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特許7515545LIDARに基づく3次元撮像のための統合された照射及び検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】LIDARに基づく3次元撮像のための統合された照射及び検出
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022153075
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2019500215の分割
【原出願日】2017-01-31
(65)【公開番号】P2022174329
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】62/310,670
(32)【優先日】2016-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/420,384
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518183103
【氏名又は名称】ベロダイン ライダー ユーエスエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】ホール,デイビッド エス.
(72)【発明者】
【氏名】ケルステンス, ピーター ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レコー,マシュー ノエル
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514965(JP,A)
【文献】特開2012-073216(JP,A)
【文献】特開2009-047434(JP,A)
【文献】特開2011-069726(JP,A)
【文献】国際公開第2013/191133(WO,A1)
【文献】特開平07-167609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0242283(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出及び測距(LIDAR)装置であって、
基板に取り付けられ、光の測定ビームを生成するように構成された照射源と、
前記基板に取り付けられ、光の戻りビームを検出し、検出された前記戻りビームを示す出力信号を生成するように構成された検出器であって、前記戻りビームは、対応する前記測定ビームによって照射された環境内の位置から反射されるある量の前記測定ビームであり、前記測定ビームと前記戻りビームは、前記LIDAR装置の一部内のある距離に亘って共通光路を共有する前記検出器と、
前記基板に取り付けられ、前記照射源に電気的に接続され、前記照射源が前記測定ビームを出射するように、前記照射源にある量の電力を供給するように構成された照射ドライバと、
前記基板に取り付けられ、前記測定ビーム及び前記戻りビームを前記共通光路から分離するように構成されたビームスプリッタと、
を有することを特徴とするLIDAR装置。
【請求項2】
前記照射源が、レーザダイオード又は発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項3】
前記基板が第1の基板であり、前記照射源及び前記照射ドライバが、前記第1の基板に取り付けられた第2の基板上に統合されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項4】
前記ビームスプリッタが、開口を有するミラーを含み、前記測定ビームが、前記ミラー内の前記開口を通過することを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項5】
さらに集束光学系を含み、前記集束光学系が、前記測定ビームが前記ミラー内の前記開口を通過した後に、前記測定ビームをコリメートすることを特徴とする請求項4に記載のLIDAR装置。
【請求項6】
前記集束光学系が、前記戻りビームを前記ミラー上に集束するように構成され、前記ミラーが、前記戻りビームを前記検出器のアクティブ感知表面領域に向けて反射するように構成されることを特徴とする請求項5に記載のLIDAR装置。
【請求項7】
前記ビームスプリッタが、前記共通光路内に配置され、選択可能な屈折率を有する能動光学素子を有し、
第1の状態では、前記能動光学素子が、前記戻りビームを前記検出器に導くように構成され、
第2の状態では、前記能動光学素子が、前記測定ビームを前記共通光路に導くように構成されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項8】
前記ビームスプリッタが、
前記共通光路内に配置され、前記戻りビームを前記検出器に集束するように構成された第1の光学素子と、
前記共通光路内に配置され、前記測定ビームを前記共通光路に導くように構成された第2の光学素子と、
を有し、
前記照射源は、前記検出器の視野外に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項9】
前記ビームスプリッタが、
前記共通光路内に配置されたミラーを有し、
前記ミラーは、前記検出器の視野内にある開口を含み、前記照射源は、前記測定ビームを前記開口を介して前記共通光路に出射するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項10】
前記照射源は、前記検出器の視野外に配置され、前記ビームスプリッタが、前記検出器の視野内の前記共通光路内に配置されたミラーと、前記照射源及び前記ミラーの間を光学的に接続する光ファイバと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項11】
前記ビームスプリッタが、
前記測定ビームのビーム経路内に配置された第1の偏光制御素子を有し、
第1の状態では、前記第1の偏光制御素子が、前記測定ビームに前記第1の偏光制御素子を通過させるように構成され、
第2の状態では、前記第1の偏光制御素子が、前記戻りビームを前記検出器に向かって反射させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項12】
前記戻りビームのビーム経路内に配置された第2の偏光制御素子を更に有し、
前記第2の偏光制御素子は、前記検出器に向けられる前記戻りビームの量を制御することを特徴とする請求項11に記載のLIDAR装置。
【請求項13】
少なくとも部分的に前記出力信号に基づいて、前記LIDAR装置から前記環境内の前記位置に至り、前記LIDAR装置に戻る前記測定ビームの飛行時間を測定するように構成された計算システムを更に有することを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項14】
光検出及び測距(LIDAR)装置の動作方法であって、前記方法が、
基板に取り付けられた照射源によって光の測定ビームを生成し、
前記基板に取り付けられた検出器によって光の戻りビームを検出し、前記戻りビームは、対応する測定ビームによって照射された環境内の位置から反射されたある量の測定ビームであり、前記測定ビームと前記戻りビームは、LIDAR装置の一部内のある距離に亘って共通光路を共有し、
検出された前記戻りビームを示す出力信号を生成し、
前記基板に取り付けられた照射ドライバによって、前記照射源が前記測定ビームを出射するように、ある量の電力を前記照射源に供給し、
前記基板に取り付けられたビームスプリッタにより、前記測定ビーム及び前記戻りビームを前記共通光路から分離する、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記照射源が、レーザダイオード又は発光ダイオードを含み、
前記基板が第1の基板であり、
前記照射源及び前記照射ドライバが、前記第1の基板に取り付けられた第2の基板上に統合されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ビームスプリッタが、開口を有するミラーを含み、前記測定ビームが、前記ミラー内の前記開口を通過することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
集束光学系により、前記測定ビームが前記ミラー内の前記開口を通過した後に、前記測定ビームをコリメートすることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記集束光学系により、前記戻りビームを前記ミラー上に集束し、
前記ミラーにより、前記戻りビームを前記検出器のアクティブ感知表面領域に向けて反射することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ビームスプリッタに含まれ、前記共通光路内に配置された能動光学素子の屈折率を選択し、
