(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】口蹄疫ウイルス様粒子抗原、及びそのワクチン組成物、調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/135 20060101AFI20240705BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240705BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240705BHJP
C07K 14/09 20060101ALI20240705BHJP
C12N 15/42 20060101ALN20240705BHJP
C12N 15/70 20060101ALN20240705BHJP
C12P 21/00 20060101ALN20240705BHJP
C12N 7/00 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
A61K39/135 ZNA
A61K39/39
A61P31/14
C07K14/09
C12N15/42
C12N15/70 Z
C12P21/00 Z
C12N7/00
(21)【出願番号】P 2022561005
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2020112115
(87)【国際公開番号】W WO2021217982
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】202010357569.9
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519384585
【氏名又は名称】プーライクー バイオロジカル エンジニアリング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PULIKE BIOLOGICAL ENGINEERING, INC.
【住所又は居所原語表記】No.5 Lingbo Road, High-Tech Zone, Luoyang, Henan 471000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ティアン ケゴン
(72)【発明者】
【氏名】パン ウェンチャン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン シュケ
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0230549(US,A1)
【文献】国際公開第2019/132569(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105418738(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0003948(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/39
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A型口蹄疫ウイルス流行株VP2、VP3及びVP1抗原タンパク質が集合してなるA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原であって、前記A型口蹄疫ウイルスVP2抗原タンパク質は、Seq ID No.1に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記A型口蹄疫ウイルスVP3抗原タンパク質は、Seq ID No.2に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記A型口蹄疫ウイルスVP1抗原タンパク質は、Seq ID No.3に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされる、A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原。
【請求項2】
免疫有効量の請求項1に記載のA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原と、薬学的に許容される担体と、を含有するワクチン組成物。
【請求項3】
前記A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原の含有量は、160~240μg/mlであり、好ましくは、前記A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原の含有量は、160μg/ml、又は200μg/ml、又は240μg/mlである、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
前記薬学的に許容される担体は、アジュバントを含み、前記アジュバントは、鉱物油、アルミニウムゲルアジュバント、サポニン、アブリジン、DDA、油中水型エマルション、水中油型エマルション、水中油中水型エマルション、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体、無水マレイン酸とアルケニル誘導体との共重合体、モノホスホリルリピドA、Avridine脂質-アミンアジュバント、大腸菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、、及びムラミルジペプチド のうちの1種又は複数種から選択され、前記アジュバントの含有量は、5%~60%V/V、好ましくは30%~60%V/Vであり、より好ましくは50%V/Vである、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
前記ワクチン組成物は、さらに、免疫有効量のO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原及び/又は免疫有効量のO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原を含有し、
前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原は、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス流行株VP4、VP2、VP3及びVP1抗原タンパク質が集合してなり、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP4抗原タンパク質は、Seq ID No.4に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP2抗原タンパク質は、Seq ID No.5に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP3抗原タンパク質は、Seq ID No.6に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP1抗原タンパク質は、Seq ID No.7に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、
前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原は、O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス流行株VP0、VP3
及びVP1抗原タンパク質
が集合してなり、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP0抗原タンパク質は、Seq ID No.8に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP3抗原タンパク質は、Seq ID No.9に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP1抗原タンパク質は、Seq ID No.10に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされる、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100~200μg/mlであり、好ましくは、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100μg/ml、又は150μg/ml、又は200μg/mlであり、
前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100~200μg/mlであり、好ましくは、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100μg/ml、又は150μg/ml、又は200μg/mlである、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
請求項2に記載のワクチン組成物を調製する方法であって、前記方法は、
(1)前記A型口蹄疫ウイルスVP2抗原タンパク質の遺伝子、前記A型口蹄疫ウイルスVP3抗原タンパク質の遺伝子及び前記A型口蹄疫ウイルスVP1抗原タンパク質の遺伝子を、それぞれクローニングし、同一のタンデム発現ベクターに組み換えるステップと、
