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特許7515838温室効果ガス(CO2等)排出量およびエネルギーデータ算出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】温室効果ガス(CO2等)排出量およびエネルギーデータ算出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240708BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023123012
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2023012591の分割
【原出願日】2023-01-31
【審査請求日】2023-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519342965
【氏名又は名称】株式会社ホリケン
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】堀 峰也
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 淳一
(72)【発明者】
【氏名】大越 卓
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-188585(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2069551(KR,B1)
【文献】特開2017-016695(JP,A)
【文献】特許第7132580(JP,B1)
【文献】特開2022-160963(JP,A)
【文献】特開2009-277028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0042453(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0311443(US,A1)
【文献】e-dash, [オンライン],e-dash株式会社,2022年12月21日,[検索日 2024.03.14], インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20221221020901/https://e-dash.io/>,特に、[FEATURES]を参照。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業会計データによりエネルギーデータ量の算出を行うシステムサーバと、
前記企業会計データを入力する端末機器と、
を有してなり、
ネットワーク回線により前記システムサーバと前記端末機器とが接続されたエネルギーデータ量算出システムであって、
前記端末機器は、
前記企業会計データを、前記システムサーバにアップロードする入力手段、
を備え、
前記システムサーバは、
前記企業会計データに基づいて前記エネルギーデータ量を計算して、前記エネルギーデータ量に基づいてエネルギーデータ総量を計算する計算手段と、
前記エネルギーデータ量と前記エネルギーデータ総量とを前記端末機器に送信する送信手段と、
を備え、
前記端末機器は、
前記エネルギーデータ量と前記エネルギーデータ総量とを前記システムサーバから受信する受信手段と、
前記エネルギーデータ量と前記エネルギーデータ総量とを表示する表示手段と、
を備え
前記計算手段は、
企業における自社の所有設備と事業活動とにより直接的に排出される前記エネルギーデータ量としての自社直接排出量(Scope1排出量)と、
前記自社の前記所有設備と前記事業活動とで使用されるエネルギーの供給により間接的に排出される前記エネルギーデータ量としての自社間接排出量(Scope2排出量)と、
前記自社の前記事業活動に関連する事業者と前記自社の製品の使用者との活動により間接的に排出される前記エネルギーデータ量としての他間接排出量(Scope3排出量)と、
を計算する、
ことを特徴とするエネルギーデータ量算出システム。
【請求項2】
前記企業会計データは、通常の会計データと、クラウド会計データと、デジタル化された領収書・請求書・注文書から取得される数値と、である、
請求項1記載のエネルギーデータ量算出システム。
【請求項3】
前記企業会計データは、ブロックチェーン技術を用いて暗号化される、
請求項2記載のエネルギーデータ量算出システム。
【請求項4】
前記企業会計データは、人工知能の画像認識による画像から読み取られる数値と、カメラにより撮像された画像から読み取られる数値と、である、
請求項1記載のエネルギーデータ量算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業活動における温室効果ガス(CO2等)排出量の見える化、算出、算定をネットワークを介して行う事、および、企業会計を元にしたエネルギーデータ、企業活動におけるあらゆるエネルギーデータをネットワークを介して算出算定を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンニュートラルに向けた世界的な取り組みが急速に拡がる中で、サプライチェーンで発生する温室効果ガスの排出量管理として、GHGプロトコルのスコープ3までを把握・管理し、対外的に開示する動きが世界的に強まっています。
それにより、たとえば、自動車部品メーカーは、自動車会社に納めた部品が納品先でどのように使われるのかについても把握する必要があり、自動車会社は、サプライヤーである自動車部品メーカーから納入した部品の製造過程での温室効果ガスの排出量も把握・管理する必要があります。
また、製品の輸送、廃棄や、ホワイトカラーの出張に伴う温室効果ガス排出なども把握しなくてはなりません。つまり、サプライチェーンに紐づくすべての関係者は、取引先の排出量を算出しなければならないことになります。
このようなサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量を把握する手段として、環境省が公開している「サプライチェーンの排出原単位データベース」があります。
企業は、これらを用いることで、仕入れた原材料にもとづき金額当たり換算の温室効果ガス排出量を算出することができます。実際の会計情報仕訳の摘要までが分かればその仕訳とマッピングすることができ、それによって簡易的な温室効果ガスの排出量の算出が可能となります。
【0003】
GHGプロトコルとは、温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準です。
GHGプロトコルの特徴は、1つの企業から排出された温室効果ガス排出量(直接排出)だけではなく、サプライチェーン全体における排出量(間接排出)も重視している点です。そのため、上流から下流までバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量を対象とする算定・報告基準が設定されています。
