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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】橋桁用罫書き装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 1/00 20060101AFI20240708BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240708BHJP
   G01V 1/24 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
E01D1/00 Z
G01C15/00 102Z
G01V1/24
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021110145
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023007111
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-06-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513245048
【氏名又は名称】株式会社免震テクノサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】古畑 成一
(72)【発明者】
【氏名】乙幡 哲也
(72)【発明者】
【氏名】慶秀 康次
(72)【発明者】
【氏名】平野 直人
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-80476(JP,A)
【文献】特開2001-13258(JP,A)
【文献】特開2002-168962(JP,A)
【文献】特開2002-135939(JP,A)
【文献】特開平11-142135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00-24/00
G01V 1/00- 1/52
G01C 15/00
G01D 9/00
G01B 1/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋桁の底面側に固定された橋桁構成材の下面に直接、もしくは間接的に接合され、前記橋桁を支持する下部構造側へ張り出す支持部材と、この支持部材に支持される罫書き棒と、この罫書き棒を昇降自在に支持し、前記支持部材に沿って接合される添え板とを備え、
前記添え板は、水平方向、または水平に近い方向を向いて前記支持部材に支持される支持軸の回りに回転可能に接続され、
前記添え板が直接、もしくは間接的に重なる前記支持部材の受け板と、前記添え板の少なくともいずれか一方の、前記支持軸の上方と下方の少なくともいずれか一方に、前記支持軸の中心を中心とする円弧状の案内溝が形成され、
前記添え板は前記支持部材の前記支持軸に軸支されながら、前記案内溝において前記受け板に固定された状態で接続されることを特徴とする橋桁用罫書き装置。
【請求項2】
前記罫書き棒は上下の少なくとも2箇所において、前記添え板、または前記受け板との間の水平方向の距離の調整が自在に、前記添え板、または前記受け板に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の橋桁用罫書き装置。
【請求項3】
前記添え板の前記罫書き棒側の上下2箇所に、前記罫書き棒を前記添え板に拘束する保持材が前記添え板との間の距離の調整が自在な状態で接続され、上下の少なくともいずれか一方の前記保持材の位置において前記罫書き棒と前記添え板との間に間隔調整材が介在させられていることを特徴とする請求項2に記載の橋桁用罫書き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は橋桁と下部構造との間に設置され、地震時等に橋桁が下部構造に対して相対変位したときに相対変位の軌跡を記録する橋桁用罫書き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震時等に上部構造が下部構造に対して相対変位したときの相対変位の軌跡(オービット)を記録する記録装置(罫書き装置)は上部構造と下部構造のいずれか一方に固定される罫書き具(罫書き棒)と、他方に固定される罫書き板の組み合わせからなり、罫書き具の先端に接続等された罫書き針が罫書き板の上面(表面)等、罫書き針側の面に連続した線を描くことにより罫書き線が罫書き板に記録される(特許文献1~3参照)。
【0003】
この種の罫書き装置は例えば下部構造から分離し、免震装置等を介して下部構造に支持された上部構造の、主に地震時の下部構造に対する揺れの程度を把握する目的で、下部構造と上部構造との間に設置される。このため、この罫書き装置を格別、変更することなく、橋桁とそれを支持する下部構造との間に使用することは可能と言える。
