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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】多目的クーラント・インターフェース
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240705BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20240705BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20240705BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240705BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H05K7/20 N
H05K7/20 B
H05K7/14 M
H05K7/18 K
H01L23/46 Z
G06F1/20 C
G06F1/20 A
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199920
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2021500571の分割
【原出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2023036723
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】16/038,073
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マコーディク,クレイグ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】エルズワース,ジョセフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】サウスアード,トッド
(72)【発明者】
【氏名】モリオンド,ダグラス
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-135472(JP,A)
【文献】特開2006-38038(JP,A)
【文献】国際公開第2009/110412(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 7/14
H05K 7/18
H01L 23/473
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式組立体内のスロットに挿入されるように構成されたライン交換可能ユニットであって:
一つの平坦表面を有するクイック・ディスコネクト・ブロックを含むクーラント・インターフェースであり、前記平坦表面は、当該ライン交換可能ユニットが前記モジュール式組立体内の前記スロットに挿入される際に、前記モジュール式組立体のためのシャーシ内の流体分配マニホルド上の対応する表面と当接するように構成されている、クーラント・インターフェース;
を含み、
前記平坦表面は、
前記シャーシではなく前記ライン交換可能ユニットに配置され;
当該ライン交換可能ユニットが前記モジュール式組立体内の前記スロットに挿入される際に、前記流体分配マニホルド上の対応するフィッティングと嵌合するように構成された複数のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティング;
前記複数のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを取り囲んで前記平坦表面上に取り付けられた一つのシールであり、前記平坦表面と前記対応する表面との間の接続を密封するように構成されているシール;及び
前記平坦表面から突出し、前記対応する表面内の複数の対応するガイド穴により受容されるように構成された複数の整合ピンであり、前記シールを取り囲んで配置される整合ピン
を含み、
当該ライン交換可能ユニットは、さらに、前記クイック・ディスコネクト・ブロックを貫通して延びており、前記平坦表面が前記対応する表面に着座すると回転されて前記対応する表面内のネジ穴に受け入れられ、前記平坦表面と前記対応する表面との間の前記シールの圧縮を増大し維持するために、前記平坦表面と前記対応する表面との間に圧力を提供するように構成された螺刻ネジであり、前記シールを取り囲んで配置される螺刻ネジを含む、
ライン交換可能ユニット。
【請求項2】
前記シールがOリングを含む、請求項1に記載のライン交換可能ユニット。
【請求項3】
前記複数の整合ピン及び前記螺刻ネジは、前記シールを取り囲む、前記平坦表面の4つの角に配置される、請求項2に記載のライン交換可能ユニット。
【請求項4】
