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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】電動機駆動システム及び電動機駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 23/14 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H02P23/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023550570
(86)(22)【出願日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2023009049
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100207192
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健一
(72)【発明者】
【氏名】戸林 俊介
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029371(JP,A)
【文献】特開2014-134493(JP,A)
【文献】特開2022-011694(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068213(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第114362638(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の位置の検出結果を第1周期ごとに更新する位置センサから前記位置の検出結果を前記第1周期ごとに出力させて取得して前記取得した前記位置の検出結果を前記第1周期よりも長い第2周期の制御周期でサンプリングして前記電動機の位置制御に用いる電動機駆動システムであって、
前記位置センサによって前記電動機の位置の検出結果が更新され第1タイミングから、前記第1タイミングの後に前記電動機の位置の検出結果を第2周期ごとにサンプリングする第2タイミングまでの時間を計数し、前記計数の結果に基づいて、前記位置の情報を補償するための補償値を生成する補償量調整部と、
前記補償した結果の位置の情報と前記電動機の位置指令の情報とに基づいて前記電動機に対する位置制御を実施する制御部と
を備える電動機駆動システム。
【請求項2】
前記補償量調整部は、
前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの時間差の大きさに応じて、前記検出結果を補償する、
請求項1に記載の電動機駆動システム。
【請求項3】
前記補償量調整部は、
前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの時間差の大きさと、前記第1タイミングにおける前記電動機の位置の時刻歴情報とを用いて、前記検出結果を補償する、
請求項2に記載の電動機駆動システム。
【請求項4】
前記補償量調整部は、
前記電動機を駆動する電動機駆動システムと前記位置センサとの何れかに設けられている、
請求項2に記載の電動機駆動システム。
【請求項5】
前記補償量調整部は、
前記計数の結果に基づいて前記補償値を生成し、前記補償値を用いて前記検出結果を補償して、前記補償した結果の位置の情報を生成する、
請求項3又は4に記載の電動機駆動システム。
【請求項6】
前記第1周期と前記第2周期との長さが等しくない、
請求項1に記載の電動機駆動システム。
【請求項7】
前記補償量調整部は、
前記計数の結果に基づいて前記補償値を生成し、前記補償値と、前記補償した結果の位置の時刻歴情報とを用いて、前記補償した結果の位置の情報を生成する、
請求項1に記載の電動機駆動システム。
【請求項8】
電動機の位置の検出結果を第1周期ごとに更新する位置センサから前記位置の検出結果を前記第1周期ごとに出力させて取得して前記取得した前記位置の検出結果を前記第1周期よりも長い第2周期の制御周期でサンプリングして前記電動機の位置制御に用いる電動機駆動方法であって、
前記位置センサによって前記電動機の位置の検出結果が更新され第1タイミングから、前記第1タイミングの後に前記電動機の位置の検出結果を第2周期ごとにサンプリングする第2タイミングまでの時間を計数し、前記計数の結果に基づいて、前記位置の情報を補償するための補償値を生成し、
前記補償した結果の位置の情報と前記電動機の位置指令の情報とに基づいて前記電動機に対する位置制御を実施する過程
を含む電動機駆動方法。
【請求項9】
前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの時間差の大きさに応じて、前記検出結果を補償する、
