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特許7515554高度道路交通システム内の道路空間集合知覚メッセージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】高度道路交通システム内の道路空間集合知覚メッセージ
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240705BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240705BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240705BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240705BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240705BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022173635
(22)【出願日】2022-10-28
(65)【公開番号】P2023070115
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】2115836.5
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2118194.6
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライス ルウールー
(72)【発明者】
【氏名】イザベル モルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ナッソー
(72)【発明者】
【氏名】エルヴェ ルーラン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン セヴァン
(72)【発明者】
【氏名】リオネル トクチュ
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/257642(WO,A1)
【文献】特表2018-534692(JP,A)
【文献】特表2018-530810(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100661(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0129862(US,A1)
【文献】特開2011-158636(JP,A)
【文献】特開2008-015316(JP,A)
【文献】特開2019-192225(JP,A)
【文献】特開2020-113272(JP,A)
【文献】国際公開第2009/016693(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
G16Y 10/00 - 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度道路交通システム(ITS)における通信の方法であって、発信側ITSステーションにおいて:
集合知覚メッセージ(CPM)において、空間を道路形状に対応して区切った空間領域を記述するエレメントであって、該空間領域の状態を示すフィールドを含む該エレメントを送信することを含
前記エレメントは、前記空間領域が親空間領域のサブ部分であることを示す空間領域の識別子を含み、前記サブ部分の状態が該親空間領域の状態と同じである場合には、前記サブ部分の状態を記述する集合知覚メッセージ(CPM)を送信しない、方法。
【請求項2】
前記エレメントは空間領域コンテナである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エレメントは、前記空間領域のタイプに対応する道路空間のルールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記空間領域の状態を示す前記フィールドは、道路空間の前記ルールに依存する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エレメントは、前記空間領域において検出されたオブジェクトの数として、前記空間領域の占有率を示すフィールドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エレメントは、前記エレメントによって提供される情報に対する信頼性のレベルを示すフィールドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エレメントは、前記空間領域の地理的領域定義を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エレメントは、感知されたオブジェクトを含まない空間領域を記述するための空き空間領域コンテナのフィールドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
高度道路交通システム(ITS)における集合知覚メッセージ(CPM)を生成する方法であって、発信側ITSステーションにおいて:
空間を決定することと、
前記空間の状態を決定することと、
前記空間を記述し、前記空間の状態を示すフィールドを含む空間コンテナを生成することと、
集合知覚メッセージに、前記空間コンテナを埋め込むことと、
空間を道路形状に対応して区切った空間領域のサブ部分を表す他の空間を決定することと、
前記空間の識別子を含む前記他の空間を記述する空間コンテナを生成することと、
集合知覚メッセージに、前記他の空間を記述する前記空間コンテナを埋め込むこと、
を含む方法。
【請求項10】
高度道路交通システム(ITS)における集合知覚メッセージ(CPM)を受信する方法であって、受信側ITSステーションにおいて、
前記集合知覚メッセージを受信することと、
空間を記述し、空間の状態を示すフィールドを含んだエレメントを取得することと、
前記エレメントに含まれる情報から道路状況のグローバルな知覚を決定することと、
空間を道路形状に対応して区切った空間領域のサブ部分を表す他の空間を記述する他のエレメントを取得することと、
前記他のエレメントに含まれる情報から前記道路状況の詳細な知覚を決定することと、
を含む方法。
【請求項11】
高度道路交通システム(ITS)において通信する装置であって、
集合知覚メッセージ(CPM)において、空間を道路形状に対応して区切った空間領域を記述し、該空間領域の状態を示すフィールドを含んだエレメントを送信する送信手段を有し、
前記エレメントは、前記空間領域が親空間領域のサブ部分であることを示す空間領域の識別子を含み、前記サブ部分の状態が該親空間領域の状態と同じである場合には、前記サブ部分の状態を記述する集合知覚メッセージ(CPM)を送信しない、装置。
【請求項12】
実行されたことに応じて請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、高度道路交通システム(ITS)に関し、より具体的には、協調型高度道路交通システム(C-ITS)に関する。
【背景技術】
【0002】
協調型高度道路交通システム(C-ITS)は、交通安全、交通効率、運転者の経験を改善することを目的とした将来の交通管理のための新興技術である。
【0003】
欧州電気通信標準化機構(ETSI)によって定義されている高度道路交通システム(ITS)は、
-車両間(例えば、車車間)の通信、及び、
-車両と固定場所(例えば、車とインフラストラクチャ)との間の通信
などの様々なタイプの通信を含む。
【0004】
C-ITSは道路輸送に限定されない。より一般的には、C-ITSは、ナビゲーションシステムを含んだ、鉄道、水道および航空輸送のための情報通信技術(ICT)の使用として定義されうる。そのような様々なタイプのC-ITSは、一般に、通信のための無線サービスに依存し、専用技術を使用する。
【0005】
C-ITSは、C-ITSが実装される国及び/又は地域ごとに規定された基準に従う。欧州では、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が、C-ITSが適用される標準を形成する仕様の策定を担当している。
【0006】
C-ITS内の協調は、(ITS-Sと表示される)ITSステーション間で、ITSメッセージと呼ばれるメッセージの交換によって達成される。ITS-Sは、車両、路側ユニット(RSU)、(例えば、スマートフォン、GPS、スマートウォッチ、またはサイクリスト機器に含まれる)ITS機器を運ぶ交通弱者(VRU)、または、ITS機器を備える任意の他のエンティティまたはインフラストラクチャ、ならびに中央サブシステム(バックエンドシステムおよびトラフィック管理センター)でありうる。
【0007】
C-ITSは、たとえば、すべての種類の路上ユーザ、一例では車車間を参照する車両間(車両対車両(V2V))の、または、車両対インフラストラクチャ(V2I)及びインフラストラクチャ対車両(I2V)、例えば車対インフラストラクチャである、車両と固定位置との間の、様々なタイプの通信をサポートし得る。
【0008】
このようなメッセージ交換は、3GPP(登録商標)のLTE Advanced Pro、3GPP(登録商標)の5G、又はIEEE802.11p技術を例として含みうる、(例えば、任意の種類のデバイスへの「車両」のための)「V2X」ネットワークと呼ばれる、無線ネットワークを介して実行されうる。
【0009】
例示的なITSメッセージは、集合知覚メッセージ(CPM)、協調認識メッセージ(CAM)、および分散環境通知メッセージ(DENM)を含む。ITSメッセージを送信するITS-Sは、「発信」ITS-Sと呼ばれる。
【0010】
EN 302 637-2(2019年4月のV1.4.1)は、ITS-SがブロードキャストCAMを使用して自車両のダイナミクス(例えば、位置、速度)を送信する協調認識基本サービスを定義する。
【0011】
EN 302 637-3(2019年4月のV1.3.1)は、発信側ITS-SがブロードキャストDENMを使用して警告やアラートなどの通知を他のITS-Sに送信することができる、分散環境通知基本サービスを定義している。このようなメッセージは、発信側ITS-Sによって検出されたイベント(例えば、道路障害物、運転環境、交通状態)を通知する。
【0012】
ETSI TS 103 324(2021年5月のV0.0.22)は、ローカルの知覚センサシステムを有するITS-Sがその近傍のオブジェクトを検出し、ブロードキャストCPMを使用して、そのデスクリプション情報(例えば、位置および/または運動学的情報などのダイナミクス)を送信する、集合知覚サービスを定義する。集合知覚サービスは、ローカルの知覚センサおよび/または空き空間情報によって検出される道路安全関連オブジェクト(すなわち、他の道路参加者、障害物など)のような、ITSサブシステムの環境に関する情報を提供する。この目的のために、特定されたメッセージは、ITSサブシステムの基準フレームにおいて検出されたオブジェクトを記述するための汎用データエレメントを提供する。CPMは、例えば発信ITS-Sによって感知されたオブジェクトの速度に応じて、100msから1sの期間で周期的に送信される。
【0013】
ETSI TS 103 301(2020年2月のV1.3.1)は、ITS-SがブロードキャストMAPEMを使用して道路/車線のトポロジデータおよびトラフィック操作を含むマップを送信することができる、マップ拡張メッセージを定義している。MAPEMに対応するサービスは、道路及び車線トポロジサービス(RLT)である。インフラストラクチャエリアのトポロジを定義するデジタルトポロジマップの生成、送信、および受信を管理することが、インフラストラクチャサービスの1つのインスタンス化である。それは、例えば、車両、自転車、駐車場、公共交通機関、及び横断歩道のための経路、のための車線トポロジと、交差点エリアまたは道路セグメント内の許容される操縦を含む。また、ISO TS19091 2016(E)は、「協調ITS-信号化された交差点に関連するアプリケーションのためのV2IおよびI2V通信を使用すること」、及び、より具体的には異なるタイプの道路トポロジおよびその幾何学的形状を記述する方法を定義している。
