IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 電気化学工業株式会社の特許一覧

特許7515597発泡性組成物、並びに、発泡体及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】発泡性組成物、並びに、発泡体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/06 20060101AFI20240705BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20240705BHJP
   C08L 11/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C08J9/06 CEQ
C08J9/04 103
C08L11/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022540023
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2021017732
(87)【国際公開番号】W WO2022024489
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2020130855
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寿雄
(72)【発明者】
【氏名】石黒 博行
(72)【発明者】
【氏名】砂田 貴史
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-298328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/06
C08J 9/04
C08L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロプレン重合体と、可塑剤と、発泡剤と、しゃく解剤と、を含有し、
前記可塑剤がセバシン酸誘導体を含み、
前記発泡剤がヒドラジド系発泡剤を含み、
前記クロロプレン重合体100質量部に対して、充填剤の含有量が10質量部以下であり、前記可塑剤の含有量が3質量部以上であり、前記発泡剤の含有量が5質量部以上であり、前記しゃく解剤の含有量が0.1質量部以上である、発泡性組成物。
【請求項2】
前記クロロプレン重合体が硫黄変性クロロプレン重合体を含む、請求項1に記載の発泡性組成物。
【請求項3】
前記充填剤がカーボンブラックを含む、請求項1又は2に記載の発泡性組成物。
【請求項4】
前記充填剤の含有量が、前記クロロプレン重合体100質量部に対して、0質量部を超え10質量部以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項5】
前記可塑剤の含有量が、前記クロロプレン重合体100質量部に対して、3~20質量部である、請求項1~のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項6】
前記しゃく解剤がジチオカルバミン酸塩系化合物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項7】
前記しゃく解剤の含有量が、前記クロロプレン重合体100質量部に対して、0.1~2質量部である、請求項1~のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の発泡性組成物の発泡体。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の発泡性組成物を発泡させる工程を備える、発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性組成物、並びに、発泡体及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体は、建築物、自動車、電気機器、音響機器等の各種用途に用いることができる。発泡体を得るための発泡性組成物としては、ポリプロピレンを含有する組成物等が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-119089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発泡体を得るための発泡性組成物に対しては、比重の低い発泡体を効率的に得る観点から、発泡倍率が高いことが求められる。
【0005】
本発明の一側面は、高い発泡倍率を有する発泡性組成物を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、このような発泡性組成物の発泡体を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、このような発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、クロロプレン重合体と、可塑剤と、発泡剤と、しゃく解剤と、を含有し、前記クロロプレン重合体100質量部に対して、充填剤の含有量が10質量部以下であり、前記可塑剤の含有量が3質量部以上であり、前記発泡剤の含有量が5質量部以上であり、前記しゃく解剤の含有量が0.1質量部以上である、発泡性組成物に関する。
【0007】
このような発泡性組成物は、高い発泡倍率を有する。これにより、比重の低い発泡体を効率的に得ることができる。
【0008】
