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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】クレーン、クレーン本体及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20240705BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20240705BHJP
   G08G 5/04 20060101ALI20240705BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240705BHJP
【FI】
B66C13/46 F
B66C13/00 D
G08G5/04 A
G05D1/46
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022510738
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021012862
(87)【国際公開番号】W WO2021193919
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020057207
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】戸井田 実
(72)【発明者】
【氏名】本庄 浩平
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095370(JP,A)
【文献】特開2020-019644(JP,A)
【文献】特開2019-089612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0016569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/46
B66C 13/00
G08G 5/04
G05D 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン本体と、
飛行体と、
前記クレーン本体に対して、吊荷の運搬の出発地と目的地との間を当該飛行体が障害物を回避して自律的に飛行移動または操縦されて飛行移動することにより前記クレーン本体の吊荷の運搬における経路情報を取得する経路情報取得部と、
前記経路情報が示す移動経路に従って前記クレーン本体の運搬動作を行うための操縦支援を行う支援部と、
を備えるクレーン。
【請求項2】
前記飛行体は、前記吊荷の運搬の目的地又は出発地の地点情報を取得する地点情報取得部を備える請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記飛行体は、前記地点情報に基づいて、前記吊荷の運搬の出発地と目的地の間の自律的な飛行を実行させる第一の飛行制御部を備える請求項2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記飛行体の周囲の障害物を検出する障害検出部と、
前記吊荷の大きさを取得する吊荷情報取得部と、
前記吊荷の大きさに基づいて前記飛行体を中心とする干渉エリアを設定すると共に、当該干渉エリアが周囲の障害物と干渉しない飛行を実行させる第二の飛行制御部と、
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項5】
前記吊荷情報取得部は、前記飛行体に設けられた撮像装置による前記吊荷の撮像画像から前記吊荷の大きさを取得する請求項4に記載のクレーン。
【請求項6】
前記飛行体は、現在位置を取得可能であって、
前記経路情報取得部は、前記飛行体が取得する現在位置に基づいて、前記クレーン本体の吊荷の運搬における経路情報を取得する請求項1から5のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項7】
前記支援部は、前記経路情報が示す移動経路を逆方向に辿って前記クレーン本体が前記目的地から前記出発地に戻る帰還動作を行うように支援する請求項3に記載のクレーン。
【請求項8】
前記経路情報が示す移動経路を編集する経路編集部を備え、
前記支援部は、編集後の前記移動経路に沿って前記クレーン本体の運搬動作を支援する請求項1から7のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項9】
クレーン本体に対して、吊荷の運搬の出発地と目的地との間を障害物を回避して自律的に飛行移動または操縦されて飛行移動する飛行体により取得されたクレーン本体の吊荷の運搬における経路情報が示す移動経路に従って運搬動作を行うための操縦支援が行われるクレーン本体。
【請求項10】
コンピュータを、
クレーン本体に対して、吊荷の運搬の出発地と目的地との間を障害物を回避して自律的に飛行移動または操縦されて飛行移動する飛行体によりクレーン本体の吊荷の運搬における経路情報を取得する経路情報取得部、
前記経路情報が示す移動経路に従って前記クレーン本体の運搬動作を行うための操縦支援を行う支援部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊荷の運搬を適正に行うクレーン、クレーン本体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブルクレーンは、吊荷を格納するバケットと運搬の目的地とにそれぞれGPS受信機を設け、バケットの位置と目的地とが接近した時に吊荷を下ろすことで、正確な運搬を実現していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-11868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、バケットがケーブルに沿って移動するので、経路が一定に定められた運搬にしか対応することができず、必要に応じて経路に変動を生じる環境での吊荷の運搬に適用することが出来なかった。
【0005】
本発明は、適正な経路で吊荷を運搬することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、クレーンにおいて、クレーン本体と、飛行体と、前記クレーン本体に対して、吊荷の運搬の出発地と目的地との間を当該飛行体が障害物を回避して自律的に飛行移動または操縦されて飛行移動することにより前記クレーン本体の吊荷の運搬における経路情報を取得する経路情報取得部と、前記経路情報が示す移動経路に従って前記クレーン本体の運搬動作を行うための操縦支援を行う支援部と、を備えるという構成としている。
【0007】
また、他の発明は、クレーン本体において、
クレーン本体に対して、吊荷の運搬の出発地と目的地との間を障害物を回避して自律的に飛行移動または操縦されて飛行移動する飛行体により取得されたクレーン本体の吊荷の運搬における経路情報が示す移動経路に従って運搬動作を行うための操縦支援が行われるという構成としている。
【0008】
また、他の発明は、プログラムにおいて、
コンピュータを、
クレーン本体に対して、吊荷の運搬の出発地と目的地との間を障害物を回避して自律的に飛行移動または操縦されて飛行移動する飛行体によりクレーン本体の吊荷の運搬における経路情報を取得する経路情報取得部、