(2)前記ステップ(1)の組み換え発現ベクターを宿主であるE.coli BL21(DE3)に形質転換又は形質導入し、A型口蹄疫ウイルス組み換えSUMO-VP2抗原タンパク質、組み換えSUMO-VP3抗原タンパク質及び組み換えSUMO-VP1抗原タンパク質を可溶性発現し、発現されたA型口蹄疫ウイルス組み換えSUMO-VP2抗原タンパク質、組み換えSUMO-VP3抗原タンパク質及び組み換えSUMO-VP1抗原タンパク質はウイルス様粒子抗原に自己集合され得るステップと、
(3)前記ステップ(2)のA型口蹄疫ウイルスの組み換え抗原を分離・精製し、酵素切断・精製してSUMO融合タグを除去するステップと、
(4)ウイルス様粒子抗原を自己集合させ、アジュバントを加え、前記ワクチン組成物を得るステップと、を含むワクチン組成物を調製する方法。
【請求項8】
前記ステップ(1)のタンデム発現ベクターは、pET28a、pET28b、pET32aである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(2)において、宿主細胞が増幅された後、IPTGを加えて、前記タンパク質の発現を誘導する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項2~6のいずれか1項に記載のワクチン組成物の、A型口蹄疫を予防及び/又は治療するための薬物の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス性抗原及び該抗原の医薬調合品に属する。具体的には、本発明は、口蹄疫ウイルス様粒子抗原、それにより調製されたワクチン組成物及びその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
口蹄疫(foot-and-mouth disease、FMD)は、急性で、接触伝染性が高く、急速に遠距離伝播可能な動物疾患であり、哺乳類動物間で感染性が最も強い疾患であり、その中でも、偶蹄類動物が該疾患にかかる場合、全世界に重大な経済的損失をもたらすことになる。口蹄疫の危害に遭う動物には、牛、羊、豚が含まれる。病原体は、口蹄疫ウイルス(FMDV)であり、それがピコルナウイルスファミリーのアフトウイルスである。該ウイルスは、7つの血清型(A、O、C、Asia1、SAT1、SAT2及びSAT3型)に分けられるが、そのうち、O型口蹄疫ウイルス及びA型口蹄疫ウイルスが主に我が国で流行している。ワクチン免疫はこの疾患を制御し、家畜を危害から保護する有効な手段である。
【0003】
A型口蹄疫の継続的な伝播に伴い、我が国で流行しているA型口蹄疫ウイルスは大幅に変化し、従来と異なり、自然流行の過程で、A型口蹄疫ウイルスは主に牛、羊の感染及び発病を引き起こし、豚の症例が少ない。しかし、現在流行しているA型口蹄疫は牛、豚にいずれも病原性を有し、且つ毒性はその前のA型ウイルスの10倍以上である。市場において生物安全性及び免疫効果がいずれも優位性を有するワクチンが欠けている。
【0004】
ウイルス様粒子(VLPs)は、体外及び/又は体内で発現される時に自発的にウイルスカプシド構造にパッケージング可能なウイルス様粒子であって、ウイルスと類似したシェル構造を有するが、ウイルス複製能力を持たないシュードタイプウイルスである。VLPsワクチンは、体が抗感染や抗腫瘍免疫を生み出すように効果的に刺激できる。ウイルス様粒子に基づいて設計されたワクチンは、比較的理想的なワクチン形態を呈する。したがって、理想的な口蹄疫毒株配列を選別してウイルス様粒子を調製することは、当面の急務であり、国が提案する重大な動物疫病を効果的に予防及び管理し、畜産の健全で持続可能な発展を確保するという要求にも合致する。
【発明の内容】
【0005】
従来技術中のA型口蹄疫ウイルス流行株の問題を解決するために、本発明は、A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原を提供し、前記A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原はA型口蹄疫ウイルス流行株VP2、VP3、VP1抗原タンパク質から集合してなり、前記A型口蹄疫ウイルスVP2抗原タンパク質は、Seq ID No.1に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記A型口蹄疫ウイルスVP3抗原タンパク質は、Seq ID No.2に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記A型口蹄疫ウイルスVP1抗原タンパク質は、Seq ID No.3に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされる。
【0006】
前記口蹄疫ウイルス様粒子抗原は、良好な免疫原性を有し、それにより調製されたワクチン組成物は、一回の免疫だけでA型口蹄疫ウイルス流行株に対する完全な保護を提供することができる。同時に前記口蹄疫ウイルス様粒子抗原は、良好な安定性を有し、4℃で3ヶ月間放置した後、リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、ウイルス様粒子は充実した状態を保ち、凝集現象がない。
【0007】
前記A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原は、現在の流行株から由来し、現在の流行野生毒株に対して完全な保護を生成することができる。
【0008】
本発明は、さらに、免疫量の前記A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原と、薬学的に許容される担体とを含有するワクチン組成物を提供する。
【0009】
本発明のA型流行株口蹄疫ウイルス様粒子ワクチンは、抗原の含有量がわずか160μg/mlである場合、免疫後14日目に1:128以上の抗体価に達することができ、且つ長期間の高力価の抗体価を維持することができ、肥育期間全体に対して保護を生成することができ、良好な免疫原性を示す。
【0010】
本発明の一実施形態として、本発明に記載のワクチン組成物において、前記A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原の含有量は、160~240μg/mlである。
【0011】
A型流行株口蹄疫ウイルス様粒子抗原の含有量は、160μg/ml、170μg/ml、180μg/ml、190μg/ml、200μg/ml、210μg/ml、220μg/ml、230μg/ml、240μg/mlから選択することができる。
【0012】
A型流行株口蹄疫ウイルス様粒子抗原の含有量がわずか160μg/mlであっても、免疫後14日目に1:128以上の抗体価に達することができ、即ち免疫保護を生成することができ、且つ長期間の高力価の抗体価を維持することができる。
【0013】
本発明の一好ましい実施形態として、本発明に記載のワクチン組成物において、前記A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原の含有量は、160μg/ml、又は200μg/ml、又は240μg/mlである。
【0014】
本発明の一実施形態として、本発明に記載のワクチン組成物において、前記薬学的に許容される担体はアジュバントを含み、前記アジュバントは、(1)鉱物油、アルミニウムゲルアジュバント、サポニン、アブリジン、アジピン酸ジデシル(DDA)、(2)油中水型エマルション、水中油型エマルション、水中油中水型エマルション、又は(3)アクリル酸又はメタクリル酸の重合体、無水マレイン酸とアルケニル誘導体との共重合体、及びRiBiアジュバントシステム、ブロック共重合体、SAF-m、モノホスホリルリピドA、Avridine脂質-アミンアジュバント、大腸菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、IMS 1314、ムラミルジペプチド、Montanide ISA 206、Gelアジュバントのうちの1種又は複数種から選択され、好ましくは、サポニンはQuil A、QS-21、GPI-0100であり、好ましくは、前記アジュバントはISA 206アジュバントである。
【0015】
前記アジュバントの含有量は、5%~60%V/Vであり、好ましくは30%~60%V/Vであり、より好ましくは50%V/Vである。
【0016】
