(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G11C 7/06 20060101AFI20240705BHJP
G11C 5/14 20060101ALI20240705BHJP
G11C 7/08 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G11C7/06 120
G11C5/14 420
G11C7/08
(21)【出願番号】P 2023062462
(22)【出願日】2023-04-07
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】門脇 卓也
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/198856(WO,A1)
【文献】特表2019-500714(JP,A)
【文献】特表2023-523493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/06
G11C 7/08
G11C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1トランジスタと、一対の第2トランジスタと、を含む少なくとも1つのセンスアンプと、
前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に接続された一対のビット線の電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧に近くなるように、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタに供給するように制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、
前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給するように制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、
前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給される電圧を調整するのに用いられる電圧である第1調整用電圧を生成する第1電圧生成部を備え、
前記第1電圧生成部は、
前記第1調整用電圧を用いて、前記オフセットキャンセル動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給される電圧を調整する第1ドライバと、
第1定電流源と、
前記第1ドライバと前記第1定電流源との間に接続された1つ以上のトランジスタを含む第1トランジスタグループであって、前記1つ以上のトランジスタの各々は、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち何れかのセンスアンプ内の前記第1トランジスタと同じ特性を有する、第1トランジスタグループと、
前記第1トランジスタグループと前記第1定電流源との間のノードに接続された第1入力端子と、前記目標電圧が入力される第2入力端子と、を有する第1オペアンプであって、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて前記第1調整用電圧を生成し、前記第1調整用電圧を出力する第1オペアンプと、を備える、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタの特性に基づいて調整されたバックバイアス電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給するように制御する第2制御
部を備える、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、
前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給される電圧を調整するのに用いられる電圧である第1調整用電圧を用いて、前記オフセットキャンセル動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給される電圧を調整する第2ドライバと、
第2定電流源と、
前記第2ドライバと前記第2定電流源との間に接続された1つ以上のトランジスタを含む第2トランジスタグループであって、前記1つ以上のトランジスタの各々は、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち何れかのセンスアンプ内の前記第1トランジスタと同じ特性を有する、第2トランジスタグループと、
前記第2トランジスタグループと前記第2定電流源との間のノードに接続された第1入力端子と、前記目標電圧が入力される第2入力端子と、を有する第2オペアンプであって、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタと、前記第2トランジスタグループ内の前記1つ以上のトランジスタと、に供給されるバックバイアス電圧を生成し、前記バックバイアス電圧を出力する第2オペアンプと、を備える、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタに供給するように制御する第3制御部と、
前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタの特性に基づいて調整されたバックバイアス電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタに供給するように制御する第4制御部と、
のうち少なくとも1つを備える、
請求項
1~3の何れかに記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第3制御部は、
前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタに供給される電圧を調整するのに用いられる電圧である第2調整用電圧を生成する第2電圧生成部を備える、
請求項
4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2電圧生成部は、
前記第2調整用電圧を用いて、前記オフセットキャンセル動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタに供給される電圧を調整する第3ドライバと、
第3定電流源と、
前記第3ドライバと前記第3定電流源との間に接続された1つ以上のトランジスタを含む第3トランジスタグループであって、前記1つ以上のトランジスタの各々は、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち何れかのセンスアンプ内の前記第2トランジスタと同じ特性を有する、第3トランジスタグループと、
前記第3トランジスタグループと前記第3定電流源との間のノードに接続された第1入力端子と、前記目標電圧が入力される第2入力端子と、を有する第3オペアンプであって、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて前記第2調整用電圧を生成し、前記第2調整用電圧を出力する第3オペアンプと、を備える、
請求項
5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第4制御部は、
