(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ごみクレーン制御装置及びごみクレーン制御方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/02 20060101AFI20240705BHJP
B66C 13/48 20060101ALI20240705BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20240705BHJP
F23G 5/50 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F23G5/02 A
B66C13/48 A
F23G5/44 B
F23G5/50 Q
(21)【出願番号】P 2024525736
(86)(22)【出願日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2023045351
【審査請求日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】P 2022202412
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【氏名又は名称】中村 真生
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼川 暁大
(72)【発明者】
【氏名】小池 純
(72)【発明者】
【氏名】森永 謙二郎
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】豊國 紘基
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-210043(JP,A)
【文献】特開2021-120597(JP,A)
【文献】特開2021-138536(JP,A)
【文献】特開2020-038058(JP,A)
【文献】国際公開第2020/045520(WO,A1)
【文献】特開平11-237012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/02
F23G 5/44
F23G 5/50
B66C 13/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するクレーン制御部と、を備え
、
前記第1判定部は、前記ごみピット内を撮像した撮像画像に基づき、前記受入エリアの所定の範囲における前記草木を含むごみの量が所定の受入許容量を超えた場合に、前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定し、
前記受入許容量は、曜日及び時間帯に応じて設定される、ごみクレーン制御装置。
【請求項2】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するクレーン制御部と、を備え、
前記クレーン制御部は、前記第1判定部によって前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、その他のごみの搬送よりも優先して、前記退避対象の草木を含むごみが前記草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御する、ごみクレーン制御装置。
【請求項3】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するクレーン制御部と、
前記ごみクレーンの動作に関して余裕時間があるか否かを判定する第2判定部と、を備え、
前記クレーン制御部は、前記第2判定部によって前記余裕時間があると判定された場合に、前記草木退避エリアに存在する前記草木を含むごみについて、ごみを混ぜる攪拌動作を行うように、前記ごみクレーンを制御する、ごみクレーン制御装置。
【請求項4】
前記第2判定部は、前記草木を含むごみについての前記攪拌動作に要する時間が、前記ごみクレーンの現在動作及び次回動作の動作間隔に収まる場合に、前記余裕時間があると判定する、請求項
3記載のごみクレーン制御装置。
【請求項5】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するクレーン制御部と、を備え、
前記草木退避エリアは、前記ごみクレーンの動作を妨げないエリアに設定されており、
前記ごみピットは、前記受入エリアが設定される受入ピットと、前記ごみクレーンがごみを炉へ投入する投入動作及びごみを混ぜる攪拌動作を行う投入攪拌ピットと、を有し、
前記草木退避エリアは、前記投入攪拌ピットにおける、前記ごみクレーンが前記投入動作を行う投入エリアから離間した端部に設定されており、
前記投入攪拌ピットについて、前記ごみクレーンが前記受入ピットから前記投入攪拌ピットへのごみの積替動作を行う積替エリア、前記ごみクレーンがごみを混ぜる攪拌動作を行う攪拌エリア、前記ごみクレーンがごみを炉へ投入する投入動作を行う投入エリア、及び、前記草木退避エリアの少なくともいずれか1つを設定するエリア設定部を更に備え、
前記エリア設定部は、前記投入攪拌ピットの全面積の1/100以上1/5以下の広さの範囲内で、前記草木退避エリアに堆積しているごみのレベル、または、前記受入エリアに搬入された草木の量に応じて、前記草木退避エリアの面積を変更する、ごみクレーン制御装置。
【請求項6】
前記草木退避エリアは、前記ごみクレーンの動作を妨げないエリアに設定され、さらに、前記投入エリアから離間し且つ前記攪拌エリアに隣接した位置に設定されている、請求項
5記載のごみクレーン制御装置。
【請求項7】
前記投入攪拌ピットに堆積しているごみの堆積高さを測定するレベルセンサを1つ備え、
前記草木退避エリアは、前記レベルセンサの設置位置から遠い位置、または、前記投入攪拌ピットの端部に設定されている、請求項
5記載のごみクレーン制御装置。
【請求項8】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置が行うごみクレーン制御方法であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて、前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するステップと、を含
み、
前記判定するステップでは、前記ごみピット内を撮像した撮像画像に基づき、前記受入エリアの所定の範囲における前記草木を含むごみの量が所定の受入許容量を超えた場合に、前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定し、
前記受入許容量は、曜日及び時間帯に応じて設定される、ごみクレーン制御方法。
【請求項9】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置が行うごみクレーン制御方法であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて、前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するステップと、を含み、