請求項8に記載の電動機駆動方法。
【請求項10】
前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの時間差の大きさと、前記第1タイミングにおける前記電動機の位置の時刻歴情報とを用いて、前記検出結果を補償する、
請求項9に記載の電動機駆動方法。
【請求項11】
前記電動機を駆動する電力変換装置と前記位置センサとの何れかが前記位置の情報を補償するための補償値を生成する、
請求項9に記載の電動機駆動方法。
【請求項12】
前記計数の結果に基づいて前記補償値を生成し、前記補償値を用いて前記検出結果を補償して、前記補償した結果の位置の情報を生成する、
請求項10又は11に記載の電動機駆動方法。
【請求項13】
前記第1周期と前記第2周期との長さが等しくない、
請求項8に記載の電動機駆動方法。
【請求項14】
前記計数の結果に基づいて前記補償値を生成し、前記補償値と、前記補償した結果の位置の時刻歴情報とを用いて、前記補償した結果の位置の情報を生成する、
請求項8に記載の電動機駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電動機駆動システム及び電動機駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機駆動システムは、位置センサを用いて電動機の位置を検出し、その電動機の位置を制御する。一般に位置センサが位置の検出結果を出力して更新する周期よりも、電動機の制御周期のほうが長く設定されている。ただし、位置センサによる位置の検出結果の出力から、その検出結果を制御周期ごとに取得するまでの遅れ時間により電動機の制御の応答性・安定性の確保に影響することがある。この遅れ時間の大きさが不規則であると、その影響を低減させることが困難であった。電動機の制御において、その遅れ時間の影響を軽減することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開番号2021/149187号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、位置センサによる電動機の位置の検出結果を出力するタイミングから、その検出結果を制御周期ごとに更新するタイミングまでの遅れ時間の影響を軽減することができる電動機駆動システム及び電動機駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の一態様の電動機駆動システムは、電動機の位置の検出結果を第1周期ごとに更新する位置センサから前記位置の検出結果を前記第1周期ごとに出力させて取得して前記取得した前記位置の検出結果を前記第1周期よりも長い第2周期の制御周期でサンプリングして前記電動機の位置制御に用いる電動機駆動方法である。前記電動機駆動システムは、補償量調整部と、制御部とを備える。前記補償量調整部は、前記位置センサによって前記電動機の位置の検出結果が更新された第1タイミングから、前記第1タイミングの後に前記電動機の位置の検出結果を第2周期ごとにサンプリングする第2タイミングまでの時間を計数し、前記計数の結果に基づいて、前記位置の情報を補償するための補償値を生成する。前記制御部は、前記補償した結果の位置の情報と前記電動機の位置指令の情報とに基づいて前記電動機に対する位置制御を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】第1の実施形態の電動機駆動システムの構成図。
図1B】第1の実施形態の演算部の構成図。
図1C】第1の実施形態の補償量調整部の構成図。
図2】第1の実施形態の位置の補償量調整について説明するための図。
図3】第1の実施形態の変形例の位置の補償量調整について説明するための図。
図4A】第2の実施形態の電動機駆動システムの構成図。
図4B】第2の実施形態の演算部の構成図。
図4C】第2の実施形態の補償量調整部の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電動機駆動システム及び電動機駆動方法を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それらの構成の重複する説明は省略する場合がある。なお、電気的に接続されることを、単に「接続される」ということがある。以下の説明に示す「大きさが等しい」場合には、略等しい場合も含む。
【0008】
図1Aは、第1の実施形態の電動機駆動システム1の構成図である。
図1Bは、第1の実施形態の演算部31の構成図である。
図1Cは、第1の実施形態の補償量調整部51の構成図である。
【0009】
電動機駆動システム1は、例えば、電動機2と、位置センサ3と、電力変換装置10を備える。
【0010】