前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタに供給される電圧を調整するのに用いられる電圧を用いて、前記オフセットキャンセル動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタに供給される電圧を調整する第4ドライバと、
第4定電流源と、
前記第4ドライバと前記第4定電流源との間に接続された1つ以上のトランジスタを含む第4トランジスタグループであって、前記1つ以上のトランジスタの各々は、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち何れかのセンスアンプ内の前記第2トランジスタと同じ特性を有する、第4トランジスタグループと、
前記第4トランジスタグループと前記第4定電流源との間のノードに接続された第1入力端子と、前記目標電圧が入力される第2入力端子と、を有する第4オペアンプであって、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第2トランジスタと、前記第4トランジスタグループ内の前記1つ以上のトランジスタと、に供給されるバックバイアス電圧を生成し、前記バックバイアス電圧を出力する第4オペアンプと、を備える、
請求項
4に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記オフセットキャンセル動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に供給される電圧の大きさが、前記一対のビット線の電圧の増幅動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に供給される電圧の大きさと異なる場合に、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に供給される電圧をこれらの動作毎に切り替えるように構成されている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記オフセットキャンセル動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に供給される電圧の大きさが、前記一対のビット線の電圧の増幅動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に供給される電圧の大きさと等しい場合に、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に供給される電圧をこれらの動作毎に切り替えないように構成されている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタのうち一方はNチャンネル型電界効果トランジスタであり、前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタのうち他方はPチャンネル型電界効果トランジスタである、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
半導体記憶装置の制御方法であって、
前記半導体記憶装置は、
一対の第1トランジスタと、一対の第2トランジスタと、を含む少なくとも1つのセンスアンプ
と、
第1制御部を含む制御部と、を備え、
前記第1制御部は、第1ドライバと、第1定電流源と、第1トランジスタグループと、第1オペアンプと、を含む第1電圧生成部を備え、
前記第1トランジスタグループは、前記第1ドライバと前記第1定電流源との間に接続された1つ以上のトランジスタを含み、前記1つ以上のトランジスタの各々は、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち何れかのセンスアンプ内の前記第1トランジスタと同じ特性を有し、
前記第1オペアンプは、前記第1トランジスタグループと前記第1定電流源との間のノードに接続された第1入力端子と、所定の目標電圧が入力される第2入力端子と、を有し、
前記半導体記憶装置の制御部が、
前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に接続された一対のビット線の電圧がオフセットキャンセル動作において
前記目標電圧に近くなるように、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタに供給するように制御するステップを実行
し、
前記第1制御部が、
前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給するように制御するステップを実行し、
前記第1電圧生成部が、
前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給される電圧を調整するのに用いられる電圧である第1調整用電圧を生成するステップを実行し、
前記第1ドライバが、
前記第1調整用電圧を用いて、前記オフセットキャンセル動作において前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタに供給される電圧を調整するステップを実行し、
前記第1オペアンプが、
前記第1入力端子及び前記第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて前記第1調整用電圧を生成し、前記第1調整用電圧を出力するステップを実行する、
半導体記憶装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体記憶装置は、メモリセルに保持されたデータに基づいて一対のビット線に微弱な電位差を生じさせ、この電位差をセンスアンプによって増幅することによりデータの読み出しを行うように構成されている。ここで、センスアンプには、一対のNチャンネル型電界効果トランジスタ(nMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor))と、一対のPチャンネル型電界効果トランジスタ(pMOSFET)と、が設けられているが、これらのトランジスタの能力差(特性差)によって、センスマージンを低下させるオフセット電圧が生じ得る。
【0003】
そこで、オフセット電圧をキャンセルするように構成された半導体記憶装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、オフセットキャンセル動作(offset cancel operation)において発生するビット線の電圧が高くなるほど、オフセットキャンセル動作後の電荷共有動作(charge sharing operation)においてビット線に発生するセンス信号の電圧が小さくなるので、センス信号を正しく検出することが困難になる場合がある。したがって、センス信号を正しく検出するためには、オフセットキャンセル動作において発生するビット線の電圧をできるだけ低減するように、一対のnMOSFETの実効抵抗値と一対のpMOSFETの実効抵抗値とが互いに等しくなるように構成されることが望ましい。
【0006】