前記複数の整合ピンは各々部分的にテーパされた端部を有する、請求項2に記載のライン交換可能ユニット。
【請求項5】
前記流体分配マニホルドから前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングのうちの少なくとも1つを介してクーラントを受け取り、
前記クーラントを前記ライン交換可能ユニットに取り付けられた電子機器に近接して循環させ、前記の循環されたクーラントを前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングのうちの少なくとも1つを介して前記流体分配マニホルドへと戻すように構成された冷却構造;
をさらに含む、請求項1に記載のライン交換可能ユニット。
【請求項6】
前記冷却構造上に取り付けられ、前記電子機器を支持する1つ以上のヒートシンクをさらに含む、請求項5に記載のライン交換可能ユニット。
【請求項7】
前記モジュール式組立体はレーダー用のモジュール式組立体である、請求項1に記載のライン交換可能ユニット。
【請求項8】
モジュール式組立体;及び
前記モジュール式組立体内のスロットに挿入されるように構成されたライン交換可能ユニット;
を含むシステムであって:
前記ライン交換可能ユニットが、
一つの平坦表面を有するクイック・ディスコネクト・ブロックを含むクーラント・インターフェースであり、前記平坦表面は、当該ライン交換可能ユニットが前記モジュール式組立体内の前記スロットに挿入される際に、前記モジュール式組立体のためのシャーシ内の流体分配マニホルド上の対応する表面と当接するように構成されている、クーラント・インターフェース;
を含み、
前記平坦表面は、
前記シャーシではなく前記ライン交換可能ユニットに配置され;
当該ライン交換可能ユニットが前記モジュール式組立体内の前記スロットに挿入される際に、前記流体分配マニホルド上の対応するフィッティングと嵌合するように構成された複数のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティング;
前記複数のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを取り囲んで前記平坦表面上に取り付けられた一つのシールであり、前記平坦表面と前記対応する表面との間の接続を密封するように構成されているシール;及び
前記平坦表面から突出し、前記対応する表面内の複数の対応するガイド穴により受容されるように構成された複数の整合ピンであり、前記シールを取り囲んで配置される整合ピン
を含み、
前記クイック・ディスコネクト・ブロックは、さらに、前記クイック・ディスコネクト・ブロックを貫通して延びており、前記平坦表面が前記対応する表面に着座すると回転されて前記対応する表面内のネジ穴に受け入れられ、前記平坦表面と前記対応する表面との間の前記シールの圧縮を増大し維持するために、前記平坦表面と前記対応する表面との間に圧力を提供するように構成された螺刻ネジであり、前記シールを取り囲んで配置される螺刻ネジを含み、
前記モジュール式組立体が、
各々が前記ライン交換可能ユニットを受容するように構成された複数のスロットを含む前記シャーシ;及び
前記ライン交換可能ユニットが前記複数のスロットのそれぞれの1つに挿入される際に、前記ライン交換可能ユニット上の前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングと整合し及び嵌合するために、前記複数のスロットのうちの1つに対してそれぞれ位置づけされた複数の位置に、前記対応するフィッティングを含む、前記流体分配マニホルド;
を含む、
システム。
【請求項9】
前記流体分配マニホルドは、前記複数のスロットのいずれかに挿入された各前記ライン交換可能ユニットへとクーラントを循環させるが、そうでなければ前記クーラントを保持するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
一つの平坦表面を備えるクイック・ディスコネクト・ブロックを有するクーラント・インターフェースを含むライン交換可能ユニットを使用する方法であって:
前記ライン交換可能ユニットをモジュール式組立体内のスロットに挿入して、前記平坦表面が前記モジュール式組立体のためのシャーシ内の流体分配マニホルド上の対応する表面と当接するステップであり、前記平坦表面が前記シャーシではなく前記ライン交換可能ユニットに配置されているステップ
前記平坦表面から突出する複数の整合ピンを、前記対応する表面内の複数の対応するガイド穴に挿入するステップ;
前記クーラント・インターフェースの前記平坦表面上の複数のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを前記流体分配マニホルド上の対応するフィッティングに嵌合させるステップ;
