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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】医療機器管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20240708BHJP
   A61G 13/10 20060101ALI20240708BHJP
   A61B 90/98 20160101ALI20240708BHJP
【FI】
G16H40/20
A61G13/10
A61B90/98
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020165957
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057614
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000193612
【氏名又は名称】ミズホ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木谷 一郎
(72)【発明者】
【氏名】北上 健人
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-025941(JP,A)
【文献】特開2012-208542(JP,A)
【文献】特開2019-185656(JP,A)
【文献】特開2017-049831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61G 13/10
A61B 90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術室内に複数配置された医療機器を情報管理する医療機器管理システムであって、
前記医療機器のそれぞれに取り付けられ、個別タグIDが記憶された情報タグと、
無線アンテナを有して、手術室内の患者の近傍に配置されると共に、前記情報タグから送信される前記個別タグIDのみを受信するために受信範囲が手術室内に収まるように制御された情報収集リーダと、
医療機器管理者の近傍に設置され、無線通信ネットワークを介して前記情報収集リーダとつながれ、前記個別タグIDと紐づけられた前記医療機器の個別情報が記憶される情報管理装置とを備え、
前記情報管理装置は、前記情報収集リーダから集められた前記個別タグIDを受信し、受信した該個別タグIDに基づいて、前記医療機器の個別情報を解析し管理し、
前記情報収集リーダは、手術室内に設置された手術台に設けられていることを特徴とする医療機器管理システム。
【請求項2】
手術室内に複数配置された医療機器を情報管理する医療機器管理システムであって、
前記医療機器のそれぞれに取り付けられ、個別タグIDが記憶された情報タグと、
無線アンテナを有して、手術室内の患者の近傍に配置されると共に、前記情報タグから送信される前記個別タグIDのみを受信するために受信範囲が手術室内に収まるように制御された情報収集リーダと、
医療機器管理者の近傍に設置され、無線通信ネットワークを介して前記情報収集リーダとつながれ、前記個別タグIDと紐づけられた前記医療機器の個別情報が記憶される情報管理装置とを備え、
前記情報管理装置は、前記情報収集リーダから集められた前記個別タグIDを受信し、受信した該個別タグIDに基づいて、前記医療機器の個別情報を解析し管理し、
手術室内の、患者から離れた位置に配置され、無線アンテナを有して、前記情報収集リーダに前記個別タグIDを送信する前記情報タグとは異なる前記情報タグから送信される前記個別タグIDを受信する第2の情報収集リーダを備え
前記第2の情報収集リーダは、手術室内のシーリングペンダントに設けられていることを特徴とする医療機器管理システム。
【請求項3】
前記情報収集リーダ及び前記第2の情報収集リーダは、前記情報タグの前記個別タグIDを受信する範囲が互いに干渉しないように、かつ、手術室内に収まるように受信範囲を制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の医療機器管理システム。
【請求項4】
