(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/278 20220101AFI20240705BHJP
【FI】
H02K1/278
(21)【出願番号】P 2022505505
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 KR2020009293
(87)【国際公開番号】W WO2021020772
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0090881
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】キム チェ ヨン
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-097752(JP,A)
【文献】国際公開第2019/069547(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/278
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ、および
、
前記ロータと対応するように配置されるステータを含み、
前記ロータはロータコアおよび前記ロータコアに配置されるマグネットを含み、
前記ロータコアは第1ロータコアおよび前記第1ロータコア上に配置される第2ロータコアを含み、
前記第1ロータコアは前記マグネットの一部が配置される第1領域を含み、
前記第2ロータコアは前記マグネットの他の一部が配置される第2領域を含み、
前記第1領域および前記第2領域のうちの一つは2個の溝を含み、他の一つは前記2個の溝と軸方向に対応する領域に溝が形成され
ず、
前記溝は、前記ロータコアの外面に形成され、
前記第1領域と前記第2領域のそれぞれのコギングトルク波形は、位相が反対である、モータ。
【請求項2】
前記マグネットは複数個を含み、
前記第1領域は複数個を含み、
前記2個の溝は前記複数個の第1領域のうち少なくとも二つの第1領域に形成される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記複数個のマグネットの個数は前記複数個の第1領域の個数と同一である、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ステータと前記マグネットによって形成されるコギングトルクは10mNm以下である、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記他の一つに形成された溝は、前記マグネットの両側終端領域と対応する位置に1個ずつ2個形成される、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記ロータコアの中心を基準として、前記2個の溝は前記マグネットの両側終端領域と半径方向にオーバーラップされない、請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記2個の溝は前記マグネットの内面の円周方向幅を中心に対称となる位置に配置される、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記2個の溝それぞれの中心間の距離は前記マグネットの内面の長さの10%~30%である、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記ステータと前記マグネットによって形成されるコギングトルクは10mNm以下である、請求項1に記載のモータ。
【請求項10】
前記溝の幅は前記マグネットの内面の長さの6.5%~13%である、請求項1または8に記載のモータ。
【請求項11】
前記溝の深さは前記マグネットの内面の長さの1%~3.5%である、請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記ロータコアは前記溝を形成する底面および複数個の側面を含み、
前記溝の底面は前記マグネットの内面と接触しない、請求項1または3に記載のモータ。
【請求項13】
前記底面および前記複数個の側面は軸方向に沿って延びて形成される、請求項12に記載のモータ。
【請求項14】
シャフトと、
前記シャフトと一緒に回転するロータと、
前記ロータの半径方向に配置されたステータと、を含み、
前記ロータは、複数のロータコアと、前記ロータコアの外面に配置された複数のマグネットを含み、
前記複数のロータコアの一部は、前記マグネットが配置される外面に複数の溝が前記シャフトの軸方向に形成され、前記複数のロータコアの残りの一部には前記溝が形成されず、
前記溝が形成されたロータコアの少なくとも1つは、前記溝が形成されていないロータコアと当接するように配置される、モータ。
【請求項15】
前記マグネットの外面は、前記マグネットの内面を基準として円周方向の両端部より中心付近がさらに突出した形状を持つ、請求項14に記載のモータ。
【請求項16】
前記溝が形成されたロータコアのコギングトルク波形の位相と前記溝が形成されていないロータコアのコギングトルク波形の位相とは、互いに反対である、請求項14に記載のモータ。
