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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ヘアドライヤ
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/12 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A45D20/12 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023069918
(22)【出願日】2023-04-21
(62)【分割の表示】P 2019137376の分割
【原出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2023089265
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】下田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小柳 智裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 大介
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-125101(JP,U)
【文献】特開2009-136548(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167152(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に吹き出し経路を有している本体部と、
把持部と、
を備えているヘアドライヤであって、
前記本体部は、前記吹き出し経路の下流端部に位置している正面部と、前記正面部に設けられている複数の吹き出し口とを有し、
前記複数の吹き出し口は、
第1の吹き出し口と、
前記正面部を正面から見て前記第1の吹き出し口とは異なる位置に設けられている第2の吹き出し口と、
前記正面部を正面から見て前記第1の吹き出し口および前記第2の吹き出し口とは異なる位置に設けられている第3の吹き出し口と、
を有し、
前記第2の吹き出し口と前記第3の吹き出し口は、前記第1の吹き出し口の位置に対してそれぞれ異なる方向に位置している、ヘアドライヤ。
【請求項2】
前記第1の吹き出し口、前記第2の吹き出し口、および前記第3の吹き出し口は、互いに所定の間隔を有した状態で前記正面部の外周に沿って配置されている、請求項1に記載のヘアドライヤ。
【請求項3】
前記複数の吹き出し口は、前記複数の吹き出し口のそれぞれの中心を直線で結ぶと三角形となるように設けられている、請求項1又は2に記載のヘアドライヤ。
【請求項4】
前記複数の吹き出し口のそれぞれは、細長い形状である、請求項1から3のいずれか1項に記載のヘアドライヤ。
【請求項5】
前記複数の吹き出し口の少なくとも1つは、前記把持部側に位置する、請求項1から4のいずれか1項に記載のヘアドライヤ。
【請求項6】
前記正面部は、表示部を有し、
前記表示部は、前記複数の吹き出し口の配置領域、および前記複数の吹き出し口の端部同士を結ぶ仮想延長線で囲まれた領域内に位置している、
請求項1から5のいずれか1項に記載のヘアドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアドライヤには、現在の動作状態などを使用者に知らせるために、動作状態などを表示する表示手段を有しているものがある。例えば、特許文献1には、一端に吸込口、他端に吹出口を有する筒状の本体ケースを備え、前記本体ケースの外面には、自身の長手方向を本体ケースの筒の軸線方向に一致させる形で配置され、特定の動作に連動して内部に光が導入される照光板が設けられているヘアードライヤーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-137001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示手段を有しているヘアドライヤでは、使用中に使用者が現在の動作状態を即座に確認できると、利便性がより向上する。
【0005】