前記経路情報が示す移動経路に従って前記クレーン本体の運搬動作を行うための操縦支援を行う支援部、
として機能させるという構成としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適正な経路で吊荷を運搬することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るクレーンの概略構成を示す図である。
図2】飛行体の制御系を示すブロック図である。
図3】操縦装置のブロック図である。
図4】探索による出発地と目的地の位置情報取得を行う際の撮像画像を示した説明図である。
図5】探索による出発地と目的地の位置情報取得を行う際のフローチャートである。
図6】吊り下げられた状態の吊荷の撮像から干渉エリアを設定する場合を示す説明図である。
図7】第二の飛行制御部による飛行体の制御を示すフローチャートである。
図8】第二の飛行制御部による飛行体の動作を上方から見た図である。
図9】第一の飛行制御部による飛行体の制御を示すフローチャートである。
図10】出発地と目的地とクレーン本体と障害物との配置を上方から示した説明図である。
図11】クレーン本体の斜視図である。
図12】クレーン端末の制御系を示すブロック図である。
図13】経路編集部による編集画面を示した説明図である。
図14】情報提供部によるナビゲーションメッセージの表示例を示す説明図である。
図15】飛行体の制御部とクレーン端末のコントローラが行っている一部の機能構成を実行するコンピュータのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[クレーンの概略構成]
図1は本発明の実施形態に係るクレーンの概略構成を示す図である。図1に示すように、クレーン10は、主に、クレーン本体20と飛行体40とを備えており、飛行体40を利用して取得した経路情報に基づいて、クレーン本体20が吊荷の運搬を行う。
【0012】
[飛行体]
図2は飛行体40の制御系を示すブロック図である。
飛行体40は、複数のロータを有し、各ロータの駆動源となるモータの出力を制御することにより飛行し、昇降動作、前後左右の移動、正逆の旋回等を自在に行うことが可能ないわゆるドローンと呼ばれる機体である。
飛行体40は、クレーン本体20による吊荷の運搬における出発地Sと目的地Dとの間を飛行して、その経路情報を取得する。
また、飛行体40は、自律飛行により出発地Sと目的地Dとの間を飛行する自律飛行モードと、図3に示す操縦装置49を用いた作業者による操縦に従って飛行を行う操縦モードとを選択することが出来る。
【0013】
図2に示すように、飛行体40は、撮像装置としてのカメラ41、測位部421、方位センサ422、高さセンサ423、姿勢センサ424、駆動部43、制御部44、データ記憶部45、メモリ46、通信部471、指令受信部472、ビーコン受信部473を備えている。
なお、上述したカメラ41、測位部421、方位センサ422、高さセンサ423、姿勢センサ424等のセンサ類は、一例であり、飛行体40が、これらの内の一部について搭載してない構成としても良い。
【0014】
カメラ41は、飛行体40の機体に定められた前側に向けられて支持されており、機体の向きに応じて視線の先の光景を撮像する。上記カメラ41は、一定のフレームレートで連続的に撮像画像を取得することができる。これにより、運搬における出発地Sと目的地Dとの間の経路上の周囲の状況の撮像を行うことができる。撮像によって得られた画像信号は、カメラ41に接続された画像処理部411に出力され、画像処理部411により所定形式の撮像画像データが生成されてメモリ46内に記録される。
【0015】
上記カメラ41は、可視光線の画像を取得するものに限らず、赤外線を撮像する赤外線カメラを使用しても良い。赤外線カメラを使用した場合、位相差法等により、距離画像データを得ることが可能となる。
また、単願カメラに限らず、ステレオカメラを使用しても良い。この場合も、距離画像データを得ることが可能となる。
なお、ステレオカメラや赤外線カメラに限らず、単願カメラにより接近した二箇所から撮像した撮像画像により距離画像データを得ることも可能とである。
【0016】
測位部421は、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機であり、飛行体40の三次元上の現在位置を測定する。
方位センサ422は、三軸のジャイロ方位角センサであり、飛行体40の進行方向及び機体の傾斜角度を検出する。
高さセンサ423は、例えば光学式であり、下方に投光し、その反射光に生じる位相差から機体の高さを検出する。
姿勢センサ424は、三次元の加速度センサからなり、飛行体40に定められたX軸、Y軸、Z軸の各方向の加速度を検出する。これら各軸について検出される重力加速度から機体の姿勢を検出することができる。
【0017】
通信部471は、無線のデータ通信装置からなり、クレーン本体20のクレーン端末30や操縦装置49との間で無線通信を行う。通信部471は、クレーン端末30や操縦装置49との間でのみ無線通信可能なデータ通信装置であっても良いし、基地局を介してネットワーク回線を通じて通信を行うデータ通信装置であっても良い。
この通信部471は、主に、クレーン端末30及び操縦装置49に対するカメラ41による撮像画像データの送信と、クレーン端末30に対する飛行体40で取得された後述する経路情報のデータの送信とを実行する。
【0018】
指令受信部472は、無線受信装置であり、操縦装置49から出力される操縦指令を受信する。
ビーコン受信部473は、吊荷Lの運搬における出発地Sや目的地Dに設置されるビーコン発信器474(図1参照)からの出力信号を受信する受信装置である。ビーコン発信器474は、GPS等のGNSS受信機と信号出力装置とを備えている。そして、ビーコン発信器474の設置された設置位置の位置情報をGNSS受信機で取得すると共に、当該位置情報を現在地発信信号として無線発信する。ビーコン受信部473は、ビーコン発信器474が発信する目的地Dの位置情報を受信して取得することができる。
【0019】
駆動部43は、飛行体40の移動動作のための推力を出力する構成であり、複数のロータと各ロータごとに設けられた複数の回転駆動源であるモータとを有する。各モータは、機体が目標の移動方向に向かって移動が行われるように、制御部44によって制御される。
【0020】
データ記憶部45は、飛行体40の制御プログラムや制御に関する各種の情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。
メモリ46は、カメラ41の撮像による撮像画像データを記憶する。メモリ46は、半導体メモリや不揮発性の記憶装置を使用することができる。
【0021】
[飛行体:操縦装置]
図3は飛行体40の操縦装置49のブロック図である。図3に示すように、操縦装置49は、通信部491、指令送信部492、表示部493、操作部494、コントローラ495、メモリ496を備えている。
【0022】
通信部491は、無線のデータ通信装置からなり、飛行体40からの撮像画像データを受信する。受信した撮像画像データは、半導体メモリや不揮発性の記憶装置からなるメモリ496に記憶される。
通信部491は、飛行体40との間でのみ無線通信可能なデータ通信装置であっても良いし、基地局を介してネットワーク回線を通じて通信を行うデータ通信装置であっても良い。