前記複数のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを取り囲んで前記平坦表面上に取り付けられた一つのシールを前記平坦表面と前記流体分配マニホルド上の前記対応する表面との間で圧縮して、前記平坦表面と前記対応する表面との間の接続を密封するステップであり、前記整合ピンが前記シールを取り囲んで配置されているステップ;及び
前記クイック・ディスコネクト・ブロックを貫通して延びており、前記平坦表面が前記対応する表面に着座すると回転されて前記対応する表面内のネジ穴に受け入れられるように構成された螺刻ネジを用いて、前記平坦表面と前記対応する表面との間に圧力を提供して、前記平坦表面と前記対応する表面との間の前記シールの圧縮を増大し維持するステップであり、前記螺刻ネジが前記シールを取り囲んで配置されているステップ
を含む方法。
【請求項11】
前記シールがOリングを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の整合ピン及び前記螺刻ネジは、前記平坦表面の4つの角に配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の整合ピンは各々部分的にテーパ付けされた端部を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記流体分配マニホルドから前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングのうちの少なくとも1つを介して、冷却構造内のクーラントを受け取るステップ;
前記クーラントを前記ライン交換可能ユニットに取り付けられた電子機器に近接して循環させるステップ;及び
前記の循環されたクーラントを前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングのうちの少なくとも1つを介して前記流体分配マニホルドへと戻すステップ;

をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ライン交換可能ユニットは、さらに、前記冷却構造上に取り付けられ、前記電子機器を支持する1つ以上のヒートシンクを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シャーシが、各々が前記ライン交換可能ユニットを受容するように構成された複数のスロットを含み;かつ
前記流体分配マニホルドが、前記ライン交換可能ユニットが前記複数のスロットのそれぞれの1つに挿入される際に、前記ライン交換可能ユニット上の前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングと整合し及び嵌合するために、前記複数のスロットのうちの1つに対してそれぞれ位置づけされた複数の位置に、前記対応するフィッティングを含む;
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記流体分配マニホルドからのクーラントを、前記スロットのいずれかに挿入された各前記ライン交換可能ユニットへと循環させるが、そうでなければ前記クーラントを保持するステップをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モジュール式組立体はレーダー用のモジュール式組立体である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、大型レーダーアレイを冷却すること、及び、より詳細には、そのようなアレイのクーラント・インターフェースを改善することを対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ますます高度化する脅威に遅れをとらないように、顧客は、より高いレベルの電力レーダーを求めている。しかしながら、次世代レーダー電力レベルは、コスト効率の良い伝導冷却方法の能力を超えており、高信頼性エレクトロニクスを提供しながら、増大した無線周波数(RF)性能をサポートするために、液体冷却ライン交換可能ユニット(Line Replaceable Units, LRUs)を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一実施形態では、クーラント・インターフェース(coolant interface)が、レーダー用モジュール組立体又はコンピュータ用のシャーシのようなモジュール式組立体内のスロットに挿入されるように構成されたライン交換可能ユニットを含む。ライン交換可能ユニットは、当該ライン交換可能ユニットがモジュール式組立体内のスロットに挿入される際に、モジュール式組立体用のシャーシ内の流体分配マニホルド上の対応するフィッティングと嵌合するように構成されたクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを取り囲む。