(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20240708BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240708BHJP
【FI】
H01M50/271 S
H01M50/211
(21)【出願番号】P 2022515748
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(86)【国際出願番号】 KR2021000994
(87)【国際公開番号】W WO2021206278
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043944
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スビン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・キョン・パク
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/066875(WO,A1)
【文献】特開2012-243608(JP,A)
【文献】特開2015-011989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックに含まれる電池モジュールであって、
前記電池パックは、電池パックフレームを備えており、
前記電池モジュールは、
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を収容する下部フレームと、
前記電池セル積層体の上面をカバーする上部プレートと、
前記電池セル積層体の前後面をカバーするエンドプレートと、を含み、
前記上部プレートの両端にはモジュール結合部が形成され、
前記上部プレートの幅全体が、前記下部フレームの両側面間の幅よりも大きく、それにより、前記上部プレートは、前記下部フレームの両側面間の幅よりも突出し、
前記突出した部分に前記モジュール結合部が形成され、
前記モジュール結合部は、前記電池パックフレームと前記上部プレートとを結合するために、内部に結合部材が挿入される空孔構造で形成される電池モジュール。
【請求項2】
前記エンドプレートは、絶縁部材で形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記エンドプレートは、前記下部フレームおよび前記上部プレートの少なくとも1つと接着剤で固定される、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記エンドプレートは、前記下部フレームおよび前記上部プレートの少なくとも1つとフック構造によって結合される、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記モジュール結合部は、前記上部プレートの両側端に沿って複数形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記下部フレームは、底部と、前記底部の両側から折り曲げられ延長されて形成された側面とを含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記上部プレートの幅は、前記下部フレームの両側面間の間隔よりも広い、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項8】
請求項1に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年4月10日付の韓国特許出願第10-2020-0043944号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より詳しくは、剛性を確保し、構造を単純化した電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、モバイル機器および電気自動車などの多様な製品群においてエネルギー源として大いなる関心を受けている。このような二次電池は、化石燃料を使用する既存の製品の使用を代替できる有力なエネルギー資源であって、エネルギーの使用による副産物が発生せず、環境にやさしいエネルギー源として注目されている。
【0004】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量の二次電池構造に対する必要性が高まるにつれ、多数の二次電池が直列/並列に連結された電池モジュールを集合させたマルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0005】
一方、複数の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、電池セルからなる電池モジュールを構成し、このような少なくとも1つの電池モジュールを用いてその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。
【0006】
このような電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、電池セル積層体の前後面をカバーするエンドプレートとを含む。
【0007】
図1は、従来の上部プレートおよびエンドプレートが形成された電池モジュールを示す分解斜視図である。
図2は、分解された
図1の構成が組立てられた様子を示す図である。
【0008】
図1および
図2を参照すれば、従来の電池モジュールは、複数の電池セルが積層形成された電池セル積層体10と、電池セル積層体10の下面および両側面をカバーする下部フレーム20と、電池セル積層体10の上面をカバーする上部プレート30と、電池セル積層体10の前後面をカバーするエンドプレート40とを含むことができる。
【0009】
この時、エンドプレート40の下側には、プレート面から突出形成された2つのモジュール載置部41が形成されているが、電池モジュールに対する振動、衝撃などの物理的な力が加えられる場合、エンドプレート40から突出形成されたモジュール載置部41に応力が集中してモジュール載置部41がエンドプレート40から破断する危険がある。また、電池モジュールに圧縮力が作用する場合にも、モジュール載置部41に荷重が集中し、モジュール載置部41と連結されたエンドプレート40が圧力を受けて変形が発生することによって、エンドプレート内部の電極リード間の短絡現象が起こる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、モジュール載置部による破断の可能性を最小化し、電池モジュールの物理的剛性を確保し、かつ、構造を単純化できる電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することである。