そこで、本発明では、使用中に動作状態などをより容易に確認することのできるヘアドライヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面にかかるヘアドライヤは、内部に風の吹き出し経路を有している本体部と、前記本体部における前記風の吹き出し経路の下流端側に配置されている表示部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一局面にかかるヘアドライヤによれば、ヘアドライヤの動作状態などを表示する表示部が風の吹き出し経路の下流端側に配置されていることで、使用中に動作状態などをより容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかるヘアドライヤの外観構成を示す斜視図である。
図2図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す正面図である。
図3図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す側面図である。
図4図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す背面図である。
図5図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す上面図である。
図6図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す下面図である。
図7】第1の実施形態にかかるヘアドライヤの吹き出し口の配置範囲を示す模式図である。
図8】第1の実施形態にかかるヘアドライヤの操作部を示す模式図である。
図9】第2の実施形態にかかるヘアドライヤの表示部周辺の構成を示す正面図である。
図10】第3の実施形態にかかるヘアドライヤの吹き出し口の配置範囲を示す模式図である。
図11】参考例にかかるヘアドライヤの外観構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<第1の実施形態>
本実施形態では、本発明の一例のヘアドライヤ10を例に挙げて説明する。
【0011】
(ヘアドライヤの全体構成)
先ず、本実施の形態にかかるヘアドライヤ10の全体構成について説明する。図1は、ヘアドライヤ10の斜視図である。
【0012】
本明細書では、ヘアドライヤ10の各構成要素の形状および位置関係などを説明するにあたって、便宜上、ヘアドライヤ10を図1などに示すようなX(X1-X2)方向(左右方向)、Y(Y1-Y2)方向(上下方向)、Z(Z1-Z2)方向(前後方向)という三方向の座標軸で規定する。
【0013】
図2には、ヘアドライヤ10を正面側(吹き出し口側、Z1側)から見たときの外観を示す。図3には、ヘアドライヤ10を右側(X2側)から見たときの外観を示す。図4には、ヘアドライヤ10を背面側(吸い込み口側、Z2側)から見たときの外観を示す。図5には、ヘアドライヤ10を上方(Y1側)から見たときの外観を示す。図6には、ヘアドライヤ10を下方(Y2側)から見たときの外観を示す。
【0014】
図1に示すように、ヘアドライヤ10は、主として、本体部11と、把持部20とで構成されている。本体部11は、内部に送風機構および風の吹き出し経路を有しており、吸い込み口23から吸い込んだ空気を吹き出し口12(具体的には、12aおよび12b)から吹き出す。
【0015】
本体部11は、前後方向(Z1-Z2方向)に軸を有する略円柱形の外形形状を有している。本体部11のZ1側は、正面部11a(吹き出し口12aおよび12bの配置面)を構成している。正面部11aには、風の吹き出し口12が配置されている。風の吹き出し口12は、第1の吹き出し口12aと第2の吹き出し口12bという2つの吹き出し口で構成されている。本体部11内における各吹き出し口12aおよび12bの後方側(Z2側)には、風の吹き出し経路および送風機構が設けられている。各吹き出し口12aおよび12bの配置面である正面部11aは、風の吹き出し経路の下流端を構成している。
【0016】
本体部11のZ2側は、背面部11bを構成している。背面部11bには、空気の吸い込み口23が配置されている(図4参照)。
【0017】
図2に示すように、各吹き出し口12aおよび12bは、本体部11の正面部11aの左右何れかの端部に配置されている。第1の吹き出し口12aは、正面部11aを正面から見て左側(X1側)の端部に沿って上下方向(Y方向)に形成されている。第2の吹き出し口12bは、正面部11aを正面から見て右側(X2側)の端部に沿って上下方向(Y方向)に形成されている。
【0018】
