IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チューハイ コスミクス バッテリー カンパニー,リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図1
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図2
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図3
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図4
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図5
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図6
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図7
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図8
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図9
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図10
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図11
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図12
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図13
  • 特許-ボタン電池及び電子機器 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ボタン電池及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/181 20210101AFI20240705BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/153 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/188 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/636 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/247 20210101ALN20240705BHJP
【FI】
H01M50/181
H01M50/109
H01M50/153
H01M50/169
H01M50/188
H01M50/342 101
H01M50/545
H01M50/56
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/636
H01M50/247
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022580363
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2021135533
(87)【国際公開番号】W WO2022117098
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】202022901163.0
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522442283
【氏名又は名称】チューハイ コスミクス バッテリー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ペン,ニン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-143763(JP,A)
【文献】実開昭58-176360(JP,U)
【文献】特開平02-090457(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111900275(CN,A)
【文献】特表2023-529378(JP,A)
【文献】特表2023-511884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/50
H01M 50/60
H01M 50/30
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン電池であって、シェル及びカバープレートアセンブリを含み、
前記シェルは底壁及び環状の側壁を含み、前記側壁の底端は前記底壁と一体成形され、
前記カバープレートアセンブリは中央部領域に貫通孔を有するトップカバー、及び前記貫通孔を覆う導電部材を含み、前記導電部材は前記トップカバーに絶縁して接続され、
