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特許7515522注入ポートを備えたカテーテルアセンブリおよび関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】注入ポートを備えたカテーテルアセンブリおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021570828
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020033971
(87)【国際公開番号】W WO2020242878
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】62/854,123
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/878,359
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キエット ジン チェン
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-528330(JP,A)
【文献】特表2010-540146(JP,A)
【文献】特表2013-536020(JP,A)
【文献】特開平04-303462(JP,A)
【文献】国際公開第2019/067176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリであって、
カテーテルアダプタであって、
遠位端、近位端、および前記遠位端と前記近位端を通って延びる第1のルーメンを含む、本体と、
本体から外側に延び、前記遠位端と前記近位端の間に配置されたサイドポートであって、前記サイドポートが前記第1のルーメンに直交する第2のルーメンを含む、サイドポートと、を含むカテーテルアダプタと、
前記本体の前記遠位端から遠位に伸びるカテーテルと、
前記第1のルーメン内に配置され、前記第1のルーメンを前記第2のルーメンから密閉する弁であって、前記弁が可撓性である、弁と、および
前記第2のルーメンとともに配置された仕切りであって、前記第2のルーメンを複数の開口部に仕切る仕切りと
を含むカテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記仕切りが前記第1のルーメンに近接している、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記仕切りが前記弁に接触している、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記仕切りが、前記第2のルーメンの中心軸に対して、前記第2のルーメンの前記中心軸方向に沿って対称である、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記複数の開口部の各々が、前記第2のルーメンの前記中心軸を中心に回転させたときに同一形状である、請求項4に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の開口部の外縁が、前記第2のルーメンの中心軸に対して、前記第2のルーメンの前記中心軸方向に沿って対称形状を形成し、前記仕切りが直線状で前記対称形状の一方の側から前記対称形状の他方の側へ延びる、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記仕切りは、前記カテーテルアダプタの長手方向軸に垂直である、請求項6に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記仕切りが前記カテーテルアダプタの長手方向軸に平行である、請求項6に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の開口部の外縁が、前記第2のルーメンの中心軸に対して、前記第2のルーメンの前記中心軸方向に沿って対称形状を形成し、前記仕切りが前記対称形状から前記第2のルーメンの前記中心軸に延びる複数のアームからなる、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記仕切りは、X字形状を構成する、請求項9に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記複数のアームが、第1のアーム、第2のアーム、第3のアーム、および第4のアームを備え、前記第1の第アーム、前記第2のアーム、前記第3のアーム、および前記第4のアームのうちの2つが、前記カテーテルアダプタの長手軸に平行である、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記X字形状が第1のアーム、第2のアーム、第3のアーム、および第4のアームからなり、前記第1のアーム、前記第2のアーム、前記第3のアーム、および前記第4のアームが前記カテーテルアダプタの長手方向軸からオフセットされている、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記仕切りは、Y字形状を構成する、請求項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記複数のアームが第1のアーム、第2のアーム、第3のアームからなり、前記第1のアーム、前記第2のアーム、前記第3のアームのうちの1つが前記カテーテルアダプタの長手方向軸に平行で、遠位を向いている、請求項13に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記複数のアームが、第1のアーム、第2のアーム、および第3のアームからなり、前記第1のアーム、前記第2のアーム、および前記第3のアームのうちの1つが、前記カテーテルアダプタの長手方向軸に平行で、近位を向いている、請求項13に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記カテーテルアダプタと前記仕切りが一体的に形成されている、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
カテーテルアダプタに流体を送達する方法であって、
カテーテルアセンブリのカテーテルアダプタのサイドポートにパワーインジェクションデバイスを結合するステップであって、前記カテーテルアセンブリが、
カテーテルアダプタであって、
遠位端、近位端、および前記遠位端と前記近位端を通って延びる第1のルーメンを含む本体と、
前記本体から外側に延び、前記遠位端と前記近位端の間に配置されたサイドポートであって、前記サイドポートが、前記第1のルーメンに垂直な第2のルーメンを含む、サイドポートとを備えるカテーテルアダプタと、