前記屈折率を使用して前記能動光学素子により、第1の状態では前記戻りビームを前記検出器に導き、
前記屈折率を使用して前記能動光学素子により、第2の状態では前記測定ビームを前記共通光路に導く、
ことを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記共通光路内に配置された第1の光学素子によって、前記戻りビームを前記検出器に集束し、
前記共通光路内に配置された第2の光学素子によって、前記測定ビームを前記共通光路に導く、
ことを更に含み、
前記照射源は、前記検出器の視野外に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記照射源により、前記検出器の視野内の開口を介して前記測定ビームを出射することを更に含み、
前記開口が前記共通光路内に配置されたミラー内に含まれ、前記測定ビームが前記開口を介して前記共通光路内に出射されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記検出器の視野外に位置する照射源と、前記ビームスプリッタに含まれ、前記検出器の視野内の前記共通光路内に配置されたミラーと、を光ファイバにより光学的に接続することを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記ビームスプリッタが第1の偏光制御素子を有し、
前記方法が、
前記測定ビームのビーム経路内に位置する前記第1の偏光制御素子の第1の偏光状態を選択し、前記測定ビームが前記第1の偏光制御素子を通過するようにし、
前記第1の偏光制御素子の第2の偏光状態を選択し、前記戻りビームを前記第1の偏光制御素子から前記検出器に向かって反射させる、
ことを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記戻りビームのビーム経路内に配置された第2の偏光制御素子の偏光状態を選択し、前記検出器に向けられる前記戻りビームの量を制御することを更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条に基づき、2016年3月19日に出願された米国仮特許出願第62/310,670号、発明の名称「Integrated Illumination and Detection for LIDAR Based 3-D Imaging」の優先権を主張して、2017年1月31日に出願された米国特許出願第15/420,384号、発明の名称「Integrated Illumination and Detection for LIDAR Based 3-D Imaging」の優先権を主張し、これら文献は、全体が参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
ここに説明する実施形態は、光検出及び測距(light detection and ranging:LIDAR)に基づく3次元ポイントクラウド測定システム(3-D point cloud measuring systems)に関する。
【背景技術】
【0003】
LIDARシステムは、光パルスを使用して、光の各パルスの飛行時間(time of flight:TOF)に基づいて物体までの距離を測定する。LIDARシステムの光源から出射された光パルスは、遠方の物体と相互作用する。光の一部は物体から反射し、LIDARシステムの検出器に戻る。光パルスの出射と戻り光パルスの検出との間に経過した時間に基づいて、距離が推定される。幾つかの例では、光パルスは、レーザエミッタによって生成される。光パルスは、レンズ又はレンズアセンブリを介して集束される。レーザ光パルスが、レーザエミッタの近傍に取り付けられた検出器に戻るまでにかかる時間が測定される。この距離は、高精度の時間測定から導出される。
【0004】
幾つかのLIDARシステムは、回転ミラーと組み合わせた単一のレーザエミッタ/検出器の組み合わせを使用して、面を効果的に走査する。このようなシステムによって実行される距離測定は、実質的に2次元(すなわち、平面)であり、捕捉される距離点は、2次元(すなわち単一平面)ポイントクラウドとしてレンダリングされる。幾つかの例では、回転ミラーは、非常に高速な速度(例えば、毎分数千回転)で回転される。
【0005】
多くの動作シナリオでは、3次元ポイントクラウドが必要である。周囲の環境を3次元的に調べるために幾つかの方式が採用されている。幾つかの例では、2次元機器が、多くの場合、ジンバル上で上下及び/又は前後に駆動される。これは、当分野において、センサの「ウィンキング(winking)」又は「ノッディング(nodding)」と呼ばれている。したがって、一度に1つの点を捕捉する方式であっても、単一のビームLIDARユニットを用いて、距離点の3次元アレイ全体を捕捉できる。関連する例では、プリズムを用いて、レーザパルスを、それぞれが僅かに異なる垂直角を有する複数の層に「分割」する。これは、センサ自体を駆動せずに上記のノッディング効果をシミュレートするものである。
【0006】
以上の全ての例は、単一のレーザエミッタ/検出器の組み合わせの光路を何らかの形式で変更し、単一のセンサよりも広い視野を達成するものである。このような装置が単位時間当たりに生成できるピクセルの数は、単一のレーザのパルス繰返し数の制限のために、本質的に制限されている。ミラー、プリズム、又は装置の駆動によって、より広いカバー領域を実現するためにビーム経路を変更すると、何れの場合も、ポイントクラウド密度が低下してしまう。
【0007】
上述のように、幾つかの構成の3次元ポイントクラウドシステムが存在する。このシステムは、多くの用途において、広い視野を有する必要がある。例えば、車両自動運転の用途では、車両の前の地面を見るために、垂直視野は、可能な限り下方に延びている必要がある。更に、坂になって窪んでいる道路に車両が入る場合、垂直視野は水平線より上に延びている必要がある。更に、現実世界で起こるアクションと、これらのアクションの画像化との間の遅延は、最小限である必要がある。幾つかの例では、少なくとも毎秒5回の完全な画像更新を提供することが望ましい。これらの要望に応えるために、複数のレーザエミッタ及び検出器のアレイを含む3次元LIDARシステムが開発されている。このシステムは、2011年6月28日に発行された米国特許第7,969,558号に記載されており、その主題は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0008】
多くの用途において、一連のパルスが出射される。各パルスの方向は連続して急速に変更される。これらの例では、個々のパルスのそれぞれに関連する距離測定値をピクセルと見なすことができ、高速に連続的に出射され捕捉されたピクセルの集まり(すなわち、ポイントクラウド)は、画像としてレンダリングでき、又は他の目的(例えば、障害物の検出)のために解析できる。幾つかの例では、視覚化ソフトウェアを用いて、結果として得られるポイントクラウドを画像としてレンダリングし、ユーザに3次元で表示する。また、異なるスキームを用いて、ライブアクションカメラで撮影されたかのような3次元画像として距離測定値を画像化することもできる。
【0009】
幾つかの既存のLIDARシステムが採用する照射源及び検出器は、共通の基板(例えば、電気的実装基板)に一体化されていない。更に、照射ビーム経路(illumination beam path)及び集光ビーム経路(collection beam path)は、LIDAR装置内で分離されている。このため、光学-機械的な設計が複雑であり、位置合わせが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
高レベルの撮像解像度及び範囲を維持しながら、LIDARシステムの光学機械設計を改善することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
高度に統合されたLIDAR測定装置を用いて3次元LIDAR測定を実施するための方法及びシステムを開示する。一側面では、照射源、検出器、及び照射ドライブは、単一のプリント回路基板上に統合される。更に、幾つかの実施形態では、関連する制御及び信号調整電子回路も共通のプリント回路基板上に統合される。更に、幾つかの実施形態では、照射ドライブ及び照射源は、個別にパッケージングされ、プリント回路基板に取り付けられる共通の窒化ガリウム基板上に統合される。
【0012】