前記トップカバーの外縁は前記側壁の頂端に溶接され、電極アセンブリ及び電解液を収容する収容室を形成し、前記トップカバーの外縁の外面は溶接跡を有し、溶接の溶込みは前記トップカバーから前記側壁の方向へ延伸し、
前記導電部材は前記トップカバーの前記収容室に向かう一面に設けられ
前記導電部材に前記貫通孔に穿設されたボスが設けられ、前記ボスは前記導電部材の前記トップカバーと当接する面に設けられる、
ことを特徴とするボタン電池。
【請求項2】
前記導電部材に前記収容室内に電解液を注入する注液口が設けられ、
前記カバープレートアセンブリは前記注液口を覆うシーリング部材をさらに含み、前記シーリング部材は前記導電部材の前記収容室と反対する一面に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のボタン電池。
【請求項3】
記導電部材の前記収容室に向かう一面は平面である、
ことを特徴とする請求項2に記載のボタン電池。
【請求項4】
前記注液口は前記ボスを貫通し、且つ前記ボスの中心は前記注液口の中心と重なる、
ことを特徴とする請求項3に記載のボタン電池。
【請求項5】
前記ボスの前記収容室から遠い端面は前記シェルの前記収容室から遠い端面と面一であり、又は、前記ボスの前記収容室から遠い端面は前記シェルの前記収容室から遠い端面と前記シェルの前記収容室に近い端面との間にある、
ことを特徴とする請求項4に記載のボタン電池。
【請求項6】
前記ボスの前記収容室から遠い一端にザグリ孔が設けられ、前記ザグリ孔は前記注液口に連通し、且つ前記ザグリ孔の中心は前記注液口の中心と重なる、
ことを特徴とする請求項5に記載のボタン電池。
【請求項7】
前記ボスの前記収容室から遠い端面と前記ボスの前記収容室に近い端面との間の距離は0.1mm~0.5mmである、
ことを特徴とする請求項6に記載のボタン電池。
【請求項8】
前記導電部材と前記トップカバーとの間に密封ゴムリングが設けられる、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のボタン電池。
【請求項9】
前記シーリング部材の前記収容室と反対する一側に溝が設けられ、前記溝は薄化領域として形成され、前記薄化領域の中心は前記注液口の中心と重なる、
ことを特徴とする請求項2~7のいずれか一項に記載のボタン電池。
【請求項10】
電子機器であって、電子機器本体及び請求項1~9のいずれか一項に記載のボタン電池を含み、前記ボタン電池は前記電子機器本体に電気エネルギーを提供する、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、特にボタン電池及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電池は、外形寸法がボタンのような電池を指し、一般的に直径が大きく、厚さが薄い。ボタン電池はその体積が小さいため、例えば、着用型電子機器分野及び医療製品分野等、様々なマイクロ電子機器に幅広く用いられている。
【0003】
従来技術において、ボタン電池はシェル、導電部材及びシーリング部材を含む。シェルに電解液を収容するキャビティに連通する貫通孔が設けられ、導電部材は貫通孔上に覆設され、ボタン電池の外側に設けられ、且つ導電部材密封ゴムリングによりシェルに貼り付けられ、シールリング部材は導電部材の注液口上に覆設される。
【0004】
しかしながら、ボタン電池の内部は密閉空間に属するため、従来のボタン電池には安全信頼性が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、従来のボタン電池に存在する安全信頼性が低いという問題を解決するために、ボタン電池及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本願はボタン電池であって、シェル及びカバープレートアセンブリを含み、
前記シェルは底壁及び環状の側壁を含み、前記側壁の底端は前記底壁と一体成形され、
前記カバープレートアセンブリは中央部領域に貫通孔を有するトップカバー、及び前記貫通孔を覆う導電部材を含み、前記導電部材は前記トップカバーに絶縁して接続され、
前記トップカバーの外縁は前記側壁の頂端に溶接され、電極アセンブリ及び電解液を収容する収容室を形成し、前記トップカバーの外縁の外面は溶接跡を有し、溶接の溶込みは前記トップカバーから前記側壁の方向へ延伸し、
前記導電部材は前記トップカバーの前記収容室に向かう一面に設けられる、ボタン電池を提供する。
【0007】
任意選択的な一実施形態において、前記導電部材に前記収容室内に電解液を注入する注液口が設けられ、
前記カバープレートアセンブリは前記注液口を覆うシーリング部材をさらに含み、前記シーリング部材は前記導電部材の前記収容室と反対する一面に位置する。
【0008】
任意選択的な一実施形態において、前記導電部材に前記貫通孔に穿設されたボスが設けられ、前記ボスは前記導電部材の前記トップカバーと当接する面に設けられ、前記導電部材の前記収容室に向かう一面は平面である。
