(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】Igr測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20240708BHJP
G01R 31/08 20200101ALI20240708BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/08
(21)【出願番号】P 2024077611
(22)【出願日】2024-05-10
【審査請求日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0060482
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508130281
【氏名又は名称】Igr技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166187
【氏名又は名称】松本 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンヨル
(72)【発明者】
【氏名】チョ ミンジュ
(72)【発明者】
【氏名】シン ヨンファン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】阿閉 豊次
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-057072(JP,A)
【文献】特開2006-038604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0228993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
G01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電線路をクランプするクランプ部を有し、前記被測定電線路を流れる漏洩電流を検出する漏洩電流検出部と、
導電性材料で形成されると共に、前記被測定電線路を非接触で囲むように配置され、前記被測定電線路を流れる漏洩電流に基づいて誘導電圧を発生させる電圧アンテナと、
前記漏洩電流検出部の検出した漏洩電流の信号波形と、前記電圧アンテナで発生した誘導電圧の信号波形との位相差を検出する位相差検出部と、
前記被測定電線路で発生している電源周波数を測定する電源周波数測定部と、
前記位相差検出部の検出した位相差と、前記電源周波数測定部の測定した電源周波数とに基づいて、前記被測定電線路を流れている漏洩電流の位相角度を算出する位相角度算出部と、
前記漏洩電流検出部の検出した漏洩電流と、前記位相角度算出部の算出した位相角度とに基づいて、漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流成分Igrを算出するIgr算出部と、
を備え
、
前記導電性材料は、カーボンであり、
前記電圧アンテナは、細長のシート状であって、前記クランプ部の内周面に固定されている
ことを特徴とするIgr測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Igr測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定電線路の漏洩電流成分Igrを測定し、被測定電線路の絶縁状態をチェックする技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、漏洩電流成分Igrを測定毎に、測定電線路の電圧を検出するため、被測定電線路と電圧検出部とを電気的に接続する必要があり、手間を要していた。
【0005】
そこで、本発明は、簡単に漏洩電流成分Igrを測定可能なIgr測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、被測定電線路をクランプするクランプ部を有し、前記被測定電線路を流れる漏洩電流を検出する漏洩電流検出部と、導電性材料で形成されると共に、前記被測定電線路を非接触で囲むように配置され、前記被測定電線路を流れる漏洩電流に基づいて誘導電圧を発生させる電圧アンテナと、前記漏洩電流検出部の検出した漏洩電流の信号波形と、前記電圧アンテナで発生した誘導電圧の信号波形との位相差を検出する位相差検出部と、前記被測定電線路で発生している電源周波数を測定する電源周波数測定部と、前記位相差検出部の検出した位相差と、前記電源周波数測定部の測定した電源周波数とに基づいて、前記被測定電線路を流れている漏洩電流の位相角度を算出する位相角度算出部と、前記漏洩電流検出部の検出した漏洩電流と、前記位相角度算出部の算出した位相角度とに基づいて、漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流成分Igrを算出するIgr算出部と、を備え、前記導電性材料は、カーボンであり、前記電圧アンテナは、細長のシート状であって、前記クランプ部の内周面に固定されていることを特徴とするIgr測定装置である。
【0007】
このような構成によれば、導電性材料で形成されると共に被測定電線路を非接触で囲むように配置される電圧アンテナが、被測定電線路を流れる漏洩電流に基づいて誘導電圧を発生させる。すなわち、電圧アンテナで発生した誘導電圧によって、被測定電線路で発生する電圧を検出できる。つまり、電圧アンテナは、被測定電線路を非接触で囲むように配置されるものであり、電圧アンテナと被測定電線路とを電気的に接続せず、簡単に漏洩電流成分Igrを測定できる。
【0009】
このような構成によれば、電圧アンテナがカーボンである導電性材料から形成されるので、電圧アンテナにおいて誘導電圧が良好に発生し易くなる。
【0011】
このような構成によれば、電圧アンテナは、細長のシート状であって、クランプ部の内周面に固定されているので、クランプ部で被測定電線路をクランプすると、電圧アンテナが被測定電線路を非接触で囲むように配置されることになり、取り扱いが容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単に漏洩電流成分Igrを測定可能なIgr測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る漏洩電流遮断装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係るクランプ部及びカーボンアンテナセンサの斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るカーボンアンテナセンサの展開図である。
【
図4】本実施形態に係る電圧検出回路の回路図である。
【
図5】電源電圧が200Vの場合において、電圧検出部14及びカーボンアンテナセンサ40で検出される電圧波形である。
【