【0004】
但し、図6に示すように橋桁が平面上、曲線状に配置される場合には、橋桁の上面に、曲率中心側が低くなるような傾斜が付けられるため、橋桁の下面側に配置される横桁等の構造材の底面が水平面ではなくなる。この場合、罫書き装置の主要材である罫書き棒の軸方向を構造材の軸線に垂直に向けると、罫書き棒の軸線が鉛直方向に対して傾斜することがあり、使用状態で罫書き棒に曲げモーメントを作用させる可能性がある。
【0005】
罫書き棒の先端に罫書き針が接続される場合には、曲げモーメントによって罫書き針を折損させる可能性があるため、構造材の底面の傾斜に拘わらず、罫書き棒の軸線を鉛直方向に向けて罫書き棒を構造材に接続すべきことになる。
【0006】
構造材の底面の傾斜に拘わらず、罫書き棒の軸線を単純に鉛直方向に向けることは、例えば重力作用方向に懸垂する搖動体を利用すれば、可能になるとも考えられる(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-142135号公報(請求項1、段落0014~0021、図1図3
【文献】特開2001-13258号公報(請求項1、段落0008~0016、図1図2
【文献】特開2002-168962号公報(請求項1、段落0009~0023、図1
【文献】特開2002-135939号公報(請求項1、段落0016~0032、図1図4図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4の搖動体は容器の水平軸に搖動自在に支持されながら、水平軸を中心とする円弧状の開口(表示部)に重力作用方向(鉛直方向)を表示し、搖動体に刻まれた鉛直線と水平線を基準に配線器具を固定するための参考になるに留まり(段落0024)、搖動体自体が罫書き装置の罫書き棒として機能する訳ではない。
【0009】
また橋桁が曲線状に配置される場合、橋桁の上面が傾斜する関係で、橋軸方向が水平面に対して傾斜する場合と橋軸直角方向が水平面に対して傾斜する場合があり、橋軸方向と橋軸直角方向が共に、水平面に対して傾斜する場合には、橋軸方向と橋軸直角方向の二方向の角度調整が必要になる。
【0010】
本発明は上記背景より、上面に傾斜が付けられる橋桁においても、使用状態で罫書き棒に曲げモーメントを作用させない構造の橋桁用罫書き装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明の橋桁用罫書き装置は、橋桁の底面側に固定された橋桁構成材の下面に直接、もしくは間接的に接合され、前記橋桁を支持する下部構造側へ張り出す支持部材と、この支持部材に支持される罫書き棒と、この罫書き棒を昇降自在に支持し、前記支持部材に沿って接合される添え板とを備え、
前記添え板は、水平方向、または水平に近い方向を向いて前記支持部材に支持される支持軸の回りに回転可能に接続され、
前記添え板が直接、もしくは間接的に重なる前記支持部材の受け板と、前記添え板の少なくともいずれか一方の、前記支持軸の上方と下方の少なくともいずれか一方に、前記支持軸の中心を中心とする円弧状の案内溝が形成され、
前記添え板は前記支持部材の前記支持軸に軸支されながら、前記案内溝において前記受け板に固定された状態で接続されることを構成要件とする。
【0012】
「橋桁構成材」は鋼橋、コンクリート橋を問わず、主桁、横桁等の橋桁を構成する構造部材、または付属する非構造部材を指す。「下面」は橋桁構成材の下部構造側を向いた面を指す。「下部構造」は主に橋脚、橋台等である。「直接、もしくは間接的に接合される支持部材」とは、支持部材2が橋桁構成材9に直接、接合される場合と、図1等に示すように何らかの中間部材8を介して間接的に接合される場合があることを言う。橋桁12は下部構造13には、積層ゴム支承、滑り支承、転がり支承等の免震装置等の支承を介し、水平方向に相対変位を生じ得る状態で支持される。
【0013】
請求項1における「罫書き棒を昇降自在に支持する添え板」とは、罫書き棒3が添え板4に対して罫書き棒3の軸方向に相対移動自在に添え板4に支持されることを言う。罫書き棒3は後述のように軸方向が鉛直方向を向くように調整されるため、罫書き棒3の軸方向が相対移動自在に支持されることは、罫書き棒3が鉛直方向に相対移動自在に支持されることでもある。「相対移動自在」は相対移動が拘束されない状態を言う。
【0014】
罫書き棒3が添え板4に昇降自在に支持されることで、支持部材2に固定状態で接続される添え板4が、橋桁12上を走行する車両や列車の通行に起因して橋桁構成材9と共に振動しながらも、罫書き棒3には添え板4から直接、振動が伝達されることが軽減、または遮断される。この結果、橋桁12がその上を走行する車両等の通行時に振動を起こしても、振動に伴って罫書き棒3に不必要な荷重を作用させることが軽減、あるいは回避される。
