として上記のヒンジ点で摩耗することがわかっている。露出された裸線は、結果として超音波プローブの電気的短絡及び故障につながり得る。さらに、動きがエポキシプラグによって制約を受ける結果、配線はこのヒンジ点で加工硬化し、最終的に通常使用時にその位置で破損する場合があり得る。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本願は、2つの電気配線束間に配置されたエラストマーインサートを備える改良型超音波イメージングプローブを提供する。この電気配線は、超音波プローブと、超音波画像を生成するコンピュータとの間の通信を可能にするケーブルの一部である。電気配線束は、エラストマーインサートに関して配置されるため、超音波プローブ内で余長だけ延出する。例えば誰かがそれにつまずいたことにより力がケーブルにかかると、2つの電気配線束の余長が引き戻され、エラストマーインサートを圧縮する。力が取り除かれた後、エラストマーインサートがそれ自体で非圧縮となり、余長を含む元の位置に2つの電気配線束を戻す。このようにして、電気配線の余長のみが突然の力によって引き戻される。これは、従来の装置においてエポキシプラグによって引き起こされる問題を回避しながら、超音波プローブ内の電子装置に接続された電気配線の端部を保護しており、有益である。
【0004】
[0004] 例示の実施形態によれば、超音波プローブが提供される。前記超音波プローブは、使用者によるハンドヘルド動作のための筐体と、前記筐体に結合され、超音波データを取得するトランスデューサアレイと、前記筐体に結合されたケーブルであって、前記ケーブルが、コンジットと、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である複数の導電体とを備え、前記複数の導電体が、前記筐体内に配置された遠位部分と、前記コンジット内に配置された近位部分とを備えるケーブルと、前記筐体内に配置され、圧縮状態及び非圧縮状態を有するエラストマーインサートであって、前記ケーブルに対する力の印加によって前記複数の導電体が前記エラストマーインサートを前記圧縮状態に圧縮させるように、さらに前記ケーブルへの力の停止時に、前記エラストマーインサートが前記非圧縮状態に戻りながら前記複数の導電体を移動するように、前記エラストマーインサートが前記複数の導電体と接触するエラストマーインサートと、を備える。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態において、前記複数の導電体の前記遠位部分が第1の束及び第2の束となるように構成され、前記第1の束が前記エラストマーインサートの第1の側に配置され、前記第2の束が前記エラストマーインサートの、対向する第2の側に配置される。いくつかの実施形態において、前記第1の束及び前記第2の束がx形状構成を有する。いくつかの実施形態において、前記x形状構成の前記第1の束と第2の束との交差が前記エラストマーインサートの遠位であり、前記複数の導電体が前記エラストマーインサートの近位で前記第1の束及び第2の束になるように分離する。いくつかの実施形態において、前記超音波プローブが、前記筐体内に配置され、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である電子回路をさらに備え、前記第1の束及び前記第2の束が前記電子回路の対向する側に結合される。いくつかの実施形態において、前記超音波プローブが、前記筐体内に配置され、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である第1の回路基板及び第2の回路基板をさらに備え、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板と比べて上方に配置され、前記筐体の近位部分において、前記第1の束が前記第2の束と比べて上方に配置され、前記筐体の長さに沿って、前記第1の束及び前記第2の束が互いに交差するように、前記第1の束が前記第2の回路基板に結合され、前記第2の束が前記第1の回路基板に結合される。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態において、前記エラストマーインサートが前記第1の側に第1の溝を有し、前記第2の側に第2の溝を有し、前記第1の束が前記第1の溝内に配置され、前記第2の束が前記第2の溝内に配置される。いくつかの実施形態において、前記エラストマーインサートが、前記第1の溝と前記第2の溝との間に配置された細穴を有する。いくつかの実施形態において、前記エラストマーインサートが、第1の本体部分と、第2の本体部分と、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に延出するコネクタとを備える。いくつかの実施形態において、前記第1の束及び前記第2の束が前記コネクタの対向する側に配置される。いくつかの実施形態において、前記第1の束及び前記第2の束が、前記第1の本体部分の対向する側と前記第2の本体部分の対向する側とに配置される。いくつかの実施形態において、前記複数の導電体の前記遠位部分が第1の束と第2の束となるように構成され、前記ケーブルに対する力が長手方向に作用し、前記ケーブルに対する前記長手方向の力が、前記エラストマーインサートを圧縮させる前記第1の束及び前記第2の束の水平方向移動を引き起こすように、前記エラストマーインサート、前記第1の束、及び前記第2の束が構造的に構成される。いくつかの実施形態において、前記エラストマーインサートが前記ケーブルの遠位部分内に配置される。いくつかの実施形態において、前記エラストマーインサートの形状が前記ケーブルの前記遠位部分の形状と一致する。いくつかの実施形態において、前記エラストマーインサートが前記非圧縮状態のとき、前記複数の導電体が前記筐体内で第1の長さだけ延出し、前記エラストマーインサートが前記圧縮状態のとき、前記複数の導電体が前記筐体内でより短い第2の長さだけ延出する。
【0007】