幾つかの実施形態では、3次元LIDARシステムは、複数の統合型LIDAR測定装置を含む。幾つかの実施形態では、各統合型LIDAR測定装置の出射の間に遅延時間が設定される。幾つかの例では、遅延時間は、LIDAR装置の最大範囲に位置する物体への及び物体からの測定パルスシーケンスの飛行時間よりも長い。これにより、統合型LIDAR測定装置内のクロストークを防止できる。他の幾つかの例では、ある統合型LIDAR測定装置から出射された測定パルスがそのLIDAR装置に戻る時間が経過する前に、他の統合型LIDAR測定装置から測定パルスが出射される。これらの実施形態では、クロストークを回避するために、各ビームによって検査される周囲環境の領域の間の空間を十分に分離する必要がある。
【0013】
他の側面では、照射源から出射された照射光と検出器に向けられた戻り光は、統合型LIDAR測定装置内の共通光路を共有する。幾つかの実施形態では、戻り光は、ビームスプリッタによって照射光から分離される。包括的に言えば、戻り光の偏光が完全に混合され、単一の偏光ビームスプリッタが使用される場合、戻り光の半分が検出器に向けられ、残りの半分が照射源に向けられる。他の幾つかの実施形態では、1つ以上の偏光制御素子を用いて、照射源の出射及び測定時間窓のタイミングを調整しながら、偏光制御素子を通過する光の偏光状態を変更して戻り光の損失を最小にすることによって、これらの損失を回避する。
【0014】
他の幾つかの実施形態では、戻り光は、光学設計によって照射光から分離され、これにより、ビームスプリッタに関連する損失を回避できる。
【0015】
幾つかの実施形態では、検出器は、アクティブ感知領域を含む検出器を通過するスロットを有する。照射源は、検出器の背面側に固定され、検出器のスロットを介して照射光を出射するように構成されている。これにより、統合型LIDAR測定装置から出射され、統合型LIDAR測定装置に戻される光のビーム経路内に検出器及び照射源の両方が配置される。ある量の戻り光は、スロットに向けられ、検出されないが、スロットの領域は、検出器のアクティブ領域に比べて小さいため、戻り光の大部分が検出される。
【0016】
幾つかの実施形態では、照射源は、検出器の視野外に配置される。幾つかの実施形態では、戻り光を通過させ、照射光を屈折させ、照射光と戻り光の両方で共用される共通光路に向けるように能動光学素子の屈折率が制御される。照射光は、初期的には、光学系の光軸に整列されていない。しかしながら、照射源から光が出射される間、能動光学素子がその状態を変化させ、照射光を光学系の光軸に整列させる。
【0017】
幾つかの実施形態では、同心集束光学系が戻り光を検出器に集束させ、同心集束光学系の中央に配置された受動光学素子が、照射光を、照射光と戻り光の両方で共用される共通光路に向けて屈折させる。
【0018】
幾つかの実施形態では、戻り光は、ミラー素子から反射し、検出器に向かって伝搬する。一側面では、ミラーは、照射光が通過するスロットを含む。これにより、照射光は、照射光と戻り光の両方で共用される共通光路に射出される。
【0019】
幾つかの実施形態では、照射源は、検出器の前の戻り光の光路内に配置される。
【0020】
他の幾つかの実施形態では、照射源は、検出器の前の戻り光の光路内に配置されている光学素子に埋め込まれている。
【0021】
他の側面では、照射光は、導波路によって検出器受光円錐内に射出される。照射源は、光カプラによって導波路に光学的に接続される。導波路の端部において、戻り光の円錐内に照射光を入射させるために、ミラー素子は、導波路に対して45度の角度に配向されている。幾つかの実施形態では、導波路は、長方形のガラスコアと、屈折率がより低いポリマクラッドとを含む。幾つかの実施形態では、アセンブリ全体が、ポリマクラッドの屈折率と密接に一致する屈折率を有する材料でカプセル化されている。これにより、導波路は、照射光を最小限の遮蔽で戻り光の受光円錐内に射出する。
【0022】
幾つかの実施形態では、統合型LIDAR測定装置のアレイは、LIDAR装置の回転フレームに取り付けられる。この回転フレームは、LIDAR装置の基部フレームに対して回転する。しかしながら、包括的に言えば、統合型LIDAR測定装置のアレイは、任意の適切な手法(例えば、ジンバル、パン/チルト等)で可動としてもよく、LIDAR装置の基部フレームに対して固定してもよい。
【0023】
他の幾つかの実施形態では、各統合型LIDAR測定装置は、統合型LIDAR測定装置によって生成された照射ビームを走査するためのビーム指向要素(例えば、走査ミラー、MEMSミラー等)を含む。
【0024】
他の幾つかの実施形態では、2つ以上の統合型LIDAR測定装置は、それぞれ、ビームを周囲環境の異なる方向に反射する走査ミラー装置(例えば、MEMSミラー)に向けて照射ビームを出射する。
【0025】
以上は、要約であり、すなわち、必要に応じて、詳細の単純化、一般化及び省略を含む。したがって、この要約は単に例示的なものであり、限定的なものではないことは、当業者にとって明らかである。本明細書に記載する装置及び/又は方法の他の側面、発明の特徴及び利点は、本明細書に記載する非限定的な詳細な説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】少なくとも1つの新規な側面における3次元LIDARシステム100の一実施形態を示す簡略図である。
図2】少なくとも1つの新規な側面における3次元LIDARシステム10の別の実施形態を示す簡略図である。
図3】1つの例示的な実施形態における3次元LIDARシステム100の分解図である。
図4】3次元LIDARシステム100の集光光学系116をより詳細に示す図である。
図5】集光された光118の各ビームの整形を示す3次元LIDARシステム100の集光光学系116の断面図である。
図6】一実施形態における統合型LIDAR測定装置の簡略図である。
図7】別の実施形態における統合型LIDAR測定装置を示す簡略図である。
図8】統合型LIDAR測定装置からの測定パルスの出射及び戻り測定パルスの捕捉に関連するタイミングを示す図である。
図9】照射源からの照射光が通過して投射されるスロットを有する検出器を含む統合型LIDAR測定装置の一実施形態の正面図である。
図10図9に示す実施形態の側面図である。
図11】照射光を共通光路に向けて屈折させる1つの状態の能動光学素子を含む統合型LIDAR測定装置の一実施形態の側面図である。
図12】戻り光を検出器に向ける他の状態の能動光学素子を含む図11に示す実施形態の側面図である。
図13】戻り光を検出器に集束させる同軸集束光学系及び照射光を共通光路に向けて屈折させる他の光学素子を含む統合型LIDAR測定装置の一実施形態の側面図である。
図14】照射光が通過するスロットを有する戻り経路内のミラーを含む統合型LIDAR測定装置の一実施形態の上面図である。
図15A】偏光制御素子を用いる統合型LIDAR測定装置の一実施形態による光路を示す図である。
図15B】偏光制御素子を用いる統合型LIDAR測定装置の一実施形態による他の光路を示す図である。
図15C】偏光制御素子を用いる統合型LIDAR測定装置の一実施形態による他の光路を示す図である。
図16】検出器に到達する戻り光の量を効果的に制御する追加の偏光制御素子を含む統合型LIDAR測定装置の実施形態を示す図である。
図17】個別に、又は任意の組み合わせで、図15A~Cに示す実施形態に追加される追加の任意の要素を含む統合型LIDAR測定装置の実施形態を示す図である。
図18】検出器の前の共通光路内に照射源を含む統合型LIDAR測定装置の一実施形態の側面図である。
図19図18に示す実施形態の正面図である。
図20】検出器の前の共通光路内の光学素子に埋め込まれた照射源を含む統合型LIDAR測定装置の一実施形態の側面図である。
図21】照射光と戻り光とで共有される共通光路に照射光を射出する導波路を含む統合型LIDAR測定装置の一実施形態の側面図である。
図22】少なくとも1つの新規な側面においてLIDAR測定を実行する方法300を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、背景技術の例及び添付の図面に示す本発明の幾つかの実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0028】
図1は、1つの例示的な動作シナリオにおける3次元LIDARシステム100の実施形態を示す図である。3次元LIDARシステム100は、下部ハウジング101と、赤外光(例えば、700~1700ナノメートルのスペクトル範囲内の波長を有する光)を透過させる材料から構成されたドーム状シェル要素103を含む上部ハウジング102とを含む。一例では、ドーム状シェル要素103は、905ナノメートルを中心とする波長の光を透過させる。
【0029】
図1に示すように、3次元LIDARシステム100からドーム状シェル要素103を介して、中心軸104から測定される角度範囲αに亘って、複数の光ビーム105が出射される。図1の実施形態において、各光ビームは、x軸及びy軸によって画定される平面上で、互いに離間した複数の異なる位置に投射される。例えば、ビーム106は位置107においてx-y平面に投射される。
【0030】