【0009】
任意選択的な一実施形態において、前記注液口は前記ボスを貫通し、且つ前記ボスの中心は前記注液口の中心と重なる。
【0010】
ボスと貫通孔の孔壁とをシールゴムリングにより密封して接続することにより、導電部材と貫通孔との間の接触面積をさらに増大させ、導電部材と貫通孔との間の密封性を向上させるだけでなく、さらに導電部材のボタン電池内の圧力に対する耐力を向上させる。
【0011】
任意選択的な一実施形態において、前記ボスの前記収容室から遠い端面は前記シェルの前記収容室から遠い端面と面一であり、或いは、前記ボスの前記収容室から遠い端面は前記シェルの前記収容室から遠い端面と前記シェルの前記収容室に近い端面との間にある。
【0012】
任意選択的な一実施形態において、前記ボスの前記収容室から遠い一端にザグリ孔が設けられ、前記ザグリ孔は前記注液口に連通し、且つ前記ザグリ孔の中心は前記注液口の中心と重なる。
【0013】
注液口を通して収容室内に電解液を注入した後、シェルの外側にシーリング部材とザグリ孔との間の接合部を溶接し、それによりシーリング部材と注液口との間の密封性を向上させる。
【0014】
任意選択的な一実施形態において、前記ボスの前記収容室から遠い端面と前記ボスの前記収容室に近い端面との間の距離は0.1mm~0.5mmである。
【0015】
任意選択的な一実施形態において、前記導電部材と前記トップカバーとの間に密封ゴムリングが設けられる。
【0016】
任意選択的な一実施形態において、前記密封部材の前記収容室と反対する一側に溝が設けられ、前記溝は薄化領域として形成され、前記薄化領域の中心は前記注液口の中心と重なる。
【0017】
シーリング部材に薄化領域を設置することにより、ボタン電池内の圧力を薄化領域から排気減圧させ、ボタン電池内の圧力が予め排出されるという目的を実現し、それにより電池が爆発する時に引き起こす破壊力を低減させる。
【0018】
別の態様において、本願は電子機器であって、電子機器本体及び上記いずれか一項に記載のボタン電池を含み、前記ボタン電池は前記電子機器本体に電気エネルギーを提供する、電子機器をさらに提供する。
【発明の効果】
【0019】
本願はボタン電池及び電子機器を提供し、前記ボタン電池はシェル及びカバープレートアセンブリを含み、シェルは底壁及び環状の側壁を含み、側壁の底端は底壁と一体成形され、カバープレートアセンブリは中央領域に貫通孔を有するトップカバー、及び貫通孔を覆う導電部材を含み、導電部材はトップカバーに絶縁して接続され、トップカバーの外縁は側壁の頂端に溶接され、電極アセンブリ及び電解液を収容する収容室を形成し、トップカバーの外縁の外面は溶接跡を有し、溶接の溶込みはトップカバーから側壁の方向に延伸し、導電部材はトップカバーの収容室に向かう一面に設けられる。導電部材がトップカバーの収容室に向かう一面に設けられることにより、導電部材によるトップカバーに対する押圧力は従来技術においてトップカバーの収容室から遠い一面に設けられる導電部材とトップカバーとの間の接着力より大きく、このように、導電部材のボタン電池内の圧力に対する耐力を増大させ、それにより電池が爆発する時に引き起こす破壊力を低減させ、さらにボタン電池の安全信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下は実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力をせず、これらの図面に基づいて他の図面をさらに得ることができる。
図1】本願にて提供されるボタン電池の第1種類の構造概略図である。
図2図1にて提供されるボタン電池における導電部材の構造概略図である。
図3】本願にて提供されるボタン電池の第2種類の構造概略図である。
図4図3にて提供されるボタン電池における導電部材の構造概略図である。
図5】本願にて提供されるボタン電池の第3種類の構造概略図である。
図6図5にて提供されるボタン電池における導電部材の構造概略図である。
図7】本願にて提供されるシーリング部材の第1種類の構造概略図である。
図8図7におけるシーリング部材の断面構造概略図である。
図9】本願にて提供されるシーリング部材の第2種類の構造概略図である。
図10図9におけるシーリング部材の断面構造概略図である。
図11】本願にて提供されるシーリング部材の第3種類の構造概略図である。
図12図11におけるシーリング部材の断面構造概略図である。
図13】本願にて提供されるシーリング部材の第種類の構造概略図である。
図14図13におけるシールリング部材の断面構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書の説明において、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例示的な実施形態」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等の用語を参照する説明は実施形態又は例に合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は必ずしも同じ実施形態又は例を指すものではない。また、説明する具体的な特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施形態又は例において適切な方式で組み合わせられることができる。