前記ごみクレーンを制御するステップでは、前記判定するステップにおいて前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、その他のごみの搬送よりも優先して、前記退避対象の草木を含むごみが前記草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御する、ごみクレーン制御方法。
【請求項10】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置が行うごみクレーン制御方法であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて、前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するステップと、
前記ごみクレーンの動作に関して余裕時間があるか否かを判定するステップと、を含み、
前記ごみクレーンを制御するステップでは、前記余裕時間があるか否かを判定するステップにおいて前記余裕時間があると判定された場合に、前記草木退避エリアに存在する前記草木を含むごみについて、ごみを混ぜる攪拌動作を行うように、前記ごみクレーンを制御する、ごみクレーン制御方法。
【請求項11】
ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置が行うごみクレーン制御方法であって、
前記ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて、前記退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、前記退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、前記ごみクレーンを制御するステップと、を含み、
前記ごみピットは、前記受入エリアが設定される受入ピットと、前記ごみクレーンがごみを炉へ投入する投入動作及びごみを混ぜる攪拌動作を行う投入攪拌ピットと、を有し、
前記投入攪拌ピットについて、前記ごみクレーンが前記受入ピットから前記投入攪拌ピットへのごみの積替動作を行う積替エリア、前記ごみクレーンがごみを混ぜる攪拌動作を行う攪拌エリア、前記ごみクレーンがごみを炉へ投入する前記投入動作を行う投入エリア、及び、前記草木退避エリアの少なくともいずれか1つを設定するステップを更に含み、
前記草木退避エリアは、前記ごみクレーンの動作を妨げないエリアに設定され、さらに、前記投入エリアから離間した端部に設定されており、
前記設定するステップでは、前記投入攪拌ピットの全面積の1/100以上1/5以下の広さの範囲内で、前記草木退避エリアに堆積しているごみのレベル、または、前記受入エリアに搬入された草木の量に応じて、前記草木退避エリアの面積を変更する、ごみクレーン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、ごみクレーン制御装置及びごみクレーン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、ごみ処理施設においてごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するシステムが記載されている。このような技術では、例えば、ごみピット内のごみの攪拌状態が把握され、攪拌状態を向上させるようにごみクレーンの動作が制御される。ごみピット内の攪拌状態は、例えば、ごみピット内の画像データに基づき判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6731680号
【文献】特許第6651309号
【文献】特許第6659474号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ごみには草木が含まれる場合がある。草木は、通常のごみと比較して細長く硬い剪定枝が含まれることがあるため、ごみクレーンの通常の開閉作業では落下量にばらつきが出てしまう。このため、草木が含まれるごみの攪拌には、時間を要してしまう。そして、草木がうまく攪拌されずに、一度に多くの草木が炉(焼却炉や溶融炉)に投入されてしまうと、炉の操業が悪化するおそれがあり、また、炉の中において草木のつまり等のトラブルが発生するおそれもある。このため、草木の攪拌状態の要求値は、通常のごみと比較して高い。このような高い攪拌状態を実現する必要があることも、草木が含まれるごみの攪拌に時間を要する要因になっている。草木が含まれるごみの攪拌に時間を要することによって、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化してしまう。
【0005】
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率を向上させることができるごみクレーン制御装置及びごみクレーン制御方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るごみクレーン制御装置は、ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置であって、ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定する第1判定部と、第1判定部によって退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、ごみクレーンを制御するクレーン制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るごみクレーン制御装置では、退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合において、当該退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するようにごみクレーンが制御される。このように、草木を含むごみが、所定の草木退避エリアに退避させられることにより、草木を含むごみについては草木退避エリアに集めることができる。このことで、例えば、草木退避エリアに集められた草木を含むごみについては、ごみクレーンの動作に関して時間に余裕がある際(例えば夜間等)にまとめて攪拌動作を行う等が可能になる。すなわち、ごみクレーンの動作に関して時間に余裕が無い状況においては、攪拌動作に比較的時間を要さない通常のごみ(退避対象の草木を含まないごみ)についての攪拌動作等を行い、時間に余裕がある状況において、草木を含むごみについての攪拌動作を行う等が可能になる。このような構成によれば、攪拌動作に時間を要する草木を含むごみの影響によって、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化することが抑制される。以上のように、本発明の一態様に係るごみクレーン制御装置によれば、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率を向上させることができる。
