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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】暗視野X線画像データ情報の処理
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240705BHJP
   A61B 6/40 20240101ALI20240705BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240705BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20240705BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240705BHJP
【FI】
A61B6/00 550D
A61B6/40 500J
A61B6/50 500C
G06T7/11
G06T7/00 612
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023517753
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2021074740
(87)【国際公開番号】W WO2022058220
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】20197184.3
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン ベルグ ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー トーマス
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/110313(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/104224(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/053345(WO,A1)
【文献】特表2019-536531(JP,A)
【文献】特表2018-529443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G06T 1/00 , 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データインタフェースと、
データ処理ユニットと、
を備える、暗視野X線画像データ情報を処理する装置であって、
前記データインタフェースは、前記データ処理ユニットに暗視野X線画像データを提供し、
前記データ処理ユニットは、前記暗視野X線画像データをセグメント化して肺のセグメント化された画像データを提供し、前記セグメント化された画像データは、少なくとも、第1の肺セグメント及び前記第1の肺セグメントから区別可能な第2の肺セグメントを含み、前記第1の肺セグメント及び前記第2の肺セグメントは、規定されたボリュームを有するようにセグメント化され、
前記データ処理ユニットは、少なくとも、前記第1の肺セグメントに割り当てられている第1の暗視野信号値及び前記第2の肺セグメントに割り当てられている第2の暗視野信号値を、前記画像データから得、
前記データ処理ユニットは、前記第1の暗視野信号値と前記第2の暗視野信号値との比を求めて定量的尺度を得、前記定量的尺度は、肺分析のための出力データである、装置。
【請求項2】
前記第1の肺セグメント及び前記第2の肺セグメントは、少なくとも略等しいボリュームを有するようにセグメント化される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記比は、対象者の肺における疾患又は所見の存在の指標である、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の肺セグメントは上肺野であり、前記第2の肺セグメントは下肺野であり、前記肺野は、対象者の身体の縦軸に関して上及び下として定義される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記データ処理ユニットはさらに、対応する前記肺セグメント内における複数の異なる位置に関して、前記画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さを評価する、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記データ処理ユニットはさらに、前記画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さの決定と、前記画像データからの面積決定とに基づいて、対応するセグメントボリュームを決定して、少なくとも略等しいセグメントボリュームを得る、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記データ処理ユニットはさらに、対応する前記暗視野信号値を、前記画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さに対して正規化する、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記データ処理ユニットはさらに、前記画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さの決定に基づいて、セグメントボリュームの対応する前記暗視野信号値を決定する、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記データ処理ユニットはさらに、左肺及び右肺を区分して肺の前記セグメント化された画像データを提供し、各肺について前記第1の肺セグメント及び前記第2の肺セグメントがセグメント化される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
