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特許7515679揚水還水ユニット、揚水還水制御システム、及び地中熱利用システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】揚水還水ユニット、揚水還水制御システム、及び地中熱利用システム
(51)【国際特許分類】
   F24T 10/20 20180101AFI20240705BHJP
   F24F 5/00 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
F24T10/20
F24F5/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023190291
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000165295
【氏名又は名称】兼工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】三原 伸治
(72)【発明者】
【氏名】崔 林日
(72)【発明者】
【氏名】坂井 正頌
(72)【発明者】
【氏名】落合 優
(72)【発明者】
【氏名】松浦 伸幸
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-049990(JP,A)
【文献】特開2021-004700(JP,A)
【文献】実開昭50-028352(JP,U)
【文献】特開2005-248970(JP,A)
【文献】特開2003-148637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24T 10/20
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
井戸からの揚水及び井戸への還水が流れる流路と、分岐流路と、を有するハウジングと、
前記ハウジングの第一端に設けられ、前記流路の一端側の開口を有する第一フランジと、
前記ハウジングの第二端に設けられ、前記流路の他端側の開口を有する第二フランジと、
前記分岐流路の開閉が可能な注水弁機構と、
を備え、
前記分岐流路が、前記ハウジング内で前記流路から分岐し、前記ハウジングの外部に連通しており、
前記注水弁機構が、前記第一フランジの外周と前記第二フランジの外周とを繋いだ面を周面とする領域内に収まっていて、
前記注水弁機構が、
前記分岐流路を開閉可能な弁本体と、
前記弁本体の開閉方向に弾性変形可能であり、前記弁本体に接続されるダイヤフラムと、
前記ハウジングの外部のパイロット機構から前記ダイヤフラムを前記開閉方向に駆動させる圧力が供給されるダイヤフラム室と、を備えている
水還水ユニット。
【請求項2】
前記ダイヤフラム室が、
前記パイロット機構から前記ダイヤフラム室内に注水可能な注水口と、
前記ダイヤフラム室内から前記パイロット機構へ排水可能な排水口と、を有している
請求項に記載の揚水還水ユニット。
【請求項3】
前記弁本体に接続され、前記弁本体が前記分岐流路の延伸方向に移動するよう、前記弁本体を案内するガイド機構をさらに備えている
請求項1又は2に記載の揚水還水ユニット。
【請求項4】
前記分岐流路は、前記流路から、前記ハウジングの前記第一端と前記第二端とを結ぶ方向に交差する前記ハウジングの径方向に延びるように形成され、
前記注水弁機構は、前記分岐流路において、前記径方向の外側の流路端部に設けられる
請求項1に記載の揚水還水ユニット。
【請求項5】
前記ハウジングは、
前記第一端と前記第二端とを結ぶ方向に延びて、内部に前記流路が形成されるハウジング第一部と、
前記ハウジング第一部の外周面から前記径方向の外側に突出し、内部に前記分岐流路が形成されるハウジング第二部と、を有し、
前記ハウジング第二部に形成され、前記注水弁機構で前記分岐流路を開いた場合に、前記分岐流路内と前記ハウジングの外部とを連通する連通口をさらに有する
請求項に記載の揚水還水ユニット。
【請求項6】
前記領域が、外径315mm以下である
請求項1に記載の揚水還水ユニット。
【請求項7】
請求項1に記載の揚水還水ユニットと、
前記ハウジングの外部に設けられ、前記注水弁機構に水を給排することで、前記注水弁機構を前記開閉方向に駆動させる圧力を供給するパイロット機構と、
を備えている
揚水還水制御システム。
【請求項8】
前記パイロット機構が、
前記第一フランジに接続される主配管から分岐して設けられ、前記主配管を流れる水の一部を導入することで、前記注水弁機構が閉じる方向に前記注水弁機構に圧力を加える加圧ラインと、
前記加圧ラインに設けられ、前記加圧ライン内の圧力が設定圧力以上となった場合に、前記加圧ライン内の水を前記加圧ラインの外部に排出することで、前記加圧ライン内の圧力を解放可能なパイロット弁と、
前記加圧ラインに設けられ、前記パイロット弁で前記加圧ライン内の圧力を解放する場合に、前記加圧ラインにおける前記水の流量変化を調整するレジスターと、を備えている
請求項に記載の揚水還水制御システム。
【請求項9】
前記パイロット機構が、
前記注水弁機構を開く場合に前記注水弁機構から水を排出することで、前記注水弁機構に加える圧力を減少させる減圧ラインと、
前記減圧ラインを開閉する電磁弁と、
前記減圧ラインにおいて、前記電磁弁よりも上流側に設けられ、前記減圧ライン内を流れる水の流量を絞るオリフィスと、を備えている
請求項7又は8に記載の揚水還水制御システム。
【請求項10】
請求項に記載の揚水還水制御システムと、
前記第一フランジに接続される主配管と、
前記主配管への揚水を可能とするポンプと、
前記第二フランジと前記ポンプとの間に設けられる逆止弁と、
前記井戸と、
前記主配管と熱交換する熱交換器と、
を備えている