【0022】
なお、用語の「第1」、「第2」は説明するという目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示し又は暗示し、あるいは指示された技術的特徴の数を暗黙的に指示すると理解することができない。これにより、「第1」、「第2」により定義される特徴は少なくとも1つの当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本願の説明において、特に明確且つ具体的に限定しないかぎり、「複数」は少なくとも2つ、例えば、2つ、3つ等を意味する。
【0023】
本願では、別途明確な規定と限定がないかぎり、用語の「取り付け」、「接続」、「固定」等の用語は広義に理解されるべきであり、例えば、明確に限定しない限り、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であっても、又は一体になっていてもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であっても、又は互いに通信可能であってもよく、直接接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよく、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0024】
本願では、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、別に明確な規定と限定がないかぎり、第1及び第2の特徴が直接接触しているか、又は第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していることである。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上方にあるとすることができ、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下方にあるとすることができ、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴より低いことを示す。
【0025】
以上の説明において、用語の「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等を参照する説明は当該実施例又は例に合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は必ずしも同一の実施例又は実施例に対するものではない。また、説明する具体的な特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることができる。さらに、当業者であれば、本明細書において説明される異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を、互いに矛盾しないかぎり、結び付け、組み合わせることができる。
【0026】
ボタン電池は、外形寸法がボタンのような電池を指し、一般的に直径が大きく、厚さが薄い。ボタン電池はその体積が小さいため、例えば、着用型電子機器分野及び医療製品分野等、様々なマイクロ電子機器に幅広く用いられている。従来技術において、ボタン電池はシェル、導電部材及びシーリング部材を含む。シェルに電解液を収容するキャビティに連通する貫通孔が設けられ、導電部材は貫通孔上に覆設され、ボタン電池の外側に設けられ、且つ導電部材密封ゴムリングによりシェルに貼り付けられ、シールリング部材は導電部材の注液口上に覆設される。しかしながら、ボタン電池の内部は密閉空間に属するため、従来のボタン電池には安全信頼性が低いという問題がある。
【0027】
上記問題を解決するために、本願はボタン電池及び電子機器を提供し、導電部材がトップカバーの収容室に向かう一面に設けられることにより、導電部材によるトップカバーに対する押圧力は従来技術においてトップカバーの収容室から遠い一面に設けられる導電部材とトップカバーとの間の接着力より大きく、このように、導電部材のボタン電池内の圧力に対する耐力を増大させ、それにより電池が爆発する時に引き起こす破壊力を低減させ、さらにボタン電池の安全信頼性を向上させる。
【0028】
以下、具体的な実施例に合わせて本願にて提供されるボタン電池及び電子機器について詳細に説明する。
【0029】
図1は本願にて提供されるボタン電池の第1種類の構造概略図である。図2図1にて提供されるボタン電池における導電部材の構造概略図である。
【0030】
