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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】用手換気器具のバッグを圧迫する装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
A61M16/00 390Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020216167
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101836
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】520383957
【氏名又は名称】有限会社ティークラフト
(72)【発明者】
【氏名】徳永 等
(72)【発明者】
【氏名】永渕 克弥
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/202394(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0353192(US,A1)
【文献】特表2013-502270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用手換気器具のバッグの圧迫と、開放と、を行う圧迫装置において、本体と、伸縮するアクチュエータと、前記本体に揺動可能に軸支された圧迫腕と、を備え、
前記アクチュエータは、ガス圧の供給と、ガス圧の切断・放出と、が行われるガス室を有し、前記ガス室へのガス圧の供給によって伸びるよう構成され、
前記圧迫腕は、前記アクチュエータの伸びによって押されて揺動するよう構成され、
前記圧迫腕の揺動による接触により、前記用手換気器具のバッグの圧迫と、開放と、を繰り返すことを特徴とする圧迫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用手換気器具を用いた補助呼吸において、1名でマスクを顔面に密着保持させながらバッグを圧迫することもできるが、1名が両手でマスクを顔面に確実に保持密着させ、もう1名が用手換気器具のバッグを圧迫して換気を行う2人法補助呼吸が推奨されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ハイライト2020アメリカ心臓協会(American Heart Association)CPRおよびECCのガイドライン、p.8、[online]、[2020年12月25日検索]、インターネット<URL: https://cpr.heart.org/-/media/cpr-files/cpr-guidelines-files/highlights/hghlghts_2020eccguidelines_japanese.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
JRC(日本蘇生協議会)が定義する成人に対する心肺蘇生では、高度な気道確保がされていない場合は、30回の胸骨圧迫に対して2回の人工呼吸を行う。高度な気道確保器具を装着したら、胸骨圧迫を続行しながら6秒ごとに1回(1分あたり10回)の人工呼吸。(非特許文献1を参照)を推奨している。用手換気器具を用いた補助呼吸において、1名が両手でマスクを顔面に確実に保持密着させ、もう1名が用手換気器具のバッグを圧迫して換気を行う2人法補助呼吸を推奨している。心肺蘇生を行う救助者は、1人より2人、2人より3人で対応することが心肺蘇生の質の向上につながるが、救助者の人数が足りていない場合は心肺蘇生の質が低下してしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、救助者に代わって用手換気器具のバッグを圧迫する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る用手換気器具のバッグを圧迫する装置は、用手換気器具のバッグの圧迫と、開放と、を行う圧迫装置において、本体と、伸縮するアクチュエータと、前記本体に揺動可能に軸支された圧迫腕と、を備え、前記アクチュエータは、ガス圧の供給と、ガス圧の切断・放出と、が行われるガス室を有し、前記ガス室へのガス圧の供給によって伸びるよう構成され、前記圧迫腕は、前記アクチュエータの伸びによって押されて揺動するよう構成され、前記圧迫腕の揺動による接触により、前記用手換気器具のバッグの圧迫と、開放と、を繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る用手換気器具のバッグを圧迫する装置によれば、救助者に代わって用手換気器具のバッグを圧迫することで心肺蘇生における救助者の作業を軽減し、心肺蘇生の質を向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置を用手換気器具のバッグに装着し、開放した状態の一例を示した図である。
図2図2は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置を用手換気器具のバッグに装着し、圧迫した状態の一例を示した図である。
図3図3は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置の構成要素の一例を示した図である。
図4図4は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置の圧迫した状態の一例を示した図である。
図5図5は、図4における側面図である。
図6図6は、図5におけるA-A線断面図である。
図7図7は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置の開放した状態の一例を示した図である。
図8図8は、図7における側面図である。
図9図9は、図8におけるA-A線断面図である。
図10図10は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置を用手換気器具Jのバッグに装着し、開放した状態の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【実施例1】
【0010】
用手換気器具のバッグ600と、圧迫状態の用手換気器具のバッグ601とで示す用手換気器具とは、例えば、バッグバルブマスク(BMV)である。
【0011】