ライン交換可能ユニットはまた、前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを取り囲む、平坦表面上のシールであり、前記平坦表面は、前記ライン交換可能ユニットが前記モジュール式組立体内の前記スロットに挿入される際に、前記流体分配マニホルド上の対応する表面に当接し、前記シールを前記対応する表面に対して圧縮するように構成される、シールを含む。ライン交換可能ユニットは、好ましくは、平坦表面から突出し、対応する表面内の1つ以上の対応するガイド穴によって受容されるように構成された1つ以上の整合ピンを含む。前記ライン交換可能ユニットは、さらに、前記平坦表面と前記対応する表面との間のシールの圧縮を増大し維持するために、前記平坦表面と前記対応する表面との間に圧力を提供するように構成されたキャプティブ・ハードウェアを含む。前記1つ以上の整合ピン及び前記キャプティブ・ハードウェアは、前記シールを取り囲む、前記平坦表面の4つの角に配置される。前記1つ以上の整合ピンは各々部分的にテーパされた端部を有し、前記キャプティブ・ハードウェアは螺刻されたネジを含む。前記ライン交換可能ユニットは、さらに、前記流体分配マニホルドから前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングのうちの少なくとも1つを介してクーラントを受け取り、前記クーラントを前記ライン交換可能ユニットに取り付けられた電子機器に近接して循環させ、前記の循環クーラントを前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングのうちの少なくとも1つを介して前記流体分配マニホルドへと戻すように構成された冷却構造を含む。前記ライン交換可能ユニットは、さらに、前記冷却構造上に取り付けられ、前記電子機器を支持する1つ以上のヒートシンクを含む。前記シャーシが、各々が前記ライン交換可能ユニットを受容するように構成された複数のスロットを含む。前記流体分配マニホルドが、前記ライン交換可能ユニットが前記複数のスロットのそれぞれの1つに挿入される際に、前記ライン交換可能ユニット上の前記クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングと整合し及び嵌合するために、前記複数のスロットのうちの1つに対してそれぞれ位置づけされた複数の位置に、前記対応するフィッティングを含む。前記流体分配マニホルドは、前記複数のスロットのいずれかに挿入された各ライン交換可能ユニットへとクーラントを循環させるが、そうでなければ前記クーラントを保持するように構成される。
【0004】
クーラント・インターフェースを操作する方法を含む本開示の別の実施形態では、レーダーモジュール式組立体用のシャーシ又はコンピュータのようなモジュール式組立体内のスロット内にライン交換可能ユニットが挿入される際に、前記ライン交換可能ユニットが前記モジュール式組立体内の前記スロットに挿入されるときに、前記ライン交換可能ユニット上の複数のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングが、前記モジュール式組立体のシャーシ内の流体分配マニホルド上の対応するフィッティングに嵌合し、流体分配マニホルド上の平坦表面とカウンターパート(対応する)面との間のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを囲むシールに嵌合する。平坦表面から突出する1つ以上の整合ピンが存在する場合、対応する表面内の1つ以上の対応するガイド穴に挿入される。キャプティブ・ハードウェアは、含まれる場合、平坦表面と対応する表面との間の圧力を提供し、平坦表面と対応する表面との間のシールの圧縮を増大させ、維持する。1つ以上の整合ピン及びキャプティブ・ハードウェアは、好ましくは、シールを取り囲む平らな表面の4つのコーナーに配置される。1つ以上の整合ピンは、各々部分的にテーパ付けされた端部を有することができ、キャプティブ・ハードウェアは、螺刻ネジの形態であってもよい。クーラントは、ライン交換可能ユニットの冷却構造内で、流体分配マニホルドから、クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを介して受け取られ、ライン交換可能ユニットに取り付けられた電子機器に近接して循環され、クイック・ディスコネクト流体結合フィッティングを介して流体分配マニホルドへと戻される。エレクトロニクスを支持するために、1つ以上のヒートシンクを冷却構造上に取り付けることができる。モジュール式組立体用のシャーシは、各々がライン交換可能ユニットを受容するように構成された複数のスロットを含み、流体分配マニホルドは、ライン交換可能ユニットが複数のスロットのそれぞれの1つに挿入される際に、各々がライン交換可能ユニット上のクイック・ディスコネクト流体結合フィッティングと整合及び嵌合するように配置された複数の位置に対応するフィッティングを含んでいる。流体分配マニホルドからのクーラントは、複数のスロットのいずれかに挿入されるが、そうでなければ保持される各ライン交換可能ユニットに循環されるべきである。