地中熱利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、揚水還水ユニット、揚水還水制御システム、及び地中熱利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地下水を井戸からくみ上げて、温熱源又は冷熱源として利用する地中熱利用システムが提案されている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、井戸の内部に、井戸への注水を調整する調圧弁と、調圧弁と並列に設けられ、調圧弁と一体に形成された逆止弁と、を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7108665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、井戸の内部に、一体に形成された調圧弁と逆止弁とが並列に設けられているため、これら調圧弁及び逆止弁を備えたユニットが大型化しやすい。このため、地中熱利用システムの施工やメンテナンスに際し、井戸の内径によっては、調圧弁及び逆止弁を備えたユニットの、井戸の内部への挿抜が困難となることがある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、井戸の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット、揚水還水制御システム、及び地中熱利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る揚水還水ユニットは、井戸からの揚水及び井戸への還水が流れる流路と、分岐流路と、を有するハウジングと、前記ハウジングの第一端に設けられ、前記流路の一端側の開口を有する第一フランジと、前記ハウジングの第二端に設けられ、前記流路の他端側の開口を有する第二フランジと、前記分岐流路の開閉が可能な注水弁機構と、を備え、前記分岐流路が、前記ハウジング内で前記流路から分岐し、前記ハウジングの外部に連通しており、前記注水弁機構が、前記第一フランジの外周と前記第二フランジの外周とを繋いだ面を周面とする領域内に収まっている。
【0008】
本開示に係る揚水還水制御システムは、前記揚水還水ユニットと、前記ハウジングの外部に設けられ、前記注水弁機構に水を給排することで、前記注水弁機構を前記開閉方向に駆動させる圧力を供給するパイロット機構と、を備えている。
【0009】
本開示に係る地中熱利用システムは、前記揚水還水制御システムと、前記第一フランジに接続される主配管と、前記主配管への揚水を可能とするポンプと、前記第二フランジと前記ポンプとの間に設けられる逆止弁と、前記井戸と、前記主配管と熱交換する熱交換器と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の揚水還水ユニット、揚水還水制御システム、及び地中熱利用システムによれば、井戸の内部への挿抜を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの系統図である。
図2】本開示の実施形態に係る注水制御システムの系統図である。
図3】本開示の実施形態に係る揚水還水ユニットの断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る揚水還水ユニットの斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係る還水時における揚水還水ユニットの断面図である。
図6】本開示の実施形態に係る揚水時における揚水還水制御システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0013】
<実施形態>
本開示に係る地中熱利用システムの実施形態について、図1図6を参照して説明する。
【0014】
(地中熱利用システムの構成)
図1に示すように、地中熱利用システム9は、揚水還水制御システム1と、井戸2と、主配管3と、熱交換器4と、ポンプ5と、逆止弁6と、を備える。
例えば、地中熱利用システム9は、複数の揚水還水制御システム1と、複数の井戸2と、主配管3と、熱交換器4と、複数のポンプ5と、複数の逆止弁6と、を備えてもよい。
【0015】
(井戸の構成)
複数の井戸2は、地上OGから帯水層LY内に延びている。
例えば、複数の井戸2は、温水井戸21と、冷水井戸22と、を含んでもよい。
温水井戸21、冷水井戸22は、それぞれ、帯水層の地下水を取り込んだり、温水井戸21、冷水井戸22の内部から帯水層へ地下水を戻したりできるように構成される。
以下、温水井戸21からくみ上げた貯水を熱利用する場合について説明しているが、地中熱利用システム9は、温水井戸21からくみ上げた貯水を熱利用するだけではなく、冷水井戸22からくみ上げた貯水も熱利用できる。
【0016】
各井戸2は、地上OGから帯水層LYに至る地下に向かって掘削された掘削孔HOLに埋め込まれたケーシング2aを備える。
ケーシング2aには、例えば複数のスリット2bが形成される。
複数のスリット2bによって、井戸2は、帯水層LYの地下水をケーシング2aの内部に取り込んだり、ケーシング2aの内部から帯水層LYへ貯水を戻したりできるように構成される。
【0017】
(主配管の構成)
主配管3は、井戸2の内部に延びている。
例えば、主配管3は、温水井戸21と冷水井戸22とを接続するように、温水井戸21と冷水井戸22との各貯水に両端が浸漬されていてもよい。
例えば、ポンプ5によりくみ上げられた貯水が、温水井戸21から冷水井戸22に向かって流れることができるように、主配管3の一端は温水井戸21内に設けられ、主配管3の他端は冷水井戸22に設けてもよい。
【0018】
(熱交換器の構成)
熱交換器4は、主配管3を介して主配管3内の水と熱交換する。
例えば、熱交換器4と井戸2からくみ上げられて主配管3内を流れる水との間で熱交換が行われ、熱交換が行われた後の水は、主配管3内を流れ、井戸2に注水されてもよい。
例えば、熱交換器4は、地上OGにおいて、主配管3の途中に設けてもよい。
【0019】
(ポンプの構成)
ポンプ5は、井戸2から主配管3に揚水する。
例えば、ポンプ5は、主配管3の両端に設けられ、井戸2内の貯水に浸漬されていてもよい。
例えば、ポンプ5は、インバータ制御により出力を変更できてもよい。
【0020】
(逆止弁の構成)
逆止弁6は、主配管3に設けられる。
逆止弁6は、後述の揚水還水ユニット50とポンプ5との間に設けられる。
逆止弁6は、ポンプ5と揚水還水ユニット50との間における主配管3内の水の流通方向を一方通行としている。
逆止弁6は、ポンプ5から後述の揚水還水ユニット50に向かって水が流れ、揚水還水ユニット50からポンプ5に向かって水が流れないように構成される。
【0021】