電動機2(図1A中の記載はM。)は、例えば複数の巻線を備える交流電動機である。交流の各相の巻線が、後述する電力変換装置10の出力に夫々接続されている。電力変換装置10は、交流電力を電動機2に供給する。この交流電力により電動機2が回転する。例えば、電動機2の軸には、位置センサ3(図1A中の記載はPS。)の軸が機械的に連結されていて、電動機2の軸の回転に応じて位置センサ3の軸が連動して回転する。
【0011】
位置センサ3は、電動機2の軸の絶対位置を検出する。位置センサ3は、アブソリュート方式のエンコーダの一例である。この位置センサ3は、絶対位相を演算して出力する。
【0012】
電力変換装置10は、電動機2、及び位置センサ3に接続されている。電力変換装置10は、位置センサ3によって検出された電動機2の軸の実際の位置が、別に供給される位置指令値に対応する位置に一致するように、電動機2を制御する。
【0013】
図1Bに示すように、位置センサ3は、位置センサ本体と、演算部31(図1A中の記載はFPGA:Field-Programmable Gate Array。)とを備える。
位置センサ3の演算部31は、例えば、z位置検出311と、ab位置検出312と、更新周期生成部313と、位置情報演算部314と、出力部316とを備える。
【0014】
位置センサ3のz位置検出311は、位置センサ本体によって絶対位置を検出して、この検出に伴う絶対位置の情報を出力する。
位置センサ3のab位置検出312は、位置センサ本体によって相対位置を検出して、この検出に伴う相対位置の情報を出力する。
更新周期生成部313は、位置センサ3によって検出された位置の情報を周期的に更新するための周期と、位置の情報を出力するタイミング信号を生成する。
位置情報演算部314は、更新周期生成部313から供給されるタイミング信号を用いて、周期的に現時点の位置情報Qrを生成する。
出力部316は、外部の装置と通信するインタフェースを備える。出力部316は、位置情報Qrをシリアル通信によって出力する。出力部316が出力する信号の種別は、光信号でもよく電気信号でもよい。
【0015】
電力変換装置10は、インバータ4と、制御器5とを備える。
インバータ4は、複数の半導体スイッチがブリッジ型に形成されている電力変換器の一例である。例えばインバータ4は、直流電源(不図示)から供給される直流電力を交流電力に変換して、その交流電力を電動機2に供給して電動機2を駆動させる。
【0016】
制御器5は、電動機2を駆動させるインバータ4の制御装置である。
制御器5は、例えば、補償量調整部51(図1A中の記載はFPGA。)と、CPU52とを含む。
CPU52は、例えばプログラムを実行することで所定の演算処理を実行するプロセッサ、半導体メモリ、インバータ4の駆動回路、クロックなどを含むコンピュータである。CPU52には、その周辺回路としての補償量調整部51が接続されている。CPU52は、補償量調整部51によって生成された位置情報を取得して、その位置情報に基づいた位置制御を実施する位置制御部と、位置制御の結果に基づいて流す電流を調整する電流制御部と、電流制御の結果に基づいた電力をインバータ4から供給させるためのPWM制御を実施するPWM制御部などを含む。このCPU52による電動機2の位置制御、電流制御、PWM制御などに関わる夫々の処理は、一般的な手法を適用してもよい。
【0017】
図1Cを参照して、制御器5の補償量調整部51の一例について説明する。
補償量調整部51は、例えばインタフェース511と、差分位置情報生成部512と、制御周期生成部513と、遅れ時間情報演算部514と、補償量演算部515と、補償演算部516とを備える。
【0018】
インタフェース511は、位置センサ3からの信号を受信する受信回路を含む。位置センサ3からの信号は、例えばシリアル通信の信号であり、周期的に送信される位置情報が含まれる。インタフェース511は、位置センサ3から受信した信号から、周期的に送信される位置情報Qrを抽出して出力する。位置情報Qrは、位置センサ3が出力した位置情報に相当する。
【0019】
差分位置情報生成部512は、インタフェース511が出力する位置情報Qrに基づいて、位置情報Qrの更新により生じる位置の変化量ΔQrを導出する。差分位置情報生成部512は、位置センサ3が位置情報を出力するタイミング、言い換えれば位置センサ3から位置情報を受信したタイミングに応じて、この位置の変化量ΔQrを演算する。なお、差分位置情報生成部512は、位置の変化量ΔQrを時刻歴情報として出力する。
【0020】
制御周期生成部513は、電力変換装置10の制御演算の周期(制御周期)を規定するタイマーである。制御周期生成部513は、制御周期の時間幅を計数可能なカウンタを備える。制御周期生成部513は、制御器5内で生成される周期TcのクロックCLKを受けて、そのカウンタによってこのクロックCLKを計数して、その計数結果の計数値CNTを出力する。制御周期生成部513は、所定の上限値に達すると、計数値CNTをクリアして、計数を再開する。制御周期生成部513が出力する計数値CNTは、制御周期内の位相に対応付けられている。
【0021】