しかしながら、一対のnMOSFET及び一対のpMOSFETの実効抵抗値は、例えばMOSFETのPVT(Process, Voltage, and Temperature)のばらつきに起因した閾値電圧の変化等によって異なり得る。また、一対のnMOSFET及び一対のpMOSFETの実効抵抗値は、半導体記憶装置内に設けられた複数のセンスアンプ間で異なり得る。このため、オフセットキャンセル動作において発生するビット線の電圧を低減することができず、センス信号を正しく検出することが困難になることから、結果として、センシング動作を向上させることが困難になる虞がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、センスアンプ内のトランジスタの特性がセンスアンプ内及び/又は複数のセンスアンプ間で異なる場合であっても、センスアンプのセンシング動作を向上させることの可能な半導体記憶装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、一対の第1トランジスタと、一対の第2トランジスタと、を含む少なくとも1つのセンスアンプと、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に接続された一対のビット線の電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧に近くなるように、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタに供給するように制御する制御部と、を備える、半導体記憶装置を提供する。
【0009】
かかる発明によれば、例えば、一対の第1トランジスタ及び一対の第2トランジスタの特性の差異によって、一対の第1トランジスタ及び一対の第2トランジスタの実効抵抗値がセンスアンプ内及び/又は複数のセンスアンプ間で異なる場合であっても、オフセットキャンセル動作において、一対のビット線の電圧が目標電圧(例えば、ビット線の電圧の増幅動作においてセンスアンプに供給される電圧の半分の電圧(つまり、一対の第1トランジスタ及び一対の第2トランジスタの実効抵抗値が等しい場合の電圧)等)に近くなるように制御することができる。これにより、少なくとも1つのセンスアンプの各々に接続された一対のビット線の電圧がほぼ目標電圧になるように制御することが可能になるので、センスアンプ内のトランジスタの特性がセンスアンプ内及び/又は複数のセンスアンプ間で異なる場合であっても、センスアンプのセンシング動作を向上させることができる。
【0010】
また、本発明は、半導体記憶装置の制御方法であって、前記半導体記憶装置は、一対の第1トランジスタと、一対の第2トランジスタと、を含む少なくとも1つのセンスアンプを備え、前記半導体記憶装置の制御部が、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々に接続された一対のビット線の電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧に近くなるように、前記少なくとも1つのセンスアンプのうち1つ以上のセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、前記少なくとも1つのセンスアンプの各々の前記一対の第1トランジスタ及び前記一対の第2トランジスタに供給するように制御するステップを実行する、半導体記憶装置の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体記憶装置及びその制御方法によれば、センスアンプ内のトランジスタの特性がセンスアンプ内及び/又は複数のセンスアンプ間で異なる場合であっても、センスアンプのセンシング動作を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す図である。
【
図2】(a),(b)は、センスアンプの構成例を示す図であり、(c)は、(b)の等価回路図である。
【
図8】(a),(b)は、センスアンプの動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図9】(a)は、従来技術におけるセンスアンプのオフセットキャンセル動作における一対のビット線の電圧変化の一例を示す図であり、(b)は、実施形態におけるセンスアンプのオフセットキャンセル動作における一対のビット線の電圧変化の一例を示す図である。
【
図10】VGP生成部の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、半導体記憶装置は、少なくとも1つのセンスアンプ(SA)と、制御部100と、を備える。
【0014】
本実施形態において、制御部100は、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧(本実施形態では、後述する電圧VBLEQ)に近くなるように、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち1つ以上のセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET(第1トランジスタ)10a及び一対のnMOSFET(第2トランジスタ)10bの特性に基づいて調整された電圧を、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10a及び一対のnMOSFET10bに供給するように制御する。また、
図1に示すように、制御部100は、VGP制御部110と、VBBP生成部120と、VGN制御部130と、VBBN生成部140と、を備える。
【0015】
VGP制御部110は、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち1つ以上のセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aの特性に基づいて調整された電圧を、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aに供給するように制御する。これにより、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧(電圧VBLEQ)に近くなるように制御することが可能になる。また、VGP制御部110は、VGP生成部111と、CSP制御部112と、CSPドライバ113と、を備える。なお、VGP制御部110は、本発明の「第1制御部」の一例である。
【0016】
VBBP生成部120は、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち1つ以上のセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aの特性に基づいて調整されたバックバイアス電圧VBBPを、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aに供給するように制御する。これにより、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧(電圧VBLEQ)に近くなるように制御することが可能になる。なお、VBBP生成部120は、本発明の「第2制御部」の一例である。
【0017】
VGN制御部130は、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち1つ以上のセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bの特性に基づいて調整された電圧を、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bに供給するように制御する。これにより、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧(電圧VBLEQ)に近くなるように制御することが可能になる。また、VGN制御部130は、VGN生成部131と、CSN制御部132と、CSNドライバ133と、を備える。なお、VGN制御部130は、本発明の「第3制御部」の一例である。