各吹き出し口12aおよび12bは、上下方向(Y方向)に細長い形状(縦長形状)の開口部を有している。より具体的には、第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bは、略円形状の正面部11aの外周の一部に沿って円弧状に形成されている。第1の吹き出し口12aの開口部と、第2の吹き出し口12bの開口部とは、中央部15を間に挟んで反対側の位置にそれぞれ配置されている。各吹き出し口12aおよび12bの開口部がこのような形状となっていることで、ヘアドライヤ10を用いて髪を乾燥させるときに、施術箇所の髪の伸長方向に沿った方向に各開口部の長手方向を合わせることができる。
【0019】
把持部20は、本体部11の下方に位置している。把持部20は、ヘアドライヤ10の使用時に使用者の持ち手となる部分である。図3に示すように、ヘアドライヤ10を側面側(例えば、X2側)から見た状態で、把持部20は、本体部11の前後方向(Z方向)の略中央部から下方(Y2側)へ延びている。
【0020】
把持部20のZ1側は、正面部20aを構成している。把持部20の正面部20aには、操作部40が設けられている。ヘアドライヤ10の使用時に、使用者が操作部40(具体的には、電源スイッチ42)を操作することで、ヘアドライヤ10が動作を開始したり停止したりする。また、操作部40(具体的には、操作ボタン41)が操作されることで、吹き出し口12から吹き出す風の種類(温風/冷風)および風量などが調節される。また、操作部40(具体的には、操作ボタン41)が操作されることで、ヘアドライヤ10の運転モードが切り換えられる。
【0021】
把持部20の下方には、電源コード22が取り付けられている。なお、本発明の別の態様では、ヘアドライヤ10はコードレスタイプであってもよい。この場合には、例えば、本体部11または把持部20の内部に一次電池または二次電池が備えられている。
【0022】
(ヘアドライヤの外形形状について)
続いて、ヘアドライヤ10の外形形状について、図1から図6を参照しながら説明する。
【0023】
図3などに示すように、ヘアドライヤ10は、側面視において略T字状を有している。また、図2に示すように、ヘアドライヤ10の正面側(Z1側)は、略円形状の正面部11aと、正面部11aよりも幅狭の略長方形状の正面部20aと、正面部11aから正面部20aへ向かって徐々に幅が狭くなる傾斜面20bとで構成される。
【0024】
図3に示すように、傾斜面20bが配置されている部分のヘアドライヤ10の側面は、湾曲形状16aとなっている。また、背面部11bが配置されている部分のヘアドライヤ10の側面は、湾曲形状16aと対称の湾曲形状16bとなっている。このような湾曲形状16aおよび16bによってくびれが形成されることで、ヘアドライヤ10を持ちやすい形状とすることができる。
【0025】
表示部30および操作部40は何れも、ヘアドライヤ10の正面側(Z1側)に配置されている。また、操作部40を構成する複数の操作ボタン41のうちの少なくとも一つは、傾斜面20bに配置されている。
【0026】
図2に示すように、略円形状の正面部11aは、Z1側から見たときに最も左側に位置する左側端部13aと、最も右側に位置する右側端部13bと、最も上方に位置する上端部14aと、最も下方に位置する下端部14bとを有している。
【0027】
図1などに示すように、正面部11aは、湾曲した凹面形状になっている。さらに、この湾曲した凹面形状を有する正面部11aでは、左右方向(X方向)の端部(すなわち、左側端部13aおよび右側端部13b)の方が、上下方向(Y方向)の端部(すなわち、上端部14aおよび下端部14b)よりも、側面視および上面視(または下面視)において前方側(Z1側)に位置している(図3図5、および図6参照)。すなわち、本体部11の上下方向(Y方向)の端部は、本体部11の左右方向(X方向)の端部よりも、風の流れの上流側(Z2側)に凹んでいる。また、図6に示すように、凹面形状を有する正面部11aでは、下面視において上端部14aよりも下端部14bの方が、風の流れの上流側(Z2側)に凹んでいる。
【0028】
そして、表示部30は、正面部11aにおいて各吹き出し口12aおよび12bが設けられている左右方向(X方向)の端部13aおよび13bよりも凹んでいる中央部15の近傍に配置されている。また、表示部30は、正面部11aの上端部14aよりも前方側(Z1側)へ突出していない下端部14b側に配置されている。
【0029】