[0007] 例示の実施形態によれば、システムが提供される。前記システムは、使用者によるハンドヘルド動作のための筐体と、前記筐体に結合され、超音波データを取得するトランスデューサアレイと、前記筐体に結合されたケーブルであって、前記ケーブルが、コンジットと、前記トランスデューサアレイと通信可能状態である複数の導電体とを備え、前記複数の導電体が、前記筐体内に配置された遠位部分と、前記コンジット内に配置された近位部分とを備えるケーブルと、前記筐体内に配置され、圧縮状態及び非圧縮状態を有するエラストマーインサートであって、前記ケーブルに対する力の印加が、前記複数の導電体に、前記エラストマーインサートを前記圧縮状態に圧縮させるように、さらに前記ケーブルへの力の停止時に、前記エラストマーインサートが前記非圧縮状態に戻りながら前記複数の導電体を移動するように、前記エラストマーインサートが前記複数の導電体と接触するエラストマーインサートと、を備える超音波プローブと、前記複数の導電体を介して前記トランスデューサアレイと通信可能状態であり、前記超音波データに基づいて超音波画像を生成するコンピュータと、を備える。
【0008】
[0008] 本開示の他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0009】
[0009] 本開示の説明上の実施形態が添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010] 本開示の態様による、コンソールと超音波プローブとを備える超音波イメージングシステムの概略図である。
図2】[0011] 本開示の態様による、エラストマーインサートを備える超音波プローブの部分的に透過した側面図である。
図3】[0012] 図2の断面線3-3に沿った超音波プローブの側部断面図である。
図4】[0013] 図2の断面線4-4に沿った超音波プローブの端部断面図である。
図5】[0014] 本開示の態様による、エラストマーインサートを備える超音波プローブの一部の斜視図である。
図6】[0015] 図5の断面線6-6に沿った超音波プローブのケーブルの遠位部分の側部断面図である。
図7】[0016] 本開示の態様による、圧縮状態のエラストマーインサートの一部の斜視図である。
図8】[0017] 本開示の態様による、非圧縮状態のエラストマーインサートの一部の斜視図である。
図9A】[0018] 本開示の態様による、エラストマーインサートの斜視図である。
図9B】[0019] 図9Aのエラストマーインサートの端面図である。
図9C】[0020] 図9Aのエラストマーインサートの上面図である。
図10】[0021] 本開示の態様による、エラストマーインサートの斜視図である。
図11】[0022] 本開示の態様による、エラストマーインサートの斜視図である。
図12】[0023] 本開示の態様による、エラストマーインサートの斜視図である。
図13】[0024] 本開示の態様による、エラストマーインサートの斜視図である。
図14A】[0025] 本開示の態様による、エラストマーインサートの斜視図である。
図14B】[0026] 図14Aのエラストマーインサートの側面図である。
図14C】[0027] 図14Aのエラストマーインサートの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0028] 本開示の原理の理解を促す目的のため、図面に示された実施形態を以下で参照し、それを説明するために特定の表現が使用される。ただし、本開示の範囲に対する限定が意図されないことを理解されたい。説明された装置に対する任意の改変及び追加の修正、さらには本開示の原理のあらゆる追加の適用は、十分に企図され、本開示が関係する当業者には通常起こり得るものとして本開示内に含まれる。特に、ある実施形態に関して説明された特徴、構成要素、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関して説明された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わされてもよいことは十分に企図される。ただし、簡潔にするため、それらの組み合わせの多数の繰り返しは個別に説明されない。
【0012】
[0029] 図1は、本開示の態様による、超音波イメージングシステム100の斜視図である。超音波イメージングシステム100は、コンソール102と、超音波プローブ108とを備える。超音波イメージングシステム100は、解剖学的構造の超音波画像を取得及び表示するために使用される。いくつかの場合において、システム100は、追加の要素を備えてもよく、及び/又は図1に示された要素のうちの1つ又は複数を有さずに実現されてもよい。
【0013】
[0030] 超音波プローブ108は、対象の体内の解剖学的構造を視覚化するために、対象の体内の解剖学的構造上又はその近くに配置されるように、サイズ及び形状が決定され、構造的に構成され、及び/又はその他に関して構成される。対象は人間の患者でも動物でもよい。超音波プローブ108は、対象の体外に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、超音波プローブ108は、対象の体に近接して、及び/又は接触して配置される。例えば、超音波プローブ108は、対象の体に直接配置されてもよく、及び/又は対象の体に隣接して配置されてもよい。超音波画像に示された解剖学的構造のビューは、超音波プローブ108の位置及び向きに依存する。解剖学的構造の超音波データを得るために、超音波プローブ108は、医師、音波検査者、及び/又は他の医療スタッフなどの使用者によって適切に配置及び配向されることができ、それによってトランスデューサアレイ112が超音波を出射し、該解剖学的構造の所望の部分からの超音波エコーを受け取る。超音波プローブ108は、持ち運び可能であり、医療環境における使用に適する。いくつかの例において、超音波プローブ108は、超音波イメージング装置、診断イメージング装置、外部イメージング装置、経胸壁心エコー(TTE)プローブ、及び/又はその組み合わせとして言及されることが可能である。
【0014】