(揚水還水制御システムの構成)
図2に示すように、揚水還水制御システム1は、揚水還水ユニット50と、パイロット機構100と、を備える。
揚水還水制御システム1は、各井戸2に設けられる。
【0022】
(揚水還水ユニットの構成)
揚水還水ユニット50は、各井戸2内に設けられる。
揚水還水ユニット50は、井戸2内で、主配管3の途中に設けてもよい。
揚水還水ユニット50は、ポンプ5、及び逆止弁6に対し、上方に配置されてもよい。
【0023】
図3図4に示すように、揚水還水ユニット50は、ハウジング51と、第一フランジ52と、第二フランジ53と、注水弁機構60と、を備える。
図3に示すように、ハウジング51は、流路55と、分岐流路56と、連通口57と、を有する。
ハウジング51は、ハウジング51の第一端51sと第二端51tとを結ぶ方向が、井戸2内で上下方向に沿うように設けてもよい。
ハウジング51は、ハウジング第一部51aと、ハウジング第二部51bとを一体に有してもよい。
【0024】
ハウジング第一部51aは、ハウジング51の第一端51sと第二端51tとを結ぶ方向に延びている。
流路55は、ハウジング第一部51aの内部に形成される。
流路55は、井戸2からの揚水及び井戸2への還水が流れる。
流路55は、ハウジング51の第一端51sと第二端51tとを貫通するように形成されてもよい。
ハウジング第一部51aは、第一端51sと第二端51tとの間の中間部51cが、第一端51s及び第二端51tに対し、上下方向に対して交差するハウジング51の径方向Drの一方側に張り出すように形成される。これに伴い、流路55は、第一端51s側の流路第一端部55sと、第二端51t側の流路第二端部55tに対し、流路第一端部55sと流路第二端部55tとの間の流路中間部55cが、径方向Drの一方側に偏った位置で上下方向に延びるように形成される。
【0025】
図3図4に示すように、第一フランジ52は、ハウジング51の第一端51sに設けられる。
第一フランジ52は、ハウジング第一部51aから、径方向Drの外側に張り出して形成される。
第一フランジ52は、その内側に、流路55の流路第一端部55s側の開口55dを有する。
第一フランジ52には、主配管3を構成する配管部材(図示無し)が、複数本のボルトにより上方から着脱可能に接続される。
【0026】
第二フランジ53は、ハウジング51の第二端51tに設けられる。
第二フランジ53は、ハウジング第一部51aから、径方向Drの外側に張り出して形成される。
第二フランジ53は、その内側に、流路55の流路第二端部55t側の開口55eを有する。
第二フランジ53には、主配管3を構成する配管部材(図示無し)が複数本のボルトにより下方から着脱可能に接続される。
【0027】
ハウジング第二部51bは、ハウジング第一部51aの外周面51fから、ハウジング51の径方向Drの外側に突出するよう設けてもよい。
ハウジング第二部51bは、ハウジング第一部51aの外周面51fから、ハウジング51の径方向Drの外側に延びてもよい。
ハウジング第二部51bは、ハウジング第一部51aの外周面51fから、ハウジング51の径方向Drの他方側に突出するよう設けてもよい。
ハウジング第二部51bは、ハウジング第一部51aの中間部51cから径方向Drの他方側に突出するよう設けてもよい。
【0028】
図3に示すように、ハウジング第二部51bは、第一筒状部51gと、第二筒状部51hと、を有してもよい。
第一筒状部51gは、ハウジング第一部51aの外周面51fから、径方向Drの他方側に突出するよう設けてもよい。
第一筒状部51gの先端部には、第一筒状部51gから拡径するフランジ51rを設けてもよい。
【0029】
第二筒状部51hは、第一筒状部51gの内側に間隔をあけて設けられる。
第二筒状部51h内には、分岐流路56が形成される。
第二筒状部51hの先端部は、第一筒状部51gの先端部より径方向Drの一方側に位置するよう形成される。
第一筒状部51gと第二筒状部51hとの間には、分岐流路56の延伸方向Cから見て、環状の空間Sが形成される。
【0030】
分岐流路56は、ハウジング51内で流路55から分岐して設けられる。
分岐流路56は、ハウジング51内で流路55の流路第一端部55sと流路第二端部55tとの流路中間部55cから分岐してもよい。
分岐流路56は、第一端51sと第二端51tとを結ぶ方向に交差するハウジング51の径方向Drに延びるように形成されてもよい。
分岐流路56は、第二筒状部51hの径方向Drの外側の先端部に、開口56dを有する。
分岐流路56は、ハウジング51の外部に連通可能に構成される。
分岐流路56は、連通口57を介して、ハウジング51の外部に連通してもよい。
【0031】
連通口57は、ハウジング第二部51bに形成される。
連通口57は、第一筒状部51gに設けてもよい。
連通口57は、第一筒状部51gの内面と外面とを貫通するように形成されてもよい。
連通口57は、第一筒状部51gの周方向に間隔をあけて複数設けてもよい。
連通口57は、後述の注水弁機構60で分岐流路56の開口56dを開いた場合に、分岐流路56内とハウジング51の外部とを連通する。
【0032】
(注水弁機構の構成)
注水弁機構60は、分岐流路56の開閉が可能に構成される。
注水弁機構60は、分岐流路56において、径方向Drの外側の流路端部に設けてもよい。
注水弁機構60は、分岐流路56の開口56dを開閉可能に構成される。
【0033】
注水弁機構60が、弁本体61と、ダイヤフラム62と、カバー63と、ガイド機構64と、を備える。
弁本体61は、分岐流路56を開閉可能に構成される。
弁本体61は、分岐流路56の開口56dを開閉可能に構成される。
弁本体61は、分岐流路56の延伸方向Cに沿って進退することで、開口56dを開閉可能に構成される。
弁本体61は、延伸方向Cに直交する面に沿って延びる円盤状に形成される。
弁本体61は、開口56dの内径よりも大きな外径を有している。
【0034】
弁本体61は、開口56dの内周縁に接触可能な座面61sを有している。
座面61sは、径方向で開口56dに近づくにつれて径寸法が漸次縮小するテーパ状に形成されてもよい。
弁本体61は、座面61sが開口56dの内周縁に接触した状態で、開口56dを閉塞可能である。
図5に示すように、弁本体61は、座面61sが開口56dの内周縁から径方向Drの外側に離間した状態で、開口56dを解放可能である。