【0008】
草木退避エリアは、ごみクレーンの動作を妨げないエリアに設定されていてもよい。これにより、草木退避エリアに草木を含むごみを退避させたことによってごみクレーンの動作が妨げられることが回避され、ごみピット内における円滑なごみクレーン動作を実現することができる。
【0009】
ごみピットは、受入エリアが設定される受入ピットと、ごみクレーンがごみを炉へ投入する投入動作及びごみを混ぜる攪拌動作を行う投入攪拌ピットと、を有し、草木退避エリアは、投入攪拌ピットにおける、ごみクレーンが投入動作を行う投入エリアから離間した端部に設定されていてもよい。このような構成によれば、攪拌前の草木を含むごみが誤って炉に投入されることが抑制される。
【0010】
第1判定部は、ごみピット内を撮像した撮像画像に基づき、受入エリアの所定の範囲における草木を含むごみの量が所定の受入許容量を超えた場合に、退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定してもよい。このような構成によれば、攪拌動作に影響を与えうる草木の量を受入許容量として設定することにより、攪拌動作に影響を与えうる草木を含むごみを適切に草木退避エリアに退避させることができる。これにより、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率を適切に向上させることができる。
【0011】
受入許容量は、曜日及び時間帯に応じて設定されてもよい。このような構成によれば、例えば、攪拌動作等にある程度時間をかけることができる時間帯(例えば、ごみの受け入れが少ない時間帯)と、あまり時間をかけることができない時間帯(例えば、ごみの受け入れが多い時間帯)とで、退避対象とするか否かの基準を変更することができ、ごみピットに搬入されるごみの状況に応じて、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率をより向上させることができる。
【0012】
クレーン制御部は、第1判定部によって退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、その他のごみの搬送よりも優先して、退避対象の草木を含むごみが草木退避エリアに退避するように、ごみクレーンを制御してもよい。草木の上に他のごみが積層されると、草木が圧密され、攪拌動作によってもばらまきにくくなる。この点、退避対象の草木を含むごみについて優先的に草木退避エリアに退避されることにより、搬入されてくる新たなごみによって草木が圧密されることが抑制され、攪拌動作が阻害されることを抑制することができる。
【0013】
上記クレーン制御装置は、ごみクレーンの動作に関して余裕時間があるか否かを判定する第2判定部を更に備え、クレーン制御部は、第2判定部によって余裕時間があると判定された場合に、草木退避エリアに存在する草木を含むごみについて、ごみを混ぜる攪拌動作を行うように、ごみクレーンを制御してもよい。このような構成によれば、ごみクレーンの動作に関して余裕時間がある場合に、攪拌動作に時間を要する草木を含むごみの攪拌動作が実施されるので、草木を含むごみの攪拌動作の影響によって、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化することが抑制される。
【0014】
第2判定部は、草木を含むごみについての攪拌動作に要する時間が、ごみクレーンの現在動作及び次回動作の動作間隔に収まる場合に、余裕時間があると判定してもよい。このような構成によれば、ごみクレーンの動作間に草木を含むごみの攪拌動作を終わらせることができるので、草木を含むごみの攪拌動作の影響によって、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化することが抑制される。
【0015】
上記クレーン制御装置は、投入攪拌ピットについて、ごみクレーンが受入ピットから投入攪拌ピットへのごみの積替動作を行う積替エリア、ごみクレーンがごみを混ぜる攪拌動作を行う攪拌エリア、ごみクレーンがごみを炉へ投入する投入動作を行う投入エリア、及び、草木退避エリアの少なくともいずれか1つを設定するエリア設定部を更に備えていてもよい。例えばごみの受け入れがある時間帯とない時間帯によって、投入攪拌ピットにおいて求められるごみクレーンの動作は異なる。この点、各エリアを設定する構成が設けられていることにより、ごみピットに搬入されるごみの状況に応じて各エリアを適宜設定することができ、投入攪拌ピットにおけるごみクレーンの動作効率を向上させることができる。
【0016】
本発明の一態様に係るごみクレーン制御方法は、ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置が行うごみクレーン制御方法であって、ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木を含むごみが搬入されたか否かを判定するステップと、判定するステップにおいて、退避対象の草木を含むごみが搬入されたと判定された場合に、退避対象の草木を含むごみが所定の草木退避エリアに退避するように、ごみクレーンを制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、ごみピット内におけるごみの受入・攪拌効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るごみクレーン制御装置を含むごみ処理設備を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、ごみピット内におけるエリア設定の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、ごみクレーンを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、ごみクレーン制御装置の機能を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、エリア設定に応じた草木の退避を説明する図である。
【
図6】
図6は、撮像画像に基づく草木判定を説明する図である。
【
図7】
図7は、草木退避処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、草木攪拌処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るごみクレーン制御装置1を含むごみ処理設備100を模式的に示す図である。ごみ処理設備100は、ごみクレーン110と、ごみピット130と、プラットフォーム150と、ごみ投入部180と、炉(不図示)と、ごみクレーン制御装置1と、を備えている。なお、
図1においては、後述する仕切壁133(
図2(a)(b)参照)の図示を省略している。
【0021】