【0011】
本発明の課題は上記の課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を実現するための、本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収容する下部フレームと、前記電池セル積層体の上面をカバーする上部プレートと、前記電池セル積層体の前後面をカバーするエンドプレートとを含み、前記上部プレートの両端にはモジュール載置部が形成される。
【0013】
前記エンドプレートは、絶縁部材で形成される。
【0014】
前記エンドプレートは、前記下部フレームおよび前記上部プレートの少なくとも1つと接着剤で固定される。
【0015】
前記エンドプレートは、前記下部フレームおよび前記上部プレートの少なくとも1つとフック構造によって結合される。
【0016】
前記上部プレートは、前記下部フレームの両側面間の幅よりも突出し、前記突出した部分に前記モジュール載置部が形成される。
【0017】
前記モジュール載置部は、前記上部プレートの両側端に沿って複数形成される。
【0018】
前記モジュール載置部は、空孔構造で形成される。
【0019】
前記下部フレームは、底部と、前記底部の両側から折り曲げられ延長されて形成された側面とを含むことができる。
【0020】
前記上部プレートの幅は、前記下部フレームの両側面間の間隔よりも広い。
【0021】
本発明の他の実施例による電池パックは、前記電池モジュールを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施例による電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、上部プレートに形成された複数のモジュール載置部によるフレームの多点固定構造により、モジュール載置部の破断リスクを最小化し、電池モジュールの物理的剛性を向上させることができ、エンドプレートの代わりに絶縁部材を用いることによって、電池モジュールの構造を単純化させ、電池モジュールの重量を低減できる効果を提供する。
【0023】
本発明の効果は上記の効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来の上部プレートおよびエンドプレートが形成された電池モジュールを示す分解斜視図である。
【
図2】分解された
図1の構成が組立てられた様子を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による上部プレートおよびエンドプレートを含む電池モジュールを示す分解斜視図である。
【
図4】
図3の構成が組立てられた様子を示す図である。
【
図5】上部プレートと下部フレームの角部分がエンドプレートと接着剤で結合される部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明される実施例は発明の理解のために例として示したものであり、本発明は、ここで説明される実施例と異なって多様に変形して実施できることが理解されなければならない。ただし、本発明を説明するにあたり、かかる公知の機能あるいは構成要素に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにし得ると判断された場合、その詳細な説明および具体的な図示を省略する。また、添付した図面は発明の理解のために実際に縮尺通りに示されたものではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されて示される。
【0026】
本出願で使用される第1、第2という用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0027】
また、本出願で使用される用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、権利範囲を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」、「なる」または「構成される」などの用語は、明細書上記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0028】
以下、
図3および
図4を参照して、本発明の一実施例による上部プレートを含む電池モジュールの構成について説明する。
【0029】
図3は、本発明の一実施例による上部プレートおよびエンドプレートを含む電池モジュールを示す分解斜視図である。
図4は、
図3の構成が組立てられた様子を示す図である。
【0030】
図3および
図4を参照すれば、本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体100と、電池セル積層体を収容する下部フレーム200と、電池セル積層体の上面をカバーする上部プレート300と、電池セル積層体100の前後面をカバーするエンドプレート400とを含み、上部プレート300の両端にはモジュール載置部310が形成される。下部フレーム200は、一例として、U字状フレーム構造を有することができ、この時、下部フレーム200は、底部と、前記底部の両側から折り曲げ延長されて電池セル積層体100の側面を覆う側面とから構成される。
【0031】
本実施例による電池セルは二次電池であって、パウチ型二次電池で構成される。このような電池セルは複数構成され、複数の電池セルは、相互に電気的に連結できるように相互に積層されて電池セル積層体100を形成することができる。複数の電池セルはそれぞれ、電極組立体と、セルケースと、電極組立体から突出した電極リードとを含むことができる。
【0032】
下部フレーム200は、電池セル積層体100の下面および両側面をカバーするように形成され、上部プレート300は、電池セル積層体100の上面をカバーするように形成される。下部フレーム200の両側面の上端角は、上部プレート300の下面と結合される。下部フレーム200は、底部と、底部の両側から折り曲げ延長されて形成された側面とを含むことができる。
【0033】
エンドプレート400は、電池セル積層体100の前後面をカバーするように形成される。エンドプレート400は、上部プレート300の両側角部分および下部フレーム200の両側角部分と互いに結合することができる。下部フレーム200、上部プレート300およびエンドプレート400により、フレーム構造の内部に位置した電池セル積層体100およびこれに連結された電装品を物理的に保護することができる。