弁本体61の座面61sが開口56dの内周縁から径方向Drの外側に離間した状態で、弁本体61と開口56dの内周縁との間には、隙間Hが形成される。
弁本体61の座面61sが開口56dの内周縁から径方向Drの外側に離間した状態で、隙間H、環状の空間S及び連通口57を通して、分岐流路56内とハウジング51の外部とが連通する。
【0035】
図3に示すように、弁本体61において、延伸方向Cに沿った方向で開口56dから離間する側(径方向Drの外側)には、補強プレート61pが設けられる。
補強プレート61pは、弁本体61と同径の板状である。
補強プレート61pは、金属製で、弁本体61に沿うことで弁本体61を補強する。
【0036】
ダイヤフラム62は、弁本体61に接続される。
ダイヤフラム62は、弁本体61から外周側に延びるように膜状に設けられる。
ダイヤフラム62の厚さは、弁本体61の厚さよりも小さい。
ダイヤフラム62は、ハウジング第二部51bの第一筒状部51gを塞ぐように設けられる。
ダイヤフラム62の外周部は、カバー63と第一筒状部51gのフランジ51rとの間に挟み込まれている。
【0037】
ダイヤフラム62は、弁本体61と一体に形成されてもよい。
ダイヤフラム62は、弁本体61の開閉方向に弾性変形可能である。
ダイヤフラム62は、弁本体61が開閉方向に進退した際、ハウジング第二部51bの延伸方向に弾性変形する。
ダイヤフラム62は、例えばゴム系材料を用いて形成されてもよい。
ダイヤフラム62と一体に形成された弁本体61は、ダイヤフラム62と同材料のゴム系材料を用いて形成されてもよい。
【0038】
ガイド機構64は、弁本体61に接続される。
ガイド機構64は、分岐流路56内で、弁本体61が分岐流路56の延伸方向に移動するよう、弁本体61を案内する。
ガイド機構64は、例えば、シャフト65と、案内翼66と、を備える。
【0039】
シャフト65は、分岐流路56の延伸方向に延びている。
シャフト65の基端部は弁本体61に接続される。
シャフト65の先端部は、ハウジング第一部51aに設けられた案内筒部51p内に挿入される。
シャフト65の先端部は、案内筒部51p内で、分岐流路56の延伸方向Cに移動自在に支持される。
【0040】
案内翼66は、弁本体61に接続される。
案内翼66は、シャフト65の中心軸回りの周方向に間隔をあけて複数設けられる。
案内翼66は、分岐流路56内に挿入される。
複数の案内翼66は、第二筒状部51hの内周面に摺接することで、弁本体61を案内する。
【0041】
カバー63は、ダイヤフラム62とともに、ハウジング第二部51bの第一筒状部51gを塞ぐように設けられる。
カバー63の外周部63aは、第一筒状部51gのフランジ51rに、複数本のボルト(図示無し)によって装着される。
カバー63の中央部63bは、外周部63aに対してダイヤフラム62から径方向Drの外側に張り出している。
【0042】
カバー63とダイヤフラム62との間に、ダイヤフラム室67が形成される。
図3図4に示すように、ダイヤフラム室67は、注水口68と、排水口69と、を有している。
注水口68は、後述のパイロット機構100からダイヤフラム室67内に注水可能に構成される。
排水口69は、ダイヤフラム室67内からパイロット機構100へ排水可能に構成される。
【0043】
ダイヤフラム室67は、ハウジング51の外部のパイロット機構100からダイヤフラム62を開閉方向に駆動させる圧力が供給可能に構成される。
ダイヤフラム室67は、注水口68を通してダイヤフラム室67内に注水することで、ダイヤフラム62及び弁本体61を、閉じる方向に駆動させる圧力を発揮する。
ダイヤフラム室67は、排水口69を通してダイヤフラム室67内の水を外部に排出することで、ダイヤフラム62及び弁本体61を、閉じる方向に駆動させる圧力を低減させる。
【0044】
図3に示すように、このような注水弁機構60の全体が、第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域A内に収まっている。
領域A、つまり第一フランジ52,第二フランジ53は、例えば外径315mm以下であるようにしてもよい。
領域A、つまり第一フランジ52,第二フランジ53は、例えば外径250mm以下であってもよい。
【0045】
(パイロット機構の構成)
図2に示すように、パイロット機構100は、各井戸2の外部に設けられる。
パイロット機構100は、各井戸2の外部において、地上OGに設けてもよい。
パイロット機構100の少なくとも一部は、井戸2の内部に設けてもよい。
【0046】
パイロット機構100は、注水弁機構60に水を給排することで、注水弁機構60を開閉方向に駆動させる圧力を供給する。
パイロット機構100は、加圧ライン110と、ストレーナ111と、パイロット弁112と、レジスター113と、を有してもよい。
【0047】
加圧ライン110は、第一フランジ52に接続される主配管3から分岐して設けられる。
加圧ライン110の一端は、揚水還水ユニット50の上側で、主配管3に接続される。
加圧ライン110の他端は、注水口68に接続される。
加圧ライン110は、主配管3を流れる水の一部を導入することで、注水弁機構60が閉じる方向に注水弁機構60に圧力を加える。
加圧ライン110は、注水口68からダイヤフラム室67内に注水することで、注水弁機構60が閉じる方向に注水弁機構60に圧力を加える。
【0048】
ストレーナ111は、加圧ライン110に設けられる。
ストレーナ111は、主配管3から加圧ライン110に流入する水に含まれる異物等を回収する。
【0049】
パイロット弁112は、加圧ライン110に設けられる。
パイロット弁112は、加圧ライン110に接続されたドレンライン114を有している。
パイロット弁112は、ドレンライン114を開閉可能に構成される。
パイロット弁112は、加圧ライン110内の圧力が設定圧力以上となった場合に、加圧ライン110内の圧力を解放可能に構成される。
パイロット弁112は、加圧ライン110内の水の一部を加圧ライン110の外部に排出することで、加圧ライン110内の圧力を解放可能に構成される。
【0050】
パイロット弁112は、加圧ライン110内の圧力を検知する圧力検知部112sを有してもよい。
パイロット弁112は、圧力検知部112sで検知した圧力が設定圧力以上となった場合に、加圧ライン110内の圧力を解放可能に構成される。
