(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/30 20110101AFI20240705BHJP
F24F 1/10 20110101ALI20240705BHJP
F24F 1/16 20110101ALI20240705BHJP
F24F 1/22 20110101ALI20240705BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20240705BHJP
F24F 13/30 20060101ALI20240705BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F24F1/30
F24F1/10
F24F1/16
F24F1/22
F24F5/00 101Z
F24F13/30
F24F13/20 202
F24F13/20 207
(21)【出願番号】P 2023101503
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2023-06-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】樋口 耕士
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】青柳 篤貴
(72)【発明者】
【氏名】杉山 文彦
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219186(JP,A)
【文献】特許第7130888(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/138679(WO,A1)
【文献】特許第7286859(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 ~ 13/32
F25B 1/00 ~ 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
冷媒配管により圧縮機、空気側熱交換器および液側熱交換器が接続されて構成される冷媒回路と
を備え、前記筐体は、
前記圧縮機が配置される第1ブロックと、
前記液側熱交換器が配置される第2ブロックと、
前記空気側熱交換器が配置される第3ブロックと
を備え、前記第1ブロック、前記第2ブロックおよび前記第3ブロックは、分離・再接続可能に構成されており、
前記冷媒配管は、前記第1ブロック、前記第2ブロックおよび前記第3ブロックそれぞれの内部にある配管部分を分離・再接続可能に連結する複数の配管連結部を備え、前記第1ブロックおよび前記第2ブロックは、下部に、互いに隣接して設けられ、前記第3ブロックは、前記第1ブロックおよび前記第2ブロックの一方または両方の上に配置され、
前記第1ブロックは、第1底ベースを備え、
前記第2ブロックは、第2底ベースを備え、
前記第1底ベースおよび前記第2底ベースは、互いに重ね合わされて基礎に固定される連結基礎固定構造を有する、冷凍装置。
【請求項2】
前記第1底ベースおよび前記第2底ベースは、それぞれ、底面における前記筐体内側の箇所に、前記連結基礎固定構造を構成する重ね合わせ部分を有し、前記重ね合わせ部分に基礎との固定位置が配置される、請求項
1に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置に関し、より詳細には、圧縮機、空気側熱交換器および液側熱交換器を備える冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チラーユニットのような冷凍装置の設置に際し、設置場所までの搬入経路の中に、高さが低い場所があったり、クレーンが使用できないなどの制約がある場合、通常の一体型の製品形状のままでは、設置場所までの搬入が困難な場合がある。そのような場合、冷凍装置を搬入前に分割し、設置場所まで搬入した後、再組立を行う分割搬入が行われている。
【0003】
例えば、特許第5884784号明細書(特許文献1)は、支持架台が、分離可能な複数の架台部によって構成され、複数の空冷ユニットの機器以外の機器類が、上記複数の架台部のうちの一部の架台部内のみに収容され、上記複数の空冷ユニットが、圧縮機と、空冷式熱交換器と、送風ファンと、膨張機構と、これらを収容するケーシングとをそれぞれ有し、上記支持架台の上部に設置され、同一の上記水回路に接続される上記水ポンプ及び上記水冷式熱交換器の全てが、上記複数の架台部のうちの同一の架台部内に設けられていることを特徴とする、チラー装置を開示する。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、架台の上部に重量物である圧縮機および空冷式熱交換器を含む冷凍サイクルを構成する主要な部品類が収められており、重心の偏りがあり、重心位置も高い位置にある。そのため、クレーンが使えない現場において、搬入後の組立ての際に作業が非常に困難となる場合あった。また、上記特許文献1の従来技術では、組み立て作業において液冷媒配管およびガス冷媒配管によって接続する必要があるが、ろう付けなどの溶接を必要とし、火気を伴う作業を要するため、作業時間が長くなり、また、作業者に資格を要し、手続きも煩雑となる点で、充分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、従来技術における上記点に鑑みてなされたものであり、搬入時の制約に応じて柔軟に分割搬入可能とするとともに、分割されたブロックへの部品の配置による重量のバランスに優れ、搬送時および組み立て時の作業性が優れた冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上記課題を解決するために、下記特徴を有する冷凍装置を提供する。冷凍装置は、筐体と、冷媒配管により圧縮機、空気側熱交換器および液側熱交換器が接続されて構成される冷媒回路とを備える。筐体は、圧縮機が配置される第1ブロックと、液側熱交換器が配置される第2ブロックと、空気側熱交換器が配置される第3ブロックとを備える。これらの第1ブロック、第2ブロックおよび第3ブロックは、分離・再接続可能に構成されている。上記冷媒配管は、第1ブロック、第2ブロックおよび第3ブロックそれぞれの内部にある配管部分を分離・再接続可能に連結する複数の配管連結部を備える。