これにより、例えば図1に示すように、斜め前方側からヘアドライヤ10の正面部11aを使用者が見たときに、表示部30の内容を確認することができる。正面部11aが平坦な形状の場合には、光の反射などの影響で、吹き出し口12aおよび12bの間に位置する表示部30の情報が確認しにくいことがある。これに対して、本実施形態では、湾曲した凹面形状を有している正面部11aの凹みの部分に表示部30が設けられていることで、光の反射の影響が小さくなり、表示部30を確認しやすくすることができる。また、このような構成により、より広範囲の方向から(例えば、傾きの大きな斜め方向から)表示部30を確認することが可能となる。
【0030】
(ヘアドライヤの正面部の構成について)
続いて、ヘアドライヤ10の正面部分の構成について、図2を参照しながら説明する。ヘアドライヤ10の正面部分は、主として、本体部11の正面部11a、および把持部20の正面部20aで構成されている。正面部11aと正面部20aとの間は、傾斜面20bとなっている。
【0031】
Z1側から見て正面部11aの左側には、正面部11aの外周に沿うようにして第1の吹き出し口12aが設けられている。また、Z1側から見て正面部11aの右側には、正面部11aの外周に沿うようにして第2の吹き出し口12bが設けられている。第1の吹き出し口12aは、左側端部13aを中心にして上下にそれぞれ延びている。第2の吹き出し口12bは、右側端部13bを中心にして上下にそれぞれ延びている。
【0032】
第1の吹き出し口12aと第2の吹き出し口12bとの間には、中央部15が設けられている。中央部15は、正面部11aの略中央部に位置している。中央部15は、略円形状を有している。凹面形状を有している正面部11aにおいて、中央部15が最も後方側(風の送出方向の上流側)に凹んでいる。本実施形態では、中央部15は、略平坦な形状となっている。
【0033】
中央部15の下方、および中央部15の外周部には、表示部30が設けられている。表示部30は、運転モードを表示する運転モード表示部31(31a~31d)と、温度表示部32とを有している。このように、表示部30は、風の吹き出し経路の下流端側に位置している吹き出し口12よりも風の送出方向の上流側に凹んだ位置に配置されている。
【0034】
正面部11aの下方に位置する傾斜面20bおよび把持部20の正面部20aには、操作部40が設けられている。操作部40は、複数の操作ボタン41と、電源スイッチ42とを有している。
【0035】
また、把持部20の正面部20aには、操作部40の下方に、さらなる表示部として風量表示部43が設けられている。
【0036】
(表示部について)
続いて、表示部30のより具体的な構成について説明する。表示部30は、風の吹き出し経路の下流端側(すなわち、正面部11a)に配置されている。表示部30は、運転モード表示部31と、温度表示部32とで構成されている。
【0037】
運転モード表示部31は、例えば、通常モード、速乾モード、スタイリングモード、ヘアケアモード(イオン吹き出しモード)などのヘアドライヤ10が有している各種運転モードを表示するための表示部である。本実施形態では、運転モード表示部31は、4個のLEDランプ31a~31dで構成されている。
【0038】
図2に示すように、運転モード表示部31を構成する複数のLEDランプ31a・31b・31c・31dは、正面部11aの下方に縦方向(Y方向)に並んで配置されている。ヘアドライヤ10の使用者が、操作部40の操作ボタン41(具体的には、操作ボタン41a(図8参照))を操作することによって、ヘアドライヤ10の運転モードが切り換わる。そして、複数のLEDランプ31a・31b・31c・31dのうち、選択された現在の運転モードに該当するLEDランプが点灯する。
【0039】
一例では、ヘアドライヤ10の運転モードが通常モードの場合には、最も上のLEDランプ31aのみが点灯する。また、ヘアドライヤ10の運転モードが速乾モードの場合には、上から二番目のLEDランプ31bのみが点灯する。また、ヘアドライヤ10の運転モードがスタイリングモードの場合には、上から三番目のLEDランプ31cのみが点灯する。また、ヘアドライヤ10の運転モードがヘアケアモードの場合には、最も下のLEDランプ31dのみが点灯する。
【0040】
運転モード表示部31を構成する複数のLEDランプ31a・31b・31c・31dは、第1の吹き出し口12aと第2の吹き出し口12bとの間に位置する正面部11aの左右方向(X方向)の略中央に縦方向に並べて配置されている。また、各LEDランプ31a・31b・31c・31dは、正面部20aのほぼ中央を通る中央線を延長した部分に配置されている。これにより、使用者が複数のLEDランプ31a・31b・31c・31dの内のどのランプが点灯しているかをより確認しやすくなる。そのため、ヘアドライヤ10を使用中の使用者が、現在の運転モードを容易に確認することができる。