【0015】
請求項1における「水平方向、または水平に近い方向を向いて支持部材に支持される支持軸」とは、支持部材2に支持される支持軸21の軸線(中心線(軸方向))が水平方向か、水平に対して傾斜しながらも、鉛直方向より水平方向に近い方向を向いていることを言う。「水平方向を向いた支持軸」は支持部材2が横桁構成材9に接合(支持)されたときに、支持部材2の軸線(中心線)が鉛直方向を向き、支持軸21の軸線(中心線)が水平方向を向くことを言い、図3図4に示すように角度が調整された上記中間部材8の介在により支持部材2の軸線が鉛直方向を向いているか、または偶々、横桁構成材9の下面が水平面をなしているようなことを言う。
【0016】
「水平に近い方向」は支持部材2が横桁構成材9に接合されたときに、支持部材2の軸線が鉛直方向に対して傾斜し、支持軸21の軸線(中心線)が水平方向に対して傾斜することを言い、横桁構成材9の下面が水平面に対して傾斜することに伴い、支持部材2の軸線が鉛直方向に対して傾斜し、支持軸21の軸線が水平方向に対して僅かに傾斜することを言う。支持軸21は添え板4と添え板4が重なる受け板22を貫通(挿通)し、添え板4を支持軸21の中心の回りのいずれの向きにも回転自在に支持する。
【0017】
「添え板が支持軸の回りに回転可能に接続され」とは、添え板4が支持軸21の中心の回りにいずれの向きにも回転(揺動)できる状態に接続(連結)されることを言い、添え板4が支持軸21に支持された状態では支持軸21には拘束されないことを言う。添え板4が支持軸21の回りに回転可能に接続されることで、添え板4を受け板22に接合する際に、支持部材2の軸方向が鉛直方向に対して傾斜している場合にも、添え板4の軸方向を鉛直方向に向ける調整が可能になる。
【0018】
添え板4の軸方向が鉛直方向に向けられることで、添え板4に支持される罫書き棒3の軸方向も鉛直方向に向けられる。特に添え板4と罫書き棒3等を含む罫書き棒ユニットの重心より、支持軸21の軸心が上に位置するように重心と軸心の位置を調整しておけば、添え板4が支持軸21に軸支されたときに、自然に罫書き棒3の軸方向を鉛直方向を向けることができる。
【0019】
「添え板が重なる支持部材の受け板と、添え板の少なくともいずれか一方の、支持軸の上方と下方の少なくともいずれか一方に、支持軸の中心を中心とする円弧状の案内溝が形成され」とは、円弧状の案内溝が添え板4にのみ形成される場合と、図2に示すように受け板22にのみ形成される場合と、双方に形成される場合があることを言う。また案内溝22aが支持軸21の上方にのみ形成される場合と、下方にのみ形成される場合と、双方に形成される場合があることを言う。添え板4は支持部材2の受け板22には直接、重なる場合と、何らかの中間材を介して間接的に接合される場合がある。添え板4は受け板22には厚さ方向に重なる。
【0020】
罫書き棒3の軸方向が鉛直方向に向けられた状態で、添え板4は案内溝22aにおいて受け板22に固定状態で接続されるため、案内溝22aにはボルト(ねじ)やピン等の留め具5が挿通し、受け板22に螺合する等により着脱自在に接続され、添え板4を受け板22に拘束する。罫書き棒3の軸方向の調整時には、留め具5は案内溝22a内で添え板4を拘束しない状態にあり、調整後、受け板22への螺合等により添え板4を受け板22に拘束する。
【0021】
案内溝22aが受け板22に形成された場合の図1図2に示す例で言えば、添え板4を厚さ方向(板厚方向)に見たときに、添え板4を支持軸21の回りに自由に回転(揺動)可能にしたまま、罫書き棒3の軸方向を鉛直方向に向けて受け板22に拘束することで、罫書き棒3の軸方向を鉛直方向に向ける調整が可能になる。図1に示すように添え板4の厚さ方向が橋軸方向である場合、添え板4を厚さ方向に見たときの調整は、罫書き棒3を橋軸方向に見たときの、罫書き棒3の軸方向の調整になる。添え板4の厚さ方向が橋軸直角方向である場合には、罫書き棒3を橋軸直角方向に見たときの、罫書き棒3の軸方向の調整になる。
【0022】
すなわち、支持軸21での軸支と案内溝22aを利用した位置調整によって罫書き棒3、または罫書き棒3と添え板4の軸方向を鉛直方向に向けることは、罫書き棒3を橋軸方向か橋軸直角方向等のいずれかの方向に見たときに、支持部材2の軸方向が鉛直方向に対して傾斜しているときに、支持部材2の傾斜に拘わらず、罫書き棒3、または罫書き棒3と添え板4の軸方向を鉛直方向に向けることができることになる。
【0023】
但し、添え板4と受け板22の厚さ方向が橋軸方向を向くか、橋軸直角方向を向くか、それ以外の方向を向くかは問われない。このため、例えば添え板4の厚さ方向が図1-(a)に示すように橋軸方向である場合には、罫書き棒3を橋軸方向に見たときに、支持部材2の軸方向が鉛直方向に対して傾斜している場合に、罫書き棒3の軸方向を鉛直方向に向けることになる。添え板4の厚さ方向が橋軸直角方向である場合には、罫書き棒3を橋軸直角方向に見たときに、支持部材2の軸方向が鉛直方向に対して傾斜している場合に、罫書き棒3の軸方向を鉛直方向に向けることになる。罫書き棒3の軸方向を鉛直方向に向けることは、罫書き棒3を橋軸方向と橋軸直角方向以外の方向に見たときの場合もある。