[0031] 超音波プローブ108は、使用者によるハンドヘルド把持のために、構造的配置、サイズ及び形状が決定され、及び/又はその他に関して構成される筐体110を備える。筐体110は、いくつかの例においてハンドルと言及されることが可能である。筐体110の近位部分107は、いくつかの例においてハンドルと言及されることが可能である。筐体110は、電子回路116及びトランスデューサアレイ112など、イメージング装置108の様々な構成要素を囲み、保護する。様々な構成要素を固定するための立体骨組などの内部構造物が筐体110内に配置される。いくつかの実施形態において、筐体110は、製造時にともに接合される2つ以上の部分を備える。筐体110は、プラスチック、ポリマー、複合物又はその組み合わせを含む任意の適切な材料から形成され得る。
【0015】
[0032] 筐体110及び/又は超音波プローブ108は、近位端117で終端する近位部分107と、遠位端115で終端する遠位部分105とを含む。いくつかの例において、超音波プローブ108は、近位部分107及び遠位部分105を有するとして説明され得る。トランスデューサアレイ112を備える超音波プローブ108のイメージングアセンブリは、遠位部分105に配置される。超音波プローブ108のイメージングアセンブリの全部又は一部が近位端115の範囲を定めることができる。トランスデューサアレイ112は、筐体110に対して直接的又は間接的に結合され得る。解剖学的構造が弾力性を有して圧縮されるように、超音波プローブ108の操作者は、超音波プローブ108の遠位端115を患者の体に接触させる。例えば、トランスデューサアレイ112を備えるイメージングアセンブリは、対象の体に直接又は隣接して配置されてもよい。いくつかの例において、トランスデューサアレイ112が対象の体に隣接するように、遠位部分105は対象の体に接触して直接配置される。
【0016】
[0033] 超音波プローブ108は、患者の任意の適切な解剖学的構造と関連付けられた超音波イメージングデータを取得するように構成される。例えば、超音波プローブ108は、肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺を含む内臓、管、腸、脳、硬膜嚢、脊髄、及び末梢神経を含む神経系構造、尿路とともに、血管内の弁、血液、心臓の室又は他の部分及び/又は体の他の系を含むが限定されない任意の数の構造学的位置及び組織型を検査するために使用される。解剖学的構造は、心臓血管系、末梢血管系、神経血管系、腎血管系、及び/又は体内の他の適切な内腔を含む患者の血管系の動脈又は静脈などの血管でもよい。自然の構造に加えて、超音波プローブ108は、心臓弁、ステント、シャント、フィルタ、及び他の装置などであるが、それに限定しない人工構造物を検査するために使用されてもよい。
【0017】
[0034] トランスデューサアレイ112は、超音波信号を発信し、発信された超音波信号に対応する超音波エコー信号を受信するように構成される。このエコー信号は、対象の体の解剖学的構造からの超音波信号の反射である。超音波エコー信号は、超音波プローブ108及び/又はコンソール102の電子回路116によって処理されて、超音波画像を生成する。トランスデューサアレイ112は、音響窓/音響レンズ、トランスデューサアレイ112の送信側の整合材、及びトランスデューサアレイ112の裏側の裏当て材を含む、超音波プローブ108のイメージングアセンブリの一部である。音響窓及び整合材は、トランスデューサアレイ112の送信側から所望の方向への(例えば外向き、すなわち患者の体内に向かう方向)超音波エネルギーの伝搬を容易にする音響特性を有する。裏当て材は、トランスデューサアレイ112の裏側から望ましくない方向(例えば内向き、すなわち患者の体から離れる方向)への超音波エネルギーの伝搬を妨げる、又は制限する音響特性を有する。
【0018】
[0035] トランスデューサアレイ112は、任意の数のトランスデューサ素子を含む。例えば、アレイは、2個の音響素子、4個の音響素子、15個の音響素子、64個の音響素子、128個の音響素子、500個の音響素子、812個の音響素子、3000個の音響素子、9000個の音響素子などの値、及び/又はそれを上回る値及びそれを下回る値の両方の他の値を含む、1個の音響素子と10000個の音響素子との間を含むことができる。トランスデューサアレイ112のトランスデューサ素子は、線形アレイ、平面アレイ、湾曲アレイ、曲線アレイ、円周アレイ、環状アレイ、フェーズドアレイ、行列アレイ、一次元(1D)アレイ、1.x次元アレイ(例えば、1.5Dアレイ)、又は二次元(2D)アレイなど、任意の適切な構成で配置される。トランスデューサ素子(例えば、1つ又は複数の行、1つ又は複数の列、及び/又は1つ又は複数の向きに配置される)のアレイは、均一に又は独立して制御及び活性化されることが可能である。トランスデューサアレイ112は、患者の解剖学的構造の一次元、二次元、及び/又は三次元画像を得るように構成され得る。超音波トランスデューサ素子は、圧電/圧電抵抗素子、圧電微細加工超音波トランスデューサ(PMUT)素子、容量型微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)素子、及び/又は任意の他の種類の超音波トランスデューサ素子でもよい。
【0019】
[0036] トランスデューサアレイ112は、電子回路116と通信可能状態である(例えば電気接続されている)。電子回路116は、超音波イメージングデータを取得するようにトランスデューサアレイ112を制御し、及び/又は取得された超音波イメージングデータを処理するための集積回路(IC)を含む、任意の適切な受動的又は能動的電子構成要素でもあり得る。例えば、電子回路116は、1つ又は複数のトランスデューサ制御論理ダイを備え得る。電子回路116は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を備え得る。いくつかの実施形態において、集積回路のうちの1つ又は複数は、マイクロビームフォーマ(μBF)、取得制御装置、送受信機、電力回路、マルチプレクサ回路(MUX)などを備え得る。いくつかの実施形態において、電子回路116は、プロセッサ、メモリ、ジャイロスコープ、及び/又は加速度計を備え得る。電子回路116は、超音波プローブ108内に配置され、筐体110に囲まれる。
【0020】