具体的には、排出される温室効果ガスが、排出のされ方や排出者などによって、「スコープ1(直接排出量)」「スコープ2(間接排出量)」「スコープ3(そのほかの排出量)」の3つの区分に分けられ、これら3つの合計を「サプライチェーン全体の排出量」と考える方法をとります。この算定・報告基準は「スコープ3基準」と呼ばれています。
【0004】
スコープ1は、自社の所有設備や事業活動で直接的に排出される温室効果ガスを指しており、排出例としては、工業炉、発電機、製造装置や、社内の焼却炉から排出される温室効果ガスが該当します。
スコープ2は、自社の所有設備や事業活動で使用するエネルギーの供給において間接的に排出される温室効果ガスを指しています。社外から購入するエネルギーなどが該当しますが、当然ながら100%再生可能エネルギー由来で温室効果ガスを排出していないエネルギーは対象外となります。また、自家消費型太陽光発電など自社で発電した再生可能エネルギー由来の電気なども含まれません。
スコープ3は、自社の事業活動に関連する事業者や、製品の使用者が間接的に排出する温室効果ガスを指しており、該当する活動が15のカテゴリに分類されています。たとえば、原材料の調達、輸送・配送、販売した製品の使用、廃棄などが該当するほか、従業員の出張や通勤、資本財やフランチャイズ、投資といった活動による温室効果ガス排出量も含まれています。
今後、企業は自らの企業活動による温室効果ガス排出量およびエネルギーデータ総量を、算出するだけでなくリアルタイムで把握することにより、企業活動をコントロールし地球環境に対する責任を果たす必要があります。
【0005】
しかしながら、企業は自らの企業活動による温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を、算出するだけでなくリアルタイムで把握し、温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を削減するための総量を算出・算定・見える化を実現する合理的な方法およびシステムは開発されていない。
【0006】
上記技術分野において、特許文献1には、ネットワークの通信によるCO2排出量を算出する技術が開示されている。特許文献2には、コピー機等に関する画像形成装置および印刷によるCO2排出量を算出する技術が開示されている。特許文献3には、住宅等の光熱毎の使用量によるCO2排出量を算出する技術が開示されている。特許文献4には、事業者が効果的にエネルギー消費量削減を管理するCO2排出量削減の管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-151612号公報
【文献】特開2011-150593号公報
【文献】特開2011-13755号公報
【文献】特開2009-98991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記先行技術は、企業活動における個別の温室効果ガス排出量およびエネルギーデータ量を算出するが、企業の事業活動全体の温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算定・算出はしていない。
企業は、その事業全体の温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を把握しなければ、温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量の削減目標および削減方法を見出すことが出来ない。
また、企業は事業全体の温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算出する努力をしているが、算出し総量を把握するまでに半年から1年を費やしているのが現状である。このことは、企業活動における温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を削減し、地球環境問題を解決することの遅延を招く可能性を示唆している。
企業活動全体の温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量をリアルタイムで算定・算出するオンラインシステムにより、温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を削減するための方法を見出し事業活動に反映することが求められている。
【0009】
本発明の目的は、上述の課題を解決するWEBサーバー、クラウドサーバー、各種端末によって企業活動全体の温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算定・算出・見える化を実現する統合システムの技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算定・算出・見える化はWEBサーバー、クラウドサーバー、各種端末を統合システムによって運用する。
各種端末は携帯される情報端末であって、企業社員および人工知能が操作する。温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算出ためのデータおよびデータベースはクラウドサーバーのみに保存し運用される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算定・算出・見える化し、企業が温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を削減するシステムおよびその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のネットワーク全体構成図
図2】温室効果ガス排出量スコープ基準の概略図
図3】温室効果ガス排出量の算定式
図4】燃料別単位発熱量および温室効果ガス排出係数表
図5】資本財の価格当り温室効果ガス排出原単位表
図6】温室効果ガスの間接排出量の算定方針図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る温室効果ガス排出量およびエネルギーデータ量算定算出システムについて説明する。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る温室効果ガス排出量算定システムの全体構成図である。
図1に示すように、温室効果ガス排出量算定システムは、例えば、端末群10、端末群20、WEBサーバー30およびクラウドサーバーDB40を有する。
端末群10は、主に社員等が事業資材等の数量や会計データを入力する端末群である。
端末群20は、温室効果ガス排出係数等の計算基礎データを入力する端末である。
【0014】
端末群10および端末群20は、スマートフォン等であってもよい。
WEBサーバー30およびクラウドサーバーDB40は、温室効果ガス排出量算定システムの運営者が運用するサーバーによって実現される。
【0015】