【0041】
温度表示部32は、温風/冷風などのように、吹き出し口12から吹き出される風の温度を示すものである。本実施形態では、温度表示部32は、中央部15の外周に環状に設けられている。温度表示部32は、例えば、色によって風の温度を表示している。具体的には、温風が吹き出される場合には、温度表示部32は赤色となり、冷風が吹き出される場合には、温度表示部32は青色となる。なお、本実施形態では、温度表示部32は、中央部15の外周全体に環状に設けられているが、別の実施形態では、中央部15の外周下半分に半環状に設けられてもよいし、中央部15の外周上半分に半環状に設けられてもよい。
【0042】
この場合、温度表示部32は、赤色のLEDランプ、青色のLEDランプ、および導光部材などで構成される。導光部材は、環状の形状を有しており、中央部15の外周を取り囲むように配置されている。赤色のLEDランプおよび青色のLEDランプは、導光部材の後方側に配置されている。そして、吹き出し口12から温風が吹き出される場合には、赤色のLEDランプが点灯し、赤色光が導光部材によって拡散されて環状に発色する。また、吹き出し口12から冷風が吹き出される場合には、青色のLEDランプが点灯し、青色光が導光部材によって拡散されて環状に発色する。これにより、使用者は、吹き出される風が温風であるか冷風であるかを容易に識別することができる。
【0043】
本実施形態では、表示部30は、風の吹き出し経路の下流端側に位置している吹き出し口12aおよび12bの配置領域、および各吹き出し口12aおよび12bの端部同士を吹き出し口の配置領域に沿って結ぶ仮想延長線で囲まれた領域内に位置している。この点について、図7を参照しながら説明する。
【0044】
図7には、ヘアドライヤ10の正面部11aの構成を模式的に示す。正面部11aの左右両側の端部には、吹き出し口12aおよび12bが配置されている。図7では、吹き出し口12aおよび12bの配置領域に沿って各吹き出し口12aおよび12bの端部同士を結ぶ仮想延長線を破線で示す。この破線で囲まれた領域を、吹き出し口の配置範囲Aとする。表示部30(運転モード表示部31および温度表示部32)は、この吹き出し口の配置範囲A内に配置されている。
【0045】
本実施形態にかかるヘアドライヤ10のように、表示部30が、風の吹き出し口12が配置されている側と同じ側に配置されていることで、使用者は、ヘアドライヤ10を施術箇所(すなわち、毛髪)に向けた姿勢を保持した状態で、吹き出し口12側に視線を向けることで、表示部30の情報を確認することができる。また、ヘアドライヤ10の吹き出し口12が施術個所に向いていない状態では、使用者が表示部30の情報を読み取る際に、吹き出し口12は上方を向くことになる。すなわち、使用者が表示部30の情報を読み取る際に、吹き出し口12が下方を向くことがない。よって、洗面台などで鏡に向かって使用する際に、洗面台に載置されている物品をヘアドライヤ10からの風で吹き飛ばす可能性を低減できる。
【0046】
また、表示部30と同じ側(すなわち、正面部11aと同じ側に位置する正面部20a)には、操作部40が設けられている。これにより、使用者は操作部40を見ながら各操作ボタン41を操作しつつ、同じ側に配置されている表示部30における表示内容も確認することができる。
【0047】
なお、本実施形態にかかるヘアドライヤ10には、表示部30の他にもう一つの表示部(すなわち、風量表示部43)が設けられている。風量表示部43は、後述するように、把持部20に設けられている。
【0048】
(操作部について)
続いて、操作部40のより具体的な構成について説明する。図8には、操作部40および風量表示部43の構成の一例を示す。
【0049】
操作部40は、複数個の操作ボタン41と、一つの電源スイッチ42とを有している。図8に示す例では、操作ボタン41は、3個の操作ボタン41a・41b・41cで構成されている。操作ボタン41aは、運転モードを切り換えるためのボタン(運転モード切替ボタン)である。操作ボタン41bは、風量を切り換えるためのボタン(風量切替ボタン)である。操作ボタン41cは、風の温度(すなわち、温風/冷風)を切り換えるためのボタン(風温切替ボタン)である。なお、各操作ボタン41の構成は一例であり、本発明はこの構成に限定されない。操作ボタン41a・41b・41はサイクリックにて、モードや風量や風温を切り替えるようになっている。
【0050】