遅れ時間情報演算部514は、制御周期生成部513が出力する計数値CNTを、位置情報Qrの受信タイミングに同期させてサンプリングして、保持する。遅れ時間情報演算部514は、このサンプリングによって保持された計数値CNTの値を、制御周期Tiの値から減算して遅れ時間Tdを算出する。
【0022】
補償量演算部515は、位置の変化量ΔQrと、遅れ時間Tdとを用いて補償量Qcを算出する。これについて後述する。
【0023】
補償演算部516は、インタフェース511から出力された位置情報Qrと、補償量演算部515によって算出された補償量Qcとに基づいて位置情報Qを生成する。この位置情報Qは、遅れ時間Tdの影響に対する補償がなされたものになる。
【0024】
上記のように構成された電力変換装置10には、位置センサ3が出力する絶対位相の情報がシリアル通信によって周期的に送られる。電力変換装置10は、その位置の検出結果を周期的に受信して、次の受信まで保持する。電力変換装置10は、次の位置の検出結果を受信すると、これまで保持していた検出結果を更新し、これを繰り返す。
ところで位置の検出結果を保持している期間に、電動機2の制御周期のサンプリング時刻が到来する場合がある。この場合には、電力変換装置10は、保持している位置の検出結果を、電動機2の位置制御に利用する。なお、制御周期のサンプリング時刻とは、電動機2を制御するために、電動機2の位置などの状況を示す各種情報を取得するタイミングのことである。
【0025】
なお、比較例の場合、上記のように検出結果の更新が周期的であり、絶対位相が示す位相を検出した時点から遅れて上記の位置制御に利用されることになる。この検出結果の更新から位置制御に利用するためのサンプリングタイミングまでに遅れ時間Tdが生じる。
【0026】
本実施形態の電力変換装置10は、この制御周期に生じた遅れ分を補償する。これについて詳細に説明する。
【0027】
図2を参照して、第1の実施形態の位置の補償量調整について説明する。
図2は、第1の実施形態の位置の補償量調整について説明するための図である。
図2に示すタイミングチャートに、上段から順に、制御周期の位相と、電力変換装置の制御周期、位置情報の更新周期を示す。このタイミングチャートの横軸は時間の経過を示している。
【0028】
図2の最上段の「制御周期の位相」には、連続する三角波が示されている。各三角波の振幅が、制御周期の位相を示す。この三角波の振幅は、制御周期生成部513による計数結果である。そのため、連続的に変化しているように見える三角波は、厳密的には階段状にその値が遷移している。このように、制御周期生成部513の出力の量子化レベルを比較的密になるように設定することで、連続的に変化しているとみなすことができる。
【0029】
図2の上から2段目は、電力変換装置10の各種制御のための演算を実施する制御周期の期間とその位相を示す。この図には、(N-1)、(N)、(N+1)、(N+2)を識別指標として識別される4つの連続した制御周期が描かれている。
【0030】
図2の上から3段目は、位置センサ3が絶対位相の検出結果を出力する周期の期間と位相を示す。この図には、(n-3)、(n-2)、(n-1)、(n)、(n+1)、(n+2)、(n+3)、(n+4)、(n+5)、(n+6)、(n+7)を識別指標として識別される11個の連続した更新周期が描かれている。
3段目に添えて更新周期に夫々取得した検出結果を示す。例えば(n-3)、(n-2)、(n-1)、(n)の更新周期に夫々取得した検出結果を、順にQr(n-3)、Qr(n-2)、Qr(n-1)、Qr(n)と記す。
【0031】
この中で、更新周期(n)の期間内に、次の制御周期である制御周期(N)のサンプリングタイミングが生じている。
更新周期(n)の期間の開始のタイミング(第1タイミング)から、制御周期(N)のサンプリングタイミング(第2タイミング)までの時間を遅れ時間Td(N)と呼ぶ。制御周期(N)に対応する遅れ時間Td(N)を次の式(1)により規定する。
【0032】
Td(N)=Tc*(Ti/Tc-CNT(N)) (1)
【0033】
上記の式(1)内の「CNT(N)」は、更新周期(n)の期間の開始のタイミングのカウンタによる計数値である。
【0034】
上記と同様に、更新周期(n+3)の期間内に、制御周期(N+1)のサンプリングタイミングが生じている。更新周期(n+3)の期間の開始のタイミングから、制御周期(N+1)のサンプリングタイミングまでの時間(時間差)を遅れ時間Td(N+1)と呼ぶ。更新周期(n+3)の期間の開始のタイミングのカウンタによる計数値をCNT(N+1)と記す。
【0035】
また、更新周期(n+7)の期間内に、制御周期(N+2)のサンプリングタイミングが生じている。更新周期(n+7)の期間の開始のタイミングから、制御周期(N+2)のサンプリングタイミングまでの時間(時間差)を遅れ時間Td(N+2)と呼ぶ。更新周期(n+7)の期間の開始のタイミングのカウンタによる計数値をCNT(N+2)と記す。
【0036】