【0005】
特定の利点は上記で列挙されたが、種々の実施形態は列挙された利点のいくつかを有し、有せず、或いは全てを含み得る。さらに、他の技術的利点は、以下の図面及び説明をレビューした後、当業者には容易に明らかになり得る。
【0006】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、以下の説明を添付の図面に関連付けて参照する。図面において、同様の参照番号は同様の部材を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態に従った多目的クーラント・インターフェースを実装することができる1つの環境の図である。
図1A図1に示す多目的クーラント・インターフェースを特徴とするシャーシ組立体の追加の詳細を示す代替図である。
図1B図1に示す多目的クーラント・インターフェースを特徴とするライン交換可能ユニットの分解図である。
図1C図1及び図1Bの各ライン交換可能ユニット上のクーラント・インターフェースの拡大図である。
図2A図1図1A図1B及び図1Cのクーラント・インターフェースの動作を示す図である。
図2B図1図1A図1B及び図1Cのクーラント・インターフェースの動作を示す図である。
図2C図1図1A図1B及び図1Cのクーラント・インターフェースの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的な実施形態が、図面に示され、以下に例示されるが、本開示の原理は、現在知られているか否かにかかわらない、任意の数の技術を使用して実施され得ることが、最初に理解されるべきである。本開示は、図面に示され、以下に説明される例示的な実施及び技術に限定されない。さらに、特に明記しない限り、図面に示された物品は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0009】
従来の伝導冷却電子組立体では、各ライン交換可能ユニット(LRU)は、典型的にはエッジ接続を介して、液体冷却ヒートシンクによって伝導冷却される。既存のレベルを上回る動作電力の増加は、電子機器を許容可能な動作温度を超えて追い込む可能性がある。個々の組立体の液体冷却は、動作電力を増大させ得る。加えて、伝導冷却の費用対効果の限界に達したかのように見え、レーダー能力の増大を妨げ始めているように思われ、その結果、(例えば)高出力電子組立体が、ストレス環境条件下での過剰なデバイス温度を回避するために、性能を制約されるか、又は縮小さえされることになる。
【0010】
組立体の大きなアレイ内の個々の組立体の液体冷却のためのクーラント・インターフェースを設計する際に、1つの課題は、メンテナンスを容易にするために迅速に離脱することを可能にし、一方で操作中に漏れがないことを確実にすることである。流体移送ラインの高速(ねじ付き又はフランジ付きの接続に対して)のメーク・オア・ブレーク(make-or break)接続を提供するための、クイック・ディスコネクト(QD、「quick connect」又は「quick release」としても知られる)フィッティング(fitting)は、反対の主張にもかかわらず、少なくとも長期間使用した後、接続/離脱を繰り返した後、又は広範囲に変化する温度条件下で使用した後に、大量に使用した場合に漏れる傾向がある。
【0011】
本開示において、液冷ヒートシンクが、各ライン交換可能ユニット(LRU)の一部であり、各LRU組立体は、LRUが挿入されるシャーシ組立体内のクーラント分配マニホルドから並列にクーラントを受け取る。クイック・ディスコネクト・フィッティングは、LRUの液冷を可能にし、Oリングのフェイスシールにより、運転中にクーラント液が漏れないようにする一方で、取り付けやメンテナンスが容易に行える。液冷LRUの著しく改善された冷却及び熱能力は、電子機器の信頼性とともに、より高い電力レベル及び増大した機能性を可能にする。
【0012】
図1は、本開示の実施形態に従った多目的クーラント・インターフェースを実施することができる一環境の図である。図示の例では、クーラント・インターフェースは、電子組立体(アセンブリ)内で使用される。電子組立体内では、個々のライン交換可能ユニットが組み立てられ、より大きい及び/又はより高い処理電力レーダーアレイを作る。しかしながら、当業者であれば、本開示のクーラント・インターフェースは、大規模並列処理システムにおける処理カードのように、メンテナンスが容易であるが動作中の漏れがない電子機器の液体冷却が有益であるような任意の環境においても使用することができることを認識するであろう。さらに、簡単かつ明確にするために、例示的な環境の部分的な詳細のみが示され、説明されるが、当業者は、完全な電子組立体及びその中のライン交換可能ユニットは、言及されていない又は具体的に示されていない特徴を含むことを認識するであろう。