本発明の一実施形態として、本発明に記載のワクチン組成物において、前記ワクチン組成物は、さらに、免疫量のO型口蹄疫SEAトポタイプ(topotype)ウイルス様粒子抗原及び/又は免疫量のO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原を含有し、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原は、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス流行株VP4、VP2、VP3、VP1抗原タンパク質から集合してなり、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP4抗原タンパク質は、Seq ID No.4に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP2抗原タンパク質は、Seq ID No.5に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP3抗原タンパク質は、Seq ID No.6に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP1抗原タンパク質は、Seq ID No.7に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原は、O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス流行株VP0、VP3、VP1抗原タンパク質から集合してなり、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP0抗原タンパク質は、Seq ID No.8に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP3抗原タンパク質は、Seq ID No.9に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされ、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP1抗原タンパク質は、Seq ID No.10に示されるヌクレオチド配列又はその縮重配列によりコードされる。
【0017】
本発明のO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原は、良好な免疫原性を有し、ワクチン免疫後14日目に1:128以上のO型口蹄疫SEAトポタイプ抗体価に達することができる。前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原は、良好な安定性を有し、4℃で3ヶ月間放置した後、リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、ウイルス様粒子は充実した状態を保ち、凝集現象がない。
【0018】
本発明のO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原は、良好な免疫原性を有し、ワクチン免疫後14日目に1:128以上のO型口蹄疫CATHAYトポタイプ抗体価に達することができる。前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原は、良好な安定性を有し、4℃で3ヶ月間放置した後、リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、ウイルス様粒子は充実した状態を保ち、凝集現象がない。
【0019】
本発明の一好ましい実施形態として、本発明に記載のワクチン組成物において、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100~200μg/mlであり、前記O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100~200μg/mlである。
【0020】
O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100μg/ml、110μg/ml、120μg/ml、130μg/ml、140μg/ml、150μg/ml、160μg/ml、170μg/ml、180μg/ml、190μg/ml、200μg/mlから選択することができる。
【0021】
O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量がわずか100μg/mlでも、免疫後14日目に1:128以上の抗体価に達することができ、即ち免疫保護を生成することができ、且つ長期間の高力価の抗体価を維持することができ、良好な免疫原性を示す。
【0022】
O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100μg/ml、110μg/ml、120μg/ml、130μg/ml、140μg/ml、150μg/ml、160μg/ml、170μg/ml、180μg/ml、190μg/ml、200μg/mlから選択することができる。
【0023】
O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量がわずか100μg/mlでも、免疫後14日目に1:128以上の抗体価に達することができ、即ち免疫保護を生成することができ、且つ長期間の高力価の抗体価を維持することができ、良好な免疫原性を示す。
【0024】
本発明によるA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原及びO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原を含有するワクチン組成物は、2種類のO型口蹄疫ウイルス様粒子抗原が相乗効果を発揮し、抗原の含有量が半減してもワクチンの各組成の免疫効果を発揮することができる。
【0025】
本発明の一より好ましい実施形態として、本発明に記載のワクチン組成物において、前記O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量は、100μg/ml、又は150μg/ml、又は200μg/mlであり、前記O型CATHAYトポタイプ口蹄疫ウイルス様粒子抗原の含有量は、100μg/ml、又は150μg/ml、又は200μg/mlである。
【0026】
本発明の一実施形態として、前記薬学的に許容される担体は、薬物、免疫刺激剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、揮発性油、緩衝剤、分散剤、推進剤及び防腐剤を含有し、前記免疫刺激剤は、α-インターフェロン、β-インターフェロン、γ-インターフェロン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)及びインターロイキン2(IL2)を含有する。
【0027】
このような組成物を調製するためには、本分野で公知の方法を使用することができる。
【0028】
本発明は、さらに、前記ワクチン組成物を調製するための方法に関し、前記方法は、(1)前記A型口蹄疫ウイルスVP2抗原タンパク質の遺伝子、前記A型口蹄疫ウイルスVP3抗原タンパク質の遺伝子及び前記A型口蹄疫ウイルスVP1抗原タンパク質の遺伝子を、それぞれクローニングし、同一のタンデム発現ベクターに組み換えるステップと、(2)前記ステップ(1)の組み換え発現ベクターを宿主に形質転換又は形質導入し、A型口蹄疫ウイルス組み換えSUMO-VP2抗原タンパク質、組み換えSUMO-VP3抗原タンパク質及び組み換えSUMO-VP1抗原タンパク質を可溶性発現し、発現されたA型口蹄疫ウイルス組み換えSUMO-VP2抗原タンパク質、組み換えSUMO-VP3抗原タンパク質及び組み換えSUMO-VP1抗原タンパク質はウイルス様粒子抗原に自己集合され得るステップと、(3)前記ステップ(2)のA型口蹄疫ウイルスの組み換え抗原を分離・精製し、酵素切断・精製してSUMO融合タグを除去するステップと、(4)ウイルス様粒子抗原を自己集合させ、アジュバントを加え、前記ワクチン組成物を得るステップと、を含む。本発明は、A型流行株口蹄疫ウイルスVP2、VP3、VP1抗原タンパク質を発現することにより、安定して自己集合されたウイルス様粒子を得ることができる。A型流行株口蹄疫ウイルスVP2、VP3、VP1抗原タンパク質をタンデム発現することにより、後続の抗原の精製及び分離に有利する。発現・精製された活性タンパク質は、A型流行株口蹄疫ウイルス様粒子抗原に効率的に自己集合することができる。
【0029】
本発明の一実施形態として、本発明に記載の方法では、前記ステップ(1)のタンデム発現ベクターは、pET28a、pET28b、pET32aであり、前記ステップ(2)の宿主は、E.coli BL21(DE3)、Origami B(DE3)pLysS、Rosetta-gami B(DE3)である。
【0030】
本発明は、タンデム発現ベクター及び宿主菌を選択することにより、VP2、VP3、VP1抗原タンパク質に対してタンデム発現を行い、後続の抗原分離・精製に有利し、プログラムを簡略化する。発現、精製及び自己集合してウイルス様粒子となる可溶性タンパク質は、生物活性を有する。
【0031】
本発明の一好ましい実施形態として、本発明に記載の方法では、前記ステップ(2)において、宿主細胞が増幅された後、IPTGを加えて、前記タンパク質の発現を誘導する。
【0032】
本発明の一好ましい実施形態として、本発明に記載の方法では、前記ステップ(3)の分離・精製工程は、前記菌体を破砕した後、上澄み液を取り、硫酸アンモニウム分級沈降法及びクロマトグラフィー法を用いて前記ウイルス様粒子抗原を精製する。
【0033】
本発明は、初めてA型口蹄疫ウイルスの3つの構造タンパク質VP2、VP3、VP1を採用し、口蹄疫ウイルス様粒子を生産することができ、免疫原性に優れ、生物安全リスクがないなどの利点を有する。本発明により調製されたウイルス様粒子ワクチン組成物は、A型流行株口蹄疫に保護活性を提供することができるだけでなく、且つ抗体の生成が速く、抗体の生成レベルが高く、免疫持続期間が長く、長時間の免疫保護を維持することができる。
【0034】
本発明は、さらに、前記ワクチン組成物の、A型口蹄疫を予防及び/又は治療するための薬物の調製における使用に関する。
【0035】
本発明に記載の調製された口蹄疫ウイルス感染を予防及び/又は治療するための薬物の投与対象は、豚を含む。
