(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】磁気ギャップ長推定装置、磁気ギャップ長推定方法および回転電機の駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 6/08 20160101AFI20240705BHJP
【FI】
H02P6/08
(21)【出願番号】P 2023508244
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012144
(87)【国際公開番号】W WO2022201344
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 広大
(72)【発明者】
【氏名】赤津 観
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-223875(JP,A)
【文献】特開2008-514166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mを自然数、Nを2以上の自然数とし、各相の電気角位相差が360/N度の結線で構
成され、インバータで駆動されるM群N相の回転電機における磁気ギャップ長を推定する
磁気ギャップ長推定装置であって、
無負荷時に前記結線に誘起される線間無負荷誘起電圧を取得する電圧取得部と、前記磁
気ギャップ長を推定する磁気ギャップ推定部とを備えており、
前記磁気ギャップ推定部は、
前記電圧取得部で取得された前記線間無負荷誘起電圧を周波数毎の振幅と位相とに変換す
るスペクトル解析部と、
前記スペクトル解析部で変換された周波数毎の振幅および位相から前記線間無負荷誘起電
圧の基本波成分とN次高調波成分の振幅および位相を抽出する周波数解析部と、
前記周波数解析部で抽出された前記線間無負荷誘起電圧の基本波成分とN次高調波成分と
の振幅および位相から前記磁気ギャップ長を推定する推定演算部とを備えたことを特徴と
する磁気ギャップ長推定装置。
【請求項2】
前記回転電機は、各群が360/M度の機械角位相差で配置されたコイルで構成されて
いることを特徴とする請求項1に記載の磁気ギャップ長推定装置。
【請求項3】
Kを自然数とし、前記回転電機がM群N相で各相がK個の前記コイルで構成されており
、m群n相k番目の前記コイルをC(m、n、k)と表記した場合、1≦m≦M、1≦n
≦N、1≦k≦Kであり、前記コイルの空間配置が反時計回りに、C(1、1、1)、C
(1、1、2)・・・C(1、1、K)、C(1、2、1)・・・C(1、2、K)・・
・C(1、N、K)、C(2、1、1)・・・C(M、N、K)の順であることを特徴と
する請求項2に記載の磁気ギャップ長推定装置。
【請求項4】
前記回転電機の各群の前記コイルは、各相がそれぞれ直列接続されたY型結線で構成さ
れていることを特徴とする請求項2または3に記載の磁気ギャップ長推定装置。
【請求項5】
前記回転電機は、Y型結線された各群の中性点同士が電気的に接続されていることを特
徴とする請求項4に記載の磁気ギャップ長推定装置。
【請求項6】
前記推定演算部は、推定結果を外部に出力する外部出力端子を有することを特徴とする
請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気ギャップ長推定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気ギャップ長推定装置と、
前記磁気ギャップ長推定装置で推定された前記磁気ギャップ長に基づいて前記インバー
タの制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部とを備えたことを特徴とする回転電
機の
駆動装置。
【請求項8】
Mを自然数、Nを2以上の自然数とし、各相の電気角位相差が360/N度の結線で構
成され、インバータで駆動されるM群N相の回転電機の駆動装置であって、
無負荷時に前記結線に誘起される線間無負荷誘起電圧を取得する電圧取得部と、前記回
転電機における磁気ギャップ長を推定する磁気ギャップ推定部とを備えており、
前記磁気ギャップ推定部は、
前記電圧取得部で取得された前記線間無負荷誘起電圧を周波数毎の振幅と位相とに変換す
るスペクトル解析部と、
前記スペクトル解析部で変換された周波数毎の振幅および位相から前記線間無負荷誘起
電圧の基本波成分とN次高調波成分の振幅および位相を抽出する周波数解析部と、
前記周波数解析部で抽出された前記線間無負荷誘起電圧の基本波成分とN次高調波成分
との振幅および位相から前記磁気ギャップ長を推定する推定演算部とを備え、
前記磁気ギャップ推定部で推定された前記磁気ギャップ長に基づいて前記インバータの
制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部とを備えたことを特徴とする回転電機の
駆動装置。
【請求項9】
前記制御パラメータ演算部は、演算結果を外部に出力する外部出力端子を有することを
特徴とする請求項7
または8に記載の回転電機の
駆動装置。
【請求項10】
Mを自然数、Nを2以上の自然数とし、各相の電気角位相差が360/N度の結線で構
成され、インバータで駆動されるM群N相の回転電機における磁気ギャップ長を推定する
磁気ギャップ長推定方法であって、
無負荷時に前記結線に誘起される線間無負荷誘起電圧を取得する電圧取得ステップと、
前記磁気ギャップ長を推定する磁気ギャップ推定ステップとを備えており、
前記磁気ギャップ推定ステップは、
前記電圧取得ステップで取得された前記線間無負荷誘起電圧を周波数毎の振幅と位相とに
変換するスペクトル解析ステップと、
前記スペクトル解析ステップで変換された周波数毎の振幅および位相から前記線間無負荷
誘起電圧の基本波成分とN次高調波成分の振幅および位相を抽出する周波数解析ステップ
と、
前記周波数解析ステップで抽出された前記線間無負荷誘起電圧の基本波成分とN次高調波
成分との振幅および位相から前記磁気ギャップ長を推定する推定演算ステップとを備えた
ことを特徴とする磁気ギャップ長推定方法。
【請求項11】
前記推定演算ステップは、前記線間無負荷誘起電圧のN次高調波成分の振幅から前記磁
気ギャップ長の変位量の絶対値を推定する第1ステップと、
前記線間無負荷誘起電圧のN次高調波成分と相電圧のN次高調波成分との位相差が90
°以上270°未満であれば前記磁気ギャップ長の変位量の符号が負であると判定し、前
記位相差が0°以上90°未満または270°以上360°未満であれば前記磁気ギャッ
プ長の変位量の符号が正であると判定する第2ステップとを有することを特徴とする請求
項
10に記載の磁気ギャップ長推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、磁気ギャップ長推定装置、磁気ギャップ長推定方法および回転電機の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機をはじめとした回転電機においては、回転子の中心軸と固定子の中心軸とがずれる静的偏心、回転子の形状中心と回転中心とがずれる動的偏心が存在する。このような偏心によって、回転子と固定子との間の磁気ギャップに磁気的なアンバランスが生じる。この磁気的なアンバランスは、低周波の振動および騒音などの原因となる。磁気ギャップの磁気的なアンバランスの原因となる偏心は、回転電機の製造工程において、回転子の組立工程、固定子への回転子の挿入工程、挿入後に回転軸をブラケットで封じる工程などで発生する。また、このような偏心は、回転電機の駆動中において、回転子の軸受部に生じる不具合などでも発生する。そのため、回転電機における偏心の発生を完全になくすことは困難である。そこで、製造工程において偏心を検出して補正する技術、駆動中に回転電機の電流、電圧を分析して偏心を検出する技術が必要となる。