[0037] 超音波プローブ108は、コンソール102と超音波プローブ108の1つ又は複数の構成要素(例えばトランスデューサアレイ112及び/又は電子回路116)との間に信号通信を実現するケーブル114を備える。ケーブル114は、コンソール102と超音波プローブ108との間で電気信号を運ぶように構成された複数の導電体120を備える。導電体120は、絶縁材料の1つ又は複数の層によって囲まれた裸線であり得る。絶縁材料は、通常、ポリマー系複合材料、ナイロン、及び/又は塩化ビニル樹脂(PVC)合成プラスチックポリマーである。例えば、トランスデューサアレイ112によって取得されたイメージングデータを表す電気信号が超音波プローブ108から導電体120を介してコンソール102に送信されることが可能である。制御信号及び/又は電力は、コンソール102から導電体120を介して超音波プローブ108に送信されることが可能である。ケーブル114及び/又は導電体120は、独自仕様の接続、イーサネット接続、任意のバージョンのユニバーサルシリアルバス(USB)接続、又は任意のバージョンのミニUSBなど、任意の種類の有線接続を実現する。
【0021】
[0038] ケーブル114は、導電体120を囲むコンジット118をさらに含み得る。コンジット118は、管としての形状を有し、超音波イメージング装置108のケーブル114における導電体120を保護及び配線するために使用される。コンジット118は柔軟性を有し、ポリマー、プラスチック、金属、繊維、他の適切な材料、及び/又はその組み合わせから形成され得る。コンジット118は、外部素子に対する直接露出を防ぐことによって導電体120を保護する。ケーブル114の遠位部分109は、超音波プローブ108の筐体110の近位部分107に結合される。
【0022】
[0039] コネクタ124は、ケーブル114の近位部分113に配置される。コネクタ124は、コンソール102と取り外し可能に結合するように構成される。超音波プローブ108とコンソール102との間の信号通信は、コネクタ124がコンソール102のレセプタクル103内に受けられた時に構築される。その際、超音波プローブ108は、コンソール102に電気的及び/又は機械的に結合され得る。いくつかの例において、コンソール102は、コンピュータ又はコンピューティング装置として言及されることが可能である。コンソール102は、ユーザインタフェース104と、ディスプレイ106とを備える。コンソール102は、超音波プローブ108によって取得された超音波イメージングデータを処理して、超音波画像を生成し、その超音波画像をディスプレイ106上に出力するように構成される。使用者は、ユーザインタフェース104において入力を与えることによって、超音波プローブ108による超音波イメージングデータの取得及び/又は超音波画像の表示の様々な態様を制御し得る。イメージング装置108及びディスプレイ106は、コンソール102に対して通信可能に直接的又は間接的に結合される。
【0023】
[0040] 1つ又は複数の画像処理ステップは、コンソール102及び/又は超音波プローブ108によって完了されることが可能である。コンソール102及び/又は超音波プローブ108は、メモリと通信可能状態の1つ又は複数のプロセッサを備え得る。このプロセッサは、本明細書で記載された動作を実行するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央演算処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、他のハードウェア装置、ファームウェア装置、又はその組み合わせでもよい。いくつかの実施形態において、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)である。他の実施形態において、メモリは、キャッシュメモリ(例えば、プロセッサのキャッシュメモリ)、磁気抵抗RAM(MRAM)、読出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリ装置、ハードディスクドライブ、他の形態の揮発性及び不揮発性メモリ、又は様々な種類のメモリの組み合わせである。いくつかの実施形態において、メモリは、非一時的コンピュータ可読媒体を備える。メモリは命令を格納する。この命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに本明細書に記載の動作を実行させる命令を含む。
【0024】
[0041] コンソール102は図1の説明上の実施形態において可動カートであるが、コンソール102は、統合プロセッサ、メモリ、及びディスプレイを備えるモバイル装置(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、又はパーソナルデジタルアシスタント(PDA))であることも可能であることを理解されたい。例えば、モバイル装置のタッチスクリーンは、ユーザインタフェース104及びディスプレイ106であることが可能である。
【0025】
[0042] 図2から図6は、本開示の態様による、超音波プローブ108の構成要素の構造的構成を示す図である。図2は、エラストマーインサート232を備える超音波プローブ108の部分的に透過した側面図である。図3は、図2の断面線3-3に沿った超音波プローブ108の側部断面図である。図4は、図2の断面線4-4に沿った超音波プローブ108の端部断面図である。図5は、エラストマーインサート232を備える超音波プローブ108の一部の斜視図である。図6は、図5の断面線6-6に沿った超音波プローブ108のケーブル114の遠位部分109の側部断面図である。
【0026】
[0043] 超音波プローブ108の様々な構成要素は、筐体110内に配置される。例えば、電子回路116、ケーブル114の遠位部分109、及びエラストマーインサート232は、筐体110の内部に配置される。電子回路116は、印刷回路基板(PCB)226、228(図2図3図5)、基板間電気コネクタ301、302(図3図5)、及びケーブル脚部220、221(図2から図6)を備える。
【0027】