【0036】
本発明のワクチン組成物は、一回の免疫後、133日間に達する時間で1:128以上の抗体価を維持し、豚に対して完全な保護を生成し、該時間は肥育期間全体をカバーすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0038】
定義
「口蹄疫ウイルス」は、ピコルナウイルス科、口蹄疫ウイルス属に属する。該ウイルスにはO、A、C、SAT1、SAT2、SAT3(即ち南アフリカ口蹄疫ウイルス1、2、3型)及びAsia1(アジア1型)の7つの血清型があり、各型の間に交差保護反応がなく、各型内には、さらに複数の亜型がある。ウイルスは、中心が約8000個の塩基からなる一本鎖プラス鎖RNAであり、感染と遺伝の基礎となり、周囲に被覆されたタンパク質がウイルスの抗原性、免疫性及び血清学的反応能力を決定する。ウイルスカプシドは、対称性のある20面体である。口蹄疫ウイルスは、偶蹄類動物間伝染性の高い疾患である口蹄疫の病原体である。国際獣疫事務局は口蹄疫を「動物伝染病分類リストA」のうち第1位に位置付け、中国は、口蹄疫を「入国動物検疫伝染病1類」に位置付け、我が国の口蹄疫に対する予防及び治療は、主にワクチン注射接種によることであり、口蹄疫が発生した動物は捕殺される。
【0039】
「抗原(Antigen)」とは、体に免疫応答を引き起こさせるように誘導することができる物質を指し、即ち、T/Bリンパ球表面の抗原レセプター(TCR/BCR)により特異的に識別及び結合可能であり、T/B細胞を活性化することで、増殖・分化させて、免疫応答産物(感作リンパ球又は抗体)を生成させ、対応する産物と体内外で特異的な結合を引き起こし得る物質を指す。
【0040】
「ウイルス様粒子(virus-like particles、VLPs)」は、1種又は複数種のウイルス構造タンパク質から集合してなった粒子であり、ウイルス粒子と類似した外部構造及び抗原性を有するが、ウイルス遺伝子を含まない。
【0041】
「口蹄疫ウイルスVP2、VP3、VP1抗原タンパク質」は、FMDV構造タンパク質前駆体タンパク質P1がプロテアーゼ3Cにより触媒されてVP0、VP3及びVP1に加工される。これらの3種類のタンパク質は、二十面体のウイルスカプシドに自己集合することができる。VP0タンパク質は、P1がプロテアーゼ3Cによって切断された後の中間体であり、ウイルス粒子形成の最終段階で、VP0が成熟してVP4とVP2とに分解される。
【0042】
本発明で使用される用語「ワクチン」及び「ワクチン組成物」とは、口蹄疫ウイルス様粒子抗原を含有する薬物組成物を指し、該薬物組成物は、口蹄疫に対する豚の免疫反応を誘発、刺激又は増強することができる。
【0043】
用語「免疫量」とは、「免疫有効量」として理解されるべきであり、免疫保護量又は免疫応答を引き起こす有効量とも称され、レシピエントの体内で免疫応答を効果的に誘導可能な抗原量である。当該量は、健康への悪影響又はその合併症を含む、疾患の徴候又は症状を予防又は改善するのに十分である。前記免疫応答は、診断目的又はその他の試験に十分であり得、或いは、病原体による感染によって引き起こされる健康への悪影響又はその合併症を含む、疾患の前兆又は症状の予防に適し得る。体液免疫力又は細胞媒介性免疫或いはその両方とも誘導され得る。免疫原性組成物に対する動物の免疫応答は、例えば、抗体価の測定やリンパ球増殖分析によって間接的に評価されるか、或いは、野生型毒株での攻撃後の前兆又は症状のモニタリングによって直接的に評価され得る。該ワクチンにより提供される保護性免疫力は、例えば、死亡率、発病率の低下、温度数値、被験者の全体的な生理学的状況及び全体的な健康及び表現といった被験者の臨床前兆を測定することによって評価され得る。前記免疫応答は、細胞性及び/又は体液性免疫力の誘導を含み得るが、これらに限定されない。
【0044】
用語「薬学的に許容される担体」とは、本発明に係るワクチン組成物のうち口蹄疫ウイルス抗原を除く他の全ての成分を指し、生体を刺激せず且つ使用される化合物の生物学的活性及び特性を妨げない担体又は希釈剤であり、好ましくはアジュバントである。用語「アジュバント」とは、アルミニウムゲルアジュバント、サポニン(saponin)、例えばQuil A、QS-21(Cambridge Biotech Incorporation、Cambridge MA)、GPI-0100(Galenica Pharmaceuticals Incorporation、Birmingham AL)、油中水型エマルション、水中油型エマルション、水中油中水型エマルション、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体、無水マレイン酸とアルケニル(alkenyl)誘導体との共重合体から選択される化合物を含み得る。用語「エマルション」は、特に軽質液体パラフィン油(欧州薬局方タイプ)、アルケンのオリゴマー化によるイソプレノイド油(isoprenoid oil)、例えばスクアラン(squalane)又はスクワランオイル(squalene oil)、特にイソブテン又はデセン、酸又はアルコールの鎖状アルキル含有エステル、より特に、植物油、オレイン酸エチル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロピレングリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル又はプロピレングリコールジオレエート、分岐鎖脂肪酸又はアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステルに基づく。油は、エマルションを形成するように、乳化剤と組み合わせて使用される。乳化剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、特にソルビタンのエステル、マンニド(mannide)のエステル(例えばマンニトールオレイン酸無水物)、脂肪族グリコール(glycol)のエステル、ポリグリセリン(polyglycerol)のエステル、プロピレングリコールのエステル及びオレイン酸のエステル、イソステアリン酸のエステル、リシノール酸のエステル又はヒドロキシステアリン酸のエステルであり、これらはエトキシル化されていてもよく、また、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロック共重合体があり、特にPluronic製品であり、特にL121である。Hunterらによって書かれた「The theory and practical application of adjuvants(アジュバントの理論と実際の応用)」(DES Stewart-Tull編、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、1995:51-94)及び、Toddらによって書かれた「Vaccine(ワクチン)」(1997、15:564-570)を参照し得る。例えば、Powell MとNewman Mによって書かれた「Vaccine design,the Subunit and adiuvant approach(ワクチン設計、サブユニット及びアジュバントアプローチ)」(プレナムプレス、1995)の第147ページに記述されているSPTエマルション及び第183ページに記述されているMF59エマルションを使用し得る。用語「アクリル酸又はメタクリル酸の重合体」は、好ましくは、架橋されたアクリル酸又はメタクリル酸重合体、特に糖(sugar)のポリアルケニルエーテル又はポリオールと架橋されるものであり、これら化合物は、カルボマー(Carbomer、商品名Carbopol)と称されて知られている(Phameuropa、1996、8(2))。当業者は、さらに、米国特許US2909462を参照してもよく、該特許には、この種類のアクリル酸重合体が記載され、該アクリル酸重合体は、ポリヒドロキシル化された化合物と架橋され、前記化合物は、少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは8つ未満のヒドロキシル基を有し、そのうち少なくとも3つのヒドロキシル基の水素原子は、少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカル(aliphatic radical)に置換される。好ましい基は、例えば、ビニル基、アリル基及びその他のエチレン性不飽和基(ethylenically unsaturated group)などの2~4個の炭素原子を含有するものである。前記不飽和基自体は、メチル基などのその他の置換基を含んでいてもよい。これらの製品は、カーボポール(BF Goodrich、Ohio、USA)という名義で販売されており、特に適している。それらは、アリルスクロース又はペンタエリトリトールアリルエーテル(allyl pentaerythritol)と架橋される。そのうち、カーボポール974P、934P及び971Pが言及され、最も好ましくはカーボポール971Pが使用される。用語「無水マレイン酸とアルケニル誘導体との共重合体」は、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体EMA(Monsanto)が考慮され得る。これらの重合体は水に溶解されて酸性溶液を生成し、中和を経て、好ましくは生理学的pHに中和させて、免疫原性、免疫性又はワクチン性組成物自体を混入可能なアジュバント溶液を生成するようにする。用語「アジュバント」は、Ribiアジュバントシステム(Ribi Incorporation)、ブロック共重合体(Block co-polymer)(CytRx、Atlanta GA)、SAF-M(Chiron、Emeryville CA)、モノホスホリルリピドA(monophosphoryl lipid A)、アブリジン(Avridine)脂質-アミンアジュバント、大腸菌易熱性エンテロトキシン(組み換え又はその他)、コレラ毒素、IMS 1314、ムラミルジペプチド、Gelアジュバント等をさらに含むが、これらに限定されない。好ましくは、前記アジュバントは白油、アルミニウムゲルアジュバント、サポニン、油中水型エマルション、水中油型エマルション、水中油中水型エマルション、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体、無水マレイン酸とアルケニル(alkenyl)誘導体との共重合体、Ribiアジュバントシステム、ブロック共重合体、SAF-m、モノホスホリルリピドA、Avridine脂質-アミンアジュバント、大腸菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、IMS 1314、ムラミルジペプチド、Montanide ISA 206或Gelアジュバントのうちの1種又は複数種を含む。