【請求項17】
前記溝は、前記マグネットの両側終端領域と対応する位置にそれぞれ形成される、請求項14に記載のモータ。
【請求項18】
前記溝は、2個形成され、前記マグネットの内面の円周方向幅を中心に対称となる位置に配置される、請求項14に記載のモータ。
【請求項19】
前記2個の溝それぞれの中心間の距離は、前記マグネットの内面の長さの10%~30%である、請求項18に記載のモータ。
【請求項20】
前記溝の幅は、前記マグネットの内面の長さの6.5%~13%である、請求項14に記載のモータ。
【請求項21】
前記溝の深さは、前記マグネットの内面の長さの1%~3.5%である、請求項14に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例はモータに関する。
【背景技術】
【0002】
電動式操向装置(EPS)は車両の旋回安定性を保障し迅速な復原力を提供することによって、運転者にとって安全な走行を可能にする装置である。このような電動式操向装置は車速センサ、トルクアングルセンサおよびトルクセンサなどで感知した運行条件に応じて電子制御装置(Electronic Control Unit:ECU)を通じてモータを駆動して車両の操向軸の駆動を制御する。
【0003】
モータはステータとロータを含む。ステータは複数個のスロットを形成するトゥースを含むことができ、ロータはトゥースと向かい合う複数個のマグネットを含むことができる。隣接するトゥースは互いに離隔して配置されてスロットオープン(slot open)を形成する。この時、ロータが回転する過程で金属材質であるステータと空いた空間であるスロットオープンの空気の透磁率差によってコギングトルクが発生し得る。このようなコギングトルクは操向の敏感度または出力に影響を及ぼすことになり、したがって、コギングトルクを減らすために、ステータのトゥースに溝(ノッチ)を形成する。しかし、ステータのトゥースに溝を形成する場合、トゥースの位置に対する誤差によって溝の位置および形状に偏差が発生する問題がある。また、トゥースは溝を形成させるための面積が限定的であるため、溝の個数、大きさおよび形状を決定するにあたって多くの限界がある問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、実施例は前記のような問題点を解決するためのもので、コギングトルクを減らすことができるモータを提供することをその目的とする。
【0005】
実施例が解決しようとする課題は以上で言及された課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施例は、ロータおよび前記ロータと対応するように配置されるステータを含み、前記ロータはロータコアおよび前記ロータコアに配置されるマグネットを含み、前記ロータコアは前記マグネットが配置される第1領域を含み、前記ロータコアの前記第1領域は2個の溝を含み、前記2個の溝のうちの一つは前記マグネットの一側終端領域と対応する位置に配置され、他の一つは前記マグネットの他側終端領域と対応する位置に配置されるモータを提供することができる。
【0007】
好ましくは、前記ロータコアの中心を基準として前記2個の溝は前記マグネットの両側終端領域と半径方向にオーバーラップされ得る。
【0008】
実施例は、ロータおよび前記ロータと対応するように配置されるステータを含み、前記ロータはロータコアおよび前記ロータコアに配置されるマグネットを含み、前記ロータコアは第1ロータコアおよび前記第1ロータコア上に配置される第2ロータコアを含み、前記第1ロータコアは前記マグネットの一部が配置される第1領域を含み、前記第2ロータコアは前記マグネットの他の一部が配置される第2領域を含み、前記第1領域および前記第2領域のうちの一つは2個の溝を含み、他の一つは前記2個の溝と軸方向に対応する領域に溝が形成されなくてもよい。
【0009】
好ましくは、前記マグネットは複数個を含み、前記第1領域は複数個を含み、前記2個の溝は前記複数個の第1領域のうち少なくとも二つの第1領域に形成され得る。
【0010】
好ましくは、前記複数個のマグネットの個数は前記複数個の第1領域の個数と同一であってもよい。
【0011】
好ましくは、前記ステータと前記マグネットによって形成されるコギングトルクは10mNm以下であり得る。
【0012】
好ましくは、前記他の一つに形成された溝は前記マグネットの両側終端領域と対応する位置に1個ずつ2個形成され得る。
【0013】
好ましくは、前記ロータコアの中心を基準として前記2個の溝は前記マグネットの両側終端領域と半径方向にオーバーラップされなくてもよい。
【0014】
好ましくは、前記2個の溝は前記マグネットの内面の円周方向幅を中心に対称となる位置に配置され得る。
【0015】
好ましくは、前記2個の溝それぞれの中心間の距離は前記マグネットの内面の長さの10%~30%であり得る。
【0016】
実施例は、ロータおよび前記ロータと対応するように配置されるステータを含み、前記ロータはロータコアおよび前記ロータコアに配置されるマグネットを含み、前記ロータコアは前記マグネットが配置される第1領域を含み、前記ロータコアの前記第1領域は溝を含み、前記ステータと前記マグネットによって形成されるコギングトルクは10mNm以下であり得る。