本発明の他の一側面は、上述の発泡性組成物の発泡体に関する。本発明の他の一側面は、上述の発泡性組成物を発泡させる工程を備える、発泡体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、高い発泡倍率を有する発泡性組成物を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、このような発泡性組成物の発泡体を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、このような発泡体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本明細書において、数値範囲の「A以上」とは、A、及び、Aを超える範囲を意味する。数値範囲の「A以下」とは、A、及び、A未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸、及び、それに対応するメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリレート」等の他の類似の表現においても同様である。
【0012】
本実施形態に係る発泡性組成物は、クロロプレン重合体と、可塑剤と、発泡剤と、しゃく解剤と、を含有する。本実施形態に係る発泡性組成物において、クロロプレン重合体100質量部に対して、充填剤の含有量は10質量部以下であり、可塑剤の含有量は3質量部以上であり、発泡剤の含有量は5質量部以上であり、しゃく解剤の含有量は0.1質量部以上である。本実施形態に係る発泡体は、本実施形態に係る発泡性組成物を発泡させることにより得られる発泡体であり、本実施形態に係る発泡性組成物の発泡体である。
【0013】
本実施形態に係る発泡性組成物は、高い発泡倍率を有する。これにより、比重の低い発泡体を効率的に得ることができる。例えば、本実施形態に係る発泡性組成物によれば、当該発泡性組成物からなる縦20mm、横20mm、厚さ3mmのシートを170℃で20分間発泡させた後に25℃で30分保持した際に700%(体積%)以上の発泡倍率([(発泡後の体積-発泡前の体積)/発泡前の体積]×100)を得ることができる。発泡倍率の評価を目的としない場合には、当該条件以外の条件により発泡体を得てよい。
【0014】
上述の発泡倍率は、750%以上、800%以上、850%以上、900%以上、950%以上、1000%以上、又は、1050%以上であってよい。発泡倍率は、例えば1500%以下であってよい。
【0015】
クロロプレン重合体は、クロロプレン(2-クロロ-1,3-ブタジエン)由来の構造単位を有する重合体(クロロプレンを単量体単位として有する重合体)である。クロロプレン重合体は、クロロプレンの単独重合体;クロロプレンと、クロロプレンと共重合可能な他の単量体との共重合体等であってよい。クロロプレン重合体のポリマー構造は特に限定されるものではない。
【0016】
クロロプレン由来の構造単位の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、クロロプレン重合体の全質量を基準として、50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は、99質量%以上であってよい。クロロプレン重合体はクロロプレン由来の構造単位からなる態様(クロロプレン重合体の実質的に100質量%がクロロプレン由来の構造単位である態様)であってよい。
【0017】
クロロプレンと共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸のエステル類((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。クロロプレンと共重合可能な他の単量体は1種に限定されるものではなく、例えば、クロロプレンを含む3種以上の単量体を共重合してもよい。
【0018】
クロロプレン重合体は、硫黄変性クロロプレン重合体、メルカプタン変性クロロプレン重合体、キサントゲン変性クロロプレン重合体、ジチオカルボナート系クロロプレン重合体、トリチオカルボナート系クロロプレン重合体、カルバメート系クロロプレン重合体等であってもよい。クロロプレン重合体は、高い発泡倍率を得やすい観点から、硫黄変性クロロプレン重合体を含んでよい。
【0019】
硫黄変性クロロプレン重合体は、下記一般式(I)で表される構造を分子末端に有さなくてよい(Rは、炭素数1~4のアルキル基を示す)。
-S-C(=S)-OR …(I)
【0020】
クロロプレン重合体の含有量は、発泡倍率及び加工性(粘着性)のバランスに優れる観点から、発泡性組成物の全質量(固形分の全質量。以下同様)を基準として下記の範囲であってよい。クロロプレン重合体の含有量は、50質量%以上、50質量%超、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、67質量%以上、68質量%以上、69質量%以上、70質量%以上、71質量%以上、72質量%以上、73質量%以上、74質量%以上、75質量%以上、又は、76質量%以上であってよい。クロロプレン重合体の含有量は、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、79質量%以下、78質量%以下、77質量%以下、76質量%以下、75質量%以下、74質量%以下、73質量%以下、72質量%以下、71質量%以下、70質量%以下、69質量%以下、68質量%以下、又は、67質量%以下であってよい。これらの観点から、クロロプレン重合体の含有量は、50~90質量%、60~80質量%、又は、65~80質量%であってよい。
【0021】
本実施形態に係る発泡性組成物は、充填剤を含有してよく、充填剤を含有していなくてもよい。充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。充填剤は、シリカ、クレー、タルク及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含まなくてよい。充填剤は、高い発泡倍率を得やすい観点から、カーボンブラックを含んでよい。
【0022】