【0003】
回転電機の偏心を検出する方法として、磁気軸受システムを適用した電動機において、並列結線に流れる循環電流を検出することで偏心量を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、別の方法として、ベアリングレスモータにおいて、位置制御巻線を用いて三相誘起電圧を検出することで偏心量を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、別の方法として、駆動中の誘導機に電力を供給するインバータの相電圧および相電流を検出することで偏心量を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6193377号公報
【文献】特許第3044539号公報
【文献】特許第3561882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の並列結線に流れる循環電流を検出することで偏心量を推定する方法では、循環電流を検出する電流センサが必須となる。そのため、この方法を製造工程中の偏心検査に用いる場合には、検査装置の大型化につながるという問題がある。また、この方法は、近年の小型化を志向した電流センサレスの回転電機の駆動システムの流れに逆行する。また、三相誘起電圧を検出することで偏心量を推定する方法では、電圧検知のために電流負荷が必要となる。そのため、この方法を製造工程中の偏心検査に用いる場合にも、検査装置の大型化につながるという問題がある。さらに、インバータの相電圧および相電流を検出することで偏心量を推定する方法では、相電圧測定のために結線の中性点の電圧測定が必要となる。そのため、この方法を製造工程中の偏心検査に用いることは極めて困難であるという問題がある。また、この方法を回転電機の駆動システムに適用する場合、システムの大型化につながるという問題がある。
【0006】
本願は上述のような課題を解決するためになされたもので、電流センサおよび電流負荷が不要でかつ結線の中性点の電圧測定が不要な磁気ギャップ長推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の磁気ギャップ長推定装置は、Mを自然数、Nを2以上の自然数とし、各相の電気角位相差が360/N度の結線で構成され、インバータで駆動されるM群N相の回転電機における磁気ギャップ長を推定する磁気ギャップ長推定装置である。この磁気ギャップ長推定装置は、無負荷時に結線に誘起される線間無負荷誘起電圧を取得する電圧取得部と、回転電機の磁気ギャップ長を推定する磁気ギャップ推定部とを備えており、磁気ギャップ推定部は、電圧取得部で取得された線間無負荷誘起電圧を周波数毎の振幅と位相とに変換するスペクトル解析部と、スペクトル解析部で変換された周波数毎の振幅および位相から線間無負荷誘起電圧の基本波成分とN次高調波成分の振幅および位相を抽出する周波数解析部と、周波数解析部で抽出された線間無負荷誘起電圧の基本波成分とN次高調波成分との振幅および位相から回転電機の磁気ギャップ長を推定する推定演算部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本願の磁気ギャップ長推定装置においては、磁気ギャップ推定部が電圧取得部で取得された線間無負荷誘起電圧を周波数毎の振幅と位相とに変換するスペクトル解析部と、線間無負荷誘起電圧の基本波成分とN次高調波成分の振幅および位相を抽出する周波数解析部と、回転電機の磁気ギャップ長を推定する推定演算部とを備えているので、電流センサおよび電流負荷が不要でかつ結線の中性点の電圧測定が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る磁気ギャップ推定部の構成図である。
【
図3】実施の形態1に係る回転電機の構成図である。
【
図4】実施の形態1に係る回転電機における結線図である。
【
図5】実施の形態1に係る回転電機の模式図である。
【
図6】実施の形態1における磁気ギャップ長の推定方法のフローチャートである。
【
図7】実施の形態1の回転電機における相電圧の基本波成分を示した説明図である。
【
図8】実施の形態1の回転電機における相電圧の3次高調波成分を示した説明図である。
【
図9】実施の形態1における磁気ギャップ長の推定方法の説明図である。
【
図10】実施の形態1における磁気ギャップ長の推定方法の説明図である。
【
図11】実施の形態1における磁気ギャップ長の推定方法の説明図である。
【
図12】実施の形態1における磁気ギャップ長の推定方法の説明図である。
【
図13】実施の形態1の磁気ギャップ長推定装置の推定結果を示した図である。
【
図14】実施の形態1に係る回転電機の構成図である。
【
図15】実施の形態2に係る回転電機の駆動装置の構成図である。
【
図16】実施の形態3に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。
【
図17】実施の形態3に係る回転電機の構成図である。
【
図18】実施の形態3に係る回転電機の構成図である。
【
図19】実施の形態3に係る回転電機の構成図である。
【
図20】実施の形態4に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。
【
図21】実施の形態4に係る回転電機の構成図である。
【
図22】実施の形態4の回転電機における相電圧の基本波成分を示した説明図である。
【
図23】実施の形態5に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。
【
図24】実施の形態5に係る回転電機の構成図である。
【
図25】実施の形態5に係る回転電機の構成図である。
【
図26】実施の形態5の回転電機における相電圧の基本波成分を示した説明図である。
【
図27】実施の形態6に係る回転電機の駆動装置の構成図である。
【
図28】実施の形態1から6に係る磁気ギャップ長推定装置および回転電機の駆動装置のハードウェアの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願を実施するための実施の形態に係る磁気ギャップ長推定装置および回転電機の駆動装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。本実施の形態における磁気ギャップ長推定装置は、3群3相のインバータで駆動される回転電機を測定対象とした磁気ギャップ長推定装置である。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1は、電圧取得部2と磁気ギャップ推定部3とを有している。電圧取得部2は、3つのインバータ4a、4b、4cと回転電機5との間の9本の結線の電圧を取得する。磁気ギャップ推定部3は、磁気ギャップを推定する。この磁気ギャップ推定部は、外部出力端子6を有している。例えば、この外部出力端子6に外部モニタを接続することで、磁気ギャップの状態を可視化することができる。