図1に示す実施形態おいて、3次元LIDARシステム100は、中心軸104を中心に複数の光ビーム105のそれぞれを走査するように構成されている。x-y平面上に投射される各光ビームは、中心軸104とx-y平面との交点を中心とする円形パターンを描く。例えば、x-y平面に投射されたビーム106は、時間の経過と共に、中心軸104を中心とする円形軌跡108を描く。
【0031】
図2は、1つの例示的な動作シナリオにおける3次元LIDARシステム10の別の実施形態を示す図である。3次元LIDARシステム10は、下部ハウジング11と、赤外光(例えば、700~1700ナノメートルのスペクトル範囲内の波長を有する光)を透過させる材料から構成された円筒形シェル要素13を含む上部ハウジング12とを含む。一例では、円筒形シェル要素13は、905ナノメートルを中心とする波長を有する光を透過させる。
【0032】
図2に示すように、3次元LIDARシステム10から円筒形シェル要素13を介して、複数の光ビーム15が角度範囲βに亘って出射される。図2には、各光ビームの主光線を示している。各光ビームは、複数の異なる方向において、周囲の環境に外向きに投射される。例えば、ビーム16は、周囲環境の位置17に投射される。幾つかの実施形態では、システム10から出射される各光ビームは僅かに発散する。一例では、システム10から出射された光線は、システム10から100メートルの距離において直径20cmのスポットサイズを照射する。このように、照射光の各ビームは、システム10から出射される照射光錐である。
【0033】
図2に示す実施形態おいて、3次元LIDARシステム10は、中心軸14を中心に、複数の光ビーム15のそれぞれを走査するように構成されている。例示のために、3次元LIDARシステム10の非回転座標フレームに対して1つの角度方向に光ビーム15を示し、非回転座標フレームに対して別の角度方向に光ビーム15’を示している。光ビーム15が中心軸14の周りを回転すると、周囲の環境に投射された各光ビーム(例えば、各ビームに関連する各照射光錐)は、中心軸14の周りを掃引されて形成される円錐形状の照射ビームに対応する体積の環境を照射する。
【0034】
図3は、1つの例示的な実施形態における3次元LIDARシステム100の分解図を示している。3次元LIDARシステム100は、中心軸104の周りを回転する発光・集光エンジン(emission/collection engine)112を更に備える。図3に示す実施形態では、発光・集光エンジン112の中心光軸117は、中心軸線104に対して、角度θで傾斜している。図3に示すように、3次元LIDARシステム100は、下部ハウジング101に対して固定位置に取り付けられた固定電子基板110を含む。固定電子基板110上には、固定電子基板110に対して、所定の回転速度(例えば、毎分200回転以上)で回転するように構成された回転電子基板111が配置されている。固定電子基板110と回転電子基板111との間では、1つ以上の変圧器、容量素子又は光学素子を介して、電力信号及び電子信号が通信され、これにより、信号の非接触送信が実現されている。発光・集光エンジン112は、回転電子基板111に対して固定して配置され、これにより、所定の角速度ωで、中心軸104を中心に回転する。
【0035】
図3に示すように、発光・集光エンジン112は、統合型LIDAR測定装置のアレイ113を含む。一側面では、各統合型LIDAR測定装置は、共通の基板(例えば、プリント回路基板又は他の電気回路基板)上に統合された発光素子、光検出素子、及び関連する制御及び信号調整電子回路を備える。
【0036】
各統合型LIDAR測定装置から出射された光は、一連の光学素子116を通過し、一連の光学素子116は、出射された光をコリメートして、3次元LIDARシステムから環境内に投射される照射光ビームを生成する。このようにして、図1に示すように、異なるLIDAR測定装置からそれぞれ出射された光ビームアレイ105が、3次元LIDARシステム100から出射される。包括的に言えば、任意の数のLIDAR測定装置を配置して、3次元LIDARシステム100から任意の数の光ビームを同時に出射できる。特定のLIDAR測定装置によって照射された環境内の物体から反射された光は、光学素子116によって集光される。集光された光は、光学素子116を通過し、同じ特定のLIDAR測定装置の検出素子上に集束される。このように、異なるLIDAR測定装置によって生成された照射によって環境の異なる部分の照射に関連する集光された光は、それぞれの対応するLIDAR測定装置の検出器に別々に集束される。
【0037】
図4は、光学素子116をより詳細に示す図である。図4に示すように、光学素子116は、統合型LIDAR測定装置のアレイ113の各検出器上に、集光された光118を集束させるように配置された4つのレンズ素子116A~Dを含む。図4に示す実施形態では、光学素子116を通過する光は、ミラー124から反射され、統合型LIDAR測定装置のアレイ113の各検出器に導かれる。幾つかの実施形態では、1つ以上の光学素子116は、所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から形成される。この所定の波長範囲は、統合型LIDAR測定装置のアレイ113によって出射される光の波長を含む。一例では、1つ以上のレンズ素子は、統合型LIDAR測定装置のアレイ113のそれぞれによって生成される赤外光より短い波長の光を吸収する着色剤添加物を含むプラスチック材料から形成される。一例では、着色剤は、Aako BV社(オランダ)から入手可能なEpolight7276Aである。包括的に言えば、光学系116のプラスチックレンズ素子のいずれかに任意の数の異なる着色剤を加えることにより、不要なスペクトルの光を除去できる。
【0038】
図5は、集光された光118の各ビームの成形を示す光学系116の断面図である。
【0039】
LIDARシステム、例えば、図2に示す3次元LIDARシステム10及び図1に示す3次元LIDARシステム100は、それぞれがLIDAR装置から周辺環境への照射光パルスビームを出射し、周辺環境内の物体から反射された戻り光を測定する複数の統合型LIDAR測定装置を含む。
【0040】
図6は、一実施形態における統合型LIDAR測定装置120を示している。統合型LIDAR測定装置120は、共通基板121(例えば、電気基板)上に統合されたパルス発光装置122と、光検出素子123と、関連する制御及び信号調整電子回路と、コネクタ126とを含む。パルス発光装置122は、照射光パルス124を生成し、検出器123は、集光された光125を検出する。統合型LIDAR測定装置120は、統合型LIDAR測定装置120から出射され、統合型LIDAR測定装置120によって検出された光の飛行時間に基づいて、3次元LIDARシステムと周囲環境内の物体との間の距離を示すデジタル信号を生成する。統合型LIDAR測定装置120は、コネクタ126を介して3次元LIDARシステムに電気的に接続されている。統合型LIDAR測定装置120は、コネクタ126を介して、3次元LIDARシステムから制御信号を受信し、3次元LIDARシステムに測定結果を伝達する。
【0041】
図7は、別の実施形態における統合型LIDAR測定装置130の概略図を示している。統合型LIDAR測定装置130は、共通基板144上に統合されたパルス発光装置134、光検出素子138、ビームスプリッタ135(例えば、偏光ビームスプリッタ、非偏光ビームスプリッタ、誘電体膜等)、照射ドライバ133、信号調整電子回路139、アナログ/デジタル(A/D)変換電子回路140、コントローラ132、及びデジタル入出力(I/O)電子回路131を含む。幾つかの実施形態では、これらの要素は、共通の基板(例えば、プリント回路基板)に個別に取り付けられる。幾つかの実施形態では、これらの要素のグループは、共にパッケージされ、統合されたパッケージが共通の基板に取り付けられる。包括的に言えば、各素子は、これらが個別に取り付けられ又は統合されたパッケージの一部として取り付けられることによって、共通の基板に取り付けられて統合型装置を形成する。
【0042】
図8は、統合型LIDAR測定装置130からの測定パルスの出射及び戻り測定パルスの捕捉に関連するタイミングを示す図である。図7及び図8に示すように、測定は、コントローラ132によって生成されるパルス出射信号146によって開始される。内部システム遅延のため、コントローラ132は、パルス出射信号146から時間遅延Tだけシフトしたパルスインデックス信号149を測定する。この時間遅延には、LIDARシステムから光を出射することに関連する既知の遅延(例えば、スイッチ素子、エネルギ蓄積素子、及びパルス発光装置に関連する信号通信遅延及び待ち時間)、並びに光を集光し、集光された光を示す信号を生成することに関連する既知の遅延(例えば、増幅器遅延、アナログ/デジタル変換遅延等)が含まれる。