炉(不図示)は、ごみ投入部180を介して投入されたごみピット130内のごみGを処理するものである。炉は、例えば、シャフト式ガス化溶融炉等の溶融炉であってもよいし、ストーカ式焼却炉等の焼却炉であってもよい。溶融炉は、ごみGを高温溶融(例えば1,700~1,800℃)により安定・確実に処理し、ごみを無害の溶融物として資源化可能に構成されている。焼却炉は、ごみGを焼却することにより処理するように構成されている。ごみ処理設備100は、さらにボイラと蒸気タービン発電機とを備え、ごみGを処理することにより発電も行う発電プラントであってもよい。
【0022】
プラットフォーム150は、ごみピット130に隣り合うように設けられており、ごみピット130に搬入されるごみを運搬するごみ収集車Cが走行する領域である。プラットフォーム150におけるごみピット130との境界部分には、壁部160が設けられている。壁部160には、複数の受入扉161~166が設けられている。なお、受入扉の数は、上記(6つ)に限定されない。ごみ収集車Cは、プラットフォーム150における走行路151を走行し、いずれかの受入扉161~166の前で停車する。ごみ収集車Cは、他のごみ収集車Cが停車していない受入扉161~166の前に停車する。ごみ収集車Cは、更に、ごみピット130内におけるごみGの状況(ごみGの量等)が考慮されて決定される受入扉161~166の前に停車してもよい。ごみ収集車Cが停車している受入扉161~166が開かれて、ごみ収集車Cからごみが落とし込まれることにより、ごみピット130内にごみGが搬入される。
【0023】
ごみ投入部180は、ごみピット130と炉(不図示)とを接続する部分であり、ごみピット130から投入されたごみGを炉(不図示)の内部に供給する。ごみ投入部180は、炉の上部にあり、炉の構成要素の1つと捉えることもできる。ごみ投入部180は、複数(ここでは一例として2つ)のホッパー181,182を有している。ごみピット130内のごみは、ホッパー181,182に投入されて、ホッパー181,182を通って炉(不図示)に送り込まれる。なお、ホッパー181,182は、同一の炉(不図示)にごみGを供給するものであってもよいし、互いに異なる炉(不図示)にごみGを供給するものであってもよい。
【0024】
ごみピット130は、ごみ収集車Cが搬入するごみGを一時的に貯留する。ごみピット130は、受入ピット131と、投入攪拌ピット132と、を有している(
図2(a)(b)参照)。
図2(a)(b)は、ごみピット130を平面視した図であり、ごみピット130内におけるエリア設定の一例を説明する図である。受入ピット131は、ごみピット130においてごみの受け入れを行う部分である。受入ピット131は、ごみピット130におけるプラットフォーム150寄りの位置に設けられている。投入攪拌ピット132は、ごみクレーン110が、ホッパー181,182を介して炉(不図示)へごみGを投入する投入動作、及び、ごみGを混ぜる攪拌動作を行う部分である。投入攪拌ピット132は、ごみピット130におけるごみ投入部180寄りの位置に設けられている。受入ピット131及び投入攪拌ピット132は、仕切壁133を介して互いに隣り合っている。なお、仕切壁133は、設けられていなくてもよい。
【0025】
ごみピット130においては、後述するごみクレーン制御装置1によって(又は、クレーンオペレータによる手動操作によって)、ごみクレーン110が行う動作に係るエリア設定が行われる。
図2(a)に示されるように、ごみピット130の平面視における各領域は、9(1~9)×4(A~D)の36個の番地に分けられる。当該番地の1つの大きさは、例えば、ごみクレーン110のバケット111(
図3参照。後述)の大きさに応じて設定されていてもよい。また、番地の数は、ごみピット130の大きさに応じて決めてもよい。番地の数や分け方は、その他の方法・考え方により決めてもよい。
【0026】
例えば
図2(a)に示される例では、受入ピット131の1~9×Aの領域が、受入エリア131aに設定されている。また、投入攪拌ピット132の2~9×Dの領域が、投入エリア132a及び攪拌エリア132bの兼用エリアに設定されている。また、投入攪拌ピット132の2~9×B,Cの領域が、積替エリア132cに設定されている。また、投入攪拌ピット132の1×B~Dの領域が、草木退避エリア132dに設定されている。受入エリア131aは、ごみピット130においてごみGの受け入れを行うエリアである。投入エリア132aは、ごみクレーン110がホッパー181,182を介してごみを炉へ投入する投入動作を行うエリアである。攪拌エリア132bは、ごみクレーン110がごみを混ぜる攪拌動作を行うエリアである。積替エリア132cは、ごみクレーン110が受入ピット131から投入攪拌ピット132へごみを移動させる積替動作を行うエリアである。草木退避エリア132dについては後述する。
【0027】
ごみピット130におけるエリア設定は上記に限定されず、例えばごみ収集車Cからのごみの受け入れがない時間帯においては、
図2(b)に示されるように、受入エリア131a、積替エリア132c、及び草木退避エリア132dが設定されずに、投入エリア132a及び攪拌エリア132bのみが設定されてもよい。
図2(b)に示される例では、投入攪拌ピット132の1~9×C,Dの領域が投入エリア132aに設定されており、投入攪拌ピット132の1~9×B~Dの領域が攪拌エリア132bに設定されている。1~9×C,Dの領域は、投入エリア132a及び攪拌エリア132bの兼用エリアに設定されている。なお、
図2(a)(b)に示されるエリア設定は、一例に過ぎず、ごみピット130におけるエリア設定はこれに限定されない。
【0028】
図1に戻り、ごみクレーン110は、ごみピット130内でごみGを運搬するクレーンである。ごみクレーン110は、ごみクレーン制御装置1の制御に応じて、上述した投入動作、攪拌動作、及び積替動作を行う。なお、
図1においては、ごみクレーン110を1台のみ図示しているが、ごみクレーン110は複数台設けられていてもよい。ごみクレーン110の詳細について、
図3を参照して説明する。
【0029】
図3は、ごみクレーン110を模式的に示す図である。
図3に示されるように、ごみクレーン110は、バケット111と、モータ112と、バケット開閉機構113と、ワイヤ114と、ケーシング115と、モータ116と、ケーシング117と、モータ118,119と、車輪120と、を備えている。
【0030】
ワイヤ114は、上下方向に延びており、上端部がケーシング115に収容されたモータ116に接続されると共に、下端部がバケット開閉機構113に接続されている。バケット開閉機構113は、モータ112からの動力に応じてバケット111を開閉動作させる機構である。モータ112は、バケット開閉機構113に動力を与える油圧モータである。バケット111は、ごみGを挟み込むことによりごみGを保持する。
【0031】
ケーシング115は、モータ116を収容するケーシングである。モータ116は、ワイヤ114を巻き上げ/巻き下げするモータである。ケーシング117は、ケーシング115及びロードセル400を収容するケーシングである。ケーシング117の下面には、例えば前後左右4つの車輪120が設けられている。