【0017】
好ましくは、前記溝の幅は前記マグネットの内面の長さの6.5%~13%であり得る。
【0018】
好ましくは、前記溝の深さは前記マグネットの内面の長さの1%~3.5%であり得る。
【0019】
好ましくは、前記ロータコアは前記溝を形成する底面および複数個の側面を含み、前記溝の底面は前記マグネットの内面と接触しなくてもよい。
【0020】
好ましくは、前記底面および前記複数個の側面は軸方向に沿って延びて形成され得る。
【発明の効果】
【0021】
実施例によると、マグネットの両端部で磁束を減少させてコギングトルクを大幅に減らす有利な効果を提供する。
【0022】
実施例によると、溝が配置されたロータの一部領域のコギングトルク波形と溝が配置されていないロータの他の領域によるコギングトルク波形が相殺されて、コギングトルクを減らす有利な効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】第1タイプのマグネットと溝が配置されたロータコアの拡大図である。
【
図3】第2タイプのマグネットと溝が配置されたロータコアの拡大図である。
【
図4】
図2で図示したマグネットと溝の拡大図である。
【
図5】マグネットの両側終端領域付近で、比較例の磁束の大きさと実施例の磁束の大きさを示した絵である。
【
図6】比較例の第1コギングトルク波形と実施例の第2コギングトルク波形を図示したグラフである。
【
図7】第1ロータコアと第2ロータコアを含むロータコアを図示した図面である。
【
図8】
図7で図示したロータコアに配置された溝を図示した拡大図である。
【
図9】第1領域によって形成された第3コギングトルク波形と、第2領域によって形成された第4コギングトルク波形と、第3コギングトルク波形と第4コギングトルク波形が相殺されて形成された第5コギングトルク波形を図示した図面である。
【
図10】溝の幅に対応したコギングトルクを図示したグラフである。
【
図11】溝の幅に対応したコギングトルク波形を図示したグラフである。
【
図12】溝の深さに対応したコギングトルクを図示したグラフである。
【
図13】溝の深さに対応したコギングトルク波形を図示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。本発明の目的、特定の長所および新規の特徴は、添付された図面と関連する以下の詳細な説明と好ましい実施例からさらに明白となるであろう。そして、本発明の説明において、本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがある関連した公知技術に対する詳細な説明は省略する。
【0025】
【0026】
図1を参照すると、実施例に係るモータ1はシャフト100、ロータ200、ステータ300、ハウジング400、バスバー500、センシング部600および基板700を含むことができる。以下、内側とはハウジング400からモータの中心であるシャフト100に向かう方向を示し、外側とはシャフト100からハウジング400の方向に向かう方向である内側の反対方向を示す。
【0027】
シャフト100はロータ200に結合され得る。電流の供給を通じてロータ200とステータ300に電磁的相互作用が発生するとロータ200が回転し、これに連動してシャフト100が回転する。シャフト100はベアリング10により回転可能に支持される。シャフト100は車両の操向装置と連結されて動力を伝達することができる。
【0028】
ロータ200はステータ300と電気的相互作用を通じて回転する。ロータ200はステータ300の内側に配置され得る。ロータ200はロータコア(
図2の210)とロータコア210に配置されるマグネット(
図2の220)を含むことができる。この時、ロータ200はマグネット220がロータコア210の外周面に配置されるSPM Typeであり得る。
【0029】
ステータ300はロータ200の外側に配置される。ステータ300はステータコア300A、コイル300Bおよびステータコア300Aに装着されるインシュレーター300Cを含むことができる。コイル300Bはインシュレーター300Cに巻かれ得る。インシュレーター300Cはコイル300Bとステータコア300Aの間に配置され、ステータコア300Aとコイル300B間を互いに電気的に絶縁させる役割をする。コイル300Bはロータ200のマグネット(
図2の220)と電気的相互作用を誘発する。
【0030】
バスバー500はステータ300の上側に配置される。バスバー500は絶縁材質のバスバーホルダー(図示せず)とバスバーホルダーと結合する複数個のターミナル(図示せず)を含む。この時、バスバーホルダーは絶縁材質で形成されて複数個のターミナル間で互いに連結されて接続されることを防止する。また、複数個のターミナルはステータコア300Aに巻かれたコイル300Bを互いに連結してそれぞれのコイルに電流を印加する機能を遂行する。
【0031】