本願はボタン電池であって、シェル10及びカバープレートアセンブリ20を含み、シェル10は底壁11及び環状の側壁12を含み、側壁12の底端は底壁11と一体成形され、カバープレートアセンブリ20は中央部領域に貫通孔を有するトップカバー21及び貫通孔を覆う導電部材22を含み、導電部材22はトップカバー21に絶縁して接続され、トップカバー21の外縁は側壁12の頂端に溶接され、電極アセンブリ30及び電解液を収容する収容室101を形成し、トップカバー21の外縁の外面は溶接跡を有し、溶接の溶込みはトップカバー21から側壁12の方向に延伸し、導電部材22はトップカバー21の収容室101に向かう一面に設けられる、ボタン電池を提供する。
【0031】
ここで、シェル10の横断面の形状は円形、楕円形、多角形等の任意の形状であってもよく、ここで、本願はこれを限定しない。
【0032】
トップカバー21に貫通孔が設けられ、それによってトップカバー21が環状構造に形成される。ここで、貫通孔の形状は円形、楕円形又は多角形等であってもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0033】
電極アセンブリ30は収容室101内に位置する。電極アセンブリ30は正極板、負極板及び正極板と負極板を隔てるセパレータを含み、正極板に第1タブ31が設けられ、第1タブ31は溶接の方式によって正極板に設けられることができ、負極板に第2タブ32が設けられ、第2タブ32は溶接の方式によって負極板に設けられることができる。巻回過程において正極板、負極板及びセパレータは巻回先端から同一方向に一層ずつ巻回して最終的に電極アセンブリ30を形成する。
【0034】
第1タブ31とシェル10は溶接等の方式により電気的に接続され、第2タブ32と導電部材22も溶接、接着の方式により電気的に接続される。シェル10及び導電部材22はそれぞれ電子機器における正負極に電気的に接続され、それにより電極アセンブリ30はシェル10及び導電部材22を介して電子機器に電気エネルギーを提供する。
【0035】
電極アセンブリ30はシェル10及び導電部材22を介して電子機器に電気エネルギーを提供し、そのため、シェル10及び導電部材22はステンレス鋼、銅、鉄、アルミニウム等の金属材質で製造されることができる。
【0036】
導電部材22はトップカバー21の収容室101に向かう一面に設けられ、導電部材22はトップカバー21の当接面に当接し、導電部材22は貫通孔上に被せられ、且つ導電部材22とトップカバー21との間は絶縁し且つ密封して接続される。ここで、導電部材22とトップカバー21との間の絶縁及び密封接続は絶縁密封リングによって接着されてもよく、他の絶縁及び密封の方式によって接続されてもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0037】
導電部材22に収容室101内に電解液を注入する注液口221がさらに設けられ、注液口221は円形、四角形、多角形等の任意の形状であってもよい。一実施例において、注液口221は導電部材22と同心に設けられ、導電部材22は電極アセンブリ30を収容するための収容室101と同心に設けられる。
【0038】
なお、導電部材22とトップカバー21との間の接続密封性を向上させるために、加熱加圧方式によって導電部材22を密封ゴムリング40によりトップカバー21に接着することができ、このように、密封ゴムリング40の接着信頼性を向上させることができ、それにより導電部材22とトップカバー21との間の接続密封性を向上させる。
【0039】
本願にて提供されるボタン電池は、導電部材22がトップカバー21の収容室101に向かう一面に設けられることにより、導電部材22によるトップカバー21に対する押圧力は従来技術においてトップカバーの収容室から遠い一面に設けられる導電部材とトップカバーとの間の接着力より大きく、このように、導電部材22のボタン電池内の圧力に対する耐力を増大させ、それにより電池が爆発する時に引き起こす破壊力を低減させ、さらにボタン電池の安全信頼性を向上させる。
【0040】
任意選択的に、カバープレートアセンブリ20は注液口221を覆うシーリング部材23をさらに含み、シーリング部材23は導電部材22の収容室101と反対する一面に位置し、導電部材22とトップカバー21の内壁との当接面は水平面である。導電部材22とトップカバー21の内壁との当接面を水平面として設置することにより、導電部材22の構造をシンプルにし、それによりボタン電池の加工コストを低減する。
【0041】
例示的には、図1及び図2に示すように、トップカバー21は円盤状であり、貫通孔は円孔であり、導電部材22は円盤状であり、貫通孔の直径は導電部材22の直径より小さく、したがって、導電部材22の縁部と貫通孔の縁部は径方向に沿って少なくとも一部が積層して設けられ、導電部材22のボタン電池内の圧力に対する耐力を増大させるだけでなく、さらに貫通孔と導電部材22とは密封ゴムリング40により加熱加圧の方式で密着して接着され、ボタン電池の密封性を向上させる。
【0042】