前記本体の前記遠位端から遠位に伸びるカテーテルと、
前記第1のルーメン内に配置され、前記第1のルーメンを第2のルーメンから密閉する弁であって、前記弁が可撓性である、弁と、および
前記第2のルーメンとともに配置された仕切りであって、前記第2のルーメンを複数の開口部に分割する仕切りと、
流体を、前記パワーインジェクションデバイスを介して、ある圧力で前記サイドポートに送達するステップであって、圧力は348psiより大きく、弁の完全性が、圧力でサイドポートに流体を送り込むことに応答して維持されるステップと、を含むステップ
を含み、
前記圧力が348psiと728psiの間である、方法。
【請求項18】
前記圧力が348psiと478psiとの間である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記圧力でサイドポートに流体を送達することに応答して、前記仕切りは、前記弁の膨張および近位-遠位方向への前記弁のシフトを抑制する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
カテーテルは通常、非経口栄養、静脈内補液、鎮痛薬や抗生物質の投与に使用される。カテーテルは採血にも使用される。カテーテルは、滅菌技術を使用してベッドサイドで挿入することができ、数週間そのままにしておくことができる。
【0002】
一般的なタイプのカテーテルは、オーバーザニードルカテーテルである。その名前が示すように、「オーバーザニードル」であるカテーテルは、鋭い遠位先端を有する導入針の上に取り付け得る。鋭い遠位先端は、患者の皮膚および血管系を貫通するために使用することができる。カテーテルの静脈への挿入は、導入針による静脈の穿刺に続くことがある。導入針は通常、患者の痛みを最小限に抑えるために最小限の抵抗で患者の皮膚と静脈を貫通するための鋭い遠位先端を持っている。
【0003】
導入針は、一般に、皮膚の表面および穿刺される静脈の長手方向の寸法に対して急な傾斜角で配置され、皮膚および静脈の壁を貫通できるようにする。針とカテーテルは、一般に、導入針の斜角が患者の皮膚とは反対側を向くように挿入される。導入針の先端が壁を貫通した後、挿入角度を下げて、導入針とカテーテルを静脈内にカテーテルを適切に配置するのに十分な距離だけスライドさせることができるようにする。静脈内への導入針の配置が確認されると、ユーザーは、静脈内の流れを一時的に閉塞して導入針を引き抜き、将来の輸液および/または採血のためにカテーテルを所定の位置に残すことができる。
【0004】
本明細書で特許請求される主題は、任意の不利益を解決する実施形態、または上記で説明されるもののような所定の環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本明細書で記載された具体化したもののいくつかを実施し得る技術領域の一例を示すために適用されるにすぎない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、一般に、パワーインジェクションに使用できるカテーテルアセンブリ、ならびに関連するデバイス、システム、および方法に関する。「パワーインジェクション」とは、短時間で大量の液体を注入することを指す。いくつかの実施形態では、本開示のカテーテルアセンブリは、カテーテルアダプタ内に配置された弁の完全性を維持しながら、カテーテルアセンブリのカテーテルアダプタ内の高流量および高圧の維持を容易にし得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、弁の破壊閾値(すなわち、破裂値)を増加させ、流体が高圧でカテーテルアダプタに注入されることを可能にし得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは、遠位端、近位端、および遠位端および近位端を通って延びる第1のルーメンを含み得る本体を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタのサイドポートは、本体から外向きに延びることができ、遠位端と近位端との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、サイドポートは、第1のルーメンに垂直な第2のルーメンを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、カテーテルを含むことができ、これは、本体の遠位端部から遠位に延びることができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、第1のルーメン内に配置された弁を含み得る。いくつかの実施形態では、弁は、第1のルーメンを第2のルーメンから密封することができる。いくつかの実施形態では、弁の外面は円筒形であり得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、第2のルーメンと共に配置され得る仕切りを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタおよび仕切りは、単一のユニットとして一体的に形成され得る。いくつかの実施形態では、仕切りは、第2のルーメンを複数の開口部に分割することができる。いくつかの実施形態において、仕切りは、第1のルーメンに近接し得る。いくつかの実施形態では、仕切りは弁に接触し得る。いくつかの実施形態では、仕切りは対称であり得る。いくつかの実施形態では、複数の開口部のうちの1つまたは複数は同一であり得る。いくつかの実施形態では、仕切りは、様々な形状およびパターンを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは、第2のルーメンを形成し得る内面を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の開口部の外縁は、対称であり得る形状を形成するか、または形状と整列させることができる。いくつかの実施形態では、仕切りは直線状であり得、形状の一方の側から形状のもう一方の側に延びることができる。いくつかの実施形態では、仕切りは、カテーテルアダプタの長手方向軸に垂直であり得る。いくつかの実施形態では、仕切りは、カテーテルアダプタの長手方向軸に平行であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、仕切りは、形状から第2のルーメンの中心軸まで延びることができる複数のアームを含むことができる。いくつかの実施形態では、仕切りはX字形を含み得る。