【0018】
VBBN生成部140は、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち1つ以上のセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bの特性に基づいて調整されたバックバイアス電圧VBBNを、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bに供給するように制御する。これにより、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧(電圧VBLEQ)に近くなるように制御することが可能になる。なお、VBBN生成部140は、本発明の「第4制御部」の一例である。
【0019】
図2を参照して、各センスアンプ10の構成例について説明する。
図2(a)に示すように、各センスアンプ10は、高電圧電源側のノードCSPに接続された一対のpMOSFET10aと、低電圧電源側のノードCSNに接続された一対のnMOSFET10bと、を備える。また、一対のpMOSFET10aと一対のnMOSFET10bとの間のノードには、一対の相補ビット線BLT,BLB(以下、「一対のビット線BLT,BLB」と称する)が接続されている。ここで、一対のpMOSFET10aは、本発明の「一対の第1トランジスタ」の一例であり、一対のnMOSFET10bは、本発明の「一対の第2トランジスタ」の一例である。また、
図2(a)では、説明を簡略化するために、オフセットキャンセル動作を有効にするためのスイッチとして用いられるMOSFET等が省略されている。
【0020】
ここで、仮に、
図2(a)に示す各センスアンプ10にオフセット電圧が発生しないと想定した場合には、
図2(b)に示すように、一対のビット線BLT,BLBが同電位となる。また、
図2(b)に示す一対のpMOSFET10aの実効抵抗値がRPであり、一対のnMOSFET10bの実効抵抗値がRNである場合には、
図2(b)の回路を、
図2(c)に示すように置き換えることが可能になる。さらに、
図2(c)に示すように、2つの抵抗の間のノードの電圧VOCは、一対のビット線BLT,BLBの電圧であり、例えば、2つの実効抵抗値RP,RNが等しい場合には、電圧VOCの値は、ノードCSPの電圧とノードCSNの電圧との差の半分の値になる。例えば、ノードCSPの電圧が1Vであり、ノードCSNの電圧が0Vの場合には、電圧VOCは0.5Vになる。
【0021】
図3を参照して、VGP制御部110のVGP生成部111の構成について説明する。本実施形態において、VGP生成部111は、少なくとも1つのセンスアンプの各々の一対のpMOSFET10aに供給される電圧を調整するのに用いられる電圧である第1調整用電圧VGPを生成するように構成されている。これにより、第1調整用電圧VGPを用いて、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧が所定の目標電圧(電圧VBLEQ)に近くなるように制御することが可能になる。なお、VGP生成部111は、本発明の「第1電圧生成部」の一例である。
【0022】
図3に示すように、VGP生成部111は、第1ドライバ111aと、第1定電流源111bと、第1トランジスタグループ111cと、第1オペアンプ111dと、を備える。
【0023】
第1ドライバ111aは、第1調整用電圧VGPを用いて、オフセットキャンセル動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aに供給される電圧(つまり、
図2に示すノードCSPの電圧VCSP(後述する
図8に示す))を調整するように構成されている。第1ドライバ111aは、オフセットキャンセル動作において供給される電圧VSPに接続されたドレイン端子と、第1トランジスタグループ111cに接続されたソース端子と、第1調整用電圧VGPが入力されるゲート端子と、を有するnMOSFETを備える。ここで、このnMOSFETは、後述するCSPドライバ113のnMOSFETと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。また、第1ドライバ111aのnMOSFETのゲート幅Wは、以下の式(1)によって求められてもよい。
W=Wg×K/2N … (1)
式(1)において、Wgは、CSPドライバ113のnMOSFETのゲート幅であり、Kは、後述する第1トランジスタグループ111c内のpMOSFETの数であり、2Nは、少なくとも1つのセンスアンプ10のpMOSFET10aの総数(すなわち、Nは、センスアンプ10の数を表し得る)である。
【0024】
第1定電流源111bの一方の端子は、第1トランジスタグループ111cに接続されている。また、第1定電流源111bの他方の端子は、低電源電圧VSS(VSS<VSP)に接続されている。ここで、第1定電流源111bによって供給される電流IREF_GPは、以下の式(2)によって求められてもよい。
IREF_GP=K×IOC/2 … (2)
式(2)において、IOCは、オフセットキャンセル動作における1つのセンスアンプ10の電流の目標値である。
【0025】
第1トランジスタグループ111cは、第1ドライバ111aと第1定電流源111bとの間に接続された1つ以上のpMOSFETを含む。ここで、第1トランジスタグループ111c内の各pMOSFETのソース端子は、第1ドライバ111aのnMOSFETのソース端子に接続されており、各pMOSFETのドレイン端子は、各pMOSFETのゲート端子及び第1定電流源111bの一方の端子に接続されている。また、各pMOSFETは、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち何れかのセンスアンプ10内のpMOSFET10aと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。なお、第1トランジスタグループ111cに含まれるpMOSFETの数は、少なくとも1つのセンスアンプ10に含まれるpMOSFET10aの総数と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
第1オペアンプ111dは、第1トランジスタグループ111cと第1定電流源111bとの間のノードに接続された第1入力端子(-端子)と、目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)が入力される第2入力端子(+端子)と、を有する。第1オペアンプ111dは、第1入力端子及び第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて第1調整用電圧VGPを生成し、第1調整用電圧VGPを出力するように構成されている。
【0027】