カーボンブラックとしては、不完全燃焼法によるファーネスブラック;熱分解法によるサーマルブラック;チャンネルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。ファーネスブラックとしては、HAF(High Abrasion Furnace Black)、SAF(Super Abrasion Furnace Black)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace Black)、IISAF(Intermediate ISAF)、MAF(Medium Abrasion Furnace Black)、FEF(Fast Extruding Furnace Black)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace Black)、GPF(General Purpose Furnace Black)、FF(Fine Furnace Black)、CF(Conductive Furnace Black)等が挙げられる。サーマルブラックとしては、FT(Fine Thermal Black)、MT(Medium Thermal Black)等が挙げられる。チャンネルブラックとしては、EPC(Easy Processing Channel Black)、MPC(Medium Processing Channel Black)等が挙げられる。アセチレンブラックとしては、ACET(Acetylene Black)等が挙げられる。カーボンブラックは、高い発泡倍率を得やすい観点から、HAFを含んでよい。
【0023】
充填剤の含有量は、高い発泡倍率を得る観点から、クロロプレン重合体100質量部に対して10質量部以下である。充填剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、10質量部未満、8質量部以下、6質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、又は、1質量部以下であってよい。充填剤の含有量は、0質量部以上であり、0質量部を超えてよく、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、5質量部以上、6質量部以上、又は、8質量部以上であってよい。これらの観点から、充填剤の含有量は、0~10質量部であり、0質量部を超え10質量部以下、0質量部を超え5質量部以下、0質量部を超え2質量部以下、又は、1~5質量部であってよい。同様の観点から、カーボンブラックの含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して上述の各範囲であってよい。
【0024】
充填剤の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。充填剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.8質量%以下、0.75質量%以下、0.72質量%以下、0.7質量%以下、又は、0.5質量%以下であってよい。充填剤の含有量は、0質量%以上であり、0質量%を超えてよく、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、0.72質量%以上、0.75質量%以上、0.8質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、又は、6質量%以上であってよい。これらの観点から、充填剤の含有量は、0~10質量%、0質量%を超え10質量%以下、0質量%を超え4質量%以下、0質量%を超え1質量%以下、又は、0質量%を超え0.8質量%以下であってよい。同様の観点から、カーボンブラックの含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として上述の各範囲であってよい。
【0025】
本実施形態に係る発泡性組成物は、可塑剤を含有する。可塑剤としては、セバシン酸系可塑剤、フタレート系可塑剤、アジピン酸系可塑剤(アジピン酸ジオクチル(DOA)等)、エステル系可塑剤、エーテル・エステル系可塑剤、チオエーテル系可塑剤、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、植物油(菜種油等)などが挙げられる。セバシン酸系可塑剤としては、ジオクチルセバシン酸(例えばビス(2-エチルヘキシル)セバケート(DOS))、ジメチルセバシン酸、ジエチルセバシン酸、ジブチルセバシン酸、ジイソプロピルセバシン酸、ジカプリルセバシン酸等のセバシン酸誘導体などが挙げられる。可塑剤は、高い発泡倍率を得やすい観点から、セバシン酸系可塑剤を含んでよく、セバシン酸誘導体を含んでよく、ビス(2-エチルヘキシル)セバケートを含んでよい。
【0026】
可塑剤の含有量は、高い発泡倍率を得る観点から、クロロプレン重合体100質量部に対して3質量部以上である。可塑剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、5質量部以上、6質量部以上、8質量部以上、10質量部以上、12質量部以上、15質量部以上、18質量部以上、20質量部以上、22質量部以上、又は、25質量部以上であってよい。可塑剤の含有量は、優れた加工性(粘着性)を得やすい観点から、50質量部以下、48質量部以下、40質量部以下、35質量部以下、30質量部以下、28質量部以下、25質量部以下、22質量部以下、20質量部以下、18質量部以下、15質量部以下、12質量部以下、10質量部以下、8質量部以下、6質量部以下、又は、5質量部以下であってよい。これらの観点から、可塑剤の含有量は、3~50質量部、3~30質量部、3~25質量部、5~25質量部、10~25質量部、10~20質量部、10~15質量部、3~20質量部、3~10質量部、5~20質量部、又は、5~10質量部であってよい。同様の観点から、セバシン酸誘導体の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して上述の各範囲であってよい。
