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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20240705BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F04D19/04 H
H02K7/14 B
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103401
(22)【出願日】2022-06-28
(65)【公開番号】P2023086079
(43)【公開日】2023-06-21
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】21213446
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ホプフ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-060034(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02502983(GB,A)
【文献】米国特許第08467890(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(11)を付属装置(15)に接続するためのインターフェース(13)と、
前記インターフェース(13)に接続しているコントローラ(17)と、
前記インターフェース(13)と前記コントローラ(17)とに接続されているノイズ除去装置(31)とを有する前記真空ポンプ(11)であって、
前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)に入力する異なる少なくとも2つの種類の信号を認識し、前記インターフェース(13)に入力する当該認識された種類の信号に依存して、前記ノイズ除去装置(31)を選択的に作動させるように構成されている当該真空ポンプ(11)。
【請求項2】
前記真空ポンプ(11)は、前記ノイズ除去装置(31)と前記コントローラ(17)とに接続されているスイッチ装置(37)をさらに有し、
前記コントローラ(17)は、前記ノイズ除去装置(31)を前記スイッチ装置(37)によって選択的に作動させるように構成されている請求項1に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項3】
前記スイッチ装置(37)は、トランジスタ(39)を含む請求項2に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項4】
前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)に入力する前記信号に基づいて、前記付属装置(15)が特性インピーダンス(19)を有するか否かを認識するように構成されている請求項1に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項5】
前記付属装置(15)が、前記特性インピーダンス(19)を有するときに、前記コントローラ(17)は、前記ノイズ除去装置(31)を作動させ、前記付属装置(15)が、特性インピーダンス(19)を有しないときに、前記ノイズ除去装置(31)を非作動にする請求項4に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項6】
前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)の2つの入力線(24,25)間に印加されている電圧(27)に基づいて、前記付属装置(15)の特性インピーダンス(19)を識別する請求項5に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項7】
前記ノイズ除去装置(31)は、コンデンサ(35)を含む請求項1に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項8】
前記ノイズ除去装置(31)は、ローパスフィルタとして構成されている請求項1に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項9】
前記インターフェース(13)に入力する前記異なる少なくとも2つの種類の信号は、アナログ信号及びデジタル信号を含む請求項1に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項10】