【0032】
モータ118は、車輪120に動力を与えることにより、車輪120を回転させる走行モータである。車輪120は、レール500上を回転する。これにより、下面に車輪120が取り付けられたケーシング117(及び、ワイヤ114を介してつながったバケット111)がレール500に沿って走行方向に動くことになる。
【0033】
モータ119は、上述した走行方向に交差する方向にケーシング117(及び、ワイヤ114を介してつながったバケット111)を動かす動力を与える横行モータである。
図3においては、モータ119の動力に応じた横行に関するレールの図示を省略している。このように、バケット111は、モータ116に基づき上下方向に動作し、モータ118に基づき走行方向に動作し、モータ119に基づき走行方向に交差する方向に動作する。
【0034】
ロードセル400は、ケーシング115、モータ116、ワイヤ114、モータ112、バケット開閉機構113、バケット111、及びバケット111が保持するごみGの重量を測定する。ロードセル400が重量を測定することにより、バケット111によってごみGが保持された状態であるか否かを、判定することができる。ロードセル400は、例えば、車輪120毎に設けられている。すなわち、ロードセル400は、1台のごみクレーン110につき4つ設けられている。
【0035】
図1に戻り、ごみクレーン制御装置1は、ごみピット130内でごみGを運搬するごみクレーン110の動作を制御する装置である。ごみクレーン制御装置1は、マイクロコンピュータ(CPU)を有すると共に、RAMやROM等の記憶素子(記憶媒体)を有する電子制御ユニットである。ごみクレーン制御装置1は、ごみクレーン110の動作を自動制御する。なお、ごみクレーン制御装置1は、手動操作モードに切り替えられることにより、ごみクレーン110の動作をクレーンオペレータの操作によって手動で制御されてもよい。
【0036】
ごみクレーン制御装置1では、ごみピット130内のごみ性状の把握を可能にするごみピットMAPシステムが採用されている。ごみピットMAPシステムは、ごみピット130内を数値モデル化することにより、ごみGの搬入・移動(受入・積替・攪拌)(運搬・搬送)をトレースし、ごみGの貯留状況を記録する技術である。本システムが活用されることにより、ごみピット130内の全域について、ごみGの堆積状況や性状を継続的に把握することができる。
【0037】
図1に示されるように、ごみピットMAPシステムでは、ごみピット130内の空間が直方体状にメッシュを切って分割され、ごみピット130全体がモデル化されている。各メッシュ(ブロック)は、ごみGの堆積状況や性状を表すパラメータとして、(1)ごみレベル、(2)攪拌回数、(3)ごみ種の3つがデータとして管理されている。
【0038】
ごみレベルは、ごみピット130内のごみ堆積高さを表す指標である。投入動作、積替動作、攪拌動作等のごみクレーン110の動作に応じて、ごみピットMAPシステム内において対象メッシュに対してごみレベルの加減算が行われる。なお、ごみピット130の近辺に設置された電磁波式レベル計等のレベルセンサの測定結果や、ごみクレーン110が着床した際の高さ情報等から、実際のごみ堆積高さが推定され、推定結果に基づきごみピットMAPシステムのごみレベルが補正されてもよい。
【0039】
攪拌回数は、ごみの攪拌度合いを表す指標であり、ごみクレーン110の動作に応じて、ごみピットMAPシステム内において対象メッシュに対して攪拌回数の加算を行う。
【0040】
ごみ種は、画像認識技術を用いることにより、通常のごみと草木を含むごみとを判別・分類し、該当メッシュに記録する。なお、ごみクレーン110の動作によって、ごみGが移動したり炉内に投入されたりした場合には、攪拌回数やごみ種が記録されたごみの移動がトレースされて、該当メッシュの情報が更新される。溶融炉では、幅広い性質のごみの処理が可能であり、焼却灰や掘り起こしごみ等の多種多様な廃棄物が投入される。そのため、溶融炉を安定的に操業するためには、ごみの攪拌に加え、炉内状況に応じた最適なごみ種が炉内に投入されることが重要である。このようなごみ種の選定は、通常、高度な操業の経験値が必要とされる。そのため、炉内状況によってはクレーンオペレータの手動操作によって選択的なごみの投入が行われる場合がある。この点、ごみピットMAPシステムにおいてごみ種が管理されていることにより、自動制御によっても、安定的に溶融炉を操業することができる。
【0041】
このようなごみピットMAPシステムにより、ごみのGの堆積状況や性状を定量的に把握することが可能になり、例えば、ごみピット130内の状況に応じた最適な攪拌を実現することができる。特に、炉(不図示)が溶融炉である場合には、炉内状況に応じた投入ごみの選択も可能になる。
【0042】
上述したように、ごみには草木が含まれる場合がある。ここでの草木とは、例えば樹木の枝を含み得るものである。このような草木(草木ごみ)は、通常のごみと比較して細長く硬いため、また、枝が絡まり一体化することもあるため、ごみクレーン110の通常の開閉作業では落下量にばらつきが出てしまうことがある。このため、草木が含まれるごみの攪拌には、時間を要してしまう。そして、草木がうまく攪拌されずに、一度に多くの草木が炉に投入されてしまうと、炉の操業が悪化するおそれがあり、また、炉の中において草木のつまり等のトラブルが発生するおそれもある。このため、草木の攪拌状態の要求値は、通常のごみと比較して高い。このような高い攪拌状態を実現する必要があることも、草木が含まれるごみの攪拌に時間を要する要因になっている。そして、草木が含まれるごみの攪拌に時間を要することによって、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化してしまうことが考えられる。
【0043】
そこで、本実施形態に係るごみクレーン制御装置1は、草木を含むごみが搬入されたか否かを判定し、搬入された場合には、当該草木を含むごみを所定の草木退避エリアに退避させる。そして、ごみクレーン制御装置1は、ごみクレーン110の稼働時間に余裕がある場合に、退避させていた草木を含むごみの攪拌動作を実施する。これにより、攪拌動作に時間を要する草木を含むごみの影響によって、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化することが抑制される。以下では、上述した草木退避処理及び草木攪拌処理に係るごみクレーン制御装置1の詳細な機能について、
図4~
図6を参照して説明する。
【0044】
図4は、ごみクレーン制御装置1の機能(草木退避処理及び草木攪拌処理に係る機能)を示すブロック図である。
図4に示されるように、ごみクレーン制御装置1は、エリア設定部11と、取得部12と、第1判定部13と、第2判定部14と、クレーン制御部15と、を備えている。
【0045】
エリア設定部11は、投入攪拌ピット132における各エリアを設定する。具体的には、エリア設定部11は、投入攪拌ピット132において、積替エリア132c、攪拌エリア132b、投入エリア132a、及び草木退避エリア132dの少なくともいずれか1つを設定する。例えば