すなわち、VGP生成部111は、VGP制御部110のCSPドライバ113及び少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aと同様の構成を有している。これにより、VGP生成部111は、第1オペアンプ111dの第1入力端子(-端子)の電圧が目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)に達するように、第1トランジスタグループ111cに含まれるpMOSFETの特性に基づいて第1調整用電圧VGPを調整し、さらには、第1ドライバ111aの出力電圧を調整する。これにより、オフセットキャンセル動作において、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧をほぼ目標電圧(電圧VBLEQ)に設定することが可能になる。
【0028】
図4を参照して、VBBP生成部120の構成について説明する。
図4に示すように、VBBP生成部120は、第2ドライバ120aと、第2定電流源120bと、第2トランジスタグループ120cと、第2オペアンプ120dと、を備える。
【0029】
第2ドライバ120aは、電圧VGP2を用いて、オフセットキャンセル動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aに供給される電圧(つまり、
図2に示すノードCSPの電圧VCSP)を調整するように構成されている。ここで、電圧VGP2は、所定の電圧であってもよく、例えば、第1調整用電圧VGPとほぼ等しい電圧であってもよい。第2ドライバ120aは、オフセットキャンセル動作において供給される電圧VSPに接続されたドレイン端子と、第2トランジスタグループ120cに接続されたソース端子と、電圧VGP2が入力されるゲート端子と、を有するnMOSFETを備える。ここで、このnMOSFETは、後述するCSPドライバ113のnMOSFETと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。また、第2ドライバ120aのnMOSFETのゲート幅W2は、以下の式(3)によって求められてもよい。
W2=Wg×L/2N … (3)
式(3)において、Wgは、CSPドライバ113のnMOSFETのゲート幅であり、Lは、後述する第2トランジスタグループ120c内のpMOSFETの数であり、2Nは、少なくとも1つのセンスアンプ10のpMOSFET10aの総数(すなわち、Nは、センスアンプ10の数を表し得る)である。
【0030】
第2定電流源120bの一方の端子は、第2トランジスタグループ120cに接続されている。また、第2定電流源120bの他方の端子は、低電源電圧VSS(VSS<VSP)に接続されている。ここで、第2定電流源120bによって供給される電流IREF_GPは、上述した式(2)のKを上記のLに置き換えることによって求められてもよい。
【0031】
第2トランジスタグループ120cは、第2ドライバ120aと第2定電流源120bとの間に接続された1つ以上のpMOSFETを含む。ここで、第2トランジスタグループ120c内の各pMOSFETのソース端子は、第2ドライバ120aのnMOSFETのソース端子に接続されており、各pMOSFETのドレイン端子は、各pMOSFETのゲート端子及び第2定電流源120bの一方の端子に接続されている。また、各pMOSFETは、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち何れかのセンスアンプ10内のpMOSFET10aと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。なお、第2トランジスタグループ120cに含まれるpMOSFETの数は、少なくとも1つのセンスアンプ10に含まれるpMOSFET10aの総数と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
第2オペアンプ120dは、第2トランジスタグループ120cと第2定電流源120bとの間のノードに接続された第1入力端子(-端子)と、目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)が入力される第2入力端子(+端子)と、を有する。第2オペアンプ120dは、第1入力端子及び第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aと、第2トランジスタグループ120c内の各pMOSFETと、に供給されるバックバイアス電圧VBBPを生成し、バックバイアス電圧VBBPを出力するように構成されている。
【0033】
すなわち、VBBP生成部120は、VGP制御部110のCSPドライバ113及び少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のpMOSFET10aと同様の構成を有している。これにより、VBBP生成部120は、第2オペアンプ120dの第1入力端子(-端子)の電圧が目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)に達するように、第2トランジスタグループ120cに含まれるpMOSFETの特性に基づいてバックバイアス電圧VBBPを調整することによって、オフセットキャンセル動作において、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧をほぼ目標電圧(電圧VBLEQ)に設定することが可能になる。
【0034】
図5を参照して、VGN制御部130のVGN生成部131の構成について説明する。本実施形態において、VGN生成部131は、少なくとも1つのセンスアンプの各々の一対のnMOSFET10bに供給される電圧を調整するのに用いられる電圧である第2調整用電圧VGNを生成するように構成されている。これにより、第2調整用電圧VGNを用いて、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧が所定の目標電圧(電圧VBLEQ)に近くなるように制御することが可能になる。なお、VGN生成部131は、本発明の「第2電圧生成部」の一例である。
【0035】
図5に示すように、VGN生成部131は、第3ドライバ131aと、第3定電流源131bと、第3トランジスタグループ131cと、第3オペアンプ131dと、を備える。
【0036】
第3ドライバ131aは、第2調整用電圧VGNを用いて、オフセットキャンセル動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bに供給される電圧(つまり、
図2に示すノードCSNの電圧VCSN(後述する
図8に示す))を調整するように構成されている。第3ドライバ131aは、第3トランジスタグループ131cに接続されたドレイン端子と、オフセットキャンセル動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bに供給される電圧VSNに接続されたソース端子と、第2調整用電圧VGNが入力されるゲート端子と、を有するnMOSFETを備える。ここで、このnMOSFETは、後述するCSNドライバ133のnMOSFETと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。また、第3ドライバ131aのnMOSFETのゲート幅W3は、以下の式(4)によって求められてもよい。
W3=Wg×Q/2N … (4)
式(4)において、Wgは、CSNドライバ133のnMOSFETのゲート幅であり、Qは、後述する第3トランジスタグループ131c内のnMOSFETの数であり、2Nは、少なくとも1つのセンスアンプ10のnMOSFET10aの総数(すなわち、Nは、センスアンプ10の数を表し得る)である。