【0012】
図2は、本実施の形態の磁気ギャップ推定部3の構成図である。この磁気ギャップ推定部3は、電圧取得部2から送信されたデータを保存するメモリ部31、回転電機の基本特性を格納した基本特性格納部32、磁気ギャップ長を推定するための基準となるデータを格納した推定基準格納部33、メモリ部31から送信されたデータに基づいて線間無負荷誘起電圧の基本波成分とN次高調波成分との振幅および位相を抽出する解析部34、解析部34で抽出されたデータに基づいて磁気ギャップ長を推定演算する推定演算部35、および推定演算部35で推定された演算結果を格納する演算結果格納部36を有している。
【0013】
基本特性格納部32は、測定対象の回転電機5の寸法仕様、標準回転速度などの諸元を格納している。推定基準格納部33は、磁気ギャップ長を推定するために必要な推定基準データを格納している。推定基準データとしては、例えば測定対象の回転電機5の線間無負荷誘起電圧と磁気ギャップ長との関係などである。この推定基準データは、予め測定によって取得しておくかまたは理論計算で算出しておく。ここで線間無負荷誘起電圧とは、電機子に電流を印加しない無負荷の状態において回転電機を定格回転速度で回転させたときにコイル間に誘起される電圧である。なお、これ以降、線間無負荷誘起電圧を単に線間電圧と称する。
【0014】
解析部34は、メモリ部31から取得したデータを周波数毎の振幅と位相との情報に変換するスペクトル解析部37と、周波数毎の振幅および位相から相電圧の基本波成分およびN次高調波成分の振幅および位相を抽出する周波数解析部38とを備えている。スペクトル解析部37は、例えば高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)のアルゴリズムを用いて振幅と位相との情報に変換するが、同様のスペクトル解析を実現できるアルゴリズムであれば別のアルゴリズムを用いてもよい。
【0015】
図3は、本実施の形態における測定対象となる回転電機5の構成図である。
図3に示す回転電機5は、3群3相のインバータ駆動を想定された6極36スロット構成の回転電機である。なお、
図3において、回転子は省略されている。固定子51はグループ1、グループ2およびグループ3の3群で独立してコイルが巻き回された構成であり、それぞれのグループが360/3=120°の機械角位相差で固定子の周方向に配置されている。また、
図3において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。丸印の中にばつ印の記号は、電流が紙面の手前から奥に向かって流れる方向を示し、丸印の中に黒丸の記号は、電流が紙面の奥から手前に向かって流れる方向を示している。本実施の形態の回転電機5の固定子51は、複数個のスロットを跨いでコイルが配置された分布巻き構造である。3つのグループはそれぞれU、VおよびW相の3相で構成され、さらに各相は2つのコイルで構成されている。例えば、グループ1のU相のコイルを示すU1は、2つのコイルU11、U12を有している。
図3において、グループ1の各コイルの巻き回される方向を矢印で示している。グループ2およびグループ3の各コイルの巻き回される方向は、グループ1と同じである。各グループにおける各コイルは、U、W、V相の順に周方向に連続するように巻き回されている。例えばグループ1では反時計回りにU11、U12、W11、W12、V11、V12の順番に配置されている。グループ2およびグループ3においても同様の配置である。
【0016】
すなわち、MおよびKを自然数、Nを2以上の自然数としたときに、M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記した場合、本実施の形態の回転電機5は、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=3、N=3、K=2である。そして、この回転電機5のコイルは、グループ1から反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、1、2)、C(1、2、1)、C(1、2、2)、C(1、3、1)、C(1、3、2)、C(2、1、1)、C(2、1、2)、C(2、2、1)、C(2、2、2)、C(2、3、1)、C(2、3、2)、C(3、1、1)、C(3、1、2)、C(3、2、1)、C(3、2、2)、C(3、3、1)、C(3、3、2)の順番に配置されている。このように各群各相のコイルを周方向に連続して配置することで、静的偏心および動的偏心に起因する磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなる。詳細は後述するが、各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなると、磁気ギャップ長の推定に用いる各線間電圧のN次高調波成分の差異も大きくなるため、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0017】
図4は、本実施の形態における回転電機の結線図である。各グループのコイルは、それぞれ独立したY型結線で構成されており、各相のコイルは直列接続されている。このような回路構成とすることで、各相の電圧波形の振幅の差異がより大きくなるため、上述と同様の理由で、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。また、各グループのコイルがY型結線でかつ各相のコイルが直列接続されているので循環電流が発生しない。そのため、循環電流に起因する誘起電圧の影響がないので、線間電圧の検出精度を向上させることができる。
【0018】
次に、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1における磁気ギャップ長の推定方法について説明する。
図5は、測定対象の回転電機において、静的偏心が発生した状態を示した模式図である。この回転電機5では、固定子51の中心軸に対して回転子52の中心軸がグループ3の方向に偏心していると仮定する。この場合、固定子51と回転子52との間の磁気ギャップは、周方向に不均一となっている。この
図5に示す回転電機に対する磁気ギャップ長の推定方法を説明する。
【0019】
図6は、本実施の形態における磁気ギャップ長の推定方法のフローチャートである。ステップS1において、U1相を基準としてU1相と他の相との間で線間無負荷誘起電圧(以下、線間電圧と記す)を取得する。具体的には、磁気ギャップ長推定装置1の電圧取得部2が、U1-V1、U1-W1、U1-U2、U1-V2、U1-W2、U1-U3、U1-V3、U1-W3間の線間電圧を取得する。次にステップS2において、電圧取得部2は、取得した線間電圧のデータを磁気ギャップ推定部3に送信する。磁気ギャップ推定部3は、受信した線間電圧のデータをメモリ部31に保存する。
【0020】