【0027】
可塑剤の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。可塑剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、7.5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、又は、13質量%以上であってよい。可塑剤の含有量は、優れた加工性(粘着性)を得やすい観点から、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、7.5質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、又は、4質量%以下であってよい。これらの観点から、可塑剤の含有量は、1~30質量%、2~30質量%、2~20質量%、3~20質量%、3~10質量%、5~20質量%、5~15質量%、又は、5~10質量%であってよい。可塑剤の含有量は、14質量%以上、15質量%以上、又は、16質量%以上であってよい。同様の観点から、セバシン酸誘導体の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として上述の各範囲であってよい。
【0028】
本実施形態に係る発泡性組成物は、発泡剤を含有する。発泡剤としては、有機系発泡剤、無機系発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム等)などが挙げられる。発泡剤は、高い発泡倍率を得やすい観点から、有機系発泡剤を含んでよい。
【0029】
有機系発泡剤としては、ヒドラジド系発泡剤、ニトロソ系発泡剤、アゾ系発泡剤等が挙げられる。有機系発泡剤は、高い発泡倍率を得やすい観点から、ヒドラジド系発泡剤を含んでよい。
【0030】
ヒドラジド系発泡剤としては、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド等が挙げられる。ニトロソ系発泡剤としては、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が挙げられる。アゾ系発泡剤としては、ジアゾアミンベンゼン、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート等が挙げられる。
【0031】
発泡剤の含有量は、高い発泡倍率を得る観点から、クロロプレン重合体100質量部に対して5質量部以上である。発泡剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、6質量部以上、8質量部以上、10質量部以上、12質量部以上、15質量部以上、18質量部以上、又は、20質量部以上であってよい。発泡剤の含有量は、30質量部以下、25質量部以下、20質量部以下、18質量部以下、15質量部以下、12質量部以下、10質量部以下、又は、8質量部以下であってよい。これらの観点から、発泡剤の含有量は、5~30質量部、5~25質量部、5~20質量部、5~15質量部、5~10質量部、10~25質量部、10~20質量部、又は、10~15質量部であってよい。同様の観点から、クロロプレン重合体100質量部に対して、有機系発泡剤の含有量は上述の各範囲であってよく、ヒドラジド系発泡剤の含有量は上述の各範囲であってよい。
【0032】
発泡剤の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。発泡剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、7.5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、又は、13質量%以上であってよい。発泡剤の含有量は、20質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、7.5質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、又は、4質量%以下であってよい。これらの観点から、発泡剤の含有量は、1~20質量%、3~20質量%、3~15質量%、3~10質量%、5~15質量%、5~10質量%、6~10質量%、又は、6~8質量%であってよい。同様の観点から、発泡性組成物の全質量を基準として、有機系発泡剤の含有量は上述の各範囲であってよく、ヒドラジド系発泡剤の含有量は上述の各範囲であってよい。
【0033】
本実施形態に係る発泡性組成物は、しゃく解剤を含有する。しゃく解剤は、高分子成分の分子鎖を切断する作用を有してよく、加硫促進剤としての作用を更に有してもよい。しゃく解剤としては、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩(PPD)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバミン酸塩系化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等のチウラム系化合物;2、2’-ジベンズアミドジフェニルジスルフィド系化合物;チアゾール系化合物;キサントゲン酸系化合物;イミダゾール系化合物などが挙げられる。しゃく解剤は、高い発泡倍率を得やすい観点から、ジチオカルバミン酸塩系化合物を含んでよい。
【0034】