図2(a)に示される例では、上記各エリアが全て設定されている。また、
図2(b)に示される例では、投入エリア132a及び攪拌エリア132bのみが設定されている。なお、エリア設定部11は、受入ピット131における受入エリア131aを設定してもよい。なお、受入エリア131aは、受入ピット131に設定されるか又はされないかの2択であり、投入攪拌ピット132に設定されることはない。
【0046】
図5は、エリア設定に応じた草木の退避を説明する図である。いま、
図5に示されるように、ごみ収集車Cからのごみの受け入れがある時間帯において、エリア設定部11が、投入攪拌ピット132に、投入エリア132aと、攪拌エリア132bと、草木退避エリア132dと、を設定しているとする。
【0047】
草木退避エリア132dは、退避対象の「草木を含むごみ」(以下では、単に「草木G1」と記載する場合がある)を退避させるためのエリアである。退避対象の草木G1が草木退避エリア132dに退避することにより、攪拌に時間を要する草木G1と、通常のごみとが分別されることとなる。なお、草木G1とは、例えば剪定枝のような剪定くず等である。
【0048】
図5に示されるように、草木退避エリア132dは、投入攪拌ピット132における、ごみクレーン110が投入動作を行う投入エリア132aから離間した端部に設定されているとよい。草木退避エリア132dは、投入攪拌ピット132における、壁際の領域であって、炉に向かって両側端部の少なくとも一方の端部に設定されているとよい。また、草木退避エリア132dは、攪拌エリア132bとも重複しない端部に設定されているとよい。このように、草木退避エリア132dは、ごみクレーン110の動作、具体的には投入動作、攪拌動作、積替動作等を妨げないエリアに設定されていると好ましい。なお、草木退避エリア132dは、投入攪拌ピット132においてごみクレーン110の動作を妨げない領域であれば、上記の端部以外に設定されていてもよい。草木退避エリア132dは、投入エリア132aと隣接する位置(離間しない位置)に設定されてもよい。また、草木退避エリア132dは、受入ピット131に設けられていてもよい。草木退避エリア132dの広さ(面積)は、投入攪拌ピット132の全面積の1/100以上1/5以下、例えば1/9に設定されていてもよい。そして、エリア設定部11は、草木退避エリア132dに堆積しているごみのレベル、または、受入エリア131aに搬入された草木の量に応じて、草木退避エリア132dの面積を変更してもよい。草木退避エリア132dは、バケット111一掴みの量に相当する面積以上であってもよい。草木退避エリア132dは、ごみクレーン110の動作を妨げないエリアに設定され、さらに、投入エリア132aから離間し且つ攪拌エリア132bに隣接した位置に設定されていてもよい。
【0049】
図4に戻り、取得部12は、ごみピット130の受入ピット131の受入エリア131a内を撮像した撮像画像を取得する。当該撮像画像は、少なくとも、受入エリア131a内のごみの性状が判別可能となる画像であり、より具体的には、ごみが草木G1を含むか否かが判別可能となる画像である。取得部12は、ごみピット130内を撮影可能な位置に設けられたカメラ300から、上記撮像画像を取得する。
【0050】
第1判定部13は、受入エリア131aに、退避対象の草木G1が搬入されたか否かを判定する(判定するステップ)。第1判定部13は、ごみピット130の受入エリア131a内を撮像した撮像画像に基づき、受入エリア131a内に退避対象の草木G1が搬入されたか否かを判定する。
【0051】
図6は、撮像画像Pに基づく草木判定を説明する図である。第1判定部13は、従来から周知の画像認識技術を用いて、撮像画像Pに示される、ごみピット130の受入エリア131a内のごみGの中から、草木G1を検知する。第1判定部13は、撮像画像Pに基づき、受入エリア131aの所定の範囲における草木G1が所定の受入許容量を超えた場合に、「退避対象」の草木G1が搬入されたと判定してもよい。撮像画像Pからは、例えば、バケット111の1/6程度の断面積に相当する量となった場合に、草木G1であると判定可能になる。或いは、撮像画像Pからは、例えば、100~200kg程度の重量となった場合に、草木G1であると判定可能になる。この場合、受入許容量は、例えば、バケット111一掴みの量の30%程度である0.3トン程度の量とされてもよい。このように、第1判定部13は、撮像画像Pに基づき、草木G1を検知した場合において、当該草木G1が受入許容量を超えた場合に初めて、「退避対象」の草木G1が搬入されたと判定してもよい。
【0052】
なお、受入許容量は、曜日及び時間帯に応じて設定されてもよい。例えば、攪拌動作等にある程度時間をかけることができる時間帯(例えば、ごみの受け入れが少ない時間帯)においては受入許容量が大きく設定され、あまり時間をかけることができない時間帯(例えば、ごみの受け入れが多い時間帯)においてはごみの受け入れ許容量が小さく設定されてもよい。
【0053】
図4に戻り、クレーン制御部15は、第1判定部13によって退避対象の草木G1が搬入されたと判定された場合に、退避対象の草木G1が所定の草木退避エリア132dに退避するように、ごみクレーン110を制御する(制御するステップ)。クレーン制御部15は、詳細には、モータ116,118,119を制御することによりバケット111を退避対象の草木G1の位置に移動させ、モータ112を制御することによりバケット111に草木G1を保持させ、モータ116,118,119を制御することによりバケット111を草木退避エリア132dに移動させ、モータ112を制御することによりバケット111からを草木退避エリア132dに草木G1を落とす。
【0054】
なお、クレーン制御部15は、退避対象の草木G1が搬入されたと判定された場合であっても、攪拌動作等を行う時間が十分にある場合には、上記草木退避エリア132dへの搬送を行わずに、そのまま攪拌を行ってもよい。以下では、退避対象の草木G1が搬入された状態においては十分な時間がなく、まずは草木G1が草木退避エリア132dに搬送されるとして説明する。
【0055】
クレーン制御部15は、第1判定部13によって退避対象の草木G1が搬入されたと判定された場合に、その他の通常のごみの搬送よりも優先して、退避対象の草木G1が草木退避エリア132dに退避するように、ごみクレーン110を制御してもよい。
【0056】
第2判定部14は、草木退避エリア132dに草木G1が存在している状況において、ごみクレーン110の動作に関して余裕時間があるか否かを判定する。草木退避エリア132dに草木G1が存在しているか否かは、例えば、ごみピット130の投入攪拌ピット132内を撮像した撮像画像に基づき判定されてもよい。第2判定部14は、草木G1についての攪拌動作に要する時間が、ごみクレーン110の現在動作及び次回動作の動作間隔に収まる場合に、上記余裕時間があると判定してもよい。第2判定部14は、例えば、直近のごみの投入動作と、その次のごみの投入動作との時間間隔に、草木G1についての攪拌動作に要する時間が収まる場合に、余裕時間があると判定してもよい。第2判定部14は、例えば、互いに連続する投入動作と積替動作との時間間隔に、草木G1についての攪拌動作に要する時間が収まる場合に、余裕時間があると判定してもよい。草木G1の攪拌動作に要する時間は、通常のごみの攪拌に要する時間の3倍以上と見込み、例えば約180秒程度と見込んでもよい。