対象者のX線画像データを取得する、画像取得デバイスと、
請求項1からのいずれか一項に記載の装置と、
を備える、暗視野X線画像データ情報を提供するX線撮像システム。
【請求項11】
データ処理ユニットによって、対象者の肺の暗視野X線画像データを受信するステップと、
前記データ処理ユニットによって、前記画像データをセグメント化して前記肺のセグメント化された画像データを提供するステップであって、前記セグメント化された画像データは、少なくとも、第1の肺セグメント及び前記第1の肺セグメントから区別可能な第2の肺セグメントを含み、前記第1の肺セグメント及び前記第2の肺セグメントは、規定されたボリュームを有するようにセグメント化される、ステップと、
前記データ処理ユニットによって、少なくとも、前記第1の肺セグメントに割り当てられている第1の暗視野信号値及び前記第2の肺セグメントに割り当てられている第2の暗視野信号値を、前記画像データから得るステップと、
前記データ処理ユニットによって、前記第1の暗視野信号値と前記第2の暗視野信号値との比を求めて定量的尺度を得るステップであって、前記定量的尺度は、肺分析のための出力データである、ステップと、
を有する、暗視野X線画像データ情報を提供する方法。
【請求項12】
プロセッサによって実行されると、請求項11に記載の方法を実行し、及び/又は、請求項1からのいずれか一項に記載の装置を制御し、及び/又は、請求項10に記載のX線撮像システムを制御する、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶している、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗視野X線撮像に関し、詳細には、暗視野X線画像データを処理する装置、暗視野X線画像データを処理する方法、X線撮像システム、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
肺分析などのような医療用途において、何らかの障害、疾病、異常などがある場合があるが、これらは、いくつかの撮像技法を用いることによって、他の技法によるよりも少なくとも容易又は確実に検出することができる。例えば、対象者の障害などによっては、コンピュータ断層撮影(CT)により、確実に検出することができるものもあるが、障害によっては、CTでは確実に検出することができないか又は全く検出することができないものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに関して、X線暗視野放射線撮影は、特に肺疾病の検出のための有望な撮像技術である。しかしながら、X線暗視野放射線撮影から得られる画像データが処理されて肺分析又は診断目的に特に有用なさらなる情報を得るやり方は明らかになっていない。
【0004】
したがって、暗視野画像データを処理する改善された手段の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態が従属請求項に組み込まれる。
【0006】
第1の態様によれば、X線画像データ、好ましくは暗視野X線画像データを処理する装置が提供される。装置は、少なくとも1つのデータインタフェースと、少なくとも1つのデータ処理ユニットとを備える。データインタフェースは、データ処理ユニットに暗視野X線画像データを提供するように構成される。データ処理ユニットは、画像データをセグメント化して肺のセグメント化された画像データを提供するように構成され、セグメント化された画像データは、少なくとも2つの肺セグメント、すなわち、少なくとも、第1の肺セグメント及び第1の肺セグメントから区別可能な第2の肺セグメントを含み、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントは、規定されたボリュームを有するようにそれぞれセグメント化される。データ処理ユニットは、少なくとも、第1の肺セグメントに割り当てられている第1の暗視野信号値及び第2の肺セグメントに割り当てられている第2の暗視野信号値を、画像データ自体及び/又はさらなる計算、パラメータなどから得るように構成される。データ処理ユニットは、第1の暗視野信号値及び第2の暗視野信号値を、互いに比較することによって、定量的尺度を得るように構成され、定量的尺度は、肺分析のための出力データである。
【0007】
このようにして、画像データから定量的尺度を得る少なくとも半自動手段が提供され、定量的尺度は、さらなる肺分析又は診断のための少なくともデータ基礎を形成する。提供される装置は、肺障害がある対象者の画像データを肺障害が全くないか又は少ない顕著でない対象者の画像データから差別化することを可能にする。これに関して、対象者の何らかの肺障害、疾病、異常などが、暗視野X線撮像技法を用いることによって、より容易及び/又はより確実に検出することができることが見い出されており、特に、画像データに示された肺が最初に2つ以上のセグメントにセグメント化される場合、それぞれの肺セグメントに割り当てられているそれぞれの暗視野信号値が、肺セグメントボリュームに関して評価される。例として、第1の態様による装置は、確実なやり方で、気腫、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などを検出するために、又は、早期段階で既に気腫を検出するために、特に適切であって及び/又は感度が高く、これは、CTのような他の撮像技法を用いることでは検出できないか又は確実に検出することはできない。本開示において、肺セグメントの、互いに対する、及び/又は対象者の解剖学的構造に対する場所に関する特定の選択もまた、肺分析及び/又は診断のために定量的尺度を得ることを可能にするために考慮される因子であることも認識される。