しゃく解剤の含有量は、高い発泡倍率を得る観点から、クロロプレン重合体100質量部に対して0.1質量部以上である。しゃく解剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.5質量部以上、0.8質量部以上、1質量部以上、1.2質量部以上、1.5質量部以上、1.8質量部以上、2質量部以上、2.5質量部以上、又は、3質量部以上であってよい。しゃく解剤の含有量は、優れた加工性(粘着性)を得やすい観点から、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、3質量部以下、2.5質量部以下、2質量部以下、1.8質量部以下、1.5質量部以下、1.2質量部以下、1質量部以下、0.8質量部以下、0.5質量部以下、0.3質量部以下、又は、0.2質量部以下であってよい。これらの観点から、しゃく解剤の含有量は、0.1~10質量部、0.1~3質量部、0.1~2質量部、0.1~1質量部、0.2~3質量部、0.2~2質量部、0.2~1質量部、0.5~3質量部、1~3質量部、0.5~2質量部、0.5~1質量部、又は、1~2質量部であってよい。同様の観点から、ジチオカルバミン酸塩系化合物の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して上述の各範囲であってよい。
【0035】
しゃく解剤の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。しゃく解剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、0.01質量%以上、0.03質量%以上、0.05質量%以上、0.07質量%以上、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、1質量%以上、1.2質量%以上、又は、1.5質量%以上であってよい。しゃく解剤の含有量は、優れた加工性(粘着性)を得やすい観点から、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下、1.8質量%以下、1.5質量%以下、1.2質量%以下、1質量%以下、0.7質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、又は、0.1質量%以下であってよい。これらの観点から、しゃく解剤の含有量は、0.01~5質量%、0.05~5質量%、0.05~3質量%、0.1~3質量%、0.1~2.5質量%、0.1~2質量%、0.1~1.5質量%、0.1~1質量%、0.4~3質量%、0.5~3質量%、0.4~2質量%、0.4~1質量%、0.5~1質量%、又は、0.6~0.8質量%であってよい。しゃく解剤の含有量は、1.8質量%以上、又は、2質量%以上であってよい。同様の観点から、ジチオカルバミン酸塩系化合物の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として上述の各範囲であってよい。
【0036】
本実施形態に係る発泡性組成物は、加硫剤を含有してよい。加硫剤としては、硫黄、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉛、四酸化三鉛、三酸化鉄、二酸化チタン、酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等の無機化合物などが挙げられる。加硫剤は、高い発泡倍率を得やすい観点から、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
【0037】
加硫剤の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して下記の範囲であってよい。加硫剤の含有量は、0質量部を超えてよく、高い発泡倍率を得やすい観点から、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、5質量部以上、6質量部以上、7質量部以上、8質量部以上、又は、9質量部以上であってよい。加硫剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、20質量部以下、15質量部以下、12質量部以下、10質量部以下、又は、9質量部以下であってよい。これらの観点から、加硫剤の含有量は、0質量部を超え20質量部以下、0質量部を超え10質量部以下、又は、5~10質量部であってよい。
【0038】
加硫剤の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。加硫剤の含有量は、0質量%を超えてよく、高い発泡倍率を得やすい観点から、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、又は、6質量%以上であってよい。加硫剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下であってよい。これらの観点から、加硫剤の含有量は、0質量%を超え20質量%以下、0質量%を超え10質量%以下、又は、3~8質量%であってよい。
【0039】
本実施形態に係る発泡性組成物は、加硫促進剤を含有してよい。加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、N,N’-ジフェニルチオウレア、N,N’-ジエチルチオウレア等のチオウレア系化合物;1,3-ジフェニルグアニジン等のグアニジン系化合物などが挙げられる。加硫促進剤は、高い発泡倍率を得やすい観点から、エチレンチオウレア及びグアニジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
【0040】