【0024】
罫書き棒3を添え板4の厚さ方向、すなわち橋軸方向と橋軸直角方向等のいずれか一方向に見たときに、支持部材2の軸方向が鉛直方向に対して傾斜している場合に、罫書き棒3の傾斜を修正することができることで、橋軸方向と橋軸直角方向等の内、少なくとも一方向に見たときに生じている傾斜を修正し、罫書き棒3の軸方向を鉛直方向に向けることが可能になる。この結果、少なくともいずれか一方向の傾斜による曲げモーメントを罫書き棒3に作用させない状態にする、あるいは低減することが可能である。
【0025】
上記の通り、図1に示す例では、添え板4(受け板22)の幅方向が橋軸直角方向を向いているが、罫書き棒3を橋軸直角方向に見たときに、支持部材2の軸方向が鉛直方向に対して傾斜している。この場合には、罫書き棒3が上下の少なくとも2箇所において、添え板4、または受け板22との間の水平方向の距離の調整が自在に、添え板4、または受け板22に接続されることで(請求項2)、案内溝22aを利用した調整と併せ、橋軸方向と橋軸直角方向等の二方向の罫書き棒3の角度調整が可能になる。図1-(a)、(b)中、一点鎖線は鉛直方向を示しているが、角度調整後の罫書き棒3の中心線でもある。
【0026】
罫書き棒3と添え板4、または受け板22との間の水平方向の距離の調整は具体的には、添え板4の罫書き棒3側の上下2箇所に、罫書き棒3を添え板4に拘束する保持材41を添え板4との間の距離の調整が自在な状態で接続し、上下の少なくともいずれか一方の保持材41の位置において罫書き棒3と添え板4との間に間隔調整材(フィラー)6を介在させることで、可能になる(請求項3)。
【0027】
「保持材41を添え板4との間の距離の調整が自在な状態で接続し」とは、図1-(c)に示すように保持材41の長さ方向両側に形成されたフランジ41aを挿通し、添え板4に直接、または添え板4の罫書き棒3側に一体化したナット42に螺入するボルト51を用いて保持材41を添え板4に接続することを言う。
【0028】
図1-(b)は支持部材2の軸線(中心線)が鉛直方向に対して傾斜し、支持部材2の上側が罫書き棒3側に近く、下側が罫書き棒3から遠い状態にある様子を示している。この状態のときには、図1-(c)に実線で示すように上側の保持材41のフランジ41aを添え板4かナット42に接触させながら、二点鎖線で示すように下側の保持材41のフランジ41a及び罫書き棒3と、添え板4かナット42との間に間隔調整材6を介在させることで、添え板4を幅方向(罫書き棒3を橋軸直角方向)に見たとき、罫書き棒3の軸線(中心線)を鉛直方向に向けることが可能になる。間隔調整材6は支持部材2の軸線の鉛直方向に対する傾斜を修正して罫書き棒3の軸線を鉛直方向に向ける役目を持つため、例えば台形状等の断面形状に形成されている。
【0029】
請求項2では罫書き棒3を添え板4の厚さ方向とそれに直交する方向に見たときに、支持部材2の軸方向が鉛直方向に対して傾斜している場合にも、この二方向の傾斜を修正することができるため、いずれの方向にも傾斜のない状態に罫書き棒3を支持部材2に支持させることが可能であり、いずれの方向にも罫書き棒3に曲げモーメントを作用させない状態にする、あるいは低減することが可能である。
【発明の効果】
【0030】
橋桁構成材の下面に接合され、下部構造側へ張り出す支持部材に罫書き棒を昇降自在に支持させ、支持部材に沿って接合される添え板を支持部材に支持される支持軸の回りに回転可能に接続し、添え板が重なる支持部材の受け板と添え板の少なくともいずれか一方に支持軸の中心を中心とする円弧状の案内溝を形成し、添え板を受け板の支持軸に軸支させるため、罫書き棒を添え板の厚さ方向に見たときに、支持部材の軸方向が鉛直方向に対して傾斜している場合に、罫書き棒の傾斜を修正することができる。
【0031】
この結果、橋軸方向と橋軸直角方向等の内、少なくとも一方向に見たときに生じている傾斜を修正し、罫書き棒の軸方向を鉛直方向に向けることができ、少なくともいずれか一方向の傾斜による曲げモーメントを罫書き棒に作用させない状態にする、あるいは低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(a)は橋桁構成材としての横桁の下面に接合された支持部材に罫書き装置を接続した状態を示した、添え板を厚さ方向に見た立面図、(b)は(a)の直交方向の側面図(断面図)、(c)は(a)のx-x線の断面図である。
図2図1に示す支持部材の製作例を示した立面図、(b)は図1に示す罫書き装置を支持した状態での支持部材を示した(a)の側面図である。