各操作ボタン41は、例えば、曲面状の突部で構成されている(図6参照)。これにより、操作ボタン41の押圧動作が行い易くなり、風量や運転モードなどの切り換え操作を容易に行うことができる。なお、各操作ボタン41は凹曲面状の表面を有する突部であってもよい。
【0051】
各操作ボタン41は、本体部11の正面部11aと把持部20の正面部20aとの間の領域(すなわち、傾斜面20b)に配置されている。これにより、使用者は、把持部20を把持している手と同じ手の指(例えば、親指)を使って操作ボタン41の押圧動作を行うことができる。また、各操作ボタン41を傾斜面20bに配置することで、各操作ボタン41の押圧方向を、風の送出方向(すなわち、Z方向)の方向ベクトルとは異ならせることができる。
【0052】
電源スイッチ42は、各操作ボタン41の下方に設けられている。電源スイッチ42は、把持部20の正面部20aに設けられている。電源スイッチ42が操作されることで、ヘアドライヤ10が運転を開始したり、停止したりする。なお、電源スイッチ42は、上下方向にスライドするスライドスイッチである。
【0053】
風量表示部43は、電源スイッチ42の下方に設けられている。風量表示部43は、把持部20の正面部20aに設けられている。図8に示す例では、風量表示部43は、縦方向(Y方向)に並んだ3個のLEDランプで構成されている。これは、ヘアドライヤ10の風量が三段階に可能な場合の構成である。
【0054】
そして、現在のヘアドライヤ10の風量が第1の風量(風量大)である場合には、最も上のLEDランプが点灯する。その後、操作ボタン41bが操作されることによって、ヘアドライヤ10の風量が第1の風量(風量大)から第2の風量(風量中)に切り換わった場合には、最も上のLEDランプは消灯し、中央のLEDランプが点灯する。
【0055】
さらに、操作ボタン41bが操作されることによって、ヘアドライヤ10の風量が第2の風量(風量中)から第3の風量(風量小)に切り換わった場合には、中央のLEDランプは消灯し、最も下のLEDランプが点灯する。さらに、操作ボタン41bが操作されることによって、ヘアドライヤ10の風量が第3の風量(風量小)から第1の風量(風量大)に切り換わった場合には、最も下のLEDランプは消灯し、最も上のLEDランプが点灯する。このように、風量が操作ボタン41bにより、サイクリックに切り替わっている。
【0056】
また、風量小~大の表示は、LEDランプの点灯個数で表してもよい。例えば、風量小の場合には、1個のLEDランプを点灯させる。また、風量中の場合には、2個のLEDランプを点灯させる。また、風量大の場合には、3個のLEDランプを点灯させる。このような構成とすることで、風量の大小が視覚的によりわかりやすくなる。
【0057】
なお、ヘアドライヤ10の風量は、操作ボタン41aによって運転モードが切り換わった場合にも変わる場合がある。このような場合には、風量表示部43では、該当する運転モードに対応する風量を示すLEDランプが点灯する。
【0058】
本実施形態にかかるヘアドライヤ10では、表示部30が配置されている側と同じ側に、操作部40が設けられている。これにより、使用者は操作部40を見ながら各操作ボタン41を操作しつつ、同じ側に配置されている表示部30における表示内容も確認することができる。
【0059】
(第1の実施形態のまとめ)
本実施形態にかかるヘアドライヤ10は、本体部11と、表示部30とを備えている。本体部11の内部には、風の吹き出し経路が形成されている。表示部30は、本体部11における風の吹き出し経路の下流端側(Z1側)に位置する正面部11aに配置されている。
【0060】
この構成によれば、ヘアドライヤ10の動作状態などを表示する表示部30が風の吹き出し経路の下流端側である正面部11aに配置されていることで、使用者が使用時の姿勢から大きく体勢を変えることなく表示部30の情報を確認することができる。また、使用者が鏡の前でヘアドライヤ10を使用する場合には、頭部の後方側からヘアドライヤ10の風を毛髪へ向けたときに、ヘアドライヤ10の正面部11aに位置する表示部30を鏡に映すことができる。
【0061】
また、使用者が表示部30の情報を直接見ながら操作部40を操作する場合、操作部40側を使用者側に向けて操作するため、吹き出し口12は上方を向くことになる。すなわち、操作時に吹き出し口12が下方を向くことがない。よって、洗面台などの鏡の前でヘアドライヤ10を使用する際に、洗面台に置かれているものをヘアドライヤ10からの風で吹き飛ばす可能性を低減できる。また、正面部11aは、図1および図6などに示すように上下方向に伸びる凹部を有している。そのため、使用者が表示部30の情報を直接見ながら操作部40を操作する場合、表示部30をヘアドライヤ10の斜め下方側から視認することができる。すなわち、ヘアドライヤ10の吹き出し口12を顔の正面からずらした状態で操作部40を操作することができる。よって、顔に温風を当てることなく、表示部30を確認できるようになる。