以下、各制御周期のサンプリングタイミングを各制御周期の開始のタイミングに対応付けて、制御周期ごとの遅れ時間Tdの導出についてより具体的に説明する。
【0037】
電力変換装置10は、所定の制御周期(制御周期Tiという。)で電動機2を駆動させるための制御演算を、制御周期Ti内の所定の時点の電動機2の位相に基づいて実施することが要求される。例えば、制御周期Ti内の所定の時点が、制御周期Tiの開始のタイミングに対応付けられている。
なお、電力変換装置10の制御周期Tiに対して、位置センサ3の位相更新周期及びシリアル通信の通信周期が夫々非同期であると仮定する。この条件によれば、電力変換装置10が受信した位置情報が位置制御の演算に利用されるまでに遅れが発生する。そのため、位置制御の演算に利用される時点の実際の位置に対して、電力変換装置10が受信した位置情報が示す位置に、離散時間で演算することによる誤差が生じることになる。
なお、位置センサ3の位相更新周期は、位置センサ3によって検出された位置の位置情報の更新周期と同義である。
【0038】
電力変換装置10の制御周期Tiの調整:
例えば、電力変換装置10の制御周期Tiは、適用するシステムの用途によって決定される。この場合、必要により、その制御周期Tiを、その許容範囲内で標準値から変更するようにしてもよい。
実施形態の位置センサ3は、位相更新周期や電力変換装置10とのシリアル通信の通信周期が予め設定されていて、これを変更することができないものとする。そのために、適用するシステムの用途によって上記のように電力変換装置10の制御周期Tiを調整することがあったとしても、その電力変換装置10の制御周期Tiの調整に応じて、位置センサ3の位相更新周期や電力変換装置10とのシリアル通信の通信周期を変更することができない。
【0039】
本実施形態では、電力変換装置10によって、これの影響を補償する。
【0040】
電力変換装置10の制御周期Tiと位置センサ3の位相更新周期との関係:
電力変換装置10の制御周期Tiに対して、位置センサ3の位相更新周期とシリアル通信の通信周期は十分に速いものとする。
なお、説明を簡単にするため、位置センサ3が位相を更新して直ぐに電力変換装置10へ送信するものとし、その周期をTsとする。つまり前述の図2に示したように、更新周期Tsで位相情報が更新される。電力変換装置10のCPUは、制御周期Tiの周期で制御演算する。このように制御周期Tiが更新周期Tsよりも長いという関係(Ti > Ts)が成り立つ。なお、これらの大小関係が逆(Ti < Ts)になると電力変換装置10として機能させることができない。このため、この条件の場合の検討及び説明を割愛する。
【0041】
電力変換装置10の制御周期Tiの期間内の位相の特定方法:
電力変換装置10は、更新周期Tsよりもさらに短い周期を単位時間にして、電力変換装置10の制御周期Tiの期間内を計数する。
例えば、電力変換装置10の制御周期生成部513は、制御周期Tiの期間の開始時点の数値を0に定め、時間の経過に応じてクロックCLKをカウントアップするカウンタを有する。クロックCLKの繰り返し周期が周期Tcになる。
例えば、制御周期生成部513は、このカウントCNTを、次回の制御周期Tiの始まりでゼロにする。制御周期生成部513は、制御周期Tiの期間の開始時点からの計数を繰り返すことにより、カウントCNTを、0から(Ti/Tc)までの間で変化させることになる。制御周期生成部513は、この計数を常時実施することにより、カウントCNTが制御周期Tiの期間内の位相を示す情報になる。電力変換装置10の制御周期生成部513は、位置情報Qrが更新されたタイミングのカウントCNTを位置情報Qrとともに記録する。
【0042】
遅れ時間Tdの導出:
電力変換装置10の差分位置情報生成部512は、次の制御周期Tiの期間の開始時点になると、最後に更新されたカウントCNTを用いて、最後に更新された位置情報Qrの送信又は受信からどれだけ遅れた情報であるかを示す遅れ時間Tdを計算する。この計算には、前述の式(1)を適用できる。なお、この式(1)に示した関係では、シリアル通信による遅延、揺らぎの影響を無視している。
【0043】
遅れ時間Tdの補償量の導出:
電力変換装置10の差分位置情報生成部512は、位置情報Qrの時刻歴情報を用いて、更新周期Tsごとの位相の変化量ΔQrを算出する。補償量演算部515は、遅れ時間Tdと更新周期Tsごとの位相の変化量ΔQrを用いて、位置情報Qrの補償量Qcを算出する。
補償演算部516は、位置情報Qrと、補償量演算部515によって算出された補償量Qcとに基づいて、補償された位置情報Qを生成する。例えば補償演算部516は、補償量Qcを、これを最新サンプリングの位相Qr(n)に加算して、補正済み位相Q(N)を算出するとよい。この関係を次の式(2-1)から式(2-3)に示す。
【0044】
ΔQr = Qr(n) - Qr(n-1) (2-1)
Qc = ΔQr * Td/Ts (2-2)