前記情報管理装置は、前記手術室とは異なる部屋に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療機器管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術室内に複数配置された医療機器の情報管理を行う医療機器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院の手術室内で使用される医療機器(ME機器)は、その種類が多く膨大な数量となっており、この多種多様で膨大な数量となっている医療機器の、現在位置、使用状況等の情報を管理することは大変な労力を必要としている。このような医療機器の情報を管理するために、例えば、特許文献1には、複数の医療機器のそれぞれに取り付けられたアクティブ型RFIDタグから送信される各医療機器の情報を、予め定められた病院内の複数の場所に設置された、アンテナを有するリーダによって受信し、リーダが受信した各医療機器の情報を、無線通信ネットワークを介して、情報処理装置に伝送し、情報処理装置が伝送された各医療機器の情報に基づいて、医療機器の現在位置、使用状況等の情報を管理する医療機器管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-27628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載された医療機器管理システムのように、アンテナを有するリーダが予め定められた病院内の複数の場所に設置されている場合、アンテナを有するリーダの電波の指向性(強度、方向等)によって、アクティブ型RFIDタグから送信される医療機器の情報をリーダが受信しにくくなる虞がある。また、リーダの電波の指向性の問題を解消するために、多くのリーダを設置するようにしているが、設備コストがかかるという問題がある。
特に、手術室に運ばれた医療機器の使用回数、稼働状況等の把握が重要となることから、手術室内で使用されている医療機器の位置情報を他の情報と関連付けて管理したい場合、複数のアンテナを有するリーダから三角測量により、医療機器の位置情報を管理する方法がある。しかしながら、従来の手法では、アンテナを有するリーダの設置位置によって、リーダが手術室内で使用されている医療機器以外の情報を受信する虞があり、医療機器の位置情報の精度が低くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、設備コストを抑えつつ、手術室内に配置された医療機器の現在位置、使用状況等の情報のみを正確に管理可能な医療機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の態様を例示するものであり、本発明の多様な構成要素の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。以下の各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明を実施する最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、さらに他の構成要素を付加した態様についても、本発明の一態様になり得るものである。
【0007】
(1)手術室内に複数配置された医療機器を情報管理する医療機器管理システムであって、前記医療機器のそれぞれに取り付けられ、個別タグIDが記憶された情報タグと、無線アンテナを有して、手術室内の患者の近傍に配置されると共に、前記情報タグから送信される前記個別タグIDのみを受信するために受信範囲が手術室内に収まるように制御された情報収集リーダと、医療機器管理者の近傍に設置され、無線通信ネットワークを介して前記情報収集リーダとつながれ、前記個別タグIDと紐づけられた前記医療機器の個別情報が記憶された情報管理装置とを備え、前記情報管理装置は、前記情報収集リーダから集められた前記個別タグIDを受信し、受信した該個別タグIDに基づいて、前記医療機器の個別情報を解析し管理し、前記情報収集リーダは、手術室内に設置された手術台に設けられている医療機器管理システム(請求項1の発明に相当)。
(1)項に記載の医療機器管理システムでは、手術室内の患者の近傍に配置させる情報収集リーダの近傍に、個別タグIDを記憶した情報タグを取り付けた複数の医療機器が配置されることで、情報収集リーダが情報タグから送信される個別タグIDを受信し、無線通信ネットワークを介して、個別タグIDが医療機器の個別情報を管理する情報管理装置に送信される。これにより、各医療機器に取付けられた情報タグの個別タグIDが医療機器管理者の近傍に設置された情報管理装置に集められるため、情報管理装置が個別タグIDと紐づけられた医療機器の個別情報を解析処理することにより、医療機器管理者が医療機器の現在位置、使用状況等の情報を正確に管理することが可能となる。