導電部材22の縁部と貫通孔の縁部の径方向に沿う一辺の積層寸法が大きいほど、導電部材22のボタン電池内の圧力に対する耐力がよくなり、したがって、一実施例において、導電部材22と貫通孔の径方向に沿う一辺の積層部分のサイズは1mm以上であり、且つ導電部材22トップカバー21の直径差が0.05mm以下であり、このように、導電部材22と貫通孔との間の接触面積を増大させ、それにより導電部材22のボタン電池内の圧力に対する耐力を向上させる。
【0043】
図3は本願にて提供されるボタン電池の第2種類の構造概略図である。図4図3にて提供されるボタン電池における導電部材の構造概略図である。
【0044】
任意選択的に、図3及び図4に示すように、導電部材22に貫通孔に穿設されたボス223が設けられ、ボス223は導電部材22のトップカバー21と当接する面に設けられ、導電部材22の収容室に向かう一面は平面であり、注液口221はボス223を貫通し、且つボス223の中心は注液口221の中心と重なる。
【0045】
ボス223と貫通孔の孔壁とは密封ゴムリング40により密封して接続され、導電部材22と貫通孔との間の接触面積をさらに増大させ、導電部材22と貫通孔との間の密封性を向上させるだけでなく、さらに導電部材22のボタン電池内の圧力に対する耐力を向上させる。
【0046】
さらに、ボス223の収容室101から遠い端面はシェル10の収容室101から離れた端面と面一であり、又はボス223の収容室101から遠い端面はシェル10の収容室101から遠い端面とシェル10の収容室101に近い端面との間にあり、このように、ボタン電池全体の構造はよりコンパクトであり、ボタン電池全体の美観性を向上させる。
【0047】
なお、実際の必要に応じて、ボス223の中心は注液口221の中心と重ならなくてもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0048】
図5は本願にて提供されるボタン電池の第3種類の構造概略図である。図6図5にて提供されるボタン電池における導電部材の構造概略図である。
【0049】
任意選択的に、図5及び図6に示すように、ボス223の収容室101から遠い一端にザグリ孔222が設けられ、ザグリ孔222は注液口221に連通し、且つザグリ孔222の中心は注液口221の中心と重なり、シーリング部材23はザグリ孔に設けられる。注液口221を通して収容室101内に電解液を注入した後、トップカバー21の外側においてシールリング部材23とザグリ孔222との間の接合部を溶接し、それによりシールリング部材23と注液口221との間の密封性を向上させる。
【0050】
なお、ザグリ孔222の形状は注液口221の形状と同じであり、すなわち注液口221の形状が円形である場合、ザグリ孔222の形状も円形である。
【0051】
例示的に、注液口221の延伸方向に、導電部材22とトップカバー21との当接部分の厚さは0.05mm~0.2mmであり、ボス223の厚さは0.1mm~0.5mmであり、ザグリ孔の深さは0.05mm~0.45mmであってもよい。
【0052】
図7は本願にて提供されるシールリング部材の第1種類の構造概略図である。図8図7におけるシールリング部材の断面構造概略図である。図9は本願にて提供されるシールリング部材の第2種類の構造概略図である。図10図9におけるシールリング部材の断面構造概略図である。図11は本願にて提供されるシールリング部材の第3種類の構造概略図である。図12図11におけるシールリング部材の断面構造概略図である。図13は本願にて提供されるシールリング部材の第種類の構造概略図である。図14図13におけるシールリング部材の断面構造概略図である。
【0053】
任意選択的に、シーリング部材23に薄化領域231が設けられる。
【0054】
ボタン電池は密閉空間であり、そのため、収容室101内の圧力が比較的大きく、圧力が大きすぎる場合、爆発等の状況が発生すれば、引き起こした破壊の程度が大きく、ボタン電池の安全信頼性を向上させるために、本願において、シールリング部材23に薄化領域231が設けられ、薄化領域231の受圧能力は薄化領域231のない領域の受圧能力より小さいため、ボタン電池内の圧力が薄化領域231の耐えられる圧力の最大臨界値まで増大する場合、薄化領域231は圧力の駆動でクラックが発生し、又は直接破断し、ボタン電池内の圧力は薄化領域231のクラック又は破断箇所から排気減圧を行うことができ、この時の電池内の圧力はまだ未薄化領域耐えられる圧力の最大臨界値に達せず、したがって、電池には爆発が発生すれば、その破壊力も大幅に低下し、それによりボタン電池の安全信頼性を向上させる。
【0055】
本願の実施例にて提供されるボタン電池は、シーリング部材23に薄化領域231を設けることにより、薄化領域231が耐えられる圧力は薄化されていない領域の受圧能力に比べて小さいため、このように、ボタン電池内の圧力が薄化領域231に耐えられない圧力まで増大すると、薄化領域231にクラックひいては破断が発生し、このように、ボタン電池内の圧力は薄化領域231から排気減圧され、電池内の圧力を早期に排出するという目的を実現し、それにより電池が爆発する時に引き起こす破壊力を低減させ、電池内の圧力が大きすぎ且つ早期に排出できないことによる爆発後の破壊力が大きいという技術的問題を回避する。