【0023】
操作部494は、操縦桿やスイッチからなる入力装置であり、飛行体40の前進、後退、左移動、右移動、上昇、下降、左旋回、右旋回、ホバリング等の動作を入力することができる。また、操作部494は、飛行体40の自律飛行モードと操縦モードの選択、飛行体40の起動、停止等を入力することが出来る。
【0024】
指令送信部492は、無線送信装置であり、操作部494から入力された動作に応じた操縦指令を飛行体40の指令受信部472に対して送信する。
表示部493は、飛行体40から受信した撮像画像データに基づく撮像画像を表示するためのディスプレイである。
【0025】
コントローラ495は、CPUや記憶装置であるROMおよびRAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成されている。
そして、コントローラ495は、表示部493に対する撮像画像の表示制御、操作部494の入力に基づく操縦指令の送信制御、飛行体40から受信した撮像画像データのメモリ496への格納処理等を実行する。
【0026】
上記構成により、操縦装置49は、操縦モードにおいて、飛行体40のカメラ41の撮像画像をリアルタイムで表示部493に表示し、当該撮像画像を見ながら飛行体40の操縦を行うことを可能とする。
【0027】
[飛行体:制御部]
制御部44は、地点情報取得部441、経路情報取得部442、第一の飛行制御部443、第二の飛行制御部444、吊荷情報取得部445を備えている。これらは、制御部44が備える中央処理装置がデータ記憶部45内のプログラムを実行することにより実現する機能的な構成である。
なお、地点情報取得部441、経路情報取得部442、第一の飛行制御部443、第二の飛行制御部444、吊荷情報取得部445は、プログラムにより実現する機能的な構成である場合に限らず、それぞれの機能を実行する専用の回路やチップで構成しても良い。
【0028】
[制御部:地点情報取得部]
地点情報取得部441は、経路情報取得部442において、吊荷Lの運搬の出発地Sから目的地Dまでの経路情報を得るために、予め、出発地Sと目的地Dの位置情報を取得する。
なお、飛行体40が出発地Sから飛行を開始する場合には、目的地Dの位置情報のみを取得する構成としても良い。
図1に示すように、出発地Sは、予め、吊荷Lが用意される場所であり、当該出発地Sにおいて、クレーン本体20の主フック244に対して吊荷Lの玉がけ作業が行われる。
目的地Dは、吊荷Lが運搬される場所であり、クレーン本体20の主フック244から吊荷Lの玉はずし作業が行われる。
なお、出発地S又は目的地Dとクレーン本体20とが非常に近い場合には、クレーン本体20の位置を出発地S又は目的地Dと見なしても良い。
【0029】
地点情報取得部441によって、出発地Sと目的地Dの位置情報を取得する方法は、(1)作業者による入力情報の取得、(2)現在地発信信号による取得、(3)探索による取得等が
挙げられる。
なお、地点情報取得部441は、上記(1)~(3)の内のいずれか一つのみを実行するか、これらを選択可能として予め選択されている方法を実行する構成としても良いし、上記(1)~(3)に優先順位を定めて、位置情報が取得できるまで、優先順位に従って上記(1)~(3)を順番に実行する構成としても良い。
【0030】
(1)作業者による入力情報の取得の場合
例えば、後述するクレーン端末30の入力部331から出発地Sと目的地Dの位置座標等の位置情報が設定入力され、位置情報を保有している場合に、地点情報取得部441は、クレーン端末30に対して、通信部471を通じて、出発地Sと目的地Dの位置情報の要求指令を送り、これらをクレーン端末30から取得する。
なお、操縦装置49に、出発地Sと目的地Dの位置座標等の位置情報を入力するための入力部を設け、地点情報取得部441は、操縦装置49から出発地Sと目的地Dの位置情報を取得する構成としても良い。
【0031】
(2)現在地発信信号による取得
この場合、地点情報取得部441は、図1に示すように、出発地Sや目的地Dに設置されたビーコン発信器474から発信される設置位置の位置情報をビーコン受信部473で受信して取得する。
【0032】
(3)探索による取得
図4は探索による取得を行う際の撮像画像を示した説明図、図5は探索による取得を行う際に地点情報取得部441が実行する処理を示したフローチャートである。
この場合、地点情報取得部441は、図4に示すように、出発地Sや目的地Dに設置されたマーキングMを飛行体40のカメラ41で探索する。
即ち、地点情報取得部441は、駆動部43を制御して、飛行体40を規定の高さまで上昇させた状態で(ステップS1)、周囲を順番に撮像する(ステップS3)。そして、得られた撮像画像内でマーキングMの画像を探索する(ステップS5)。この判定は、パターンマッチング或いは機械学習の手法を用いても良い。
一方、カメラ41は、一定のフレームレートで連続的に撮像画像を取得するので、地点情報取得部441は、マーキングMの画像が存在する前後のフレーム画像と、測位部421から求まる各フレーム画像を撮像したときの飛行体40の位置座標とから、マーキングMの三次元上の位置座標を算出する。即ち、前後のフレーム画像の範囲内においてマーキングMを抽出し、それぞれのフレーム画像内の位置を特定することで、マーキングMの三次元座標を算出することができる。
これにより、地点情報取得部441は、マーキングMの位置座標を求め、出発地S又は目的地Dの位置情報を取得することができる。
【0033】
[制御部:経路情報取得部]
経路情報取得部442は、自律飛行モードと操縦モードのいずれの場合に拘わらず、出発地Sから目的地Dまで飛行した時の飛行体40の位置を逐次記録して、クレーン本体20の吊荷Lの運搬における経路情報を取得する。
即ち、地点情報取得部441で取得された出発地Sと目的地Dの位置情報に基づいて、飛行体40が自律飛行モード又は操縦モードで出発地Sから目的地Dまで飛行している場合に、微小なサンプリング間隔で測位部421により検出された飛行体40の検出位置を記録する。
経路情報取得部442は、これにより、出発地Sから目的地Dに到る経路上で連続的に並んだ複数点の位置座標からなる経路情報を取得することが出来る。
【0034】
[制御部:吊荷情報取得部]
後述する第二の飛行制御部444は、吊荷Lの大きさに基づいて飛行体40を中心とする干渉エリアIを設定すると共に、当該干渉エリアIが周囲の障害物と干渉しない飛行を実行させるように飛行体40を制御する。
吊荷情報取得部445は、第二の飛行制御部444が干渉エリアIを設定するための吊荷Lの大きさの情報(吊荷情報とする)を取得する。
【0035】
吊荷情報取得部445によって、吊荷情報を取得する方法は、(1)作業者による入力情報の取得、(2)飛行体40のカメラ41による撮像による取得等が挙げられる。
なお、吊荷情報取得部445は、上記(1)又は(2)の内のいずれかのみを実行するか、これらを選択可能として予め選択されている方法を実行する構成としても良いし、上記(1)又は(2)に優先順位を定めて、吊荷情報が取得できるまで、優先順位に従って上記(1)又は(2)を順番に実行する構成としても良い。
【0036】
(1)作業者による入力情報の取得の場合
例えば、クレーン端末30の入力部331から吊荷Lの上下、左右、前後の寸法が入力され、これらを吊荷情報として保有している場合に、吊荷情報取得部445は、クレーン端末30に対して、通信部471を通じて、吊荷情報の要求指令を送り、クレーン端末30から取得する。