図3】(a)は図1の例とは異なる断面形状の橋桁構成材に、軸線を鉛直方向に向けた状態で接合された支持部材に罫書き装置を支持させた様子を示した立面図、(b)は(a)の側面図である。
図4】(a)は図1図3の例とは異なる断面形状の橋桁構成材に、軸線を鉛直方向に向けた状態で接合された支持部材に罫書き装置を支持させた様子を示した立面図、(b)は(a)の側面図である。
図5】(a)は罫書き棒の先端(罫書き針)が罫書き線を描く罫書き板を示した平面図、(b)は(a)に示す罫書き板の下部構造への固定状態を示した立面図である。
図6図1等に示す罫書き装置が設置される曲線橋の形状例と、本橋桁への罫書き装置の設置位置例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は橋桁12の底面側に固定された橋桁構成材9の下面に直接、もしくは間接的に接合され、橋桁12を支持する下部構造13側へ張り出す支持部材2と、支持部材2に支持される罫書き棒3と、罫書き棒3を昇降自在に支持し、支持部材2に沿って接合される添え板4とを備えた罫書き装置1の橋桁構成材9への接続例を示す。
【0034】
橋桁構成材9は主に主桁や横桁等の構造部材であるが、図4に示すように構造部材に補助的に接合される非構造部材であることもある。また図面では橋桁12が鋼橋の例を示しているが、コンクリート橋であることもある。罫書き装置1は主に図6に示すように平面上、湾曲した橋桁12に適用されるが、必ずしもその必要はなく、直線状の橋桁12にも使用される。
【0035】
支持部材2は橋桁構成材9には直接、接合されることもあるが、図1等では橋桁構成材9へのボルト10等による接合のし易さから、図2に示すように支持部材2の上端面に溶接等により一体化した接合板23を介して間接的に橋桁構成材9としての鋼材に接合している。図1は横桁構成材9の軸線(軸方向)が水平方向に対して傾斜し、横桁構成材9の下部フランジ91の下面が水平面に対して傾斜している場合のを示している。
【0036】
図1に示す例では橋桁構成材9の下部フランジ91の下面が水平面に対して傾斜していることに伴い、支持部材2の軸線に垂直な面をなす支持部材2の上端面、または後述の中間部材8の調整材83の上端面を下部フランジ91に接合したとき、図1-(a)、(b)に示すように支持部材2の軸線は鉛直方向に対して傾斜する。図1の例では添え板4を厚さ方向(橋軸方向)に見たときと、幅方向(橋軸直角方向)に見たときに、支持部材2の軸線が鉛直方向に対して傾斜している。図1等に示す橋軸方向と橋軸直角方向は水平方向を指している。
【0037】
図1ではまた、橋桁構成材9の下に接合される罫書き装置1を塵と雨水等から保護するための箱状の防塵カバー7を罫書き装置1の上に設置していることに伴い、支持部材2の接合板23を防塵カバー7の下面側に配置する関係から、接合板23と対になって防塵カバー7を上面側から挟み込む挟持板81を有する中間部材8を橋桁構成材9の下に配置し、接合している。
【0038】
この場合、中間部材8は橋桁構成材9の下部フランジ91の下面に重なって接合される接合板82とこれに対向し、防塵カバー7を挟んで支持部材2の接合板23に接合される挟持板81と、両板81、82をつなぐ調整材(束材)83から構成される。接合板82は下部フランジ91の下面にボルト10等により接合され、挟持板81は防塵カバー7の本体部分を挟んで支持部材2の接合板23にボルト10等により接合される。
【0039】
図1-(a)は罫書き装置1(罫書き棒3)を添え板4の厚さ方向に見たときの様子を、(b)は添え板4の幅方向(面内水平方向)に見たときの様子を示している。また図1に示す例では(a)が橋桁12を橋軸方向に見た状況を、(b)は橋軸直角方向に見た状況を示しているが、添え板4の厚さ方向、または幅方向が橋軸方向であるか、橋軸直角方向であるか、それ以外の方向であるかは問われない。
【0040】
図1-(a)はまた、罫書き棒3を添え板4の厚さ方向に見たとき、支持部材2の軸線(中心線)の上側が鉛直方向に対して右側に傾斜している状況を示している。(b)は罫書き棒3を添え板4の幅方向に見たとき、支持部材2の軸線の上側が鉛直方向に対して左側に傾斜している状況を示しているが、支持部材2の軸線がいずれかの方向に見たときに、鉛直方向に対してどのように傾斜しているか、は罫書き装置1の橋桁12下への設置位置に応じて変化する。
【0041】
罫書き棒3は添え板4に対して揺動(回転)することなく、添え板4に昇降自在に支持されるよう、添え板4の表面側(罫書き棒3側)の面の上下2箇所に固定される保持材41、41に昇降自在に保持され、添え板4との間の水平方向の距離が一定に保たれるよう、拘束される。保持材41は添え板4には図1-(c)に示すように基本的にボルト51等を用いて添え板4、または受け板22との間の水平方向の距離の調整が自在な状態に接続される。
【0042】
