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特許7515666通信装置、通信装置の制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/27 20180101AFI20240705BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20240705BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20240705BHJP
【FI】
H04W76/27
H04W48/16 132
H04W76/15
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023112469
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2019058903の分割
【原出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2023118976
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】3GPP TS 37.340 V15.4.0,2019年01月14日,pp.6-12,17-18,56-57,https://www.3gpp.org/ftp//Specs/archive/37_series/37.340/37340-f40.zip
【文献】InterDigital Communications,State Transition from INACTIVE to IDLE for NR[online],3GPP TSG RAN WG2 #97 R2-1701189,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_R,2017年02月04日
【文献】Huawei, HiSilicon,Data transmission in inactive state, option A vs. option B[online],3GPP TSG RAN WG2 #97 R2-1702058,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_R,2017年02月20日
【文献】CATT,Discussion on SCG resumption[online],3GPP TSG RAN WG2 #105 R2-1900206,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_R,2019年02月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスター基地局およびセカンダリ基地局と通信可能な通信装置であって、
前記通信装置による無線リソース制御(RRC)状態を制御するRRC状態制御手段と、
前記マスター基地局および前記セカンダリ基地局と通信可能な状態に遷移するための接続処理を実行する接続制御手段と、を有し、
前記通信装置のRRC状態がRRC_Inactive状態である間に前記RRC状態を前記RRC_Inactive状態から、RRC_Connected状態へ遷移させることが前記通信装置において基地局からの指示を受け付けることなしに決定された後に、前記接続制御手段は、基地局からの指示を受け付けることなしに前記接続処理の開始を試み、前記試みの結果、前記マスター基地局と通信可能な状態へ遷移することに失敗した場合に、前記RRC状態制御手段は、前記RRC状態をRRC_Idle状態に遷移させることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信装置が移動状態か否かを判定する判定手段を更に有し、
前記RRC状態が前記 RRC_Inactive状態である間に前記RRC状態を前記RRC_Inactive状態から前記RRC_Connected状態へ遷移させることが決定され、かつ、前記判定手段により前記通信装置が移動状態であると判定された場合に、前記RRC状態制御手段は、前記RRC状態を前記RRC_Idle状態に遷移させることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記RRC状態制御手段により前記通信装置の前記RRC状態が前記RRC_Idle状態に遷移した後に、前記接続制御手段は、マスター基地局およびセカンダリ基地局と接続するための接続処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記RRC状態を前記RRC_Inactive状態から前記RRC_Connected状態へ遷移させることは、ユーザーによる操作に少なくとも基づいて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記RRC状態を前記RRC_Inactive状態から前記RRC_Connected状態へ遷移させることは、前記通信装置が有する送信対象のデータの量に少なくとも基づいて決定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