この場合も、操縦装置49に吊荷情報の入力部を設け、地点情報取得部441は、操縦装置49から吊荷情報を取得する構成としても良い。
【0037】
(2)飛行体40のカメラ41による撮像による取得
この場合、吊荷情報取得部445は、飛行体40をクレーン本体20まで飛行させて、図6に示すように、吊り下げられた状態の吊荷Lを撮像させる。クレーン本体20は、後述するが、測位部324を備え、自機の位置を検出することができるので、クレーン本体20の位置情報を飛行体40が取得することにより、クレーン本体20の所在地まで飛行して、飛行体40のカメラ41によりクレーン本体20の撮像を行うことが可能となる。飛行体40は、クレーン本体20の各部を撮像し、取得される撮像画像の中から、例えば、主フック244をパターンマッチング等の手法で探索し、主フック244に取り付けられた吊荷Lを特定することができる。吊荷Lは複数方向から撮像を行い、寸法が既知である部材(例えば、主フック244)との対比により、吊荷Lの上下左右前後の寸法である吊荷情報を取得することが出来る。
なお、作業者が飛行体40をクレーン本体20まで運んで吊荷Lの撮像を行っても良い。その場合でも、撮像時のクレーン本体20の位置情報をクレーン端末30から取得することが好ましい。
【0038】
[制御部:第二の飛行制御部]
第二の飛行制御部444は、自律飛行モードと操縦モードのいずれの場合に拘わらず、飛行体40が出発地Sと目的地Dとの間を飛行する場合において、吊荷Lの大きさに基づいて飛行体40を中心とする干渉エリアIを設定すると共に、当該干渉エリアIが周囲の障害物と干渉しない飛行を実行させる制御を行う。
【0039】
具体的には、図7のフローチャートに示すように、第二の飛行制御部444は、飛行中において、吊荷情報取得部445の吊荷情報に基づいて吊荷Lの寸法と等しいか幾分余裕を持った大きさの立体的な干渉エリアI(図6参照)を飛行体40の周囲に仮想的に設定する(ステップS11)。このとき、飛行体40の中心と干渉エリアIの中心とを一致させる。
【0040】
そして、カメラ41により飛行体40の前方の光景を撮像し(ステップS13)、撮像画像から視界内の障害物Hを検出する(ステップS15)。すなわち、この場合、カメラ41は、障害検出部として機能する。
前述したように、カメラ41は、一定のフレームレートで連続的に撮像画像を取得するので、第二の飛行制御部444は、飛行中にカメラ41により撮像された連続するフレーム画像内の特徴点を抽出し、測位部421から求まる各フレーム画像を撮像したときの飛行体40の位置座標から、各特徴点の三次元的な位置座標を算出することができる。各特徴点が飛行体40の前方に位置する構造物からなる障害物Hの角部等である場合、これらを結ぶことで空間内の障害物Hの範囲を画定することができ、障害物Hの三次元的な位置情報を検出することが出来る。
【0041】
そして、第二の飛行制御部444は、飛行体40を中心とする立体的な干渉エリアIと障害物Hの三次元的な位置情報とを照合して、飛行体40がそのまま進行すると障害物Hと干渉エリアIとが干渉を生じるか否かを判定し(ステップS17)、干渉を生じない場合にはそのまま進行して処理を終了する。
また、干渉を生じる場合には、干渉を避ける方向を決定すると共に(ステップS19)、図8に示すように、干渉を避ける方向に機体を回避移動させて進行を継続する(ステップS21)。そして、処理を終了する。
【0042】
なお、上記第二の飛行制御部444の上記処理は、飛行体40の飛行中において、短周期的に繰り返し実行される。
【0043】
[制御部:第一の飛行制御部]
第一の飛行制御部443は、自律飛行モードにより飛行体40に出発地Sと目的地Dとの間を飛行させる制御を実行する。
【0044】
具体的には、図9のフローチャートに示すように、第一の飛行制御部443は、まず、地点情報取得部441から出発地Sと目的地Dの位置情報を取得し、また、運搬時におけるクレーン本体20の位置情報をクレーン端末30から取得する(ステップS31)。クレーン端末30は、測位部324を備えており、当該測位部324で検出したクレーン本体20の現在位置情報を通信部471の通信により取得する。
【0045】
さらに、第一の飛行制御部443は、クレーン本体20の作業範囲情報をクレーン端末30から取得する(ステップS33)。クレーン端末30は、後述するクレーン本体20のブーム23の長さや吊荷Lの重量等により、ブーム23の起伏角度が一定の角度範囲内に制限される。従って、後述するクレーン本体20の上部旋回体22の旋回とブーム23の起伏可能な角度範囲とにより、クレーン本体20の作業範囲Wが決定される(図1及び図10参照)。クレーン端末30の後述する作業範囲設定部313は、上記クレーン本体20の作業範囲を上記各種の条件から算出し、作業範囲情報として保有している。
第一の飛行制御部443は、クレーン本体20の作業範囲情報を、通信部471の通信によりクレーン端末30に要求し、取得する。
【0046】
上記各情報を取得すると、第一の飛行制御部443は、飛行体40による飛行を開始させる(ステップS35)。このとき、出発地Sよりも目的地Dが高位置の場合には(ステップS37)、飛行体40を目的地Dの高さまで上昇させ(ステップS39)、出発地Sよりも目的地Dが高くない場合には現在の高さを維持する。
【0047】
そして、飛行体40を目的地D側に向けて水平に飛行させると共に(ステップS41)、カメラ41による撮像を開始する(ステップS43)。
そして、撮像画像から進路上の障害物Hを検出する(ステップS45)。この障害物Hの検出は、前述した第二の飛行制御部444と同じ手法で行われる。即ち、カメラ41により撮像された連続するフレーム画像内の特徴点を抽出し、各特徴点の三次元的な位置座標を求め、これらを結んで空間内の障害物Hの三次元的な位置情報を検出する。
【0048】
第一の飛行制御部443は、進行方向先に障害物Hがあるか否かを判定し(ステップS47)、障害物Hがない場合にはステップS57に処理をすすめる。
また、進行方向先に障害物Hが存在する場合には、上方に回避することが可能か否かを判定する(ステップS49)。
【0049】
図10は出発地Sと目的地Dとクレーン本体20と障害物Hとの配置を上方から示した説明図である。図1及び図10に示す符号Wはクレーン本体20の作業範囲である。図10では作業範囲Wの外側を斜線でマスクしている。
図10に示すように、飛行体40が障害物Hに対して上方に回避するルートR1を選択した場合に、飛行体40の上方回避ルートR1がクレーン本体20の作業範囲Wの内側であれば、第一の飛行制御部443は、上方に回避可能と判定し、上方回避ルートR1を選択する(ステップS51)。
【0050】
また、上方回避ルートR1がクレーン本体20の作業範囲Wの外側となる場合には、飛行体40が水平面に沿って障害物Hの周回する水平回避ルートR2がクレーン本体20の作業範囲Wの側となるか否かにより水平回避可能か判定する(ステップS53)。
なお、障害物Hの水平回避ルートR2は、クレーン本体20に近い方を通過するルートと遠い方を通過するルートとが存在する場合があるが、その場合には、作業範囲Wとなる方を選択する。また、両方選択可能である場合には、近い方を選択する等、予め設定しておけばよい。
【0051】