【0008】
本説明において、2つのセグメントが示される又は言及される。しかしながら、少なくとも2つのセグメントが形成されるが、セグメントの数は、2つに限定されず、多セグメント、すなわち複数のセグメントが形成されてもよいことを理解されたい。例えば、左肺及び右肺が先に区分され、次いで、各肺、すなわち左肺及び/右肺が、2つ以上のセグメントにセグメント化される。
【0009】
本明細書において用いられる場合、画像データのセグメンテーションは、デジタル画像を複数のセグメントに分けて画像の表現を単純化及び/又は変更するコンピュータ実施プロセスとして理解される。このセグメンテーションプロセスから得たセグメント化された画像データは、読み手にとってより有意義であり、及び/又は、分析がより容易である。例えば、デジタル画像に捕捉された肺は、2つ以上のセグメントに分けられ、これらセグメントは、互いから区分された、画像オブジェクトのセット及び/又はピクセルのセットとも呼ばれることがある。これにより、セグメンテーションプロセスは、例えば、ある領域内のピクセルが、色、強度、又はテクスチャなどのいくつかの特性又は計算プロパティに関して同様であるのに対し、隣り合う領域は同じ特性に関して著しく異なることを用いる。この情況において用いることができる、例えば、K平均アルゴリズム、ヒストグラムベースの方法、このためにトレーニングされた畳み込みニューラルネットワークの使用などによる、クラスタリング法などのいくつかのセグメンテーション法がある。
【0010】
本明細書で用いられる場合の肺セグメントの規定されたボリュームは、それぞれのセグメントのボリュームが、例えばセグメンテーションプロセスから既知であるか、又は、少なくとも、そのプロセス及び/又は画像データから、好ましくは数値、尤度などで求めることができるという点で理解される。
【0011】
本明細書で用いられる場合の定量的尺度は、例えば、画像データに示された肺の障害、異常などの存在の可能性についての指標として理解される。例えば、定量的尺度は、数値などのような、有意義な値である。例として、定量的尺度は、肺セグメント間の暗視野信号値の差、肺のすべてのセグメント及び/又は領域などに対する暗視野信号値の標準偏差、肺のすべてのセグメント及び/又は領域などに対する暗視野信号値の正規化された標準偏差、及び/又は、肺セグメントの暗視野信号値の比、のうちの1つ又は複数を含む。定量的尺度は次いで、好ましくはex vivoで行われる、次のプロセスの一部とすることもできる(さらなる)肺分析のための出力データとして提供される。定量的尺度に基づいて、肺分析は、コンピュータ手段を用いることによって少なくとも半自動的に、又は、放射線科医などのような医療専門家による手動でのいずれかで行われる。
【0012】
各肺セグメントは、暗視野信号値、例えば信号強度を有し、各肺セグメントのそれぞれの暗視野信号値は、他の肺セグメント(複数可)に関して比較及び/又は評価される。
【0013】
本明細書において用いられる場合、X線画像データは、画像の強度が、X線が伝播した組織の透過特性(密度、物質誘電率などによって決定される)の積分に比例する、少なくとも1つの減衰画像を指し、そのため、X線減衰画像は、従来のX線画像でもよく、及び/又は、印加されたX線の散乱成分を含むX線情報を指してもよい。後者は、干渉検出手法を用いて得られるが、他の手法も知られている。肺の微細構造がX線波の散乱を引き起こし、散乱成分は、最終的X線減衰値に統合されるので、分離可能ではない。例えば、干渉X線撮像技法を用いれば、X線信号の散乱成分を減衰成分及び位相成分から区別して、肺の内部構造に関する追加情報を提供することが可能である。
【0014】
一実施形態によれば、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントは、少なくとも略等しいボリュームを有するようにセグメント化される。セグメンテーションプロセスを行った後では、少なくとも2つの肺セグメントは、少なくとも略等しい又は同じボリュームを有する。このようにして、例えば、肺セグメントボリュームに関する暗視野信号の正規化により、物体のサイズの影響を軽減することができる。例えば、暗視野信号を正規化することによって、肺についての材料定数情報を決定することができ、この材料定数情報が、肺を通る長さから逆畳み込みされ、健康な肺組織が病的組織から差別化されることを可能にする。このようにして、同じボリュームを有する肺セグメントを形成することによって、それぞれの肺セグメントに関わる暗視野信号値を直接評価する、すなわち、互いに比較することができる。
【0015】
一実施形態では、第1の暗視野信号値及び第2の暗視野信号値を比較するステップは、少なくとも2つの値から比を求めて定量的尺度を得ることを有する。例えば、肺障害、例えば気腫などを有する対象者は典型的に、肺障害が全くないか又は少ない顕著でない対象者の比とは異なる比を有することが見い出されている。例として、気腫及び/又はCOPDを有する対象者は、上肺及び下肺の暗視野信号値の特定の比を有する傾向があり、そのため、この比は、肺障害を有しない対象者との差別化を可能にする。特に、気腫及び/又はCOPD対象者は、比較的高い上肺野対下肺野比を有する。すなわち、この実施形態では、肺又は肺野は、第1のセグメントが上肺に割り当てられるとともに第2のセグメントが下肺に割り当てられる、2つのセグメントにセグメント化され、上及び下という用語は対象者の身体の縦軸を指す。肺の上部と下部とのこの差別化に基づいて、暗視野信号は各部分について個別に決定、計算などされる。
【0016】
一実施形態によれば、比は、少なくとも、肺における疾患又は所見の存在であって、任意選択的にはそれに割り当てられる尤度を有する存在の、指標である。例えば、比は、気腫が検出されることを可能にする。
【0017】