前記コントローラ(17)が、前記アナログ信号を認識すると、前記ノイズ除去装置(31)が作動され、
前記コントローラ(17)が、前記デジタル信号を認識すると、前記ノイズ除去装置(31)が非作動にされる請求項9に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項11】
前記インターフェース(13)は、マイクロUSBインターフェースとして構成されている請求項1に記載の真空ポンプ(11)。
【請求項12】
請求項1に記載の真空ポンプ(11)と付属装置(15)とを有するシステムであって、
前記真空ポンプ(11)と前記付属装置(15)とが、インターフェース(13)を介して互いに接続されている当該システム。
【請求項13】
前記真空ポンプ(11)は、前記インターフェース(13)に入力する信号に基づいて、前記付属装置(15)の種類を認識するように構成されている請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記付属装置(15)は、圧力測定装置、空気弁又は冷却ファンを含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
真空ポンプ(11)を稼働させるための方法であって、
前記真空ポンプ(11)のインターフェース(13)が、付属装置(15)に接続され、
コントローラ(17)が、前記インターフェース(13)に接続していて、
ノイズ除去装置(31)が、前記インターフェース(13)と前記コントローラ(17)とに接続されていて、
前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)に入力する異なる少なくとも2つの種類の信号を認識し、前記インターフェース(13)に入力する当該認識された種類の信号に依存して、前記ノイズ除去装置(31)を選択的に作動させる当該方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプを付属装置に接続するためにインターフェースを備える真空ポンプ、特にターボ分子ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、真空ポンプ又は真空ポンプを設置している真空設備を制御するために使用されるデータを捕捉するため、又は真空ポンプを付属装置と一緒に制御するため、多くの真空ポンプは、複数の付属装置に電気接続され得る。このような付属装置の例は、圧力測定装置、空気弁又は冷却ファンである。
【0003】
さらに、多くの真空ポンプは、付属装置の接続時に付属装置の自動認識を実行することができる。当該自動認識の場合、現時点で、どの種類の付属装置が、真空ポンプのインターフェースに接続されているかを、当該真空ポンプのコントローラが自動的に確認する。当該付属装置の自動認識後に、例えば正しい特性曲線が、当該付属装置を制御するために選択され得る。
【0004】
当該付属装置の自動認識は、アナログ信号と特性インピーダンスとによって実行され得る。当該特性インピーダンスは、付属装置内に存在し、真空ポンプのインターフェースを介して読み取られる。代わりに、当該付属装置の認識は、デジタル信号によって実行されてもよい。当該デジタル信号は、当該インターフェースを介して当該真空ポンプによって要求され、デジタルデータパケットとして当該付属装置から当該真空ポンプのコントローラに送信される。
【0005】
真空ポンプを付属装置に接続する場合、製造コストを削減するため、接続可能な付属装置に関する融通性を高めるため、標準コネクタ、例えばマイクロUSBコネクタをインターフェースとして使用することが望ましい。しかしながら、同じインターフェースが、当該付属装置の全ての種類に対して使用されるときでも、すなわち当該付属装置が、特性インピーダンスを有するのか、又は「インテリジェント型」付属装置としてデジタルデータパケットを送信し得るのかに関係なく、付属装置の自動認識を実行できることが望ましい。
【0006】