上記判定で水平回避ルートR2も選択できない場合には、現在のクレーン本体20の配置では障害物Hを回避して吊荷Lを運搬不可能としてエラー終了する。エラーの発生は、クレーン端末30や操縦装置49に通知してもよい。また、エラーの際には、飛行体40は出発地Sに戻るように制御してもよい。
一方、飛行体40の水平回避ルートR2がクレーン本体20の作業範囲Wの内側であれば、第一の飛行制御部443は、水平回避ルートR2を選択する(ステップS55)。
【0052】
そして、第一の飛行制御部443は、飛行体40の目的地Dの到達を判定し(ステップS57)、到達した場合には、飛行体40を下降させて着地させて制御を終了する。
また、到達していない場合には、ステップS41に処理を戻し、回避後の位置から目的地Dを目指して飛行すると共に、新たな障害物Hの検出を行う。
【0053】
なお、上記第一の飛行制御部443による飛行体40の飛行制御の実行中にも、前述した第二の飛行制御部444による飛行制御も並行して実行される。このため、第一の飛行制御部443の制御に従って飛行体40が障害物Hの近傍を通過する際に、第二の飛行制御部444が干渉エリアIとの干渉を検出すると、第一の飛行制御部443の制御による進行方向を維持しつつも障害物Hを回避する動作が並行して実行される。
【0054】
また、上記飛行体40の飛行中にも経路情報取得部442が、微小なサンプリング間隔で測位部421により検出された飛行体40の検出位置を記録して、出発地Sから目的地Dまでの経路情報を生成する。
【0055】
[制御部:操縦モードでの処理]
また、前述したように、飛行体40は、操縦装置49による操縦モードで出発地Sから目的地Dまで飛行させることができる。
この場合、作業者は、操縦装置49の表示部493で飛行体40のカメラ41の撮像画像を見ながら出発地Sから目的地Dまで手動操縦で飛行させることとなる。
この操縦モードでの飛行中において、制御部44は、常に飛行体40がクレーン本体20の作業範囲W内であるか否かを判定し、作業範囲W内を飛行するように制限制御を実行する。例えば、作業範囲Wの外側に向かう飛行体40を作業範囲Wの境界で進行を停止させる等の制御を実行する。また、その場合に、作業範囲Wの外側に向かっていることを操縦装置49に通知してもよい。
さらに、操縦モードでの飛行中も、経路情報取得部442が微小なサンプリング間隔で飛行体40の検出位置を記録してクレーン本体20の吊荷Lの運搬における経路情報を取得すると共に、第二の飛行制御部444による飛行制御も並行して実行される。
従って、操縦モードで出発地Sから目的地Dまで飛行させることにより、設定された干渉エリアIで障害物Hを回避し、作業範囲内となる経路情報を生成することができる。
【0056】
[クレーン本体]
図11はクレーン本体20の斜視図である。
クレーン本体20について図11に基づいて説明する。ここではクレーン本体20として、いわゆる移動式のクローラクレーンを例示する。以下のクレーン本体20の記載に関して、クレーン本体20の前進方向(上部旋回体22の向いている方向とは関係なく、下部走行体21の予め定められた前進方向)を「前」、後退方向を「後」、前を向いた状態で左手側を「左」、前を向いた状態で右手側を「右」とする。
なお、クレーン本体20は、自律的な制御により吊荷Lの運搬を行う自律動作モードと、搭乗する作業者による操縦に従って吊荷Lの運搬を行う操縦モードとを選択することが出来る。
【0057】
図11において、クレーン本体20は、自走可能なクローラ式の下部走行体21と、下部走行体21上に旋回可能に搭載された上部旋回体22と、上部旋回体22の前側に起伏可能に取付けられたブーム23とを含んで構成されている。
【0058】
下部走行体21は、トラックフレーム211と、トラックフレーム211の左,右両側に設けられた駆動輪212及び遊動輪213と、駆動輪212と遊動輪213に巻回された履帯214とを備えている。左,右の駆動輪212は、それぞれ図示しない走行用油圧モータによって回転駆動される。
【0059】
上部旋回体22は、前,後方向に延びる旋回フレーム221を有している。旋回フレーム221の前側にはブーム23の下端部が支持されている。また、旋回フレーム221におけるブーム支持位置よりも後側には、ガントリ25の下端部が支持されている。
また上部旋回体22は、図示しない旋回用油圧モータによって下部走行体21に対して垂直軸回りに旋回駆動される。
【0060】
旋回フレーム221の後部には、ブーム23及び吊荷Lとの重量バランスをとるカウンタウエイト222が配設されている。カウンタウエイト222は、必要に応じて枚数を増減させることができる。
【0061】
カウンタウエイト222のすぐ前側には、ブーム起伏ウインチ(図示略)が配設され、その前側には、主巻ウインチ241と補巻ウインチ242が配設されている。
また、旋回フレーム221の右前側にはキャブ225が配置されている。キャブ225内の運転室には、後述するクレーン端末30が配置されている。
【0062】
ブーム23は、上部旋回体22の旋回フレーム221に起伏可能に取付けられている。ブーム23は、下部ブーム231と中間ブーム232と上部ブーム233とを備えている。
上部ブーム233の上端部には、シーブブラケット234,235が設けられている。シーブブラケット234にはガイドシーブ236が回転可能に取付けられ、シーブブラケット235にはポイントシーブ237が回転可能に取付けられている。ガイドシーブ236およびポイントシーブ237は、主巻ロープ243が巻回されるものである。
【0063】
主巻ウインチ241は、主巻用油圧モータ(図示略)により、主巻ロープ243の巻取り、巻出しを行い、主フック244及び吊荷Lを昇降させる。
補巻ウインチ242は、補巻用油圧モータ(図示略)により、図示しない補フックが取り付けられた補巻ロープ(図示略)の巻取り、巻出しを行う。
【0064】
ガントリ25は、その下端部が旋回フレーム221の図示しないブラケットにピン結合により回動可能に取付けられており、その上端部が前後方向に回動可能となっている。ガントリ25の上端部には、複数枚のシーブを有するブーム用下部スプレッダ251が設けられている。
【0065】
一方、ブーム起伏ロープ26は、ブーム用巻回ロープ261とブーム用ペンダントロープ262とにより構成されている。
ブーム用ペンダントロープ262の上端部は、上部ブーム233の上端部に連結され、ブーム用ペンダントロープ262の下端部には、複数枚のシーブを有するブーム用上部スプレッダ252が設けられている。
ブーム用巻回ロープ261は、一端側がブーム起伏ウインチに巻回され、他端側がブーム用上部スプレッダ252の各シーブとブーム用下部スプレッダ251の各シーブとに巻回されている。
【0066】
ブーム起伏ウインチは、起伏用油圧モータ(図示略)により、ブーム用巻回ロープ261の巻取り、巻出しを行い、旋回フレーム221に対してブーム23の起伏角度を調節する。
【0067】
[クレーン本体:クレーン端末]
図12はクレーン端末30の構成を示すブロック図である。クレーン端末30は、クレーン本体20に搭載された制御端末であり、クレーン本体20の走行、旋回、吊荷等の各種動作の制御を行う。
クレーン端末30は、CPUや記憶装置であるROMおよびRAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成されているコントローラ31を備えている。
【0068】