【0008】
その他、本願が開示する課題、およびその解決手段は、発明を実施するための形態の欄および図面により明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、搬入時の制約に応じて柔軟に分割搬入可能とするとともに、分割されたブロックへの部品の配置による重量のバランスに優れ、搬送時および組み立て時の作業性が優れた冷凍装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの分離された状態を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの下部筐体部の上面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの冷媒回路を示す回路図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの全体の具体的な構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの分割状態の具体的な構成を示す図である。
【
図7】
図7は、
図5に示すチラーユニットの分離した状態で配置された下部筐体部の斜視図である。
【
図8】
図8(A)は、下部筐体部の連結基礎固定構造を拡大した側面図を示し、
図8(B)は、下部筐体部の基礎固定箇所を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの上部筐体ブロックの構造を示す。
【
図10】
図10は、本発明の複数の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの下部筐体部の具体的な構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明される具体的な実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は、種々の変更および改変を受け入れる余地がある点に留意されたい。
【0012】
本開示によれば、筐体と、筐体内に冷媒配管により圧縮機、空気側熱交換器および液側熱交換器(例えば水側熱交換器)が接続されて構成される冷媒回路とを備えた冷凍装置が提供される。冷凍装置の筐体は、上記圧縮機が配置される第1ブロックと、上記液側熱交換器が配置される第2ブロックと、上記空気側熱交換器が配置される第3ブロックとを備える。ここで、冷凍装置の筐体の上記のような構成において、第1ブロック、第2ブロックおよび第3ブロックは、分離・再接続可能に構成される。冷媒回路を構成する要素群を接続する冷媒配管は、第1ブロック、第2ブロックおよび第3ブロックそれぞれの内部にある配管部分を互いに分離・再接続可能に連結する複数の配管連結部を備える。
【0013】
上記構成により、搬入時の制約に応じて柔軟に分割搬入可能とするとともに、分割されたブロックへの部品の配置による重量のバランスに優れ、搬送時および組み立て時の作業性が優れた冷凍装置を提供することが可能となる。特に、上記構成においては、機能ブロックごとに部品が集約され、分割数もできる限り少なくなっている。そのため、分割および再組立に要する作業内容が容易なものとなり、作業時間も短縮することができる。また、上記ブロックの分離・再接続に対応して、分離・再接続可能に連結する複数の配管連結部が冷媒配管に備えられるので、ろう付けなどの溶接なしで冷媒配管を接続可能である。火気を伴わずに作業可能となるため、作業時間の短縮になるだけでなく、作業者の資格の有無、作業にかかわる手続きなども省略が可能となる。さらに、搬入に際しての制約の内容に応じて、第1ブロック、第2ブロックおよび第3ブロックを、選択的に任意の組み合わせで分割できるので、納入場所に応じて柔軟かつ効率的に作業することができる。また、重量物である空気側熱交換器と圧縮機とが別のブロックに分散して配置されているので、重量のバランスがよく、再組立が容易になる。また、第3ブロックとは別の第1ブロックに圧縮機を配置するため、空気側熱交換器を備える第3ブロックをよりコンパクトにでき、必要風量を確保することが可能となる。
【0014】
好ましい実施形態においては、冷媒回路は、1以上の追加圧縮機および1以上の追加空気側熱交換器をさらに備え、上記第1ブロックは、1以上の追加圧縮機をさらに備えてもよい。上記筐体は、それぞれ追加空気側熱交換器が配置される1以上の追加の第3ブロックをさらに備えてもよい。また、好ましくは、1以上の追加の第3ブロックは、第1ブロック、第2ブロックおよび第3ブロックとともに筐体から分離・再接続可能に構成される。
【0015】
特定の実施形態において、圧縮機を制御する制御装置と、圧縮機および冷媒配管の一方または両方の周辺に配置される1以上のセンサとが備えられる。これら制御装置、並びに圧縮機および1以上のセンサと制御装置との間の電気線は、第1ブロックに配置される。制御装置および電気線といった冷凍サイクルを制御するための電気品を集約し、圧縮機が配置される第1ブロックに配置することにより、分割時にそれらを取り外す必要がなく、効率的に作業を行うことができる。
【0016】
好ましい実施形態において、第3ブロック(追加の第3ブロックについても同様)は、送風機と、空気側熱交換器および送風機を支持する一体のフレームと、空気側熱交換器に接続され、空気側熱交換器の内側に配置される冷媒配管の一部を構成する内部配管部分とを備える。上記第3ブロックにおいて、空気側熱交換器、送風機およびフレームを一体化することで、強度を確保しながら内部配管部分(枝管やヘッダ配管など)が内側に配置してあるので、搬入性を向上(特に吊り時の干渉防止など)することができる。
【0017】