しかしながら、標準のインターフェース又はコネクタにおける端子電極又はデータ線の数は限定されているので、付属装置に対して、すなわち特性インピーダンスによるアナログ型付属装置とデジタルデータパケットによるデジタル型付属装置との双方の付属装置に対して、共通の1つの伝送路を使用することが多くの場合に必要である。しかしながら、真空ポンプの稼働中に、すなわち駆動モータの起動時に、例えば、ターボ分子ポンプの最終段の、当該駆動モータを制御するためのパルス幅変調によって、ノイズが発生し得る。その結果、アナログ信号による付属装置の認識時に、付属装置の自動認識が、当該ノイズに起因してもはや不可能である。確かに、当該ノイズは、当該真空ポンプのインターフェースの領域内に固定接続されている適切なコンデンサによって低減され得る。しかしながら、このように固定設置されたコンデンサの場合、デジタル信号が、当該真空ポンプのインターフェースで短絡され、当該デジタルデータパケットによる付属装置の自動認識が阻止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、異なる種類の信号、特にアナログ信号又はデジタル信号が真空ポンプのインターフェースに供給可能であっても、付属装置の自動認識が当該真空ポンプの稼働中に確実に実行可能である真空ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する真空ポンプによって解決される。
【0009】
真空ポンプ、特にターボ分子ポンプは、当該真空ポンプを付属装置に接続するためのインターフェースと、当該真空ポンプの当該インターフェースに接続しているコントローラと、当該インターフェースと当該コントローラとに接続されているノイズ除去装置とを有する。当該コントローラは、当該インターフェースに入力する異なる少なくとも2つの種類の信号を認識し、当該インターフェースに入力する当該認識された種類の信号に依存して、当該ノイズ除去装置を選択的に作動させるように構成されている。
【0010】
インターフェースとコントローラとノイズ除去装置との間のそれぞれの接続は、電気接続又は電子接続であってもよい。さらに、当該インターフェースは、例えばマイクロUSBコネクタのような標準インターフェースでもよい。例えば、アナログ信号とデジタル信号とに共通のデータ線を有するこのような標準インターフェースを使用することによって、真空ポンプに関する製造コストが、特別に構成されたインターフェースを有する真空ポンプに比べて削減される。
【0011】
コントローラは、インターフェースで異なる少なくとも2つの信号の種類を認識できるので、ノイズ除去装置が、当該信号の種類に応じて当該コントローラによって作動されるか又は非作動にされることによって、当該インターフェースは、この信号の種類に自動的に適合できる。例えば、「インテリジェント型」付属装置の使用時のデジタルデータパケットの減衰が回避される一方で、不変のアナログ信号で発生し得るノイズが、当該ノイズ除去装置によって抑制され得る。さらに、当該ノイズの抑制に起因して、例えば、アナログ信号と特性インピーダンスとを付属装置で使用する場合に、より多くの種類の付属装置を識別することが可能である。
【0012】
本発明の好適なその他の構成が、従属請求項、明細書及び図面に記載されている。
【0013】
1つの実施の形態によれば、真空ポンプは、ノイズ除去装置とコントローラとに接続されているスイッチ装置をさらに有する。この場合、当該コントローラは、当該ノイズ除去装置を当該スイッチ装置によって選択的に作動させるように構成されている。したがって、当該ノイズ除去装置は、当該スイッチ装置によって確実に作動され得るか又は非作動にされ得る。
【0014】
当該スイッチ装置は、トランジスタをさらに有してもよい。通常のトランジスタが、真空ポンプ内でほとんど設置スペースをとらないので、当該通常のトランジスタが、スイッチ装置として特に適し得ることが分かっている。しかしながら、代わりに、当該スイッチ装置は、スイッチ又はフォトカプラとして構成されてもよい。
【0015】
当該コントローラは、当該インターフェースに入力する当該信号に基づいて、当該付属装置が特性インピーダンスを有するか否かを認識するように構成され得る。特性インピーダンスの存在が認識されると、アナログ信号の種類の信号が、当該インターフェースに入力し得る。反対に、当該付属装置が、特性インピーダンスを有しないことが認識されると、デジタル信号の種類の信号が、当該インターフェースに入力し得る。したがって、この実施の形態の場合、当該コントローラは、当該特性インピーダンスの存在に基づいて、どの種類の信号が当該インターフェースに入力するかを認識でき、ノイズ除去装置が適切に作動され得るか又は非作動にされ得る。具体的には、付属装置が、性インピーダンスを有するときに、コントローラが、当該ノイズ除去装置を作動させ、付属装置が、特性インピーダンスを有しないときに、付属装置を非作動にする。したがって、特性インピーダンスの存在は、ノイズ除去装置を作動させるための一義的で且つ確実な条件を示す。
【0016】