これらの実施形態では、複数のアームは、第1のアーム、第2のアーム、第3のアーム、および第4のアームを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のアーム、第2のアーム、第3のアーム、および第4のアームのうちの2つは、カテーテルアダプタの長手方向軸に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第1のアーム、第2のアーム、第3のアーム、および第4のアームは、カテーテルアダプタの長手方向軸からオフセットされ得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、仕切りは、Y字形を含み得る。これらの実施形態では、複数のアームは、第1のアーム、第2のアーム、および第3のアームを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のアーム、第2のアーム、および第3のアームのうちの1つは、カテーテルアダプタの長手方向軸に平行であり得、そして遠位に向けられ得る。いくつかの実施形態では、第1のアーム、第2のアーム、および第3のアームのうちの1つは、カテーテルアダプタの長手方向軸に平行であり得、近位に向けられ得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、流体をカテーテルアダプタに送達する方法は、パワーインジェクションデバイスをカテーテルアダプタのサイドポートに結合することを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、パワーインジェクションデバイスを介して、ある圧力でサイドポートに流体を送達することを含み得る。いくつかの実施形態では、前記圧力で流体をサイドポートに送達することに応答して、弁の完全性を維持することができる。いくつかの実施形態では、前記圧力は、弁の破裂値を超えてはならない。
【0013】
いくつかの実施形態では、圧力は348psiより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、圧力は、348psiから478psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、348psiから728psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、300psiから800psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、350psiから800psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、700psiから1000psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、300psiから400psiの間、400psiから500psiの間、500psiから600psiの間、600psiから700psiの間、700psiから800psiの間、または800psiから900psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、流体を圧力でサイドポートに送達することに応答して、仕切りは、弁の拡張および/または近位方向および遠位方向への弁の移動を阻害し得る。
【0014】
上述の一般的な説明、および以下の詳細な説明は、共に、典型的であり、説明のためのものであり、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではないことが理解されるべきである。さまざまな実施形態は、図面に図示されている構成および手段に限定されないことを理解されたい。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、または他の実施形態が利用されてよいこと、およびそのように特許請求されていない限り、本発明のさまざまな実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことを理解されたい。それ故に、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
例示的な実施形態が、添付の図面を用いて、追加の特性および詳細とともに記載され、説明される。
図1A図1Aは、例示的な先行技術のカテーテルアセンブリの上面斜視図である。
図1B図1Bは、先行技術のカテーテルアセンブリの上面図であり、取り外されたキャップの例を示している。
図1C図1Cは、先行技術のカテーテルアセンブリの断面図である。
図1D図1Dは、先行技術のカテーテルアセンブリの断面図であり、流体をカテーテルアセンブリに送達する例示的なパワーインジェクションデバイスを示している。
図2図2は、いくつかの実施形態による、別のカテーテルアセンブリの断面図である。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態による、例示的な仕切りおよび例示的なパワーインジェクションデバイスが取り外されていることを示す、図2のカテーテルアセンブリの上面図である。
図3B図3Bは、いくつかの実施形態による、仕切りを示す、図2のカテーテルアセンブリの拡大上面図である。
図4A図4Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的な仕切りおよび取り外されたパワーインジェクションデバイスを示す、図2のカテーテルアセンブリの上面図である。
図4B図4Bは、いくつかの実施形態による、図4Aの他の仕切りを示す、図2のカテーテルアセンブリの拡大上面図である。
図5A図5Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的な仕切りおよび取り外されたパワーインジェクションデバイスを示す、図2のカテーテルアセンブリの上面図である。
図5B図5Bは、いくつかの実施形態による、図5Aの他の仕切りを示す、図2のカテーテルアセンブリの拡大上面図である。
図6A図6Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的な仕切りおよび取り外されたパワーインジェクションデバイスを示す、図2のカテーテルアセンブリの上面図である。
図6B図6Bは、いくつかの実施形態による、図6Aの他の仕切りを示す、図2のカテーテルアセンブリの拡大上面図である。
図7A図7Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的な仕切りおよび取り外されたパワーインジェクションデバイスを示す、図2のカテーテルアセンブリの上面図である。
図7B図7Bは、いくつかの実施形態による、図7Aの他の仕切りおよび取り外されたパワーインジェクションデバイスを示す、図2のカテーテルアセンブリの拡大上面図である。