好ましい実施形態においては、第1ブロックおよび第2ブロックは、下部に、隣接して設けられ、第3ブロック(追加の第3ブロックについても同様)は、第1ブロックおよび第2ブロックの一方または両方の上に配置される。第1ブロックおよび第2ブロックは、それぞれ、下部正面側筐体ブロックおよび下部背面側筐体ブロックと参照し、第3ブロック(追加の第3ブロックについても同様)は、上部筐体ブロックと参照する場合がある。下部正面側筐体ブロックは、第1底ベース(正面側底ベースと参照する場合がある)を備え、下部背面側筐体ブロックは、第2底ベース(背面側底ベースと参照する場合がある)を備える。正面側底ベースおよび背面側底ベースは、互いに重ね合わされて基礎に固定される連結基礎固定構造を有する。このように、下部正面側筐体ブロックおよび下部背面側筐体ブロックに対応して底ベースが分割されているので、再組立時は分割箇所を重ね合わせることで、基礎に固定する締結部材(例えば基礎ボルト)を共通化し、締結部材の数を削減することが可能となる。
【0018】
好ましい実施形態においては、正面側底ベースおよび背面側底ベースは、それぞれ、底面における筐体内側の箇所に、連結基礎固定構造を構成する重ね合わせ部分を有し、この重ね合わせ部分に基礎に締結する締結部材ための固定位置が配置(例えば基礎ボルトが打ち込まれる穴が開口される)される。このように、底ベースの基礎への固定位置を筐体の内側にすることにより、分割構造としながらも、当該冷凍装置に連続して他の冷凍装置を配置する際の設置スペースを最小化することができる。
【0019】
好ましい実施形態において、上述した配管連結部は、それぞれ、溶接なしに再接続可能に構成される。特定の実施形態においては、溶接なしに再接続可能に構成される配管連結部は、それぞれ、フランジ接続またはフレアナット接続であってもよい。フランジ接続またはフレアナット接続を用いることにより、再組立ての作業がより一層容易となる。
【0020】
特定の実施形態において、冷凍装置は、表示部および操作部を備えるメインの電気品箱を筐体から分離可能に備える。
【0021】
変形例の実施形態において、冷凍装置は、上述した構成を複数ユニット備えてもよい。より具体的には、冷凍装置は、第2冷媒配管により第2圧縮機、第2空気側熱交換器および第2液側熱交換器が接続されて構成される第2冷媒回路を備える。上記筐体は、さらに、第2圧縮機が配置される第4ブロックと、第2液側熱交換器が配置される第5ブロックと、第2空気側熱交換器が配置される第6ブロックとを備える。第4ブロック、第5ブロックおよび第6ブロックは、分離・再接続可能に構成される。第2冷媒配管は、第4ブロック、第6ブロックおよび第6ブロックそれぞれの内部にある配管部分を分離・再接続可能に連結する複数の第2配管連結部を備える。
【0022】
以下、本発明の実施形態による冷凍装置の一例として、冷媒配管により圧縮機、空気側熱交換器および液側熱交換器が接続されて構成される、蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備え、液側熱交換器において水を冷却する、空冷式のチラーユニット10を一例として説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニット10の全体構成を示す概略図である。
図1に示すチラーユニット10は、冷媒が、圧縮され、凝縮され、膨張し、および蒸発することを繰り返す1以上の冷凍サイクルを構成する構成要素群を1つのチラーユニットとした構造とされている。
【0024】
チラーユニット10は、圧縮機と、空気側熱交換器と、水側熱交換器と、これらが内側に配置される筐体とを備える。
図1に示す実施形態において、筐体は、第1の下部筐体ブロック20と、第2の下部筐体ブロック50と、2つの上部筐体ブロック40とを備える。ここで、後述するが、操作部および表示部を備える電気品箱12が設けられる側の筐体の面を正面と参照し、その反対側を背面と参照する。これに対応して、第1の下部筐体ブロック20を下部正面側筐体ブロック20と参照し、第2の下部筐体ブロック50を下部背面側筐体ブロック50と参照する。
【0025】
上部筐体ブロック40A,40Bは、それぞれ、送風機42A,42Bと、空気側熱交換器44A,44Bとを備える。上部筐体ブロック40は、空熱ブロックとも参照される。ここで、「上部筐体ブロック40A,40B」のように、数字にアルファベットが付加されている場合、複数あるうちの特定のものを指し、上部筐体ブロック40のように、数字のみで総称されている場合、両方について共通の事柄を説明するものとする。これは、上部筐体ブロック以外についても同様である。また、特に数字に付されたアルファベット「A」および「B」は、冷媒回路の系統を識別するものとする。上部筐体ブロック40の数は、図に示す2つであることに限定されるものではなく、備える冷凍サイクルの系統数に応じて、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0026】
下部正面側筐体ブロック20には、冷凍サイクルの数に応じた数(
図1に示す例では2つ)の冷凍サイクル構成部品(圧縮機24A,24Bや図示しない膨張弁など)および冷凍サイクル用電気品箱22が収納される。下部正面側筐体ブロック20は、サイクル部品ブロックとも参照される。
【0027】
下部背面側筐体ブロック50には、水側熱交換器54が収納される。下部背面側筐体ブロック50には、さらに、水循環ポンプ52が設けられていてもよいが、チラーユニット10の詳細な構成に応じて、水循環ポンプが設けられていなくてもよい。下部背面側筐体ブロック50は、水熱ブロックとも参照される。また、水側熱交換器54については、説明する実施形態では、冷凍サイクルの2つ系統に対し、2つ系統を担当する単一のものが備えられるものとして説明する。しかしながら、系統の数に応じた数の水側熱交換器を別個に備えてもよい。
【0028】
下部背面側筐体ブロック50には、冷水入口55および冷水出口56が設けられ、冷水入口55から水を取り込み、水側熱交換器54で熱交換した後、冷却された水を冷水出口56から外部へ送出する。より具体的には、チラーユニット10内では、冷水を利用する二次側設備から冷水入口55を介して水を受け入れ、冷凍サイクルにより水を冷却し、冷却した水を、冷水出口56を介して冷水を利用する二次側設備へ戻す。二次側設備は、例えばビルや病院等に設置される空調用設備等である。