さらに、当該コントローラは、当該インターフェースの2つの入力線間に印加されている電圧に基づいて、当該付属装置の特性インピーダンスを識別できる。例えば、予め設定されている範囲内の電圧が、特定の種類の付属装置に割り当てられ得る。したがって、この実施の形態の場合、当該コントローラは、異なる少なくとも2つの信号の種類を識別することができるだけではなくて、同じ種類の信号を当該インターフェースに提供する異なる種類の複数の付属装置を識別することもできる。しかしながら、電圧が、当該インターフェースの2つの入力線で測定され得ないときは、当該2つの入力線は、例えば開いているので、当該コントローラは、特性インピーダンスが付属装置内に存在しないこと、すなわちデジタル信号の種類の信号がインターフェースに入力することを認識できる。
【0017】
別の実施の形態によれば、当該ノイズ除去装置は、コンデンサを含んでもよい。特別な条件が、当該コンデンサに要求されないので、したがって、当該ノイズ除去装置は低コストで実現され得る。さらに、当該ノイズ除去装置は、ローパスフィルタとして構成され得る。したがって、当該ノイズ除去装置は、コンデンサに加えて抵抗を含んでもよい。同様に、特別な条件が、当該抵抗に要求されない。しかしながら、当該抵抗の値と当該コンデンサの値が、当該ローパスフィルタの遮断周波数を決定する。ターボ分子ポンプの駆動モータによって引き起こされるノイズを抑制するため、当該ローパスフィルタが、約1kHzの遮断周波数を有するように、ノイズ除去装置としてのローパスフィルタの当該抵抗の値と当該コンデンサの値とが有益に設計され得る。
【0018】
別の実施の形態によれば、当該インターフェースに入力する当該異なる少なくとも2つの種類の信号は、アナログ信号及びデジタル信号を含む。当該コントローラが、当該アナログ信号を認識すると、当該ノイズ除去装置が作動され、当該コントローラが、当該デジタル信号を認識すると、当該ノイズ除去装置が非作動にされる。したがって、アナログ信号が当該インターフェースに入力するのか、又はデジタル信号が当該インターフェースに入力するのかに関係なく、共通の1つのデータ線が、これらの信号のために当該インターフェースで使用又は保持され得る。これにより、標準インターフェースが、使用又は保持され得る。当該インターフェースは、例えばマイクロUSBインターフェースとして構成され得る。当該インターフェースは、例えば5ピンコネクタを有する。この5ピンコネクタの場合、1つのピンが、アナログ入力信号とデジタル入力信号とに対して共用され得る。
【0019】
さらに、本発明は、上記の真空ポンプと付属装置とを有するシステムに関する。当該真空ポンプと当該付属装置とは、インターフェースを介して互いに接続されている。この場合、当該接続は、電気接続又は電子接続でもよい。上記のように、コントローラを用いることで、当該真空ポンプは、当該インターフェースに入力する異なる少なくとも2つの種類の信号、例えばアナログ信号又はデジタル信号を認識し、当該インターフェースに入力する信号の当該認識された種類に応じて、ノイズ除去装置を作動させるように構成されている。
【0020】
少なくとも2つの種類の信号をインターフェースで識別することに加えて、さらに、真空ポンプは、当該インターフェースに入力する信号に基づいて、付属装置の種類を認識するように構成されている。例えば、当該真空ポンプのコントローラは、付属装置が特性インピーダンスを有するか否かを認識でき、当該特性インピーダンスに基づいて、当該付属装置の種類を識別できるか、又は、当該コントローラは、デジタル信号を要求でき、引き続き当該付属装置を識別するために読み取りできる。当該付属装置は、例えばデジタル信号を当該インターフェースに提供する圧力測定装置を有してもよい。代わりに、当該付属装置は、例えばアナログ信号を当該インターフェースに提供し、且つ特性インピーダンスを有する空気弁又は冷却ファンを含んでもよい。
【0021】
さらに、本発明は、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプを稼働させるための方法に関する。この場合、
-当該真空ポンプのインターフェースが、付属装置に接続され、
-コントローラが、当該インターフェースに接続していて、
-ノイズ除去装置が、当該インターフェースと当該コントローラとに接続されている。この場合、
-当該コントローラは、当該インターフェースに入力する信号の異なる少なくとも2つの種類を認識し、当該インターフェースに入力する当該信号の当該認識された種類に依存して、当該ノイズ除去装置を選択的に作動させる。
【0022】
本発明の真空ポンプと本発明のシステムとに記載されている内容は、本発明の方法に対しても成立する。これは、特に利点及び実施の形態に対しても成立する。
