(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】コーヒー又は浸出液用フィルタ
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20240705BHJP
A47J 31/02 20060101ALI20240705BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A47J31/06 160
A47J31/02
B65D85/804 100
(21)【出願番号】P 2022574852
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 IB2020054013
(87)【国際公開番号】W WO2021165727
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】522327452
【氏名又は名称】コフィー エフ.ロンボウツ,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】KOFFIE F. ROMBOUTS, NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【住所又は居所原語表記】Antwerpsesteenweg 136, 2630 Aartselaar BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ロンボウツ,シャビエル
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-108038(JP,U)
【文献】特開2005-353030(JP,A)
【文献】実公昭34-016873(JP,Y1)
【文献】実開昭51-070178(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第2213757(FR,A1)
【文献】米国特許第03446624(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
B65D 85/50-85/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー又は浸透液の調整用使い捨てフィルタ(1)であって、
使用位置を考慮して、液体、通常は水を注ぐためのタブ(6)を備え、
前記タブ(6)の底部に区画(4)が設けられ、前記区画(4)が水透過性層を用いて部分的に区画され、かつ、その内部にコーヒー又はハーブが入れられ、
前記タブ(6)が本質的に円筒形又は円錐形のジャケット(6')で構成され、その下側縁部に、内向き支持縁部(5)が設けられ、前記内向き支持縁部(5)が穴あきベースによって円筒形区画(4)に移行し、
内向き縁部(5)、フィルタをカップ(11)の上に配置した時にフィルタ(1)の支持縁部として機能する
フィルタ(1)において、
少なくとも支持縁部の外面が、10~200μmのマイクロラフネスRaを有する
ことを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
支持縁部の外面が10~100μmのマイクロラフネスRaを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
フィルタ(1)の外面全体が、10~200μmのマイクロラフネスRaを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
フィルタ(1)の外面全体が、10~100μmのマイクロラフネスRaを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
フィルタの内面全体が、0~10μmのマイクロラフネスを有する平滑な表面で構成されている
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のフィルタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー又は浸出液を準備するためのフィルタに関する。
【0002】
特に、本発明は、カップの上に置くことができ、その後、沸騰水又は熱水で満たされ、それによって水又は油がコーヒー又はハーブ含有フィルタを通過して、淹れたてのコーヒー又は浸出液がカップの中に出来上がるフィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
このようなフィルタは公知である。このようなフィルタの特別なタイプとしては、英国特許GB914678号に開示されたコーヒーを準備するための使い捨てフィルタがある。このようなフィルタには、液体を注ぐためのタブが設けられ、その使用位置におけるタブの底部には、その頂部と底部に液体浸透性層が設けられ、その間にコーヒー又はハーブが入れられた区画が設けられている。前記タブは、本質的に円筒形又は円錐形のジャケットで形成され、その下縁部には、貫通孔を備えたベースを有する円筒形部分に移行する内向き縁部が設けられており、前記内向き縁部が、フィルタがカップに配置された時にフィルタ用の支持縁部として機能するように構成されている。
【0004】
この公知のフィルタの支持縁部は、フィルタの前記ベースと並行であり、使用時に、下にあるカップの縁部上に配置され、その後、タブは熱湯で満たされる。ネットはコーヒー区画を通過して、新鮮なコーヒーでカップを満たす。
【0005】
新鮮なコーヒーの水位が上がるにつれて、カップから対応する量の空気がカップの外に排出されなければならない。しかしながら、空気の通り道が、カップの縁部に密着しているフィルタの支持縁部によって妨げられるという問題がある。さらに、フィルタ内のお湯の重さで、フィルタがカップに押し付けられる。