【0045】
「縮重配列」:分子生物学において、同一のアミノ酸が2つ以上のコドンを有する現象をコドン縮退(degeneracy)と称され、このような配列は縮重配列と呼ばれる。
【0046】
「遺伝子組み換え」とは、異なる形質を制御する遺伝子の組み換えを指す。現代の遺伝子工学技術は、試験管内で人工設計に従って遺伝子組み換えを行い、組み換えDNAとも称される。その目的は、一つの個体細胞内の遺伝子を異なる形質を持つその他の一つの個体細胞内のDNA分子に移して、遺伝子変異を引き起こすことである。ドナーからの標的遺伝子がレシピエント細菌に移入された後、遺伝子産物の発現を行うことができ、したがって通常の方法では得にくい製品が得られる。
【0047】
「形質転換(transformation)」とは、外来DNAの自動取得又は人工供給により、細胞又は培養されたレシピエント細胞が新しい遺伝的表現型を得るようにすることを指す。
【0048】
「形質導入(transduction)」とは、ウイルスが感染された(ドナー)細胞から放出されて再び他の(レシピエント)細胞を感染させた時に、ドナー細胞とレシピエント細胞の間で発生されるDNA転移及び遺伝子組み換えを指す。
【0049】
用語「予防及び/又は治療」は、口蹄疫ウイルス感染に言及する場合、口蹄疫ウイルスの複製を抑制すること、口蹄疫ウイルスの伝播を抑制すること、或いは口蹄疫ウイルスがその宿主体内で定着するのを防止すること、及び口蹄疫ウイルス感染の疾患又は病症の症状を軽減させることを指す。ウイルス負荷量が減少し、病症軽減及び/又は摂食量及び/又は成長が増加すると、前記治療は治療効果を達成すると考えられる。
【0050】
以下では、具体的な実施例と併せて本発明をさらに説明することにする。本発明の利点及び特徴は、説明とともにより明確になるだろう。但し、これらの実施例は単に例示的なものであり、本発明の範囲に対するいかなる制限も構成しない。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の技術方案の詳細及び形態を修正又は置き換え得るが、これらの修正及び置き換えは、本発明の保護範囲に含まれることを理解すべきである。
【0051】
本発明の実施例で使用される化学試薬は、いずれも分析用グレードであり、中国国家医薬集団(シノファームグループ)から購入されている。本発明に係る実験方法は、特に明記しない限り、いずれも従来の方法である。記載される生物材料は、特に明記しない限り、いずれも商業的ルートから入手され得る。
【実施例】
【0052】
材料及び方法
ベクターの構築及び形質転換
A型口蹄疫ウイルスVP2、VP3、VP1遺伝子を含有する組み換えベクターpET28a-SUMOVP2-SUMOVP3-SUMOVP1
【0053】
蘇州金唯智生物科技有限公司により配列表SEQ ID NO.1に示されるA型口蹄疫ウイルスVP2遺伝子断片、配列表SEQ ID NO.2に示されるA型口蹄疫ウイルスVP3遺伝子断片、配列表SEQ ID NO.3に示されるA型口蹄疫ウイルスVP1遺伝子断片を合成し、それぞれpETSUMOベクターに連結された。次に連結に成功した組み換えプラスミドをそれぞれテンプレートとし、RBS-SUMO-VP2、T7-RBS-SUMO-VP3及びT7-RBS-SUMO-VP1を含有する断片を増幅した。それぞれXbaI/BamH I、Sac I/Sal I、Not I/Xho Iで酵素切断されて得られた断片を、順にpET28aベクターにクローニングした。
【0054】
連結産物をCaCl2で調製されたDH5αコンピテントセルに形質転換し、カナマイシン耐性の固体LB培地に塗布し、モノクローナルコロニーがはっきりと見える場合、モノクローナルをカナマイシン含有LB液体培地にピックアップし、37℃、230回転/分間で12時間一晩培養し、組み換えプラスミドpET28a-SUMOVP2-SUMOVP3-SUMOVP1を抽出した。
【0055】
上記のA型口蹄疫ウイルスVP2、VP3、VP1遺伝子が挿入された組み換えプラスミドpET28a-SUMOVP2-SUMOVP3-SUMOVP1を、40μlの塩化カルシウム法で調製されたコンピテント大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、カナマイシン耐性の固体LB培地に塗布し、37℃で10~12時間静置培養し、モノコロニーがはっきりと見えるまでに、モノクローナルを4mlのカナマイシン耐性の液体LB培地を含む試験管にピックアップし、37℃、230回転/分間で12時間振動培養し、その中から1mlの菌液を取って-80℃で凍結乾燥して保存した。
【0056】
O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP4、VP2、VP3、VP1遺伝子を含有する組み換えベクター
蘇州金唯智生物科技有限公司により配列表SEQ ID NO.4に示されるO型SEAトポタイプVP4遺伝子断片、配列表SEQ ID NO.5に示されるO型SEAトポタイプVP2遺伝子断片、配列表SEQ ID NO.6に示されるO型SEAトポタイプVP3遺伝子断片、配列表SEQ ID NO.7に示されるO型SEAトポタイプVP1遺伝子断片を合成し、組み換えプラスミドpET28a-SUMOVP4-SUMOVP2-SUMOVP3-SUMOVP1付き、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスVP4、VP2、VP3、VP1遺伝子をタンデム発現可能な大腸菌発現菌株を構築し、-80℃で凍結乾燥して保存した。
【0057】
O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP0、VP3、VP1遺伝子を含有する組み換えベクター
蘇州金唯智生物科技有限公司により配列表SEQ ID NO.8に示されるO型CATHAYトポタイプVP0遺伝子断片、配列表SEQ ID NO.9に示されるO型CATHAYトポタイプVP3遺伝子断片、配列表SEQ ID NO.10に示されるO型CATHAYトポタイプVP1遺伝子断片を合成し、組み換えプラスミドpET28a-SUMOVP0-SUMOVP3-SUMOVP1付き、O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスVP0、VP3、VP1遺伝子をタンデム発現可能な大腸菌発現菌株を構築し、-80℃で凍結乾燥して保存した。
【0058】
抗原タンパク質の発現、精製、集合及び口蹄疫ウイルス様粒子の同定
A型口蹄疫ウイルス抗原及びウイルス様粒子
-80℃から組み換えプラスミドpET28a-SUMOVP2-SUMOVP3-SUMOVP1付きの大腸菌種菌を取ってカナマイシン耐性の50mlのLB液体培地に接種し、37℃、230回転/分間で12時間振動培養した後、1LのLB液体培地に移し、37℃で培養して発酵用種液を調製した。
【0059】
使用された発酵槽は上海保興生物公司の50L発酵槽であり、30Lの培地を調合して発酵槽に投入し、121℃で30分間滅菌した。翌日、3Lの種液を発酵槽に接種し、培養菌液の濃度がOD600値約10程度に達した場合、培養温度を25℃に下げ、IPTGを最終濃度が0.5mMになるように加えて、12時間誘導培養した。発酵密度が約40程度(OD600)で培養を停止し、遠心分離して菌体を収集した。
【0060】
菌体を再懸濁し、ホモジナイザーを用いて800barの圧力で菌体を4回破砕した。13500rpmで40min遠心分離し、上澄み液を取り、15% SDS-PAGE電気泳動により測定した。硫酸アンモニウム分級沈降法を用いてタンパク質の粗精製を行い、続いてクロマトグラフィー精製、酵素切断、クロマトグラフィー精製によるSUMO融合タグの除去及びA型口蹄疫ウイルス様粒子の集合を行った。精製後のタンパク質はSDS-PAGE電気泳動により測定した。
【0061】
リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡でA型口蹄疫ウイルス様粒子を観察した。
【0062】
O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原及びウイルス様粒子