次にステップS3において、解析部34のスペクトル解析部37は、メモリ部31に保存された線間電圧のデータに対してスペクトル解析を行う。具体的には、スペクトル解析部37は線間電圧のデータに対して高速フーリエ変換のアルゴリズムを適用して、周波数毎の振幅と位相との情報に変換する。次にステップS4において、周波数解析部38は、周波数毎の振幅および位相の情報から各線間電圧の基本波成分とN次高調波成分との振幅および位相を抽出する。
【0021】
ここで、相電圧および線間電圧の基本波成分およびN次高調波成分と磁気ギャップ長との関係について説明する。なお、本実施の形態においては、N=3となる。
図7および
図8は、回転電機5のグループ1およびグループ3におけるそれぞれの相電圧および線間電圧を示した説明図である。
図7は基本波成分のベクトル表記、
図8は3次高調波成分のベクトル表記である。
図7および
図8において、実線矢印はグループ1のベクトル、破線矢印はグループ3のベクトルである。仮に静的偏心が発生していない場合、つまり磁気ギャップ長が均一な場合は、各グループの相電圧の基本波成分は電気的に120°の位相差であり、各グループの3次高調波成分は位相が一致する。しかしなら、
図5に示したようにグループ3における磁気ギャップ長が短くなっている場合、グループ3においては磁気ギャップの磁気抵抗が低下するためにコイルを透過する磁束量が増加する。そのため、磁気ギャップ長が均一な場合と比較してグループ3の相電圧は増加する。一方、グループ1における磁気ギャップ長は広くなっているので、グループ1における磁気ギャップの磁気抵抗が増加するためにコイルを透過する磁束量が減少する。そのため、磁気ギャップ長が均一な場合と比較してグループ1の相電圧は減少する。このことは、
図7および
図8において、グループ3のU3、V3およびW3相のベクトルの長さが、グループ1のU1、V1およびW1相のベクトルの長さよりもそれぞれ大きいことに対応している。
【0022】
また、静的偏心で各コイルを透過する磁束量が不均一となるため、相電圧の位相は磁気ギャップ長が均一なときの相電圧の位相からずれる。そのため、グループ1のベクトルの向きとグループ3のベクトルの向きとが異なっている。ここで
図8に示す3次高調波成分に着目する。仮に磁気ギャップ長が均一な場合は、すべてのグループの相電圧のベクトルの長さと向きとが一致するために、相電圧のベクトルの差で表される線間電圧は発生しない。しかしながら、磁気ギャップ長が不均一な場合は、各グループの相電圧のベクトルの長さおよび向きに差異が生じる。そのため、
図8に示すように、U1-U3、U1-V3およびU1-W3間の線間電圧が発生する。すなわち、線間電圧の3次高調波成分は、磁気ギャップ長に不均一が発生したときに現れる特徴量であることがわかる。
【0023】
次に、
図6に示す磁気ギャップ長の推定方法のフローチャートの説明に戻る。
周波数解析部38は、ステップS5において、各線間電圧の基本波成分を用いて相電圧の基本波成分および3次高調波成分を推定する。この推定においては、磁気ギャップ長が不均一なときの相電圧の位相と磁気ギャップ長が均一なときの相電圧の位相とのずれは小さいものと仮定してそのずれを無視し、線間電圧のベクトルと相電圧のベクトルとの理論的な相対関係を用いる。
図9は、ステップS5におけるU1-V1の線間電圧からU1相の相電圧の基本波成分および3次高調波成分の位相を推定する方法を説明する説明図である。
図9に示す推定方法は、U1相の相電圧波形として正弦波を仮定した場合の方法である。U1相の相電圧の基本波成分の位相は、U1-V1の線間電圧の基本波成分の位相より30°遅れであり、さらにU1相の相電圧の3次高調波成分の位相は、U1相の相電圧の基本波成分の位相の3倍である。このことは、交流回路の理論、および
図7並びに
図8に示すベクトルの関係より明らかである。この関係を用いて、U1相の相電圧の3次高調波成分の位相を推定できる。なお、U1相の相電圧波形として余弦波を仮定した場合、U1相の相電圧の3次成分の位相は、U1相の相電圧の基本波成分の位相の3倍からさらに180°の位相差となることは明らかである。
【0024】
次に推定演算部35は、線間電圧の3次高調波成分と相電圧の3次高調波成分とを用いて磁気ギャップ長を推定する。そのため、推定演算部35は、ステップS6において、基準相のコイルが巻かれたグループの中心位置の磁気ギャップ長に対する、各相のコイルが巻かれたグループの中心位置の磁気ギャップ長の変位量の絶対値を推定する。次に推定演算部35は、ステップS7において、線間電圧の3次高調波成分の位相とステップS5で推定された相電圧の3次高調波成分の位相との関係に基づいて、各相のコイルが巻かれたグループの中心位置の磁気ギャップ長の変位が基準相のコイルが巻かれたグループの中心位置の磁気ギャップ長に対して正方向または負方向であるかを推定する。
【0025】
図10は、基準相と他の相との磁気ギャップ長の変位量と線間電圧の3次高調波成分の振幅との関係の一例を示す説明図である。ステップS5で説明したように、磁気ギャップ長が不均一なときの相電圧の位相と磁気ギャップ長が均一なときの相電圧の位相とのずれは小さいものと仮定した場合、磁気ギャップ長の変位量と線間電圧の3次高調波成分の振幅とは相関があり、概ね比例関係となる。この基準相と各相との磁気ギャップ長の変位量と線間電圧の3次高調波成分の振幅との関係は、予め理論計算、シミュレーション、実験などによりデータベース化して推定基準格納部33に格納しておく。推定演算部35は、ステップS6において、推定基準格納部33に格納された基準相と他の相との磁気ギャップ長の変位量と線間電圧の3次高調波成分の振幅との関係を用いて、各相のコイルが巻かれたグループの磁気ギャップ長の変位量の絶対値を推定する。
【0026】
図11および
図12は、磁気ギャップ長の縮小または拡大の方向を判定する方法の一例を示す説明図である。
図11および
図12は、ステップS5で推定された相電圧の3次高調波成分の位相の関係を示している。
図11はV3相の相電圧の3次成分がU1相の相電圧の3次成分より大きい場合を示しており、
図12はV3相の相電圧の3次成分がU1相の相電圧の3次成分より小さい場合を示している。
図11に示すように、V3相の相電圧の3次成分がU1相の相電圧の3次成分より大きい場合は、V3相のコイルが巻かれたグループ3の磁気ギャップ長がU1相のコイルが巻かれたグループ1の磁気ギャップ長よりも縮小している場合に対応している。このとき、U1-V3線間電圧の3次成分のベクトルの向きは、基準とするU1相の相電圧の3次成分のベクトルの向きに対して90°以上270°未満の範囲である。一方、
図12に示すように、V3相の相電圧の3次成分がU1相の相電圧の3次成分より小さい場合は、V3相のコイルが巻かれたグループ3の磁気ギャップ長がU1相のコイルが巻かれたグループ1の磁気ギャップ長よりも拡大している場合に対応している。このとき、U1-V3線間電圧の3次成分のベクトルの向きは、基準とするU1相の相電圧の3次成分のベクトルの向きに対して0°以上90°未満または270°以上360°未満の範囲である。このような関係を用いて推定演算部35は、ステップS7において、各相のコイルが巻かれたグループの磁気ギャップ長の変位が基準相のコイルが巻かれたグループの磁気ギャップ長に対して正方向または負方向であるかを推定する。本実施の形態のように、グループ3の磁気ギャップ長が縮小する向きに静的偏心が発生している場合は