【0029】
なお、説明する実施形態では、冷凍サイクルにより、水を冷却するものとして説明するが、冷凍サイクルでは、四方弁を設けて、冷媒が流れる方向を切り替えることで、水を冷却することも、温めることも可能である。温める場合、上記冷水は、「温水」とよみかえればよい。また、二次側設備へ循環させる媒体として水に代えて油を用いることもでき、その場合に、冷凍装置を、工作機械のスピンドルモーターの潤滑油や油圧ユニットの作動油などの油を冷却するためのオイルチラーとして構成することもできる。
【0030】
チラーユニット10は、下部筐体部(下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50を結合したものを参照する)上に、2つの上部筐体ブロック40A,40Bを距離を離して配置した構成とされている。2つの上部筐体ブロック40A,40Bの頂部のそれぞれには、図示しないが開口が設けられ、開口には送風機42A,42Bが設けられる。水を冷却する場合、空気側熱交換器44は、凝縮器として機能し、送風機42A,42Bにより外側の空間から吸引した空気と冷媒とを熱交換し、放熱する。
【0031】
チラーユニット10の長手方向の一方側の面には、チラーユニット10を制御する電気品を収納する電気品箱12が取り付けられている。電気品箱12が設けられる側面を正面と参照し、その反対側の側面を背面と参照する。電気品箱12には、使用者が、装置の状態を視認し、また、使用者が操作を行うための表示部および操作部が設けられてもよい。
【0032】
なお、下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50には、開閉可能な扉が設けられており、この扉を開けることにより、内部に収納された冷凍サイクル構成部品や冷凍サイクル用電気品箱22内の電気品のメンテナンスなどを行うことができるように構成されている。
【0033】
本発明の実施形態によるチラーユニット10の筐体の構成において、圧縮機24が配置される下部正面側筐体ブロック20と、水側熱交換器54が配置される下部背面側筐体ブロック50と、それぞれ空気側熱交換器44A,44Bが配置される上部筐体ブロック40A,40Bとは、好ましくはそれぞれの構成要素が対応するブロックに配置された状態で、互いに分離・再接続可能に構成されている。これは、チラーユニット10を目的の設置位置に搬入する際の制約条件に柔軟に対応可能とすることを目的とする。
図2は、本発明の実施形態によるチラーユニット10の分離された状態を示す。
【0034】
当該チラーユニット10を、所定の物件内に搬入する際には、複数のブロック20,40A,40B,50は、搬入時の制約条件に応じて、任意の組み合わせで選択的に分離することが可能に構成される。電気品箱12および複数のブロック20,40A,40B,50は、これらのブロック間の連結部において、複数のブロックにまたがるフレームを取り外し可能にしたり、ブロックのフレーム同士を分離可能にしたりし、ボルトやナットなどの締結部材により複数のフレームを締結可能とすることによって、分離可能に構成される。
【0035】
例えば、
図2に示すように、制約条件が厳しい場合は、電気品箱12および複数のブロック20,40A,40B,50すべてをそれぞれのブロック単位(電気品箱もブロックと参照する)に分割して搬入することができる。あるいは、例えば高さ方向の制約のみであれば、電気品箱12と、2つの上部筐体ブロック40A,40Bそれぞれと、下部筐体部(下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50を結合した状態)とを分離して搬入してもよい。そのため、納入場所に応じて柔軟かつ効率的に作業することが可能となる。
【0036】
さらに、本発明の実施形態によるチラーユニット10では、複数のブロック20,50,40A,40Bが互いに分離・再接続可能となっていることに対応して、冷媒配管において、下部正面側筐体ブロック20、下部背面側筐体ブロック50、上部筐体ブロック40Aおよび上部筐体ブロック40Bそれぞれの内部にある各配管部分を、分離・再接続可能に連結する複数の配管連結部を備える。複数の配管連結部は、それぞれ、溶接なしに再接続可能に構成されており、より具体的には、フランジ接続またはフレアナット接続であってよい。配管連結部の箇所については、詳細を後述する。
【0037】
図3は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニット10の下部筐体部(20,50)の上面図である。
図3は、チラーユニット10において、下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50を結合したまま上部筐体ブロック40A,40Bを、下部筐体部(20,50)から分離した状態で、下部筐体部(20,50)を上から見た様子を示す。
図3には、チラーユニット10の下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50が示され、下部筐体部(20,50)の内部の部品配置も一部示されている。また、位置関係を明確化するために電気品箱12の配置も示されている。
【0038】
チラーユニット10の下部背面側筐体ブロック50の背面側には、二次側設備から水を受け入れる冷水入口55および冷水出口56が設けられる。冷水入口55は、水側熱交換器54と接続される。水を冷却する場合、水側熱交換器54は、蒸発器として機能し、冷水入口55から受け入れた水と冷媒とを熱交換し、水を冷却する。冷却された水は、背面から延びる冷水出口56を介して二次側設備へ戻される。
【0039】
下部正面側筐体ブロック20内には、圧縮機24A,24Bや膨張弁などの冷凍サイクル構成部品群と冷凍サイクル用電気品箱22とが配置される。冷凍サイクル構成部品群は、図示しないが、過冷却器を含んでもよく、圧縮機は、吸引する冷媒ガスを貯留するバッファとして機能するアキュームレータを含んでもよい。冷凍サイクル構成部品群は、機械室21内に収納され、機械室21は、下部正面側筐体ブロック20内に配置される。