コントローラ31には、ロードセル321、ブーム角度センサ322、旋回量センサ323、測位部324、入力部331、表示装置332、警報器341、通信部35、操作レバー37、コントロールバルブ38、メモリ36が接続されている。
【0069】
ロードセル321は、ブーム用上部スプレッダ252に取り付けられており、ブーム23を起伏させるブーム起伏ロープ26に作用する張力を検出し、検出した張力に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。
入力部331は、たとえば、タッチパネルであり、作業者からの操作に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。作業者は、入力部331を操作してブーム23の長さ、吊荷Lの重量、自律動作モードと手動モードの選択、吊荷の出発地S及び目的地Dの位置座標等の位置情報等を設定できる。
【0070】
ブーム角度センサ322は、ブーム23の基端側に取り付けられており、ブーム23の起伏角度(以下、ブーム角度とも記す)を検出し、検出したブーム角度に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。ブーム角度センサ322は、たとえば、水平面に対する角度である対地角をブーム角度として検出する。
【0071】
旋回量センサ323は、下部走行体21と上部旋回体22の間に取り付けられており、上部旋回体22の旋回角度を検出し、検出した旋回角度に対応する制御信号をコントローラ31に出力する。旋回量センサ323は、たとえば、垂直軸回りの角度を旋回角度として検出する。
【0072】
測位部324は、GPS等のGNSS受信機であり、クレーン本体20の現在位置を測定する。
【0073】
表示装置332は、たとえば、入力部331としても利用されるタッチパネル式のディスプレイを備え、コントローラ31から出力される制御信号に基づいて、表示画面に吊荷Lの重量、ブーム角度、上部旋回体22の旋回角度等の情報を表示する。また、飛行体40のカメラ41の撮像画像の表示も行うことができる。
警報器341は、コントローラ31から出力される制御信号に基づいて、警報を発生する。
【0074】
通信部35は、無線のデータ通信装置からなり、飛行体40との間で無線通信を行う。通信部35は、飛行体40との間でのみ無線通信可能なデータ通信装置であっても良いし、基地局を介してネットワーク回線を通じて通信を行うデータ通信装置であっても良い。
この通信部35では、飛行体40からの撮像画像データや飛行体40において取得された経路情報のデータを受信する。受信した各種のデータは、半導体メモリや不揮発性の記憶装置からなるメモリ36に格納される。
【0075】
コントロールバルブ38は、コントローラ31からの制御信号に応じて切り替えが可能な複数のバルブから構成されている。
例えば、コントロールバルブ38は、クレーン本体20が備える油圧ポンプから下部走行体21の各駆動輪212の回転駆動を行う走行用油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、油圧ポンプから上部旋回体22の旋回動作を行う旋回用油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、油圧ポンプからブーム起伏ウインチの回転駆動を行う起伏用油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、油圧ポンプから主巻ウインチ241の回転駆動を行う主巻用油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ、油圧ポンプから補巻ウインチ242の回転駆動を行う補巻用油圧モータへの油圧の供給と切断及び回転方向を切り替えるバルブ等を含んでいる。
【0076】
操作レバー37は、例えば、クレーン本体20に各種の動作を行わせる操作を手動入力し、操作レバー37の操作量に対応する制御信号をコントローラ31に入力する。
例えば、操作レバー37の一つである走行レバーは、前述した下部走行体21の駆動輪212の回転駆動を行う走行用油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つである旋回レバーは、前述した油圧ポンプから上部旋回体22の旋回動作を行う旋回用油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つであるブーム起伏レバーは、前述した油圧ポンプからブーム起伏ウインチの回転駆動を行う起伏用油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つである巻き上げレバーは、前述した油圧ポンプから主巻ウインチ241の回転駆動を行う主巻用油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
また、操作レバー37の一つである補巻用巻き上げレバーは、前述した油圧ポンプから補巻ウインチ242の回転駆動を行う補巻用油圧モータへの油圧の供給、停止及び回転方向の切り替えを行うバルブに対して切り替え信号の入力を行う。
【0077】
[コントローラ]
コントローラ31は、クレーン制御部としての自律制御部311、情報提供部312、作業範囲設定部313、経路編集部314、ウインチ制御部315を備えている。これらは、コントローラ31が備える中央処理装置がROM内のプログラムを実行することにより実現する機能的な構成である。
なお、自律制御部311、情報提供部312、作業範囲設定部313、経路編集部314、ウインチ制御部315は、プログラムにより実現する機能的な構成である場合に限らず、それぞれの機能を実行する専用の回路やチップで構成しても良い。
また、クレーン制御部としての自律制御部311と、情報提供部312とは、いずれも、クレーン本体の運搬動作を行うための操縦支援を行う支援部に相当する構成である。
また、自律制御部311が行う後述する吊荷Lを経路情報に定められた経路に従って運搬する自律的な制御や、主フック244を経路情報が示す経路を逆方向に辿って出発地Sまで戻す自律的な帰還動作の制御は、操縦支援に相当する。
さらに、情報提供部312が行う、後述する、経路情報に従って操縦が行われるように、表示装置332において、操縦支援情報としてのナビゲーションメッセージNを順番に表示する制御や、経路情報が示す経路を逆方向に辿って出発地Sまで戻す操縦が行われるように、表示装置332において、作業者に対して、操縦支援情報としてのナビゲーションメッセージNを個々の動作ごとに順番に表示する制御は、操縦支援に相当する。尚、上述のメッセージを表示する制御にかえて音声などで作業者に対して報知することも操縦支援に相当する。
【0078】
[コントローラ:荷重制御部]
ウインチ制御部315は、ロードセル321の出力に基づいて主フック244に加わる吊荷Lによる荷重を算出する。さらに、荷重が定格総荷重以上であるか判定し、定格総荷重以上の場合に、警報器341に警報信号を出力すると共に主巻ウインチ241や起伏ウインチの駆動を停止させる。警報器341に警報信号が入力されると、警報を発生する。
【0079】
[コントローラ:作業範囲設定部]
前述したように、クレーン本体20は、ブーム23の長さや吊荷Lの重量等により、ブーム23の起伏角度が一定の角度範囲内に制限される。