【0014】
集合知覚メッセージは、知覚されたオブジェクトについての多くの情報、およびオプションとして、空き領域についての多くの情報を配信することができる。CPMは、オブジェクト間の関係または階層を伴わずに送信される。ステーションは、その近隣におけるグローバル(全体的)な状況に関する情報を取得したいとき、受信されたCPMの全てを通して収集された情報を分析する必要がある。この分析は、道路状況の知識を得るために、独立した知覚結果から多くのメッセージを受信することが必要とされるため、組み込みデバイスにとって時間がかかる可能性がある。帯域幅の制約のため、CPMは、ステーションのすべての知覚されたオブジェクトに関する情報を伝達しないことがある。また、空き空間のみを知ることは十分ではない場合がある。
【0015】
運転者は、また、最初に、入ってくる状況としてそれをどのように扱うかを知るために、グローバルな知覚を必要とする、様々な道路トポロジに応じた様々なルールに対する自身の車の運転を管理しなければならない。例えば、運転者は、渋滞交通状態下の状況をグローバルに知ることによって、高速道路に入るときまたは駐車場の空いている場所を探すときに、運転をより安全かつより低ストレスで適応させうる。
【0016】
集合知覚サービスは、受信ステーションが道路状況のグローバルな知覚を決定することを容易にするように改善される点で有利でありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上述の問題の1つ以上に対処するために考案された。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、既存の知覚されるオブジェクトおよび空き空間に加えて、集合知覚メッセージ(CPM)においてシグナリングされうる、新しいタイプのオブジェクトを導入することを提案する。この新しいタイプのオブジェクトは、道路トポロジの特定の部分に対応する空間領域でありうる。例えば、道路区間、交差点、合流ゾーンでありうる。この領域に関する、例えば、その占有率、輻輳、通常動作などの、いくつかの情報が報告され得る。したがって、受信ステーションは、その近隣の道路状況に関して有意義な領域に関連するグローバルな情報を一度に獲得する。
【0019】
いくつかの実施形態では、空間領域の階層が、所与の道路トポロジ空間に関連する、様々なレベルのグローバル情報を報告するために定義されうる。
【0020】
本発明の第1の態様によれば、高度道路交通システム(ITS)における通信の方法であって、発信側ITSステーションにおいて:
集合知覚メッセージにおいて、空間を記述すると共に空間状態を示すフィールドを含むエレメントを報告することを含む、方法が提案される。
【0021】
実施形態において、前記エレメントによって記述される前記空間は、道路トポロジの特定の領域を表す。
【0022】
実施形態において、前記エレメントは空間コンテナである。
【0023】
実施形態において、前記特定の領域のタイプに対応する道路空間のルールを含む。
【0024】
実施形態において、前記空間状態を示す前記フィールドは、道路空間の前記ルールに依存する。
【0025】
実施形態において、前記エレメントは、前記空間において検出されたオブジェクトの数として、前記空間の占有率を示すフィールドを含む。
【0026】
実施形態において、前記エレメントは、前記エレメントによって提供される情報に対する信頼性のレベルを示すフィールドを含む。
【0027】
実施形態において、前記エレメントは、前記空間が他の空間のサブ部分であることを示す当該他の空間の識別子を含む。
【0028】
実施形態において、前記エレメントは、前記空間の地理的領域定義を含む。
【0029】
実施形態において、前記エレメントは、感知されたオブジェクトを含まない空間を記述するための空き空間コンテナのフィールドを含む。
【0030】
実施形態において、前記エレメントは、空間または空き空間を表すことができるコンテナである。
【0031】
本発明の別の態様によれば、高度道路交通システム(ITS)における集合知覚メッセージを生成する方法であって、発信側ITSステーションにおいて:
空間を決定することと、
前記空間の状態を決定することと、
前記空間を記述し、前記空間の状態を示すフィールドを含む空間コンテナを生成することと、
集合知覚メッセージに、前記空間コンテナを埋め込むことと、
を含む方法が提案される。
【0032】
実施形態において、方法は、
道路トポロジの特定の領域を決定することをさらに含み、
前記決定された空間は、前記道路トポロジの前記特定の領域を表す。
【0033】
実施形態において、方法は、
前記特定の領域のサブ部分を表す他の空間を決定することと、
前記空間の識別子を含む前記他の空間を記述する空間コンテナを生成することと、
集合知覚メッセージに、前記他の空間を記述する前記空間コンテナを埋め込むこと、
をさらに含む。
【0034】
本発明の別の態様によれば、高度道路交通システム(ITS)における集合知覚メッセージを受信する方法であって、受信側ITSステーションにおいて、
前記集合知覚メッセージを受信することと、
空間を記述し、空間の状態を示すフィールドを含んだエレメントを取得することと、
前記エレメントに含まれる情報から道路状況のグローバルな知覚を決定することと、
を含む方法が提案される。
【0035】
実施形態において、前記空間は、道路トポロジの特定の領域を表す。
【0036】
実施形態において、方法は、
前記特定の領域のサブ部分を表す他の空間を記述する他のエレメントを取得することと、
前記他のエレメントに含まれる情報から前記道路状況の詳細な知覚を決定することと、
をさらに有する。
【0037】
本発明の別の態様によれば、道路トポロジの特定の領域を表す空間を記述するエレメントを含んだ、高度道路交通システムにおける集合知覚メッセージが提案される。
【0038】
本発明の別の態様によれば、高度道路交通システム(ITS)において通信する装置であって、
集合知覚メッセージにおいて、空間を記述し、空間状態を示すフィールドを含んだエレメントを報告するように構成されたプロセッサを含む、装置が提案される。
【0039】
本発明の別の態様によれば、高度道路交通システムにおける集合知覚メッセージを生成する装置であって、
空間を決定し、
前記空間の状態を決定し、
前記空間を記述し、前記空間の状態を示すフィールドを含んだ空間コンテナを生成し、
前記集合知覚メッセージに前記空間コンテナを埋め込む、
ように構成されたプロセッサを含む、装置が提案される。
【0040】
本発明の別の態様によれば、高度道路交通システムにおける集合知覚メッセージを受信する装置であって、
集合知覚メッセージを受信し、
空間を記述し、空間状態を示すフィールドを含むエレメントを取得し、
前記エレメントに含まれる情報から道路状況のグローバルな知覚を決定する、
ように構成されたプロセッサを含む、装置が提案される。
【0041】
本発明の別の態様によれば、プログラム可能な装置のためのコンピュータプログラムプロダクトであって、前記プログラム可能な装置にロードされて実行されるとき、本発明による方法を実行するための一連の命令を含んだコンピュータプログラムプロダクトが提案される。
【0042】
本発明の別の態様によれば、本発明による方法を実行するためのコンピュータプログラムの命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体が提案される。
【0043】
本発明の別の態様によれば、実行されたことに応じて本発明の方法を実行させるコンピュータプログラムが提案される。
【0044】
本発明による方法の少なくとも一部は、コンピュータで実装されうる。したがって、本発明は、ここではすべてが一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれうる、全体としてハードウェアの実施形態、全体として(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)ソフトウェアの実施形態、または、ソフトウェアとハードウェアの態様とを組み合わせた実施形態の形式をとりうる。さらに、本発明は、媒体に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する表現の任意の有形媒体に具現化されたコンピュータプログラムプロダクトの形式をとってもよい。
【0045】
本発明をソフトウェアで実装することができるため、本発明は、任意の適切な搬送媒体上でのプログラム可能な装置への提供のためのコンピュータ可読コードとして具現化可能である。有形搬送媒体は、ハードディスクドライブ、磁気テープデバイス、またはソリッドステートメモリデバイスなどの記憶媒体を有しうる。過渡搬送媒体は、電気信号、電子信号、光信号、音響信号、磁気信号、または電磁信号、たとえばマイクロ波またはRE信号などの信号を含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明のさらなる利点は図面および詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるだろう。ここで、本発明の実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する。
図1図1は、本発明が実装されうる典型的な高度道路交通システム(ITS)を示す図である。
図2図2は、本発明が実装されうる典型的なITSステーションを示す図である。
図3図3は、標準仕様によるCPMの例示的なフォーマットを示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態によるCPMの例示的なフォーマットを示す図である。
図5図5は、フローチャートを用いて、本発明の実施形態によるCPMを介して送信される空間コンテナを生成するための方法のステップを示す図である。
図6図6は、フローチャートを用いて、本発明の実施形態による発信側ITS-Sにおける方法のより詳細なステップを示す図である。
図7図7は、フローチャートを用いて、本発明の実施形態による受信側ITS-Sにおける方法のより詳細なステップを示す図である。
図8図8は、発信側ITS-Sが路側ユニットであって車両が合流車線を有する高速道路の入口を観察する、本発明の実施形態の実装のための代替シナリオを示す図である。
図9図9は、発信側ITS-Sが空いている場所及び混雑している場所を有する駐車場を観測する路側ユニットである、本発明の実施形態の実装のための別の代替シナリオを示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態を実装するように構成された通信ITS-Sデバイスの例の概略図である。
図11図11は、本発明のいくつかの実施形態によるCPMの第2の例示的なフォーマットを示す図である。
図12図12は、本発明のいくつかの実施形態によるCPMの第3の例示的なフォーマットを示す図である。
図13図13は、本発明のいくつかの実施形態によるCPMの第4の例示的なフォーマットを示す図である。
図14図14は、発信側ITS-Sが歩行者の横断歩道を有する交差領域を観測する路側ユニットである、本発明の実施形態の実装のための別の代替シナリオを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の説明において提供されるリストおよび(データエレメントなどの)エレメントの名称は、単なる例示である。実施形態はそれに限定されず、他の名称が使用されうる。
【0048】
本発明の実施形態は、高度道路交通システム(ITS)において実装されることが意図されている。
【0049】
本発明は、特に、例えば道路区間、駐車場、または共有車線と、標準ISO19091に規定されている対応する地形とを識別することを可能にするレイヤを使用してエリアトポロジを記述するのに使用されるレイヤのリストを伴う、単一のCPM、すなわち、MAPEMデータとして又は地域地図データ情報として又はWGS84リファレンスポイントに従って局所的に定義された道路トポロジに従って、監視される道路エリアの道路状態を報告する集合知覚メッセージを提案する。
【0050】