センシング部600はシャフト100に結合され得る。センシング部600はセンシングプレート(図示せず)とセンシングプレート上部に配置されるセンシングマグネット(図示せず)を含む。
【0032】
基板700はセンシングマグネット(図示せず)の磁力を感知するセンサが配置され得る。この時、センサはホールIC(Hall IC)であり得、シャフト100と結合されたセンシング部600のセンシングマグネットの磁束を感知する役割を遂行する。回転によって変化する磁束を感知してセンシング部600と基板700はロータ200の位置を検出するための機能を遂行する。
【0033】
図2は、第1タイプのマグネット220と溝211が配置されたロータコア210の拡大図である。
【0034】
図2を参照すると、ステータコア300Aはヨーク310とトゥース320を含むことができる。トゥース320はヨーク310の内周面から突出され得る。トゥース320は複数個であり得る。トゥース320の個数はマグネット220の個数に対応して多様に変更実施され得る。ステータコア300Aはこのようなヨーク310とトゥース320を含む複数の分割コアが組み合わせられて形成され得る。
【0035】
コギングトルクは振幅と周波数を有する波動の形態で現れ、コギングメイン次数とは、モータの単位回転(1回転)当たりコギングトルク波形の振動回数を意味する。コギングメイン次数が大きくなると、コギングトルク波形の振動回数が増加することを意味するため、コギングトルクを大幅に減らすことができる。コギングメイン次数はマグネット220の個数とトゥース320の個数によって決定され得る。このようなコギングメイン次数を増加させるとコギングトルクを減らすことができるが、マグネット220の個数とトゥース320の個数は固定されるため、コギングメイン次数も固定される。
【0036】
しかし、実施例に係るモータ1は、二種類の方法を利用してコギングトルクを減らそうとする。一つは、ロータコア210の形状変更(溝)を通じてコギングメイン次数を増やすことによって、周波数を大きくしてコギングトルクの大きさを減らそうとする。もう一つは、ロータコア210の形状が変更(溝)された領域とそうでない領域を組み合わせることによって、正位相のコギングトルク波形と逆位相のコギングトルク波形の干渉を誘発してコギングトルクの大きさを減らそうとする。
【0037】
ロータコア210はマグネット220が配置される第1領域を含む。第1領域はロータコア210の外面のうちのマグネット220が装着または結合される領域を意味する。
【0038】
図2でロータコア210の第1領域Aは平面であり得る。例えば、シャフト100の長さ方向と垂直なロータコア210の断面は多角形であり得る。第1領域Aはロータコア210の外面のうち軸方向に沿って配置された外面であり、ロータコア210がガイド突起212を含む場合、円周方向を基準として、ガイド突起212とガイド突起212の間に該当する領域であり得、ロータコア210がガイド突起212を含まない場合、円周方向を基準として、ロータコア210の角ばった角と角の間に該当する領域であり得る。
【0039】
このようなロータコア210に対応して、第1タイプのマグネット220は曲面形態の外面221と平面形態の内面222を含む形状を有することができる。マグネット220の外面221はステータ300のトゥース320と向かい合う面であり、マグネット220の内面222はロータコア210と向かい合う面である。このようなマグネット220の外面221は、マグネット220の内面222を基準として円周方向の両端部より中心付近がさらに突出した形状を有し得、曲面形態の外面221の曲率は中心付近が両端部より小さいか同一であり得る。
【0040】
図3は、第2タイプのマグネット220と溝が配置されたロータコアの拡大図である。
【0041】
図3でロータコア210の第1領域Aは曲面であり得る。例えば、シャフト100の長さ方向と垂直なロータコア210の断面は円形であり得る。第1領域Aはロータコア210の外面のうちの軸方向に沿って配置された外面であり、ロータコア210がガイド突起212を含む場合、円周方向を基準として、ガイド突起212とガイド突起212の間に該当する領域であり得、
図3のPのように、ロータコア210がガイド突起212を含まない場合、円周方向を基準として、マグネット220の内面222と対応するロータコア210の外周面であり得る。
【0042】
このようなロータコア210に対応して、第2タイプのマグネット220は曲面形態の外面221および内面222を含む形状を有することができる。このようなマグネット220の形状は、例えば、内面222の曲率半径が外面221の曲率半径より大きくてもよい。この時、曲面形態の内面222の曲率はロータコア210の第1領域Aの外周面に沿って曲率が一定であり得、曲面形態の外面221の曲率は中心付近が両端部より小さいか同一であり得る。
【0043】
図2および