3GPP規格に準拠した無線通信を行う通信手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記3GPP規格に準拠する通信は、LTE(Long Term Evolution)通信を含むことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記3GPP規格に準拠する通信は、5G(5th Generation)通信を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記接続制御手段が、前記セカンダリ基地局と通信可能な状態へ遷移することに失敗した場合においても、前記RRC状態制御手段は、前記RRC状態を前記RRC_Idle状態に遷移させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記接続制御手段が、前記マスター基地局と通信可能な状態に遷移したが、前記セカンダリ基地局と通信可能な状態へ遷移することに失敗した場合においても、前記RRC状態制御手段は、前記RRC状態を前記RRC_Idle状態に遷移させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記通信装置は、デジタルカメラ装置であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記通信装置は、イメージキャプチャ処理によって得られた画像データを、前記マスター基地局及び又は前記セカンダリ基地局を経由して外部装置に送信する通信装置であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記RRC_Idle状態は、非接続状態であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記RRC_Inactive状態は、UE(User Equipment)の省電力と、通信復帰時の迅速なネットワーク接続の両立を目的とするRRC状態であることを特徴とする請求項13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記RRC_Inactive状態は前記RRC_Connected状態と比較して電力消費を抑えることを目的とするRRC状態であり、尚且つ、前記RRC_Idle状態と比較して通信復帰時の接続時間を短くすることを目的とするRRC状態であることを特徴とする請求項13に記載の通信装置。
【請求項16】
マスター基地局およびセカンダリ基地局と通信可能な通信装置の制御方法であって、
前記通信装置の無線リソース制御(RRC)状態がRRC Inactive状態である間に前記通信装置のRRC状態を前記RRC Inactive状態からRRC Connected状態へ遷移させることが前記通信装置において基地局からの指示を受け付けることなしに決定された後に、基地局からの指示を受け付けることなしに前記マスター基地局と前記セカンダリ基地局と通信可能な状態に遷移するための接続処理の開始を試みる接続制御工程と、
前記接続制御工程における前記試みの結果、前記マスター基地局と通信可能な状態へ遷移することに失敗した場合に、前記RRC状態をRRC Idle状態に遷移させるRRC状態制御工程と、を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1から15のいずれか1項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project、登録商標)仕様では、複数の基地局と同時に通信するデュアルコネクティビティ(DC)が規定されている。DC状態では、ユーザー装置(UE)はマスターノード(MN)とセカンダリノード(SN)との間で同時に通信することで、ユーザースループットや通信の信頼性を向上させることができる(特許文献1)。
【0003】
また、3GPP仕様では、無線リソース制御(Radio Resource Control(RRC))として、従来は、非接続状態のRRC_Idleおよび接続状態のRRC_Connectedの2状態のみが規定されていた。これに対し、近年の3GPP(登録商標)仕様では、下位物理層では非接続かつ、上位論理層では接続状態となるRRC_Inactiveという状態が規定されている。RRC_Inactive状態を規定することにより、待ち受け不要なUEに対する制御信号の抑制/省電力と、通信復帰時の速やかなネットワーク接続とを両立することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-56865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の3GPP仕様では、DC状態におけるRRC_InactiveからRRC_Connectedへの復帰処理(Resume処理)については規定されていない。例えばUEが、マスターノード(MN)との接続においてはRRC_Connectedへの復帰に成功し、かつセカンダリノード(SN)との接続においてはRRC_Connectedへの復帰に失敗した場合を考える。もしUEが復帰に成功したMNだけとの通信を維持すると、SNの復帰失敗検知が遅れ、SNの復帰失敗検知までの間のSNのリソースを無駄に消費する恐れがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、デュアルコネクティビティ(DC)状態においてリソースの無駄な消費を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の通信装置は以下の構成を有する。すなわち、 マスター基地局およびセカンダリ基地局と通信可能な通信装置であって、前記通信装置による無線リソース制御(RRC)状態を制御するRRC状態制御手段と、前記マスター基地局および前記セカンダリ基地局と通信可能な状態に遷移するための接続処理を実行する接続制御手段と、を有し、前記通信装置のRRC状態がRRC_Inactive状態である間に前記RRC状態を前記RRC_Inactive状態から、RRC_Connected状態へ遷移させることが前記通信装置において基地局からの指示を受け付けることなしに決定された後に、前記接続制御手段は、基地局からの指示を受け付けることなしに前記接続処理の開始を試み、前記試みの結果、前記マスター基地局と通信可能な状態へ遷移することに失敗した場合に、前記RRC状態制御手段は、前記RRC状態をRRC_Idle状態に遷移させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、DC状態においてリソースの無駄な消費を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ネットワーク構成の一例を示す図。