加硫促進剤の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して下記の範囲であってよい。加硫促進剤の含有量は、0質量部を超えてよく、高い発泡倍率を得やすい観点から、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、又は、5質量部以上であってよい。加硫促進剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、10質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下、又は、5質量部以下であってよい。これらの観点から、加硫促進剤の含有量は、0質量部を超え10質量部以下であってよい。
【0041】
加硫促進剤の含有量は、発泡性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。加硫促進剤の含有量は、0質量%を超えてよく、高い発泡倍率を得やすい観点から、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、又は、3質量%以上であってよい。加硫促進剤の含有量は、高い発泡倍率を得やすい観点から、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、又は、4質量%以下であってよい。これらの観点から、加硫促進剤の含有量は、0質量%を超え10質量%以下であってよい。
【0042】
本実施形態に係る発泡性組成物は、上述の成分以外の成分として、樹脂成分(クロロプレン重合体を除く)、ゴム成分(クロロプレン重合体を除く)、滑剤、老化防止剤、界面活性剤、乳化安定剤、粘度調整剤、老化防止剤、防腐剤等の添加剤を含有することができる。本実施形態に係る発泡性組成物は、有機過酸化物を含有しなくてよい。有機過酸化物の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して1質量部未満又は0.1質量部以下であってよい。本実施形態に係る発泡性組成物は、塩素化パラフィンを含有しなくてよい。塩素化パラフィンの含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して5質量部未満又は1質量部以下であってよい。
【0043】
樹脂成分としては、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、ポリ(アルキルフェノール)ポリスルフィド等が挙げられる。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して3質量部未満又は1質量部以下であってよい。ポリ(アルキルフェノール)ポリスルフィドの含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して1質量部未満又は0.1質量部以下であってよい。本実施形態に係る発泡性組成物は、樹脂成分として吸水性樹脂を含有しなくてよい。吸水性樹脂の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して10質量部未満又は1質量部以下であってよい。
【0044】
ゴム成分としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、クロロプレンゴム等のジエン系ゴム;ブチルゴム、エチレン-プロピレンゴム等の非ジエン系ゴムなどが挙げられる。ゴム成分は、オイルが付着した金属板に対する粘着性を向上させる観点から、ブチルゴムを含んでよい。
【0045】
ゴム成分の含有量は、粘着性を向上させる観点、及び、高い発泡倍率を得やすい観点から、クロロプレン重合体100質量部に対して下記の範囲であってよい。ゴム成分の含有量は、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、8質量部以上、又は、10質量部以上であってよい。ゴム成分の含有量は、100質量部以下、80質量部以下、50質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、又は、10質量部以下であってよい。これらの観点から、ゴム成分の含有量は、0.1~100質量部、1~50質量部、又は、5~20質量部であってよい。
【0046】
滑剤を用いることにより、発泡性組成物を混練する際に、ロール、成形金型、押出機のスクリュー等から発泡性組成物を剥離しやすくすることができる。滑剤としては、ステアリン酸等の脂肪酸;パラフィンワックス等のパラフィン系加工助剤;脂肪酸アミドなどが挙げられる。滑剤の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して0.5~5質量部であってよい。
【0047】
老化防止剤としては、アミン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、カルバミン酸金属塩、フェノール系老化防止剤、耐オゾン老化防止剤(例えばN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)等が挙げられる。アミン系老化防止剤としては、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられる。老化防止剤の含有量は、クロロプレン重合体100質量部に対して1~10質量部であってよい。
【0048】
本実施形態に係る発泡性組成物のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は下記の範囲であってよい。ムーニー粘度は、優れた加工性(粘着性)を得やすい観点から、0超、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、又は、11以上であってよい。ムーニー粘度は、高い発泡倍率を得やすい観点から、20以下、15以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、又は、3以下であってよい。これらの観点から、ムーニー粘度は、0~20であってよい。充填剤の含有量が増加するに伴い発泡性組成物のムーニー粘度が増加する傾向がある。可塑剤又はしゃく解剤の含有量が増加するに伴い発泡性組成物のムーニー粘度が減少する傾向がある。