一実施形態では、第1の肺セグメントは上肺野であり、第2の肺セグメントは下肺野であり、これら肺野は、対象者の身体の縦軸に関して上及び下として定義される。上述したように、例えば気腫を有する対象者は、上肺及び下肺の暗視野信号値の特定の比を有する傾向があり、そのため、上肺野及び下肺野をセグメント化することは、肺障害を有しない対象者との差別化を可能にする。
【0018】
一実施形態によれば、データ処理ユニットはさらに、対応する肺セグメント内の複数の異なる位置に関して、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さを評価するように構成される。複数の異なる位置は、画像データに含まれる画像の複数の特に異なるピクセルに対応してもよく、又はそれらピクセルによるものとしてもよい。このようにして、セグメントは、規定された、すなわち、ある特定のボリュームを有するように決定されてもよく、このボリュームは既知であるか、又は、少なくとも略同じボリュームを有するように決定されてもよい。ボリュームは、画像データから決定される肺セグメントの面積に基づいて計算される。
【0019】
一実施形態では、データ処理ユニットはさらに、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さの決定と、画像データからの面積決定とに基づいて、対応するセグメントボリュームを決定して、規定されたセグメントボリュームを得るように構成される。
【0020】
一実施形態によれば、複数の異なる位置は、画像データに含まれる取得された画像の種々のピクセルに割り当てられる。このようにして、セグメントはピクセル精度を有して形成することができる。
【0021】
一実施形態では、データ処理ユニットはさらに、対応する暗視野信号値を、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さに対して正規化するように構成される。このようにして、暗視野信号は肺深さに対して正規化することができる。
【0022】
一実施形態によれば、データ処理ユニットはさらに、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さの決定に基づいて、セグメントボリュームの対応する暗視野信号値を決定するように構成される。このようにして、暗視野信号は肺ボリュームに対して正規化することができる。
【0023】
一実施形態では、データ処理ユニットはさらに、左肺及び右肺を区分して肺のセグメント化された画像データを提供するように構成され、各肺について、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントがセグメント化される。換言すると、第1のステップにおいて、左肺及び右肺を互いに区分し、第2のステップにおいて、左肺及び/又は右肺を上述したようにセグメント化する。
【0024】
第2の態様によれば、X線撮像システムが提供される。システムは、対象者のX線画像データを取得するように構成される画像取得デバイスと、第1の態様による装置とを備える。
【0025】
第3の態様によれば、X線画像データ、好ましくは暗視野X線画像データを処理する方法が提供される。方法は、データ処理ユニットによって、対象者の肺の暗視野X線画像データを受信するステップと、データ処理ユニットによって、画像データをセグメント化して肺のセグメント化された画像データを提供するステップであって、セグメント化された画像データは、少なくとも、第1の肺セグメント及び第1の肺セグメントから区別可能な第2の肺セグメントを含み、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントは、規定されたボリュームを有するようにそれぞれセグメント化される、ステップと、データ処理ユニットによって、少なくとも、第1の肺セグメントに割り当てられている第1の暗視野信号値及び第2の肺セグメントに割り当てられている第2の暗視野信号値を、画像データから得るステップと、データ処理ユニットによって、第1の暗視野信号値及び第2の暗視野信号値を互いに比較することによって定量的尺度を得るステップであって、定量的尺度は、肺分析のための出力データである、ステップと、を有する。
【0026】
好ましくは、方法はコンピュータ実施される。例えば、方法は、第1の態様による装置によって、及び/又は第2の態様によるシステムによって実行される。
【0027】
第4の態様によれば、プロセッサによって実行されると、第3の態様の方法を実行し、及び/又は、第2の態様によるシステムを制御し、及び/又は、第1の態様による装置を制御する、コンピュータプログラム要素が提供される。
【0028】
第5の態様によれば、第4の態様によるコンピュータプログラム要素を記憶しているか又は担持する、コンピュータ可読記憶媒体又は伝送媒体が提供される。
【0029】
上記の実施形態は、含まれる態様と関係なく互いに組み合わせられることに留意されたい。したがって、方法は、他の態様の装置及び/又はシステムの構造的特徴と組み合わせられ、同様に、装置及び/又はシステムは、互いの特徴と組み合わせられ、方法に関して上記に記載の特徴とも組み合わせられる。有利には、上記の態様及び例のうちのいずれかによって提供される利点は、他の態様及び例のすべてに等しく当てはまり、その逆も同じである。
【0030】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかになるとともに、それらを参照しながら解明される。
【0031】
本開示の例示的な実施形態を添付の図面において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】一実施形態による暗視野X線画像データを処理する装置の一例を示す。
図2】一実施形態による暗視野X線画像データを処理するシステムの一例を示す。
図3】一実施形態による暗視野X線画像データを処理する方法の一例をフローチャートで示す。
図4】一実施形態による画像データに示された肺のセグメントの一例を示す。