図2】通信装置のハードウェア構成例を示す図。
図3】通信装置の機能構成例を示す図。
図4】第一の実施形態においてUEにより実行される処理を示すフローチャート。
図5】第二の実施形態においてUEにより実行される処理を示すフローチャート。
図6】第三の実施形態においてUEにより実行される処理を示すフローチャート。
図7】第四の実施形態においてUEにより実行される処理を示すフローチャート。
図8】第五の実施形態においてUEにより実行される処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第一の実施形態]
(ネットワーク構成)
図1に、本実施形態におけるネットワーク構成例を示す。本ネットワークは、デジタルカメラ101と基地局102、103から構成される。デジタルカメラ101は、基地局102および基地局103と同時に通信するデュアルコネクティビティ(DC)通信をサポートする。例えば、デジタルカメラ101は、撮像処理により得られた画像データを不図示のサーバへアップロードするために、基地局102および基地局103に対してDC通信を実行して、画像データを送信する。基地局102、103は、デジタルカメラ101から受信した撮像データをコアネットワーク104上に通信接続された上位局やサーバなどのネットワーク装置へ送信する。
【0012】
本実施形態では、基地局102がマスターノード(MN)基地局(マスター基地局)として機能し、基地局103がセカンダリノード(SN)基地局(セカンダリ基地局)として機能するものとする。DC通信においては、MN基地局である基地局102が、デジタルカメラ101と基地局102および基地局103との間のDC通信を制御すると共に、コアネットワーク104との間の通信を制御する。
【0013】
(デジタルカメラの構成)
図2に、本実施形態におけるデジタルカメラ101のハードウェア構成例を示す。デジタルカメラ101はそのハードウェア構成として、例えば、制御部201、記憶部202、無線通信部203、表示部204、入力部205を有する。
【0014】
制御部201は、記憶部202に記憶される制御プログラムを実行することにより装置全体を制御する。記憶部202は、制御部201が実行する制御プログラムと、通信パラメータや撮影画像データ等の各種情報を記憶する。後述する各種動作は、記憶部202に記憶された制御プログラムを制御部201が実行することにより行われる。無線通信部203は、3GPP(登録商標)規格に準拠するLTE(Long Term Evolution)、5G(5th Generation)等のセルラー網通信を行うための信号の送受信を制御する。表示部204は、視覚情報を出力する機能を備える。また、表示部204は、音情報を出力するように構成されてもよく、例えば、LCDやLEDのように視覚で認知可能な情報の出力、あるいはスピーカなどの音出力が可能な機能を有し得る。入力部205は、ユーザーが各種入力等を行う入力部である。入力部205は更に、不図示のセンサーが得た各種情報(センサー情報)を取得するように構成され得る。
【0015】
図3は、デジタルカメラ101の機能構成例を示す図である。デジタルカメラ101は、その機能構成として、送信部301、受信部302、接続制御部303、表示制御部304、信号レベル取得部305、RRC状態制御部306、DC状態制御部307、および動き判定部308を有する。
【0016】
送信部301と受信部302はそれぞれ、無線通信部203(図2)を介した信号の送信処理および受信処理を行う。接続制御部303は、基地局との接続および切断に関する処理を実施する。また、接続制御部303は、DC通信に関する設定処理を基地局との間で実施する。表示制御部304は、表示部204に対する出力制御を行う。信号レベル取得部305は、デジタルカメラ101の周辺に位置する通信装置(基地局を含む)からの信号のRSSI(Received Signal Strength Indication)といった電波強度(dBm)を受信信号レベルとして取得する。本実施形態では、信号レベル取得部305は、DC通信が必要と制御部201により判断された場合に、受信信号レベルを取得するように構成されてもよい。例えば、制御部201がDC通信を含めたセルラー通信が必須であると予め定められたデータ通信アプリケーションを実行中と判断した場合に、信号レベル取得部305は受信信号レベルを取得するように構成されてもよい。すなわち、信号レベル取得部305は、当該アプリケーションが実行中の場合に受信信号レベルを取得し、実行中でない場合には受信信号レベルを取得しなくてもよい。なお、信号レベル取得部は、SINR(信号対干渉雑音比)やSNR(信号対雑音比)といった受信感度/品質を、受信信号レベルとして取得してもよい。
【0017】
RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101によるRRC制御状態を制御する。RRC制御状態には、上述したように、RRC_Connected状態(接続状態)、RRC_Inactive状態(下位物理層では非接続状態かつ上位論理想では接続状態)、およびRRC_Idle状態(非接続状態)がある。DC状態制御部307は、デジタルカメラ101をMN基地局とSN基地局とのデュアル接続(DCによる接続)が可能な状態(DC状態)か不可な状態(非DC状態)にするかの切り替えを制御する。動き判定部308は、入力部205に入力されるセンサー情報に基づいて、デジタルカメラ101が静止状態か否かを判定する。