図8に示す関係となり、この関係は
図11に示す関係と同様である。したがって、V3相のコイルが巻かれたグループ3の磁気ギャップ長が、U1相のコイルが巻かれたグループ1の磁気ギャップ長に対して縮小していると判定できる。
【0027】
このようにして本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1は、測定対象の回転電機の磁気ギャップ長を推定することができる。
図13は、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1が
図5に示す回転電機に対して磁気ギャップ長を推定した結果を示した図である。
図13において、円形の破線は偏心が発生していない場合の磁気ギャップ長、円形の実線は事前の解析データに基づく偏心発生時の磁気ギャップの理論計算値、黒丸は本実施の形態における磁気ギャップ長の推定値である。本実施の形態においては、3群3相の回転電機を対象に磁気ギャップ長の推定を行ったので、3×3=9点における磁気ギャップ長を推定できる。なお、
図13においては、磁気ギャップ長の空間分布を視覚的に把握しやすくするため、9点の磁気ギャップ長の推定点の空間配置の関係が回転電機の実構造と対応するように、原点と各推定点とを結んだ線分がなす角度を回転電機の実構造における中心とグループの中心位置とを結んだ線分がなす角度と一致するように設定している。そして、原点から各推定点までの距離は、基準相の巻線位置における磁気ギャップ長を1とした場合の各推定点の変位量を加算または減算した相対値としている。
【0028】
本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1は、
図13に示すように、基準相であるU1相が巻かれたグループ1の中心位置における磁気ギャップ長に対して、他のグループの中心位置における各相の磁気ギャップ長を相対値として推定できる。また、円形の実線で示す理論計算値と本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1で得られた磁気ギャップ長の推定値とはおおよそ一致していることがわかる。ただし、理論計算値と推定値との間には誤差も発生している。この誤差は、ステップS6において、磁気ギャップ長が不均一なときの相電圧の位相と磁気ギャップ長が均一なときの相電圧の位相とのずれは小さいものと仮定したことに起因すると思われる。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、多少の誤差があったとしても、偏心が発生した位置とその偏心の方向は明確に推定することができる。
【0029】
上述のように、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、無負荷時に誘起される線間電圧を取得する電圧取得部と、回転電機の磁気ギャップ長を推定する磁気ギャップ推定部とを備えている。そして、磁気ギャップ推定部は、線間電圧を周波数毎の振幅と位相とに変換するスペクトル解析部と、周波数毎の振幅および位相から線間電圧の基本波成分とN次高調波成分の振幅および位相を抽出する周波数解析部と、線間電圧の基本波成分とN次高調波成分との振幅および位相から回転電機の磁気ギャップ長を推定する推定演算部とを備えている。そのため、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、電流センサおよび電流負荷が不要でかつ結線の中性点の電圧測定が不要となる。
【0030】
なお、本実施の形態においては、U1相を基準相とする例を示したが、他の相のいずれかを基準相とした場合についても同様の効果が得られる。また、本実施の形態においては、グループ3の方向に磁気ギャップ長が縮小する静的偏心の例を示した。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、それ以外の方向に静的偏心が発生する場合についても同様の効果が得られる。また、この磁気ギャップ長推定装置は、動的偏心に対しても磁気ギャップ長が縮小または拡大する方向が時間変動する点を考慮して単位時間毎に磁気ギャップ長の推定を行うことで、同様の効果が得られる。さらには、静的偏心、動的偏心以外の要因で磁気ギャップ長のアンバランスが発生する場合についても、基準相と他の相との間における線間無負荷誘起電圧に差異が生じる場合は、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置を用いることで同様の効果が得られる。
【0031】
本実施の形態においては、3群3相の巻線の9本の結線すべてに対して磁気ギャップ長推定装置の電圧取得部が接続されている。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、各群の3本の結線のうち少なくとも2本に電圧取得部が接続されていれば、測定点が減少するものの磁気ギャップ長を推定することができる。
【0032】
図14は、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置の測定対象となる別の回転電機の構成図である。なお、
図14において、回転子は省略されている。また、
図14において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。
図14に示す固定子51は、1つのティースに集中巻きでコイルが巻かれた6極9スロットの構成である。この回転電機5は、m群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記した場合、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=3、N=3、K=1である。そしてこの回転電機5のコイルは、グループ1から反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、2、1)、C(1、3、1)、C(2、1、1)、C(2、2、1)、C(2、3、1)、C(3、1、1)、C(3、2、1)、C(3、3、1)の順番に配置されている。このような集中巻きの回転電機においても、各群各相のコイルが周方向に連続的に配置されていることで、偏心に起因する磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなる。そのため、各線間電圧の3次高調波成分の差異も大きくなるため、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0033】
なお、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置においては、基準の相に対する他の相との間の線間電圧を測定している。この線間電圧には、異なるグループにそれぞれ属する2つの相の間の線間電圧も含まれている。各グループのコイルは、それぞれ独立したY型結線で構成されている。そのため、各グループのコイルが電気的に独立していることに起因する電位差のオフセット成分が、異なるグループにそれぞれ属する2つの相の間の線間電圧に含まれる可能性がある。このオフセット成分を取り除くために、各グループのコイルのY型結線の中性点同士を電気的に接続してもよい。
【0034】
実施の形態2.