図5】一実施形態による画像データに示された肺のセグメントの別の例を示す。
図6】一実施形態による暗視野X線画像データを処理する上で暗視野信号の比を用いることができるやり方をチャートで示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、暗視野X線画像データを処理する装置10の一例を示す。装置10は、データインタフェース20と、データ処理ユニット30とを備える。データインタフェース20は、データ入力及び/又はデータ出力のための手段を含む。例えば、データインタフェース20は、画像取得デバイス110(図2を参照)から、データ、例えば画像データを受信するように構成されるとともに、受信したデータをデータ処理ユニット30に供給するように構成され、及び/又は、データ処理ユニット30からデータを受信するように構成されるとともに、受信したデータを、例えば処理されたデータの表現、さらなる肺分析などのためにさらなるエンティティに供給するように構成される。受信した画像データは、患者の胸部のX線減衰情報を含む。データ処理ユニット30はさらに、画像データをセグメント化して肺のセグメント化された画像データを提供するように構成される。セグメント化された画像データは、少なくとも第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントを含み、これらセグメントは、互いから区別可能である。第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントは、規定されたボリュームV、すなわち既知のボリュームをそれぞれ有するようにセグメント化される。データ処理ユニット30は、少なくとも、第1の肺セグメントに割り当てられている第1の暗視野信号値DAX及び/又はNDAX並びに第2の肺セグメントDAX及び/又はNDAXに割り当てられている第2の暗視野信号値を、画像データから得るように構成される。さらに、データ処理ユニット30は、第1の暗視野信号値DAX及び/又はNDAX並びに第2の暗視野信号値DAX及び/又はNDAXを、互いに比較することによって、定量的尺度を得るように構成される。したがって、定量的尺度は、さらなる肺分析、診断などのための出力データとして提供される。
【0034】
一例では、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントは、少なくとも略等しいボリュームを有するようにセグメント化される。換言すると、セグメンテーションプロセスを行った後では、少なくとも2つの肺セグメントは、少なくとも略等しい又は同じボリュームVを有する。このようにして、対応する肺セグメントボリュームVに関する暗視野信号の正規化により、物体のサイズの影響を軽減することができる。例えば、暗視野信号DAX及び/又はNDAXを正規化することによって、肺についての材料定数情報を決定することができ、この材料定数情報が、肺を通る長さから逆畳み込みされ、健康な肺組織が病的組織から差別化されることを可能にする。このようにして、同じボリュームを有する肺セグメントを形成することによって、それぞれの肺セグメントに関わる暗視野信号値を直接評価する、すなわち、互いに比較することができる。
【0035】
一例では、第1の暗視野信号値DAX及び/又はNDAX並びに第2の暗視野信号値DAX及び/又はNDAXを、評価、例えば互いに比較してもよく、評価は、定量的尺度を得るように少なくとも2つの値から比を求めることを有する。例えば、肺障害、例えば気腫及び/又はCOPDなどを有する対象者は典型的に、肺障害が全くないか又は少ない顕著でない対象者の比とは異なる比を有することが見い出されている。例として、気腫を有する対象者は、上肺及び下肺の暗視野信号値の特定の比を有する傾向があり、そのため、この比は、肺障害がない対象者との差別化を可能にする。特に、例えば、気腫対象者は、比較的高い上肺野対下肺野比を有する。すなわち、この例では、肺又は肺野は、第1のセグメントが上肺に割り当てられるとともに第2のセグメントが下肺に割り当てられる、2つのセグメントにセグメント化され、上及び下という用語は対象者の身体の縦軸を指す。肺の上部と下部とのこの差別化に基づいて、暗視野信号が各部分について個別に決定、計算などされる。
【0036】
一例では、比は、少なくとも、肺における疾患又は所見の存在であって、任意選択的にはそれに割り当てられる尤度を有する存在の指標である。例えば、比は、気腫が検出されることを可能にする。
【0037】
一例では、第1の肺セグメントは上肺野であり、第2の肺セグメントは下肺野であり、これら肺野は、対象者の身体の縦軸に関して上及び下として定義される。上述したように、例えば気腫を有する対象者は、上肺及び下肺の暗視野信号値の特定の比を有する傾向があり、そのため、上肺野及び下肺野をセグメント化することは、肺障害がない対象者との差別化を可能にする。
【0038】
一例では、データ処理ユニット30はさらに、対応する肺セグメント内の複数の異なる位置に関して、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さを評価するように構成される。肺深さは、X線減衰及びX線暗視野画像情報の取得後に信号分離を達成する画像処理方法を用いて評価される。複数の異なる位置は、画像データに含まれる画像の複数の特に異なるピクセルに対応してもよく、又はそれらピクセルによるものとしてもよい。このようにして、セグメントは、規定された、すなわち、ある特定のボリュームを有するように決定されてもよく、このボリュームは既知であるか、又は、少なくとも略同じボリュームを有するように決定されてもよい。ボリュームは、画像データから決定される肺セグメントの面積に基づいて計算される。
【0039】
一例では、データ処理ユニット30はさらに、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さの決定と、画像データからの面積決定とに基づいて、対応するセグメントボリュームを決定して、規定されたセグメントボリュームを得るように構成される。