【0018】
(処理の流れ)
図4は、本実施形態においてデジタルカメラ101にて実行される処理を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、DC状態にあるデジタルカメラ101がRRC_Inactive状態から通信可能状態(RRC_Connected)に遷移する処理を示す。図4に示すフローチャートは、制御部201が記憶部202に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われ得る。
【0019】
最初に、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Inactive状態からRRC_Connected状態へ遷移させるかを判定する(S401)。例えば、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101が有する、ネットワークへの送信対象データ(アップロード対象の画像データ等)の量が所定量を超えた場合に、DC状態において、RRC状態をRRC_Inactive状態からRRC_Connectedへ遷移すると決定する。なお、ユーザーによる入力部を介した操作に応じて、RRC状態制御部306は、DC状態において、RRC状態をRRC_Inactive状態からRRC_Connectedへ遷移すると決定してもよい。このとき、ユーザーは、表示部204に表示された情報に基づいて当該操作を行ってもよい。DC状態においてRRC_Inactive状態からRRC_Connectedへ遷移する場合(S401でYES)、処理はS402へ進み、それ以外の場合、処理はS401へ戻る。
【0020】
S402では、接続制御部303は、MN基地局との接続において、RRC_Connectedとの接続処理(Resume処理)を試み、当該接続処理に成功するかどうかを判定する。接続処理は、例えば、デジタルカメラ101と対象となる基地局との間の電波環境(通信状況)が良好の場合に成功し得る。よって、例えば、デジタルカメラ101において、対象となる基地局からの信号の受信信号レベルが所定のレベル以下である場合に、接続処理は失敗し得る。MN基地局との接続処理に成功しなかった場合(S402でNo)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Idleに遷移させる(S403)。続いて、接続制御部303は、DC通信のために、MN基地局およびSN基地局との再接続処理を実行する(S404)。MN基地局との接続処理に成功した場合(S402でYES)、接続制御部303は更に、SN基地局との接続処理を試み、当該接続処理に成功するかどうかを判定する(S405)。SN基地局との接続処理に成功しなかった場合(S405でNO)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Idleに遷移させる(S406)。続いて、接続制御部303は、DC通信のために、MN基地局およびSN基地局との再接続処理を実行する(S407)。SN基地局との接続処理に成功した場合(S405でYES)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Connectedに遷移させる(S408)。
【0021】
このように、本実施形態では、デジタルカメラ101がDC状態においてRRC_Inactive状態からRRC_Connectedへ遷移する場合に、MN基地局とSN基地局との接続処理に成功しなかった場合は、RRC_Idle状態となる。これにより、DC状態においてリソースの無駄な消費を抑制することができ、SN基地局のリソースが有効に活用され得る。
【0022】
[第二の実施形態]
第二の実施形態では、デジタルカメラ101がRRC_Connected状態からRRC_Inactive状態へ遷移する場合に、SN基地局との間の通信状況に応じたデジタルカメラ101の状態制御を行う。当該状態制御は、第一の実施形態のようにデジタルカメラ101がDC状態においてRRC_Inactive状態からRRC_Connected状態へ遷移する場合に、SN基地局との接続処理(S405)の失敗を回避し得る制御につながる。なお、以下では第一の実施形態と異なる点について説明し、共通部分については説明を省略する。
【0023】
図5は、本実施形態においてデジタルカメラ101にて実行される処理を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、デジタルカメラ101がRRC_Connected状態からRRC_Inactive状態に遷移する処理を示す。図5に示すフローチャートは、制御部201が記憶部202に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われ得る。
【0024】
まず、信号レベル取得部305は、SN基地局からの信号の受信信号レベルを取得する(S501)。信号レベル取得部305は、例えば、5秒間の期間においてSN基地局から受信部302を介した受信された信号の受信レベルを測定し、その平均値を受信信号レベルとして算出する。また、信号レベル取得部305により前もって取得されて記憶部202に保持されている受信信号レベルが用いられてもよい。続いて、受信部302は、MN基地局からRRC_Inactive状態へ遷移するための指示を受信したかどうかを判定する(S502)。なお、受信部302は、RRC_Inactiveへ遷移するための指示を、例えばユーザーによる入力部205への入力により受信したかどうかを判定してもよい。RRC_Inactive状態へ遷移するための指示を受信しなかった場合(S502でNO)、処理はS501へ戻る。RRC_Inactiveへ遷移するための指示を受信した場合(S502でYES)、DC状態制御部307は、デジタルカメラ101が現在DC状態かどうかを判定する(S503)。デジタルカメラ101がDC状態でない場合(S503でNO)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Inactive状態に遷移させる。(S504)。