Q(N) = Qr(n) + Qc (2-3)
【0045】
上記の実施形態によれば、電動機駆動システム1は、電動機2の位置を第1周期ごとにその位置の検出結果を位置センサ3から出力させて、位置センサ3によって電動機2の位置の検出結果が更新される第1タイミングから、電動機2の制御周期の中で電動機2の位置の情報を第2周期ごとに取得する第2タイミングまでの遅れ時間Tdが生じる電力変換装置である。電動機駆動システム1は、補償量調整部51と、CPU52(制御部)とを備える。補償量調整部51は、第1タイミングから第2タイミングまでの時間(時間差)を計数し、その計数の結果に基づいて、位置の情報を補償するための補償値を生成する。CPU52は、補償した結果の位置の情報と電動機2の位置指令の情報とに基づいて電動機2に対する位置制御を実施する。これにより、位置センサ3による電動機2の位置の検出結果の出力から、その検出結果を制御周期ごとに更新するまでの遅れ時間Tdの影響を軽減することができる。
【0046】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態の変形例について説明する。第1の実施形態では、更新周期Tsの間の検出位置の変化を、検出結果の位置情報Qrの差分から算出して、これを変化量ΔQrとする事例について説明した。これに代えて、本変形例では、変化量ΔQrの計算に移動平均を用いる事例について説明する。
【0047】
図3を参照して、第1の実施形態の変形例の位置の補償量調整について説明する。
図3は、第1の実施形態の変形例の位置の補償量調整について説明するための図である。
図3に示す各情報は、前述の図2と同様である。この図には、具体的な条件を設定した場合の各変数の数値例が開示されている。
【0048】
遅れ時間Tdの補償量の導出の変形例:
補償量Qcの精度を上げる目的で、変化量ΔQrの計算に移動平均をとることも一手法となる。以下の例は単純移動平均であるが、特定の移動平均法に限定するものではなく、また移動回数も任意でよい。変化量ΔQrは、電力変換装置10の制御周期に依存するものでなく、採用する移動平均法の種類、時間窓の長さを決めておくとよい。この関係を次の式(3)に示す。
【0049】
【数1】
【0050】
上記の式(3)における変数mは、移動平均処理の範囲を規定する時間窓に含まれる更新周期の個数を示す自然数である。式(3)によれば、変数kの値を1からmまで変化させたときの差分、つまり(Qr(n-(k-1)) - Qr(n-k))の合計値を、mで除算して、変化量ΔQrが導出される。
【0051】
以下、具体的な数値を適用した演算結果を示す。
【0052】
電力変換装置10の制御周期:Ti = 1000μs
位相の更新周期:Ts = 300μs
カウンタ周期:Tc = 1μs
電動機2の仕様:60Hz、2極の交流電動機、定格回転数3600rpm
加速条件:1秒で、0-100%速度に加速する場合を仮定する。
【0053】
上記の場合、次の変換式に示すように、1ミリ秒あたり「21.6deg」の速度で回転する。
この場合、位相の更新時間Tsの300μs(マイクロ秒)内に「6.48deg」回転することがわかる。
【0054】
3600rpm / 60s = 60rps
60rps / 1000ms = 0.06r/ms
360deg * 0.06r/ms = 21.6deg/ms
21.6deg/ms * (300μs/1000μs) = 6.48deg/(300μs)
【0055】
仮に、位置センサ3が以下のような位相を検出して、これを電力変換装置10に通知したとする。
【0056】
Qr(n-3) = 62deg
Qr(n-2) = 68deg
Qr(n-1) = 74.5deg
Qr(n) = 80.5deg
【0057】
時間窓内の要素を3個(m=3)にした単純移動平均を使用する。この場合の位置の変化量ΔQrを、以下の式を用いて算出する。その演算結果によれば、電動機2の位置の変化量ΔQrは、位相の更新時間Tsの300μs内に「6.17deg」回転したことになる。
【0058】
ΔQr = {(Qr(n) - Qr(n-1)) + (Qr(n-1) - Qr(n-2)) + (Qr(n-2) - Qr(n-3))}/ 3
= {6 + 6.5 + 6} / 3
= 6.17deg
【0059】
一方、上記のように、Qr(n)が「80.5deg」であったときの、カウンタCNT(N)が「830」であったとすれば、遅れ時間Td(N)は、下記の式に示すように「170μs」になる。
Td(N) = Tc * (Ti/Tc - CNT(N))
= 1μs * (1000μs/1μs - 830)
=170μs
【0060】
上記の各変数の数値を用いて解析すると、Qc(N)とQ(N)の大きさが、それぞれ、「3.496deg」と「84deg」とになる。
【0061】
Qc(N) = ΔQr * Td(N)/Ts
= 6.17deg * 170μs/300μs
= 3.496deg