【0013】
図1の電子組立体(アセンブリ)100は、各々が電子部品及び回路を含むライン交換可能ユニット(LRU)103を受け入れるシャーシ組立体(アセンブリ)101を含む。図示の例では、シャーシ組立体101は、複数のLRU103を2列に受け入れるように設計されている。シャーシ組立体101はまた、他のタイプの回路105を受け取ることもできる。LRU103はそれぞれ、図1には見えないガイド又はレールに沿って(例えば)スライドすることによって、シャーシ組立体上の複数の「スロット」の1つによって受け取られる。
【0014】
各LRU103は、クーラント・インターフェース106を含む。LRU103上のクーラント・インターフェース106の位置、及びそれぞれのLRU103の残りの部分に対するクーラント・インターフェース106の配向は、LRU103の少なくともいくつかの部分集合について統一していてもよい。図示の例では、上の列の各LRU103に対するクーラント・インターフェース106は、そのLRU103の底部前方隅にあり(シャーシ組立体101に挿入された場合のそれぞれのLRU 103の配向に対して)、一方、下の列の各LRU103に対するクーラント・インターフェース106は、そのLRU103の頂部前方隅にある。両方の列のLRU103について、クーラント・インターフェース106は、それぞれのLRU103のエッジ(底部又は頂部)から突出し、接続領域はシャーシ組立体101に面している。LRU103がシャーシ組立体101内に完全に挿入されると、接続領域は、後述するように、シャーシ組立体101内部のクーラント分配マニホルド上の対応する接続領域に隣接し、これに接続される。
【0015】
図1Aは、図1に示した多目的クーラント・インターフェースに対するシャーシ組立体の追加の詳細を示す代替図である。シャーシ組立体101は、その中に取り付けられているクーラント分配マニホルド110を含む。クーラント分配マニホルド110は複数のクイック・ディスコネクト・インターフェース111を含み、クイック・ディスコネクト・インターフェース111は、LRU103がシャーシ組立体101の対応するスロットに挿入されたときに、LRU103上のクーラント・インターフェース106のためのクイック・ディスコネクト・ブロックと整合するように配置されている。各クイック・ディスコネクト・インターフェース111は、オス・フィッティング、メス・フィッティング、又は各々の組み合わせを含むことができ、それぞれのLRU103上のクーラント・インターフェース106のためのクイック・ディスコネクト・ブロックの一部を受け入れるように設計された凹部内に配置されることができる。
【0016】
図1Bは、図1に示した多目的クーラント・インターフェース内のライン交換可能ユニット(LRU)を示す。各LRU103は、クイック・ディスコネクト・ブロック130を含む。クイック・ディスコネクト・ブロック130は、LRU103がそれぞれのスロットに挿入されたときにクーラント分配マニホルド110上のクイック・ディスコネクト・インターフェース111と嵌合し、液体冷却されるブレーズメント(brazements)121(又は流体経路を含む類似の構造)と流体連通する。ブレーズメント121の上には、ヒートシンク122及び複数のヒートシンク123が取り付けられている。回路は、ヒートシンク122と熱連通して取り付けられ、ヒートシンク122によって冷却され、回路は、ヒートシンク123と熱連通して取り付けられ、ヒートシンク123によって冷却される。ヒートシンク122及びヒートシンク123は、順に、液体冷却ブレーズメント121と熱連通し、液体冷却ブレーズメント121によって冷却される。特に、液体冷却ブレーズメント121内を循環する冷却流体によって冷却される。複数の電子部品124もまた、図1Bの例における液冷式ブレーズメント121と熱連通して取り付けられ、それにより冷却される。
【0017】
液冷されたブレーズメント121内を循環する冷却流体は、シャーシ組立体101内のクーラント分配マニホルド110からブレーズメント121内に流れ込み、液体冷却ブレーズメント121内を循環して、ヒートシンク122及び/又はヒートシンク123からの熱を吸収し、クーラント分配マニホルド110に戻り、クーラント流体に置き換えられる。
【0018】