-80℃から組み換えプラスミドpET28a-SUMOVP4-SUMOVP2-SUMOVP3-SUMOVP1付きの大腸菌種菌を取ってカナマイシン耐性の50mlのLB液体培地に接種し、上記のA型口蹄疫ウイルス抗原の調製に類似した調製条件で種菌を培養し、再び1LのLB液体培地に転移し、37℃で培養した。
50Lの発酵槽を使用し、上記A型口蹄疫ウイルス抗原に類似した調製条件で、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス抗原を大規模発酵・発現した。
上記A型口蹄疫ウイルス抗原に類似した調製条件で菌体中にタンデム発現された4つのO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス抗原を分離、精製及び同定した。
リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡でO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子を観察した。
【0063】
O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原及びウイルス様粒子
-80℃から組み換えプラスミドpET28a-SUMOVP0-SUMOVP3-SUMOVP1付きの大腸菌種菌を取ってカナマイシン耐性の50mlのLB液体培地に接種し、上記A型口蹄疫ウイルス抗原の調製に類似した調製条件で種菌を培養し、再び1LのLB液体培地に転移し、37℃で培養した。
50L発酵槽を使用し、上記A型口蹄疫ウイルス抗原に類似した調製条件で、O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス抗原を大規模発酵・発現した。
上記A型口蹄疫ウイルス抗原に類似した調製条件で菌体中にタンデム発現された3つのO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス抗原を分離、精製及び同定した。
リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡でO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子を観察した。
【0064】
口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の調製
A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物
調製されたA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原をゆっくりアジュバントに加え、加える過程で絶えず回転速度800rpmの乳化機で12min攪拌し、均一に混ぜて、4℃で保存すると、A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物になる。本発明に適用されたアジュバントは、当業者に知られているアジュバントであり得る。本発明では、選択されたアジュバントは二相アジュバント(水中油中水型エマルション)、例えばアジュバントISA 206(フランスセピック社)であってもよい。
【0065】
A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原及びO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原を含有するワクチン組成物
調製されたA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原を取り、上記のA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物を調製する方法に従い、ワクチン組成物を調製した。本発明に適用されたアジュバントは、当業者に知られているアジュバントであり得る。本発明では、選択されたアジュバントは二相アジュバント(水中油中水型エマルション)、例えばアジュバントISA 206(フランスセピック社)であってもよい。
【0066】
A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原及びO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原を含有するワクチン組成物
調製されたA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原、O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原を取り、上記のA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物を調製する方法に従い、ワクチン組成物を調製した。本発明に適用されたアジュバントは、当業者に知られているアジュバントであり得る。本発明では、選択されたアジュバントは二相アジュバント(水中油中水型エマルション)、例えばアジュバントISA 206(フランスセピック社)であってもよい。
【0067】
A型口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の免疫原性分析
A型口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の免疫原性
免疫後の豚血清中の抗体のELISA抗体レベルを採用してワクチン組成物中の抗原の免疫原性を検出する。
A型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚を選び、調製されたA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物で免疫した。免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、ブランク対照群は等量のPBSで免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後7日目、14日目、21日目、28日目に採血した。採集された血清に対して、A型口蹄疫抗体ELISAテストキットを使用して抗体の検出を行った。
【0068】
A型口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の免疫持続期間実験
免疫後の豚血清中の抗体のELISA抗体レベルを採用してワクチン組成物中の抗原の免疫持続期間を検出した。
A型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚を選び、調製されたA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物で免疫した。免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、ブランク対照群は等量のPBSで免疫し、いずれも一回免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後21日目、28日目、35日目、77日目、105日目、133日目に採血した。
市販不活化ワクチン(Re-O/MYA98/JSCZ/2013株+Re-A/WH/09株)免疫群を対照群とし、免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、そのブランク対照群は等量のPBSで免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後21日目に採血して2回目の免疫を行い、2回目の免疫後、それぞれ7日目、14日目、56日目、84日目、112日目に採血した。
【0069】
A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原及びO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原を含有するワクチン組成物中の抗原の免疫原性
免疫後の豚血清中の抗体のELISA抗体レベルを採用してワクチン組成物中の抗原の免疫原性を検出した。
A型、O型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚を選び、調製されたA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原及びO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原を含有するワクチン組成物で免疫した。免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、ブランク対照群は2mlのPBSで免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後、それぞれ7日目、14日目、21日目、28日目に採血した。
【0070】
A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原及びO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原を含有するワクチン組成物中の抗原の免疫原性
免疫後の豚血清中の抗体のELISA抗体レベルを採用してワクチン組成物中の抗原の免疫原性を検出した。