また、情報収集リーダの、情報タグから送信される個別タグIDを受信する受信範囲は、手術室内に収まるように制御されているので、手術室以外(例えば、隣接する部屋、廊下等)に配置された医療機器に取り付けられた情報タグから個別タグIDを受信することがなく、手術室内に運ばれた医療機器の位置情報のみを正確に把握するものとなる。
さらに、手術室内に設置された手術台に乗った患者の近傍に医療機器が集まるため、情報収集リーダを手術台に設けることで、情報収集リーダが情報タグから送信される個別タグIDをより確実に受信するものとなる。
【0008】
(2)項に記載の医療機器管理システムでは、手術室内に複数配置された医療機器を情報管理する医療機器管理システムであって、前記医療機器のそれぞれに取り付けられ、個別タグIDが記憶された情報タグと、無線アンテナを有して、手術室内の患者の近傍に配置されると共に、前記情報タグから送信される前記個別タグIDのみを受信するために受信範囲が手術室内に収まるように制御された情報収集リーダと、医療機器管理者の近傍に設置され、無線通信ネットワークを介して前記情報収集リーダとつながれ、前記個別タグIDと紐づけられた前記医療機器の個別情報が記憶される情報管理装置とを備え、前記情報管理装置は、前記情報収集リーダから集められた前記個別タグIDを受信し、受信した該個別タグIDに基づいて、前記医療機器の個別情報を解析し管理し、手術室内の、患者から離れた位置に配置され、無線アンテナを有して、前記情報収集リーダに前記個別タグIDを送信する前記情報タグとは異なる前記情報タグから送信される前記個別タグIDを受信する第2の情報収集リーダを備え、前記第2の情報収集リーダは、手術室内のシーリングペンダントに設けられている医療機器管理システム(請求項2の発明に相当)。
(2)項に記載の医療機器管理システムでは、手術室内の患者の近傍に配置させる情報収集リーダの近傍に、個別タグIDを記憶した情報タグを取り付けた複数の医療機器が配置されることで、情報収集リーダが情報タグから送信される個別タグIDを受信し、無線通信ネットワークを介して、個別タグIDが医療機器の個別情報を管理する情報管理装置に送信される。これにより、各医療機器に取付けられた情報タグの個別タグIDが医療機器管理者の近傍に設置された情報管理装置に集められるため、情報管理装置が個別タグIDと紐づけられた医療機器の個別情報を解析処理することにより、医療機器管理者が医療機器の現在位置、使用状況等の情報を正確に管理することが可能となる。
また、情報収集リーダの、情報タグから送信される個別タグIDを受信する受信範囲は、手術室内に収まるように制御されているので、手術室以外(例えば、隣接する部屋、廊下等)に配置された医療機器に取り付けられた情報タグから個別タグIDを受信することがなく、手術室内に運ばれた医療機器の位置情報のみを正確に把握するものとなる。
さらに、手術室内の、患者から離れた位置に配置された場所に、第2の情報収集リーダを設置することで、第2の情報収集リーダが、手術室内の患者の近傍に配置させた情報収集リーダから離れた位置に配置された情報タグから個別タグIDを受信するものとなる。これにより、情報タグの電波が手術室内の患者の近傍に配置させた情報収集リーダの無線アンテナに届かない範囲を補うものとなる。特に、第2の情報収集リーダを手術室内のシーリングペンダントに設けることで、手術室内の患者から離れた位置に配置された医療機器に取付けられた情報タグから個別タグIDを受信するものとなり、医療機器の個別情報をより正確に管理するものとなる。
【0009】
(3)上記(2)項において、前記情報収集リーダ及び前記第2の情報収集リーダは、前記情報タグの前記個別タグIDを受信する範囲が互いに干渉しないように、かつ、手術室内に収まるように受信範囲を制御する制御手段を備えている医療機器管理システム(請求項3の発明に相当)。
(3)項に記載の医療機器管理システムでは、情報収集リーダの受信範囲と第2の情報収集リーダの受信範囲とが、制御手段により、互いに干渉しないように制御されているので、同一の情報タグから個別タグIDを受信しにくくなる。また、制御手段により、情報収集リーダ及び第2の情報収集リーダの受信範囲が手術室内に収まるように制御することで、手術室内に配置された医療機器に取付けられた情報タグのみから個別タグIDを受信でき、医療機器の位置情報をより正確に管理することができる。
【0010】