[0044] ケーブル114は、導電体120を囲むコンジット118を備える。導電体120は、ケーブル114の遠位部分109とケーブル114の近位部分113との間のケーブル114の長さの大部分に沿った1ユニットとして構成される。ケーブル114の遠位部分109において、導電体120の単一ユニットは、ケーブル脚部220、221を形成する2つの個別ユニットに分離される。いくつかの例において、ケーブル脚部220、221は、導電体120の束又はサブセットとして言及されることが可能である。いくつかの実施形態において、ケーブル脚部220、221への導電体120の分割は、エラストマーインサート232の近接して発生する。例えば、フェルール230において長手方向に、フェルール230から離れて、又はフェルール230に近接して、分離は形成され得る。フェルール230は、ケーブル114の遠位端の範囲を定め、コンジット118に結合され得る。例示の実施形態において、フェルール230はコンジット118の遠位部分の周囲に延出して、強度を高め、及び/又はコンジット118を支持して、コンジット118の分離及び/又は摩耗を防ぐ。フェルール230は、金属、ポリマー、又はプラスチックから形成された円筒リングとして成形され得る。筐体110の近位部分107がケーブル114の遠位部分109を囲む場合、フェルール230は筐体110の近位部分107内に配置される。いくつかの実施形態において、ケーブル脚部220、221への導電体120の分割は、筐体110内及び/又はケーブル114内で発生し得る。
【0028】
[0045] 導電体120の分離が形成されることによって、各ケーブル脚部220又は221はPCB226又は228に接続される。例えば、ケーブル脚部220は、PCB226に機械的及び電気的に結合され、ケーブル脚部221はPCB228に機械的及び電気的に結合される。各ケーブル脚部220、221は、複数の導電体120からなるサブセットとして形成される。例えば、導電体120は、ケーブル脚部220、221となるように構成される。各ケーブル脚部220、221は、導電体120のサブセットを囲むスリーブ304を備える。スリーブ304は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はテフロン(登録商標)を含む、プラスチック又はポリマーなどの任意の適切な材料から形成され得る。2つのケーブル脚部220、221が説明上の実施形態で示されるが、導電体120が、1つ、3つ、4つ、又はそれ以上を含む、任意の適切な数のケーブル脚となるように構成され得ることが理解されるであろう。ケーブル脚部220、221は、筐体110内に少なくとも部分的に配置された導電体120の遠位部分であり得る。導電体120のより近位の部分は、コンジット118内に配置され得る。
【0029】
[0046] トランスデューサアレイ112とケーブル114との間の電気信号は、電子回路116を介して伝送される。例えば、トランスデューサアレイ112とケーブル脚部220、221とは、PCB226及び228と通信可能状態である。特に、ケーブル脚部220及び221を形成する導電体120の遠位端は、PCB226及び228に機械的及び電気的に結合される。例えば、導電体120の遠位端は、PCB226、228にはんだ付けされる。はんだの材料成分は、電子回路116内で導体間を電流が流れるのを可能にする金属系である。超音波プローブ108は、衝撃及び振動に対する耐性を与え、導電体120上の水分又は腐食剤を避けるためにポリマー系材料から形成可能な埋込用材料222、224を備える。埋込用材料222はPCB226におけるケーブル脚部220の終端部上に配置され、埋込用材料224はPCB228におけるケーブル脚部221の終端部上に配置される。基板間コネクタ301、302など、様々な能動的及び/又は受動的電子構成要素が、PCB226、228に機械的及び電気的に結合される。例えば図3及び図5に示す向きにおいて、PCB226は筐体110内の上方に配置され、PCB228は筐体110内の下方に配置される。
【0030】
[0047] 従来の超音波イメージング装置において、フェルールは、充填材料からなる大きなプラグによって通常埋められる。この充填材料は、ポリエポキシド、又はエポキシ基を含有する反応性プレポリマー及びポリマーなど、任意の適切な化学接着樹脂又はエポキシ樹脂から形成される。いくつかの例において、充填材料は、接着アンカー、エポキシ、又は充填材として言及される。充填材料は、導電体の動きを防ぐことによって、力の印加時の導電体に対する損傷を防ぐことが意図される。使用時のイメージング装置の使用者による誤った取り扱いの結果、力が機械的にかけられる場合がある。例えば、そのような力は、イメージング装置のケーブルに人がつまずいた結果として生じる場合がある。しかしながら、そのような充填材料は、導電体の誤った配置及び剛性を引き起こし、損傷を受けた導体と一致するヒンジ点を形成することがわかっている。さらに、導電体が筐体内で移動することを防ぐのではなく、充填材料は、導電体と筐体の壁部との間の摩擦を増やすことがわかっている。この摩擦は、絶縁被覆が摩耗するため、裸線を露出させる。露出された裸線は、短い場合がある。
【0031】
[0048] 本開示は、エポキシプラグの必要性をなくすエラストマーインサート232を提供するため、有益である。エラストマーインサート232は、上述したように機械的力によって導電体120にかけられる衝撃に対する衝撃吸収体の役割を果たすことが意図される。エラストマーインサート232は、近位部分107において、筐体110内に配置される。本明細書で説明されるように、エラストマーインサート232は、ケーブル脚部220及び221を方向付ける、保持する、及び位置を変えて、PCB226、228と導電体120との間の電気接続の損傷を防止するために使用可能である。使用時にケーブル脚部220、221に対して力が印加されると、エラストマーインサート232は、弾力的に圧縮され、伸長する。さらに、エラストマーインサート232は、使用時に導電体120にかけられたあらゆる衝撃を吸収する。力が取り除かれると、エラストマーインサート232は、元の状態に戻り、ケーブル脚部220、221をそれぞれの元の位置に戻すように移動する。ケーブル脚部220、221の元の位置は、ここではニュートラル状態と言及される場合もある。エラストマーインサート232は、天然ポリマー又は合成ポリマーなどの弾性特性を有する任意の適切な材料から形成されることが可能である。材料の例は、個体シリコーン又はウレタンゴム、独立気泡フォームシリコーン又はウレタンゴム、液状シリコーンゴム(LSR)、エチレンプロピレンジエン単量体(EPDM)、サントプレーン(商標)熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ウレタン(TPU)、他の適切な材料、及び/又はその組み合わせを含む。エラストマーインサート232は、一般的に、円筒形状を有する本体を備えることが可能である。様々な実施形態において、円筒形本体の一部(例えば、ケーブル脚部220、221のための溝401、402)は取り除かれることが可能である。いくつかの例において、エラストマーインサート232の本体の形状は、両刃の斧形状として説明され得る。