【0056】
任意選択的に、薄化領域231は密封部材23の収容室101と反対する一側に位置し、薄化領域231をシーリング部材23の収容室101と反対する一側に設けることにより、すなわちシーリング部材23の収容室101に向かう一側は平坦な平面であり、このように、電池の安全信頼性を向上させるとともに、収容室101内の電解液が薄化領域231と薄化されていない領域との間の接続部を腐食して電池の寿命を減少することを回避することができる。
【0057】
任意選択的な一実施形態において、シーリング部材23の収容室101と反対する一側には溝が設けられ、溝は薄化領域231として形成される。シーリング部材23の収容室101と反対する一側に溝を設けることにより、溝を薄化領域231として形成し、構造がシンプルで、加工コストが低い。
【0058】
任意選択的に、薄化領域231は十字形溝、環状溝又は円形溝のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0059】
例えば、図9及び図10に示すように、薄化領域231は十字形溝である。図7及び図8に示すように、薄化領域231は円環状溝である。図11及び図12のように、薄化領域231は円形溝と十字形溝の組み合わせである。図13及び図14に示すように、薄化領域231は円形溝である。ただし、薄化領域231は楕円形溝、矩形溝等の他の任意の規則的な形状の溝又は少なくとも2つの形状の組み合わせであってもよく、任意の不規則な形状の溝であってもよく、又は規則的な形状若しくは不規則な形状の組み合わせであってもよく、ここでは特に限定しない。
【0060】
任意選択的に、薄化領域231の加工を容易にするために、薄化領域231の中心は注液口221の中心と重なり、このように、薄化領域231を加工するときに、薄化領域231の加工時の中心位置合わせを容易にする。
【0061】
任意選択的な一実施形態において、溝の深さは0.01mm~0.1mmであり、このように、シーリング部材23が正常に動作する時の強度に対する要求を満たすとともに、ボタン電池の内部圧力が大きすぎる場合、早期に排気及び減圧を行うことができ、ボタン電池が爆発する時に引き起こす損傷を低減し、それによりボタン電池の安全信頼性を向上させる。
【0062】
さらに、薄化領域231はシールリング部材23と一体成形されてもよい。このように、シールリング部材23と薄化領域231を形成する加工工程を削減し、それにより加工コストを低減させる。
【0063】
任意選択的に、シーリング部材23はシート状構造であってもよく、すなわちシーリング部材23はシーリングシートであり、このように、シーリング部材23の収容室101の一側に向かう面は平坦な平面であり、このように、シーリング部材23の強度を向上させることができ、それによりシーリング部材23の使用信頼性を向上させる。
【0064】
また、シールリング部材23はシーリングシートとして設置され、すなわちシールリング部材23の厚さが薄く、シールリング部材23の厚さが薄い場合、耐えられる圧力が小さくなるので、電池内の圧力がシールリング部材23の耐えられる圧力を超える場合、電池が爆発したときに、電池が爆発したときの破壊力を低減することができる。
【0065】
本願は電子機器であって、電子機器本体及びボタン電池を含み、ボタン電池は電子機器本体に電気エネルギーを提供する、電子機器をさらに提供する。
【0066】
ここで、本願にて提供される電子機器におけるボタン電池の構造は以上に記載のボタン電池の構造と同じであり、且つ同じ又は類似の技術的効果をもたらすことができ、ここでは説明を省略する。
【0067】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は本願の技術的解決手段を限定するものではなく、説明するために用いられる。前記各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴に対して同等置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させないことを理解すべきである。
【0068】
本願は、2020年12月04日に中国特許庁に提出された、出願番号が202022901163.0、出願の名称が「ボタン電池及び電子機器」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容のすべては援用により本願に組み込まれる。
【符号の説明】
【0069】
10…シェル、101…収容室、11…底壁、12…側壁、20…カバープレートアセンブリ、21…トップカバー、22…導電部材、221…注液口、222…ザグリ孔、223…ボス、23…シールリング部材、231…薄化領域、30…電極アセンブリ、31…第1タブ、32…第2タブ、40…密封ゴムリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14