(4)上記(1)又は(2)項において、前記情報管理装置は、前記手術室とは異なる部屋に設けられている医療機器管理システム(請求項4の発明に相当)。
(4)項に記載の医療機器管理システムでは、情報管理装置を手術室とは異なる部屋に設けられていることで、外部(例えば、医療機器管理室、ナースステーション等)から医療機器の現在位置、使用状況等の情報を管理するものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように構成したことにより、設備コストを抑えつつ、手術室内に配置された医療機器の現在位置、使用状況等の情報のみを正確に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の医療機器管理システムの概略ブロック図である。
図2図1に示す情報収集リーダの受信範囲を示す概略平面図である。
図3図1に示す情報収集リーダを手術台に取り付けた状態の概略斜視図である。
図4図1に示す情報収集リーダをシーリングペンダントに取り付けた状態の概略斜視図である。
図5図1に示す情報管理装置のモニタに表示される画面レイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る医療機器管理システムを図1図5に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る医療機器管理システム1は、様々な医療機器(ME機器)3の個別情報(例えば、医療機器3の名称、製造年月日、導入年月日、位置、使用回数、使用時間、故障等)を管理するものである。医療機器管理システム1は、図1に示すように、情報タグ5(5a,5b,5c)と、情報収集リーダ7(7a,7b,7c)と、情報管理装置9とから構成されている。
【0016】
まず、医療機器管理システム1によって情報管理される医療機器の機器類について説明する。
医療機器3として、例えば、i)心電図モニタ、血圧計、電子体温計、パルスオキシメータ等の患者モニタリング機器、ii)除細動器、輸液ポンプ、シリンジポンプ、ペースメーカ、人工心肺装置等の循環補助機器、iii)人工呼吸器、酸素流量計、酸素濃度計、吸引器等の呼吸補助機器、血液透析、血漿交換、腹膜透析等の代謝補助機器、iV)電気メス、超音波手術装置、レーザ手術装置、麻酔器、加温・冷却ブランケット、内視鏡、DVT予防機器等の手術使用機器等の医療機器である。
【0017】
図1を参照して、情報タグ5(5a,5b,5c)は、アクティブ型BLE(Bluetooth Low Energy)タグであり、複数の医療機器3のそれぞれに(複数の医療機器3に対して1対1に)取り付けられている。情報タグ5(5a,5b,5c)は、Bluetooth(登録商標)介して、情報収集リーダ7と無線通信することができるようになっている。情報タグ5a,5b,5cは、図1に示すように、情報タグ5a,5b,5cの動作を制御する制御部11a,11b,11cと、タグID情報である個別タグIDを記憶する記憶部13a,13b,13cと、制御部11a,11b,11cによって記憶部13a,13b,13cから読み出される個別タグIDを載せた電波を送信する無線アンテナ15a,15b,15cと、電源としての内蔵電池17a,17b,17cとから少なくとも構成される。情報タグ5a,5b,5cの個別タグIDは、それぞれに独立したタグIDが設定されている。情報タグ5の、医療機器3に対する取付方法として、例えば、両面テープ、接着剤等により、医療機器3に取付けられる。
【0018】
情報収集リーダ7は、情報タグ5から送信される個別タグIDを受信すると共に、集められた個別タグIDを情報管理装置9に伝送するためのものである。情報収集リーダ7は、無線通信ネットワーク、具体的には、LPWA(Low Power Wide Area)を介して、情報管理装置9と無線通信することができるようになっている。情報収集リーダ7は、手術室内の患者の近傍に配置される、具体的には、手術台29に接続される接続型の情報収集リーダ7aと、手術室内の患者の遠方に配置される、具体的には、シーリングペンダント31に接続される接続型の情報収集リーダ(第2の情報収集リーダ)7bと、手術室2の四隅の二箇所に設置される設置型の情報収集リーダ7cとから構成される。情報収集リーダ7a,7b,7cは、略同一の構成要素を備えており、図1に示すように、情報収集リーダ7a,7b,7cの動作を制御する制御部21a,21b,21cと、集められた個別タグIDを記憶する記憶部23a,23b,23cと、情報タグ5a,5b,5cの無線アンテナ15a,15b,15cから発する電波を受信する無線アンテナ25a,25b,25cと、制御部21a,21b,21cによって記憶部23a,23b,23cから読み出される集められた個別タグIDを載せた電波を送信する無線アンテナ27a,27b,27cと、から少なくとも構成される。情報収集リーダ7a,7b,7cは、外部電源(図示せず)から供給される電力によって動作される。