【0032】
[0049] 筐体110の近位部分107は、エラストマーインサート232と、フェルール230とを備える。エラストマーインサート232及びケーブル脚部220、221は、フェルール230内に配置され得る。一般に、エラストマーインサート232は、ケーブル114の遠位部分109内に配置され得る。エラストマーインサート232の形状は、ケーブル114の遠位部分109の形状と一致し得る。例えば、フェルール230が円筒状内腔を有する場合、エラストマーインサート232がフェルール230内に配置されるように、エラストマーインサート232は、全体的に円筒状で有り得る。例えば、エラストマーインサート232の外面はフェルール230の内面及び/又はケーブル114の遠位部分に接触してその形状と一致するように成形されることが可能である。エラストマーインサート232は、締りばめ、プレスばめなど任意の適切な嵌め方でフェルール230内に配置され得る。
【0033】
[0050] 図5は、エラストマーインサート232の例示の構成を示す図である。エラストマーインサート232は、フェルール230の部分的内側及び部分的外側に配置され得る。いくつかの実施形態において、エラストマーインサート232の近位部分(例えば、2分の1又は任意の適切な部分)がフェルール230の内部に配置されることが可能であり、エラストマーインサート232の遠位部分(例えば、2分の1又は任意の適切な部分)がフェルール230の外側に配置されることが可能である。図3及び図5の両方は、エラストマーインサート232がケーブル脚部220と221との間に配置される実施形態を示す図である。ケーブル脚部220及び221は、エラストマーインサート232の上及び周囲に向けられて、交差形又はx形状308を形成することが可能である。例えば、x形状308を形成するためのケーブル脚部220及び221の交差は、エラストマーインサート232の遠位に存在し得る。例えば、ケーブル脚部220及び221は、電子回路116の対向する側に結合される。図3及び図5に示す向きにおいて、筐体110の近位部分107における上部の(例えば上方に配置される)ケーブル脚部221は、筐体110のより遠位における下部の(例えば下方に配置される)ケーブル脚部221となる。同様に、筐体110の近位部分107における下部の(下方に配置される)ケーブル脚部220は、筐体110のより遠位における上部の(例えば上方に配置される)ケーブル脚部220となる。長手方向において、エラストマーインサート232は、x形状308と、ケーブル脚部220、221への導電体120の分離との間に配置される。
【0034】
[0051] ケーブル脚部220及び221がx形状308を有しエラストマーインサート232に効果的に巻き付く又は囲む構成によって、最小限の空間のみが使用可能である筐体110の内部にサービスループが実現する。さらに、この構成は、ケーブル脚部220及び221がコンジット118内部を自由に移動するための余剰のたるみをもたらす。この余剰のたるみは、使用時に外部からの機械的力が印加された場合のはんだ接合部に対する引張り及び損傷を防ぐ。その際、エラストマーインサートが非圧縮状態にあるとき、ケーブル脚部220及び221は、エラストマーインサート232が圧縮状態にあるときよりも筐体110内部でより長く延出する。すなわち、ケーブル脚部220、221が近位に引っ張られるため、ケーブル114に対する力によって、筐体110内部でのケーブル脚部220及び221の長さが短くなる。エラストマーインサート232は衝撃を吸収し、ケーブル脚部220及び221を元の構成に自動的に戻す。元の構成において、ケーブル脚部220及び221は筐体110の内部でより長くなる。この余長が筐体110内部における導電体120のためのサービスループをもたらし、それによって、導電体120とPCB226、228との間のはんだ接合部ではなく、ケーブル114にかかる力によってその余長のみ引っ張られる。エラストマーインサート232が存在することによって、印加された力の影響が電気相互接続に伝わるのを防ぐ。
【0035】
[0052] ケーブル脚部220はエラストマーインサート232の第1の側に配置され、ケーブル脚部221はエラストマーインサート232の対向する第2の側に配置される。図4及び図6の断面図は、エラストマーインサート232の対向する側の溝401及び402(図4)の内部に配置されたケーブル脚部220及び221を示す。溝401及び402の寸法は、直径0.10インチから0.25インチの範囲でケーブル脚部220及び221の円周404を含む。いくつかの実施形態において、溝401及び402の円周404は、ケーブル脚部220及び221の円周404よりもわずかに小さいため、それらは密着している。いくつかの実施形態において、溝401及び402の円周404はケーブル脚部220及び221の円周404と等しい、又はそれより大きい(例えば図4に示す通り)。
【0036】
[0053] 図7及び図8は、本開示の態様による、力702の印加時及び停止時におけるエラストマーインサート232の状態の変化を示す図である。図7は、圧縮状態のエラストマーインサート232の一部の斜視図である。超音波プローブ108の使用時において、ケーブル114は引っ張られることが可能であるため、ケーブル脚部220及び221は、例えば矢印で示される方向(図7)において力702を経験する。力702は、縦力、張力、及び/又は近位方向に作用する力として様々に説明され得る。縦力702は、ケーブル脚部220、221の水平方向の移動(例えば、互いに向かって内向きの移動)を引き起こす。ケーブル脚部220及び221は、エラストマーインサート232の周囲でx形状308を有する。その構造的構成のため、縦力702は、ケーブル脚部220、221を互いに向かって移動させ、エラストマーインサート232を圧縮する。エラストマーインサート232は、圧縮状態において高さ701を有する。