A型、O型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚を選び、調製されたA型口蹄疫ウイルス様粒子抗原、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原及びO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原を含有するワクチン組成物で免疫した。免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、対照群はO型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物で免疫し、又はO型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物で免疫した。免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、ブランク対照群は2mlのPBSで免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後、それぞれ7日目、14日目、21日目、28日目に採血した。
【0071】
実施例1 A型口蹄疫ウイルス様粒子
A型口蹄疫ウイルス抗原タンパク質を発現する菌体を再懸濁し、SDS-PAGE電気泳動で検出したところ、この時上澄み液中の3つのタンデム発現された目的タンパク質が発現されたことを示した。精製後のタンパク質をSDS-PAGE電気泳動により測定したところ、目的タンパク質がいずれも精製及び濃縮されたことを示した。
【0072】
リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、A型口蹄疫タンパク質がウイルス様粒子を形成し、且つ形成されたウイルス様粒子は充実で、集合効率が高く、凝集がないことが分かった。口蹄疫ウイルス様粒子を4℃で3ヶ月間放置した後、再びリンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、ウイルス様粒子は依然として充実で、凝集現象がないことが分かった。これは、本発明により選別された配列によって調製された口蹄疫タンパク質が安定したウイルス様粒子を形成したことを示す。
【0073】
実施例2 A型口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の調製
調製されたワクチン中の各成分の具体的な配合比を表1に示す。
【0074】
【0075】
実施例3 A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物の免疫原性試験
A型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚20匹を選び、ランダムに4つの群に分け、各群を5匹とした。1~3群は、それぞれ本発明の実施例2で調製されたワクチン1、ワクチン2、ワクチン3免疫群であり、第4群はブランク対照群であった。免疫群の免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、対照群は等量のPBSで免疫した。
【0076】
抗体価の結果から分かるように、ワクチン免疫前に全ての豚の抗体が陰性であり、一回免疫後14日目にいずれも1:128以上に達すことができる。ブランク対照群の豚の抗体が陰性であり、変化がなかった。具体的な結果を表2に示す。
【0077】
【0078】
これは、本発明により調製されたウイルス様粒子は、高レベルの特異的抗体を迅速に形成することができ、抗原の含有量がわずか160μg/mlであっても、免疫後14日目にA型口蹄疫に対して非常に良好な免疫保護作用を果たすことができることを示す。
【0079】
実施例4 A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原含有ワクチン組成物の免疫持続期間の比較試験
A型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚20匹を選び、ランダムに4つの群に分け、各群を5匹とした。第5群は本発明の実施例2で調製されたワクチン2免疫群であり、第7群は市販不活化ワクチン(Re-O/MYA98/JSCZ/2013株+Re-A/WH/09株)免疫群であり、第6群、第8群は対照群であった。第5群の免疫群の免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、第6群の対照群は等量のPBSで免疫し、いずれも一回免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後21日目、28日目、35日目、77日目、105日目、133日目に採血した。第7群の免疫群の免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、第8群の対照群は等量のPBSで免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、第7群、第8群は免疫後21日目に採血して2回目の免疫を行い、2回目の免疫後、それぞれ7日目、14日目、56日目、84日目、112日に採血した。
【0080】
結果から分かるように、ワクチン免疫前に全ての豚の抗体はいずれも陰性であり、1回目免疫後21日目にワクチン2免疫群は1:128以上に達することができ、市販ワクチン免疫群は1:128に達すことができず、市販ワクチン免疫群は2回目免疫後7日目に1:128に達することができる。ワクチン2免疫群は1回目免疫の133日目に、依然として比較的高い抗体レベルを維持し、ELISA抗体が1:180以上に達することができるが、市販ワクチン免疫群は2回目免疫後112日目に、豚の一部の抗体レベルが1:128の免疫保護限界値に近かった。対照群の豚の抗体は陰性であり、変化がなかった。具体的な結果を表3に示す。
【0081】
【0082】
上記実験から分かるように、本発明により調製されたウイルス様粒子ワクチン組成物が、市販の全ウイルス不活化ワクチンに比べて、A型口蹄疫ウイルス様粒子抗原に対して抗体の生成が速いだけでなく、抗体レベルが高く、一回の免疫だけで良好な免疫保護作用を果たすことができ、そして免疫持続期間が著しく長くなり、より長時間の免疫保護を維持することができる。
【0083】
実施例5 O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子
O型口蹄疫SEAトポタイプウイルスタンパク質抗原を発現する菌体を再懸濁し、SDS-PAGE電気泳動で検出したところ、この時上澄み液中の4つのタンデム発現された目的タンパク質が発現されたことを示した。精製後のタンパク質をSDS-PAGE電気泳動により測定したところ、目的タンパク質がいずれも精製及び濃縮されたことを示した。
【0084】
リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、O型口蹄疫SEAトポタイプタンパク質がウイルス様粒子を形成し、且つ形成されたウイルス様粒子は充実で、集合効率が高く、凝集がないことが分かった。口蹄疫ウイルス様粒子を4℃で3ヶ月間放置した後、再びリンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、ウイルス様粒子は依然として充実で、凝集現象がないことが分かった。これは、本発明により選別された配列によって調製された口蹄疫タンパク質が安定したウイルス様粒子を形成したことを示す。
【0085】
実施例6 O型SEAトポタイプ、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の調製
調製されたワクチン中の各組成の具体的な配合比は表4に示す。
【0086】
【0087】
実施例7 O型SEAトポタイプ、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の免疫原性試験
A型、O型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚20匹を選び、ランダムに4つの群に分け、各群を5匹とした。9~11群は、それぞれ本発明の実施例6で調製されたワクチン4、ワクチン5、ワクチン6免疫群であり、第12群はブランク対照群であった。免疫経路は頚部筋肉に2ml注射し、対照群は2mlのPBSで免疫した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後、それぞれ7日目、14日目、21日目、28日目に採血した。
【0088】
採集された血清に対して、A型口蹄疫抗体ELISAテストキットを使用して関連抗体の検出を行った。結果は、ワクチン免疫前に全ての豚の抗体が陰性であり、1回免疫後14日目にいずれも1:128以上に達することができるが、ブランク対照群の豚の抗体が陰性であり、変化がなかったことを示す。具体的な結果を表5に示す。
【0089】
【0090】
採集された血清に対して、O型口蹄疫SEAトポタイプ抗体ELISAテストキットを使用して関連抗体の検出を行った。結果は、ワクチン免疫前に各免疫群の全ての豚の抗体が陰性であり、1回免疫後14日目にいずれも1:128以上に達することができるが、ブランク対照群の豚の抗体が陰性であり、変化がなかったことを示す。具体的な結果を表6に示す。
【0091】
【0092】
上記試験から分かるように、本発明により調製されたA型、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子ワクチン組成物は高レベルの特異性抗体を迅速に形成することができ、A型口蹄疫及びO型口蹄疫SEAトポタイプに対して良好な免疫保護作用を果たすことができる。