図8A図8Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的な仕切りおよび取り外されたパワーインジェクションデバイスを示す、図2のカテーテルアセンブリの上面図である。
図8B図8Bは、いくつかの実施形態による、図8Aの他の仕切りおよび取り外されたパワーインジェクションデバイスを示す、図2のカテーテルアセンブリの拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図1A~1Bを参照すると、先行技術のカテーテルアセンブリ10が示されている。先行技術のカテーテルアセンブリ10は、BD VENFLON(商標)プロセーフティシールドIVカテーテルまたは別のカテーテルアセンブリに対応し得る。先行技術のカテーテルアセンブリ10は、カテーテルアダプタ12と、カテーテルアダプタ12から遠位に延びるカテーテル13とを含む。カテーテルアダプタ12は、遠位端18、近位端20、および遠位端18および近位端20を通って延びるルーメン22を含む本体16を含む。カテーテルアダプタ12は、本体16から外向きに延びるサイドポート14を含み、取り外し可能なキャップ15によって覆われ得る。弁24は、ルーメン22内に配置され、ルーメン22からサイドポート14を密封する。
【0017】
先行技術のカテーテルアセンブリ10は、パワーインジェクションに使用され得るサイドポート14に結合されたパワーインジェクションデバイス26によって供給される圧力に耐えることができない場合がある。ISO 10555-1によると、パワーインジェクションに必要な最小圧力は300psiである。しかしながら、300psi未満の圧力でさえ、先行技術のカテーテルアセンブリ10の弁24の破裂値を超えて、例えば、図1Bに示されるように、弁24の破裂または破壊25をもたらす可能性があることが示されている。弁24は、先行技術のカテーテルアセンブリ10の最も弱い構成要素であり得る。
【0018】
さらに、弁24は、パワーインジェクションに応答して、遠位方向または近位方向にシフトすることができる。ここで図1C~1Dを参照すると、300psi以上などの高圧で流体を送達するパワーインジェクションデバイス26に応答して、流体は、弁24を図1Cに図示されるその元の位置から図1Dに図示される遠位位置または近位位置にシフトする方法でカテーテルアダプタ12の内側表面と弁24の外側表面の間に流れてもよい。したがって、弁24は、パワーインジェクションの完了後にルーメン22からサイドポート14を再密封することを防ぐことができ、もはや機能しない可能性がある。
【0019】
いくつかの実施形態では、先行技術のカテーテルアセンブリ10は、先行技術のニードルアセンブリ28に取り外し可能に結合することができ、これは、ニードルハブ30および導入針32を含み得る。いくつかの実施形態では、導入針32は、鋭い遠位先端34を含み得る。いくつかの実施形態において、導入針32の近位端は、ニードルハブ30内に固定されてもよい。いくつかの実施形態において、例示のために図1Aに示されているように、カテーテルアセンブリ10が患者の血管系へと挿入する準備ができている挿入位置にある場合に、導入針32は、カテーテル13を通じて延び得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、導入針32が患者の血管系に挿入されることに応答して、血液の逆流が導入針32の鋭い遠位先端34を通って流れ、臨床医には導入針32とカテーテル13の間および/または先行技術のカテーテルアセンブリ10内の別の場所で臨床医に見える可能性がある。
【0021】
いくつかの実施形態では、カテーテル13が患者の血管系内に配置されているという血液フラッシュバックによる確認に応答して、図1Bに示されるように、先行技術のニードルアセンブリ28を先行技術のカテーテルアセンブリ10から取り外すことができる。いくつかの実施形態では、例えば図1Aに示されるように、先行技術のニードルアセンブリ28が先行技術のカテーテルアセンブリ10に結合されるとき、先行技術のニードルアセンブリ28の導入針32は、カテーテルアダプタ12のルーメン22内に配置された弁24を通って延びることができる。
【0022】
ここで図2を参照すると、いくつかの実施形態による、カテーテルアセンブリ29が示されている。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ29は、先行技術のカテーテルアセンブリ10を含むか、またはそれに対応し得る。例えば、カテーテルアセンブリ29の1つまたは複数の構成要素は、先行技術のカテーテルアセンブリ10の1つまたは複数の構成要素を含むか、またはそれに対応し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ29は、カテーテルアダプタ36を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ36は、遠位端40、近位端42、および遠位端40および近位端42を通って延びる第1のルーメン44を含み得る本体38を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ36は、本体38から外向きに延びるサイドポート46を含み得る。いくつかの実施形態では、サイドポート46は、遠位端40と近位端42との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、サイドポート46は、第1のルーメン44に垂直であり得る第2のルーメン48を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のルーメン48は、サイドポート46を通って第1のルーメン44まで延びることができる。いくつかの実施形態では、第1のルーメン44は一般に円筒形であり得、第2のルーメン48は一般に円筒形であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ29は、本体38の遠位端40から遠位に延在し得、カテーテルアダプタ36内に固定され得るカテーテル50を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ29は、第1のルーメン44内に配置された弁52を含み得る。いくつかの実施形態では、弁52は、第1のルーメン44を第2のルーメン48から密封して、流体が第1のルーメン44と第2のルーメン48との間を移動するのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、弁52の外面は円筒形であり得る。いくつかの実施形態では、弁52は中実であり得る。