図1Cは、図1及び図1Bの各LRU上のクーラント・インターフェースの拡大図である。クーラント・インターフェース106は、クイック・ディスコネクト・ブロック130を含む。クイック・ディスコネクト・ブロック130は、それぞれのLRU103がシャーシ組立体101のスロットに挿入されると、シャーシ組立体101上のクーラント分配マニホルド110のクイック・ディスコネクト・インターフェース111のうちの1つの凹部内に少なくとも部分的に受容されることができる。クイック・ディスコネクト・ブロック130上には、クイック・ディスコネクト・フィッティング131が取り付けられている。LRU103がシャーシ・組立体101内のスロットに挿入された場合、クイック・ディスコネクト・フィッティング131は、クイック分配マニホルド110のクイック・ディスコネクト・インターフェース111のうちの1つに整合されたときに、クイック・ディスコネクト・フィッティングと嵌合する。クイック・ディスコネクト・フィッティング131の周囲にある、クイック・ディスコネクト・ブロック130の平坦な表面132は、シール133を支持する。シール133は、1つ、2つ又はそれ以上のクイック・ディスコネクト・フィッティング131の周囲にあってもよい。用途に応じて、シール133は、円形の断面を有するOリング、又は矩形の断面を有する圧縮ガスケットであってもよく、或いは異なる断面を有する同等のタイプのシールであってもよい。シール133及び周囲の平坦な表面132は、クーラント・インターフェース106とクイック・ディスコネクト・インターフェース111との間の接続をシール(密封)し、電子組立体の動作中に有意の流体漏れがないよう保証する一方、設置及び/又はメンテナンスのためのシャーシ・組立体・スロットへの及びそこからのLRU103の容易な挿入及び離脱を(クイック・ディスコネクト・フィッティングに因り)可能にする。シールは、動作中の漏れを防止(又は少なくとも最小限に抑える)するため、メンテナンス中に少量の流体が微量漏れる可能性が残るが、これは管理可能及び/又は許容可能である。
【0019】
先端にテーパが付いた整合ピン134が、クイック・ディスコネクト・ブロック130から突出し、シャーシ組立体101のクーラント分配マニホルド110上のクイック・ディスコネクト・インターフェース111のうちの1つにある対応するガイドホールによって受容され、対応するLRU 103のシャーシ・組立体・スロットへの挿入の際にクイック・ディスコネクト・ブロック130の移動経路を案内し、クイック・ディスコネクト・フィッティングの適切な嵌合を容易にする。クイック・ディスコネクト・フィッティングの適切な嵌合のための整合を容易にすることに加えて、整合ピン134(クイック・ディスコネクト・ブロック130の少なくとも一部を受容する凹部と共に)は、クーラント・インターフェース106とクイック・ディスコネクト・インターフェース111との間の接続の機械的安定性を改善し、その結果、クイック・ディスコネクト・フィッティングの機械的結合が衝撃及び振動によってストレスを受けないようにする。整合に加え、そのような目的のために、2つ以上の整合ピン134が、クイック・ディスコネクト・ブロック130上に設けられてもよい。例えば、第2の整合ピン(図1Cには示されていない)は、図1Cに示されている整合ピン134から、シール133によって囲まれた領域を横切って斜めに対角的に提供されてもよい。
【0020】
キャプティブ・ハードウェア(captive hardware)135(例えば、螺刻ねじ)が、図1Cの例では、クイック・ディスコネクト・ブロック130を貫通して延びており、組立のために使用される。例えば、平坦表面132がクーラント分配マニホルド110上のクイック・ディスコネクト・インターフェース111のカウンターパート(対応する)表面にいったん着座すると、キャプティブ・ハードウェア135は、回転されて、カウンターパート(対応する)表面内のネジ穴に受け入れられて、取り付けを固定することができる。キャプティブ・ハードウェア135が完全には係合しない場合、シール133の圧縮は、シャーシ・組立体・スロット内へのLRU103の挿入及びクイック・ディスコネクト・フィッティングの結合から生じる機械的力によって誘発される程度に制限される。キャプティブ・ハードウェア135は、シール133上の圧縮を、これらの力とは独立して、増加させることを可能にする。図1Cの例では、3つのキャプティブ・ハードウェア135が示されているが、このようなハードウェアは、より多く又はより少なく採用することができる。さらに、キャプティブ・ハードウェア135及び整合ピン134は、シール133が取り付けられているクイック・ディスコネクト・ブロック130の矩形平坦表面132の四隅に配置されているように示されている。キャプティブ・ハードウェア135が完全に係合すると、整合ピン134及びキャプティブ・ハードウェア135は、接続の機械的安定性に寄与する。明らかなように、同様の結果を達成するために、キャプティブ・ハードウェア135及び整合ピン134の異なる配置を採用することができる。
【0021】