【0062】
このように、本実施形態にかかる構成によれば、使用中に動作状態などをより容易に確認することができ、利便性の高いヘアドライヤ10が得られる。
【0063】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、距離センサを備えているヘアドライヤについて説明する。第2の実施形態にかかるヘアドライヤにおいて、距離センサ以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる構成を中心に説明する。
【0064】
図9には、第2の実施形態にかかるヘアドライヤ110の本体部11の正面部11aを示す。図9では、各吹き出し口12aおよび12bの図示は省略している。その代わりに、図9では、吹き出し口12aおよび12bの配置領域に沿って各吹き出し口12aおよび12bの端部同士を結ぶ仮想延長線を破線で示している。この破線で囲まれた領域内が、吹き出し口の配置範囲Aとなる。
【0065】
第1の実施形態と同様に、表示部30(運転モード表示部31および温度表示部32)は、この吹き出し口の配置範囲A内に配置されている。また、運転モード表示部31の上方の中央部15内には、距離センサ135が設けられている。距離センサ135は、センサが稼働しているときに点灯するLEDランプ136を有している。距離センサ135が正面部11aの中央部15に設けられていることで、施術箇所までの距離をより正確に測ることができる。
【0066】
ヘアドライヤ10に距離センサ135が設けられていることで、使用時における施術箇所(すなわち、使用者の毛髪)までの距離を測定することができる。そして、ヘアドライヤ10内の制御部(図示せず)では、距離センサ135によって測定された施術箇所までの距離に応じて、適切な運転モード、風量、および風の温度などを選択し、自動で切り換えることができる。
【0067】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、吹き出し口の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる構成を中心に説明する。
【0068】
図10には、第3の実施形態にかかるヘアドライヤ210の本体部11の正面部11aを示す。第3の実施形態にかかるヘアドライヤ210には、3つの吹き出し口212a・212b・212cが設けられている。各吹き出し口212a・212b・212cは、互いに所定の間隔を有した状態で略円形状の正面部11aの外周に沿って配置されている。図10に示す例では、各吹き出し口212a・212b・212cは同じ形状を有しているが、各吹き出し口の形状は異なっていてもよい。
【0069】
図10では、各吹き出し口212a・212b・212cの配置領域に沿って各吹き出し口の端部同士を結ぶ仮想延長線を破線で示す。各吹き出し口212a・212b・212cの配置領域およびこの破線で囲まれた領域を、吹き出し口の配置範囲Aとする。表示部30(運転モード表示部31および温度表示部32)は、この吹き出し口の配置範囲A内に配置されている。
【0070】
<参考例>
続いて、本発明の参考例について説明する。本参考例では、ヘアドライヤの本体部の正面側の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる構成を中心に説明する。
【0071】
図11には、参考例にかかるヘアドライヤ310の本体部11の正面部11aを示す。参考例にかかるヘアドライヤ310には、1つの吹き出し口312が設けられている。吹き出し口312は、正面部11aの左右方向(X方向)の略中央部に上下方向(Y方向)に延びている。
【0072】
また、正面部11aにおいて、吹き出し口312の左側(X1側)には表示部330aが設けられており、吹き出し口312の右側(X2側)には表示部330bが設けられている。表示部330aは、運転モードを表示する運転モード表示部31を有している。第1の実施形態と同様に、運転モード表示部31は、複数のLEDランプで構成されている。表示部330bは、温風/冷風などの風の温度を示す温度表示部332を有している。温度表示部332は、色の異なる複数のLEDランプで構成されている。
【0073】