図1は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置を用手換気器具のバッグに装着し、開放した状態の一例を示した図である。用手換気器具のバッグを圧迫する装置100は、圧迫腕A300と、圧迫腕B310とで用手換気器具のバッグ600の胴部を挟み込むように配置している。本体200は用手換気器具のバッグ600の胴中央から外れた位置に配置している。用手換気器具のバッグ600を救助者が手で圧迫する場合、救助者の手と、用手換気器具のバッグを圧迫する装置100とが干渉しない配置になっている。救助者が用手換気器具のバッグ600を手で圧迫する動作から、用手換気器具のバッグを圧迫する装置100が救助者に代わって用手換気器具のバッグ600を圧迫する動作への移行と、用手換気器具のバッグを圧迫する装置100を休止して救助者が用手換気器具のバッグ600を手で圧迫する動作へ戻すことが容易にできる。
【0012】
図2は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置を用手換気器具のバッグに装着し、圧迫した状態の一例を示した図である。圧迫腕A300と、圧迫腕B310とによって圧迫状態の用手換気器具のバッグ601のように圧迫することができる。
【0013】
図3は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置の構成要素の一例を示した図である。用手換気器具のバッグを圧迫する装置100は、本体200と、伸縮するアクチュエータ230と、本体200に支点A210で軸支された圧迫腕A300と、本体200に支点B220で軸支された圧迫腕B310とを備えている。アクチュエータ230は、ガス圧供給口240へのガス圧供給によって伸びるように構成され、アクチュエータ230の伸びによって圧迫腕A300と、圧迫腕B310とが押されて揺動することができ、圧迫腕A300の圧迫点Aと、圧迫腕B310の圧迫点Bとによって用手換気器具のバッグ600の胴部を圧迫することができる。又は支点B220を固定して本体200と圧迫腕B310とを連結し、アクチュエータ230の伸びによって圧迫腕A300が押されて揺動することができ、圧迫腕A300の圧迫点Aと、圧迫腕B310の圧迫点Bとによって用手換気器具のバッグ600の胴部を圧迫してもよい。アクチュエータ230は、ガス圧供給口240へのガス圧の切断・開放によって伸びようとする力が無くなり、用手換気器具のバッグ600の圧迫が止まる。圧迫状態の用手換気器具のバッグ601は、その自己復元力によって用手換気器具のバッグ600の状態に戻る過程で圧迫腕A300の圧迫点Aと、圧迫腕B310の圧迫点Bとが押し戻され、アクチュエータ230が縮むことによって用手換気器具のバッグ600を開放することができる。
【0014】
アクチュエータ230は、例えば、ガス圧シリンダ(不図示)、又はベローズのような伸縮管(不図示)、又は伸縮する袋(不図示)でもよい。
【0015】
ガス圧供給源520は、例えば、圧縮された、二酸化炭素ガス、酸素ガス、空気、窒素ガス、のようなものを用いてもよい。
【0016】
図4は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置の圧迫した状態の一例を示した図である。圧迫した状態の弁機構500は、ガス圧供給源520からのガス圧をガス圧供給口240に供給することができる。ガス圧供給口240へのガス圧供給は、ガス圧供給時の流量調整弁510によって流量が調整され、アクチュエータ230が伸びる速さを調整することができる。
【0017】
図5は、図4における側面図である。用手換気器具のバッグを圧迫する装置100の圧迫した状態における側面図である。
【0018】
図6は、図5におけるA-A線断面図である。アクチュエータ230は、ピストンA231と、ピストンB232と、ガス室233とを備えている。アクチュエータ230は、ガス圧供給口240へのガス圧供給によってガス室233の圧力が上昇し、ピストンA231と、ピストンB232とを押して間隔が広がることで伸びることができる。ピストンA231は、圧迫腕A300を押して揺動することができる。ピストンB232は、圧迫腕B310を押して揺動することができる。
【0019】
図7は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置の開放した状態の一例を示した図である。開放した状態の弁機構500は、ガス圧供給源520からガス圧供給口240へのガス圧の切断と、ガス圧供給口240のガス圧の放出を行うことができる。ガス圧供給口240のガス圧の放出は、ガス圧放出時の流量調整弁511によって流量が調整され、アクチュエータ230が縮む速さを調整することができる。又はアクチュエータ230の縮む速さを調整する必要がない場合は、ガス圧放出時の流量調整弁511を省いてもよい。
【0020】
図8は、図7における側面図である。用手換気器具のバッグを圧迫する装置100の開放した状態における側面図である。
【0021】
図9は、図8におけるA-A線断面図である。圧迫腕A300と、圧迫腕B310が圧迫状態の用手換気器具のバッグ601に押し戻されてアクチュエータ230が縮むことによってピストンA231と、ピストンB232との間隔が狭まる。ガス室233のガスは、ガス圧供給口240から排出される。
【実施例2】
【0022】
用手換気器具Jのバッグ610で示す用手換気器具Jとは、例えば、ジャクソンリース蘇生回路である。用手換気器具Jのバッグ610は、用手換気器具のバッグ600に比べて柔らかい。
【0023】
図10は、用手換気器具のバッグを圧迫する装置を用手換気器具Jのバッグに装着し、開放した状態の一例を示した図である。圧迫腕AJ301は、圧迫点Aの接触面積を広く構成し、圧迫腕BJ311は、圧迫点Bの接触面積を広く構成して用手換気器具Jのバッグ610を圧迫することができる。ベルト通し401は、圧迫腕AJ301と、圧迫腕BJ311に設け、用手換気器具のバッグ脱落防止ベルト400を通す。用手換気器具のバッグ脱落防止ベルト400は、用手換気器具Jのバッグ610の胴に回して設けることで圧迫腕AJ301と、圧迫腕BJ311との間から用手換気器具Jのバッグ610が脱落することを防止することができる。
【0024】
用手換気器具のバッグ脱落防止ベルト400は、伸縮性のある、例えば、帯ゴムのようなものが好ましい。
【符号の説明】
【0025】
100 用手換気器具のバッグを圧迫する装置
200 本体
210 支点A
220 支点B
230 アクチュエータ
231 ピストンA
232 ピストンB
233 ガス室
240 ガス圧供給口
300 圧迫腕A
301 圧迫腕AJ
310 圧迫腕B
311 圧迫腕BJ
400 用手換気器具のバッグ脱落防止ベルト
401 ベルト通し
500 弁機構
510 ガス圧供給時の流量調整弁
511 ガス圧放出時の流量調整弁
520 ガス圧供給源
600 用手換気器具のバッグ
601 圧迫状態の用手換気器具のバッグ
610 用手換気器具Jのバッグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10