【0040】
一例では、複数の異なる位置は、画像データに含まれる取得された画像の種々のピクセルに割り当てられる。
【0041】
一例では、データ処理ユニット30は、対応する暗視野信号値を、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さに対して正規化するようにされに構成される。このようにして、暗視野信号は肺深さに対して正規化することができる。
【0042】
一例では、データ処理ユニット30はさらに、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さの決定に基づいて、セグメントボリュームの対応する暗視野信号値を決定するように構成される。このようにして、暗視野信号は肺ボリュームに対して正規化することができる。
【0043】
一例では、データ処理ユニット30はさらに、左肺及び右肺を区分して肺のセグメント化された画像データを提供するように構成され、各肺について、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントがセグメント化される。換言すると、第1のステップにおいて、左肺及び右肺を互いに区分し、第2のステップにおいて、左肺LLeft及び/又は右肺LRightを上述したようにセグメント化する。
【0044】
図2は、暗視野画像データを処理するシステム100の一例を示す。システム100は、少なくとも1つの画像取得デバイス110と、図1及び記載例のいずれか又はそれら例の組み合わせに関して説明したような暗視野情報の提示のための装置10とを備える。少なくとも1つの画像取得デバイス110は、X線減衰画像を提供するとともに暗視野X線画像を提供するように構成される。データインタフェース20は、定量的尺度とともにX線減衰画像及び/又は暗視野X線画像を出力するように構成される。
【0045】
一例では、少なくとも1つの画像取得デバイス110は、格子ベースの暗視野X線撮像デバイスを含む。一例では、少なくとも1つの画像取得デバイス110は、干渉計構成部を備える。
【0046】
一例では、少なくとも画像取得デバイス110は、X線撮像手段を備える。例えば、デバイスは、暗視野撮像用に備えた放射線撮影システムであってもよい。
【0047】
一例では、少なくとも1つの画像取得デバイス110は、標準的な放射線撮影モードで動作するように構成され、放射線の透過強度が、対象者を通じた減衰に関する情報を提供する。一例では、同じ画像取得デバイス110を使用して減衰画像及び暗視野画像を取得する。例えば、減衰画像データ及び暗視野画像データは、同じ取得データの評価の出力であってもよい。このデータは、格子のうちの1つの異なる位相位置を有する画像を示す多重露光(例えば、4~20)である。検出器と同じくらいの大きさの格子を用いて全視野システムを実施することができる。
【0048】
一例では、少なくとも1つの画像取得デバイス110は、検査領域内に対象者がいる状態及びいない状態でのX線の強度値の検出に関する、減衰画像を生成するように構成される。一例では、少なくとも1つの画像取得デバイスは、検査領域内に物体がある状態及びない状態でのX線の縞模様の可視性の検出に関する、暗視野画像を生成するように構成される。一例では、少なくとも1つの画像取得デバイスは、これらの画像の任意の組み合わせを生成するように構成される。例えば、少なくとも1つの画像取得デバイスは、減衰画像を生成するように、また、暗視野画像を生成するように構成される。一例では、減衰画像及び暗視野画像は、同時に生成される。一例では、合計された空間的な肺ボリュームの情報は、肺の面積(ピクセル面積データから得られる)及び各ピクセル値の強度の積分である。
【0049】
図3は、暗視野画像データを処理する方法200を示す。方法200は、以下を有する。
【0050】
ステップ210において、データ処理ユニット30は、対象者の肺の暗視野X線画像データを受信する。
【0051】
ステップ220において、データ処理ユニット30は、画像データをセグメント化して肺のセグメント化された画像データを提供し、セグメント化された画像データは、少なくとも、互いに区別可能な第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントを含み、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントは、規定されたボリュームを有するようにセグメント化される。
【0052】
ステップ230において、データ処理ユニット30は、少なくとも、第1の肺セグメントに割り当てられている第1の暗視野信号値及び第2の肺セグメントに割り当てられている第2の暗視野信号値を、画像データから得る。
【0053】
ステップ240において、データ処理ユニット30は、第1の暗視野信号値及び第2の暗視野信号値を、互いに比較することによって、定量的尺度を得、得られた定量的尺度は、肺分析のための出力データである。
【0054】
一例では、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントは、少なくとも略等しいボリュームを有するようにセグメント化される。
【0055】
一例では、第1の暗視野信号値及び第2の暗視野信号値を比較するステップは、2つの値から比を求めて定量的尺度を得ることを有する。
【0056】
一例では、比は、対象者の肺における疾患又は所見の存在の指標として用いられる。
【0057】
一例では、第1の肺セグメントは上肺野LUpperであり、第2の肺セグメントは下肺野LLeftであり、これら肺野は、対象者の身体の縦軸に関して上及び下として定義される。
【0058】
一例では、データ処理ユニット30は、対応する肺セグメント内の複数の異なる位置に関して、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さdを評価する。