パイロット弁112は、バネ(図示無し)によって、ドレンライン114を閉塞する方向に付勢されていてもよい。
パイロット弁112のバネは、弾性係数が異なる複数種が用意されてもよい。
パイロット弁112のバネは、複数種の中から、設定圧力に応じて、適宜選択してもよい。
【0051】
レジスター113は、加圧ライン110に設けられる。
レジスター113は、加圧ライン110において、圧力検知部112sとパイロット弁112との間に設けてもよい。
レジスター113は、パイロット弁112で加圧ライン110内の圧力を解放する場合に、加圧ライン110における水の流量変化を調整可能に構成される。
レジスター113は、パイロット弁112で加圧ライン110内の圧力を解放する場合に、加圧ライン110における水の急激な流量変化を抑えるように構成される。
【0052】
パイロット機構100は、減圧ライン120と、電磁弁121と、オリフィス122と、を有してもよい。
【0053】
減圧ライン120は、注水弁機構60を開く場合に注水弁機構60から水を排出可能に構成される。
減圧ライン120の一端は、注水弁機構60の排水口69に接続される。
減圧ライン120は、排水口69から排水された水を、揚水還水ユニット50の外部に排出する。
減圧ライン120は、注水弁機構60を開く場合に注水弁機構60から水を排出可能に構成される。
減圧ライン120は、注水弁機構60を開く場合にダイヤフラム室67から水を排出可能に構成してもよい。
減圧ライン120は、ダイヤフラム室67から水を排出することで、注水弁機構60に加えている圧力を減少させる。
【0054】
電磁弁121は、減圧ライン120に設けられる。
電磁弁121は、減圧ライン120を開閉可能に構成される。
電磁弁121は、制御装置(図示無し)等によって駆動されるようにしてもよい。
電磁弁121は、減圧ライン120を開いた状態で、減圧ライン120を通して注水弁機構60から水を排出可能に構成される。
【0055】
オリフィス122は、減圧ライン120において、電磁弁121よりも上流側に設けられる。
オリフィス122は、減圧ライン120内を流れる水の流量を絞る部材である。
オリフィス122の流路内径は、減圧ライン120の内径よりも小径とされていてもよい。
【0056】
(揚水還水制御システムの作用:揚水時)
上記したような揚水還水制御システム1において、井戸2から揚水する場合、図6に示すように、制御装置(図示無し)等により、電磁弁121を閉とする。
井戸2から揚水する場合、制御装置等でポンプ5を作動させる。
井戸2から揚水する場合、ポンプ5を作動させると、ポンプ5は、井戸2内の水を吸い上げる。
ポンプ5で吸い上げた水は、主配管3を通して揚水還水ユニット50に送り込まれる。
ポンプ5で吸い上げた水は、逆止弁6を通ることで、揚水還水ユニット50に向けた方向にのみ流通する。
ポンプ5で吸い上げ、逆止弁6を通リ抜けた水は、揚水還水ユニット50からポンプ5側に戻る方向への流通が逆止弁6により阻止される。
【0057】
揚水還水ユニット50に送り込まれた水は、流路55内を通り、揚水還水ユニット50の上側の主配管3に流入し、井戸2から揚水される。
流路55を通り抜け、揚水還水ユニット50の上側の主配管3に流入した水の一部は、加圧ライン110に流入する。
加圧ライン110に流入した水は、ストレーナ111、レジスター113を経て、注水口68からダイヤフラム室67内に送り込まれる。
ダイヤフラム室67内に送り込まれた水の圧力により、ダイヤフラム62及び弁本体61が押圧され、弁本体61が開口56dを閉塞する。
【0058】
このようにして、揚水還水ユニット50においては、流路55を通して揚水する。
ここで、加圧ライン110に流入した水の圧力が設定圧力以上となった場合、パイロット弁112が開き、ドレンライン114から、加圧ライン110内の水の一部が排水される。これにより、加圧ライン110内の圧力が低下し、ダイヤフラム室67内の圧力が過度に高まることが抑えられる。
【0059】
(揚水還水制御システムの作用:還水時)
上記したような揚水還水制御システム1において、通常的に井戸2に還水する場合、制御装置(図示無し)等により、電磁弁121を閉のままとする。
他の井戸2から揚水された水が、揚水還水ユニット50の上側の主配管3に流れ込むと、主配管3から流路55内に水が流入する。
流路55内に流入した水は、逆止弁6により、流路55からポンプ5側への流通が阻止される。
流路55内に流入した水は、分岐流路56に流れ込み、弁本体61を開方向に押圧する。
【0060】
他の井戸2から主配管3に流入した水の一部は、加圧ライン110に流入する。
加圧ライン110に流入した水は、ストレーナ111、レジスター113を経て、注水口68からダイヤフラム室67内に送り込まれる。
その際、加圧ライン110に流入した水の圧力が設定圧力以上となった場合、パイロット弁112が開き、ドレンライン114から、加圧ライン110内の水の一部が排水される。これにより、加圧ライン110内の圧力が低下し、ダイヤフラム室67内の圧力が低下する。
このため、分岐流路56内に流れこんだ水の圧力が、ダイヤフラム室67内の圧力を上回ると、ダイヤフラム室67内の水が減圧ライン120を通して外部に押し出され、弁本体61が開く。
弁本体61が開くと、分岐流路56内の水が、隙間H、環状の空間S、連通口57を通して外部に流出する。これにより、井戸2への還水を行うことができる。
【0061】
ただし、強制的に井戸2に還水する場合、図2に示すように、制御装置(図示無し)等により、電磁弁121を開とする。
電磁弁121が開くと、ダイヤフラム室67内の水が、排水口69から減圧ライン120を通して排出可能な状態となる。
分岐流路56内に流れこんだ水の圧力が、ダイヤフラム室67内の圧力を上回ると、ダイヤフラム室67内の水が減圧ライン120を通して外部に押し出され、弁本体61が開く。
弁本体61が開くと、分岐流路56内の水が、隙間H、環状の空間S、連通口57を通して外部に流出する。これにより、井戸2への還水を行うことができる。
【0062】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、揚水還水ユニット50は、注水弁機構60が、第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域A内に収まっている。