【0043】
図7及び図8に示すように、LIDARシステムは、特定位置の照射に応答する戻り信号147を検出する。測定窓(すなわち、集光された戻り信号データが特定の測定パルスに関連付けられる期間)は、検出器138からのイネーブルデータ取得によって開始される。コントローラ132は、測定窓のタイミングを、測定パルスシーケンスの出射に応答する戻り信号が予想される時間窓に対応するように制御する。幾つかの例では、測定窓は、測定パルスシーケンスが出射された時点で有効にされ、LIDARシステムの範囲の実質的に2倍の距離に亘る光の飛行時間に対応する時間が経過した時点で無効にされる。このように、測定窓は、LIDARシステムに隣接する物体からの戻り光(すなわち、無視できる飛行時間)から、LIDARシステムの最大範囲に位置する物体からの戻り光までを集光するように開かれる。これにより、有用な戻り信号に寄与しない他の光は、全て除外される。
【0044】
図8に示すように、戻り信号147は、出射された測定パルスに対応する2つの戻り測定パルスを含む。包括的に言えば、信号検出は、検出された全ての測定パルスに対して実行される。更に信号分析を行って、最も近い信号(すなわち、戻り測定パルスの最初のインスタンス)、最も強い信号、及び最も遠い信号(すなわち、測定窓内の戻り測定パルスの最後のインスタンス)を識別してもよい。LIDARシステムは、これらのインスタンスのいずれかを潜在的に有効な距離測定値として報告してもよい。例えば、飛行時間TOFは、図8に示す出射された測定パルスに対応する最も近い(すなわち最も早い)戻り測定パルスから算出してもよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、信号分析は、コントローラ132によって完全に実行される。これらの実施形態では、統合型LIDAR測定装置130から通信される信号143は、コントローラ132によって測定された距離の指示を含む。幾つかの実施形態では、信号143は、A/D変換器140によって生成されるデジタル信号148を含む。これらの生の測定信号は、3次元LIDARシステムの内部に設けられ又は3次元LIDARシステムの外部に設けられた1つ以上のプロセッサによって更に処理され、距離が測定される。幾つかの実施形態では、コントローラ132は、信号148に対する予備信号処理ステップを実行し、信号143は、処理済みのデータを含み、3次元LIDARシステムの内部に設けられ又は3次元LIDARシステムの外部に設けられた1つ以上のプロセッサは、この処理済みのデータを更に処理して距離を測定する。
【0046】
幾つかの実施形態では、3次元LIDARシステムは、図1図3に示すLIDARシステム等の複数の統合型LIDAR測定装置を含む。幾つかの実施形態では、各統合型LIDAR測定装置の出射の間に遅延時間が設定される。信号142は、統合型LIDAR測定装置130の出射に関連する遅延時間の表示を含む。幾つかの例では、遅延時間は、測定パルスシーケンスがLIDAR装置の最大範囲に位置する物体に至りここから戻るまでの飛行時間よりも長い。これにより、統合型LIDAR測定装置の間でクロストークが発生しない。他の幾つかの例では、1つの統合型LIDAR測定装置から出射された測定パルスがLIDAR装置に戻る時間の前に、他の統合型LIDAR測定装置から測定パルスが出射される。これらの実施形態では、クロストークを回避するために、各ビームによって検査される周囲環境の領域間に十分な空間的分離が存在することを保証するよう注意する必要がある。
【0047】
照射ドライバ133は、パルス出射信号146に応答してパルス電流信号145を生成する。パルス発光装置134は、パルス電流信号145に応答してパルス照射光136を生成する。照射光136は、LIDARシステムの1つ以上の光学素子(図示せず)によって、周囲環境内の特定位置に集束されて投射される。
【0048】
幾つかの実施形態では、パルス発光装置は、レーザベースの装置(例えば、レーザダイオード)である。幾つかの実施形態では、パルス照射源は、1つ以上の発光ダイオードベースの照射源である。包括的に言えば、適切ないかなるパルス照射源を用いてもよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、デジタルI/O131、タイミングロジック132、A/D変換電子回路140、及び信号調整電子回路139は、単一のシリコンベースのマイクロ電子チップ上に統合される。別の実施形態では、これらの同じ要素は、照射ドライバも含む単一の窒化ガリウム又はシリコンベースの回路に統合される。幾つかの実施形態では、A/D変換電子回路及びコントローラ132は、時間-デジタル変換器として組み合わされる。
【0050】
図7に示すように、周囲環境から反射された戻り光137は、光検出器138によって検出される。幾つかの実施形態では、光検出器138は、アバランシェフォトダイオードである。光検出器138は、出力信号147を生成し、これは、信号調整電子回路139によって増幅される。幾つかの実施形態では、信号調整電子回路139は、アナログ相互インピーダンス増幅器を含む。なお、包括的に言えば、出力信号147の増幅は、複数の増幅段を含むことができる。すなわち、本明細書の範囲内で他の多くのアナログ信号増幅方式が想定されるため、アナログ相互インピーダンス増幅器は、非限定的な例にすぎない。
【0051】
増幅された信号は、A/D変換器140に伝達される。デジタル信号は、コントローラ132に伝達される。コントローラ132は、パルス出射信号146と協働してADC140によるデータ取得のタイミングを制御するために使用されるイネーブル/ディスエーブル信号を生成する。
【0052】
図7に示すように、統合型LIDAR測定装置130から出射される照射光136と統合型LIDAR測定装置に向かう戻り光137は、共通の経路を共有する。図7に示す実施形態において、戻り光137は、偏光ビームスプリッタ(polarizing beam splitter:PBS)135によって照射光136から分離される。PBS135は、非偏光ビームスプリッタであってもよいが、この場合、通常、更なる光の損失が生じる。この実施形態では、パルス発光装置134から出射される光は、照射光がPBS135を通過するように偏光される。なお、戻り光137は、通常、偏光の混合を含む。したがって、PBS135は、戻り光の一部を検出器138に向け、戻り光の一部をパルス発光装置134に向ける。幾つかの実施形態では、PBS135の後に1/4波長板を設けることが望ましい。これは、環境との相互作用によって戻り光の偏光が大きく変化しない状況において有利である。1/4波長板がなければ、戻り光の大部分は、PBS135を通過してパルス発光装置134に向けられ、これは望ましくない。一方、1/4波長板を設ければ、戻り光の大部分は、PBS135を通過して検出器138に向けられる。
【0053】
なお、包括的に言えば、戻り光の偏光が完全に混合され、図7に示すように、単一のPBSが使用される場合、1/4波長板が使用されているか否かにかかわらず、戻り光の半分が検出器138に向けられ、残りの半分がパルス発光装置134に向けられる。
【0054】
図9図17は、これらの損失を回避するための様々な実施形態を示している。
【0055】
図9は、統合型LIDAR測定装置の実施形態150の正面図を示しており、これは、直径Dを有する円形のアクティブ領域152を有する検出器151(例えば、アバランシェフォトダイオード)を含む。一例では、アクティブ領域152の直径は、約300マイクロメートルである。一側面において、検出器151は、検出器を貫通するスロット153を含む。一例では、スロットは、約70マイクロメートルの高さHと、約200マイクロメートルの幅Wとを有する。
【0056】
図10は、図9に示す実施形態150の側面図である。図10に示すように、実施形態150は、更に、アバランシェフォトダイオード検出器151の背面に固定され、検出器151のスロットを介して照射光154を出射するように構成されたパルス発光装置153を含む。一例では、パルス発光装置153は、3個のレーザダイオードを含み、これらは、10マイクロメートルの高さHを有する発光領域を形成するように共にパッケージ化され、約15度の発散角を有する。この例では、検出器151の厚さSは、約120マイクロメートルである。
【0057】
このようにして、検出器151及びパルス発光装置153は、統合型LIDAR測定装置から出射され、統合型LIDAR測定装置に戻る光ビーム経路内に配置されている。ある量の戻り光は、スロット153に向けられ、検出されないが、スロット153の領域は、検出器151のアクティブ領域152に比べて小さいため、戻り光の大部分が確実に検出される。
【0058】