【0057】
クレーン制御部15は、第2判定部14によって余裕時間があると判定された場合に、草木退避エリア132dに存在する草木G1について攪拌動作を行うように、ごみクレーン110を制御する。クレーン制御部15は、詳細には、モータ116,118,119を制御することによりバケット111を草木退避エリア132dの草木G1の位置に移動させ、モータ112を制御することによりバケット111に草木G1を保持させ、モータ116,118,119を制御することによりバケット111を攪拌エリア132bに移動させ、モータ112を制御することによりバケット111を開き、攪拌エリア132bにおいてばらまき攪拌を行う。なお、余裕時間があると判定された場合には、自動での攪拌動作に代えて、アラーム発出によってクレーンオペレータによる手動操作での攪拌を促してもよい。
【0058】
クレーン制御部15は、第2判定部14によって余裕時間があると判定された場合において、通常のごみについても、攪拌エリア132bで攪拌動作を行うようにごみクレーン110を制御する。これにより、攪拌エリア132bにおいては、草木G1と通常のごみとが層状に重なったごみが生成される。このごみが、攪拌度(攪拌の度合い)の規定値である例えば草木含有率2割以下の要件を満たした場合、当該ごみは十分に攪拌できたごみであると見なされる。その場合、クレーン制御部15は、当該ごみが投入エリア132aに移動するように、ごみクレーン110を制御するとよい。これにより、当該ごみは投入エリア132aにおいて投入動作が行われる。
【0059】
次に、
図7を参照して、ごみクレーン制御装置1が実行する草木退避処理の手順を説明する。
図7は、草木退避処理の手順を示すフローチャートである。
【0060】
図7に示されるように、ごみクレーン制御装置1では、まず、ごみピット130の受入ピット131の受入エリア131a内を撮像した撮像画像が取得される(ステップS1)。
【0061】
つづいて、撮像画像に基づき、受入エリア131aの所定の範囲における草木G1が所定の受入許容量を超えたメッシュが存在するか否かが判定される(ステップS2)。
【0062】
草木G1が受け入れ許容量を超えたメッシュ(ブロック)が存在しない場合には、通常ルールに従い、受入エリア131aにおけるごみが搬送(運搬)される(ステップS3)。例えば、ごみレベルが高いメッシュのごみが優先的に搬送されるとよい。
【0063】
一方で、草木G1が受け入れ許容量を超えたメッシュが存在する場合には、当該メッシュのごみが優先的に草木退避エリア132dに搬送される(ステップS4)。
【0064】
次に、
図8を参照して、ごみクレーン制御装置1が実行する草木攪拌処理の手順を説明する。
図8は、草木攪拌処理の手順を示すフローチャートである。
【0065】
図8に示されるように、ごみクレーン制御装置1では、まず、ごみピット130の投入攪拌ピット132内を撮像した撮像画像が取得される(ステップS11)。
【0066】
つづいて、撮像画像に基づき、草木退避エリア132dに草木G1が存在するか否かが判定される(ステップS12)。
【0067】
草木退避エリア132dに草木G1が存在する場合には、つづいて、余裕時間があるか否かが判定される(ステップS13)。具体的には、直近のごみの投入動作と、その次のごみの投入動作との時間間隔に、草木G1についての攪拌動作に要する時間が収まるか否かが判定される。
【0068】
そして、余裕時間があると判定された場合には、草木退避エリア132dに存在する草木G1についてばらまき攪拌が行われる(ステップS14)。
【0069】
次に、本実施形態に係るごみクレーン制御装置1の作用効果について説明する。
【0070】
ごみクレーン制御装置1は、ごみピット130内でごみを運搬するごみクレーン110の動作を制御するごみクレーン制御装置であって、ごみピット130においてごみの受け入れを行う受入エリア131aに、退避対象の草木G1が搬入されたか否かを判定する第1判定部13と、第1判定部13によって退避対象の草木G1が搬入されたと判定された場合に、退避対象の草木G1が所定の草木退避エリア132dに退避するように、ごみクレーン110を制御するクレーン制御部15と、を備える。
【0071】
本実施形態に係るごみクレーン制御装置1では、退避対象の草木G1が搬入されたと判定された場合において、当該退避対象の草木G1が所定の草木退避エリア132dに退避するようにごみクレーン110が制御される。このように、草木G1が、所定の草木退避エリア132dに退避させられることにより、草木G1については草木退避エリア132dに集めることができる。このことで、例えば、草木退避エリア132dに集められた草木G1については、ごみクレーン110の動作に関して時間に余裕がある際(例えば夜間等)にまとめて攪拌動作を行う等が可能になる。すなわち、ごみクレーン110の動作に関して時間に余裕が無い状況においては、攪拌動作に比較的時間を要さない通常のごみ(退避対象の草木G1を含まないごみ)についての攪拌動作等を行い、時間に余裕がある状況において、草木G1についての攪拌動作を行う等が可能になる。このような構成によれば、攪拌動作に時間を要する草木G1の影響によって、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化することが抑制される。以上のように、本実施形態に係るごみクレーン制御装置1によれば、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率を向上させることができる。また、上記態様によれば、草木G1が炉内に大量投入されることが回避され、草木G1による炉内の詰まり等のトラブルを回避することができる。
【0072】
草木退避エリア132dは、ごみクレーン110の動作を妨げないエリアに設定されていてもよい。これにより、草木退避エリア132dに草木G1を退避させたことによってごみクレーン110の動作が妨げられることが回避され、ごみピット130内における円滑なごみクレーン110の動作を実現することができる。
【0073】
ごみピット130は、受入エリア131aが設定される受入ピット131と、ごみクレーン110がごみを炉へ投入する投入動作及びごみを混ぜる攪拌動作を行う投入攪拌ピット132と、を有し、草木退避エリア132dは、投入攪拌ピット132における、ごみクレーン110が投入動作を行う投入エリア132aから離間した端部に設定されていてもよい。このような構成によれば、攪拌前の草木G1が誤って炉に投入されることが抑制される。
【0074】