そのようなCPMを送信する発信側ITSステーション(ITS-S)は、自身が認識するオブジェクトを記述するコンテナが、いわゆるローカルダイナミックマップまたは環境モデルにおいて、通常、すでにメモリに組み込まれているため、CPMを迅速に構築することができる。
【0051】
他方で、(例えば、道路状況のグローバルで詳細な知覚を得るために)空間コンテナを含むCPMに関係する受信側ITS-Sは、複数のオブジェクトを組み合わせるものであると共にCAMまたはCPMよりも迅速に送信される単一のCPMから、(既知の技術と比較して)追加の情報を取得することができる。そして、グローバルで詳細な知覚を用いて、状況のより迅速な分析を行うことができる。
【0052】
利点として、各空間コンテナは、その位置が絶対的である及び/又は(例えば、WGS84 NorthまたはMAPEMオブジェクトを参照することによって)道路トポロジ上で位置合わせされるため、他の空間コンテナの内容から独立して分析されうる。それは、空間コンテナを含んだCPMに関係する受信側ITS-Sが、全ての関連する空間コンテナが受信されていなくても、道路状況の知覚を得ることを可能とする。この特性は、(本発明に記載のサブ空間を用いて)詳細な知覚のための報告に使用される空間コンテナに特に適用可能である。
【0053】
本発明の実施形態を実装のためのITSシステム100の例を、図1に示す。
【0054】
この例では、CPMを送信する発信側ITSステーション(ITS-S)が、路側ユニット(RSU)である。RSUは、移動車両よりも道路区分の状況を監視するためのより強力なリソースを有する点で有利であり、例えば、より広い視野、複数の視野、交通状況や信号機状況や監視エリアに移入するオブジェクトの知識などの他の情報への高速アクセスなどを有しうる。
【0055】
特に、監視エリアをより良く見ることにより、RSUは、自身が関連する交通観測点に配置された静的ITS-Sステーションであるため、より良い信頼性で、道路トポロジに従って道路空間における車両占有率を判定することができる。それでもなお、発信側ステーションは、その視野内の空間領域を有する任意のITSステーションであってもよい。
【0056】
ITS100は、道路セグメントを監視するために実装され、固定された路側ユニット110といくつかのエンティティとを有し、これらのエンティティのすべてが、それぞれがITS100内でITSメッセージを送信および/または受信するためのITSステーション(ITS-S)を搬送しまたは有しうる。いくつかのエンティティは、たとえば、車両151、152、153および150でありうる。車両150、151および152は、車両153が何らかの理由で停止しており、その結果、車線161上の渋滞交通が生じている間に、移動している。車線160および162が正常に動作している一方で、車線161は正常に動作していないと考えられる。車両150は、CAM138を使用して定期的にパラメータを送信し、CPM139を送信することによって集合知覚に寄与する。
【0057】
固定された路側ユニット110は、ここではビデオカメラ120の撮像センサなどのセンサのセットと、状況分析モジュール111などの、センサによって提供されたデータを分析する分析モジュールとを含む。ビデオカメラ120は、監視エリア、ここでは道路トポロジ、ひいては監視エリアの再生画像を監視またはスキャンするように構成される。実際の状況では、カメラ120は、様々な種類のセンサによって補完される可能性があるカメラのセットから構成される可能性が高い。
【0058】
センサおよび解析モジュール、すなわちビデオカメラ120および状況分析モジュール111は、状況分析モジュール111がセンサ/ビデオカメラによって撮像されたストリームを処理するように接続される。いくつかの実施形態によれば、分析モジュールおよびセンサは、物理的な路側ユニット110から分離されていてもよく、または、同一の物理的な路側ユニット110内に埋め込まれていてもよい。例えば、分析モジュールは、遠隔でありうる(すなわち、路側ユニット110に埋め込まれない)センサと、有線接続されうる。
【0059】
分析モジュール、例えば、状況分析モジュール111による処理は、以下で「知覚オブジェクト(perceived object)」または「検出オブジェクト(detected object)」と呼ばれる、監視エリアに潜在的に存在するオブジェクトを検出することを目的とする。そのようなオブジェクトを検出するための機構は、当業者に周知である。
【0060】
分析モジュール、例えば状況分析モジュール111は、「状態ベクトル」と呼ばれる、対応する記述情報にそれぞれ関連付けられた知覚オブジェクトのリストを出力するようにも構成される。知覚オブジェクトの状態ベクトルは、例えば、位置、運動学的、時間的、挙動的、またはオブジェクトタイプの分類情報などのパラメータを含みうる。
【0061】
したがって、分析モジュールは、知覚されたオブジェクトのうち、例えば歩行者、サイクリストなどの様々な種類のオブジェクトを識別してもよい。また、木、道路建設/作業機器(踏切遮断器、…)などのオブジェクトを識別してもよい。
【0062】
例えば、図示の例では、監視エリアをスキャンすることによって、状況分析モジュール111が、道路上の車両に対応する以下のオブジェクト150、151、152、および153を知覚しうる。
【0063】
さらに、例えば、ITSステーションが車両であるか歩行者であるか又は路側ユニットであるかまたは別のタイプであるかによって、知覚オブジェクトが分類されうる。そのようなオブジェクトのタイプの分類は、例えば、路側ユニット110又はより一般的にはITS-Sのセットアップ中に提供される、所定の規則に基づきうる。ETSI TR 103 562 V2.1.1は、例えば、カテゴリ「未知」、「車両」、「人」、「動物」および「その他」を定義している。当然ながら、より固有の他のカテゴリが定義されてもよい。
【0064】
分析モジュールは、知覚オブジェクトの監視エリアを分析するための何らかの分析機能を有し、様々な空間上のオブジェクトの占有率を判定することができる。図1では、道路セグメント160、161、および162が、空間170、171、および172として監視される。
【0065】
空間の幾何学的形状は、監視される道路の地図データにおいて定義されるエリアに等しい。地図データは、図2の記憶装置250においてローカルに記憶され、および/または、MAPEMメッセージを使用してブロードキャストされる。分析モジュールは、監視される空間の空間状態(SpaceState)を決定することができる。
【0066】
空間状態の値は、(道路タイプという名の)道路のルールに従って決定されてもよい。道路タイプは、記憶装置250にローカルに記憶されるかMAPEMによって受信されるかのいずれかである地図データとして利用可能である。図1において、道路の種類は車線である。
【0067】
車線に対して、
値「0」は、車両が車線上を正常に移動するか、または空間が問題なく一部の車両を運ぶことができ、空間が正常に動作していることを意味する、状態「正常」を示す。
値「1」は、車線が一部の車両を運ぶことができないまたは一部の車両が停車しているため空間が正常に動作していないことを意味する、状態「異常」を示す。
その他の値は、異常状態値とみなされる。
【0068】
いくつかの実施形態において、分析モジュールは、サブ空間のための様々な空間状態値を取得するために、そのサブ空間においてそれらの空間を分割することができてもよい。例えば、空間形状は、閉領域を形成するノードのリストによって定義される。ノード(「nodeXY」)は、記憶装置250に格納された地図データにおいて定義された相対座標で構成される。分析モジュールは、空間を切断するセグメントを形成する2つのノードを追加することによって、少なくとも2つのサブ空間を生成することができる。その結果、サブ空間を記述するノードの閉じたリストが得られる。分析モジュールは、空間状態値がデフォルト値(「0」)ではなく、決定可能な値とは異なる値の空間状態を有するサブ空間である場合に、分割を実行する。
【0069】
図1において、分析モジュール111は、
-空間170の状態は正常である。
-空間171の状態が異常である。
-空間172の状態は正常である。
と判定する。
【0070】
分析モジュール111は、空間171を分割して、状態値が正常な空間171a、状態値が異常な空間171c、及び、状態値が正規な空間171bを得る。
【0071】
最後に、路側ユニット110は、分析モジュール111から得られた集合知覚メッセージを送信する。CPMは、例えば以下の情報を有するスペースコンテナを含む:
-SpaceID、監視空間の識別子
-SpaceState、分析モジュール111によって決定される空間状態の値
-SpaceParentID、サブ空間の場合の親空間の識別子
-SpaceOccupancy、監視空間において分析モジュール111によって検出されたオブジェクトの数
-SpaceType、記憶装置250内の道路トポロジ情報において定義された道路タイプ
-SpaceArea、標準ISO19061で定義されているノードと地理的基準点(たとえば、WGS84 North)のリストにより構成される空間の形状。この情報は、絶対的な位置情報に対応する。
【0072】
空間補遺コンテナに、例えば、RSUによって送信されるCPMメッセージに、含まれるべき状態の報告は、以下の情報を含むことができる:
【0073】
さらに、分析モジュール111は、異なる状態値及び形状を有する3個のサブ空間171a、171b及び171cを決定する。実際のSpaceIDは整数の識別子であり、図における参照として使用される系列「171a」ではないことに留意されたい。
【0074】
報告される新しいサブ空間情報は、以下のようになる:
【0075】
サブ空間171cの状態は、その親空間171の状態値に等しい。この場合、サブ空間171cについて報告するためにCPMを送信する必要はなく、CPMメッセージを通して送信される空間補遺コンテナの個数を減らすことができ、したがって、メッセージの大きさを減らすことができる。代わりに、空間171cを含むCPMが、親空間171を含むCPMの損失を克服するための冗長性を得るために送信されてもよい。
【0076】
また、ITS-Sが搭載された車両150は、CPM139を使用して、自身のセンサを使用した道路車線162の状態を報告している。
【0077】
CPM139は、以下の情報セットでサブ空間173について報告する:
-SpaceID=173
-SpaceState=「正常」
-SpaceOccupancy=1
-SpaceType=「車線」
-SpaceArea=車両151の前方の空間の空間形状。
【0078】
ITS-Sが搭載された車両150は、メッセージMAPEM131、CPM130、CPM131、およびCPM132を受信することによって、次の数秒における交通状況をグローバルかつ迅速に決定することができる。車両150の運転者は、これらのメッセージに基づいて、車両の道路移動における、次の車線の交通状況を表すフォーム180、181及び182によって示されるように、道路状況のグローバルな知覚を容易に得ることができる。特に、運転者は、フォーム180および182に基づいて、車線160および162において交通が正常であることを理解する。運転者は、詳細を伴わずに車線161上の交通問題を理解する。それは、状況のグローバルな認識に対応する第1のレベルの詳細を得ることを可能にする。
【0079】
運転者は、メッセージCPM131aとCPM131bを受信することにより、車線161上の交通渋滞状況を詳細に理解する。それは、状況の詳細な知覚に対応する第2のレベルの詳細を得ることを可能にする。空間補遺コンテナ130、131、132を有するCPMメッセージは、図6に従い、グローバル集合知覚メッセージを意味するG-PCMとも名づけられている。空間補遺コンテナ131aおよび131bを有するCPMメッセージは、図6に従い、詳細集合知覚メッセージを意味するD-PCMとも名づけられている。
【0080】
図2は、本発明が実装されうる典型的なITSステーションを示している。
【0081】
例示のために、ITSステーションは、ここではRSU110と見なされ、任意の他のタイプのITS-Sを備えたエンティティが使用されうる。
【0082】