このため、注水弁機構60が第一フランジ52、第二フランジ53よりも外側に張り出すことが抑えられる。
これにより、揚水還水ユニット50の設置やメンテナンスを行うために井戸2の内部に挿抜する際、注水弁機構60が井戸2の内面に干渉することが抑えられる。
したがって、井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット50を提供することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の一例によれば、パイロット機構100からダイヤフラム室67に圧力を供給することで、弁本体61に接続されるダイヤフラム62が弾性変形し、弁本体61が開閉方向に駆動される。
これにより、弁本体61により分岐流路56を開閉できる。弁本体61で分岐流路56を開いた場合、流路55内を流れる水は、分岐流路56からハウジング51の外部に排出され、井戸2への還水時に井戸2内に水を注水できる。
【0064】
また、本実施形態の一例によれば、パイロット機構100から注水口68を通してダイヤフラム室67内に注水することで、ダイヤフラム室67内を加圧し、弁本体61を閉方向に駆動することができる。
また、排水口69を通してダイヤフラム室67内からパイロット機構100に排水することで、ダイヤフラム室67内を減圧し、弁本体61を開方向に作動させることができる。
【0065】
また、本実施形態の一例によれば、ガイド機構64により弁本体61を案内することで、弁本体61を、分岐流路56の延伸方向Cに安定して移動させることができる。
【0066】
また、本実施形態の一例によれば、分岐流路56を、流路55からハウジング51の径方向Drに延びるように形成し、注水弁機構60を分岐流路56の流路端部に設けることで、注水弁機構60を、第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域A内に収めるようにレイアウトしやすい。
また、分岐流路56を、流路55からハウジング51の径方向Drに延びるように形成することで、注水弁機構60の弁本体61,及びダイヤフラム62を大径化したとしても、注水弁機構60を領域A内に収めつつ、注水弁機構60を容易にレイアウトできる。
【0067】
また、本実施形態の一例によれば、ハウジング第一部51aの外周面51fから径方向Drの外側に突出するハウジング第二部51bに、連通口57を形成することで、連通口57の開口面積を大きく確保しやすい。したがって、流路55から分岐流路56に流入する水を、連通口57を通して井戸2内に効率良く注水できる。
【0068】
また、本実施形態の一例によれば、第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域Aを、外径315mm以下とすることで、内径が小さい井戸2においても、揚水還水ユニット50の井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる。これにより、井戸2を小径化することも可能となる。
【0069】
また、本実施形態の揚水還水制御システム1によれば、井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット50を備えた揚水還水制御システム1を提供することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態の一例によれば、揚水還水制御システム1は、加圧ライン110にパイロット弁112とレジスター113とを備える。
これにより、加圧ライン110内の圧力が、設定圧力以上となった場合に、パイロット弁112で、加圧ライン110内の圧力を解放することで、注水弁機構60に加える圧力を適切に調整することができる。
さらに、パイロット弁112で加圧ライン110内の圧力を解放する場合に、レジスター113で、加圧ライン110における水の流量変化が調整される。
これにより、パイロット機構100から注水弁機構60に加える圧力が急激に変動することを抑えることができる。
したがって、注水弁機構60を滑らかに開閉させ、ウォーターハンマー現象が生じるのを抑えることができる。
【0071】
また、本実施形態の一例によれば、減圧ライン120に、電磁弁121とオリフィス122とが設けられる。
これにより、電磁弁121で減圧ライン120を開くことで、減圧ライン120で注水弁機構60に加える圧力を減少させ、注水弁機構60を開くことができる。
この場合、電磁弁121よりも上流側に、減圧ライン120内を流れる水の流量を絞るオリフィス122を設けることで、電磁弁121が開閉する際の、減圧ライン120内の水量を適切に調整し、注水弁機構60の動作を安定させることができる。
【0072】
本実施形態の地中熱利用システム9は、上記揚水還水制御システム1を備える。
これにより、井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット50を用いて構成された地中熱利用システム9を提供できる。
【0073】
(変形例)
上記実施形態の一例では、分岐流路56は、流路55の流路中間部55cから分岐しているが、どのように構成されてもよい。
変形例として、分岐流路56は、流路55の流路第一端部55sから分岐してもよい。
他の変形例として、分岐流路56は、流路55の流路第二端部55tから分岐してもよい。
【0074】
上記実施形態の一例では、ハウジング第二部51bは、ハウジング第一部51aの中間部51cから径方向Drの他方側に突出するよう設けているが、どのように構成されてもよい。
変形例として、ハウジング第二部51bは、ハウジング第一部51aの中間部51cに対し、上下方向のいずれか一方側にずれた位置から、径方向Drの他方側に突出するよう設けてもよい。
【0075】
上記実施形態の一例では、ダイヤフラム62は、弁本体61と一体に形成されているが、どのように構成されてもよい。
変形例として、ダイヤフラム62は、弁本体61と別体であってもよい。
【0076】
上記実施形態の一例では、ストレーナ111は、加圧ライン110に設けられているが、どのように構成されてもよい。
変形例として、ストレーナ111は、加圧ライン110において省略されてもよい。