図15は、実施の形態2に係る回転電機の駆動装置の構成図である。本実施の形態における回転電機の駆動装置10は、実施の形態1の磁気ギャップ長推定装置1と、3つのインバータ4a、4b、4cに制御パラメータを送る制御パラメータ演算部7とを有している。制御パラメータ演算部7は、磁気ギャップ長推定装置1で推定された磁気ギャップ長に基づいて、回転電機5の各グループへの電流入力値を調整する制御パラメータを3つのインバータ4a、4b、4cにそれぞれ送る。また、制御パラメータ演算部7は、外部出力端子8を有している。例えば、この外部出力端子8に外部モニタを接続することで、磁気ギャップの状態および制御パラメータを可視化することができる。
【0035】
例えば、実施の形態1で説明したように、回転電機5がグループ3の磁気ギャップ長が縮小する方向に静的偏心を有する場合、グループ3に属するコイルへの電流入力値をグループ1およびグループ2に属するコイルへの電流入力値より小さく設定する。このように制御することで、偏心に起因する振動および騒音を低減することができる。
【0036】
なお、本実施の形態においては、3群3相の巻線の9本の結線すべてに対して磁気ギャップ長推定装置の電圧取得部が接続されている。本実施の形態の回転電機の駆動装置は、各群の3本の結線のうち少なくとも1本に電圧取得部が接続されていれば、測定点が減少するものの磁気ギャップ長が変位する方向を推定して制御パラメータを演算することができる。
【0037】
実施の形態3.
図16は、実施の形態3に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。本実施の形態における磁気ギャップ長推定装置は、1群3相のインバータで駆動される回転電機を測定対象とした磁気ギャップ長推定装置である。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1は、電圧取得部2と磁気ギャップ推定部3とを有している。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1の構成は、実施の形態1の磁気ギャップ長推定装置の構成と同様である。ただし、電圧取得部2は、1つのインバータ4aと回転電機5との間の3本の結線の電圧を取得する。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1における磁気ギャップ長の推定方法は、実施の形態1の推定方法と同様である。
【0038】
図17は、本実施の形態における測定対象となる回転電機5の構成図である。
図17に示す回転電機5は、1群3相のインバータ駆動を想定された2極36スロット構成の回転電機である。なお、
図17において、回転子は省略されている。固定子51はグループ1のみの構成である。また、
図17において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。この回転電機5の固定子51は、複数個のスロットを跨いでコイルが配置された分布巻き構造である。グループ1はU、VおよびW相の3相で構成され、さらに各相は6つのコイルから構成されている。例えば、U相のコイルを示すU1は、6つのコイルU11、U12、U13、U14、U15、U16を有している。各コイルは、U、V、W相の順に周方向に連続するように巻き回されている。この回転電機5のコイルは、反時計回りにU11、U12、U13、U14、U15、U16、V11、V12、V13、V14、V15、V16、W11、W12、W13、W14、W15、W16の順番に配置されている。
【0039】
すなわち、M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記した場合、
図17に示す回転電機5は、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=1、N=3、K=6である。そして、この回転電機5のコイルは、反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、1、2)、C(1、1、3)、C(1、1、4)、C(1、1、5)、C(1、1、6)、C(1、2、1)、C(1、2、2)、C(1、2、3)、C(1、2、4)、C(1、2、5)、C(1、2、6)、C(1、3、1)、C(1、3、2)、C(1、3、3)、C(1、3、4)、C(1、3、5)、C(1、3、6)の順番に配置されている。このように各群各相のコイルを周方向に連続して配置することで、磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなる。各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなると、磁気ギャップ長の推定に用いる各線間電圧の3次高調波成分の差異も大きくなるため、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0040】
図18は、本実施の形態における測定対象となる別の回転電機5の構成図である。
図18に示す回転電機5は、1群3相のインバータ駆動を想定された2極3スロット構成の回転電機である。なお、
図18において、回転子は省略されている。固定子51はグループ1のみの構成である。また、
図18において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。この回転電機5の固定子51は、1つのティースに各相のコイルが集中巻きで巻き回された構造である。グループ1はU、VおよびW相の3相で構成されている。
【0041】
M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記すると、
図18に示す回転電機5は、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=1、N=3、K=1である。そして、この回転電機5のコイルは、反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、2、1)、C(1、3、1)の順番に配置されている。このように集中巻きの回転電機においても3相のコイルを周方向に連続して配置することで、磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなり、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0042】
図19は、本実施の形態における測定対象となる別の回転電機5の構成図である。
図19に示す回転電機5は、1群3相のインバータ駆動を想定された8極9スロット構成の回転電機である。なお、
図19において、回転子は省略されている。固定子51はグループ1のみの構成である。また、
図19において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。この回転電機5の固定子51は、1つのティースに各相のコイルが集中巻きで巻き回された構造である。グループ1はU、VおよびW相の3相で構成されている。
【0043】
M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記すると、
図19に示す回転電機5は、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=1、N=3、K=3である。そして、この回転電機5のコイルは、反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、1、2)、C(1、1、3)、C(1、2、1)、C(1、2、2)、C(1、2、3)、C(1、3、1)、C(1、3、2)、C(1、3、3)の順番に配置されている。このように集中巻きの回転電機においても3相のコイルを周方向に連続して配置することで、磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなり、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0044】
このように構成された磁気ギャップ長推定装置においても、実施の形態1と同様に、電流センサおよび電流負荷が不要でかつ結線の中性点の電圧測定が不要となる。
【0045】
なお、本実施の形態においては、1群3相の巻線の3本の結線すべてに対して磁気ギャップ長推定装置の電圧取得部が接続されている。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、3本の結線のうち少なくとも2本に電圧取得部が接続されていれば、測定点が減少するものの磁気ギャップ長を推定することができる。
【0046】
なお、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置を用いて実施の形態2に示した回転電機の駆動装置を構成し、この駆動装置を
図19に示した8極9スロット構成の回転電機に適用した場合、この空間高調波の次数成分の巻線係数が低い極およびスロット数の組み合わせの回転電機においても、振動および騒音をさらに低減することができる。
【0047】
実施の形態4.