保持材41は長さ方向両側にフランジ41aを有する溝形(C形)や山形等の形状をし、フランジ41aにおいて添え板4に重なって接続される。ボルト51の軸部は添え板4自体に形成された雌ねじに螺入するか、添え板4の罫書き棒3側に一体的に接合されたナット(ボルト受け)42に螺入し、螺入深さの調整により添え板4、または受け板22との間の水平方向の距離の調整が自在になる。図1-(c)ではナット42が添え板4の全幅に相当する長さを持っているが、ナット42はボルト51の位置である添え板4の幅方向両側にのみ配置されていればよい。
【0043】
保持材41の接続にボルト51を用いることで、図1-(b)に示すように罫書き装置1(罫書き棒3)を添え板4の幅方向に見たときに、支持部材2の軸方向(軸線)が鉛直方向に対して傾斜している場合に、ボルト51のナット42等への螺入深さの調整により、保持材41が添え板4に拘束し、保持する罫書き棒3と添え板4の表面との間の距離の調整が可能になる。支持部材2の鉛直方向に対する傾斜に伴う罫書き棒3の傾斜は後述のように、上下の少なくともいずれか一方の保持材41の位置において罫書き棒3と添え板4との間に間隔調整材(フィラー)6を介在させることにより修正される。
【0044】
罫書き棒3は添え板4に対しては、上下の保持材41、41に昇降(上下動)が拘束されない状態に保持されることで、昇降自在になる。具体的には罫書き棒3が両保持材41、41に自由に軸方向に相対移動可能に、例えば低摩擦材を介して接触した状態で保持される等により昇降可能になる。
【0045】
図面では罫書き棒3を両保持材41、41に昇降自在に保持させながら、罫書き棒3の先端に装着(連結)された罫書き針31が図5に示す罫書き板11に罫書き線を描くときの筆圧を調整する目的で、上下の保持材41、41に挟まれた区間にコイルスプリング32を介在させている。コイルスプリング32は罫書き棒3本体の、上部の保持材41の下に固定状態で接続された上部係止材33と下部の保持材41の上に接続された下部係止材34との間に介在させられる。
【0046】
図面では特に、罫書き棒3本体の下部係止材34寄りに形成した雄ねじの区間に、内周面に雌ねじを形成した下部係止材34を螺合させ、下部係止材34の位置を調整することで、コイルスプリング32の復元力を調整自在にしている。コイルスプリング32が自然長(復元力が0)のときは、筆圧は罫書き棒3の自重であり、コイルスプリング32が収縮し、これに復元力が与えられたときに、復元力が下部係止材34に下向きに作用し、罫書き棒3が上部係止材33から下向きに押し下げられるため、筆圧は自重だけの場合より上昇する。上部係止材33も螺合や嵌合、その他の手段で罫書き棒3本体に固定状態で接続される。
【0047】
添え板4は図1-(a)、(b)に示すように水平方向、または水平に近い方向を向いて支持部材2に支持される支持軸21の回りに回転可能に接続される。支持軸21が水平方向を向いて支持部材2に支持されるとは、支持部材2の軸線が鉛直方向を向いている場合であり、水平に近い方向を向いて支持されるとは、支持部材2の軸線が鉛直方向に対して僅かに傾斜している場合である。これらの状況は横桁構成材9の、支持部材2の上端部が接合される下部フランジ91の下面が水平面をなしているか、水平面に対して傾斜しているか、に因る。
【0048】
添え板4が直接、もしくは間接的に重なる支持部材2の受け板22と、添え板4の少なくともいずれか一方には、図2-(a)に示すように支持軸21の中心を中心とする円弧状の案内溝22aが形成される。図1等では図2に示すように受け板22に案内溝22aを形成しているが、添え板4に形成することもある。案内溝22aは支持軸21の上方と下方の少なくともいずれか一方に形成される。添え板4の案内溝22aに対応した位置には添え板4を受け板22に固定状態に接続するためのボルト等の留め具5が挿通する挿通孔4aが形成される。
【0049】
添え板4は最終的には支持部材2の受け板22の支持軸21に軸支されながら、案内溝22aにおいて受け板22に固定された状態で接続され、設置状態になる。図面では添え板4を案内溝22aにおいて固定状態で接続されたときの安定性を高めるために、支持軸21の上下2箇所に案内溝22aを形成している。添え板4と受け板22の、支持軸21に対応した位置には図1-(c)、図2-(a)に示すような挿通孔4a、22bが形成され、両挿通孔4a、22bに支持軸21としてのピンやボルト等が挿通する。添え板4の挿通孔4aは受け板22の案内溝22aに対応した位置と、挿通孔22bに対応した位置の3箇所に形成される。
【0050】
上記のように添え板4の挿通孔4aと受け板22の案内溝22aには受け板22の背面に到達する留め具5が挿通し、罫書き棒3の角度調整時には留め具5は弛緩した状態にある。角度調整後、留め具5の軸部に、図示の例では受け板22の背面側からナットを螺合させる等により添え板4が受け板22に固定された状態になり、添え板4を厚さ方向か幅方向に見たときの罫書き棒3の軸線(中心線)が鉛直方向に向けられた状態で支持部材2に拘束される。