【0049】
本実施形態に係る発泡性組成物は、上述の成分を混練することで得ることができる。混練装置としては、ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等を用いることができる。
【0050】
本実施形態に係る発泡体は、中空のセル同士が連結した連続気泡を有してよい。連続気泡は、中空の複数のセルを含んでいる。「連続気泡」とは、発泡体に形成されるセルの少なくとも一部が連続する構造を意味する。発泡体は、連続気泡構造を有してよく、半連続半独立気泡構造を有してもよい。連続気泡構造は、連続気泡率が100%である構造をいう。半連続半独立気泡構造において連続気泡率の下限は、0%を超えており、10%以上であってよい。半連続半独立気泡構造において連続気泡率の上限は、100%未満であり、98%未満であってよい。
【0051】
本実施形態に係る発泡体は、単層であってよい。本実施形態に係る発泡体は、単層の状態で、各種用途に好適な物性を有することができる。本実施形態に係る発泡体は、建築物、自動車、鉄道車両、航空機、電気機器、音響機器、音響施設等において好適に用いることが可能であり、これらの用途に用いられる部材(断熱材、衝撃吸収材、防振材、吸音材等)を構成できる。
【0052】
本実施形態に係る発泡体の硬度(アスカーF硬度)は、1~50であってよい。ここで、発泡体の硬度は、次の手順にて測定することができる。ゴム硬度計(高分子計器株式会社製、商品名:アスカーゴム硬度計F型)を用いて、円盤状の加圧面を発泡体の上に静かに置く。硬度計の自重を測定圧とすることで値を読み取り、発泡体の硬度を測定する。
【0053】
本実施形態に係る発泡体の製造方法は、本実施形態に係る発泡性組成物を発泡させる発泡工程を備える。発泡工程では、発泡性組成物を加熱発泡させることができる。加熱発泡の温度は、例えば100~220℃であってよい。
【実施例
【0054】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
<発泡体の作製>
8インチロールを用いた練りロール機(日本ロール製造株式会社製、ロール温度:40℃)によってクロロプレン重合体(硫黄変性、デンカ株式会社製、商品名:デンカクロロプレンPM-40、上述の一般式(I)で表される構造を有さない重合体)100質量部、充填剤(カーボンブラック(HAF)、旭カーボン株式会社製、商品名:旭#70)、可塑剤(ビス(2-エチルヘキシル)セバケート(DOS)、新日本理化株式会社製、商品名:サンソサイザーDOS)、発泡剤(p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、三協化成株式会社製、商品名:セルマイクS)、しゃく解剤(ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩(PPD)、大内新興化学工業株式会社製、商品名:ノクセラーPPD)、ステアリン酸(滑剤、花王株式会社製、商品名:ルナックS-70V)1質量部、パラフィンワックス(滑剤、日本精鑞株式会社製、商品名:Paraffin Wax-135)3質量部、オクチル化ジフェニルアミン(老化防止剤、大内新興化学工業株式会社製、商品名:ノクラックAD-F)1質量部、酸化マグネシウム(加硫剤、MgO、協和化学工業株式会社製、商品名:キョーワマグ150)4質量部、及び、酸化亜鉛(加硫剤、ZnO、堺化学工業株式会社製、商品名:酸化亜鉛2種)5質量部を、JIS K 6299に準拠して混練することにより発泡性組成物(コンパウンド)を得た。各実施例及び各比較例におけるクロロプレン重合体、充填剤、可塑剤、発泡剤及びしゃく解剤の配合量を表1及び表2に示す。
【0056】
<評価>
上述の発泡性組成物を用いて、加工性(ロール粘着性)、ムーニー粘度、及び、発泡倍率を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0057】
(加工性)
8インチサイズのオープンロールに上述の発泡性組成物400gを巻き付けた後、冷却水温度40℃、ロール間隙2.0mmにて加工性を評価した。ロールに対する粘着性が弱く、ロール用ナイフで切り込みを入れることにより容易にロールから引き剥がせる場合を「A」と評価し、ロールに対する粘着性がやや強く、ロール用ナイフで切り込みを入れてロールから剥がす際に強く引き剥がす必要がある場合を「B」と評価し、ロールに対する粘着性が非常に強く、ロール用ナイフで切り込みを入れてロールから引き剥がすことができない場合を「C」と評価した。
【0058】
(ムーニー粘度)
日本工業規格のJIS K 6300-1に準拠し、ムーニー粘度試験機(株式会社島津製作所製、商品名:SMV-301)を用いて、L型ロータで試験温度100℃、予熱時間1分、試験時間4分間の試験条件にて上述の発泡性組成物のムーニー粘度(ML1+4)を測定した。
【0059】
(発泡倍率)
上述の発泡性組成物を用いて、オープンロールにより厚さ3mmのシートを作製した。このシートから縦20mm、横20mm、厚さ3mmの試験サンプルを切り出した。離型シートに試験サンプルを置き、170℃のギアーオーブンに20分間入れて発泡させることにより発泡体を得た。ギアーオーブンから発泡体を取り出して25℃で30分保持した後にノギスにて発泡体の寸法(縦、横及び厚さ)を測定した。発泡前後の体積変化に基づく下記式より発泡倍率[単位:%]を算出した。発泡倍率700%以上を良好であると判断した。
発泡倍率=[(発泡後の体積-発泡前の体積)/発泡前の体積]×100
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】