第1判定部13は、ごみピット130内を撮像した撮像画像に基づき、受入エリア131aの所定の範囲における草木G1の量が所定の受入許容量を超えた場合に、退避対象の草木G1が搬入されたと判定してもよい。このような構成によれば、攪拌動作に影響を与えうる草木の量を受入許容量として設定することにより、攪拌動作に影響を与えうる草木G1を適切に草木退避エリア132dに退避させることができる。これにより、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率を適切に向上させることができる。
【0075】
受入許容量は、曜日及び時間帯に応じて設定されてもよい。このような構成によれば、例えば、攪拌動作等にある程度時間をかけることができる時間帯(例えば、ごみの受け入れが少ない時間帯)と、あまり時間をかけることができない時間帯(例えば、ごみの受け入れが多い時間帯)とで、退避対象とするか否かの基準を変更することができ、ごみピット130に搬入されるごみの状況に応じて、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率をより向上させることができる。
【0076】
クレーン制御部15は、第1判定部13によって退避対象の草木G1が搬入されたと判定された場合に、その他のごみの搬送よりも優先して、退避対象の草木G1が草木退避エリア132dに退避するように、ごみクレーン110を制御してもよい。草木G1の上に他のごみが積層されると、草木G1が圧密され、攪拌動作によってもばらまきにくくなる。この点、退避対象の草木G1について優先的に草木退避エリア132dに退避されることにより、搬入されてくる新たなごみによって草木G1が圧密されることが抑制され、攪拌動作が阻害されることを抑制することができる。
【0077】
上記ごみクレーン制御装置1は、ごみクレーン110の動作に関して余裕時間があるか否かを判定する第2判定部14を更に備え、クレーン制御部15は、第2判定部14によって余裕時間があると判定された場合に、草木退避エリア132dに存在する草木G1について、ごみを混ぜる攪拌動作を行うように、ごみクレーン110を制御してもよい。このような構成によれば、ごみクレーン110の動作に関して余裕時間がある場合に、攪拌動作に時間を要する草木G1の攪拌動作が実施されるので、草木G1の攪拌動作の影響によって、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化することが抑制される。
【0078】
第2判定部14は、草木G1についての攪拌動作に要する時間が、ごみクレーン110の現在動作及び次回動作の動作間隔に収まる場合に、余裕時間があると判定してもよい。このような構成によれば、ごみクレーン110の動作間に草木G1の攪拌動作を終わらせることができるので、草木G1の攪拌動作の影響によって、ごみピット130内におけるごみの受入・攪拌効率が悪化することが抑制される。
【0079】
上記ごみクレーン制御装置1は、投入攪拌ピット132について、ごみクレーン110が受入ピット131から投入攪拌ピット132へのごみの積替動作を行う積替エリア132c、ごみクレーン110がごみを混ぜる攪拌動作を行う攪拌エリア132b、ごみクレーン110がごみを炉へ投入する投入動作を行う投入エリア132a、及び、草木退避エリア132dの少なくともいずれか1つを設定するエリア設定部11を更に備えていてもよい。例えばごみの受け入れがある時間帯とない時間帯によって、投入攪拌ピット132において求められるごみクレーン110の動作は異なる。この点、各エリアを設定する構成が設けられていることにより、ごみピット130に搬入されるごみの状況に応じて各エリアを適宜設定することができ、投入攪拌ピット132におけるごみクレーン110の動作効率を向上させることができる。
【0080】
エリア設定部11は、投入攪拌ピット132の全面積の1/100以上1/5以下の広さの範囲内で、草木退避エリア132dに堆積しているごみのレベル、または、受入エリア131aに搬入された草木の量に応じて、草木退避エリア132dの面積を変更してもよい。このような構成によれば、他のエリアの広さも考慮した上で、草木退避エリア132dの広さを状況に応じて十分に確保することができる。
【0081】
草木退避エリア132dは、ごみクレーン110の動作を妨げないエリアに設定され、さらに、投入エリア132aから離間し且つ攪拌エリア132bに隣接した位置に設定されていてもよい。このような構成によれば、攪拌前の草木が誤って炉に投入されることを抑制しながら、攪拌時にはスムーズに攪拌前の草木を攪拌エリア132bに移動させて攪拌させやすくすることができる。
【0082】
上記ごみクレーン制御装置1は、投入攪拌ピット132に堆積しているごみの堆積高さを測定するレベルセンサを1つ備え、草木退避エリア132dは、レベルセンサの設置位置から遠い位置、または、投入攪拌ピット132の端部に設定されていてもよい。1つのレベルセンサ(例えばレーザー式センサ、カメラ等)で投入攪拌ピット132のごみの堆積高さを測定する構成の場合、ごみの堆積状況によっては投入攪拌ピット132の全エリアの堆積高さを把握することが困難な場合がある。例えば、投入攪拌ピット132内にごみが突出して高く堆積している部分がある状態では、その高いごみが障壁となって、レベルセンサから遠い位置にあるごみを認識(測定)できないことがあり得る。しかしながら、草木退避エリア132dがレベルセンサの設置位置から遠い位置または投入攪拌ピット132の端部にあれば、草木退避エリア132dに大量の草木を堆積させても、草木がレベルセンサの測定を阻害しないため、レベルセンサによる測定を適切に行うことができる。なお、レベルセンサの設置位置から遠い位置とは、例えば、レベルセンサの設置位置から投入攪拌ピット132の中央までの距離よりも長い距離となる位置であるとよい。
【0083】
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。すなわち、特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。また、上述の「運搬」と「搬送」は同義であり、運搬あるいは搬送には、積替、攪拌、投入、の動作が含まれる。また、攪拌は、ごみが別の場所に移動する場合のみならず、ごみをつかんで同じ場所に落とす、実質的な水平方向の移動がない場合も含み得る。
【符号の説明】
【0084】
1…クレーン制御装置、11…エリア設定部、13…第1判定部、14…第2判定部、15…クレーン制御部、110…ごみクレーン、130…ごみピット、131…受入ピット、131a…受入エリア、132…投入攪拌ピット、132a…投入エリア、132b…攪拌エリア、132c…積替エリア、132d…草木退避エリア。
【要約】
ごみクレーン制御装置は、ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するごみクレーン制御装置であって、ごみピットにおいてごみの受け入れを行う受入エリアに、退避対象の草木が搬入されたか否かを判定する第1判定部と、第1判定部によって退避対象の草木が搬入されたと判定された場合に、退避対象の草木が所定の草木退避エリアに退避するように、ごみクレーンを制御するクレーン制御部と、を備える。