上述のように、状況分析モジュール111は、例えば道路交差点を監視する1つ以上のセンサに接続される。これらは、カメラ220~223だけでなく、例えば、LIDAR(レーザ画像検出および測距デバイス)210またはレーダなどの他のセンサも含みうる。
【0083】
各センサによって検出された知覚オブジェクトは、いくつかのセンサによって検出された同じオブジェクトを融合またはマージするために、センサデータ融合モジュール230によって分析される。異なるセンサからのオブジェクト間の類似性の考慮は、それらのオブジェクトのタイプ、位置、運動学/動力学(速度、加速度)、軌道などに基づくことができる。また、これらの情報項目の類似性が精査されるときに信頼性のレベルが計算されてもよく、信頼性のレベルが十分に高いときに融合が実行されてもよい。
【0084】
新たに知覚されたオブジェクトまたは既に追跡されているオブジェクトについての更新が、ITS-Sの環境モデル260を更新するために使用される。追加の情報を伝達するCAMおよびCPMも、環境モデル260を更新するために使用されうる。
【0085】
環境モデルは、ローカル動的マップとしても知られており、知覚オブジェクトのリストを含む。各ITS-Sは、自身の環境モデル260を有する。
【0086】
環境モデル260におけるオブジェクトは、以下の全部または一部を含んだ複数の情報項目によって記述される:
-objectID:検出されたオブジェクトの識別子
-SensorID(オプション):オブジェクトを知覚したセンサのリスト
-timeOfMeasurement:(最後の)測定が行われた時間
-stationID(オプション):知覚オブジェクトに関連付けられたITS-Sの識別子であり、対応する信頼性レベルを有する。信頼性レベルは、(ITS IDを含んだ)受信されたCAMに含まれる位置の精度と、ローカルセンサによって測定された位置とに基づいて算出されうる。変形例では、それはゾーンに対する送信側ITS-Sの数に対する知覚オブジェクトの数に基づいて計算される
-objectRefPoint(オプション):検出されたオブジェクトの基準点に対応する基準点。デフォルトでは、基準点は、検出されたオブジェクトの中心点である
-Distance:発信側ITS-S、ここではRSU110に固定された基準のフレームに従って決定された距離。例えば、測定時の知覚オブジェクトと発信側ITSステーションの基準点との間の距離を共に表す3つのフィールドxDistance、yDistance、zDistance内で距離が対応する信頼性レベルを伴って示されるように、基準のフレームの3つの方向x、y、zに対して相対的に決定される
-Speed:測定時の発信側ITSステーションの基準点に対する速度。例えば、検出されたオブジェクトの速度を対応する信頼性レベルと共に表す3つのフィールドxSpeed、ySpeed、zSpeed内において速度が示されるように、速度が基準フのレームの3つの方向x、y、zに対して相対的に決定される
-Acceleration(オプション):測定時の発信側ITSステーションの基準点に対する加速度。例えば、速度と同様に、発信側ITS-Sに固定された基準のフレームの3つの方向に対して相対的に3つのフィールドxAcceleration、yAcceleration、zAcceleration内において、加速度が対応する信頼性レベルと共に示される
-dynamicStatus(オプション):知覚オブジェクトから離れる能力を発信元ITS-Sに提供する動的状態
-planarObjectDimension(オプション):知覚オブジェクトの次元を示すディメンション。ディメンションは、3つのフィールドplanarObjectDimension1、planarObjectDimension2、verticalObjectDimension内で示される
-Classification(オプション):対応する信頼性レベルを伴い、知覚オブジェクトの分類を提供するクラシフィケーション。
【0087】
例えば、知覚オブジェクト情報を共有することを望む発信側ITS-Sによって送信されるCPMは、コンテナ(知覚オブジェクトコンテナ)を含み、各々は、対応する知覚オブジェクトのためのそのような情報を列挙する。
【0088】
分析モジュール111は、空間に関連付けられた様々な道路エリア上のオブジェクト占有率を決定するためのいくつかの分析機能を有する。
【0089】
状況分析モジュール240は、その環境モデル260に含まれるオブジェクトを連続的に追跡する。これは、空間に関連付けられた道路エリア内のオブジェクトの存在を判定するためである。
【0090】
空間の幾何学的形状は、監視される道路の地図データにおいて定義される、対応するエリアに等しい。地図データは、記憶装置250にローカルに記憶され、および/または、MAPEMメッセージを使用してブロードキャストされる。分析モジュールは、道路タイプに従って、監視される空間の空間状態(SpaceState)を決定する。
【0091】
空間状態の値は、SpaceTypeとして報告される道路タイプによる道路ルールに従って決定される。道路タイプも、MAPEMによって受信され、および/または、記憶装置250にローカルに記憶された地図データから取得されうる。
【0092】
一般に又はSpaceTypeが特定されていない場合、空間状態の値は、空間内で検出されたオブジェクトがないことを意味する「エンプティ」(「0」に等しい)、または、少なくとも1つのオブジェクトが空間内で検出されたことを意味する「ノットエンプティ」(「1」に等しい)でありうる。デフォルト値はエンプティである。
【0093】
別の実施形態では、空間状態の値が空間タイプに従って、いくつかの変形を有することもできる。
【0094】
第1の実施形態では、図1に示すように、SpaceTypeは「車線」に等しい。車線のルールは、一部の車両を運搬することである。したがって、車両がこの車線上を移動することができる場合に車線状態は正常であり、それ以外、1つまたは複数の車両が何らかの理由で停止しているかまたはゆっくり移動している場合、車線状態は異常である。以下の空間状態の値が使用されうる:
・値「0」は、空間が正常に動作していることを意味する状態正常を示し、車両が問題なくこの空間を移動していることを意味する。
・値「1」は、空間が正常に動作しておらず、1台以上の車両がこの空間内で停止していることを意味する状態異常を示す。
・他の値は、空間状態が異常であることを示す。オプションとして、動作問題の原因(事故、交通渋滞、閉鎖・・・)を送達するために、異なる値を使用することができる。
【0095】
図8に示されるような第2の実施形態では、「合流車線」に等しいSpaceType内で、以下の空間状態の値を使用することができる:
・値「0」は、この空間がいかなる自動車からも解放されているため、空間は合流の準備ができていることを意味する状態空きを示す。
・値「1」は、スペースが空いておらず合流操作に使用できないことを意味する、状態ビジーであることを示す。
【0096】
図9に示すような第3の実施形態では、「駐車」に等しいSpaceType内で、以下の空間状態の値を使用することができる:
・値「0」は、空間が駐車のために空いていることを意味する状態空きを示す。
・値「1」は、空間が混雑しており駐車のために利用可能でないことを意味する状態ビジーを示す。
【0097】
図14に示すような第4の実施形態では、「歩行者横断歩道」に等しいSpaceType内で、以下の空間状態値を使用することができる:
・値「0」は、空間内に歩行者が存在しないことを意味する状態空きを示す。
・値「1」は、空間内に歩行者がいることを意味する状態ビジーを示す。
【0098】
いくつかの実施形態では、分析モジュールは、これらの空間をサブ空間に分割して、サブ空間に対して異なる空間状態値を取得することもできる。例えば、空間形状は、閉領域を形成するノードのリストによって定義される。ノード(「nodeXY」)は、記憶装置250に格納された地図データにおいて定義された相対座標で構成される。分析モジュールは、空間を切断するセグメントを形成する2つのノードを追加することによって、少なくとも2つのサブ空間を生成することができる。その結果、サブスペースを記述するノードの閉じたリストが得られる。分析モジュールは、少なくとも、2つの異なる空間状態値を有する2つのサブ空間を得ることができるときに、分割を実行する。
【0099】
この空間監視に基づいて、図4に示すように、CPMメッセージに追加される異なるフィールドを含む空間補遺コンテナが作成される。
【0100】
CPMは、従来、RSU110のR-ITS-S112によって送信される。
【0101】
ETSI TS 103 324(2021年5月のV0.0.22)によるCPM300の例示的なフォーマットを図3に示す。
【0102】
CPM 300は、ITS PDUヘッダ310および「CPMパラメータ」フィールド320を含む。
【0103】
ITS PDUヘッダ310は、発信側ITS-Sのプロトコルバージョン、メッセージタイプおよびITS-S IDの情報を含む共通ヘッダである。
【0104】
「CPMパラメータ」フィールド320は、管理コンテナ330と、ステーションデータコンテナ340と、センサ情報コンテナのセット350と、知覚オブジェクトコンテナのセット360と、空き空間補遺コンテナのセット370とを含む。
【0105】
どのタイプのITS-SがCPMを生成するかによらず、管理コンテナは、発信側ITSステーションのステーションタイプおよび基準位置に関する情報を提供する。メッセージは、車両などのITSステーションによって、または固定RSUによって送信することができる。車両によって生成されるCPMの場合、ステーションデータコンテナは、発信側ITSステーションの動的情報を含む。これは、CPMを送信する車両の場合にはオプションではない。RSUによって生成されるCPMの場合、ステーションデータコンテナは、同じRSUによって報告されるMAPメッセージ(CEN ISO/TS 19091)によって提供される識別番号への参照を提供しうる。これらの参照は、CPMによって提供されるデータを、MAPメッセージによって提供される交差点または道路セグメントの形状に一致させるために必要とされる。RSUがオブジェクトを道路形状に一致させるためのMAPメッセージを送信しなければならないことは要求されない。この場合、ステーションデータコンテナは省略されてもよい。このため、ステーションデータコンテナはオプションとして設定される。
【0106】
センサ情報コンテナ350のセットに含まれる各センサ情報コンテナはオプションある。これは、ITSステーションのセンサ機能に関する情報を提供する。発信側ITSステーションのステーションタイプに応じて、センサの特性を符号化するために異なるコンテナ仕様が利用可能である。センサ情報コンテナは、ETSI TR 103 562で定義されているように、他のコンテナよりも低い頻度で取り付けられている。このタイプのコンテナは、最大128個まで追加されうる。
【0107】
知覚オブジェクトコンテナ360のセットに含まれる各知覚オブジェクトコンテナは、オプションである。これは、検出されたオブジェクトの動的状態および特性の詳細な説明を与える、任意のまたは必須のデータエレメント(DE)のシーケンスから構成される。
【0108】
より正確には、各オブジェクトが構造体380を用いて、少なくとも(DE ObjectIDによって定義される)識別子、管理コンテナに記載された生成デルタ時間に関して提供された測定情報に対する時間差に対応すると呼ばれる(DE timeOfMeasurementによって定義される)測定時間、ステーションの基準点に対するx/y平面の各座標系における(DE xDistanceおよびyDistanceによって定義される)距離および(DE xSpeedおよびySpeedによって定義される)速度によって記述されなければならない。
【0109】