【0051】
図1は橋桁構成材9が横桁である場合の罫書き装置1の設置例を示す。橋桁12は図6に示すように平面上、湾曲等している場合があることに伴い、橋桁12の上面が水平面に対して傾斜することがあるため、この例では橋桁構成材9としての例えばH形鋼等の鋼材の下部フランジ91が水平面に対して傾斜している。図1の例ではH形鋼の下部フランジ91が橋軸方向(水平方向)と橋軸直角方向(水平方向)の双方に対して傾斜しているが、傾斜は橋軸方向と橋軸直角方向のいずれか、またはそれ以外の方向に対して傾斜している場合もある他、図4に示すように傾斜がない場合もある。図6中、丸印が罫書き装置1の設置位置例を示す。
【0052】
支持部材2は橋桁構成材9には直接、接合されることもあるが、図1では図2に示すように支持部材2の上端面に溶接等により一体化した接合板23を介して間接的に橋桁構成材9としての鋼材に接合している。図1の例では橋桁構成材9の下部フランジ91の下面が水平面に対して傾斜していることに対応し、(a)、(b)に示すように支持部材2の軸線は鉛直方向に対して傾斜している。図1の例では添え板4を厚さ方向(橋軸方向)に見たときと、幅方向(橋軸直角方向)に見たときに、支持部材2の軸線が鉛直方向に対して傾斜している。
【0053】
添え板4を受け板22に固定する前の状態では、添え板4は支持軸21に軸支されたまま、受け板22の挿通孔22bと案内溝22a、及び添え板4の挿通孔4aを挿通する上記した留め具5に単純に支持された状態にあり、支持軸21の中心の回りに添え板4の面内で自由に回転(揺動)可能な状態にある。この状態で、添え板4と罫書き棒3等を含む罫書き棒ユニットの重心より、支持軸21の軸心が上に位置するように重心と軸心の位置を調整しておくことで、添え板4が支持軸21に軸支されたときに、自然に罫書き棒3の軸線を鉛直方向を向けることができる。図1-(a)は支持部材2の軸線が鉛直方向に対して傾斜していながらも、罫書き棒3の軸線が鉛直方向を向いている様子を示している。
【0054】
添え板4は図1の状態では、支持軸21に軸支されたまま、少なくとも添え板4を厚さ方向に見たとき、罫書き棒3の軸線と添え板4の軸線(軸方向)が鉛直方向を向いた状態にあり、添え板4と罫書き棒3は支持軸21の中心の回りにいずれの向きにも自由に回転(揺動)できる状態にある。「罫書き棒3の軸線と添え板4の軸線が鉛直方向を向いた状態にあること」は、上記のように罫書き棒ユニットの重心より支持軸21の軸心を上に位置させることで生じる。「少なくとも添え板4を厚さ方向に見たとき」とは、添え板4を幅方向に見たときにも、支持部材2の軸線が鉛直方向を向くか否かに拘わらず、添え板4と罫書き棒3の軸線が鉛直方向を向いている場合もあることを意味する。
【0055】
添え板4を厚さ方向に見たときに、図1-(a)に示すように罫書き棒3と添え板4の軸線が鉛直方向を向いていれば、水平二方向の内、少なくとも一方向には罫書き棒3を鉛直方向に向けた状態で支持部材2に支持させることになり、その方向に見たときの支持部材2の軸線の傾斜による、罫書き棒3への曲げモーメントの作用は回避される。罫書き棒3と添え板4の軸線が鉛直方向を向いた状態で、上記のように受け板22の案内溝22aと、それに対応した位置の添え板4の挿通孔4aを挿通する留め具5に螺合するナットを締結する等により、留め具5を案内溝22aに緊結することで、添え板4が受け板22に固定された状態になる。
【0056】
図1-(b)は添え板4を幅方向に見たとき、または罫書き装置1(罫書き棒3)を橋軸直角方向に見た状態で、支持部材2の軸線が鉛直方向に対して傾斜し、罫書き棒3の軸線を鉛直方向に向けたときに、罫書き棒3の上側の軸線と添え板4の表面との間の水平距離が、罫書き棒3の下側の軸線と添え板4の表面との間の水平距離より小さく、上部の保持材41が下部の保持材41よ添え板4に接近している場合の状況を示している。
【0057】
この状況のとき、図1-(b)、(c)に示すように下側の保持材41の位置において罫書き棒3と添え板4との間に間隔調整材6を介在させることで、支持部材2の軸線の傾斜に拘わらず、罫書き棒3の上側の軸線と添え板4表面との間の水平距離と、罫書き棒3の下側の軸線と添え板4表面との間の水平距離を調整し、罫書き棒3の軸線が一点鎖線で示す鉛直方向を向くように修正される。図1-(c)では下側の保持材41の位置に配置された間隔調整材6を二点鎖線で示している。
【0058】
支持部材2の軸線が(b)と逆向きに傾斜している場合には、上側の保持材41の位置において罫書き棒3と添え板4との間に間隔調整材6が介在させられる。罫書き棒3の軸線と上側の添え板4表面との間の水平距離と、罫書き棒3の軸線と下側の添え板4表面との間の水平距離が調整されることで、添え板4を幅方向に見たときの罫書き棒3の軸線が鉛直方向を向いた状態に保たれることになる。
【0059】