図3を参照すると、ロータコア210の第1領域Aには2個の溝211が配置され得る。2個の溝211のうちいずれか一つはマグネット220の一側終端領域M1と対応する位置に配置され得る。2個の溝211のうち他の一つはマグネット220の他側終端領域M2と対応する位置に配置され得る。すなわち、マグネット220の一側終端領域M1と他側終端領域M2はマグネット220の両側面またはガイド突起212を含むロータコア210であれば、ガイド突起212と隣接した領域であると見ることができる。例えば、ロータコア210の中心Cを基準として半径方向から見る時、2個の溝211のうちいずれか一つは一側終端領域M1とオーバーラップするように配置され得、2個の溝211のうち他の一つは他側終端領域M2とオーバーラップするように配置され得る。
【0044】
第1領域Aは複数個が配置され得る。マグネット220の個数は第1領域Aの個数と同一であってもよい。2個の溝211は複数個の第1領域Aのうち少なくとも二つの第1領域Aに形成され得る。
【0045】
図4は、
図2で図示したマグネット220と溝211の拡大図である。
【0046】
図4を参照すると、2個の溝211はマグネット220の内面222の円周方向幅の中心C1を通る基準線L1を基準として対称となるように配置され得る。
【0047】
ロータコア210は溝211を形成する底面211aと複数個の側面211bを含むことができる。この時、底面211aはマグネット220の内面222と接触しない。このような底面211aと側面211bは軸方向に沿って長く延びて形成され得る。また、マグネット220の一側終端領域M1と対応するロータコア210の溝211は、マグネット220の一側面と溝211を形成する複数個の側面211bのうちの一つと整列され得、他側終端領域M2と対応するロータコア210の溝211はマグネット220の他側面と溝211を形成する複数個の側面211bのうちの一つと整列され得る。
【0048】
このような2個の溝211はマグネット220の両側終端領域M1、M2で、マグネット220とロータコア210の間にエアーギャップ(air gap)を形成させる。その結果、マグネット220の両側終端領域M1、M2で磁束の大きさを減らすことによって、コギングトルクを減らすことができる。また、ステータ300のトゥース320より比較的面積が広いロータコア210の外面に溝211が配置されるため、溝211の設計が容易であり、溝211の寸法精度が高い利点がある。
【0049】
図5は、マグネット220の両側終端領域M1、M2付近で、比較例の磁束の大きさと実施例の磁束の大きさを図示した図である。
【0050】
図5の左側の図は溝がない比較例の磁束の大きさを示したものである。
【0051】
図5の右側の図は溝211がある実施例の磁束の大きさを示したものである。
【0052】
図5でGはマグネット220の両側終端領域M1、M2付近を示す。
図5のGを基準として、
図5の左側の図に図示された比較例の磁束の大きさに比べて、
図5の右側の図に図示された実施例の磁束の大きさが顕著に減っていることが確認できる。これは溝211によって形成されたマグネット220とロータコア210の間のエアーギャップによったものである。
【0053】
マグネット220の両側終端領域M1、M2とステータトゥース320の磁気的影響によってコギングトルクが大きく発生するが、このようにマグネット220の両側終端領域M1、M2の磁束の大きさを減らせば磁気的影響が減少することになり、これによってコギングトルクを大幅に減らすことができる。
【0054】
図6は、比較例の第1コギングトルク波形と実施例の第2コギングトルク波形を図示したグラフである。
【0055】
図6を参照すると、溝211がない比較例の第1コギングトルク波形T1が示すコギングトルクの大きさは44mNmであるのに反して、溝211が配置された実施例の第2コギングトルク波形T2で示すコギングトルクの大きさは8mNmであって、比較例で測定されたコギングトルクより82%減少したことを確認することができる。
【0056】
図7は第1ロータコア210Aと第2ロータコア210Bを含むロータコア210を図示した図面であり、
図8は
図7で図示した第1ロータコア210Aに配置された溝211を図示した拡大図である。
【0057】
図7を参照すると、ロータコア210は第1ロータコア210Aと第2ロータコア210Bを含むことができる。第1ロータコア210Aと第2ロータコア210Bは、正位相のコギングトルク波形と逆位相のコギングトルク波形の干渉を誘発してコギングトルクの大きさを減らそうとするためのものである。
【0058】
第1ロータコア210Aと第2ロータコア210Bは軸方向に積層されて同軸を有するように配置され得る。
【0059】
第1ロータコア210Aはマグネット220の一部が配置される第1領域Aを含むことができる。
【0060】
第2ロータコア210Bはマグネット220の一部が配置される第2領域Bを含むことができる。
【0061】
第1領域Aには2個の溝211が配置され得る。第2領域Bには第1領域Aに形成された2個の溝211と軸方向に対応する領域に溝211が配置されないことができる。
【0062】
2個の溝211はマグネット220の両側終端領域M1、M2と対応しない位置に配置され得る。例えば、ロータコア210の中心Cを基準として半径方向から見る時、2個の溝211はそれぞれマグネット220の両側終端領域M1、M2とオーバーラップされないように配置され得る。
【0063】