図11は、統合型LIDAR測定装置の実施形態160の側面図であり、これは、アクティブ領域163を有する検出器162と、アクティブ領域163の外側に位置するパルス発光装置161と、集束光学系164と、能動光学素子165とを含む。能動光学素子165は、統合型LIDAR測定装置のコントローラに接続されている。コントローラは、能動光学素子の状態を変化させる制御信号167を能動光学素子165に伝達する。
【0059】
図11に示す第1の状態では、能動光学素子は、その有効屈折率を変化させ、パルス発光装置161から出射される光166を光軸OA側に屈折させる。
【0060】
図12に示す第2の状態では、能動光学素子は、その有効屈折率を変化させ、戻り光168が能動光学素子165及び集束光学系164を通過して、検出器162のアクティブ領域163に向くようにする。この状態では、コントローラは、パルス発光装置161が光を出射しないように制御する。
【0061】
この実施形態では、パルス発光装置161によって出射される光は、初期的には、光学系の光軸に整列されていない。パルス発光装置161から光が出射されている間、能動光学素子がその状態を変化させ、照射光を光学系の光軸に整列させる。幾つかの実施形態では、能動光学素子は、位相アレイである。幾つかの実施形態では、能動光学素子は、音響光学変調器である。幾つかの実施形態では、能動光学素子は、弾性表面波変調器である。包括的に言えば、有効屈折率を変更できる多くの能動装置が想到される。
【0062】
図13は、統合型LIDAR測定装置の実施形態170の側面図であり、これは、アクティブ領域172を有する検出器173と、アクティブ領域172の外側に位置するパルス発光装置171と、同心集束光学系174と、統合型LIDAR測定装置の光軸に沿って中心合わせされた集束光学系175とを含む。図13に示すように、戻り光177は、同心集束光学系174によって検出器173のアクティブ領域172に集束される。また、パルス発光装置171から出射される光176は、集束光学系175によって光軸OA側に屈折し、コリメートされる。図13に示すように、集束光学系175は、光軸を中心とする比較的小さな領域を占める。同心集束光学系も光軸を中心にしているが、光軸から離れて配置されている。
【0063】
図14は、統合型LIDAR測定装置の実施形態180の上面図であり、これは、アクティブ領域183を有する検出器187と、アクティブ領域183の外側に位置するパルス発光装置181と、同心集束光学系184と、ミラー182とを含む。図14に示すように、戻り光185は集束光学系184によって集束され、ミラー182から検出器187のアクティブ領域183に向けて反射される。一側面では、ミラー182は、パルス発光装置181から出射された光が通過するスロットを含む。照射光186は、パルス発光装置181から出射され、ミラー182のスロットを通過し、集束光学系184によってコリメートされ、統合型LIDAR測定装置を出る。
【0064】
図15A~Cは、統合型LIDAR測定装置の実施形態190を通る3つの異なる光路を示している。この実施形態は、パルス発光装置191、PBS193、偏光制御素子194(例えば、ポッケルスセル(Pockels cell))、PBS195、1/4波長板196、ミラー素子197(例えば、PBS、内部全反射を伴うハーフキューブ等)、遅延素子198、偏光ビーム結合器199、半波長板200、及び検出器192を含む。偏光制御素子194は、統合型LIDAR測定装置のコントローラに接続されている。コントローラは、制御信号204を偏光制御素子194に供給し、偏光制御素子は、制御信号204に基づいて、偏光制御素子を通過する光の偏光状態を変化させる。
【0065】
図15Aに示す第1の状態では、パルス発光装置191から照射光201が出射されると、偏光制御素子194は、通過する光の偏光を変化させないように構成される。図15Aは、実施形態190による照射光201の経路を示している。照射光201は、PBS193、偏光制御素子194、PBS195、及び1/4波長板196を通過する。図15~Cに示す例では、パルス発光装置191は、p偏光を出射し、PBS素子193、194は、p偏光を直接透過するように構成されている。但し、包括的に言えば、異なる偏光を利用して同じ結果を得ることもできる。
【0066】
第2の状態では、図15B及び図15Cに示すように、戻り光202が検出器192によって検出されると、偏光制御素子194は、通過する光の偏光を変化させるように構成され、パルス発光装置191からは光が出射されない。
【0067】
図15Bは、1/4波長板196を通過した後にp偏光された戻り光202の部分の経路202Aを示している。p偏光された戻り光は、PBS195及び偏光制御素子194を通過する。この状態では、偏光制御素子194は、戻り光の偏光をp偏光からs偏光に切り替える。s偏光された戻り光は、PBS193から半波長板200に向けて反射される。半波長板200は、再び偏光をs偏光からp偏光に切り替える。偏光ビーム結合器199は、p偏光を検出器192に向けて反射する。
【0068】
図15Cは、1/4波長板196を通過した後にs偏光された戻り光202の部分の経路202Bを示している。s偏光された戻り光は、ビームスプリッタ195からミラー素子197に反射され、ミラー素子から反射されたs偏光は、ビーム遅延素子198を通過し、偏光ビーム結合器199を通過し、検出器192に直接透過する。
【0069】
ビーム遅延素子198は、s偏光及びp偏光の戻り光の光路長のバランスを取るために設けられている。ビーム遅延素子は、単に適切な長さの光学ガラス片であってもよい。
【0070】
また、実施形態190は、パルス発光装置191と偏光ビームスプリッタ193との間の照射ビーム経路内に配置されたビーム経路延長素子206を含む。幾つかの実施形態では、ビーム経路延長素子206は、単に適切な長さの光学ガラス片であってもよい。ビーム経路延長素子206は、照射経路長と、戻り経路202A及び戻り経路202Bの長さが等しくなるように構成される。なお、戻り経路202A及び戻り経路202Bの長さは、ビーム遅延素子198によって等しくされている。戻り経路202A、202Bは、追加要素を通過するため、これらの有効光路はより長い。照射経路の長さを戻り経路の長さと等しくすることにより、戻りビームはスポットサイズに集束され、照射出力アパーチャのサイズに近づく。これにより、太陽雑音及び最大帯域幅に対する雑音と影響が最も小さい最小サイズの検出器の使用が可能になる。
【0071】
また、実施形態190は、戻り経路202A内の半波長板200の影響と整合させるために、戻り経路202B内にビーム遅延素子205を含む。
【0072】
偏光制御素子の状態を切り替えるために必要な時間には限界があるため、比較的短い距離のLIDARに基づく測定は、図15Cに示す戻り経路202Bによって集光された光に基づいて行われる。偏光制御素子が状態を変化させている間、図15Bに示す経路202Aに沿って伝播する戻り光は、必ずしも偏光状態が変更されるとは限らない。したがって、この光は、PBS193を通ってパルス発光装置191に伝播する確率が高く、このため、検出されない。比較的短距離の測定の場合には、通常、信号強度は、重要な問題にならないため、この状況は、許容可能である。
【0073】
一方、比較的長距離の測定の場合、偏光状態スイッチ素子の状態が確実に変化するために十分な時間の後に、図15B及び図15Cで説明した両方の経路を伝搬する戻り光が検出及び距離推定に利用可能になる。
【0074】
上述したように、1/4波長板196を設けることが望ましい。比較的短距離の測定を行う場合、図15Cで説明した戻り経路202Bを通過する光のみが利用可能である。戻り光の偏光が完全に混合されると、光の半分は、図15Cに記載された経路を通過する。一方、戻り光が鏡面ターゲットから反射された場合、偏光は変化しない。1/4波長板196を設けないと、鏡面ターゲットから反射された光は、図15Bに示す経路を通って伝播し、短距離測定では、偏光制御素子が状態を変化させている間、検出されず又は大幅に弱められる。
【0075】
図16は、統合型LIDAR測定装置の実施形態220を示しており、これは戻り経路202Bに追加の偏光制御素子221を含む。実施形態220は、実施形態190を参照して説明した要素と同様の符号が付された要素を含む。偏光制御素子194、221は、検出器192に到達する戻り光の量を効果的に制御する。図15Bを参照して説明したように、偏光制御素子194が戻り光202Aの偏光状態を変化させない場合、光は、検出器192ではなく、パルス発光装置191に向けられる。一方、偏光制御素子194が戻り光202Aの偏光状態を変化させると、光は、検出器192に向けられる。同様に、偏光制御素子221が戻り光202Bの偏光状態をs偏光からp偏光に変化させると、光は、検出器192から逸れる方向に向けられ、最終的に破棄される(すなわち、他の場所に吸収される)。逆に、偏光制御素子221が戻り光202Bの偏光状態を変化させないと、光は、検出器192に向けられる。偏光制御素子194、221(例えば、ポッケルスセル)による偏光変化の程度は、可変的に制御されるので、検出器192に到達する戻り光の量は、制御信号204、222を介して、統合型LIDAR測定装置のコントローラ(例えば、コントローラ132)によって制御される。