さらに、(DE xAccelerationおよびyAccelerationによって定義される)加速度、(DE dynamicStatusによって定義される)動的ステータス、または(classification DEによって定義される)分類として、知覚オブジェクトのより詳細な説明を提供するために、いくつかのオプションのDEが利用可能である。距離、速度、および加速度の値は、オブジェクトのヨー角(DE yawAngleによって定義される)とともに、(それぞれ、DE zDistance、zSpeed、およびzAccelerationを用いて)3次元で提供することもできる。さらに、オブジェクトの幾何学的拡張の3次元記述が、(DE planarObjectDimension1、planarObjectDimension2、およびverticalObjectDimensionを用いて)提供されうる。さらに、RSUは、(DE matchedPositionによって定義される)MAP情報に関する特定のオブジェクトのマップマッチングの結果を提供することもできる。
【0110】
空き空間補遺コンテナ370のセットに含まれる各空き空間補遺コンテナは、オプションである。それは、特定のセンサによって実行される検出された空き空間の情報を提供する、オプションのまたは必須のデータエレメント(DE)のシーケンスから構成される。より正確には、各空き空間が、構造390を使用して、少なくとも、(DE FreeSpaceConfidenceによって定義される)信頼性、(DE FreeSpaceAreaによって定義される)空間領域の形状、(オプションで、DE SensorIDによって定義される)空き空間を監視するために使用されるセンサ、および、freeSpaceAreaによって記述されたエリア内でシャドウイングメカニズムを適用することを示すフラグshadowingAppliesシャドウイングにより、記述されなければならない。フラグshadowingAppliesは、オブジェクトの背後のシャドウイングされた領域を計算するためにトレーシングアプローチを使用すべきかを示すブールインジケータである。TRUEに設定されている場合、空き空間補遺コンテナによって記述されている領域または体積内に交差する又は位置するオブジェクトのそれぞれに対して、単純なトレーシングアプローチを適用すべきである。FALSEに設定されている場合、空き空間補遺コンテナによって記述されている領域または体積内に交差する又は位置するオブジェクトのそれぞれに対して、単純なトレーシングアプローチが適用されるべきでない。
【0111】
集合知覚メッセージは、自動車運転者の意図に従って状況をグローバルに決定し、その決定を助けることを可能とはしない。自動車運転者の観点からは、自然な知覚で起こる道路状況の様々なレベルの詳細を得ることがより適切である。最初に、運転者は、決定を下すために道路状況についてのグローバルな認識を得ることに目を向け、次に、運転者は、前の決定を実行し、運転を正確に適応させるためにのみ有用な詳細な情報を得ることに目を向ける。
【0112】
本発明の実施形態によるCPMの例示的なフォーマットを、図4に示す。これは、図3に示されるように、ETSI TS 103 324(2021年5月のV0.0.22)仕様書のバージョン1.3.1において規定されているように、空き空間補遺コンテナを使用する空き空間監視の代わりに/またはそれを補足する空間補遺コンテナを使用する空間監視において報告するために使用されるCPMフォーマットに基づく。
【0113】
350、360、および370から構成される知覚データコンテナは、本発明によって使用される空間補遺コンテナ401を統合するために拡張される。これは、新しい知覚データコンテナ400をもたらす。
【0114】
空間補遺コンテナ401のセットに含まれる各空間補遺コンテナは、オプションである。それは、1つまたは複数のセンサによって実行される空間の情報を提供する、オプションのまたは必須のデータエレメント(DE)のシーケンスから構成される。より正確には、監視される各空間が、少なくとも、(DE SpaceIDによって定義される)空間識別子、(DE SpaceStateによって定義される)空間状態、および(DE SpaceAreaによって定義される)空間として監視される領域の形状を含んだ構造402を使用して報告されうる。必要に応じて、空間補遺コンテナは、(DE SpaceOccupancyによって定義される)空間占有率を報告することもできる。空間補遺コンテナは、(DE SpaceParentIDによって定義される)親識別子を使用して、他の空間との空間関係であって、この他の空間の部分であると考えられる空間関係、を報告することもできる。空間補遺コンテナは、また、(DE SpaceTypeによって定義される)空間として監視される道路領域のタイプを報告してもよい。空間補遺コンテナは、また、(DE SpaceConfidenceによって定義される)決定された空間状態の信頼度を報告してもよい。信頼度の値は、センサのまたは融合システムの特定の検出に基づく空間監視の信頼度の計算によって導出される。信頼度の値は、0(信頼度なし)から100(最高信頼度レベル)までの、監視空間上でのオブジェクトの存在を判定することからなる、測定の信頼度のレベルを示す。
【0115】
いくつかの実施形態による空間補遺コンテナ402の詳細な説明は、以下の通りでありうる。
【0116】
SpaceIDは、空間が発信側ITS-Sによって知覚される限り一定のままであるオブジェクトとして、監視空間に割り当てられる識別子である。増加ラウンドロビン方式で番号が割り当てられる。許可された範囲の最後の識別子が使用されると、識別子の最初のカウンタが範囲の最初から再び開始される。
【0117】
SpaceStateは、監視された空間が(0に等しい)状態エンプティに対応するデフォルト状態と、エンプティでない状態(1以上の値)とのいずれかであることを示す値である。デフォルト値は0である。また、取りうる値は、道路のタイプから導出されるSpaceTypeに応じていくつかの変形を有することができる。
【0118】
「lane」に等しいSpaceType値に対して、以下の空間状態値が使用されうる:
値「0」または正常は、空間が正常に動作しており、車両がこの空間上を移動していることを示す。
値「1」または異常は、一部の車両が停止しているか、またはその速度が異常に遅いため、空間が正常に動作していないことを示す。
その他の値は、道路事故により状態値が異常であることを示す。
【0119】
「parking」に等しいSpaceTypeに対して、以下の空間状態値が使用されうる:
値「0」は、空間が自動車を駐車するために空いていることを意味する状態空きを示す。
値「1」以上は、空間が自動車を駐車するために利用可能でないことを意味する状態ビジーを示す。
【0120】
「merge lane」に等しいSpaceTypeに対して、以下の空間状態値が使用されうる:
値「0」は、その領域が合流動作に利用可能であることを意味する状態空きを示す。
値「1」以上は、その空間が合流動作に使用できないことを意味する状態ビジーを示す。
【0121】
SpaceParentIDは、存在する場合の、親空間の識別子(SpaceIDと同じデータエレメント)である。このDEはオプションである。SpaceParentIDの値は、例えば図6によってステップ650において示されるアルゴリズムの間に決定される。
【0122】
SpaceOccupancyは、占有率を監視空間のグローバル評価として報告するために使用される値である。この値は、分析モジュール111によって監視空間内で検出された車両の数でありうる。このDEはオプションである。
【0123】
SpaceTypeは、監視空間の種別を示すのに使用される値である。これは、DE Road属性から導出されうる。例えば、SpaceTypeの値は、車線、合流車線、分岐車線、駐車場、横断歩道、または任意の他のタイプの道路トポロジであり得る。とりうる値は、標準EN ISO TS19091、SAE J2735を使用して拡張されうる。
【0124】
SpaceConfidenceは、0(信頼性なし)から100(最高信頼性レベル)までの測定値の信頼性のレベルである。この値は、分析モジュール111に対するセンサまたは融合システムの特定の検出230の信頼度に基づく空間監視信頼度の計算によって導出される。
【0125】
SpaceAreaは、ETSI EN 302 931に従う監視空間の地理的領域定義である。
【0126】
図11に図示されるようないくつかの実施形態において、空間コンテナ402aは、空き空間コンテナの既存のフィールドを含みうる。図12に図示されるようないくつかの実施形態において、CPM400aは、空き空間または特定の道路領域に関連付けられた空間のいずれかを表しうる空間コンテナのみを含みうる。FreeSpaceConfidenceフィールドおよびSpaceConfidenceフィールドは、同じフィールドによって表すことができる。FreeSpaceAreaフィールドおよびSpaceAreaフィールドが、同じフィールドによって表すことができる。
【0127】
図13に例示されるようないくつかの実施形態において、CPM400bは、空間コンテナのために上記のフィールド402bを含みうる空き空間コンテナ370aのみを含みうる。
【0128】
標準で規定されるように、送信されるCPMの生成は、6.1.3.1節で規定されているCPMイベントの生成に依存する(ETSI TS 103 324(0.0.22)のCPメッセージ生成頻度管理を参照)。
【0129】
標準の現在のバージョンにおいて、CPMは、(管理コンテナに加えて)知覚オブジェクトコンテナ360および/または空き空間補遺コンテナ370を含みうる。
【0130】
より具体的には、標準の現在のバージョンが特定の組み込み手順を含む。具体的な組み込み手順は、6.1.3.2節における知覚オブジェクトコンテナの組み込みと、6.1.3.4節における空き空間補遺コンテナの組み込みとを規定している。
【0131】
知覚オブジェクトコンテナの組み込み手順は、知覚オブジェクト組み込み条件と呼ばれる、特定の条件のセットを含む。特に、以前に知覚されたオブジェクトに関する更新された情報を含んだ知覚オブジェクトコンテナは、以下の条件のうちのいずれかが満たされる場合に、送信されるべき次のCPMに含められる:
-知覚オブジェクトの更新された情報が、最後のCPMイベント生成後に最初に検出された場合、または
-最後に報告された位置と知覚オブジェクトの基準点の現在の更新された位置との間のユークリッド絶対距離が、所定の閾値(minReferencePointPositionChangeThreshold)を超えた場合、または
-オブジェクトが最後に報告されてからの経過時間が、所定の閾値T_GenCpmMaxを超えた場合。
【0132】
空き空間補遺コンテナの組み込み手順は、空き空間組み込み条件と呼ばれる、特定の条件のセットを含む。特に、以下の条件のうちのいずれかが満たされる場合、以前に知覚された空き空間に関する更新された情報を含んだ空き空間補遺コンテナが、送信されるべき次のCPMに含められる:
-空き空間領域が多角形領域に対応する場合に、CPMに最後に含められたこの多角形の対応する頂点に対する多角形の頂点間のユークリッド相対距離が4mを超える場合、または多角形を記述する頂点の数が変化した場合、空き空間補遺コンテナが現在のCPMに追加されうる。
-空き空間領域が円形領域または楕円形領域または長方形領域に対応する場合、記述された自由空間領域の中心点の現在のユークリッド距離と、同じ記述された自由空間領域の中心点のユークリッド距離との間の差が4mを超え、最後にCPMに含まれる場合、自由空間追加コンテナを現在のCPMに追加することができる。さらに、記述された空き空間領域の現在の半径または長さと、CPMに最後に含められた記述された同じ空き空間領域の半径または長さとの差が4mを超える場合、空き空間補遺コンテナが現在のCPMに追加されうる。さらに、記述された空き空間領域の現在の配向とCPMに最後に含まれた記述された同じ空き空間領域の配向との間の差が4度を超える場合、空き空間補遺コンテナを現在のCPMに追加することができる。
【0133】
本発明を検討すると、空間コンテナの組み込みは、空間組み込み条件と呼ばれる条件のセットを含むことができる。この条件のセットは、空き空間コンテナ組み込み条件から導出することができる。
【0134】
さらに、以下の条件のいずれか満たされる場合、送信されるべき次のCPMに空間コンテナが含められうる:
-空間コンテナの状態が、最後に報告されたCPMと比較して更新されている、または
-新しいサブ空間が、最後のCPMイベントの生成後に決定された、または
-最後のCPMイベントの生成後に、空間の更新情報が最初に検出された、または