【0059】
一例では、データ処理ユニット30は、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さdの決定と、画像データからの面積決定とに基づいて、対応するセグメントボリュームVを決定して、少なくとも略等しいセグメントボリュームを得る。
【0060】
一例では、複数の異なる位置pは、画像データに記録された取得された画像の種々のピクセルに割り当てられる。
【0061】
一例では、データ処理ユニット30は、対応する暗視野信号値を肺深さdに対して正規化し、肺深さは、画像データの投影面の法線に沿って画定される。
【0062】
一例では、データ処理ユニット30は、画像データの投影面の法線に沿って画定される肺深さdの決定に基づいて、セグメントボリュームの対応する暗視野信号値DAXを決定する。
【0063】
一例では、データ処理ユニット30は、左肺LLeft及び右肺LRightを区分して肺のセグメント化された画像データを提供し、各肺LLeft、LRightについて、第1の肺セグメント及び第2の肺セグメントがセグメント化される。
【0064】
図4は、画像データに示された肺の例示的なセグメンテーション、例えば区分を示し、肺は、左肺LLeft及び右肺LRightにセグメント化、例えば区分されている。さらに、左肺LLeft及び右肺LRightは、その上部LUpper及び下部LLowerにセグメント化、例えば区分され、それぞれの上部及び下部のボリュームVは規定されているか若しくは既知であり、又は好ましくは、互いに等しくなるようにセグメント化される。図4において、セグメンテーションは、点線L及びLによって示され、点線Lは左肺及び右肺のセグメンテーションを示し、点線Lは上肺LUpper及び下肺LLowerのセグメンテーションを示す。
【0065】
図5は、画像データに示された肺の別の例示的なセグメンテーション、例えば区分を示し、左肺LLeft及び右肺LRightのうちの少なくとも一方が上部及び下部よりも多くに、すなわちn個の部分にセグメント化され、このセグメンテーションは点線Lnによって示されている。
【0066】
例示的な実施形態では、データ処理ユニット30は、画像データに示された肺を、複数の部分、例えば4つの部分にセグメント化、すなわち区分又は分割する。最初に、肺は左肺及び右肺に区分される。次いで、左肺及び右肺のうちの少なくとも一方又は両方が、その上部及び下部、又は内側部及び遠位部にさらにセグメント化、すなわち区分又は分割され、上肺部分及び下肺部分のそれぞれ、又は内側部及び遠位部は、規定された、すなわち、既知の、及び/又は決定されたボリュームを有する。換言すると、左肺及び右肺は、肺ボリュームに関していくつかの部分にセグメント化、すなわち区分又は分割される。別の例示的な実施形態では、左肺及び右肺は、2つよりも多くの部分、例えば少なくとも3つ以上の部分にセグメント化される。これらの部分は、肺ボリュームに関して等しい大きさであってもよい。
【0067】
右肺及び左肺は、L、例えばLLeft及びLRightとして表される。各肺部分のボリュームVは、L、例えばLLeft及び/又はLRightにおいて、各位置p、例えば画像ピクセルについての肺深さd(p)に基づいて評価される。データ処理ユニット30は次いで、各位置pについて暗視野値を計算し、この暗視野値はDAX(p)として表される。この暗視野値DAX(p)は、肺深さd(p)に対して正規化され、正規化された暗視野値NDAXの計算は、
【数1】
として、表される。
【0068】
次いで、包括的な正規化された暗視野値NDAXが計算され、この暗視野値NDAXは、
【数2】
として表され、
ここで、ΣDAX(p)は、Lでd(p)を積分することによる全体的な肺ボリュームを示す。LをL<Lに制限することによって、すべてのサブ領域L、例えば左肺LLeft及び右肺LRightのみについてサブボリュームがもたらされる。
【0069】
これに基づいて、肺野LLeft、LRightは、左肺及び右肺の区分、d(p)を考慮することによる肺ボリュームに関する等しい大きさの部分への肺の少なくとも一方の側の分割などの、いくつかの所与の特性を有する部分肺野に区分される。
【0070】
例として、次いで、定量的尺度は、左肺LLeft及び右肺LRight間での暗視野信号値DAX又はNDAXにおける差、肺のすべてのセグメント及び/又は領域などに対する暗視野信号値DAX又はNDAXの標準偏差、肺のすべてのセグメント及び/又は領域などに対する暗視野信号値DAX又はNDAX(例えば、標準偏差又は平均)の正規化された標準偏差、及び/又は、肺セグメントの暗視野信号値DAX又はNDAXの比のうちの1つ又は複数を含む。定量的尺度は次いで、(さらなる)肺分析のための出力データとして提供される。それにより、例えば(包括的)NDAX並びに上肺L及び下肺Lの比の両方が気腫のその重度によって対象者を統計学的に区別することが見い出されている。すなわち、気腫対象者は、より高いNDAXUpper-NDAXLower-比を有する傾向があるのに対し、気腫を有しない対象者は典型的により低いNDAXUpper-NDAXLower-比を有する。
【0071】
図6は、試験において検査された、肺活量測定によって示された種々の重度の気腫及び/又はCOPDを有する複数の対象者のチャートを示す。1つのドットは一人の対象者を表す。ドットは、x軸にプロットされた包括的NDAXによって、また、y軸にプロットされた、上肺セグメントLUpper及び下肺セグメントLLowerのNDAXUpper-NDAXLower-比によって、配置される。このチャートでは、より高いNDAXUpper-NDAXLower-比を有する対象者は、塗りつぶされたドットによって示され、より低いNDAXUpper-NDAXLower-比を有する対象者は、塗りつぶされていないドットによって示されている。図4に見てとることができるように、定量的尺度として決定されたNDAXUpper-NDAXLower-比は、気腫及び/又はCOPDを有する対象者を気腫及び/又はCOPDを有しない対象者と区別する手段を提供する。