【0076】
例えば、上述したように、比較的短距離の測定を行う場合、偏光制御素子194が図15Aに示す状態から遷移する間は、図15C及び図16を用いて説明したように、戻り経路202Bを通過する光のみが検出に利用可能である。この期間においては、検出器192が飽和するリスクがある。この状況下では、戻り光202の一部の偏光がs偏光からp偏光に部分的に変化し、p偏光成分が検出器192に到達する前に破棄されるように、偏光制御素子221を制御することが望ましい。
【0077】
包括的に言えば、制御信号204、222のタイミング及びプロファイルは、異なる環境条件に対する検出器192のダイナミックレンジを最大化するように調整できる。例えば、以前に検出された信号、他の統合型LIDAR測定装置からの信号、周囲環境の画像、又はこれらの任意の組合せを用いて、統合型LIDAR測定装置の動作中に制御信号204、222のタイミング及びプロファイルを変更することによって、検出器192のダイナミックレンジを調整することができる。一例では、制御信号204、222のタイミング及びプロファイルは、パルス移動距離の関数としてプログラムされる。これにより、物体がセンサの近くにあることに起因する検出器の飽和を回避できる。より長い距離測定では、感度が最大化され、偏光制御素子221は、偏光を変化させることなく、戻り光202Bを通過させるようにプログラムされる。これにより、最大量の戻り光が検出器192に到達する。照射パルス出力、前回の戻り時に集光されたデータから感知された環境において検出された特徴等に応じて複数のプロファイルを使用してもよい。
【0078】
図17は、統合型LIDAR測定装置の実施形態230を示しており、これは、個別に又は任意の組み合わせで、図15A~Cを参照して説明した実施形態190に追加できる任意の追加要素を含む。実施形態230は、実施形態190を参照して説明した要素と同様の符号が付された要素を含む。図17に示すように、パルス発光装置191とビームスプリッタ193との間の光路内には、コリメート光学系231が配置されている。レーザダイオード技術又は発光ダイオード技術に基づくパルス発光装置は、通常、発散光ビームを生成する。パルス発光装置から出射された照射光をコリメートすることにより、小さなビームサイズが照射経路全体に亘って維持される。これにより、照射経路内の光学素子を小さくできる。
【0079】
また、実施形態230は、1/4波長板196の後段の集束レンズ232を含む。統合型LIDAR測定装置を通って伝播されるコリメート光を再集束することにより、照射装置191の出力アパーチャは、統合型LIDAR測定装置のすぐ外側に再結像され、これにより、統合型LIDAR測定装置の横断面と、統合型測定装置の有効な出口及び入口開口との両方を小さく保つことができる。これにより、可能なピクセルの実装密度とピクセル解像度が向上する。集束レンズ232は、照射光と戻り光とで共有される光路上に配置され、照射経路と戻り経路が平衡されているので、統合型LIDAR測定装置の出力に結像点235が生成される。この結像点235は、検出器192とパルス発光装置191の両方に戻って結像される。結像点235にアパーチャ、フィールドストップ、ピンホールフィルタ等の様々な光学素子を配置して、検出器192に投射される画像を整形及びフィルタリングしてもよい。更に、実施形態230は、戻り光を検出器192に集束させるために、検出器192とビーム結合器199との間の光路内に配置された集束光学系233を含む。
【0080】
また、実施形態230は、集束光学系233とビーム結合器199との間の戻りビーム経路内に配置されたスペクトルフィルタ234を含む。幾つかの実施形態では、スペクトルフィルタ234は、照射ビームのスペクトル帯域内の光を通過させ、このスペクトル帯域外の光を吸収する帯域通過フィルタである。多くの実施形態において、スペクトルフィルタは、入射光がスペクトルフィルタの表面に対して垂直であるときに最も効果的に動作する。したがって、スペクトルフィルタ234は、戻り光路内の光がコリメートされる又は略コリメートされる任意の位置に配置することが理想的である。
【0081】
図18は、統合型LIDAR測定装置の実施形態210の側面図を示しており、これは、検出器212と、この検出器212の前方のレンズ素子211内に配置されたパルス発光装置213とを含む。図19は、実施形態210の正面図を示している。図18図19に示すように、戻り光217は、レンズ素子211(例えば、複合放物線集光器)によって、集光され検出器212上に集束される。図18では、レンズ素子211の入力ポート218を平面として示しているが、包括的に言えば、入力ポート218は、戻り光217を検出器212に集束させるものであれば、適切な如何なる形状に形成してもよい。パルス発光装置213は、レンズ素子211のエンベロープ内に配置される(例えば、レンズ素子211内に成形される)。パルス発光装置213は一定量の戻り光を遮断するが、そのサイズは、レンズ素子211の集光領域に対して小さいため、悪影響は小さい。導電性要素214は、導電性リード線215を介して、パルス発光装置213と統合型LIDAR測定装置の他の要素(例えば、照射ドライバ133)とを電気的に接続する。幾つかの実施形態では、導電性要素214は、更に、パルス発光装置213をレンズ素子211のエンベロープ内に配置するための構造的支持を提供する。
【0082】
図20は、統合型LIDAR測定装置の実施形態240の側面図を示しており、これは、検出器242と、この検出器242の前方に位置するパルス発光装置241とを含む。図20に示すように、戻り光246は、集束光学系244によって集光され検出器242上に集束される。パルス発光装置241は、集束光学系244内に配置されている(例えば、集束光学系244と共に成形されている)。パルス発光装置241は一定量の戻り光を遮断するが、そのサイズは、集束光学系244の集光領域に対して小さいため、悪影響は小さい。導電性要素(図示せず)は、パルス発光装置241と統合型LIDAR測定装置の他の要素(例えば、照射ドライバ133)とを電気的に接続する。幾つかの実施形態では、導電性要素は、更に、パルス発光装置241を集束光学系244内に配置するための構造的支持を提供する。
【0083】
図21は、統合型LIDAR測定装置の実施形態250の側面図を示しており、これは、アクティブ領域252を有する検出器253と、この検出器のアクティブ領域252の視野外に配置されたパルス発光装置251とを含む。図21に示すように、検出器の上にオーバーモールド254が取り付けられている。オーバーモールド254は、戻り光255の受光円錐に対応する円錐状の空洞を含む。一側面では、照射源251からの照射光259は、ファイバ導波路257によって検出器受光円錐内に射出される。光カプラ256は、照射源251(例えば、レーザダイオードアレイ)をファイバ導波路257に光学的に接続する。ファイバ導波路257の端部において、ミラー素子258は、導波路に対して45度の角度に配向されており、これにより、戻り光255の円錐内に照射光259を射出する。一実施形態では、ファイバ導波路257の端面を45度の角度にカットし、端面を高反射性誘電体コーティングで被覆することによって鏡面を提供する。幾つかの実施形態では、導波路257は、長方形のガラスコアと、屈折率がより低いポリマクラッド(polymer cladding)とを含む。幾つかの実施形態では、アセンブリ250全体が、ポリマクラッドの屈折率と厳密に一致する屈折率を有する材料でカプセル化される。これにより、導波路は、照射光259を最小限の遮蔽で戻り光255の受光円錐内に射出する。
【0084】
検出器253のアクティブ感知領域252に投射された戻り光の受光円錐内における導波路257の配置は、遠方視野における照射スポット及び検出器の視野の重なりが最大になるように選択される。
【0085】
図1及び図2を参照して説明した実施形態のような幾つかの実施形態では、統合型LIDAR測定装置のアレイをLIDAR装置の回転フレームに取り付ける。この回転フレームは、LIDAR装置の基部フレームに対して回転する。但し、包括的に言えば、統合型LIDAR測定装置のアレイは、任意の適切な手法(例えば、ジンバル、パン/チルト等)で可動としてもよく、LIDAR装置の基部フレームに対して固定してもよい。
【0086】
他の幾つかの実施形態では、各統合型LIDAR測定装置は、統合型LIDAR測定装置によって生成された照射ビームを走査するためのビーム指向要素(例えば、走査ミラー、MEMSミラー等)を含む。
【0087】
他の幾つかの実施形態では、2つ以上の統合型LIDAR測定装置は、それぞれ、ビームを周囲環境の異なる方向に反射する走査ミラー装置(例えば、MEMSミラー)に向けて照射ビームを出射する。