他の実施形態では、弁52は、弁52の遠位端および弁52の近位端を通って延びる開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、弁52は、シリコンまたは別の適切な材料で構成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ29は、第2のルーメン48内に配置され得る仕切り54を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ36および仕切り54は、単一のユニットとして一体的に形成され得、これは、サイドポート46を介したパワーインジェクションに応答して仕切り54を固定し得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は、第2のルーメン48を複数の開口部56に分割することができる。いくつかの実施形態では、仕切り54は、プラスチック、金属、または別の適切な材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は剛性であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、仕切り54は、第1のルーメン44に近接し得る。いくつかの実施形態では、仕切りは、本体38の外面58と、第1のルーメン44を形成する本体38の内面60との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は、サイドポート46と本体38の内面60との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は、サイドポート46内に配置され得るか、またはサイドポート46内に配置された第2のルーメン48の一部であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、仕切り54は、弁52に接触し得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は対称的であり得、これにより、パワーインジェクション中に弁52に均等に配分された量の圧力を提供し得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は非対称であり得る。いくつかの実施形態では、複数の開口部56のうちの1つまたは複数は同一であり得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は、様々な形状およびパターンを含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、仕切り54は、弁52の完全性を維持しながら、カテーテルアダプタ36内の高流量および高圧の維持を容易にし得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は、弁52がカテーテルアダプタ36への電力注入中に破損することなく高圧に耐えることができるように、弁52の破裂値を増加させ得る。したがって、いくつかの実施形態では、弁52は、複数のパワーインジェクションに使用可能な多目的弁を含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、パワーインジェクション中の圧力で流体をサイドポート46に送達することに応答して、ディバイダ54は、弁52がディバイダ54に接触して押すときに、弁52の膨張を低減または排除し得る。いくつかの実施形態では、パワーインジェクション中の圧力でサイドポート46に流体を送達することに応答して、仕切り54は、近位方向および遠位方向への弁52の移動を低減または排除すし得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、圧力は348psiより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、圧力は、348psiから478psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、348psiから728psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、300psiから800psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、350psiから800psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、700psiから1000psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、300psiから400psiの間、400psiから500psiの間、500psiから600psiの間、600psiから700psiの間、700psiから800psiの間、または800psiから900psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、流体を前記圧力でサイドポート46に送達することに応答して、仕切り54は、弁52の拡張および/または近位方向および遠位方向への弁52の移動を抑制し得る。いくつかの実施形態では、複数の開口部56は、流体がサイドポート46から本体38に毎秒約3mLから8mLの間の流量で、および/または前記圧力で流れることを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の開口部56は、流体が別の適切な流量でサイドポート46から本体38に流れることを可能にするように構成され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、弁52の破裂値は、348psiより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、弁52の破裂値は、348psiから478psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、弁52の破裂値は、348psiから728psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、弁52の破裂値は、300psiから800psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、弁52の破裂値は、350psiから800psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、弁52の破裂値は、700psiから1000psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、弁52の破裂値は、300psiから400psiの間、400psiから500psiの間、500psiから600psiの間、600psiから700psiの間、700psiから800psiの間、または800psiから900psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、弁52は、本体38よりも強くあり得、本体38は、弁52よりも低い圧力で破裂または破壊し得る。