WEBサーバー30は、端末群10および端末群20からネットワークを介してアクセスされる。ネットワークとは、インターネットおよびイントラネット等の閉じたネットワークも含む。
【0016】
WEBサーバー30は、クラウドサーバーDB40にアクセスを行い、端末群10および端末群20からの表示要求に応じた情報をクラウドサーバーDB40から取得する。
【0017】
クラウドサーバーDB40への温室効果ガス排出係数資料の書き込みおよび会計資料のアップロードは、社員等および会計事務所等が行う。
【0018】
本発明による温室効果ガス排出総量は、企業のスコープ1~3の事業資材量および活動量を入力することにより自動的にリアルタイムに生成される。また、エネルギーデータ総量は、企業の会計データから自動的にリアルタイムに生成される。生成されると同時にエクセル等のスプレッドシートや時系列変化グラフなどの視覚データをも生成・表示する。
【0019】
以下は一般化された用語例にもとづいて説明する。
端末は携帯端末であることが望ましく、スマートフォン・PC他任意である。端末は当該温室効果ガス排出係数(以下各種データを含む。)を送受信する手段(機能)を備える。例として端末を操作する者の人的認証などの確認すべき事項を相互に送受信してチェックする。
【0020】
温室効果ガスおよびエネルギーデータを算出するためのプログラムがサーバーには搭載される。各算出方法は、温室効果ガス排出係数等により計算され表示される。
【0021】
図2の温室効果ガス排出量スコープ基準概略図は、燃料や電力などの使用に伴う自社の温室効果ガス排出量をScope1排出量(直接排出),Scope2排出量(間接排出)といいます。Scope1,2排出量を対象とした報告制度なども後押しとなり、我が国におけるScope1,2排出量の算定や削減努力は進展してきています。他方、昨今、自社が関係する排出量の更なる削減を目指してScope1,2以外の排出量である「Scope3排出量」が注目されるようになってきています。Scope1,2排出量に加えてScope3排出量を算定することで、サプライチェーン排出量を把握するものである。
【0022】
図3の温室効果ガス排出量の算定式は、企業の活動量×排出原単位から算定される。活動量とは、事業者の活動の規模に関する量。例えば電気の使用量、貨物の輸送量、廃棄物の処理量、各種取引金額などが該当する。社内の各種データや、文献データ、業界平均データ、製品の設計値等から収集する。排出原単位とは、活動量あたりのCO2排出量、例えば、電気1kWh使用あたりのCO2排出量、貨物の輸送量1トンキロあたりのCO2排出量、廃棄物の焼却1tあたりのCO2排出量などが該当する。基本的には既存のデータベースから選択して使用するが、排出量を直接計測する方法や取引先から排出量の算定結果の提供を受ける方法もある。
【0023】
図4の燃料別単位発熱量および温室効果ガス排出係数とは、企業が自社のCO2排出量を算出するために必要となる数値であり、排出係数は、1kWhの電気を供給するためにどのくらいのCO2を排出しているかを示す指標となる。CO2排出量が少ないほどCO2排出係数も低くなり、CO2を排出しない再生可能エネルギーによる発電のCO2排出係数はゼロとなる。火力発電の燃料の違いや地域ごとの電力需要によって、CO2排出係数は変化する。
【0024】
温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算出するために入力されるデータは、企業の通常の会計データおよびクラウド会計データ、デジタル化された領収書・請求書・注文書、から数値を取得し算定される。また、将来的には、ブロックチェーン技術を用いることもできる。
【0025】
さらに、将来的には、入力されるデータとして、人工知能の画像認識により画像に含まれるものから入力数値を取得することもできる。また、カメラ等によるスセンシング技術により入力数値を取得し温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算出することもできる。
【0026】
会計書類および領収書・契約書当をアップロード機能により、各書類のネットワーク上での入力、記入、またその確認が利用者間で可能になる。複合機器、コピー機、プリンター等印刷機器と当システムを連動することによって、アップロードされた書類(PDF)を出力することができる。
【0027】
温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算出する手段として、環境省が公開している「サプライチェーンの排出原単位データベース」は有効ではあるが、本システムはこのデータベースに限定されるものではなく、将来の新たなデータベースおよび予測等の人工知能を搭載することにより、更なる温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量の効率的な算出・算定を実現することも出来る。
【0028】
温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を算出することにより、社会的貢献度の高さが認知されることとなり、企業活動が優位に行え、企業価値が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本システムを利用することによって、企業は温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を把握し削減することが可能となり、地球環境への貢献度を主張することが可能となり、企業価値を高めることが出来る。また、その削減度合いにより企業への信頼度が増加することにより売り上げの増加および利益の増大を期待できる。
さらに、将来的には、本システムに人工知能を搭載することにより、温室効果ガス排出総量およびエネルギーデータ総量を自動的に算出し、事業活動に反映することが出来る可能性がある。
【符号の説明】
【0030】
10 端末群
20 端末群
30 WEBサーバー
40 クラウドサーバーDB
【要約】      (修正有)
【課題】WEBサーバー、クラウドサーバー、各種端末によって企業活動全体の温室効果ガス排出総量及びエネルギーデータ総量を算定・算出・見える化を実現する統合システムを提供する。
【解決手段】エネルギーデータ量算出システムは、クラウドサーバー40と、端末群10、20と、を備える。端末群10、20は、企業会計データを、クラウドサーバ40にアップロードする入力手段を備える。クラウドサーバー40は、企業会計データに基づいてエネルギーデータ量を計算して、エネルギーデータ量に基づいてエネルギーデータ総量を計算する計算手段と、エネルギーデータ量とエネルギーデータ総量とを端末群10、20に送信する送信手段と、を備える。端末群10、20は、エネルギーデータ量とエネルギーデータ総量とをクラウドサーバ40から受信する受信手段と、エネルギーデータ量とエネルギーデータ総量とを表示する表示手段と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6