【0025】
デジタルカメラ101がDC状態の場合(S503でYES)、RRC状態制御部306は、S501で取得したSN基地局の受信信号レベルが所定の第1のレベル以上かどうかを判定する(S505)。第1のレベルの例は-85dBmであるが、この数字に限定されない。SN基地局の受信信号レベルが第1のレベル以上の場合(S505でYES)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Inactive状態に遷移させる。(S506)。SN基地局の受信信号レベルが第1のレベル以上でない場合(S505でNO)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Inactive状態に遷移させる(S507)。続いて、接続制御部303は送信部301を介してRRC_Connected再開要求(Resume request)をMN基地局に送信する(S508)。デジタルカメラ101とMN基地局との間でRRC_Connected再開処理が完了すると、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Connected状態に遷移させる。
【0026】
デジタルカメラ101がRRC_Connected状態に遷移した後、DC状態制御部307は、デジタルカメラ101のDC状態を、DC不可の状態(非DC状態)に変更する(S509)。当該非DC状態への変更を受けて、送信部301は、DC不可であることを示す情報を含む、デジタルカメラ101の能力情報をMN基地局へ送信してもよい。また、送信部301は、当該非DC状態への変更を受けて、少なくともMN基地局と接続すること(MN基地局とのみ接続すること等)を示す情報を含む、デジタルカメラ101の能力情報をMN基地局へ送信してもよい。
【0027】
このように、本実施形態では、デジタルカメラ101は、SN基地局との通信状況が良好な場合にRRC_Inactive状態となる。また、デジタルカメラ101は、SN基地局の通信状況が良好でない場合に、非DC状態となるため、DC状態と非DC状態を頻繁に切り替えることがなくなり、通信が安定する。
【0028】
[第三の実施形態]
第三の実施形態では、第二の実施形態と同様に、デジタルカメラ101がRRC_Connected状態からRRC_Inactive状態へ遷移する場合に、SN基地局との間の通信状況に応じたデジタルカメラ101の状態制御を行う。なお、以下では第一と第二の実施形態と異なる点について説明し、共通部分については説明を省略する。
【0029】
図6は、本実施形態においてデジタルカメラ101にて実行される処理を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、デジタルカメラ101がRRC_Connected状態からRRC_Inactive状態に遷移する処理を示す。図6に示すフローチャートは、制御部201が記憶部202に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われ得る。
【0030】
図6において、S501、S502、S503、S504、S505、S506の処理は、第二の実施形態において説明した図5の同番号の処理と同様である。S505において、SN基地局の受信信号レベルが所定の第1のレベル以上でない場合(S505でNO)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Inactive状態に遷移させない(S607)。これにより、デジタルカメラ101はRRC_Connected状態を維持する。次に、信号レベル取得部305は、デジタルカメラ101の周辺に位置する1以上の基地局(周辺基地局)から受信部302を介して受信される信号の受信信号レベルを取得する(S608)。その後、送信部301は、周辺基地局の受信信号レベルの情報を、周辺基地局情報としてMN基地局へ通知する(S609)。これにより、デジタルカメラ101は、現在接続しているSN基地局よりも通信状況が良好なSN基地局が存在する場合、当該通信状況が良好なSN基地局への切り替えをMN基地局へ促す。なお、当該周辺基地局情報に、S501で取得したSN基地局の受信信号レベルの情報を含めてもよい。
【0031】
このように、本実施形態では、デジタルカメラ101は、SN基地局との通信状況が良好な場合にRRC_Inactive状態となる。また、デジタルカメラ101は、SN基地局の通信状況が良好でない場合に、通信状況がより良好なSN基地局への切り替えを試みることで、通信が安定する可能性が高まる。
【0032】
[第四の実施形態]
第四の実施形態では、第二と第三の実施形態と同様に、デジタルカメラ101がRRC_Connected状態からRRC_Inactive状態へ遷移する場合に、SN基地局との間の通信状況に応じたデジタルカメラ101の状態制御を行う。なお、以下では第一、第二および第三の実施形態と異なる点について説明し、共通部分については説明を省略する。
【0033】