2個の溝211はマグネット220の内面222の円周方向幅の中心C2を通る基準線L2を基準として対称となるように配置され得る。
【0064】
図9は、第1領域Aを有する第1ロータコア210Aによって形成された第3コギングトルク波形T3と、第2領域Bを有する第2ロータコア210Bによって形成された第4コギングトルク波形T4と、第3コギングトルク波形T3と第4コギングトルク波形T4が相殺されて形成された第5コギングトルク波形T5を図示した図面である。
【0065】
第3コギングトルク波形T3と第4コギングトルク波形T4は位相が反対である。したがって、第1ロータコア210Aと第2ロータコア210Bを軸方向に積層したロータコア210は、第1ロータコア210Aによって形成された第3コギングトルク波形T3と第2ロータコア210Bによって形成された第4コギングトルク波形T4が互いに干渉を起こして形成された第5コギングトルク波形T5を生成する。
【0066】
第5コギングトルク波形T5を詳察すると、コギングトルクが大きく低減されたことを確認することができる。
【0067】
図10は溝211の幅Wに対応したコギングトルクの大きさを図示したグラフであり、
図11は溝211の幅Wに対応したコギングトルク波形を図示したグラフである。
【0068】
図4、
図10および
図11を参照すると、マグネット220の内面222の長さL対比溝211の幅Wが6.5%~13%以内(以下、「区間1」という)であるとき、測定コギングトルクが基準コギングトルクより低く示される。例えば、マグネット220の内面222の長さLが14mmであるとき、溝211の幅Wは0.9~1.8mm範囲内で、測定コギングトルクが基準コギングトルクより低く示されることを確認することができる。基準コギングトルクは製品で要求されるコギングトルクの基準値であり得る。例えば、基準コギングトルクは15mNmであり得る。ここで、溝211の幅Wは底面211aの幅であり得る。
【0069】
マグネット220の内面222の長さL対比溝211の幅Wが7.5%~10%以内(以下、「区間2」という)で、区間1より測定コギングトルクの低減効果が大きいものと示される。例えば、マグネット220の内面222の長さLが14mmであるとき、溝211の幅Wは1.05mm~1.4mm範囲内で、区間1より測定コギングトルクの低減効果が大きいものと確認される。
【0070】
マグネット220の内面222の長さL対比溝211の幅Wが8.0%であるとき、例えば、溝211の幅Wが1.2mmであるとき、コギングトルクは10mNm以下と示されて、区間1および区間2に比べてコギングトルクの低減効果が最も大きいものと確認される。
【0071】
図12は溝211の深さDに対応したコギングトルクを図示したグラフであり、
図13は溝211の深さDに対応したコギングトルク波形を図示したグラフである。
【0072】
図4、
図12および
図13を参照すると、マグネット220の内面222の長さL対比溝211の深さDが1%~3.5%以内(以下、「区間3」という)であるとき、測定コギングトルクが基準コギングトルク(例えば、20mNm)より低く示される。例えば、マグネット220の内面222の長さLが14mmであるとき、溝211の深さは0.15~0.5mm範囲内で、測定コギングトルクが基準コギングトルクより低く示されることを確認することができる。ここで、溝211の深さDは側面211bの半経方向の長さであり得る。
【0073】
マグネット220の内面222の長さL対比溝211の深さが1.4%~2.8%以内(以下、「区間4」という)で、区間3より測定コギングトルクの低減効果が大きいものと示される。例えば、マグネット220の内面222の長さLが14mmであるとき、溝211の幅Wは0.2mm~0.39mm範囲内で、区間3より測定コギングトルクの低減効果が大きいものと確認される。
【0074】
マグネット220の内面222の長さL対比溝211の深さが2.1%であるとき、例えば、溝211の深さが0.3mmであるとき、コギングトルクは10mNm以下と示されて、区間3および区間4に比べてコギングトルクの低減効果が最も大きいものと確認される。
【0075】
一方、第1領域Aに配置された2個の溝211の間の離隔距離(
図8のX)は、マグネット220の内面222の長さLの10%~30%であるときにコギングトルクが大きく低減される。離隔距離(
図8のX)の基準は溝211の幅の中心であり得る。
【0076】
特に、第1領域Aに配置された2個の溝211の間の離隔距離(X)は、マグネット220の内面222の長さLの20%であるときにコギングトルクの低減効果が最も大きい。
【0077】
以上、本発明の好ましい一実施例に係るモータに関して添付された図面を参照して詳察した。
【0078】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更および置き換えが可能であろう。したがって、本発明に開示された実施例および添付された図面は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例および添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。