【0040】
下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50は、底面における筐体内側の箇所に配置される連結基礎固定構造75により、互いに結合されている。連結基礎固定構造75では、例えば、基礎ボルトが設置場所の床やコンクリート土台などに打ち込まれ、筐体が基礎に固定される。なお、図示しないが、下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50の他の箇所(下部筐体部の四隅にあたる箇所)にも基礎固定部が設けられており、基礎ボルトが打ち込まれ、筐体が基礎に固定される。
【0041】
電気品箱12は、メイン電気品箱であり、チラーユニット10全体を制御するCPU基板などが収納される。これに対して、冷凍サイクル用電気品箱22は、サブ電気品箱であり、圧縮機24などを制御する制御装置である、サイクル基板やインバータ基板などが収納される。圧縮機24および冷媒配管の一方または両方の周辺には、冷凍サイクル内の圧力や温度を測定するための圧力センサや温度センサ(サーミスタ)を含む1以上のセンサが取り付けられており、冷凍サイクル用電気品箱22内の制御装置に接続される。制御装置、並びに圧縮機24および1以上のセンサと制御装置との間の電気線は、好ましくは、下部正面側筐体ブロック20内に集約して配置される。圧縮機24や冷媒配管と、各種センサーがつながる電気品箱とを同一ブロック内に集約して配置することにより、温度センサや圧力センサなど外さなくても現地で分割を可能とし、作業性を向上している。
【0042】
冷凍サイクル用電気品箱22は、下部正面側筐体ブロック20内の図面上右側に配置される。冷凍サイクル構成部品群が収納される機械室21は、同じく下部正面側筐体ブロック20内の上記空間側とは反対の左側領域に配置される。なお、機械室21と冷凍サイクル用電気品箱22の配置は一例であり任意である。
【0043】
下部正面側筐体ブロック20は、それぞれ両面に開閉可能な扉が設けられており、扉を開けることにより、機械室21および冷凍サイクル構成部品群へのアクセスし、メンテナンス、配管部品の接続作業、冷凍サイクル用電気品箱22内の電気品の取り換え等を容易に行うことができるように構成される。同様に下部背面側筐体ブロック50にも、開閉可能な扉が設けられており、扉を開けることにより、水側熱交換器などのメンテナンス、配管部品の接続作業を容易に行うことができるように構成される。
【0044】
一般に、チラーユニット10が圧縮機24を2台備える場合、2台の圧縮機24A,24は、特定の場所にまとめて配置される。これは、各圧縮機が離れて配置されていると、アクセスやメンテナンス等が容易ではないからである。説明する実施形態では、圧縮機24A,24Bは、両方とも下部正面側筐体ブロック20にまとめて配置される。しかしながら、圧縮機24の台数が、3以上の場合において、すべての圧縮機をひとまとまりの下部正面側筐体ブロック20に集約して配置する構成に限定されるものではない。下部正面側筐体ブロック20をさらに複数のサブブロックに分割し、全体としての所定台数の圧縮機24を、それぞれ1または複数の圧縮機24からなる複数のグループに分けて、それぞれのサブブロックにそれぞれのグループの圧縮機24を配置してもよい。
【0045】
チラーユニット10は、冷媒として、ハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロオレフィン(HFO)などを使用することができる。HFCの種類としては、R-410A、R-32、R-134aなどを挙げることができ、HFOの種類としては、R-1234yfなどを挙げることができる。これらの冷媒は、塩素原子を有しないため、オゾン層破壊について一定の抑止効果を有している。
【0046】
冷媒としてHFOなどの微燃性冷媒を使用する場合、チラーユニット10内に冷媒が漏洩したことを検知する漏洩センサを取り付ける必要がある。チラーユニット10内に冷凍サイクル構成部品が分散して配置されていると、漏洩センサを取り付ける位置の特定が容易ではない。しかしながら、
図3に示すように、特定の場所に冷凍サイクル構成部品がまとまって配置されることで、漏洩センサの取り付け位置の特定も容易になる。
【0047】
以下、
図4に示すチラーユニット10の冷媒回路および
図5に示すよりチラーユニット10の詳細な全体構成図を参照しながら、冷凍サイクル構成部品および冷媒配管の配管連結部の箇所については、説明する。
【0048】
図4は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニット10の冷媒回路を示す回路図である。
図4に示すように、チラーユニット10の冷媒回路は、圧縮機24と、逆止弁25と、膨張弁26と、ストレーナ27と、ストレーナ28と、空気側熱交換器44と、ヘッダ配管45,46と、水側熱交換器54とを含み、これらが冷媒配管により接続されて構成される。
図4において、上述した冷媒回路は、空気側熱交換器44の数に応じて、アルファベット「A」が付される系統と、アルファベット「B」が付される系統との2系統が示されている。
図4においては、各構成要素が配置されるブロック20,40A,40B,50が矩形またはコの字のボックスで示されている。
図4には、また、空気側熱交換器44A,44Bで空気を吸引するための送風機42B、水側熱交換器54に水を取り入れる冷水入口55、水側熱交換器54により冷却された水を送り出す冷水出口56とが併せて示されている。
【0049】
チラーユニット10は、電気品箱12および冷凍サイクル用電気品箱22に収納されるCPU基板等の制御部による制御により、圧縮機24、凝縮器、膨張弁26、蒸発器、圧縮機24の順で、系内に封入された冷媒を循環させる。ここで、上部筐体ブロック40が備える空気側熱交換器44が凝縮器として用いられ、送風機42による空気の通風により冷媒を凝縮させる。下部背面側筐体ブロック50が備える水側熱交換器54は、蒸発器として用いられ、二次側設備から供給された水と熱交換して冷媒を蒸発させる。