【0023】
さらに、特記されていない限り、ここに記載されている全ての実施の形態は互いに組み合わせられ得ると解釈される。
【0024】
以下に、添付図面を参照しながら好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】インターフェースを介して付属装置に接続されている本発明の真空ポンプを示す。
図2A】ノイズ除去装置の非作動時にインターフェースで測定されるアナログ信号を示す。
図2B】ノイズ除去装置の作動時にインターフェースで測定されるアナログ信号を示す。
図3A】ノイズ除去装置の非作動時にインターフェースで測定されるデジタル信号を示す。
図3B】ノイズ除去装置の作動時にインターフェースで測定されるデジタル信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、インターフェース13を介して付属装置15に接続されている真空ポンプ11を概略的に示す。このため、付属装置15は、コネクタ16を有する。さらに、真空ポンプ11は、インターフェース13に接続しているマイクロコントローラ17を有する。それ故に、真空ポンプ11は、インターフェース13を介して様々な種類の付属装置15に接続され得て、当該付属装置15のその都度の種類をマイクロコントローラ17によって自動認識できるように設けられている。
【0027】
付属装置15を認識するため、特定の種類の付属装置15が、特性インピーダンス19を有する。このような付属装置15は、例えば、マイクロコントローラ17用のアナログ信号をインターフェース17に提供する空気弁又は冷却ファンである。当該アナログ信号は、特性インピーダンス19の大きさを示す。マイクロコントローラ17は、このアナログ信号に基づいて特性インピーダンス19も大きさ、すなわち付属装置15の種類を認識する。
【0028】
「インテリジェント型」付属装置とみなされ得て、且つシリアルインターフェースを備える別の種類の付属装置15は、対応する要求に応じて、デジタルデータパケットを、インターフェース13を介して真空ポンプ11のマイクロコントローラ17に送信する。マイクロコントローラ17は、当該デジタルデータパケットに基づいて当該付属装置15の種類を識別する。このような付属装置15は、例えば圧力測定装置又はブルドン管式圧力計である。
【0029】
インターフェース13は、マイクロUSBコネクタとして構成されていて、X4:1-X4:5で示されている5つのピン又は端子接続部を有する。付属装置15のコネクタ16は、対応する端子接続部X3:1-X3:5を有する。しかしながら、これらの端子接続部は、付属装置15の種類に応じて異なって付設されているか又は異なって使用される。端子接続部X4:1及びX4:4は、電源線21,22用に設けられている。電源線21は、「インテリジェント型」付属装置15又は「デジタル型」付属装置15、例えばブルドン管式圧力計に+5Vの電圧で給電するために使用される。これに対して、電源線22は、例えば空気弁又は冷却ファンで必要であるように、「アナログ型」付属装置に+24Vで給電するために設けられている。
【0030】
さらに、送信線23用の端子接続部X4:2と受信線24用の端子接続部X4:3とが、インターフェース13に設けられている一方で、端子接続部X4:5が、グランド線25を介してグランド(GND)に接続されている。「デジタル型」付属装置15の場合に、付属装置15が当該付属装置15を認識するためのデジタルデータパケットを受信線24経由でマイクロコントローラ17に出力しなければならないという要求を、当該付属装置15に送信するために、送信線23は使用される。
【0031】
様々な種類の付属装置15が、当該付属装置15を認識するためのデジタル信号又はアナログ信号を供給するので、インターフェース13は、特性インピーダンス19に相当するデジタルデータパケットとアナログ信号との双方を捕捉するために、実際には、異なる受信線24用の異なる2つの端子X4:3を有する必要がある。したがって、2つの電源線21,22用の端子X4.1及びX4.4と、送信線23用の端子X4.2と、グランド線25用の端子X4:5とを用いることで、インターフェース13は、6つの端子を有する必要がある。しかしながら、標準のマイクロUSBコネクタは、5つのピンがあるだけなので、共通の1つの端子X4:3と共通の1つの受信線24とを当該デジタル信号と当該アナログ信号との双方のために使用することが必要である。
【0032】