【0006】
フィルタを通るお湯は、上昇する蒸気を発生させ、その一部がフィルタとカップとの間の接触面の高さで液化し、カップの密閉性をより強くする。
【0007】
このようなフィルタを使用してコーヒー又は浸出液の風味を得るためには、タブ内の湯量のフィルタ時間が非常に重要である。フィルタ時間が短すぎるとコーヒー又は浸出液が薄くなり、また、フィルタ時間が長すぎると、コーヒー又は浸出液が冷めて美味しくなくなる。従って、お湯のフィルタ時間は、厳密な範囲で管理される必要がある。
【0008】
この問題を解決する手段として、カップの縁部とコーヒーフィルタの支持縁部との間に複数のスペーサを設けることが考えられるが、スペーサ間の空間に望まない気泡が形成されることがあるという問題がある。
【0009】
発明者等は、研究により、10~200μmの間のマイクロラフネスRaを有し、より好ましくは10~100μmの間のマイクロラフネスRaを有する連続表面として支持縁部の下側を形成することによって、支持縁部とカップの縁部との間で、微細な通路が開いたままの状態になり、お湯が予想される時間内にコーヒーフィルタを通過できるように、微細な通路を空気が通過でき、上記問題を解決し得ることを見出した。
【0010】
特別な実施形態の変形例によれば、意図された支持縁部の周りのより広い帯状部分、又はフィルタの外側全体を、10~200μmの間のマイクロラフネスRaを有するように、より好ましくは、10~100μmのマイクロラフネスRaを有するようにすることで、時折生じる意図しない使用時においても、フィルタ時間を維持することが保証される。
【0011】
また、フィルタの内面を、0~10μmの限定されたマイクロラフネスを有する平滑な表面で構成し、お湯が、コーヒー又はハーブを有する区画に、タブの壁からよりスムーズに流れることを可能にすることで、フィルタ時間がさらに保証され得る。
【0012】
フィルタを取り付ける必要があるほとんどのカップも円形であるため、フィルタの形状は好ましくは円形であるが、フィルタの形状は、また、円形から逸脱した形状であってもよく、それによって、タブ及び/又はコーヒー又はハーブの区画が完全な円筒形又は円錐形でなくすることができ、不規則な形態を有することもできることは明らかである。
【0013】
本発明の特徴をより良く示すことを意図して、本発明によるマイクロラフネス加工された接触面を有するコーヒー又は浸出液用フィルタの好ましい実施形態を、限定性のない実施例を用いて、添付図面を参照しながら以下に説明していく。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るフィルタをカップ上に配置した状態を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、コーヒー又は浸出液調整用フィルタ1を示しており、このフィルタ1は、円形ベース2を備え、該円形ベース2は、一回分の挽いたコーヒー又はハーブを収容し、かつ、支持縁部5に結合される区画4を形成する立上り壁3に接続されている。ぜんっき支持縁部5は、コーヒー又はハーブ用の区画4を液体、通常は水を注ぐためのタブ6に接続し、前記タブ6は本質的に円筒状又は円錐状のジャケット6'に囲まれている。前記ジャケット6の上には、縁部7が配置され、該縁部7にはリング状カラー8が設けられている。タブ6の底部に設けられた区画4は、内部にコーヒー又はハーブが設けられた水浸透性層によって部分的に区切られており、また、タブ6の底部には、複数の貫通部9を備えたベース2を備えた区画4に移行する内向きの支持縁部5が設けられている。
【0016】
このために、内向き支持縁部5は、前記フィルタをカップ11上に配置した時に、フィルタの支持体として機能し、少なくとも支持縁部5の外面は、10~200μmのマイクロラフネスRa(微細粗さ)を有する。また、目的とする支持縁部5を囲むより広い帯状部、即ち、フィルタ1の外側全体が、10~200μmのマイクロラフネスRaを有するようにし得る。
【0017】
図2は、
図1の上面図であり、この図では、ベース2における切り取られた又は打ち抜かれた複数の貫通部9がはっきりと見える。フィルタ1のリング状カラー8は、タブ6の周囲の本質的に円筒形又は円錐形のジャケット(壁部)6'に移行し、該円筒形又は円錐形の壁部6'は、支持縁部5に移行し、その後、支持縁部5はコーヒー又はハーブ用の円筒形区画4の壁部3に移行し、次いで、前記壁部3は円形ベース2に移行する。
【0018】
マイクロラフネス加工された接触面10を有する支持縁部5を備えたコーヒーフィルタ1の操作は、以下に説明するように非常に簡単である。
【0019】
コーヒー入りフィルタ1は空のカップ11に配置され、次いで、お湯又は熱湯が縁部7の下のノッチまで実質的に満たされる。
【0020】
熱湯は、制御されたフィルタ時間で、フィルタを通り、フィルタ1の基部2に設けられた貫通部9を通って、その下に配置されたカップに中に入る。前記フィルタ時間中に、現在、カップ11の中にあるコーヒーの容量に対応する量の空気がカップから排出される必要がある。この空気置換は、支持縁部5のマイクロラフネス加工された底面10と、フィルタ1が載せられたカップ11の縁部との間に形成された微細通路によって実現され得る。
【0021】
フィルタ1のタブ6は、完全に円形である必要はなく、即ち、完全な円筒形である必要はなく、フィルタが実質的に全ての円形カップに普遍的に使用できるように、円形、即ち、円筒形から逸脱した形状であり得ることは明らかである。
【0022】
本発明は、実施例として説明され、図面に示された実施形態に限定されるものではなく、本発明によるフィルタは、添付の特許請求の範囲に記載したように、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の形態及び寸法で実現可能である。