-最後に報告された位置と知覚された空間の基準点の現在の更新された位置との間のユークリッド絶対距離が、(知覚されたオブジェクトコンテナに対して定義される)所定の閾値minReferencePointPositionChangeThresholdを超えた、または
-空間が最後に報告されてからの経過時間が、(知覚オブジェクトコンテナのために定義された)所定の閾値T_GenCpmMaxを超えている。
【0135】
T_GenCpmMaxの値は、空間コンテナが空間をレポートしているか、サブ空間をレポートしているかによって異なりうる。これは、グローバルな知覚と詳細な知覚との間で異なるリフレッシュレートを得ることを可能にする。例えば、グローバルな知覚について報告するために使用される所定の閾値T_GenCpmMax1値よりも低い所定の閾値T_GenCpmMax1値を使用して、詳細な受信を報告することができる。
【0136】
図5は、図4に記載されるような空間補遺コンテナを生成するための、発信側ITS-Sにおける本発明の実施形態による方法の一般的なステップを、フローチャートを使用して示している。
【0137】
状況分析モジュール240は、図1図8図9または図14に示すように、道路部分、道路交差点、合流車線、分岐車線、駐車場などのいくつかの空間を周期的に監視するように構成され、道路トポロジモジュール250に記憶されたその幾何学形状(DE SpaceArea)およびその道路属性(DE SpaceType)を決定することができる。DE SpaceIDは、任意の監視領域に対して判定される。
【0138】
DE SpaceAreaおよびDE SpaceTypeは、MAPEMから取得されてもよいし、状況分析モジュール111の構成として人間によって定義されてもよい。
【0139】
代替的に、監視すべき空間の決定された幾何学的形状は図6に記載されるように、別の空間のサブ空間であることができる。この場合、監視されるサブ空間は、それが含まれる空間の子と見なされる。この部分空間の包含空間は、この部分空間の親である。空間補遺コンテナでサブ空間が報告される場合、DE SpaceParentIDは親空間のDE SpaceIDに等しい。
【0140】
発信側ITS-Sは、自身のセンサ220~223、210およびそのセンサデータ融合モジュール230を使用して、その環境モデル260を知覚されたオブジェクトで更新する。
【0141】
状況分析モジュール240は、環境モデル260のオブジェクトを連続的に分析する。状況分析モジュール240は、ステップ510において、知覚されたオブジェクトのリストを取得する。状況分析モジュール240は、ステップ520において、ステップ510における知覚オブジェクトの位置を使用し、ステップ500における監視空間の幾何学的形状を知ることによって、監視空間の占有率を決定する。占有率は、空間種別に応じて決定されてもよい。例えば、歩行者横断歩道空間の占有率は、いくつかの取得された知覚オブジェクトが歩行者である場合であって、それらの位置が横断歩道と重複すると共に横断歩道レーンに等しい空間タイプを有する監視空間の一部である場合にのみ、ビジーでありうる。ステップ530において、状況分析モジュール240は、上述のように前に決定された占有率に基づいて、空間状態(DE SpaceState)の値を決定する。オプションで、占有率のレベル(DE SpaceOccupancy)および信頼性レベル(DE SpaceConfidence)も、図4に記載されるように決定される。
【0142】
最後に、SpaceID、SpaceState、SpaceParentID、SpaceOccupancy、SpaceType、SpaceConfidence、およびSpaceAreaという、先に決定されたデータエレメントから、空間補遺コンテナ401が生成される。
【0143】
図6は、フローチャートを使用して、本発明の実施形態による発信側ITS-Sにおける方法の主なステップを示している。
【0144】
ステップ600において、周期的に、また、本発明によるステップ610において監視するために様々な空間をポーリングすることによって、処理が開始する。
【0145】
ステップ610において、親空間である空間が監視される。
【0146】
ステップ620において、図5に従う前の親空間の監視から第1の空間補遺コンテナが生成され、対応する空間状態(DE SpaceState)が(GlobalStateと名付けられた)グローバル空間状態として登録される。
【0147】
ステップ630において、前に生成された第1の空間補遺コンテナが、第1の集合知覚メッセージを介して送信される。この送信は、以前の親空間を使用して監視された道路状況のグローバルな知覚を他のITS-Sに配信することを可能にする。
【0148】
ステップ640において、GlobalState値が、表1の道路タイプに応じて定義されたデフォルト状態値と比較される。
【0149】
GlobalState値が正常である場合、処理は第1のステップ600に戻る。
【0150】
二者択一的に、GlobalState値がデフォルト状態値(「0」)でなく、したがって異常である場合、処理はステップ650に進む。
【0151】
ステップ650において、親空間がサブ空間に分割され、親状態の空間状態値(GlobalState)とは異なるサブ空間の空間状態値を得る。例えば、空間形状は、閉領域を形成するノードのリストによって定義される。ノード(「nodeXY」)は、250に格納された地図データにおいて定義された相対座標から構成され、ステップ520で決定された占有率に基づいて空間を切るセグメントを形成する2つのノードを追加することによって、2つのサブ空間を作成することができる。これは、本発明において子空間とも呼ばれるサブ空間を記述するノードの閉じたリストをもたらす。先の分割は、その間のサブ空間ごとに異なる占有率レベルを得るために実行される。
【0152】
ステップ660では、第2の空間補遺コンテナが、図5に従って先の子空間のそれぞれに対して生成され、対応する空間状態(DE SpaceState)が(DetailedState(i)と呼ばれる)詳細空間状態(i)として登録される。(i)は、各サブ空間に番号を付けるために使用される。
【0153】
ステップ670では、それぞれのDetailedState(i)がGlobalStateと異なる場合にのみ、先に生成された第2の空間補遺コンテナが1つまたは複数の第2の集合知覚メッセージを介して送信される。この送信は、先のサブ空間を使用して監視される道路状況の詳細な知覚を他のITS-Sに配信することを可能にする。配信された詳細な知覚は、親空間とは異なるSpaceState値を有するサブ空間の空間補遺コンテナを有するCPMのみを送信することによって、先に配信された道路状況のグローバルな知覚を補足するように構築される。
【0154】
最後に、処理はステップ600に戻り、次の親空間を分析する。
【0155】
オプションで、いくつかの実施形態において、空間を複数のサブ空間に分割する処理がより多くのレベルのサブ空間を得るために繰り返されてもよい。これは、複雑な状況において有利でありうる。
【0156】
図7は、フローチャートを使用して、本発明の実施形態による受信側ITS-Sにおける方法の主なステップを示している。
【0157】
ステップ700において、処理は、MAPEM、CPMなどの受信メッセージの収集を開始する。
【0158】
ステップ710において、ユニット110は、ユニット112によって、受信されたMAPEMメッセージと空間補遺コンテナを含むCPMメッセージとからリフレッシュされた、道路トポロジを記憶部250から取り出す。
【0159】
ステップ720において、ユニット110は、親空間の空間補遺コンテナを含んだCPMメッセージのみを分析することによって、道路状況のグローバル知覚ビューを決定する。このような空間補遺コンテナは、DE SpaceParentIDの欠落を使用して選択できる。
【0160】
図1では、親空間170、171、および172の空間補遺コンテナをそれぞれ含むCPMメッセージ130、131、および132が車両150によって受信される。それは、フォーム180、181、および182によって報告されるように、道路セグメント160、161および162の空間認識を得ることを可能にする。各親空間の空間状態は、道路交通渋滞をグローバルに知覚することを可能にする。空間170および172の空間状態は、デフォルト値「通常」を有し、対応するフォーム180および182は白色である。一方で、空間171の空間状態は値「1」を有し、空間が正常に動作していないことを示す異常であり、対応するフォーム181は灰色である。フォーム180、181、および182を有する表現を使用して、本発明を使用して車両150の運転者によって知覚可能となるように、道路状況のグローバルな知覚が示される。
【0161】
ステップ730において、ユニット110は、子空間の空間補遺コンテナを含んだCPMメッセージのみを分析することによって、道路状況の詳細な知覚ビューを決定する。このような空間補遺コンテナは、DE SpaceParentIDの存在を使用して選択できる。
【0162】
図1では、それぞれ子空間171a及び171bの空間補遺コンテナを含んだCPMメッセージ131a及び131bが車両150によって受信される。それは、フォーム181a及び181bに示すように、道路区分161のサブ空間の知覚を得ることを可能とする。各子空間の空間状態は、道路交通渋滞の詳細を知覚することを可能にする。空間171aと171bの空間状態は、例えば通常稼働している空き空間または占有空間を示す、デフォルト値「正常」であり、対応するフォーム181aと181bは白色であり、一方で、空間171の空間状態は道路部分が正常に稼働していないことを示す値「1」(異常)であり、対応するフォーム181はグレーで色付けされている。フォーム181、181a及び181bは本発明を使用して、車両150の運転者が見ることができるように、道路状況の詳細な知覚を表している。
【0163】
図8は、発信側ITS-Sがその付近の他の車両に合流車線道路状況を通知するために使用される路側または車両である、本発明の実施形態の実装のための別のシナリオを示す。
【0164】
この例では、CPMを送信する発信側ITSステーション(ITS-S)が路側ユニット(RSU)である。RSUは、有利には移動車両よりも道路区分の状況を監視するためのより強力なリソースを有し、例えば、より広い視野や、複数の視野や、交通状況、信号機状況、監視領域に入るオブジェクトの知識などの他情報への高速アクセスを有しうる。
【0165】
特に、監視エリアをより良く見ることにより、RSUは、関連する交通観測点に配置された静的なITS-Sステーションであるため、より良い信頼性で、道路トポロジに従って空間占有率を決定することができる。
【0166】
ITS800は、自動車道路の入口で合流車線に関与する道路幹線を監視するために実装される。それは、固定された路側ユニット110と、いくつかのエンティティとを有し、これらのエンティティのすべてが、ITS800内でITSメッセージを送信および/または受信するために、それぞれITSステーション(ITS-S)を搬送し又は有する。いくつかのエンティティは、例えば、車両822、823、824、および825でありうる。車両822、824、および825は、車線862および863上を移動しており、一方で、車両823が入口レーン861にいる。この道路状況では、車両823の運転者が、道路幹線860、862、および863の世界的な状況を知覚することが困難である。同様に、車両825の運転者は、自動車道路に進入する車両823の運転者の意図に気付かない。本発明がなければ、合流動作が危険にさらされる。
【0167】
車両825は、CAM840を使用して定期的にパラメータを送信し、CPM834を送信することによって集合知覚に寄与することができる。
【0168】
固定された路側ユニット110は、ここではビデオカメラ120によって示される撮像センサなどの、センサのセットと、状況分析モジュールなどの、センサによって提供されるデータを分析するための分析モジュール111とを含む。ビデオカメラ120は、監視領域を、ここでは道路トポロジを監視またはスキャンするように構成され、したがって、監視領域の画像を生成する。
【0169】