【0093】
実施例8 O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子
O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルスタンパク質抗原を発現する菌体を再懸濁し、SDS-PAGE電気泳動で検出したところ、この時上澄み液中の3つのタンデム発現された目的タンパク質が発現されることを示した。精製後のタンパク質をSDS-PAGE電気泳動により測定したところ、目的タンパク質がいずれも精製及び濃縮されたことを示した。
【0094】
リンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、O型口蹄疫CATHAYトポタイプタンパク質がウイルス様粒子を形成し、且つ形成されたウイルス様粒子は充実で、集合効率が高く、凝集がないことが分かった。口蹄疫ウイルス様粒子を4℃で3ヶ月間放置した後、再びリンタングステン酸陰性染色と電子顕微鏡で観察したところ、ウイルス様粒子は依然として充実で、凝集現象がないことが分かった。これは、本発明により選別された配列によって調製された口蹄疫タンパク質が安定したウイルス様粒子を形成したことを示す。
【0095】
実施例9 O型(SEAトポタイプ、CATHAYトポタイプ)、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の調製
調製されたワクチン中の各組成の具体的な配合比は表7に示す。
【0096】
【0097】
実施例10 O型(SEAトポタイプ、CATHAYトポタイプ)、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の免疫原性試験
A型、O型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚30匹を選び、ランダムに6つの群に分け、各群を5匹とした。13~15群は、それぞれ本発明の実施例9で調製されたワクチン7、ワクチン8、ワクチン9免疫群であり、免疫経路は頚部筋肉に2ml注射した。16~17群は、それぞれ本発明の実施例9で調製されたワクチン10、ワクチン11免疫群であり、免疫経路は頚部筋肉に2ml注射した。第18群はブランク対照群であり、免疫経路は頚部筋肉に2mlのPBSを注射した。ワクチン免疫前に各豚に対して採血し、免疫後、それぞれ7日目、14日目、21日目、28日目に採血した。
【0098】
採集された血清に対して、A型口蹄疫抗体ELISAテストキットを使用して関連抗体の検出を行った。結果は、ワクチン免疫前に全ての豚の抗体が陰性であり、第13群、第14群、第15群が1回目免疫後14日目にいずれも1:128以上に達することができるが、第16群、第17群及びブランク対照群の豚の抗体が陰性であり、変化がなかったことを示す。具体的な結果を表8に示す。
【0099】
【0100】
採集された血清に対して、O型口蹄疫SEAトポタイプ抗体ELISAテストキットを使用して関連抗体の検出を行った。結果から分かるように、ワクチン免疫前に全ての豚の抗体はいずれも陰性であり、第13群、第14群、第15群、第16群は1回目免疫後14日目にいずれも1:128以上に達することができ、二価(三組成)口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の低含有量免疫群の抗体レベルは、依然として一価O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子ワクチン組成物の高含有量免疫群の抗体レベル以上に達することができ、第17群及びブランク対照群の豚の抗体は陰性であり、変化がなかった。具体的な結果を表9に示す。第13群、第14群、第15群は、第16群中のO型口蹄疫SEAトポタイプ抗体ELISA検出結果に比べて、本発明のO型(SEA型、CATHAY型)、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物において、2種類のO型抗原の間に相乗効果が生じ、O型口蹄疫SEAトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量を半減させても免疫効果を確保することができる。
【0101】
【0102】
採集された血清に対して、O型口蹄疫CATHAYトポタイプ抗体ELISAテストキットを使用して関連抗体の検出を行った。結果から分かるように、ワクチン免疫前に全ての豚の抗体はいずれも陰性であり、第13群、第14群、第15群、第17群は1回目免疫後14日目にいずれも1:128以上に達することができ、二価(三組成)口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の低含有量免疫群の抗体レベルは、依然として一価O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子ワクチン組成物の高含有量免疫群の抗体レベル以上に達することができ、第16群及びブランク対照群の豚の抗体は陰性であり、変化がなかった。具体的な結果を表10に示す。第13群、第14群、第15群は、第17群中のO型口蹄疫CATHAYトポタイプ抗体のELISA検出に比べて、本発明のO型(SEAトポタイプ、CATHAYトポタイプ)、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物において、2種類のO型抗原の間に相乗効果が生じ、O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子抗原の含有量を半減させても免疫効果を確保することができる。
【0103】
【0104】
上記実験から分かるように、本発明により調製された二価(三組成)口蹄疫ウイルス様粒子は高レベルの特異性抗体を迅速に形成することができ、2種類のO型抗原の間に相乗効果が生じ、抗原の含有量を半減させてもO型口蹄疫SEAトポタイプ及びO型口蹄疫CATHAYトポタイプに対して良好な免疫保護作用を果たすことができる。同時に、一価O型口蹄疫CATHAYトポタイプウイルス様粒子は良好な免疫反応を果たすことができ、豚に対する完全な保護を実現することを示す。
【0105】
実施例11 O型(SEAトポタイプ、CATHAYトポタイプ)、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物の攻撃・保護試験
A型、O型口蹄疫ウイルス抗原と抗体がいずれも陰性である体重40kg程度の健康で感染しやすい肥育豚34匹を選び、ランダムに8つの群に分け、第19~23群の各群は5匹であり、第24~26群の各群は3匹であった。第19~21群は本発明の実施例9で調製されたワクチン8免疫群であり、免疫経路は頚部筋肉に2ml注射した。第22~23群は市販不活化ワクチン(Re-O/MYA98/JSCZ/2013株+Re-A/WH/09株)免疫群であり、免疫経路は頚部筋肉に2ml注射した。第24~26群は対照群であり、免疫経路は頚部筋肉に2mlのPBSを注射した。免疫後に各群の臨床症状を観察した。免疫後28日目、各匹に1000ID50の強毒で筋肉注射し、第19群、第22群、第24群の攻撃毒株はCATHAYトポタイプ毒株O/0718株であり、第20群、第23群、第25群の攻撃毒株はSEAトポタイプO/MYA98/BY/2010株であり、第21群、第26群の攻撃毒株はA型A/GDMM/2013株であった。10日間観察したところ、豚の少なくとも1蹄に水疱又は潰瘍が発生したものを発病と判定した。発病具合及びPD50値を表11、12、13に示す。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
結果から分かるように、本発明のO型(SEAトポタイプ、CATHAYトポタイプ)、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物は、口蹄疫O型SEAトポタイプ、O型CATHAYトポタイプ、A型流行株の攻撃に対していずれも良好な免疫保護効果を有し、PD50は13.59~15.59であり、市販不活化ワクチンは口蹄疫O型SEAトポタイプ流行株攻撃に対して完全に保護することができず、PD50は7.19であり、市販不活化ワクチンは口蹄疫O型CATHAYトポタイプ流行株攻撃に対して完全に保護することができず、PD50は2.01であった。
【0110】
これは、本発明のO型(SEAトポタイプ、CATHAYトポタイプ)、A型二価口蹄疫ウイルス様粒子ワクチン組成物は良好な免疫原性を有し、流行株の攻撃に抵抗することができ、従来の不活化ワクチンが流行株に対して効果的に保護ができないという問題を解決し、且つ生体安全性にも優れていることを示す。
【0111】
上記は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、いかなる形態においても本発明を限定するものではない。本発明が上記のように好ましい実施例により開示されているが、本発明が限定されることを意図するものではない。本分野を熟知している技術者であれば、本発明の技術的解決手段の範囲から逸脱しない範囲で、上記のように開示された技術内容を利用して変更又は修飾を等価変化とする若干の等価実施例を実施することができる。本発明の技術的解決手段から逸脱せず、本発明の技術実質によって上記の実施例に対して行われた任意の単純な修正、等価変化及び修飾は依然としてすべて本発明の技術的解決手段の範囲内に属する。
【配列表】