したがって、図1に例示されているように、付属装置15が、特性インピーダンス19を有する場合に対して、受信線24は、不変のアナログ信号を捕捉するために使用される。受信線23とグランド(GND)との間で測定される特性インピーダンス19に印加される当該アナログ電圧は、例えば分圧器を介して真空ポンプ11のマイクロコントローラ17によって解析される。特性インピーダンス19、すなわち当該付属装置の種類、例えば空気弁又は冷却ファンを識別するため、受信線24によって捕捉された当該アナログ信号は、一般に0.38V~2.74Vの異なる6つの値に区分される。
【0033】
真空ポンプ11の起動後に、この真空ポンプ11の(図示されていない)駆動モータが、最終段のパルス幅変調信号によって制御される。付属装置15が、特性インピーダンス19を有し、その結果として、アナログ信号が、インターフェース13の受信線24に入力すると、当該パルス幅変調信号が原因となって、図2Aに示されているように、ノイズが、受信線24上の当該アナログ信号に乗る。図2Aは、真空ポンプ11の駆動モータの起動後の、グランド(GND)を基準とした時間に対する受信線24上の信号を示す。
【0034】
受信線24上の当該電圧信号の正確な解析がもはや不可能であるような振幅を有するノイズが、この信号に乗っていることが分かる。具体的には、当該ノイズは、受信線24上で捕捉された電圧を、0.38V~2.74Vの範囲内の異なる6つの電圧範囲に区分することを不可能にする。したがって、図2Aに示された場合には、付属装置15の種類が、受信線24に入力する信号に基づいて認識され得ず、対応する特性インピーダンス19に基づいて認識され得ない。
【0035】
受信線24上の当該アナログ信号のノイズを除去するため、真空ポンプ11は、ローパスフィルタ31を構成するノイズ除去装置を有する(図1参照)。ローパスフィルタ31は、受信線24に対して直列に接続された抵抗33と並列に接続されたコンデンサ35とを有する。さらに、真空ポンプ11は、トランジスタ39と制御線41とを含むスイッチ装置37を有する。同様に、このスイッチ装置37は、マイクロコントローラ17に接続されている。
【0036】
トランジスタ39が、制御線41によって導通接続されている場合、当該コンデンサは、グランド(GND)に接続されている。その結果、ローパスフィルタ31は、ノズル除去装置として作動する。これに対して、トランジスタ39が、遮断されているか、又は制御線41によって導通接続されていない場合、コンデンサ35、すなわちローパスフィルタ31が、ノイズ除去装置として作動しない。
【0037】
図2Bには、受信線24上の信号が、ローパスフィルタ31(図1参照)の作動後のこのローパスフィルタ31の後方の電圧信号27として示されている。当該アナログ電圧信号27の変動又はノイズが、ローパスフィルタ31の作動後に、ローパスフィルタ31の作動なし(図2A参照)よりも著しく小さい。
【0038】
既に説明したように、真空ポンプ11のマイクロコントローラ17及びインターフェース13は、同様に受信線24を介してマイクロコントローラ17によって捕捉されるデジタルデータパケットを送信する付属装置15を識別するためにも設けられている。受信線24を介した当該デジタルデータパケットの送信を開始するため、マイクロコントローラ17は、送信線23を介して付属装置15に信号を送信する。受信線24上でのデジタルデータパケットの当該捕捉は、マイクロコントローラ17を用いた対応する付属装置15の正確な識別を可能にする。
【0039】
しかしながら、スイッチ装置37が起動されることによって、ローパスフィルタ31が、ノイズ除去装置として作動すると、すなわちトランジスタ39が、制御線41によって導通接続されると、図3Bに示されているように、受信線24上のデジタル信号が短絡される。図3A及び3Bには、時間に対するデジタル信号がそれぞれ描かれている。すなわち、例えばブルドン管式圧力計がインターフェース13を介して真空ポンプ11に接続されているような「デジタル型」付属装置15の場合における、時間に対するローパスフィルタ31の後方の電圧信号27が描かれている。
【0040】
ローパスフィルタ31が、導通しているトランジスタ39によって作動されると、当該デジタル信号は、ローパスフィルタ31のコンデンサ35によって短絡されるので、受信線24を介して捕捉されるデジタルデータパケットに基づく付属装置15の認識が不可能である。当該認識不能を回避するため、デジタルデータパケットが、受信線24を介して捕捉されなければならないときに、ローパスフィルタ31が非作動にされる。
【0041】