図7は、本実施形態においてデジタルカメラ101にて実行される処理を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、デジタルカメラ101がRRC_Connected状態からRRC_Inactive状態に遷移する処理を示す。図7に示すフローチャートは、制御部201が記憶部202に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われ得る。
【0034】
図7において、S501、S502、S503、S504、S505、S506、S507、S508、S509の処理は、第二の実施形態において説明した図5の同番号の処理と同様である。S509において、DC状態制御部307は、デジタルカメラ101のDC状態を、DC不可の状態(非DC状態)に変更した後、信号レベル取得部305は、周辺基地局の受信信号レベルを取得する(S710)。次に、DC状態制御部307は、S710で取得した受信信号レベルが所定の第2のレベルかどうかを判定する(S711)。第2のレベルの例は-80dBmであるが、この数字に限定されない。周辺基地局の受信信号レベルが全て第2のレベル以上でない場合(S711でNO)、DC状態制御部307はデジタルカメラ101の非DC状態を維持して終了する。周辺基地局のうち受信信号レベルが第2のレベル以上の基地局(SN候補基地局)がある場合(S711でYES)、DC状態制御部307は、デジタルカメラをDC可能な状態(DC状態)に変更する(S712)。なお、SN候補基地局が複数ある場合は、表示制御部304が複数のSN候補基地局に関する情報を表示部204に表示させ、ユーザーが1つのSN候補基地局を選択してもよい。当該DC状態への変更を受けて、送信部301は、DC可であることを示す情報を含む、デジタルカメラ101の能力情報をMN基地局へ送信してもよい。また、当該DC状態への変更を受けて、送信部301は、SN基地局と接続可能であることを示す情報を含む、デジタルカメラ101の能力情報をMN基地局へ送信してもよい。次に、送信部301は、SN候補基地局を含む周辺基地局の受信信号レベルの情報を、周辺基地局情報としてMN基地局へ通知する(S713)。これにより、デジタルカメラ101は、現在接続しているSN基地局よりも通信状況が良好なSN基地局が存在する場合、当該通信状況が良好なSN基地局への切り替えをMN基地局へ促す。なお、当該周辺基地局情報に、S501で取得したSN基地局の受信信号レベルの情報を含めてもよい。
【0035】
このように、本実施形態では、デジタルカメラ101は、SN基地局との通信状況が良好な場合にRRC_Inactive状態となる。また、デジタルカメラ101は、SN基地局の通信状況が良好でない場合に、非DC状態となるため、DC状態と非DC状態を頻繁に切り替えることがなくなり、通信が安定する。更に、また、デジタルカメラ101は、SN基地局の通信状況が良好でない場合に、通信状況がより良好なSN基地局への切り替えを試みることで、通信が安定する可能性が高まる。
【0036】
[第五の実施形態]
第五の実施形態では、DC状態にあるデジタルカメラ101がRRC_Inactive状態から通信可能状態(RRC_Connected)に遷移する、第一の実施形態とは別の形態を説明する。なお、以下では第一の実施形態と異なる点について説明し、共通部分については説明を省略する。図8は、本実施形態においてデジタルカメラ101にて実行される処理を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、制御部201が記憶部202に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われ得る。
【0037】
図8において、S401、S402、S403、S404、S405、S406、S407、S408の処理は、第一の実施形態において説明した図4の同番号の処理と同様である。RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Inactive状態からRRC_Connected状態へ遷移させるかを判定する(S401)。DC状態においてRRC_Inactive状態からRRC_Connectedへ遷移する場合(S401でYES)、処理はS801へ進み、それ以外の場合、処理はS401へ戻る。S801では、動き判定部308はデジタルカメラ101が静止状態か否か(静止状態か移動状態か)を判定する。デジタルカメラ101が静止状態である場合(S801でYES)、処理はS402へ進む。デジタルカメラ101が移動状態である場合(S801でNO)、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101は、それまで接続していたMN基地局やSN基地局の通信可能な範囲の圏外に移動する可能性が高いと判断する。そして、RRC状態制御部306は、デジタルカメラ101のRRC状態をRRC_Idle状態に遷移させる(S802)。続いて、接続制御部303は、DC通信のために、MN基地局およびSN基地局との再接続処理を実行する(S803)。
このように、本実施形態では、静止状態でないデジタルカメラ101は、接続していたMN基地局やSN基地局の圏外に移動する可能性が高い判断し、当該2つの基地局との接続判定処理S402、S405)をスキップする。これにより、すみやかな再接続処理が可能となる。
【0038】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【0039】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0040】
101 デジタルカメラ、102 MN基地局、103 SN基地局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8