【0062】
Q(N) = Qr(n) + Qc(N)
= 80.5deg + 3.496deg
= 84deg
【0063】
なお、上記と同様の条件を比較例に適用した場合には、Q(N)が、「80.5deg」になる。この値は、補償前のQr(n)の値であり、本実施形態を適用したことで、遅れ時間Tdの影響を軽減できた。
【0064】
本変形例の場合も前述の実施形態と同様の効果を奏する。これのほか、本変形例によれば、位置の検出結果に含まれる偶発的な変動に対する耐性を高めることができる。
【0065】
上記の通り、位相情報の伝送遅延のばらつきが比較的小さければ、電力変換装置10側で実施すれば、位置情報Qrを出力する位置センサ3を利用することができる。
なお、位置情報Qrの差分(変化量ΔQr)は、更新周期Tsに対する位相の変化率とみなすことができる。これは、電動機2の回転速度、周波数と同等の次元を有する変数になる。
【0066】
これに対し、位相情報の伝送遅延のばらつきが制御に影響する場合には、位置情報Qrの差分(変化量ΔQr)の計算を位置センサ3側で実施するとよい。
【0067】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、位置センサ3が位置情報Qrを周期的に出力し、電力変換装置10が、更新周期Tsの間の位置情報Qrの差分(変化量ΔQr)を算出する事例について説明した。本実施形態では、位置センサ3が周期的に位置情報Qrと、位置情報Qrの差分(変化量ΔQr)とを出力する事例について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
図4Aは、第2の実施形態の電動機駆動システム1Aの構成図である。
図4Bは、第2の実施形態の演算部31Aの構成図である。
図4Cは、第2の実施形態の補償量調整部51Aの構成図である。
【0069】
電動機駆動システム1Aは、例えば、電動機2と、位置センサ3Aと、電力変換装置10Aを備える。
【0070】
位置センサ3Aは、位置センサ3と同様に電動機2の軸の絶対位置を検出する。位置センサ3Aは、さらに絶対位置の変化量を導出し、これらを出力する。なお、特記しない場合には、第1の実施形態の位置センサ3を、位置センサ3Aに読み替えるなどにより、第1の実施形態を参照するとよい。
【0071】
図4Bに示すように、位置センサ3Aは、位置センサ本体と、演算部31A(図4A中の記載はFPGA。)とを備える。
位置センサ3Aの演算部31Aは、前述の演算部31に対し、さらに差分位置情報生成部315を備え、出力部316に代わる出力部316Aを備える。
差分位置情報生成部315は、位置情報演算部314によって生成された位置情報Qrに基づいて、位置情報Qrによって示される位置の変化量ΔQrを導出する。差分位置情報生成部315は、この位置の変化量ΔQrを、位置センサ3Aが位置情報Qrを出力するタイミングに合わせて出力する。なお、差分位置情報生成部315は、位置の変化量ΔQrを時刻歴情報として出力してもよい。
出力部316Aは、上記の位置情報Qrと、位置の変化量ΔQrとを関連付けて出力する。
このような位置センサ3Aは、位置情報Qrと、位置の変化量ΔQrとを関連付けた時刻歴情報を出力するとよい。
【0072】
電力変換装置10Aは、電動機2、及び位置センサ3Aに接続されている。
なお、特記しない場合には、第1の実施形態の電力変換装置10を、電力変換装置10A位に読み替えてよい。
【0073】
電力変換装置10Aは、インバータ4と、制御器5Aとを備える。
制御器5Aは、例えば、補償量調整部51A(図4A中の記載はFPGA。)と、CPU52とを含む。
【0074】
図4Cを参照して、制御器5Aの補償量調整部51Aの一例について説明する。
補償量調整部51Aは、補償量調整部51に対して差分位置情報生成部512を備えていないことと、インタフェース511に代えてインタフェース511Aを備えることなどが異なる。
【0075】
インタフェース511Aは、位置センサ3Aからの信号から、周期的に送信される位置情報Qrと、位置の変化量ΔQrとを抽出して出力する。位置情報Qrは、位置センサ3が出力した位置情報に相当する。位置の変化量ΔQrは、補償量演算部515に供給される。
【0076】
なお、本実施形態の補償量演算部515は、更新周期Tsごとの位相の変化量ΔQrをインタフェース511Aから取得する。補償量演算部515は、第1の実施形態と同様に、遅れ時間Tdと更新周期Tsごとの位相の変化量ΔQrを用いて、位置情報Qrの補償量Qcを算出する。
【0077】
このように、位置の変化量ΔQrの計算を位置センサ3A内で実施する場合であっても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、差分位置情報生成部512に代わる差分位置情報生成部315が位置センサ3Aに配置されたことにより、差分位置情報生成部315が生成する位置の変化量ΔQrに、位相情報の伝送遅延のばらつきなどの影響を受けにくくなる。