トランジスタ39が、制御線41によって遮断されるか又は「非導通」に切り替えられることによって、当該非作動は実行される。これにより、コンデンサ35、すなわちローパスフィルタ31が非作動にされる。その結果、当該デジタルデータパケットが、マイクロコントローラ17によって希望通りに捕捉され得る。当該捕捉が、図3Aに示されている。この図3Aでは、ローパスフィルタ31が、制御線41を介してトランジスタ39によって非作動にされている間に、時間に対するデジタル信号が描かれている。また、図3Aでは、当該デジタル信号は、真空ポンプ11の駆動モータを制御するパルス幅変調信号によって影響されないことが分かる。
【0042】
「アナログ型」付属装置15がインターフェース13に接続されているのか、又は「デジタル型」付属装置15がインターフェース13に接続されているのかを確認するため、そしてこれに応じて、不変のアナログ信号を受信線24経由で捕捉することができるのか、又はデジタルデータパケットを受信線24経由で捕捉することができるのかを確認するため、マイクロコントローラ17は、特性インピーダンス19が当該付属装置15内に存在するか否かを確認する。当該事項を確認するため、マイクロコントローラ17は、測定可能な電圧が受信線24とグランド(GND)との間に印加されているか否かを確認するか、又は受信線24がグランドに対して開いているか否かを確認する。受信線24とグランドとの間の電圧が測定可能である場合は、付属装置15は、特性インピーダンス19を有する。その結果、不変のアナログ信号を受信線24上で捕捉することができる。この場合、トランジスタ39が導通接続されることによって、マイクロコントローラ17が、ローパスフィルタ31を制御線41経由で作動させる。その結果、図2Bに示されているように、当該不変のアナログ信号のノイズが、ローパスフィルタ31によって除去される。
【0043】
しかしながら、付属装置15が、特性インピーダンス19を有しない場合は、受信線24は、グランドに対して開いていて、このときに、マイクロコントローラ17は、特定の特性インピーダンス19に相当する電圧を検出しない。したがって、この場合には、デジタルデータパケットを受信線24上で捕捉することができる。その結果、トランジスタ39が、「非導通」に切り替えられることによって、マイクロコントローラ17が、ローパスフィルタ31を制御線41経由で非作動にする。これにより、ローパスフィルタ31は、当該デジタルデータパケットに影響しない。したがって、図3Aに示されているように、当該デジタルデータパケットは支障なく捕捉され得る。
【0044】
以上により、ノイズのないアナログ信号(図2B参照)又はノイズのないデジタルデータパケット(図3A参照)を捕捉できるようにするため、したがって、マイクロコントローラ17は、受信線24上の信号に基づいて、付属装置15が特性インピーダンス19を有するか否かを確認し、これに応じてローパスフィルタ31を作動させるか又は非作動にさせる。したがって、真空ポンプ11の駆動モータが、パルス幅変調信号によって制御される場合でも、ローパスフィルタ31を選択的に作動又は非作動にすることで、付属装置の正確な自動認識が、アナログ信号(図2B)を用いて特性インピーダンス19を捕捉することによっても可能であり、デジタルデータパケット(図3A参照)を用いることでも可能である。
【0045】
抵抗33及びコンデンサ35の値を適切に設計することによって、アナログ信号のノイズ(図2A参照)が適切に抑制され得るように、ローパスフィルタ31の遮断周波数が決定され得る。この例では、820Ωの抵抗及び220nFのコンデンサが選択された。その結果、882Hzの遮断周波数が、ローパスフィルタ31に対して得られる。ターボ分子ポンプの駆動モータ用のパルス幅変調信号によって引き起こされ得るノイズを抑制するためには、ローパスフィルタ31の遮断周波数は、1kHzで十分であることが分かっている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る。
1.
真空ポンプ(11)を付属装置(15)に接続するためのインターフェース(13)と、
前記インターフェース(13)に接続しているコントローラ(17)と、
前記インターフェース(13)と前記コントローラ(17)とに接続されているノイズ除去装置(31)とを有する前記真空ポンプ(11)、特にターボ分子ポンプであって、 前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)に入力する異なる少なくとも2つの種類の信号を認識し、前記インターフェース(13)に入力する当該認識された種類の信号に依存して、前記ノイズ除去装置(31)を選択的に作動させるように構成されている当該真空ポンプ(11)。
2.