このように参考例にかかるヘアドライヤ310においても、表示部330aおよび330bが、風の吹き出し口312が配置されている側と同じ側に配置されている。また、第1の実施形態と同様に、表示部330aおよび330bと同じ側(すなわち、正面部11aと同じ側に位置する把持部20の正面部20a)には、操作部40が設けられている。これにより、使用者は操作部40を見ながら各操作ボタン41を操作しつつ、同じ側に配置されている表示部330aおよび330bにおける表示内容も確認することができる。
【0074】
(まとめ)
本発明の一局面は、ヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10,110,210,310)に関する。このヘアドライヤは、内部に風の吹き出し経路を有している本体部(例えば、本体部11)と、前記本体部における前記風の吹き出し経路の下流端側(例えば、Z1側)に配置されている表示部(例えば、表示部30,330a,330b)とを備えている。
【0075】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10,110,210)において、前記表示部(例えば、表示部30)は、前記風の吹き出し経路の下流端側に位置している少なくとも一つの吹き出し口の配置領域、および前記少なくとも一つの吹き出し口の端部同士を結ぶ仮想延長線で囲まれた領域内(すなわち、吹き出し口の配置範囲A内)に位置している。
【0076】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)において、前記表示部(例えば、表示部30)は、前記風の吹き出し経路の下流端側に位置している少なくとも一つの吹き出し口(例えば、吹き出し口12aおよび12b)よりも上流側(例えば、Z2側)に凹んだ位置に配置されていてもよい。
【0077】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)において、前記風の吹き出し経路の下流端側の前記本体部の表面(例えば、正面部11a)は、凹面形状となっており、前記凹面形状は、前記本体部の左右方向の端部よりも上下方向の端部の方がより上流側に凹んでいてもよい。例えば、第1の実施形態にかかる構成では、本体部11の正面部11aにおいて、上下方向(Y方向)の端部(すなわち、上端部14aおよび下端部14b)は、左右方向(X方向)の端部すなわち、左側端部13aおよび右側端部13b)よりも、風の流れの上流側(Z2側)に凹んでいる(図3図5など参照)。
【0078】
なお、前記凹面形状において、前記左右方向の中央部(例えば、中央部15)が最も上流側に凹んでいてもよい。
【0079】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)において、前記表示部(例えば、表示部30)が配置されている側と同じ側には、操作部(例えば、操作部40)が設けられていてもよい。
【0080】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)において、前記本体部(例えば、本体部11)の下方には、前記本体部の上下方向に延びる把持部(例えば、把持部20)が設けられている。この構成において、前記操作部(例えば、操作部40)は、複数の操作ボタン(例えば、操作ボタン41)を有しており、前記操作ボタンの少なくとも一つは、前記風の吹き出し経路の下流端側の前記本体部の表面から前記把持部の方へ延びる領域(例えば、傾斜面20b)に配置されていてもよい。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10 :ヘアドライヤ
11 :本体部
11a :正面部(風の吹き出し経路の下流端側の本体部の表面)
11b :背面部
12a :第1の吹き出し口
12b :第2の吹き出し口
15 :中央部
16a :湾曲形状
16b :湾曲形状
20 :把持部
20a :(把持部の)正面部
20b :傾斜面
23 :吸い込み口
30 :表示部
31 :運転モード表示部
32 :温度表示部
40 :操作部
41 :操作ボタン
42 :電源スイッチ
43 :風量表示部
110 :ヘアドライヤ
135 :距離センサ
210 :ヘアドライヤ
212a:吹き出し口
212b:吹き出し口
212c:吹き出し口
310 :ヘアドライヤ
312 :吹き出し口
330a:表示部
330b:表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11