【0078】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第1、第2の実施形態では、電動機2の位置を0から360度の範囲で規定する事例について説明した。これに代えて本実施形態では、-180度から+180度の範囲で規定する事例について説明する。
【0079】
電動機2の位置を0から360度の範囲で規定すると、1回転すると位置を示す値が0度に戻るため、位置の今回値から前回値の単純な減算を行うと、変化量ΔQrの値が、正規の値よりも大きく外れてしまうことがある。
このような場合には、1回転360度を、-180度から+180度の範囲とその極性とを利用して、条件分けした演算規則を定める。位置の今回値と前回値の極性が変わる境界部分にあたる場合に、条件分岐により処理を分けるとよい。
【0080】
例えば、位置の差分の極性が負から正に変わるときには、下記の式(4)が成立し、この場合には、式(5)を利用する。
【0081】
Qr(n-1) < 0 ∧ Qr(n) > 0 (4)
ΔQr = 180°+ Qr(n) - |Qr(n-1)| (5)
【0082】
また、位置の差分の極性が正から負に変わるときには、下記の式(6)が成立し、この場合には、式(7)を利用する。
【0083】
Qr(n-1) > 0 ∧ Qr(n) < 0 (6)
ΔQr = -(180°+ |Qr(n)| - Qr(n-1)) (7)
【0084】
このように条件分けした演算規則を利用することで、変化量ΔQrの値が、正規の値よりも大きく外れてしまうことを抑制できる。
上記の実施形態は、前述の第1、第2の実施形態に組み合わせることができる。
【0085】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、電動機の位置を第1周期ごとに前記位置の検出結果を位置センサから出力させて、前記位置センサによって前記電動機2の位置の検出結果が更新される第1タイミングから、前記電動機の制御周期の中で前記電動機2の位置の情報を第2周期ごとに取得する第2タイミングまでの遅れ時間が生じる電動機駆動システム1において、位置センサによる電動機の位置の検出結果の出力から、その検出結果を制御周期ごとに更新するまでの遅れ時間Tdの影響を軽減することができる。上記の場合、電動機駆動システムは、前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの時間(時間差)を計数し、前記計数の結果に基づいて、前記位置の情報を補償するための補償値を生成する補償量調整部と、前記補償した結果の位置の情報と前記電動機の位置指令の情報とに基づいて前記電動機に対する位置制御を実施する制御部とを備えるとよい。
【0086】
以上説明した実施形態の電動機駆動システム1、1Aにおける制御器5、5A及び位置センサ3、3Aの各機能部の一部又は全部は、例えば、コンピュータの記憶部(メモリなど)に記憶されたプログラム(コンピュータプログラム、ソフトウェアコンポーネント)がコンピュータのプロセッサ(ハードウェアプロセッサ)によって実行されることで実現されるソフトウェア機能部を有していてもよい。なお、制御器5、5A及び位置センサ3、3Aの各機能部の一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなハードウェアによって実現されてもよく、或いはソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、各実施形態の構成は、互いに組み合わせて実施されてもよく、説明を省略した構成部分に適用することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
1、1A…電動機駆動システム、
2…電動機、
3、3A…位置センサ、
4…インバータ、
5、5A…制御器、
10、10A…電力変換装置、
31、31A…演算部、
51、51A…補償量調整部。
【要約】
実施形態の一態様の電力変換装置は、電動機の位置を第1周期ごとに前記位置の検出結果を位置センサから出力させて、前記位置センサによって前記電動機の位置の検出結果が更新される第1タイミングから、前記電動機の制御周期の中で前記電動機の位置の情報を第2周期ごとに取得する第2タイミングまでの遅れ時間が生じる電力変換装置である。前記電力変換装置は、補償量調整部と、制御部とを備える。前記補償量調整部は、前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの時間を計数し、前記計数の結果に基づいて、前記位置の情報を補償するための補償値を生成する。前記制御部は、前記補償した結果の位置の情報と前記電動機の位置指令の情報とに基づいて前記電動機に対する位置制御を実施する。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C