【0050】
圧縮機24は、低温低圧のガス状態の冷媒(冷媒ガス)を圧縮し、高温高圧の冷媒ガスとして吐出する。逆止弁25は、凝縮器側へのみ冷媒の流れを許容する。空気側熱交換器44は、送風機42により、外部から吸引される空気と冷媒との間で熱交換を行う。空気側熱交換器44では、冷媒ガスが空気に熱を与えて凝縮する。上部筐体ブロック40の上部に取り付けられた送風機42により、空気側熱交換器44で熱交換した後の空気を、上部筐体ブロック40の上部へ向けて排出する。膨張弁26は、冷媒を減圧する。この減圧の際、冷媒の一部が気化していてもよい。膨張弁26は、適切な流量になるように制御部により開度が調整される。
【0051】
水側熱交換器54は、冷水入口55を介して取り込まれた水と冷媒との間で熱交換を行う。水側熱交換器54では、凝縮した液体の冷媒が水から熱を奪って全て気化し、冷媒ガスとして排出される。これにより、水は、温度が低下し、冷水として、冷水出口56を介して二次側設備へ戻される。排出された冷媒ガスは、低圧低温のガスであり、アキュームレータを介して圧縮機24へ戻される。冷媒サイクルでは、これらの各動作が、チラーユニット10の運転を停止するまで繰り返される。
【0052】
上述した説明では、水を冷却する場合の冷媒サイクルを例示したが、四方弁を設け、冷媒を循環させる方向を逆にし、水を温め、温水にして二次側設備へ戻してもよい。その場合、空気側熱交換器44は、蒸発器としてはたらき、水側熱交換器54は、凝縮器としてはたらく。また、冷却対象は、その他の流体であってもよい。
【0053】
圧縮機24は、特に限定されるものではないが、ガスインジェクションポート付き圧縮機を用いてもよい。ガス冷媒を圧縮機の圧縮室に直接注入することで、圧縮機の仕事量を低減し、高負荷運転時の圧縮機効率を向上させることができる。また、圧縮機24は、吸引する冷媒ガスを貯留するバッファとして機能するアキュームレータを含んでもよい。また、
図4には示さないが、低負荷運転時の運転効率を向上するために過冷却器を含んでもよい。圧縮機24は、各系統についてそれぞれ1台設けられるものとして説明するが、このような構成に限定されるものではない。圧縮機24を複数台並列に設けるようにしても良い。
【0054】
また、
図4には、ブロック間の分離箇所に、各ブロックの内部にある配管部分を分離・再接続可能に連結する複数の配管連結部が設けられており、ブロックをまたいで接続される配管連結部の間に、中継配管70A,70B、71A,71B、72A,72B、73A,73Bが挿入されている。
【0055】
複数の配管連結部は、より具体的には、下部正面側筐体ブロック20に設けられた、(I)下部正面側筐体ブロック20内部にある配管部分を(中継配管73A,73B,72A,72Bを介して)下部背面側筐体ブロック50内部にある配管部分に接続するための配管連結部29A,29B,30A,30Bと、(II-A)下部正面側筐体ブロック20内部にある配管部分を(中継配管71A,70Aを介して)上部筐体ブロック40A内部にある配管部分に接続するための配管連結部31A,32Aと、(II-B)下部正面側筐体ブロック20内部にある配管部分を(中継配管71B,70Bを介して)上部筐体ブロック40B内部にある配管部分に接続するための配管連結部31B,32Bとを含む。複数の配管連結部は、さらに、下部背面側筐体ブロック50に設けられた、(III)下部背面側筐体ブロック50内部にある配管部分を(中継配管73A,73B,72A,72Bを介して)下部正面側筐体ブロック20内部にある配管部分に接続するための配管連結部57A,57B,58A,58Bを含む。複数の配管連結部は、さらに、上部筐体ブロック40Aに設けられた、(IV-A)上部筐体ブロック40A内部にある配管部分を(中継配管71A,70Aを介して)下部正面側筐体ブロック20内部にある配管部分に接続するため配管連結部47A,48Aを含む。複数の配管連結部は、さらに、上部筐体ブロック40Bに設けられた、(IV-B)上部筐体ブロック40B内部にある配管部分を(中継配管71B,70Bを介して)下部正面側筐体ブロック20内部にある配管部分に接続するため配管連結部47B,48Bを含む。
【0056】
配管連結部は、それぞれ、フランジ接続またはフレアナット接続であってよい。フランジ接続またはフレアナット接続のような分離・再接続可能な連結部とすることにより、ろう付けなどの溶接なしで冷媒配管を接続可能となる。火気を伴わずに作業可能となるため、作業時間の短縮になるだけでなく、作業者の資格の有無、作業にかかわる手続きなども省略が可能となる。
【0057】
ストレーナ27A,27Bは、下部正面側筐体ブロック20に設けられた配管連結部31A,31Bと、膨張弁26との間に設けられ、冷媒回路へ混入する可能性のあるゴミや不純物を除去する。ストレーナ28A,28Bは、下部正面側筐体ブロック20に設けられた配管連結部30A,30Bと、圧縮機24A,24Bとの間に設けられ、同様に、冷媒回路へ混入する可能性のあるゴミや不純物を除去する。
【0058】
図5は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニット10全体の具体的な構成を示す図である。
図5においても、
図1や
図4に示した共通の要素が同一符番で示されており、対応付けられている。特に、配管連結部の位置が、破線の丸で示されている。
【0059】
図5を参照すると、下部正面側筐体ブロック20の底部には、その上に圧縮機24および冷凍サイクル用電気品箱22が搭載される正面側底ベース34が設けられ、下部背面側筐体ブロック50の底部には、その上に水側熱交換器が搭載される背面側底ベース60が設けられる。正面側底ベース34と背面側底ベース60とは、筐体内側に配置される連結基礎固定構造75により結合されている。正面側底ベース34および背面側底ベース60は、底部で筐体内側を向いてL字状に突出したプレート部が互いに重なるように設けられており、プレート部が連結基礎固定構造75を構成する。重なり合ったプレート部には開口が設けられ、例えば、基礎ボルトが、その開口を通して設置場所の床やコンクリート土台などに打ち込まれ、正面側底ベース34および背面側底ベース60が基礎に固定される。連結基礎固定構造75については、より詳細を後述する。