作業範囲設定部313は、入力部331により、ブーム23の長さと吊荷Lが入力されると、適正なブーム23の起伏角度の範囲を算出し、当該起伏角度の範囲によって定まるブーム23の可動域に基づいて定まる主フック244及び吊荷Lの可動範囲を上部旋回体22の旋回中心軸を中心として回転させた回転体からなる作業範囲Wを設定する。
そして、上記作業範囲Wの境界の三次元データを算出し、作業範囲情報としてメモリ36に格納する。この作業範囲情報は飛行体40の制御部44からの要求によって通信部35から送信する。
また、作業範囲設定部313は、クレーン本体20の動作中は、ブーム角度センサ322の検出角度を監視して、適正なブーム23の起伏角度の範囲でのみブーム23が起伏回動を行うように回動動作を制限する。
【0080】
[コントローラ:自律制御部]
自律制御部311は、飛行体40が取得した吊荷Lの運搬の出発地Sから目的地Dまでの経路情報を、通信部35を通じて要求し、取得する。
さらに、自律制御部311は、経路情報に定められた経路を吊荷Lがトレースして運搬されるように、旋回用油圧モータ、起伏用油圧モータ、主巻用油圧モータを駆動させるコントロールバルブ38を制御する。これにより、自律動作モードにおいて、主巻ウインチ241の巻取り、巻出し、上部旋回体22の旋回、ブーム23の回動動作が行われ、吊荷Lが運搬の出発地Sから目的地Dまでの経路情報に定められた経路に従って運搬される。
【0081】
また、自律制御部311は、吊荷Lを目的地Dまで運搬し、玉外しが終わると、主フック244を経路情報が示す経路を逆方向に辿って出発地Sまで戻す帰還動作の制御を実行する。この帰還動作の制御は、入力部331からの指示に従って開始しても良いし、ロードセル321等で吊荷Lの玉外しにより検出荷重が低減したことを検出したときに開始してもよい。
【0082】
[コントローラ:経路編集部]
吊荷Lの運搬における出発地Sから目的地Dまでの経路情報に定められた経路は、飛行体40の自律的又は任意的な操縦による移動経路によって定められているので、経路に冗長性やクレーン本体20の経路として不適切な部分が生じる場合がある。
そこで、経路編集部314は、図13に示すように、経路情報に定められた経路RとポインタPとを表示装置332に表示すると共に、入力部331から経路R中の冗長部分等の編集対象箇所BをポインタPで指定する操作を受け付けて経路Rに変更を加える編集作業を実行する。具体的には、編集対象箇所Bを削除する、経路R上の二点を短絡させる、途中に経路を追加する、編集対象箇所Bの経路の向きを変更する等の操作を受け付けて、経路Rを編集後の経路Rに更新する。
これにより、より適正な経路Rに従ってクレーン本体20の吊荷Lの運搬動作を実現することが可能となる。
【0083】
[コントローラ:情報提供部]
前述したように、クレーン本体20は、搭乗する作業者による操縦に従って吊荷Lの運搬を行う操縦モードを実行することができる。
クレーン端末30の入力部331において、操縦モードが選択されると、操作レバー37の操作に従って、上部旋回体22の旋回動作、ブーム23の起伏回動動作、主巻ウインチ241及び補巻ウインチ242の巻取り、巻出し動作が実行される。
一方、情報提供部312は、操縦モードが選択されると、通信部35を通じて、飛行体40に対して吊荷Lの運搬における出発地Sから目的地Dまでの経路情報を要求し、取得する。
そして、情報提供部312は、図14に示すように、吊荷Lの運搬における出発地Sから目的地Dまでの経路情報に従って操縦が行われるように、表示装置332において、作業者に対して、操縦支援情報としてのナビゲーションメッセージNを個々の動作ごとに順番に表示する。
情報提供部312は、クレーン本体20の動作対象部分の動作をセンサにより検出し、一つのナビゲーションメッセージNが示す動作が行われると、次のナビゲーションメッセージに順次表示を切り替える。従って、個々のナビゲーションメッセージNに従って順番に操縦を行うことで、クレーン本体20は、吊荷Lの運搬における出発地Sから目的地Dまでの経路情報に従って運搬動作を行うことができる。
また、情報提供部312は、経路情報が示す経路を逆方向に辿って出発地Sまで戻す操縦が行われるように、表示装置332において、作業者に対して、操縦支援情報としてのナビゲーションメッセージNを個々の動作ごとに順番に表示する。
【0084】
[発明の実施形態の技術的効果]
上記クレーン10は、飛行体40によりクレーン本体20の吊荷Lの運搬における経路情報を経路情報取得部442が取得し、当該経路情報が示す移動経路に従ってクレーン本体20の運搬動作を制御する自律制御部311を備えている。
従って、目的地Dがクレーン本体20からは視覚的に確認することが困難な場所であっても、吊荷Lの適正な運搬動作を行うことが可能となる。
また、同様に、目的地Dまでの経路がクレーン本体20からは視覚的に確認することが困難な場合であっても、吊荷Lの適正な運搬動作を行うことが可能となる。
【0085】
また、上記飛行体40が吊荷Lの運搬の出発地S又は目的地Dの情報を取得する地点情報取得部441を備えているので、設定された出発地S又は目的地Dに対して飛行体40を飛行させることができ、より正確に移動経路を設定することが可能となる。
【0086】
また、飛行体40は、地点情報に基づいて、吊荷Lの運搬の出発地と目的地の間の自律的な飛行を実行させる第一の飛行制御部443を備えているので、飛行体40を操縦して移動経路を設定する作業負担を軽減することが可能となる。
また、出発地Sから目的地Dまでの経路の全体が、一箇所から視覚的に確認することが困難な状況であっても、操縦を不要とするので、適正な経路を設定することが可能となる。
【0087】
また、飛行体40は、カメラ41によりその周囲の障害物Hを検出し、吊荷情報取得部445による吊荷Lの大きさに基づいて飛行体40を中心とする干渉エリアIを設定して、当該干渉エリアIが周囲の障害物Hと干渉しない飛行を実行させる第二の飛行制御部444を備えているので、飛行体40によって取得された経路は、吊荷Lと障害物Hとの干渉を抑制し、クレーン本体20による良好な運搬を実現することが可能となる。
また、吊荷情報取得部445は、カメラ41による吊荷Lの撮像画像から吊荷Lの大きさを取得するので、計測作業の負担の低減し、また、実際の吊荷の大きさに則した吊荷情報を取得することが可能となる。
【0088】
また、経路情報取得部442は、飛行体40がクレーン本体20の作業範囲Wを飛行することにより、当該作業範囲W内となる経路情報を取得するので、取得した経路情報に従って作業範囲Wと干渉せずにクレーン本体20を動作させることができ、より適正な運搬作業を行うことが可能となる。
【0089】
また、クレーン端末30の自律制御部311は、経路情報が示す移動経路を逆方向に辿ってクレーン本体20が目的地から出発地に戻る帰還動作の制御を実行するので、クレーン本体20を迅速に次の運搬作業に移行させることができ、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0090】
また、クレーン端末30は、経路情報が示す移動経路を編集する経路編集部314を備え、自律制御部311は、編集後の移動経路に沿ってクレーン本体20の運搬動作を制御するので、飛行体40の飛行により取得された経路を改良することができ、より適正な経路で吊荷Lの運搬を行うことが可能となる。
【0091】