前記真空ポンプ(11)は、前記ノイズ除去装置(31)と前記コントローラ(17)とに接続されているスイッチ装置(37)をさらに有し、
前記コントローラ(17)は、前記付属装置(31)を前記スイッチ装置(37)によって選択的に作動させるように構成されている上記1に記載の真空ポンプ(11)。
3.
前記スイッチ装置(37)は、トランジスタ(39)を含む上記2に記載の真空ポンプ(11)。
4.
前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)に入力する前記信号に基づいて、前記付属装置(15)が特性インピーダンス(19)を有するか否かを認識するように構成されている上記1~3のいずれか1つに記載の真空ポンプ(11)。
5.
前記付属装置(15)が、前記特性インピーダンス(19)を有するときに、前記コントローラ(17)は、前記ノイズ除去装置(31)を作動させ、前記付属装置(15)が、特性インピーダンス(19)を有しないときに、前記ノイズ除去装置(31)を非作動にする上記4に記載の真空ポンプ(11)。
6.
前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)の2つの入力線(24,25)間に印加されている電圧(27)に基づいて、前記付属装置(15)の特性インピーダンス(19)を識別する上記4又は5に記載の真空ポンプ(11)。
7.
前記ノイズ除去装置(31)は、コンデンサ(35)を含む上記1~6のいずれか1つに記載の真空ポンプ(11)。
8.
前記ノイズ除去装置(31)は、ローパスフィルタとして構成されている上記1~7のいずれか1つに記載の真空ポンプ(11)。
9.
前記インターフェース(13)に入力する前記異なる少なくとも2つの種類の信号は、アナログ信号及びデジタル信号を含む上記1~8のいずれか1つに記載の真空ポンプ(11)。
10.
前記コントローラ(17)が、前記アナログ信号を認識すると、前記ノイズ除去装置(31)が作動され、
前記コントローラ(17)が、前記デジタル信号を認識すると、前記ノイズ除去装置(31)が非作動にされる上記9に記載の真空ポンプ(11)。
11.
前記インターフェース(13)は、マイクロUSBインターフェースとして構成されている上記1~10のいずれか1つに記載の真空ポンプ(11)。
12.
上記1~11のいずれか1つに記載の真空ポンプ(11)と付属装置(15)とを有するシステムであって、
前記真空ポンプ(11)と前記付属装置(15)とが、インターフェース(13)を介して互いに接続されている当該システム。
13.
前記真空ポンプ(11)は、前記インターフェース(13)に入力する信号に基づいて、前記付属装置(15)の種類を認識するように構成されている上記12に記載のシステム。
14.
前記付属装置(15)は、圧力測定装置、空気弁又は冷却ファンを含む上記12又は13に記載のシステム。
15.
真空ポンプ(11)、特にターボ分子ポンプを稼働させるための方法であって、
前記真空ポンプ(11)のインターフェース(13)が、付属装置(15)に接続され、
コントローラ(17)が、前記インターフェース(13)に接続していて、
ノイズ除去装置(31)が、前記インターフェース(13)と前記コントローラ(17)とに接続されていて、
前記コントローラ(17)は、前記インターフェース(13)に入力する異なる少なくとも2つの種類の信号を認識し、前記インターフェース(13)に入力する当該認識された種類の信号に依存して、前記ノイズ除去装置(31)を選択的に作動させる当該方法。
【符号の説明】
【0046】
11 真空ポンプ
13 真空ポンプのインターフェース
15 付属装置
16 付属装置のコネクタ
17 マイクロコントローラ
19 特性インピーダンス
21 +5V電源線
22 +24V電源線
23 送信線
24 受信線、入力線
25 グランド線、入力線
27 ローパスフィルタリング後の電圧信号
31 ローパスフィルタ
33 抵抗
35 コンデンサ
37 スイッチ装置
39 トランジスタ
41 制御線
X4:1-X4:5 真空ポンプのインターフェースの端子
X3:1-X3:5 付属装置のコネクタの端子
図1
図2A
図2B
図3A
図3B