【0088】
図22は、少なくとも1つの新規な側面においてLIDAR測定を行う方法300を示す。方法300は、図1に示すLIDARシステム100及び図2に示すLIDARシステム10等の本発明に基づくLIDARシステムによる実行に適している。一側面において、方法300のデータ処理ブロックは、コントローラ132の1つ以上のプロセッサ又は他の任意の汎用計算システムによって実行される予めプログラムされたアルゴリズムを介して実現できることは明らかである。また、LIDARシステム100の特定の構造的側面は、限定を表すものではなく、例示的なものとして解釈すべきことも明らかである。
【0089】
ブロック301において、プリント回路基板に取り付けられた照射源によって照射光の測定パルスを生成する。
【0090】
ブロック302において、プリント回路基板に取り付けられた検出器によって戻り光パルスを検出する。戻り光パルスは、対応する測定パルスによって照射された3次元環境内の位置から反射されたある量の測定パルスである。照射光の測定パルス及び戻り光パルスは、統合型LIDAR装置内のある距離に亘って共通光路を共有する。
【0091】
ブロック303において、検出された戻り光パルスを示す出力信号を生成する。
【0092】
ブロック304において、プリント回路基板に取り付けられた照射ドライバによって、ある量の電力を照射源に供給する。供給された電力により、照射源は、照射光の測定パルスを出射する。
【0093】
ブロック305において、プリント回路基板に取り付けられたある量のアナログ信号調整電子回路によって出力信号を増幅する。
【0094】
ブロック306において、プリント回路基板に取り付けられたアナログ/デジタル変換器によって、増幅された出力信号をデジタル信号に変換する。
【0095】
ブロック307において、デジタル信号に基づいて、LIDAR装置から3次元環境内の測定位置に至り、LIDAR装置に戻る測定パルスの飛行時間を測定する。
【0096】
1つ以上の例示的な実施形態において説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせによって実現してもよい。ソフトウェアで実現する場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令又はコードとして保存し、又は伝送してもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所に転送するためのあらゆる媒体を含むコンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用又は専用コンピュータによってアクセスできる任意の使用可能な媒体であってもよい。限定ではなく例として、このコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、又は他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気ストレージ装置、又は所望のプログラムコード手段を命令又はデータ構造の形式で搬送又は保存するために使用でき、汎用又は専用のコンピュータ、又は汎用又は専用のプロセッサによってアクセスできる他の任意の媒体を含むことができる。また、任意の接続をコンピュータ可読媒体と呼ぶこともできる。例えば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(digital subscriber line:DSL)、並びに赤外線、無線及びマイクロ波等の無線技術を用いて、ソフトウェアがウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、並びに赤外線、無線及びマイクロ波等の無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用するdisk及びdiscは、コンパクトディスク(compact disc:CD)、レーザーディスク(laser disc)、光ディスク(optical disc)、デジタル汎用ディスク(digital versatile disc)、フロッピーディスク(floppy disk)及びブルーレイディスク(blu-ray disc)を含み、通常、diskは、磁気的にデータを再生するものを指し、discは、レーザを用いて光学的にデータを再生するものを指す。また、上記の組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれる。
【0097】
以上では、説明のために特定の実施形態を記述したが、この特許文献の教示は、一般的な適用性を有し、上述した特定の実施形態に限定されない。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、ここに記述した実施形態の様々な特徴の様々な修正、適応化、及び組み合わせを実施できる。
【符号の説明】
【0098】
10 3次元LIDARシステム
11 下部ハウジング
12 上部ハウジング
13 円筒形シェル要素
14 中心軸
15、15’ 複数の光ビーム
16 ビーム
17 位置
100 3次元LIDARシステム
101 下部ハウジング
102 上部ハウジング
103 ドーム状シェル要素
104 中心軸
105 複数の光ビーム
106 ビーム
107 位置
108 円形軌跡
110 固定電子基板
111 回転電子基板
112 発光・集光エンジン
113 統合型LIDAR測定装置のアレイ
116 集光光学系、光学素子
116A レンズ素子
116B レンズ素子
116C レンズ素子
116D レンズ素子
117 112の中心光軸
118 集光された光
120 統合型LIDAR測定装置
121 共通基板
122 パルス発光装置
123 光検出素子
124 ミラー、照射光パルス
125 集光された光
126 コネクタ
130 統合型LIDAR測定装置
131 デジタル入出力(I/O)電子回路
132 コントローラ
133 照射ドライバ
134 パルス発光装置
135 ビームスプリッタ
136 照射光
137 戻り光
138 光検出素子、光検出器
139 信号調整電子回路
140 アナログ/デジタル(A/D)変換電子回路、アナログ/デジタル変換器
142 信号
143 信号
144 共通基板
145 パルス電流信号
146 パルス出射信号
147 戻り信号、出力信号
148 デジタル信号
149 パルスインデックス信号
150 統合型LIDAR測定装置の実施形態
151 検出器
152 151のアクティブ領域
153 スロット、パルス発光装置
154 照射光
160 統合型LIDAR測定装置の実施形態
161 パルス発光装置
162 検出器
163 162のアクティブ領域
164 集束光学系
165 能動光学素子
166 161から出射される光
167 制御信号
168 戻り光
170 統合型LIDAR測定装置の実施形態
171 パルス発光装置
172 173のアクティブ領域
173 検出器
174 同心集束光学系
175 集束光学系
176 171から出射される光
177 戻り光
180 統合型LIDAR測定装置の実施形態
181 パルス発光装置
182 ミラー
183 187のアクティブ領域
184 集束光学系
185 戻り光
186 照射光
187 検出器
190 統合型LIDAR測定装置の実施形態
191 パルス発光装置
192 検出器
193 偏光ビームスプリッタ、PBS
194 偏光制御素子
195 ビームスプリッタ、PBS
196 1/4波長板
197 ミラー素子
198 ビーム遅延素子
199 偏光ビーム結合器
200 半波長板
201 照射光
202 戻り光
202A 202の部分の経路
202B 202の部分の経路
204 制御信号
205 ビーム遅延素子
206 ビーム経路延長素子
210 統合型LIDAR測定装置の実施形態
211 レンズ素子
212 検出器
213 パルス発光装置
214 導電性要素
215 導電性リード線
217 戻り光
218 211の入力ポート
220 統合型LIDAR測定装置の実施形態
221 偏光制御素子
222 制御信号
230 統合型LIDAR測定装置の実施形態
231 コリメート光学系
232 集束レンズ
233 集束光学系
234 スペクトルフィルタ
235 結像点
240 統合型LIDAR測定装置の実施形態
241 パルス発光装置
242 検出器
244 集束光学系
246 戻り光
250 統合型LIDAR測定装置の実施形態
251 パルス発光装置、照射源
252 253のアクティブ領域
253 検出器
254 オーバーモールド
255 戻り光
256 光カプラ
257 ファイバ導波路
258 ミラー素子
259 照射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22