図2A乃至図2Cは、図1図1A図1B及び図1Cのクーラント・インターフェースの動作を示す図である。図2Aは、LRU上のクーラント・インターフェースのためのクーリング・ディスコネクト・ブロック130の平坦表面132が、シャーシ組立体101のクーラント分配マニホルド110上のクイック・ディスコネクト・インターフェースのカウンターパート(対応する)表面に対して着座し、キャプティブ・ハードウェア135がまだ完全に係合していない状態200におけるクーラント・インターフェースを示す。図示の状態では、シール(図2Aでは見えない)は、クイック・ディスコネクト・ブロック130の平坦表面132とクイック・ディスコネクト・インターフェースのカウンターパート(対応する)表面との間で少なくとも部分的に圧縮される。キャプティブ・ハードウェア135が完全に係合すると、シールはさらに圧縮されて、流体漏れに対する密封を改善し、漏れのない動作を確実にする。仮想線で示されるように、クーラント・インターフェースが図2Aに示される状態200にあるとき、整合ピン134はガイド穴に完全に挿入され、クイック・ディスコネクト・フィッティング131はクイック・ディスコネクト・インターフェース上のカウンターパート(対応する)フィッティングに嵌合する。
【0022】
図2Bは、クイック・ディスコネクト・ブロック130が、シャーシ組立体101のクーラント分配マニホルド110上のクイック分配インターフェースに嵌合し始めた状態201における、クーラント・インターフェースを示す。LRU103をシャーシ組立体スロットに挿入する間、整合ピン134を最初に接続し、キャプティブ・ハードウェア135を最後に接続して、クイック・ディスコネクト・ブロック130とシャーシ組立体101のクーラント分配マニホルド110上のクイック・ディスコネクト・インターフェースとの間のシール133の圧縮を強化する。図2Bに示す状態201では、整合ピン134の先端のみがガイド穴に挿入され、クイック・ディスコネクト・フィッティング131は、クイック・ディスコネクト・インターフェース上のカウンターパート(対応する)フィッティングにちょうど嵌合し始めている。整合ピン134は、クーラント・インターフェースが図2Aに示すように完全に着座するように移動されるときに、係合精度を提供する。
【0023】
図2Cは、クイック・ディスコネクト・ブロック130がシャーシ組立体101のクーラント分配マニホルド110上のクイック・ディスコネクト・インターフェースから完全に分離されているが、概ね整合している状態202における、クーラント・インターフェースを示す。整合ピン134は、ガイド穴から完全に外れており、クイック・ディスコネクト・フィッティング131は、クイック・ディスコネクト・インターフェース上のカウンターパート(対応する)フィッティングから分離されている。
【0024】
本開示のクーラント・インターフェースは、漏れ防止動作と容易なメンテナンスを確実にするために、複数の方法を同時に組み込んでいる。フェイスシールは、極端な衝撃及び振動条件下でさえも、加圧運転中の漏れに対して証明された保護を提供するが、急速離脱は、このような状況では漏れを起こしやすい。しかしながら、迅速な離脱により、LRUは、メンテナンス条件下で、システムから液体を排出する必要もなく、又は真空補助クーラント格納容器を提供する必要もなく、冷却システムから係合/切断されることが可能となる。整合ピンは、LRU組立体上のクーラント・インターフェースとRMAシャーシ流体分配マニホルドとの間の嵌合精度を提供する。
【0025】
本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されるシステム、装置、及び方法に修正、追加、又は省略を行うことができる。例えば、システム及び装置の構成要素は、一体化又は分離され得る。さらに、本明細書に開示されたシステム及び装置の動作は、より多く、より少なく、又は他の構成要素によって実行することができ、記載された方法は、より多く、より少なく、又は他のステップを含み得る。さらに、ステップは、任意の適切な順序で実行され得る。本明細書で使用されるように、用語「各」は、セットの各メンバ又はセットのサブセットの各メンバを指す。
【0026】
本願明細書は、特定の要素、工程又は機能が、クレームの範囲に含まれなければならない必須又は重要な要素であることを示唆するものとして読むべきではない。すなわち、特許された主題の範囲は、許可されたクレームによってのみ定義される。さらに、これらのクレームの何れも、添付されたクレーム又はクレーム要素の何れに関しても、「手段」又は「ステップ」の正確な語が特定のクレームにおいて明示的に使用され、続いて、機能を特定する粒子語句が使用されない限り、35 USC §112(f)を援用することは意図されていない。クレーム内の(ただし、これに限定されないが)「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「素子」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」のような用語の使用は、クレーム自体の特徴によってさらに修正又は強化されるように、当業者に知られた構造を指すことが理解され、意図されており、35 U.S.C. §112(f)を援用することは意図されていない。機能的クレームであっても、実施形態やその等価物に限定されることはない。
図1
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C