【0072】
x線暗視野撮像に関するさらなる詳細は、以下の論文に見ることができる。Pfeiffer,Franzら、「Hard-X-ray dark-field imaging using a grating interferometer」Nature materials 7.2(2008)、134~137頁、及び、Yaroshenko,Andreら、「Pulmonary emphysema diagnosis with a preclinical small-animal x-ray dark-field scatter-contrast scanner」Radiology 269.2(2013)、427~433頁。
【0073】
別の例示的な実施形態では、前出の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを適切なシステムで実行するように構成されることを特徴とする、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0074】
したがって、コンピュータプログラム要素は、一実施形態の一部でもあり得るデータ処理ユニットに記憶され得る。このデータ処理ユニットは、上記に記載の方法のステップを実行する、又はステップの実行を誘導するように構成される。さらに、データ処理ユニットは、上記に記載のデバイス及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成される。計算ユニットは、自動的に動作するように、及び/又は、ユーザの命令を実行するように構成することができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリにロードされる。したがって、データプロセッサは、前出の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように装備される。
【0075】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上記に記載の方法の例示的な実施形態の手順を実行するのに必要なすべてのステップを提供することが可能であり得る。
【0076】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティックなどのような、コンピュータ可読媒体が提示され、このコンピュータ可読媒体には前の段落で記載されているコンピュータプログラム要素が記憶されている。
【0077】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶及び/又は配布されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線遠隔通信システムなどを介する、他の形態で配信されてもよい。
【0078】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを通じて提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードすることができる。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードできるようにさせる媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成される。
【0079】
本発明の実施形態は種々の主題に関して説明されていることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項に関して説明されているのに対し、他の実施形態は、装置タイプの請求項に関して説明されている。しかしながら、当業者は、上記及び以下の記載から、別段に明記されていない限り、1種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加え、種々の主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願により開示されるものと考えられることを推論するであろう。しかしながら、すべての特徴を組み合わせることで、これらの特徴を単に加え合わせることよりも多くの相乗効果をもたらすことができる。
【0080】
本発明を図面及び上記の説明において詳細に図示及び説明してきたが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的なものであって、限定的なものではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形例は、特許請求の範囲に記載の本発明を実践する際、図面、開示及び従属請求項の検討から、当業者によって理解及び達成することができる。
【0081】
特許請求の範囲において、「備える、有する、含む」という語は、他の要素又はステップを除外せず、また、単数形は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たす。特定の措置が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における参照番号はいずれも、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0082】
10 装置
20 データインタフェース
30 データ処理ユニット
100 システム
110 画像取得デバイス
200 方法
210 方法ステップ
220 方法ステップ
230 方法ステップ
240 方法ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6