保持材41のフランジ41aは図1-(c)に示すようにフランジ41aを挿通する、またはフランジ41aに螺入するボルト51を添え板4の表面に溶接等により一体化したナット(ボルト受け)42に螺入させることで、添え板4に接合される。図1-(c)ではナット42が添え板4の幅と同等の幅を持つように示されているが、ナット42はボルト51の軸部の位置にのみ、配置されていればよい。但し、ナット42が添え板4の幅と同等の幅を持ち、罫書き棒3が添え板4表面ではなく、ナット42に接触する場合には、保持材4のフランジ41aだけがナット42に接触する場合より、罫書き棒3を保持材41で添え板4に保持したときの罫書き棒3と保持材41の安定性が確保され易い。
【0060】
図1-(c)ではまた、間隔調整材6も添え板4の幅と同一の幅を持ち、間隔調整材6が罫書き棒3と保持材41のフランジ41aに接触し、フランジ41aと添え板4との間にも介在しているが、間隔調整材6が罫書き棒3と添え板4との間に介在していれば、保持材4自体が添え板4より遠ざかるため、間隔調整材6はナット42とフランジ41aとの間に介在する必要はない。但し、間隔調整材6がナット42とフランジ41aとの間に介在すれば、保持材41自体の、罫書き棒3の軸心回りの回転に対する安定性が確保される利点がある。図1-(b)の状況のとき、間隔調整材6が上側の保持材41とナット42との間にも介在させられる場合、上側の間隔調整材6の厚さは下側の間隔調整材6の厚さより小さい。
【0061】
図1-(b)に示すように添え板4を幅方向に見たときの罫書き棒3の軸線が鉛直方向を向くことで、(a)に示すように添え板4を厚さ方向に見たときの罫書き棒3の軸線が鉛直方向を向いていることと併せ、罫書き棒3の軸線がいずれの水平方向に見ても鉛直方向を向いた状態になり、支持部材2の軸線の傾斜に拘わらず、罫書き棒3には曲げモーメントを生じさせない状態になる。
【0062】
図3は(a)、(b)に示すように横桁構成材9の軸線(軸方向)が水平方向を向き、下部フランジ91の下面が水平面に対して傾斜している場合の罫書き装置1の設置例を示す。この例では、下部フランジ91の下面の傾斜に拘わらず、支持部材2の軸線を鉛直方向に向けて支持部材2を下部フランジ91に接合できるよう、予め前記した中間部材8の調整材83の上端面を下部フランジ91下面の傾斜に合わせ、挟持板81が水平面をなすように切断してある。調整材83の上端面は調整材83の軸線に対して傾斜する。
【0063】
図3の例では防塵カバー7を挟んで支持部材2の接合板23が接合される中間部材8の挟持板81が水平面をなすことで、添え板4を厚さ方向に見たときと幅方向に見たときのいずれも、支持部材2の軸線が鉛直方向を向く。このため、罫書き棒3の軸線を添え板4の軸線に平行にした状態で罫書き棒3を添え板4に拘束しておけば、罫書き棒3の軸線が鉛直方向を向いた状態で橋桁構成材9に接続し、支持させることができる。図3中、一点鎖線は罫書き棒3の軸線の方向で、鉛直方向を示している。
【0064】
図3の例では罫書き装置1を支持する支持部材2の軸線が鉛直方向を向くため、罫書き棒3の軸線を鉛直方向に向けるための、案内溝22aを利用した添え板4面内方向の角度調整と、間隔調整材6を用いた厚さ方向の角度調整も必要とされない。
【0065】
図4は横桁構成材9が横桁ではなく、主桁の軸方向に沿って配置され、主桁等に支持され、点検等の目的で使用される通路(足場)である場合の、支持部材2の橋桁構成材9への接合例を示す。ここでは、橋桁構成材9に溝形鋼を使用しているが、溝形鋼の下部フランジ91(底面)が水平面をなしているため、図3の例のように中間部材8の調整材83の上端面を軸線に対して傾斜させる必要がない。
【0066】
橋桁構成材9の底面が水平面をなすことで、結果的には図3の例と同様に、添え板4を厚さ方向に見たときと幅方向に見たときのいずれも、支持部材2の軸線が鉛直方向を向く状態になる。従って罫書き棒3の軸線を添え板4の軸線に平行にしておけば、罫書き棒3の軸線が鉛直方向を向いた状態で橋桁構成材9に接続し、支持させることができ、添え板4面内方向と、厚さ方向の角度調整は必要とされない。図4中、一点鎖線は罫書き棒3の軸線の方向で、鉛直方向を示している。
【符号の説明】
【0067】
1……罫書き装置、
2……支持部材、21……支持軸、22……受け板、22a……案内溝、22b……挿通孔、23……接合板、
3……罫書き棒、31……罫書き針、32……コイルスプリング、33……上部係止材、34……下部係止材、
4……添え板、4a……挿通孔、41……保持材、41a……フランジ、42……ナット、
5……留め具、51……ボルト、
6……間隔調整材、
7……防塵カバー、
8……中間部材、81……挟持板、82……接合板、83……調整材、
9……横桁構成材、91……下部フランジ、
10……ボルト、
11……罫書き板、
12……橋桁、13……下部構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6