【0077】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、本開示の範囲とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0078】
<付記>
各実施形態に記載の揚水還水ユニット50、揚水還水制御システム1、及び地中熱利用システム9は、例えば以下のように把握される。
【0079】
(1)第1の態様に係る揚水還水ユニット50は、井戸2からの揚水及び井戸2への還水が流れる流路55と、分岐流路56と、を有するハウジング51と、前記ハウジング51の第一端51sに設けられ、前記流路55の一端側の開口55dを有する第一フランジ52と、前記ハウジング51の第二端51tに設けられ、前記流路55の他端側の開口55eを有する第二フランジ53と、前記分岐流路56の開閉が可能な注水弁機構60と、を備え、前記分岐流路56が、前記ハウジング51内で前記流路55から分岐し、前記ハウジング51の外部に連通しており、前記注水弁機構60が、前記第一フランジ52の外周52sと前記第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域A内に収まっている。
【0080】
この揚水還水ユニット50は、注水弁機構60が、第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域A内に収まっているので、注水弁機構60が第一フランジ52、第二フランジ53よりも外側に張り出すことが抑えられる。これにより、揚水還水ユニット50を、井戸2の内部に挿抜する際、注水弁機構60が井戸2の内面に干渉することが抑えられる。したがって、井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット50を提供することが可能となる。
【0081】
(2)第2の態様に係る揚水還水ユニット50は、(1)の揚水還水ユニット50であって、前記注水弁機構60が、前記分岐流路56を開閉可能な弁本体61と、前記弁本体61の開閉方向に弾性変形可能であり、前記弁本体61に接続されるダイヤフラム62と、前記ハウジング51の外部のパイロット機構100から前記ダイヤフラム62を前記開閉方向に駆動させる圧力が供給されるダイヤフラム室67と、を備えている。
【0082】
本態様によればパイロット機構100からダイヤフラム室67に圧力を供給することで、弁本体61に接続されるダイヤフラム62が弾性変形し、弁本体61が開閉方向に駆動される。これにより、弁本体61により分岐流路56を開閉できる。弁本体61で分岐流路56を開いた場合、流路55内を流れる水は、分岐流路56からハウジング51の外部に排出され、井戸2への還水時に井戸2内に水を注水できる。
【0083】
(3)第3の態様に係る揚水還水ユニット50は、(2)の揚水還水ユニット50であって、前記ダイヤフラム室67が、前記パイロット機構100から前記ダイヤフラム室67内に注水可能な注水口68と、前記ダイヤフラム室67内から前記パイロット機構100へ排水可能な排水口69と、を有している。
【0084】
本態様によればパイロット機構100から注水口68を通してダイヤフラム室67内に注水することで、ダイヤフラム室67内を加圧し、弁本体61を閉方向に駆動することができる。また、排出口を通してダイヤフラム室67内からパイロット機構100に排水することで、ダイヤフラム室67内を減圧し、弁本体61を開方向に作動させることができる。
【0085】
(4)第4の態様に係る揚水還水ユニット50は、(2)又は(3)の揚水還水ユニット50であって、前記弁本体61に接続され、前記弁本体61が前記分岐流路56の延伸方向Cに移動するよう、前記弁本体61を案内するガイド機構64をさらに備えている。
【0086】
本態様によればガイド機構64により弁本体61を案内することで、弁本体61を、分岐流路56の延伸方向Cに安定して移動させることができる。
【0087】
(5)第5の態様に係る揚水還水ユニット50は、(1)から(4)の何れか一つの揚水還水ユニット50であって、前記分岐流路56は、前記流路55から、前記ハウジング51の前記第一端51sと前記第二端51tとを結ぶ方向に交差する前記ハウジング51の径方向Drに延びるように形成され、前記注水弁機構60は、前記分岐流路56において、前記径方向Drの外側の流路端部に設けられる。
【0088】
本態様によれば分岐流路56を、流路55からハウジング51の径方向Drに延びるように形成し、注水弁機構60を分岐流路56の流路端部に設けることで、注水弁機構60を、第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域A内に収めるようにレイアウトしやすい。
【0089】
(6)第6の態様に係る揚水還水ユニット50は、(5)の揚水還水ユニット50であって、前記ハウジング51は、前記第一端51sと前記第二端51tとを結ぶ方向に延びて、内部に前記流路55が形成されるハウジング第一部51aと、前記ハウジング第一部51aの外周面51fから前記径方向Drの外側に突出し、内部に前記分岐流路56が形成されるハウジング第二部51bと、を有し、前記ハウジング第二部51bに形成され、前記注水弁機構60で前記分岐流路56を開いた場合に、前記分岐流路56内と前記ハウジング51の外部とを連通する連通口57をさらに有する。
【0090】
本態様によればハウジング第一部51aの外周面51fから径方向Drの外側に突出するハウジング第二部51bに、連通口57を形成することで、連通口57の開口面積を大きく確保しやすい。したがって、流路55から分岐流路56に流入する水を、連通口57を通して井戸2内に効率良く注水できる。
【0091】
(7)第7の態様に係る揚水還水ユニット50は、(1)から(6)の何れか一つの揚水還水ユニット50であって、前記領域Aが、外径315mm以下である。
【0092】
本態様によれば第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域Aを、外径315mm以下とすることで、内径が小さい井戸2においても、揚水還水ユニット50の井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる。これにより、井戸2を小径化することも可能となる。