【0034】
ヒートシンク500は、下部フレーム200の下部に形成される。ヒートシンク500は、ヒートシンクの骨格を形成し、下部フレーム200の底部と接触する下部プレート510と、ヒートシンク500の一側に形成されて、外部からヒートシンク500の内部に冷媒を供給するインレット520と、ヒートシンクの一側に形成されて、ヒートシンク500の内部で流動した冷媒がヒートシンク500の外部に流出するようにするアウトレット530と、インレット520とアウトレット530とを連結し、冷媒が流動する流路部540とを含むことができる。
【0035】
本発明の一実施例によれば、流路部540は、下部フレーム500の底部下面と接触する下部プレート510が下側に陥没形成された構造を指すことができる。流路部540の上側は開放されることによって、流路部540と下部フレーム200の底部との間に流路が形成され、前記流路を通して冷媒が流動することができる。つまり、本実施例による電池モジュールは、ヒートシンク500が下部フレーム200の底部に結合された冷却一体型構造に形成される。
【0036】
従来は、下部フレームの下側に冷媒が流れる構造が別途に形成されていて、モジュールフレームを間接的に冷却するしかなかったので冷却効率が低下し、別途の冷媒流動構造が形成されていて、電池モジュールおよび電池モジュールが装着された電池パック上の空間活用率が低くなる問題があった。しかし、本発明の一実施例によれば、下部フレーム200の下部にヒートシンク500を一体化させた構造を採用して、流路部540と下部フレーム200の底部との間に冷媒が直接流動可能になることによって、直接冷却による冷却効率が上昇し、ヒートシンク500が下部フレーム200の底部と一体化された構造により、電池モジュールおよび電池モジュールが装着された電池パック上の空間活用率をより向上させることができる。
【0037】
本発明の一実施例によれば、上部プレート300の両端にはモジュール載置部310が形成される。本実施例において、上部プレート300の左右幅は、下部フレーム200の両側面間の間隔よりも広い。この時、上部プレート300においてモジュール載置部310が形成された部分は、下部フレーム200の両側面間の幅を基準として外側により突出した上部プレート300部分であってもよい。モジュール載置部310は、上部プレート300の両側端に沿って一定間隔で複数形成される。モジュール載置部310は、空孔構造で形成される。前記空孔構造のモジュール載置部310に結合部材が挿入されて電池パックフレームと上部プレート300とを結合させることができる。
【0038】
従来は、
図1および
図2に示されているように、2つのエンドプレートの下端にエンドプレートのプレート面と垂直な方向に突出形成されたモジュール載置部がエンドプレートごとに2つずつ形成されていた。このようにエンドプレートの下端に2つずつモジュール載置部が形成される場合、外部の力が作用する際、2つのモジュール載置部に応力が集中して、突出形成されたモジュール載置部またはエンドプレートが破断し、またはエンドプレートに変形が発生して、電極リード間の短絡が発生する危険があった。
【0039】
しかし、本発明の一実施例によれば、上部プレート300の両端に複数のモジュール載置部310を形成して、かつて4つのモジュール載置部だけで形成されていた電池モジュールの4点固定構造が、本発明のように複数のモジュール載置部310による多点固定構造に発展することによって、電池モジュールおよび電池モジュールと結合された電池パックの物理的剛性を向上させることができる。また、かつて鋳造工法で製造していたエンドプレート固定構造の代わりに、プレス工法で製造された上部プレート300に固定構造を形成することができる。
【0040】
以下、
図3および
図5を参照して、本発明の一実施例による絶縁部材で形成されたエンドプレートを含む電池モジュールについて説明する。
【0041】
図5は、上部プレートと下部フレームの角部分がエンドプレートと接着剤で結合される部分を示す図である。
【0042】
図3および
図5を参照すれば、本発明の一実施例によるエンドプレート400は、絶縁部材で形成される。従来は鋳造工法で成形された金属のエンドプレートを用いていたが、金属で形成されたエンドプレートは、重くて、応力集中が発生した時、破断の危険が存在していた。
【0043】
しかし、本発明の一実施例によれば、エンドプレート400が絶縁部材で形成されることによって、エンドプレートを射出工法で成形可能になることによって、金属より軽く柔軟で、かつ、絶縁性能を有するエンドプレート400を製造できるようになった。このような絶縁部材は絶縁テープで形成されるが、これに限定されず、多様な種類の絶縁部材で形成されてもよい。
【0044】
また、本発明の一実施例によれば、
図5に示されているように、エンドプレート400は、下部フレーム200および上部プレート300の少なくとも1つと接着剤で固定される。より詳しくは、エンドプレート400の上端角は、上部プレート300の角部分と接着され、エンドプレート400の両側端および下端角は、下部フレーム200の角部分と接着される。エンドプレートと、下部フレームおよび上部プレートの少なくとも1つとの結合方式は、接着剤を用いた方式以外にもフックを用いて結合することができるが、これに限定されず、多様な種類の結合方式を採用することができる。
【0045】
従来はエンドプレートを結合するための別途の固定構造が必要であったが、本発明の一実施例によれば、絶縁部材を接着剤で固定させることが可能で、別途の固定構造を必要とせず電池モジュールの構造が単純化することによって、製造工程が縮小され、製造コストを節減することができる。
【0046】
上述した電池モジュールは、電池パックに含まれる。電池パックは、本実施例による電池モジュールを1つ以上まとめて電池の温度や電圧などを管理する電池管理システム(Battery Management System;BMS)と冷却装置などを追加してパッキングした構造であってもよい。
【0047】
前記電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールを用いることができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施例について図示および説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、このような変形実施は本発明の技術的な思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0049】
200:下部フレーム
300:上部プレート
310:モジュール載置部
400:エンドプレート
500:ヒートシンク