図20は、実施の形態4に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。本実施の形態における磁気ギャップ長推定装置は、1群6相のインバータで駆動される回転電機を測定対象とした磁気ギャップ長推定装置である。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1は、電圧取得部2と磁気ギャップ推定部3とを有している。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1の構成は、実施の形態1の磁気ギャップ長推定装置の構成と同様である。ただし、電圧取得部2は、1つのインバータ4aと回転電機5との間の6本の結線の電圧を取得する。また、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1における磁気ギャップ長の推定方法は、実施の形態1の推定方法と一部異なっている。
【0048】
図21は、本実施の形態における測定対象の回転電機5の構成図である。
図21に示す回転電機5は、1群6相のインバータ駆動を想定された2極6スロット構成の回転電機である。なお、
図21において、回転子は省略されている。固定子51はグループ1のみの構成である。また、
図21において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。本実施の形態の回転電機5の固定子51は、1つのティースに各相のコイルが集中巻きで巻き回された構造である。グループ1はA、B、C、D、E、F相の6相で構成され、各コイルは、反時計回りにA1、B1、C1、D1、E1、F1の順番に配置されている。
【0049】
すなわち、M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記した場合、本実施の形態の回転電機5は、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=1、N=6、K=1である。そして、この回転電機5のコイルは、反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、2、1)、C(1、3、1)、C(1、4、1)、C(1、5、1)、C(1、6、1)の順番に配置されている。このように各群各相のコイルを周方向に連続して配置することで、磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなる。各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなると、磁気ギャップ長の推定に用いる各線間電圧のN次高調波成分の差異も大きくなるため、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0050】
図22は、本実施の形態の回転電機5における相電圧の基本波成分のベクトル表記である。
図22に示す相電圧の基本波成分は、偏心が発生していないときのベクトルを示している。各相の電気的な位相差は、360/6=60°であり、実施の形態1の
図7と
図8との関係を適用すると、偏心が発生していないときは相電圧の6次高調波成分の位相が一致して6次高調波成分のベクトルが重なることがわかる。すなわち、本実施の形態の回転電機においては、線間電圧の6次高調波成分が磁気ギャップ長に不均一が発生したときに現れる特徴量であることがわかる。そこで、本実施の形態における磁気ギャップ長の推定方法においては、線間電圧の6次高調波成分を用いる点が実施の形態1の磁気ギャップ長の推定方法と異なっている。つまり、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置においては、実施の形態1の
図6のフローチャートにおいて、ステップS4およびステップS5のN次高調波成分として6次高調波成分を用いている。それ以外は実施の形態1と同様である。
【0051】
このように構成された磁気ギャップ長推定装置においても、実施の形態1と同様に電流センサおよび電流負荷が不要でかつ結線の中性点の電圧測定が不要となる。
【0052】
なお、本実施の形態においては、1群6相の巻線の6本の結線すべてに対して磁気ギャップ長推定装置の電圧取得部が接続されている。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、6本の結線のうち少なくとも2本に電圧取得部が接続されていれば、測定点が減少するものの磁気ギャップ長を推定することができる。
【0053】
実施の形態5.
図23は、実施の形態5に係る磁気ギャップ長推定装置の構成図である。本実施の形態における磁気ギャップ長推定装置は、4群5相のインバータで駆動される回転電機を測定対象とした磁気ギャップ長推定装置である。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1は、電圧取得部2と磁気ギャップ推定部3とを有している。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1の構成は、実施の形態1の磁気ギャップ長推定装置の構成と同様である。ただし、電圧取得部2は、4つのインバータ4a、4b、4c、4dと回転電機5との間の20本の結線の電圧を取得する。また、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置1における磁気ギャップ長の推定方法は、実施の形態1の推定方法と一部異なっている。
【0054】
図24は、本実施の形態における測定対象の回転電機5の構成図である。
図24に示す回転電機5は、4群5相のインバータ駆動を想定された8極80スロット構成の回転電機である。なお、
図24において、回転子は省略されている。固定子51のコイルはグループ1からグループ4の構成であり、それぞれのグループが360/4=90°の機械角位相差で配置されている。また、
図24において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。本実施の形態の回転電機5の固定子51は、複数個のスロットを跨いでコイルが配置された分布巻き構造である。各グループのコイルは、A、B、C、D、E相の5相で構成され、さらに各相は2つのコイルで構成されている。例えば、グループ1のA相は、2つのコイルA11、A12を有している。各グループのコイルは、A、D、B、E、C相の順に周方向に連続するように巻き回されている。例えば、グループ1のコイルは、反時計回りにA11、A12、D11、D12、B11、B12、E11、E12、C11、C12の順番に配置されている。
【0055】
すなわち、M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記した場合、
図24に示す回転電機5は、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=4、N=5、K=2である。そして、この回転電機5のコイルは、反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、1、2)、C(1、2、1)、C(1、2、2)、C(1、3、1)、C(1、3、2)、C(1、4、1)、C(1、4、2)、C(1、5、1)、C(1、5、2)、C(2、1、1)、C(2、1、2)、C(2、2、1)、C(2、2、2)、C(2、3、1)、C(2、3、2)、C(2、4、1)、C(2、4、2)、C(2、5、1)、C(2、5、2)、C(3、1、1)、C(3、1、2)、C(3、2、1)、C(3、2、2)、C(3、3、1)、C(3、3、2)、C(3、4、1)、C(3、4、2)、C(3、5、1)、C(3、5、2)、C(4、1、1)、C(4、1、2)、C(4、2、1)、C(4、2、2)、C(4、3、1)、C(4、3、2)、C(4、4、1)、C(4、4、2)、C(4、5、1)、C(4、5、2)の順番に配置されている。このように各群各相のコイルを周方向に連続して配置することで、磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなる。各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなると、磁気ギャップ長の推定に用いる各線間電圧のN次高調波成分の差異も大きくなるため、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0056】