【0093】
(8)第8の態様に係る揚水還水制御システム1は、(1)から(7)の何れか一つの揚水還水ユニット50と、前記ハウジング51の外部に設けられ、前記注水弁機構60に水を給排することで、前記注水弁機構60を前記開閉方向に駆動させる圧力を供給するパイロット機構100と、を備えている。
【0094】
本態様によればパイロット機構100によって開閉方向に駆動される注水弁機構60が、第一フランジ52の外周52sと第二フランジ53の外周53sとを繋いだ面を周面とする領域A内に収まっているので、注水弁機構60が第一フランジ52、第二フランジ53よりも外側に張り出すことが抑えられる。これにより、揚水還水ユニット50を、井戸2の内部に挿抜する際、注水弁機構60が井戸2の内面に干渉することが抑えられる。したがって、井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット50を備えた揚水還水制御システム1を提供することが可能となる。
【0095】
(9)第9の態様に係る揚水還水制御システム1は、(8)の揚水還水制御システム1であって、前記パイロット機構100が、前記第一フランジ52に接続される主配管3から分岐して設けられ、前記主配管3を流れる水の一部を導入することで、前記注水弁機構60が閉じる方向に前記注水弁機構60に圧力を加える加圧ライン110と、前記加圧ライン110に設けられ、前記加圧ライン110内の圧力が設定圧力以上となった場合に、前記加圧ライン110内の水を前記加圧ライン110の外部に排出することで、前記加圧ライン110内の圧力を解放可能なパイロット弁112と、前記加圧ライン110に設けられ、前記パイロット弁112で前記加圧ライン110内の圧力を解放する場合に、前記加圧ライン110における前記水の流量変化を調整するレジスター113と、を備えている。
【0096】
本態様によれば加圧ライン110内の圧力が、設定圧力以上となった場合に、パイロット弁112で、加圧ライン110内の圧力を解放することで、注水弁機構60に加える圧力を適切に調整することができる。さらに、パイロット弁112で加圧ライン110内の圧力を解放する場合に、レジスター113で、加圧ライン110における水の流量変化を調整することで、パイロット機構100から注水弁機構60に加える圧力が急激に変動することを抑えることができる。これにより、注水弁機構60を滑らかに開閉させ、ウォーターハンマー現象が生じるのを抑えることができる。
【0097】
(10)第10の態様に係る揚水還水制御システム1は、(8)又は(9)の揚水還水制御システム1であって、前記パイロット機構100が、前記注水弁機構60を開く場合に前記注水弁機構60から水を排出することで、前記注水弁機構60に加える圧力を減少させる減圧ライン120と、前記減圧ライン120を開閉する電磁弁121と、前記減圧ライン120において、前記電磁弁121よりも上流側に設けられ、前記減圧ライン120内を流れる水の流量を絞るオリフィス122と、を備えている。
【0098】
本態様によれば電磁弁121で減圧ライン120を開くことで、減圧ライン120で注水弁機構60に加える圧力を減少させ、注水弁機構60を開くことができる。この場合、電磁弁121よりも上流側に、減圧ライン120内を流れる水の流量を絞るオリフィス122を設けることで、電磁弁121が開閉する際の、減圧ライン120内の水量を適切に調整し、注水弁機構60の動作を安定させることができる。
【0099】
(11)第11の態様に係る地中熱利用システム9は、(8)から(10)の何れか一つの揚水還水制御システム1と、前記第一フランジ52に接続される主配管3と、前記主配管3への揚水を可能とするポンプ5と、前記第二フランジ53と前記ポンプ5との間に設けられる逆止弁6と、前記井戸2と、前記主配管3と熱交換する熱交換器4と、を備えている。
【0100】
この地中熱利用システム9によれば、井戸2の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット50を用いて構成された地中熱利用システム9を提供できる。
【符号の説明】
【0101】
1…揚水還水制御システム
2…井戸
21…温水井戸
22…冷水井戸
2a…ケーシング
2b…スリット
3…主配管
4…熱交換器
5…ポンプ
6…逆止弁
9…地中熱利用システム
50…揚水還水ユニット
51…ハウジング
51a…ハウジング第一部
51b…ハウジング第二部
51c…中間部
51f…外周面
51g…第一筒状部
51h…第二筒状部
51p…案内筒部
51r…フランジ
51s…第一端
51t…第二端
52…第一フランジ
52s…外周
53…第二フランジ
53s…外周
55…流路
55c…流路中間部
55d…開口
55e…開口
55s…流路第一端部
55t…流路第二端部
56…分岐流路
56d…開口
57…連通口
60…注水弁機構
61…弁本体
61p…補強プレート
61s…座面
62…ダイヤフラム
63…カバー
63a…外周部
63b…中央部
64…ガイド機構
65…シャフト
66…案内翼
67…ダイヤフラム室
68…注水口
69…排水口
100…パイロット機構
110…加圧ライン
111…ストレーナ
112…パイロット弁
112s…圧力検知部
113…レジスター
114…ドレンライン
120…減圧ライン
121…電磁弁
122…オリフィス
A…領域
C…延伸方向
Dr…径方向
H…隙間
HOL…掘削孔
LY…帯水層
OG…地上
S…空間
【要約】
【課題】井戸の内部への挿抜を容易に行うことができる揚水還水ユニット、揚水還水制御システム、及び地中熱利用システムを提供する。
【解決手段】揚水還水ユニットは、井戸からの揚水及び井戸への還水が流れる流路と分岐流路とを有するハウジングと、ハウジングの第一端に設けられ、流路の一端側の開口を有する第一フランジと、ハウジングの第二端に設けられ、流路の他端側の開口を有する第二フランジと、ハウジング内で流路から分岐し、ハウジングの外部に連通する分岐流路と、分岐流路の開閉が可能な注水弁機構と、を備え、分岐流路が、ハウジング内で流路から分岐し、ハウジングの外部に連通しており、注水弁機構が、第一フランジの外周と第二フランジの外周とを繋いだ面を周面とする領域内に収まっている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6