センサおよび分析モジュール111は、すなわちビデオカメラ120および状況分析モジュールは、センサ/ビデオカメラによってキャプチャされたストリームを状況分析モジュールが処理するように接続される。いくつかの実施形態によれば、分析モジュール111およびセンサは、物理的な路側ユニット110と別個であってもよいし、物理的な同じ路側ユニット110内に埋め込まれてもよい。例えば、分析モジュール111はリモートであり得る(すなわち、路側ユニット110に埋め込まれない)センサと、有線接続されうる。
【0170】
分析モジュール111、例えば、状況分析モジュールによる処理は、以下で「知覚オブジェクト」または「検出オブジェクト」と呼ばれる、監視領域に潜在的に存在するオブジェクトを検出することを目的とする。そのようなオブジェクトを検出するための機構は、当業者に周知である。
【0171】
分析モジュール111、例えば状況分析モジュールは、「状態ベクトル」と呼ばれる対応する記述情報にそれぞれ関連付けられた知覚オブジェクトのリストを出力するようにも構成される。知覚オブジェクトの状態ベクトルは、例えば、位置、運動学的、時間的、挙動的、またはオブジェクトタイプの分類情報などのパラメータを含みうる。
【0172】
したがって、分析モジュール111は、歩行者、サイクリストなどの、知覚オブジェクトの中でも識別してもよい。また、分析モジュール111は、木、道路建設/作業機器(道路バリア、…)などのオブジェクトを識別してもよい。
【0173】
例えば、図示の例では、監視領域をスキャンすることによって、状況分析モジュールは、道路上の車両に対応する以下のオブジェクト822、823、824、および825を知覚しうる。
【0174】
さらに、知覚オブジェクトは、例えば、ITSステーションが車両、歩行者、もしくは路側ユニット、または別のタイプであるかによって分類されうる。そのようなオブジェクトタイプの分類は、例えば、路側ユニット110の、より一般的にはITS-Sの、セットアップ中に提供される、所定の規則に基づきうる。ETSI TR 103 562のV2.1.1は、例えば、「未知」、「車両」、「人」、「動物」および「その他」のカテゴリを定義している。当然ながら、より固有な、他のカテゴリが定義されてもよい。
【0175】
分析モジュールは、知覚オブジェクトの監視領域を分析するための何らかの分析機能を有し、様々な空間上のオブジェクト占有率を決定することができる。図1では、道路セグメント860、861,862、および863が、空間810、811、812、および813として監視される。
【0176】
空間の幾何学的形状は、監視される道路の地図データにおいて定義される領域に等しい。地図データは、記憶装置250においてローカルに記憶され、および/または、MAPEMメッセージを使用してブロードキャストされる。分析モジュール111は、監視空間の空間状態(SpaceState)を決定することができる。
【0177】
空間状態の値は、(道路タイプと名付けられた)道路規則に従って決定される。道路タイプは、MAPEM839によって受信されるか記憶装置250にローカルに記憶されるかのいずれかである地図データとして利用可能である。図1では、道路タイプは合流車線である。
【0178】
合流車線に対して、
値「0」は、空間が空いており、この空間が合流動作に利用可能であることを意味する、状態エンプティを示す。
値「1」以上は、空間が車両によって占有されており、この空間が合流動作に利用可能でないことを意味する、状態ビジーを示す。
【0179】
分析モジュール111は、
-空間810の状態は、それが車両によって占有されておらず、この空間が合流動作のために利用可能であるため、正常であると判定し、
-空間811、812、および813の状態は、それらの空間が車両によって占有されており、合流動作に利用可能ではないため、異常であると判定する。
【0180】
分析モジュール111は空間811、812、および813を分割し、「合流動作に利用可能」であることを示す正常の状態値を有するサブ空間811a、812a、および813aを取得する。
【0181】
最後に、路側ユニット110は、分析モジュールから得られた集合知覚メッセージを送信する。CPMは、以下の情報を含む空間コンテナを含む:
-SpaceID、監視空間の識別子
-SpaceState、分析モジュールによって決定される空間状態の値
-SpaceParentID、サブ空間の場合の親空間
-SpaceOccupancy、分析モジュールによって検出されたオブジェクトの数
-SpaceType、記憶装置250内の道路トポロジ情報で定義された道路タイプ
-SpaceArea、標準ISO19061で定義されているような、ノードのリストと参照地理的基準点(たとえば、WGS84 North)で構成される空間の形状。
【0182】
CPM830は、以下の情報セットで空間810について報告する:
-SpaceID=810
-SpaceState=空き
-SpaceOccupancy=0
-SpaceType=「合流車線」
-SpaceArea=車線860の道路トポロジ。
【0183】
CPM831は、以下の情報セットで空間811について報告する:
-SpaceID=811
-SpaceState=ビジー
-SpaceOccupancy=1
-SpaceType=「合流車線」
-SpaceArea=車線861の道路トポロジ。
【0184】
CPM832は、以下の情報セットで空間812について報告する:
-SpaceID=812
-SpaceState=ビジー
-SpaceOccupancy=1
-SpaceType=「合流車線」
-SpaceArea=車線862の道路トポロジ。
【0185】
CPM833は、以下の情報セットで空間813について報告する:
-SpaceID=813
-SpaceState=ビジー
-SpaceOccupancy=2
-SpaceType=「合流車線」
-SpaceArea=車線863の道路トポロジ。
【0186】
さらに、分析モジュールは、異なる状態値及び形状を有する3つのサブ空間811a、812a及び813aを決定する。
【0187】
その結果、
CPM831aは、以下の情報セットでサブ空間について報告する:
-SpaceID=811a
-SpaceState=空き
-SpaceParentID=811
-SpaceOccupancy=0
-SpaceType=「合流車線」
-SpaceArea=空間811aの空間形状。
【0188】
CPM832aは、以下の情報セットでサブ空間812aについて報告する:
-SpaceID=812a
-SpaceState=空き
-SpaceParentID=812
-SpaceOccupancy=0
-SpaceType=「合流車線」
-SpaceArea=空間812aの空間形状。
【0189】
CPM833aは、以下の情報セットでサブ空間813aについて報告する:
-SpaceID=813a
-SpaceState=空き
-SpaceParentID=813
-SpaceOccupancy=0
-SpaceType=「合流車線」
-SpaceArea=空間813aの空間形状。
【0190】
ITS-Sが搭載された車両825は、また、自身のセンサを使用して、CPM834を使用して、道路車線863の状態を報告している。
【0191】
CPM139は、以下の情報セットで空間864について報告する:
-SpaceID=864
-SpaceState=ビジー
-SpaceOccupancy=1
-SpaceType=「車線」
-SpaceArea=車両825の前方の空間の空間形状。
【0192】
ITS-Sが搭載された車両825および823の運転者は、メッセージMAPEM810、CPM830、CPM831、CPM832、およびCPM833を受信することによって、次の数秒における交通状況をグローバルかつ迅速に判定することができる。これらのメッセージに基づいて、車両825および823の運転者は、合流道路タイプを考慮して、車両道路走行上の来たる車線の交通状態を表すフォーム880、881、882、および883によって示されるように、道路状況のグローバルな知覚を容易に得ることができる。特に、フォーム881および882に基づいて、車両823の運転者は、合流動作を制限するいくつかの車両が車線862および863上に存在することを理解する。運転者は、詳細を伴わずに車線862上の交通問題を理解する。それは、状況の全体的(グローバル)な認識に対応する第1のレベルの詳細を得ることを可能にする。空間状態および空間タイプ(歩行者横断歩道、合流車線)を(空き)空間補遺コンテナに追加することによって、CPMは、CPMにおける道路状況のグローバルな知覚を提供するために使用されうる。
【0193】
メッセージCPM832a及びCPM833aを受信することにより、車両823の運転者は、交通渋滞状況を詳細に理解する。それは、状況の詳細な知覚に対応する第2のレベルの詳細を得ることを可能にする。特に、フォーム881a及び882aに基づき、車両823の運転者は、道路幹線862上での合流動作を予測することができる。同様に、車両823の運転者は、車両825によって送信されたCPMメッセージ834を使用することによって、道路幹線862上での合流動作を予測することができる。フォーム884のみを使用することによって、車両823の運転者は、合流車線上の占有として生じる到来車両に気付くことができる。この情報は、場合によっては、路側ユニット110なしで、車車間通信のみを使用することによって、取得されうる。空間補遺コンテナ830、831、832、833を有するCPMメッセージは、図6によるグローバル集合知覚メッセージを意味するG-PCMとも呼ばれる。空間補遺コンテナ830a、831aおよび832aを有するCPMメッセージは、図6による詳細集合知覚メッセージを意味するD-PCMとも呼ばれる。
【0194】
このユースケースでは、車両823が合流する合流動作中に干渉しうるすべての車両位置、速度、および可能性を評価することを必要とするため、車両823は、高速道路に入るための安全条件をそれ自身で決定することができない。路側ユニット110は、車線部分に対応する空き及びビジーの空間を監視することによって、合流車線の状況を具体的に報告する。この空間状態の報告は、車線合流ゾーンに接近する車両の状況の分析を高速化するはずである。この情報を使用して、車両823は「合流可能性」を推定し、合流動作を予測し、それに応じて自身の速度を適応させることができる。また、他の車両は、合流車線条件について通知され、合流動作を促進するために、それらの挙動を適応させる。結果として、車両は、合流車線状態および安全に進める方法について警告を受けうる。
【0195】
そして、ITS-S受信機は、道路トポロジの全体的な状態を有し、このユースケースに示されるように、車線合流動作に備えるために、より迅速な状況の分析を有するために、R-ITS-SからのCPMに含まれる空間領域の状態情報を使用することができる。
【0196】
合流車線のユースケースを考慮すると、空間状態表示は、この特定の道路トポロジ領域上の車線の利用可能な空き及びビジーセクションを報告するために使用されうる。このようなメッセージを受信すると、可能性のある合流動作に関係する車両(V)は、潜在的な安全性のリスクを推定してそれに応じて動作するための、適切な措置をとることができる。
【0197】
図9は、本発明の実施形態の実装のための、発信側ITS-Sが駐車エリアを監視して全体的(グローバル)に及び詳細に、空いている場所の位置を詳細に報告する路側ユニット車両である、別のシナリオを示している。
【0198】
C-ITSが動作していると共に本発明を用いて駐車場を監視するように構成されている、その駐車場において、車両940が空いている場所を探している。本発明を使用して、ユニット110は、駐車場の全体的形状を配信するMAPEM910を使用して駐車マップデータを配信することができる。ユニット110は、本発明の実施形態に従ってグローバルに報告される、使用中(ビジー)の場所950、951、953、954、955、956、957、958、959、および960のブロックについて報告するために使用される、空間980、981、982、983、および984の空間状態を提供することによって、空間補遺コンテナ930、931、932、933、および934を有するCPMを用いて、空きまたは占有された場所のブロックの状態について、グローバルに報告する。また、ユニット110は、本発明の実施形態により、空いている場所951、954、958のブロックについてのレポートに使用されるサブ空間980a、981a、及び982aの空間状態を提供することにより、空間補遺コンテナ930a、931a、932aを有するCPMを用いて、場所について具体的にレポートする。さらに、ユニット110は、空間タイプ「障害者用に予約」を使用することによって、空間984と見なされる、障害者用の車両のために予約された場所956のような特定の場所を報告することができる。この空間タイプを使用して、車両940に、この特異性について通知される。空間補遺コンテナ930、931、932、933、および934を有するCPMメッセージは、図6によるグローバル集合知覚メッセージを意味するG-PCMとも呼ばれ、空間補遺コンテナ930a、931a、および932aを有するCPMメッセージは、図6による詳細集合知覚メッセージを意味するD-PCMとも呼ばれる。