【0037】
[0054] 図8は、非圧縮状態のエラストマーインサート232の一部の斜視図である。例えば、ケーブル脚部220及び221に対して作用する力702の停止時に、エラストマーインサート232の材料特性によってエラストマーインサート232を元の非圧縮高さ801に戻す。非圧縮高さ801は、圧縮高さ701よりも大きい。このとき、エラストマーインサート232は弾力性を有して圧縮され(図7)、それによってエラストマーインサート232は元の状態に戻る。エラストマーインサート232の伸長はケーブル脚部220、221上に作用して、ケーブル脚部220、221を移動する。例えば、エラストマーインサート232の伸長によって、ケーブル脚部220、221は互いから離れた方向に押される。
【0038】
[0055] 本明細書で開示された例示のエラストマーインサート232を作製するために、エラストマーインサート232の材料及び構造に基づいて、射出成形、鋳造、3D印刷及び/又は他の適切な技法を含むいくつかの様々な製造技法が使用される。特定の製造技術に対する限定は意図されておらず、本開示の原理の教示から示唆されるべきでないことを理解されたい。
【0039】
[0056] 図9から図14は、本開示の態様による、エラストマーインサート232の実施形態を示す図である。エラストマーインサート232の特定の構造及び/又は弾性特性は変化する場合があるが、すべての実施形態は、超音波プローブ108内の電気的相互接続に対する引張損傷を防ぐようにサイズ及び形状が決定され、構造的に構成され、及び/又は他の方法で構成される。
【0040】
[0057] 図9Aから図9Cは、本開示の態様による、エラストマーインサート332を示す図である。図9Aは、エラストマーインサート332の斜視図である。図9Bは、エラストマーインサート332の端面図である。図9Cは、エラストマーインサート332の上面図である。エラストマーインサート332は、x軸912及び垂直なy軸914に関して対称となるようにサイズ及び形状が決定される。エラストマーインサート332は、フィレット縁端901と、側面904と、溝401及び402とを備える。側面904は、フェルール230の内面と接触し得る。図9Cは、溝401の溝面を示す図である。様々な実施形態において、側面904及び/又は溝401、402の表面は、滑らかであるか、テクスチャ処理されていることが可能である。溝401及び402の寸法は、ケーブル脚部220、221の円周404を含み得る。溝401及び402は、半円形を有し得る。いくつかの実施形態において、溝401及び402の形状は、別の湾曲形状又は多角形であり得る。溝401、402は、エラストマーインサート332の近位面903から遠位面905へ長手方向に延出する。
【0041】
[0058] エラストマーインサート332は、図9Bに示すように、全半径を有し両端において丸められた縁部を有する細穴902を有して形成される。細穴902は、溝401と溝402との間に配置される。中間の細穴902は、エラストマーインサート332の弾性特性及び柔軟性を高める。例えば、中間細穴902を追加することによって高デュロメーター材料の使用が可能となり、原料の加工の耐久性及び容易性を高め得る。中間細穴902により高デュロメーター材料を使用可能であることは、エラストマーインサート332を狭い範囲の材料の選択肢に限定せずに、供給保証を高める。中間細穴902は、エラストマーインサート332の近位面903から遠位面905へ長手方向に延出して形成される。エラストマーインサート332の幅906は、例えば、約0.5インチと3インチとの間、及び/又はそれを上回る値、及び下回る値の両方を含む他の適切な値であることが可能である。エラストマーインサート332の長さ908は、例えば、約0.25インチと1インチとの間、及び/又はそれを上回る値、及び下回る値の両方を含む他の適切な値であることが可能である。エラストマーインサート332の高さ910は、例えば、約0.25インチと1インチとの間、及び/又は上回る値、及び下回る値の両方を含む他の適切な値であることが可能である。
【0042】
[0059] 図10は、本開示の態様による、エラストマーインサート432の斜視図である。エラストマーインサート432は、面取り縁1002と、段差つき面1004を有する溝401、402を有する。いくつかの実施形態において、段差つき面1004によって、ケーブル脚部220及び221が溝401、402に対してより正確及び/又は容易に設置されることが可能である。この段差又は面取り縁1002は、エラストマーインサート432の鋭角な縁部を緩和し、より滑らかで制約のない移行が可能となり、ケーブル脚部220、221がエラストマーインサート432上を横切って通過する際に、ケーブル脚部220、221に対する潜在的なピンチポイントをなくす。エラストマーインサート432は、図9のエラストマーインサート332と同様の寸法を有することが可能である。エラストマーインサート432は、中間部分が連続しており、図9Aから図9Cにあるような細穴を有さない。連続した中間構成を有するエラストマーインサート432は、図9のエラストマーインサート332とは異なる弾性特性を有し得る。いくつかの例において、エラストマーインサート332、432は、同様の弾性特性を有し得る。例えば、エラストマーインサート432(細穴なし)は、低デュロメーター材料から形成されることが可能であり、エラストマーインサート332(細穴902を有する)は高デュロメーター材料から形成されることが可能である。
【0043】
[0060] 図11は、本開示の態様による、エラストマーインサート532の斜視図である。エラストマーインサート532は、図9のエラストマーインサート332に類似したいくつかの特徴を有することが可能である。エラストマーインサート532は、溝401及び402とともに、フィレット縁端901と、側面904とを有する。ただし、図示された実施形態は、エラストマーインサート532が図示されるように細穴を有さずに形成されている点で図9の実施形態と異なる。溝401内のケーブル脚部220の配置例が図示されている。溝401におけるケーブル脚部220の1本の輪郭線のみ示されているが、ケーブル脚部221が溝402内に配置されることを理解されたい。