【0060】
図6は、本発明の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニット10の分割状態の具体的な構成を示す図である。
図6においても、
図1、
図2、
図4および
図5に示した共通の要素が同一符番で示されており、対応付けられている。特に、配管連結部が、破線の丸内に、連結前の状態(配管連結部を構成する一方の部品)で示されている。また、
図6には、下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50を下部で連結するための連結基礎固定構造75が、分離した状態で示されている。正面側底ベース34および背面側底ベース60は、それぞれ、筐体内側に向けられ、底部でL字状に突出したプレート部35,61を有する。
【0061】
また、
図6には、下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50を上部で結合するための水平フレーム79が、下部正面側筐体ブロック20の垂直フレーム39および下部背面側筐体ブロック50垂直フレーム69から分離された状態で示されている。下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50は、これらのブロック20,50にまたがる水平フレーム79を取り外し可能にし、ボルトやナットなどの締結部材によりフレーム間を締結可能とすることによって、分離可能に構成される。
【0062】
図7は、
図5に示すチラーユニット10の分離した状態で配置された下部筐体部(20,50)の斜視図である。
図7には、正面側底ベース34および背面側底ベース60にそれぞれ設けられたプレート部35,61の2か所76-1,76-2に開口(35-1,62―1を代表して示す)が設けられている。この開口35-1,62―1を通して重ね合わせて基礎ボルトを打つことにより、筐体が基礎に固定される。
【0063】
図8(A)は、下部筐体部(20,50)の連結基礎固定構造75を拡大した側面図を示す。
図8(A)に示すように、下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50において、筐体内側に向けて底部でL字状に突出したプレート部35,61が一部で重ね合わせられている。下部正面側筐体ブロック20および下部背面側筐体ブロック50側の底ベースは、前後2分割されており、再組立時に分割箇所を重ね合わせるよう構成することによって、基礎ボルトを共通化し、基礎ボルト本数を削減することができる。
【0064】
図8(B)は、下部筐体部(20,50)の基礎固定箇所を示す図である。
図8(B)に示すように、下部正面側筐体ブロック20の底ベース34は、縦フレーム37L,37Rと、横フレーム38B,38Fとを含み、下部背面側筐体ブロック50の底ベース60は、縦フレーム63L,63Rと、横フレーム64B,63Fとを含み構成される。ここで、正面-背面の長手方向を「縦」と参照し、それに垂直な短手方向を「横」と参照する。下部筐体部(20,50)は、上述した中央の連結基礎固定構造75のプレートが重なり合った箇所に設けられた開口(36-1,62-1)および開口(36-2,62-2)のほか、下部筐体部(20,50)の四隅の箇所に開口36-3,36-4,62-3,62-4が設けられいる。これらの開口(36-1~4,62-1~4)を通して、基礎ボルトが基礎に打ち込まれ、下部筐体部(20,50)が基礎に固定される。四隅の開口36-3,36-4,62-3,62-4が設けられる横方向(正面-背面の長手方向に垂直な短手方向)における位置は、縦フレーム37L,63L,37R,63の内側となる位置に設けられる。底ベース34,60の基礎ボルト位置を底面における筐体の内側にすることで、分割構造としながらも、連続設置が可能な構造としている。
【0065】
図9は、本実施形態による冷凍装置としてのチラーユニット10の上部筐体ブロック40の構造を示す。
図9(A)は、空気側熱交換器44を取り外した上部筐体ブロック40のフレーム構造を示す。
図9(B)は、上部筐体ブロック40のフレームに空気側熱交換器44を設置した状態を示す。なお、
図9(B)において、図面手前側の空気側熱交換器44の部分は非表示となっている点に留意されたい。
図9(C)は、上部筐体ブロック40の外観を示す。
【0066】
図9(A)および
図9(B)に示すように、上部筐体ブロック40は、底フレーム80と、底フレーム80上にそれぞれV字に設けられる垂直フレーム81-1,81-2および垂直フレーム81-3,81-4と、垂直フレーム81-1~4の上部に設けられる天板82とを含み構成される。
図9(B)に示すように、フレーム81-1~4には空気側熱交換器44が取り付けられる。また、
図9(B)および
図9(C)に示すように、天板82には、開口およびファンガード83が設けられる。
【0067】
なお、
図9(C)に示す実施形態において、空気側熱交換器44は、外部に露出された構造となっており、これにより熱交換効率を向上させている。また、コの字の空気側熱交換器44の内部に、空気側熱交換器44に接続され、空気側熱交換器44の内側に内部配管部分43(
図4に示すヘッダ配管45,46や枝管などの)が配置されている。
【0068】
図8に示すように、空気側熱交換器44を有する上部筐体ブロック40に送風機42および空気側熱交換器44を支える一体のフレーム80,81,82を有し、空気側熱交換器44に接続されるヘッダや枝管などの内部配管部分43が、コの字の空気側熱交換器44の内側に配置されている。これにより、上部筐体ブロック40において、送風機42、空気側熱交換器44およびフレーム81を一体化して強度を確保しながら、一方で、搬入性(吊り時の干渉防止など)を向上している。
【0069】