【0199】
最後に、車両940は、駐車場内の利用可能な場所のグローバルかつ詳細な知覚を得て、より少ないストレスで運転することができ、自らの車両を駐車するために様々なブロック内のどこに行くべきかを決定する。
【0200】
また、本発明は、予約された場所について特別に報告し、他の運転者に、この目的のためにいくつかの場所が予約されていることを知らせることによって、障害者のための車両の運転者を支援することも可能にする。
【0201】
図14は、本発明の実施形態の実装のための、発信側ITS-Sが横断歩道上の歩行者の存在を報告するための道路交差点エリアを監視する道路側ユニットである、別のシナリオを示している。
【0202】
歩行者横断歩道ユースケースを考慮すると、横断歩道空間領域上の歩行者の存在または不存在について報告するために、空間状態の表示が使用されうる。このようなメッセージを受信すると、その横断歩道に接近する車両(V)は、少なくとも歩行者がその対応するエリアに存在するかどうかを知ることにより、安全性のリスクを推定することができる。
【0203】
道路交差点1400は、4つの異なる歩行者横断歩道1422、1424、1426、および1428から構成される。車両1401、1402、1403、1404、1405、1406、1407、1408は、交差点1400を通過している。交通弱者ユニット(VRU)とも呼ばれる歩行者1410および1411は、歩行者横断歩道1424を使用して道路を横断している。歩行者1412、1413および1414は、歩行者横断歩道1428を使用して道路を横断している。歩行者1415のグループは、歩行者横断歩道1426を使用して道路を横断しようとして道路交差点の路側にいる。
【0204】
C-ITSが動作しているユニット110は、本発明のいくつかの実施形態により、歩行者横断歩道を監視するように構成される。そのような実施形態によれば、ユニット110は、道路交差点エリアのグローバル形状を配信するMAPEM1400を使用して道路交差点マップデータを配信するように構成される。
【0205】
ユニット110は、各歩行者横断歩道1422、1424、1426、および1428上の歩行者の存在を報告するために使用される空間1421、1423、1425、および1427の空間状態を提供することによって、空間補遺コンテナ1480、1481、1482、および1483を有するCPM1430、1431、1432、および1433を使用して、歩行者横断歩道の状態、すなわち、空いているかまたはビジーであるかのいずれかを報告する。さらに、センサ1490、1491、および1492は、分析モジュール111に接続され、道路交差点のすべての歩行者横断歩道を監視するために使用されうる。車両1402は、道路交差点1400内の軌道1440を使用して右折しようとする。軌道1440は、歩行者横断歩道1428と交わる。車両1402は、空間タイプが「歩行者横断歩道」に等しい空間1427がビジーであることをCPM1433によって通知される。CPM1430、1431、1432、および1433を受信することによって、車両は、異なる歩行者横断歩道1422、1424、1426、および1428上の歩行者の存在または不存在を判定することができる。エレメント1484は、4つのメッセージCPM1430、1431、1432、および1433のみを受信することにより、道路区間1400の異なる歩行者横断歩道1422、1424、1426、および1428の知覚を示す。
【0206】
このユースケースにおいて、車両1402は、横断歩道1428上の可視性を欠くため、交差点において右折するための安全性の条件を自身で決定することができない。路側ユニット110は、単一の状態表示(空きまたはビジー)を使用して、各横断歩道上の歩行者の存在または不存在を示すことによって、異なる歩行者横断歩道エリアについて具体的に報告を行う。4つの空間コンテナのみを使用して、路側ユニットは、各横断歩道1422、1424、1426、および1428上の歩行者の知覚を送達する。
【0207】
この情報を使用して、車両1402は、1つのCPMにおける横断歩道占有率を直接取得することによって、曖昧さなく、横断歩道1428と交わるリスクを推定することができる。
【0208】
空き空間補遺コンテナは、CPMを介して、空き空間についての報告を行うことができるのみである。空き空間補遺コンテナは、監視領域がビジーであることを示す情報を送信することを許可しない。空き空間補遺コンテナを使用した監視領域のビジー状態は、暗黙的なものにすぎない。これは、ITS-S受信機が、対応するCPMを受信しない限り監視空間が空いていることを確認することができないか、またはこの場合に情報が受信されないために監視空間がビジーであることを確認することができないため、監視空間における曖昧さを生じさせる。この状況では、ITS-S受信機は、監視空間が空いているかビジーであるかを、曖昧さなしに判定することができない。提案した空間補遺コンテナを用いて、監視空間が、明示的な状態値を有するCPMを用いて報告される。
【0209】
また、(例えば、空きまたはビジーである)監視空間の状態値を示すわずかなCPMのみを送信することによって、監視空間内のすべてのオブジェクトのCPMを介した報告と比較して、送信するCPMの個数を最小限の個数に低減することができる。提案された空間補遺コンテナは、監視空間において検出されたオブジェクトの個数にかかわらず、同じ個数のCPMを使用することによって効率的に報告を行うことを可能にする。
【0210】
図10は、本発明の実施形態を実装するように構成された通信ITS-Sデバイスの例を概略的に示す。それは、車両に又は路側ユニット120に埋め込まれたITS-Sでありうる。
【0211】
通信装置1000は、好ましくは、マイクロコンピュータ、ワークステーション、または車両もしくはRSUに埋め込まれた軽量携帯型デバイスなどのデバイスでありうる。通信装置900は、好ましくは以下のものに接続される通信バス1013を有する:
・CPUまたはGPU(グラフィカル処理ユニット)と表されるマイクロプロセッサなどの中央演算処理装置1011;
・本発明を実装するためのコンピュータプログラムを記憶するための、ROMと表される読み出し専用メモリ1007;
・本発明の実施形態による方法の実行可能コードを記憶するための、RAMと表されるランダムアクセスメモリ1012、及び、本発明の実施形態による方法を実装するために必要な変数およびパラメータを記録するように適合されたレジスタ;及び
・ITSメッセージが送信される無線V2X通信ネットワークに接続される少なくとも1つの通信インターフェース1002。ITSメッセージは、RAM1012内のFIFO送信メモリから送信のためにネットワークインターフェースに書き込まれるか、または、CPU1011内で実行されるソフトウェアアプリケーションの制御下で、RAM1012内のFIFO受信メモリへの受信および書き込みのためにネットワークインターフェースから読み出される。
【0212】
オプションとして、通信装置1000は、以下の要素をも含みうる。
【0213】
・本発明の1つまたは複数の実施形態による方法を実装するためのコンピュータプログラムを記憶する、ハードディスクなどのデータ記憶手段1004;
・ディスク906からデータを読み出し又はそのディスクにデータを書き込むように適合される、ディスク1006のためのディスクドライブ1005;
・キーボード910または任意の他のポインティング手段を用いた、ユーザとのグラフィカルインターフェースとして機能するための画面1009。
【0214】
通信装置1000は、それぞれが通信装置1000にデータを供給するように入出力カード(不図示)に接続される、例えばデジタルカメラなどの知覚センサ1008を含む、様々な周辺機器に任意で接続されてもよい。
【0215】
好ましくは、通信バスは、通信装置1000に含まれ又はそれに接続される様々な要素間の通信および相互運用性を提供する。バスの表現は限定的なものではなく、特に、中央演算装置が、通信装置1000の任意の要素に直接的に又は信装置1000の別の要素を用いて、命令を伝達するように動作可能である。
【0216】
ディスク1006は、オプションで、例えば、書き換え可能又は書き換え不可能な、コンパクトディスク(CD-ROM)、ZIPディスク、USBキー又はメモリカードなどの、任意の情報媒体により、総称すれば、マイクロコンピュータ又はマイクロプロセッサによって読み取ることができる情報記憶手段によって、置き換えられてもよく、装置に組み込まれても組み込まれなくてもよく、場合によっては取り外し可能であり、実行によって本発明による方法を実行することができる1つ以上のプログラムを記憶するように適合されうる。
【0217】
実行可能コードは、オプションで、読み出し専用メモリ1007、ハードディスク1004、または例えば前述のようなディスク1006などのリムーバブルデジタル媒体のいずれかに記憶されうる。オプションの変形例によれば、プログラムの実行可能コードは、ハードディスク1004などの通信装置1000の記憶手段のうちのいずれかに、実行される前に記憶されるように、インターフェース1002を介して通信ネットワークを用いて受信されうる。
【0218】
中央演算処理装置1011は、好ましくは本発明による命令またはプログラムの1つまたは複数のソフトウェアコードの一部を制御し、実行を指示するように適合され、命令は、前述の記憶手段のうちの1つに記憶される。電源投入時に、不揮発性メモリに、例えばハードディスク1004または読み出し専用メモリ1007に記憶された1つまたは複数のプログラムが、ランダムアクセスメモリ1012に転送され、このランダムアクセスメモリは1つまたは複数のプログラムの実行可能コード、及び、本発明を実行するために必要な変数およびパラメータを記憶するためのレジスタを含む。
【0219】
好ましい実施形態において、装置は、本発明を実装するためにソフトウェアを使用するプログラム可能な装置である。しかしながら、代替的に、本発明が、ハードウェアで(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)の形式で)実装されてもよい。
【0220】
以上、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にある変更が、当業者には明らかであろう。
【0221】
多くの更なる変更及び変形は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定される実施形態であって、例のみを用いて与えられると共に本発明の範囲を限定することを意図するものではない、上記の例示的な実施形態を参照することにより、当業者に示唆されるだろう。特に、様々な実施形態からの異なる特徴は、適切な場合、交換されてもよい。
【0222】
上述の本発明の各実施形態は、単独で実装されてもよいし、複数の実施形態を組み合わせとして実装されてもよい。また、様々な実施形態からの特徴は、必要に応じて、または単一の実施形態における個々の実施形態からの要素または特徴の組み合わせが有益である場合に、組み合わせられうる。
【0223】
請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。異なる特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組合せが有利に使用されえないことを示すものではない。
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