図25は、本実施の形態における測定対象の別の回転電機5の構成図である。
図25に示す回転電機5は、4群5相のインバータ駆動を想定された8極20スロット構成の回転電機である。なお、
図25において、回転子は省略されている。固定子51のコイルはグループ1からグループ4の構成であり、それぞれのグループが360/4=90°の機械角位相差で配置されている。また、
図25において、各コイルに流れる電流の方向は、2種類の記号でその方向を示している。この回転電機5の固定子51は、複数個のスロットを跨いでコイルが配置された分布巻き構造である。各グループのコイルは、A、B、C、D、E相の5相で構成されている。各グループのコイルは、A、B、C、D、E相の順に周方向に連続するように巻き回されている。
【0057】
すなわち、M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記した場合、
図25に示す回転電機5は、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦K、かつM=4、N=5、K=1である。そして、この回転電機5のコイルは、反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、2、1)、C(1、3、1)、C(1、4、1)、C(1、5、1)、C(2、1、1)、C(2、2、1)、C(2、3、1)、C(2、4、1)、C(2、5、1)、C(3、1、1)、C(3、2、1)、C(3、3、1)、C(3、4、1)、C(3、5、1)、C(4、1、1)、C(4、2、1)、C(4、3、1)、C(4、4、1)、C(4、5、1)の順番に配置されている。このように各群各相のコイルを周方向に連続して配置することで、磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなる。各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなると、磁気ギャップ長の推定に用いる各線間電圧のN次高調波成分の差異も大きくなるため、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0058】
図26は、本実施の形態の回転電機5における相電圧の基本波成分のベクトル表記である。
図26に示す相電圧の基本波成分は、偏心が発生していないときのベクトルを示している。各相の電気的な位相差は、360/5=72°であり、実施の形態1の
図7と
図8との関係を適用すると、偏心が発生していないときは相電圧の5次高調波成分の位相が一致して5次高調波成分のベクトルが重なることがわかる。すなわち、本実施の形態の回転電機においては、線間電圧の5次高調波成分が磁気ギャップ長に不均一が発生したときに現れる特徴量であることがわかる。そこで、本実施の形態における磁気ギャップ長の推定方法においては、線間電圧の5次高調波成分を用いる点が実施の形態1の磁気ギャップ長の推定方法と異なっている。つまり、本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置においては、実施の形態1の
図6のフローチャートにおいて、ステップS4およびステップS5のN次高調波成分として5次高調波成分を用いている。それ以外は実施の形態1と同様である。
【0059】
このように構成された磁気ギャップ長推定装置においても、実施の形態1と同様に電流センサおよび電流負荷が不要でかつ結線の中性点の電圧測定が不要となる。
【0060】
なお、本実施の形態においては、4群5相の巻線の20本の結線すべてに対して磁気ギャップ長推定装置の電圧取得部が接続されている。本実施の形態の磁気ギャップ長推定装置は、各群の5本の結線のうち少なくとも2本に電圧取得部が接続されていれば、測定点が減少するものの磁気ギャップ長を推定することができる。
【0061】
実施の形態6.
図27は、実施の形態6に係る回転電機の駆動装置の構成図である。本実施の形態における回転電機の駆動装置10は、実施の形態5の磁気ギャップ長推定装置1と、4つのインバータ4a、4b、4c、4dに制御パラメータを送る制御パラメータ演算部7とを有している。制御パラメータ演算部7は、磁気ギャップ長推定装置1で推定された磁気ギャップ長に基づいて、回転電機5の各グループへの電流入力値を調整する制御パラメータを4つのインバータ4a、4b、4c、4dにそれぞれ送る。また、制御パラメータ演算部7は、外部出力端子8を有している。例えば、この外部出力端子8に外部モニタを接続することで、磁気ギャップの状態および制御パラメータを可視化することができる。
【0062】
例えば、回転電機5がグループ3の磁気ギャップ長が縮小する方向に静的偏心を有する場合、グループ3に属するコイルへの電流入力値をグループ1、グループ2およびグループ4に属するコイルへの電流入力値より小さく設定する。このように制御することで、偏心に起因する振動および騒音を低減することができる。
【0063】
なお、本実施の形態においては、4群5相の巻線の20本の結線すべてに対して磁気ギャップ長推定装置の電圧取得部が接続されている。本実施の形態の回転電機の駆動装置は、各群の5本の結線のうち少なくとも1本に電圧取得部が接続されていれば、測定点が減少するものの磁気ギャップ長が変位する方向を推定して制御パラメータを演算することができる。
【0064】
実施の形態1、3から5で説明した磁気ギャップ長推定装置は、3群3相または1群3相の回転電機に対しては線間電圧の3次高調波成分、1群6相の回転電機に対しては線間電圧の6次高調波成分、4群5相の回転電機に対しては線間電圧の5次高調波成分を用いて磁気ギャップ長を推定している。これまで説明した磁気ギャップ長推定装置は、それ以外の回転電機としてM群N相の回転電機において、線間電圧のN次高調波成分を用いて磁気ギャップ長を推定することができる。
【0065】
また、M群N相で各相がK個のコイルで構成された回転電機におけるm群n相k番目のコイルをC(m、n、k)と表記した場合、1≦m≦M、1≦n≦N、1≦k≦Kであり、コイルの空間配置が反時計回りに、C(1、1、1)、C(1、1、2)・・・C(1、1、K)、C(1、2、1)・・・C(1、2、K)・・・C(1、N、K)、C(2、1、1)・・・C(M、N、K)の順であれば、磁気ギャップ長のアンバランスによる各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなる。各相の電圧波形の振幅の差異が大きくなると、磁気ギャップ長の推定に用いる各線間電圧のN次高調波成分の差異も大きくなるため、磁気ギャップ長の推定精度をより高めることができる。
【0066】
なお、実施の形態1、3から5に係る磁気ギャップ長推定装置1および実施の形態2、6の回転電機の駆動装置10は、ハードウェアの一例を
図28に示すように、プロセッサ100と記憶装置101から構成される。記憶装置101は、図示していないが、ランダムアクセスメモリなどの揮発性記憶装置と、フラッシュメモリなどの不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ100は、記憶装置101から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ100にプログラムが入力される。また、プロセッサ100は、演算結果などのデータを記憶装置101の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0067】
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0068】
1 磁気ギャップ長推定装置、2 電圧取得部、3 磁気ギャップ推定部、4a、4b、4c、4d インバータ、5 回転電機、6、8 外部出力端子、7 制御パラメータ演算部、10 駆動装置、31 メモリ部、32 基本特性格納部、33 推定基準格納部、34 解析部、35 推定演算部、36 演算結果格納部、37 スペクトル解析部、38 周波数解析部、51 固定子、52 回転子、100 プロセッサ、101 記憶装置。