また、上部筐体ブロック40は、上述したようにV字のフレームを有し、下方に向かって、水平方向に切断したときの断面積が小さくなり、Vの字の構造を有する。すなわち、下部筐体部(20、50)との連結部分が最も断面が小さく、当該連結部分から離間するにつれて断面が拡張した形状となっている。このため、当該チラーユニット10に隣接して他のチラーユニットを連続して配置する場合に、当該チラーユニット10と隣接する他のチラーユニットとの間の空間の形状が開いた構造となっている。また、チラーユニット10は、2つの上部筐体ブロック40A,40Bが間隔を離して配置され、2つの上部筐体ブロック40A,40B間の空間を通して空気が流通できるようになっている。すなわち、並べて配置した場合に、ユニット長手方向に通風口を確保するとともに、ユニット長手方向に対して垂直な短手方向にも通風口を確保することができるので、必要風量を確保することができる。
【0070】
また、上部筐体ブロック40では、圧縮機24をはじめとしたサイクル部品を下部に集約しているため、上部筐体ブロック40は、送風機42および空気側熱交換器44のみとなるため、特許文献1にあるような圧縮機を上部に備える構成と比べ、上部筐体ブロック40が軽量となり、重心のバランスが優れ、再組立が容易になる。
【0071】
図10は、本発明の複数の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニットの下部筐体部の具体的な構成を示す上面図である。
図10(B)は、別の実施形態による冷凍装置としてのチラーユニット100の下部筐体部の具体的な構成を示す。
図10(A)は、参考のために
図3に示した下部筐体部(20,50)の上面図のより具体的な構成を示す。
【0072】
チラーユニット100は、1以上の冷凍サイクルを構成する構成要素群を1つのモジュールとし、その長手方向を接続部として2つのモジュールが接続された構造とされている。ここでは、一方のモジュールを第1のモジュール100-1とし、他方のモジュールを第2のモジュール100-2として説明する。
【0073】
第1のモジュール100―1および第2のモジュール100-2は、それぞれ、
図1、
図3、
図4および
図6を参照して説明したチラーユニット10と同様の構成を備えている。より具体的には、第1のモジュール100―1および第2のモジュール100-2は、それぞれ、図示しない2つの上部筐体ブロックと、下部正面側筐体ブロック120-1/2と、下部背面側筐体ブロック150-1/2とを備える。なお、上部筐体ブロックは、
図10(B)の例では、各モジュールにつき、2つであるが、上述したように、2つに限定されるものではなく、冷凍サイクルの数に応じて、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。各モジュール100-1/2は、それぞれ独立した2系統の冷媒回路を備える。
【0074】
図10(B)に示す実施形態では、第1のモジュール100-1の長手方向の背面には、チラーユニット100で冷却する対象の水を受け入れる冷水入口155が設けられる。第1のモジュール100-1内には、冷水を利用する二次側設備から冷水入口155を介して水を受け入れ、第1のモジュール100-1内の水側熱交換器154―1の冷凍サイクルにより冷却され、第2のモジュール100-2へ水配管153を通して送られる。第2のモジュール100-2は、第1のモジュール100-1から供給された水を、第2のモジュール100-2内の水側熱交換器154―2の冷凍サイクルによりさらに冷却する。第2のモジュール100-2の背面には、冷却した水を、二次側設備へ戻すための冷水出口156を有する。
【0075】
図10(B)に示す変形例の実施形態においては、それぞれのモジュール100-1/3を、
図1~
図7で示すような構成として、2つのモジュールを一体化した構成となっており、さらに、これらは、ブロックの単位で分離可能に構成される。
【0076】
図10(A)に示すチラーユニット10および
図10(B)に示すチラーユニット100の製品形状を提供することにより、設置スペースに合わせて適切なものを選ぶことで、効率の良いレイアウトが可能となる。
【0077】
なお、本発明の実施形態は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれ得る。例えば、上記した実施形態は、分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
10,100…チラーユニット、12…電気品箱、20,120…下部正面側筐体ブロック、21…機械室、22,122…冷凍サイクル用電気品箱、24,124…圧縮機、25…逆止弁、26…膨張弁、27,28…ストレーナ、29,30,31,32…配管連結部、34,60,134,160…底ベース、35,61・・・プレート部、37,38,63,64…フレーム、36,63…開口、40…上部筐体ブロック、42…送風機、43…内部配管部分、44…空気側熱交換器、45,46…ヘッダ配管、47,48…配管連結部、50,150…下部背面側筐体ブロック、52…循環ポンプ、54,154…水側熱交換器、55,155…冷水入口、56,156…冷水出口、57,58…配管連結部、70,71,72,73…中継配管、75…連結基礎固定構造、76…開口位置、80…底フレーム、81…垂直フレーム、82…天板、83…ファンガード、153…水配管
【要約】
【課題】 冷凍装置を提供すること。
【解決手段】
冷凍装置10は、筐体と、冷媒配管により圧縮機24、空気側熱交換器44および液側熱交換器54が接続されて構成される冷媒回路とを備える。筐体は、圧縮機24が配置される第1ブロック20と、液側熱交換器54が配置される第2ブロック50と、空気側熱交換器44が配置される第3ブロック40とを備える。第1ブロック20、第2ブロック50および第3ブロック40は、分離・再接続可能に構成されている。冷媒配管は、第1ブロック20、第2ブロック50および第3ブロック40それぞれの内部にある配管部分を分離・再接続可能に連結する複数の配管連結部を備える。
【選択図】
図4