【0044】
[0061] 図12は、本開示の態様による、エラストマーインサート632の斜視図である。エラストマーインサート632は、図9のエラストマーインサート332と類似のいくつかの特徴を有することが可能である。特に、この例示の実施形態632は、溝401及び402とともに、フィレット縁端901と、側面904とを有する。ただし、この実施形態は、エラストマーインサート632が図示するようにドッグボーン形状1202を有する細穴を有して形成される点で、図9の実施形態と異なる。ドッグボーン形状の細穴1202は、細穴の中間部において高さが小さくなり、細穴の水平方向の端部において高さが大きくなるように形成される。いくつかの例において、ドッグボーン形状1202は、図9のエラストマーインサート332と比較してエラストマーインサート632の弾力性を増加させ得る。ドッグボーン形状1202は、エラストマーインサート632を狭い範囲の材料選択肢及び設計トレードオフに限定せずに、供給保証をさらに高める。細穴902(図9)と同様に、ドッグボーン形状の細穴1202を追加することによって高デュロメーター材料の使用が可能となり、原料の加工の耐久性及び容易性を高め得る。溝401内のケーブル脚部220の配置例が図示されている。溝401におけるケーブル脚部220の1本の輪郭線のみ示されているが、ケーブル脚部221が溝402内に配置されることを理解されたい。
【0045】
[0062] 図13は、本開示の態様による、エラストマーインサート732の斜視図である。エラストマーインサート732は、図9のエラストマーインサート332と同様の寸法を有し得る。このエラストマーインサート732は、2つの大きい本体部分736、738と、その間に延出する中央の結合部分740とによって形成されたダンベル形状を有する。ここで、本体部分736、738は互いに関して水平方向に配置されることが可能であり、結合部分740はその2つの間で水平方向に延出する。本体部分736、738は、例えばフェルール230など、ケーブル114の遠位部分109の内面の対向する部分に接触し得る。大きい本体部分736、738と中央の結合部分740との間の空間は溝401、402を設けており、溝401、402にケーブル脚部220、221が配置されている。例えば、ケーブル脚部220、221は、中央の結合部分740の対向する側(例えば上側と下側)に配置されることが可能である。溝401内のケーブル脚部220の配置例が図示されている。溝401におけるケーブル脚部220の1本の輪郭線のみ示されているが、ケーブル脚部221が溝402内に配置されることを理解されたい。細穴734は、エラストマーインサート732の幅に沿って水平に延出する。
【0046】
[0063] 図14Aから図14Cは、本開示の態様による、エラストマーインサート832を示す図である。図14Aは、構築されたエラストマーインサート832の斜視図である。図14Bは、エラストマーインサート832の側面図である。図14Cは、エラストマーインサート832の上面図である。エラストマーインサート832は、本体部分1402及び1404と、2つの本体部分1402及び1404を接続するように形成された結合部分1406とを有する。いくつかの実施形態において、本体部分1402及び1404は、中空円筒であることが可能である。いくつかの実施形態において、結合部分1406は、直角プリズムとして成形され得る。図示された実施形態において、円筒1402は円筒1404より大きい。
【0047】
[0064] 円筒1402が長手方向においてより近位に配置され、円筒1404が長手方向においてより遠位に配置されるように、エラストマーインサート832は、筐体110、フェルール230、及び/又はケーブル114の遠位部分109の内部に配置されることが可能である。いくつかの実施形態において、エラストマーインサート232(図3及び図5)の配置と同様に、中空円筒1402は、フェルール230の内部に少なくとも部分的に配置されることが可能である。いくつかの実施形態において、中空円筒1404は、x形状308とPCB226、228の近位端との間の空間502(図5)に配置されることが可能である。このとき、x形状308を形成するためのケーブル脚部220、221の交差は、円筒1402と円筒1404との間で発生する。図14Bに示すように、ケーブル脚部220、221は、円筒1402及び1404の両方の対向する側に配置されることが可能である。例えば、ケーブル脚部220は、円筒1402の上方及び円筒1404の下方に配置される。例えば、ケーブル脚部221は、円筒1402の下方及び円筒1404の上方に配置される。
【0048】
[0065] エラストマーインサート832の幅906は、例えば約0.25インチと0.5インチとの間、及び/又はそれを上回る値、及び下回る値の両方を含む他の適切な値であることが可能である。エラストマーインサート832の長さ1408は、例えば約0.5インチと2インチとの間、及び/又はそれを上回る値、及び下回る値の両方を含む他の適切な値であることが可能である。エラストマーインサート832の高さ910は、例えば約0.25インチと1インチとの間、及び/又はそれを上回る値、及び下回る値の両方を含む他の適切な値であることが可能である。
【0049】
[0066] エラストマーインサート232の構造は、超音波イメージングシステム100のために使用されるイメージング装置108のサイズ及び/又は種類に基づいて選択される。それによって、適切な長さ、幅、及び高さを有するあらゆる有益な構造的構成が用いられ、本明細書に記載の円形/円筒形及び半円形を含み得るだけではなく、三角形、円錐形、直線形も用いられてもよい。導電体120は、x形状308を形成するためにエラストマーインサート232に直接巻き付けられて囲んでいてもよい。図9から図14のエラストマーインサート232のすべての変形例は、筐体110、フェルール230、及び/又はケーブル114の遠位部分109に挿入されてもよい。このエラストマーインサートによってエポキシプラグの必要性がなくなり、導電体120への損傷の原因を取り除き、超音波イメージング装置108の寿命を延ばす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C