【0019】
ここで、情報収集リーダ7a,7b,7cは、それぞれの受信範囲(図2に示す一点鎖線で囲む範囲)が手術室2内に収まるように、かつ、同一の情報タグ5a,5b,5cから個別タグIDを受信しにくくするように、制御部21a,21b,21cによって、受信側の無線アンテナ25a,25b,25cの角度、受信タイミングの調整、受信信号の強度測定、周波数帯域の分離(例えば、隣接する受信側の無線アンテナ25a,25b,25cのチャンネルを3チャンネル離す)等を行い、情報収集リーダ7a,7b,7cの受信範囲を制御している(図2参照)。本実施形態では、図1に示すように、情報タグ5aの無線アンテナ15aから発する電波は、情報収集リーダ7aの無線アンテナ25aが受信し、情報タグ5bの無線アンテナ15bから発する電波は、情報収集リーダ7bの無線アンテナ25bが受信し、情報タグ5cの無線アンテナ15cから発する電波は、情報収集リーダ7cの無線アンテナ25cが受信している。但し、医療機器3の設置位置によっては、情報タグ5a,5b,5cから発する電波を受信する情報収集リーダ7a,7b,7cが異なることがある。
なお、情報収集リーダ7a,7b,7cが同一の情報タグ5a,5b,5cから個別タグIDを受信した場合、情報収集リーダ7a,7b,7cから送信された個別タグIDを受け取った情報管理装置9によって、情報収集リーダ7a,7b,7cのいずれか1つから受信されたものとして適宜処理される。これにより、重複検知を防ぐようにしている。
【0020】
情報管理装置9は、医療機器管理者(すなわち、専門技術者、看護師等)の近傍(手術室2とは異なる部屋4)に設置され、情報収集リーダ7から集められた個別IDタグに基づいて、医療機器3の位置、使用状況、使用回数等の情報を管理するためのパーソナルコンピュータ(PC)である。情報管理装置9は、医療機器3の個別情報が予め記憶されており、各医療機器3の個別情報と、この情報に関連する医療機器3に取付けた情報タグ5a,5b,5cの個別タグIDとを紐づけて、紐づけられたデータ(医療機器3の個別情報)を情報管理装置9のデータベースに予め記憶している。情報管理装置9は、例えば図5に示すような画面レイアウト形式で、データベースに記憶された医療機器3の個別情報をモニタ33に表示するようにしている。また、情報管理装置9は、受信された個別タグIDに基づいて解析処理することで、医療機器3の使用日時、使用時間、使用回数、使用頻度等の個別情報をデータとして蓄積するようになっている。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る医療機器管理システム1の作用を説明する。
情報タグ5a,5b,5cを取り付けた複数の医療機器3が手術室2内に適宜配置された状態において(図2参照)、情報タグ5a,5b,5cの無線アンテナ15a,15b,15cから発せられる個別タグIDを載せた電波を手術台29に接続された情報収集リーダ7aの無線アンテナ25a、シーリングペンダント31に接続された情報収集リーダ7bの無線アンテナ25b又は設置型の情報収集リーダ7cの無線アンテナ25cが受信する(図1及び図2参照)。このとき、情報収集リーダ7a,7b,7cの受信範囲は、図2に示すように、それぞれの制御部21a,21b,21cによって、手術室2内に収まるように、かつ、同一の情報タグ5a,5b,5cから個別タグIDを受信しにくくするように、受信側の無線アンテナ25a,25b,25cの角度、受信タイミングの調整、受信信号の強度測定、周波数帯域の分離等を行い、受信範囲を制御している。
【0022】
そして、情報収集リーダ7a,7b,7cは、LPWAを介して、集められた個別タグIDを情報管理装置9に伝送する。情報管理装置9は、伝送された個別タグIDを解析処理し、個別タグIDと紐づけられたデータ(医療機器3の個別情報)をデータベースから読み込むと共に、医療機器3の使用日時、使用時間等の個別情報をデータとして蓄積する。さらに、情報管理装置9は、蓄積した医療機器3の個別情報を解析処理することで、医療機器3のメンテナンスや修理等の時期情報が得られる。