また、クレーン端末30は、経路情報が示す移動経路に従ってクレーン本体20の運搬動作を行うためのナビゲーションメッセージ等の操縦支援情報を提供する情報提供部312を備えているので、操作レバー37を作業者が操作してクレーン本体20の操縦を行う場合であっても、飛行体40で取得された適正な経路に従って運搬作業を行うことが可能となる。
【0092】
[その他]
上記発明の実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記クレーン本体20は、クローラクレーンを例示したがこれに限らず、タワークレーン、ホイールクレーン、トラッククレーン等の移動式クレーンに加えて、港湾クレーン、天井クレーン、ジブクレーン、門型クレーン、アンローダ等、あらゆるクレーンに適用可能である。
【0093】
また、飛行体40にカメラ41を搭載して経路情報の取得を行う場合を例示したが、これに限らず、飛行体40の前方の物体の三次元形状を検出可能なレーザー変位センサ、超音波センサ等を使用しても良い。
【0094】
さらに、飛行体40にカメラ41を搭載して経路情報の取得を行う場合を例示したが、これに限らず、カメラ41は地上に設置し、出発地Sと目的地Dの間を飛行する飛行体40を撮像し、撮像画像から飛行体40の位置を算出して経路情報を取得しても良い。
また、その場合、カメラ41に通信部を併設し、撮像画像データを外部に送信して、外部で経路情報を求める構成としても良い。また、カメラ41の通信部は、飛行体40やクレーン端末30や操縦装置49との間でのみ無線通信可能なデータ通信装置であっても良いし、基地局を介してネットワーク回線を通じて通信を行うデータ通信装置であっても良い。
【0095】
また、飛行体40の経路情報取得部442や第一の飛行制御部443は、飛行体40が出発地Sから目的地Dまで飛行することを前提とする場合を例示したが、飛行体40は、目的地Dから出発地Sまで飛行させてもよい。その場合、経路情報として、目的地Dから出発地Sまで経路が取得されることとなるが、クレーン本体20の吊荷Lの運搬の際に、自律制御部311は、当該経路情報が示す経路を逆方向に辿るようにクレーン本体20を制御すれば良い。
【0096】
また、飛行体40は、自律飛行モードと操縦モードとが選択可能である場合を例示したが、自律飛行モード又は操縦モードのいずれか一方のみを実行可能な飛行体であっても良い。
また、飛行体40の飛行は、一回の飛行について自律飛行モード又は操縦モードのいずれか一方のみで行わなくとも良い。
例えば、飛行体40は、目的地Dと出発地Sとの間の飛行について、自律飛行モードと操縦モードとを部分的に組み合わせて飛行させてもよい。具体的には、飛行体40は、出発地S又は目的地Dのいずれか一方又は両方について、それらの周辺を操縦モードで飛行し、それら以外を自律飛行モードで飛行する等のようにしても良い。
【0097】
同様に、クレーン本体20は、自律動作モードと操縦モードが選択可能である場合を例示したが、自律動作モード又は操縦モードのいずれか一方のみを実行可能なクレーン本体であっても良い。
また、クレーン本体20の場合も、自律動作モードと操縦モードとを部分的に組み合わせて作業を行っても良い。
【0098】
また、クレーン10は、図15に示すように、クレーンの本体20の外部に無線通信やネットワーク通信が可能なサーバ等から構成されたコンピュータ50を備え、コンピュータ50が備えるCPU54が、飛行体40の制御部44やクレーン端末30のコントローラ31が行っている一部の構成を制御部44又はコントローラ31に替わって実行する構成としても良い。
コンピュータ50は、図1に示すように、画像を表示する表示装置51、作業者による各種の情報の入力を行う入力部52、通信部53、CPU54、記憶装置56、RAM55を備える。
さらに、CPU54は、地点情報取得部441、経路情報取得部442、第一の飛行制御部443、第二の飛行制御部444、吊荷情報取得部445、自律制御部311、情報提供部312、作業範囲設定部313、経路編集部314、ウインチ制御部315として機能するソフトウェアモジュールを有する。
上述した地点情報取得部441、経路情報取得部442、第一の飛行制御部443、第二の飛行制御部444、吊荷情報取得部445、自律制御部311、情報提供部312、作業範囲設定部313、経路編集部314及びウインチ制御部315は、CPU54が記憶装置56内のプログラムを実行することで実現される。
【0099】
上記コンピュータ50を有する構成の場合、飛行体40の制御部44は、主として、飛行体40が有する各種の検出を行うセンサ類の検出情報、カメラ41による撮像画像データをコンピュータ50に送信し、コンピュータ50から受信する各種の指令に基づいて各部の動作を実行する。
また、同様に、クレーン端末30のコントローラ31も、クレーン端末30が有する各種の検出を行うセンサ類の検出情報をコンピュータ50に送信し、コンピュータ50から受信する各種の指令に基づいて各部の動作を実行する。また、クレーン端末30の入力部331で行われる入力をコンピュータ50の入力部52から入力可能としても良いし、クレーン端末30の表示装置332で表示される表示内容をコンピュータ50の表示装置51で表示可能としても良い。
【0100】
なお、地点情報取得部441、経路情報取得部442、第一の飛行制御部443、第二の飛行制御部444、吊荷情報取得部445、自律制御部311、情報提供部312、作業範囲設定部313、経路編集部314、ウインチ制御部315の内のいずれか一部のみをコンピュータ50が行う構成としても良い。
【0101】
また、前述したように、カメラ41を飛行体40とは別に設ける場合に、このコンピュータ50に併設したり、このコンピュータ50を有線又は無線で通信可能としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、クレーン、クレーン本体及びプログラムについて産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0103】
10 クレーン
20 クレーン本体
21 下部走行体
22 上部旋回体
221 旋回フレーム
23 ブーム
241 主巻ウインチ
244 主フック
30 クレーン端末
31 コントローラ
311 自律制御部(クレーン制御部、支援部)
312 情報提供部(支援部)
313 作業範囲設定部
314 経路編集部
324 測位部
332 表示装置
331 入力部
37 操作レバー
40 飛行体
41 カメラ(撮像装置、障害検出部)
421 測位部
422 方位センサ
423 高さセンサ
424 姿勢センサ
43 駆動部
44 制御部
441 地点情報取得部
442 経路情報取得部
443 第一の飛行制御部
444 第二の飛行制御部
445 吊荷情報取得部
473 ビーコン受信部
474 ビーコン発信器
49 操縦装置
493 表示部
494 操作部
50 コンピュータ
B 編集対象箇所
D 目的地
H 障害物
I 干渉エリア
L 吊荷
M マーキング
N ナビゲーションメッセージ
P ポインタ
R 経路
R1 上方回避ルート
R2 水平回避ルート
S 出発地
W 作業範囲
図1
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図3
図4
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