【0037】
第3定電流源131bの一方の端子は、高電源電圧VDD(VDD>VSN)に接続されている。また、第3定電流源131bの他方の端子は、第3トランジスタグループ131cに接続されている。ここで、第3定電流源131bによって供給される電流IREF_GNは、以下の式(5)によって求められてもよい。
IREF_GN=Q×IOC/2 … (5)
式(5)において、IOCは、オフセットキャンセル動作における1つのセンスアンプ10の電流の目標値である。
【0038】
第3トランジスタグループ131cは、第3ドライバ131aと第3定電流源131bとの間に接続された1つ以上のnMOSFETを含む。ここで、第3トランジスタグループ131c内の各nMOSFETのドレイン端子は、第3定電流源131bの他方の端子及び各nMOSFETのゲート端子に接続されており、各nMOSFETのソース端子は、第3ドライバ131aのnMOSFETのドレイン端子に接続されている。また、各nMOSFETは、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち何れかのセンスアンプ10内のnMOSFET10bと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。なお、第3トランジスタグループ131cに含まれるnMOSFETの数は、少なくとも1つのセンスアンプ10に含まれるnMOSFET10bの総数と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
第3オペアンプ131dは、第3トランジスタグループ131cと第3定電流源131bとの間のノードに接続された第1入力端子(+端子)と、目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)が入力される第2入力端子(-端子)と、を有する。第3オペアンプ131dは、第1入力端子及び第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて第2調整用電圧VGNを生成し、第2調整用電圧VGNを出力するように構成されている。
【0040】
すなわち、VGN生成部131は、VGN制御部130のCSNドライバ133及び少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bと同様の構成を有している。これにより、VGN生成部131は、第3オペアンプ131dの第1入力端子(+端子)の電圧が目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)に達するように、第3トランジスタグループ131cに含まれるnMOSFETの特性に基づいて、第2調整用電圧VGNを調整し、さらには、第3ドライバ131aの出力電圧を調整する。これにより、オフセットキャンセル動作において、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧をほぼ目標電圧(電圧VBLEQ)に設定することが可能になる。
【0041】
図6を参照して、VBBN生成部140の構成について説明する。
図6に示すように、VBBN生成部140は、第4ドライバ140aと、第4定電流源140bと、第4トランジスタグループ140cと、第4オペアンプ140dと、を備える。
【0042】
第4ドライバ140aは、電圧VGN2を用いて、オフセットキャンセル動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bに供給される電圧(つまり、
図2に示すノードCSNの電圧VCSN)を調整するように構成されている。ここで、電圧VGN2は、所定の電圧であってもよく、例えば、第2調整用電圧VGNとほぼ等しい電圧であってもよい。第4ドライバ140aは、第4トランジスタグループ140cに接続されたドレイン端子と、オフセットキャンセル動作において供給される電圧VSNに接続されたソース端子と、電圧VGN2が入力されるゲート端子と、を有するnMOSFETを備える。ここで、このnMOSFETは、後述するCSNドライバ133のnMOSFETと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。また、第4ドライバ140aのnMOSFETのゲート幅W4は、上述した式(4)と同様に求められてもよい。
【0043】
第4定電流源140bの一方の端子は、高電源電圧VDD(VDD>VSN)に接続されている。また、第4定電流源140bの他方の端子は、第4トランジスタグループ140cに接続されている。ここで、第4定電流源140bによって供給される電流IREF_GPは、上述した式(5)と同様に求められてもよい。
【0044】
第4トランジスタグループ140cは、第4ドライバ140aと第4定電流源140bとの間に接続された1つ以上のnMOSFETを含む。ここで、第4トランジスタグループ140c内の各nMOSFETのドレイン端子は、第3定電流源131bの他方の端子及び各nMOSFETのゲート端子に接続されており、各nMOSFETのソース端子は、第4ドライバ140aのnMOSFETのドレイン端子に接続されている。また、各nMOSFETは、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち何れかのセンスアンプ10内のnMOSFET10bと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。なお、第4トランジスタグループ140cに含まれるnMOSFETの数は、少なくとも1つのセンスアンプ10に含まれるnMOSFET10bの総数と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0045】
第4オペアンプ140dは、第4トランジスタグループ140cと第4定電流源140bとの間のノードに接続された第1入力端子(+端子)と、目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)が入力される第2入力端子(-端子)と、を有する。第4オペアンプ140dは、第1入力端子及び第2入力端子の各々に入力された電圧に基づいて、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bと、第4トランジスタグループ140c内の各nMOSFETと、に供給されるバックバイアス電圧VBBNを生成し、バックバイアス電圧VBBNを出力するように構成されている。
【0046】
すなわち、VBBN生成部140は、VGN制御部130のCSNドライバ133及び少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対のnMOSFET10bと同様の構成を有している。これにより、VBBN生成部140は、第4オペアンプ140dの第1入力端子(+端子)の電圧が目標電圧VOC_REF(=電圧VBLEQ)に達するように、第4トランジスタグループ140cに含まれるnMOSFETの特性に基づいてバックバイアス電圧VBBPを調整することによって、オフセットキャンセル動作において、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧をほぼ目標電圧(電圧VBLEQ)に設定することが可能になる。
【0047】
次に、