【0032】
ここで図3~4を参照すると、いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ36は、第2のルーメン48を形成し得る別の内面62を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の開口部56の外縁64は、楕円または円または三角形などの幾何学的形状であり得る形状66を形成するか、または形状66と整列させることができる。いくつかの実施形態では、形状66は対称であり得る。いくつかの実施形態では、外縁64は、複数の開口部56の内縁を形成する2本の線または複数の開口部56の内縁を形成する単一の線の端部を接続し得る円弧を含み得る。いくつかの実施形態では、2本の線は、角または丸みを帯びた縁で交差し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、形状66の最大直径を含み得る形状66の直径は、例えば、図3~4に示されているように、形状66に近接し、サイドポート46の外部開口68に近い他の内面62の部分の直径よりも小さくてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第2のルーメン48は階段状であり得、仕切り54は階段状の表面から延び得る。他の実施形態では、形状66の直径は、形状66に近接し、サイドポート46の外部開口68に近い他の内面62の部分の直径に等しくてもよい。これらの実施形態では、仕切り54は、階段状の表面から延び得ない。
【0034】
いくつかの実施形態では、仕切り54は、形状66から第2のルーメン48の中心軸72(図2も参照)まで延びることができる複数のアーム70を含むことができる。いくつかの実施形態では、仕切り54はX字形を含み得る。これらの実施形態では、複数のアーム70は、第1のアーム70a、第2のアーム70b、第3のアーム70c、および第4のアーム70dを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のアーム70a、第2のアーム70b、第3のアーム70c、および第4のアーム70dのうちの2つは、図3A~3Bに示されるように、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74(図2も参照)に平行であり得る。図4A~4Bに示されるように、いくつかの実施形態では、第1のアーム70a、第2のアーム70b、第3のアーム70c、および第4のアーム70dは、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74からたとえば、約45°または別の適切な角度でオフセットされ得る。
【0035】
ここで図5~6を参照すると、いくつかの実施形態では、仕切り54は、Y字形を含み得る。これらの実施形態では、複数のアーム70は、第1のアーム70a、第2のアーム70b、および第3のアーム70cを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のアーム70a、第2のアーム70b、および第3のアーム70cの1つは、図5A~5Bに示されるように、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74に平行であり得、遠位に向けられ得る。図6A~6Bに示されるように、いくつかの実施形態では、第1のアーム70a、第2のアーム70b、および第3のアーム70cの1つは、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74に平行であり得、近位に向けられ得る。いくつかの実施形態では、第1のアーム70a、第2のアーム70b、または第3のアーム70cのいずれも、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74と位置合わせされ得ない。
【0036】
ここで図7~8を参照すると、いくつかの実施形態では、仕切り54は直線状であり得、形状66の一方の側から形状66の別の側に延び得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74に対して直線状および/または垂直に配向された仕切り54は、パワーインジェクション中に、そうでなければ弁52を近位方向または遠位方向にシフトさせるかもしれない、弁52の外面と本体38の内面60との間の流体の漏れを低減し得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は、図7A~7Bに示されるように、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74に垂直であり得る。いくつかの実施形態では、仕切り54は、図8A~8Bに示されるように、カテーテルアダプタ36の長手方向軸74に平行であり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、流体をカテーテルアダプタ36に送達する方法は、パワーインジェクションデバイス26をカテーテルアダプタ12のサイドポート14に結合することを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、パワーインジェクションデバイス26を介して、前記圧力でサイドポート14に流体を送達することを含み得る。いくつかの実施形態では、弁52の完全性は、前記圧力でサイドポート14に流体を送達することに応答して維持され得る。いくつかの実施形態では、圧力は、弁52の破裂値を超えてはならない。
【0038】
本明細書に記載のすべての例および条件付き言語は、読者が本発明および発明者が技術を促進するために提供した概念を理解するのを助けるための教育学的対象を意図しており、そのような具体的に記載された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本発明の実施形態について詳細に説明されているけれども、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、および改変が本明細書にされ得ることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B