【0023】
そして、情報管理装置9は、図5に示すように、読み込んだデータを画面レイアウト形式で医療機器3の個別情報をモニタ33に表示する。このとき、医療機器管理者がモニタ33に表示された医療機器3の個別情報を見ることで、医療機器3の位置、使用状況、使用回数等の情報を速やかに把握することができると共に、医療機器3の製造年月日、使用回数、使用時間等の情報に基づいて、医療機器3のメンテナンスや修理等の時期を把握することができる。
【0024】
以上、上記構成を有する本発明の実施形態に係る医療機器管理システム1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
各医療機器3に取付けられた情報タグ5a,5b,5cの個別タグIDが医療機器管理者の近傍に設置された情報管理装置9に集められるため、情報管理装置9が個別タグIDを解析処理し、個別タグIDと紐づけられたデータ(医療機器3の個別情報)を画面レイアウト形式でモニタ33に表示することにより、医療機器管理者が医療機器3の現在位置、使用状況等の情報を正確に管理することができる。
【0025】
医療機器管理システム1において、手術時、手術室2内に設置された手術台29に乗った患者の近傍に医療機器3が集まるため、情報収集リーダ7aを手術台29に設けることで、情報収集リーダ7aが情報タグ5から送信される個別タグIDをより確実に受信することができる。
また、情報収集リーダ7bを手術室2内のシーリングペンダント31に設け、情報収集リーダ7cを手術室2の四隅の二箇所に設置することで、手術室2内の患者から離れた位置に配置された医療機器3に取付けられた情報タグ5から個別タグIDを受信することができるので、情報タグ5の電波が手術室2内の患者の近傍に配置させた情報収集リーダ7aの無線アンテナ25aに届かない範囲を補い、手術室2内の必要な範囲における医療機器3の個別情報をより正確、確実に管理することができる。
【0026】
医療機器管理システム1において、情報収集リーダ7a,7b,7cの、情報タグ5a,5b,5cから送信される個別タグIDを受信する受信範囲は、制御部21a,21b,21cによって、手術室2内に収まるように、かつ、互いに干渉しないように制御されているので、手術室以外(例えば、隣接する部屋、廊下等)に配置された医療機器3に取り付けられた情報タグから個別タグIDを受信することがなく、また、同一の情報タグ5a,5b,5cから個別タグIDを受信しにくくなる。その結果、手術室2内に配置された医療機器3に取付けられた情報タグ5a,5b,5cのみから個別タグIDを受信でき、医療機器3の位置情報をより正確に管理することができる。また、情報収集リーダ7の受信範囲を制御しているため、情報収集リーダ7の電波の指向性の問題を解消でき、情報収集リーダ7の設置数が抑えられ、設備コストを抑えることができる。
【0027】
医療機器管理システム1において、情報管理装置9を手術室2とは異なる部屋に設けられていることで、手術室2とは異なる部屋(例えば、医療機器管理室、ナースステーション等)から医療機器3の現在位置、使用状況等の情報を管理することができる。
【0028】
なお、本実施形態に係る医療機器管理システム1は、手術室2内に情報収集リーダ7(7a,7b,7c)を設けているが、手術室2内の広さに応じて、情報収集リーダの設置数、又は、情報収集リーダの受信範囲を適宜変更してもよい。
【0029】
また、本実施形態に係る医療機器管理システム1は、LPWAを介して、情報収集リーダ7a,7b,7cと、手術室2とは異なる部屋に設けた情報管理装置9とが無線通信することができるようになっているが、例えば、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線通信ネットワークを介して、無線通信することができるようにしてもよい。
【0030】
さらに、本実施形態に係る医療機器管理システム1は、手術室2とは異なる部屋に情報管理装置9を設けているが、手術室2内にも設けるようにしてもよい。これにより、手術室2とは異なる部屋で医療機器3の現在位置、使用状況等の個別情報を管理すると共に、手術室2内でも医療機器3の個別情報を管理することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…医療機器管理システム、2…手術室、3…医療機器、5(5a,5b,5c)…情報タグ、7(7a,7b,7c)…情報収集リーダ、9…情報管理装置
図1
図2
図3
図4
図5