図7を参照して、制御部100の詳細な構成例について説明する。
図7に示すように、VGP制御部110のCSP制御部112は、第1調整用電圧VGPが印加され、信号OC_EN_Bが入力されるNOT回路を備える。CSP制御部112は、ローレベルの信号OC_EN_Bが入力されると、ハイレベルの信号CSP_OC_ENを出力する。ハイレベルの信号CSP_OC_ENの電圧は、第1調整用電圧VGPと等しい。また、VGP制御部110のCSPドライバ113は、電圧VSPに接続されたドレイン端子と、ノードCSPに接続されたソース端子と、信号CSP_OC_ENが入力されるゲート端子と、を有するnMOSFETを備える。上述したように、このnMOSFETは、VGP生成部111の第1ドライバ111aのnMOSFETと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。
【0048】
VGN制御部130のCSN制御部132は、第2調整用電圧VGNが印加され、信号OC_EN_Bが入力されるNOT回路を備える。CSN制御部132は、ローレベルの信号OC_EN_Bが入力されると、ハイレベルの信号CSN_OC_ENを出力する。ハイレベルの信号CSN_OC_ENの電圧は、第2調整用電圧VGNと等しい。また、VGN制御部130のCSNドライバ133は、ノードCSNに接続されたドレイン端子と、電圧VSNに接続されたソース端子と、信号CSN_OC_ENが入力されるゲート端子と、を有するnMOSFETを備える。上述したように、このnMOSFETは、VGN生成部131の第3ドライバ131aのnMOSFETと同じ特性(例えば、PVT特性等)を有していてもよい。
【0049】
また、制御部100は、電圧VBLEQを供給する電圧供給部150を備える。
図7に示す例では、電圧供給部150は、互いに接続された3つのnMOSFETを有しており、各nMOSFETのゲート端子には、信号CSEQが入力される。3つのnMOSFETのうち第1nMOSFETのドレイン端子は電圧VBLEQに接続されており、第1nMOSFETのソース端子は3つのnMOSFETのうち第2nMOSFETのドレイン端子に接続されている。第2nMOSFETのソース端子は3つのnMOSFETのうち第3nMOSFETのドレイン端子に接続されており、第3nMOSFETのソース端子は電圧VBLEQに接続されている。また、第1nMOSFETのソース端子と第2nMOSFETのドレイン端子との間のノードはノードCSPに接続されており、第2nMOSFETのソース端子と第3nMOSFETのドレイン端子との間のノードはノードCSNに接続されている。
【0050】
さらに、制御部100は、ビット線の電圧の増幅動作においてセンスアンプ10に供給される電圧VBLHに接続されたドレイン端子と、ノードCSPに接続されたソース端子と、信号BLC_ENが入力されるゲート端子と、を有するnMOSFET160を備える。さらにまた、制御部100は、ノードCSNに接続されたドレイン端子と、電圧VSNに接続されたソース端子と、信号BLC_ENが入力されるゲート端子と、を有するnMOSFET170を備える。
【0051】
本実施形態において、制御部100は、オフセットキャンセル動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧VSPの大きさが、一対のビット線の電圧の増幅動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧VBLHの大きさと異なる場合に、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧をこれらの動作毎に切り替えるように構成されてもよい。この場合、異なる大きさの電圧VSP,VBLHが同時にノードCSPに印加されることによってノードCSPに短絡が発生するのを抑制することが可能になる。
【0052】
また、制御部100は、オフセットキャンセル動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧VSPの大きさが、一対のビット線の電圧の増幅動作において少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧VBLHの大きさと等しい場合に、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧をこれらの動作毎に切り替えないように構成されてもよい。この場合、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧を動作毎に切り替える処理が不要になるので、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧の制御を容易に行うことが可能になる。
【0053】
図8を参照して、制御部100の動作の一例について説明する。ここで、
図8(a)は、電圧VSPの大きさと電圧VBLHの大きさが異なる場合の制御部100の動作の一例を示しており、
図8(b)は、電圧VSPの大きさと電圧VBLHの大きさが等しい場合の制御部100の動作の一例を示している。
【0054】
先ず、
図8(a)に示す例について説明する。なお、ここでは、時刻t1~時刻t2の間にオフセットキャンセル動作が行われ、時刻t2~時刻t3の間に電荷共有動作が行われ、時刻t3~時刻t4の間にプリセンシング動作(pre-sensing operation)が行われ、時刻t4以降にビット線の増幅動作が行われる場合を想定している。これらの動作は、上述した特許文献1に記載されている動作と同様であってもよい。
【0055】
時刻t1においてオフセットキャンセル動作が開始すると、信号OC_EN_B及び信号CSEQがローレベルになる。また、信号BLC_ENはローレベルである。これにより、第1調整用電圧VBPを有するハイレベルの信号CSP_OC_ENがCSPドライバ113に入力され、第1調整用電圧VBPによって調整された電圧VCSPがノードCSPに供給される。すなわち、電圧VCSPは、CSPドライバ113のnMOSFETのオン抵抗によって降下した電圧となる。また、第2調整用電圧VBNを有するハイレベルの信号CSN_OC_ENがCSNドライバ133に入力され、第2調整用電圧VBNによって調整された電圧VCSNがノードCSNに供給される。
【0056】
時刻t2において電荷共有動作が開始すると、信号OC_EN_B及び信号CSEQがハイレベルになる。また、信号BLC_ENはローレベルである。これにより、電圧VBLEQが電圧供給部150からノードCSP,CSNに供給される。なお、時刻t2において、アクセス対象のワード線WLに電圧が印加される。
【0057】
時刻t3においてプリセンシング動作が開始すると、信号OC_EN_B及び信号CSEQがローレベルになる。また、信号BLC_ENはローレベルである。これにより、時刻t1と同様に、第1調整用電圧VBPによって調整された電圧VCSPがノードCSPに供給され、第2調整用電圧VBNによって調整された電圧VCSNがノードCSNに供給される。
【0058】
時刻t4においてビット線の増幅動作が開始すると、信号OC_EN_Bがハイレベルになり、信号CSEQがローレベルになる。また、信号BLC_ENがハイレベルになる。これにより、電圧VBLEQがノードCSPに供給され、電圧VSSがノードCSNに供給される。
【0059】
このようにして、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に供給される電圧が動作毎に切り替えられる。
【0060】
次に、
図8(b)に示す例について説明する。なお、
図8(b)における時刻t11~t13の動作は、
図8(a)における時刻t1~t3の動作と同様である。時刻t14においてビット線の増幅動作が開始すると、
図8(a)に示す場合と異なり、信号OC_EN_B及び信号CSEQがローレベルのままである。また、信号BLC_ENがハイレベルになる。ここで、各センスアンプ10は、ビット線の増幅動作において、CMOSラッチに相当する回路状態となり、これにより、高電位の電圧VSPから低電位の電圧VSNへの電流が流れなくなる。この場合、CSPドライバ113における電圧降下がなくなるので、電圧VSPは電圧VCSPと等しくなる。つまり、電圧VCSPは電圧VBLHと等しい。すなわち、電圧VSP、電圧VCSP及び電圧VBLHが同じ電圧レベルであるため、短絡電流が流れるのを抑制することが可能になる。
【0061】
このようにして、電圧VSP及び電圧VBLEQが等しい場合には、電圧VCSP及び電圧VBLEQを少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に同時に供給することが可能になる。
【0062】
図9を参照して、本実施形態の半導体記憶装置及びその制御方法の効果の一例を説明する。ここで、
図9(a)は、従来技術のオフセットキャンセル動作時の一対のビット線BLT,BLBの電圧の変化を示す図であり、
図9(b)は、本実施形態のオフセットキャンセル動作時の一対のビット線BLT,BLBの電圧の変化を示す図である。
図9(a)に示すように、従来技術では、一対のpMOSFETの実効抵抗値RPと一対のnMOSFETの実効抵抗値RNとが異なる場合に、一対のビット線BLT,BLBの電圧を電圧VBLEQに維持することができない。一方、
図9(b)に示すように、本実施形態では、一対のpMOSFET10aの実効抵抗値RPと一対のnMOSFET10bの実効抵抗値RNとが異なる場合であっても、一対のビット線BLT,BLBの電圧を電圧VBLEQに維持することができる。
【0063】
上述したように、本実施形態の半導体記憶装置及びその制御方法によれば、例えば、一対のpMOSFET(第1トランジスタ)10a及び一対のnMOSFET(第2トランジスタ)10bの特性の差異によって、一対のpMOSFET10a及び一対のnMOSFET10bの実効抵抗値RP,RNがセンスアンプ10内及び/又は複数のセンスアンプ10間で異なる場合であっても、オフセットキャンセル動作において、一対のビット線BLT,BLBの電圧が目標電圧(例えば、ビット線BLTの電圧の増幅動作においてセンスアンプ10に供給される電圧VBLHの半分の電圧VBLEQ(つまり、一対のpMOSFET10a及び一対のnMOSFET10bの実効抵抗値RP,RNが等しい場合の電圧)等)に近くなるように制御することができる。これにより、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線BLT,BLBの電圧がほぼ目標電圧になるように制御することが可能になるので、センスアンプ10内のトランジスタの特性がセンスアンプ10内及び/又は複数のセンスアンプ10間で異なる場合であっても、センスアンプ10のセンシング動作を向上させることができる。
【0064】
上述した実施形態では、制御部100が、VGP制御部110と、VBBP生成部120と、VGN制御部130と、VBBN生成部140と、を備える場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、制御部100は、VGP制御部110及びVBBP生成部120のうち何れかと、VGN制御部130及びVBBN生成部140のうち何れかと、を備えてもよい。この場合において、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0065】
また、上述した実施形態では、第1ドライバ111aがnMOSFETで構成されている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、
図10に示すように、第1ドライバ111aがpMOSFETで構成されている場合には、第1オペアンプ111dの+端子及び-端子が、上述した実施形態と異なるように配置されていることに留意されたい。また、第2ドライバ120a,第3ドライバ131a及び第4ドライバ140aについても同様に変更されてもよい。
【0066】
さらに、上述した実施形態では、CSP制御部112がNOT回路で構成されている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、
図11に示すように、CSP制御部112が、信号BLC_EN及び信号OC_EN_Bが入力されるNOR回路で構成されてもよい。この場合、制御部100は、
図8(b)に示す例と同様に動作することが可能である。
【0067】
また、
図12に示すように、CSP制御部112が、信号OC_EN_Bが入力されるバッファ回路で構成されてもよい。この場合、CSPドライバ113がpMOSFETで構成されていることに留意されたい。この場合においても、制御部100は、
図8に示す例と同様に動作することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10…センスアンプ(SA)
10a…一対のPチャンネル型電界効果トランジスタ(pMOSFET)
10b…一対のNチャンネル型電界効果トランジスタ(nMOSFET)
100…制御部
110…VGP制御部
111…VGP生成部
111a…第1ドライバ
111b…第1定電流源
111c…第1トランジスタグループ
111d…第1オペアンプ
112…CSP制御部
113…CSPドライバ
120…VBBP生成部
120a…第2ドライバ
120b…第2定電流源
120c…第2トランジスタグループ
120d…第2オペアンプ
130…VGN制御部
131…VGN生成部
131a…第3ドライバ
131b…第3定電流源
131c…第3トランジスタグループ
131d…第3オペアンプ
140…VBBN生成部
140a…第4ドライバ
140b…第4定電流源
140c…第4トランジスタグループ
140d…第4オペアンプ
VBBP,VBBN…バックバイアス電圧
VGP,VGP2…第1調整用電圧
VGN,VGN2…第2調整用電圧
VSP,VSN,VBLH,VSS,VOC_REF,VOC,VBLEQ,VCSP,VCSN…電圧
【要約】
【課題】センスアンプ内のトランジスタの特性がセンスアンプ内及び/又は複数のセンスアンプ間で異なる場合であっても、センスアンプのセンシング動作を向上させることの可能な半導体記憶装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、一対の第1トランジスタと、一対の第2トランジスタと、を含む少なくとも1つのセンスアンプ10と、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々に接続された一対のビット線の電圧がオフセットキャンセル動作において所定の目標電圧に近くなるように、少なくとも1つのセンスアンプ10のうち1つ以上のセンスアンプ10の各々の一対の第1トランジスタ及び一対の第2トランジスタの特性に基づいて調整された電圧を、少なくとも1つのセンスアンプ10の各々の一対の第1トランジスタ及び一対の第2トランジスタに供給するように制御する制御部100と、を備える。
【選択図】
図1