図6】電源電圧が100Vの場合において、電圧検出部14及びカーボンアンテナセンサ40で検出される電圧波形である。
【
図7A】電源が単相式の場合において、対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流成分Igrと対地静電容量に起因する漏洩電流成分Igcとの位相差を示す図である。
【
図7B】電源が三相式の場合において、対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流成分Igrと対地静電容量に起因する漏洩電流成分Igcとの位相差を示す図である。
【
図8A】電源が三相式の場合において、位相が120°ずつ異なるR相-S相間、S相-T相間及びT相-R相間の波形を示す図である。
【
図8B】電源が三相式の場合において、R相-T相間の電圧を反転した図である。
【
図8C】電源が三相式の場合において、R相に漏洩電流成分Igr(R相Igr)のみが発生し、T相に漏洩電流成分Igr(T相Igr)のみが発生している場合を示す図である。
【
図8D】電源が三相式の場合において、R相に漏洩電流成分Igc(R相Igc)のみが発生し、T相に漏洩電流成分Igc(T相Igc)のみが発生している場合を示す図である。
【
図8E】電源が三相式の場合において、R相に漏洩電流成分Igrと漏洩電流成分Igcとが発生し、T相に漏洩電流成分Igrと漏洩電流成分Igcとが発生している場合を示す図である。
【
図9A】電源が三相式の場合において、位相が120°ずつ異なるR相-S相間、S相-T相間及びT相-R相間の波形をベクトルで示す図である。
【
図9B】電源が三相式の場合において、R相-T相間の検出された電圧から基準点aを求めた単相式のベクトル図である。
【
図9C】電源が単相式の場合において、基準点aから180°(0°)の位置に、R相IgcとT相Igcとの合成ベクトルIgcを求めるベクトル図である。
【
図9D】電源が三相式の場合において、R相Igrのみが発生しているとき、R相IgrとIgcとの合成ベクトル(漏洩電流I0)を示すベクトル図である。
【
図9E】電源が三相式の場合において、T相Igrのみが発生しているとき、T相IgrとIgcとの合成ベクトル(漏洩電流I0)を示すベクトル図である。
【
図10】比較部に入力された変換後電圧V1と電圧V2の位相差を示す図である。
【
図11A】比較部に入力されたときの変換後電圧V1の波形と、変換後電圧V1に基づき方形波変換したときの波形を示す図である。
【
図11B】比較部に入力されたときの電圧V2の波形と、電圧V2に基づき方形波変換したときの波形を示す図である。
【
図12】
図11Aの変換後電圧V1に基づき方形波変換したときの波形と、
図11Bの電圧V2に基づき方形波変換したときの波形に基づきEXORを実行した際に形成される波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、
図1~
図12を参照して説明する。
【0015】
≪漏洩電流遮断装置の構成≫
図1に示すように、漏洩電流遮断装置1(Igr測定装置)は、CTセンサ部10(カレントトランスセンサ部、漏洩電流検出部)と、増幅部11と、LPF12(ローパスフィルター)と、全波整流部13と、電圧検出部14と、変圧部15と、LPF16(ローパスフィルター)と、全波整流部17と、比較部18と、演算部19と、位相パルス幅測定部20(位相差検出部)と、電源周波数測定部21と、位相角度算出部22と、A/D変換部23と、実効値算出部24と、A/D変換部25と、実効値算出部26、漏洩電流成分算出部27(Igr算出部)と、抵抗値算出部28と、判定部29と、遮断部30と、制御部32と、液晶モニタ39(表示部)と、カーボンアンテナセンサ40(電圧アンテナ)と、電圧検出回路50と、スイッチ61と、LEDランプ62と、を備えている。
【0016】
<CTセンサ部>
CTセンサ部10は、被測定電線路Aの全体をクランプするクランプ部9を備え、被測定電線路Aに流れている漏洩電流Iを検出する部分である。クランプ部9は、円環状であり(
図2参照)、1/2円弧状の第1クランプ片9Aと、1/2円弧状の第2クランプ片9Bと、を備えている。第1クランプ片9Aと第2クランプ片9Bとは、
図2右側の基部を回動軸として回動可能である。そして、第1クランプ片9Aと第2クランプ片9Bとが相対的に回動すると先端側が開き、被測定電線路Aを挟んでクランプするようになっている。
【0017】
具体的には、CTセンサ部10は、被測定電線路Aに流れている漏洩電流成分から生じる磁気を検出し、検出した磁気から電流を生成する。CTセンサ部10は、生成した電流を漏洩電流Iとして増幅部11に供給する。
【0018】
なお、CTセンサ部10により生成された漏洩電流Iは、対地静電容量に起因する漏洩電流成分Igcと、絶縁抵抗に直接関与している対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流成分Igrと、を含む。また、漏洩電流成分Igcは、被測定電線路Aの長さに応じて容量が増大するだけでなく、電気機器に使用されているインバータやノイズフィルター等に起因する高調波歪み電流によっても容量が増大する。
【0019】
<増幅部>
増幅部11は、CTセンサ部10からの漏洩電流Iを電圧に変換し、変換後の電圧(変換後電圧V1)を、所定のレベルまで増幅する部分である。例えば、CTセンサ部10からの漏洩電流Iが0mA~10mAである場合、増幅部11は2段階で増幅する。また、CTセンサ部10からの漏洩電流Iが10mA~300mAである場合、増幅部11は1段階で増幅する。そして、増幅部11は、増幅後の変換後電圧V1をLPF12に供給する。
【0020】
<LPF>
LPF12は、増幅部11からの変換後電圧V1から高調波成分を除去するフィルターである。そして、LPF12は、高調波成分を除去した変換後電圧V1を全波整流部13と比較部18とに供給する。
【0021】
<全波整流部>
全波整流部13は、LPF12からの変換後電圧V1を整流する部分である。そして、全波整流部13は、整流後の変換後電圧V1をA/D変換部23に供給する。
【0022】
<電圧検出部>
電圧検出部14は、被測定電線路Aに電圧プローブを接続することにより、被測定電線路Aの電圧線路から電圧V2を検出し、スイッチ61に出力する部分である。なお、被測定電線路Aの電気方式が三相3線式(デルタ結線からなる方式)である場合、電圧検出部14はS相(接地)以外のR相とT相間の電圧を検出する。また、被測定電線路Aの電気方式が三相4線式(スター結線からなる方式)である場合、電圧検出部14はS相(接地線)以外の相間から電圧を検出する。さらに、被測定電線路Aの電気方式が単相2線式である場合、電圧検出部14はN相とL相間の電圧を検出する。
【0023】
そして、電圧検出部14は、被測定電線路Aから検出した電圧V2から基準点を求め、電圧V2をスイッチ61に供給する。例えば、電圧検出部14は、被測定電線路Aから検出した電圧V2の0クロスする点を基準点とする。
【0024】
<変圧部>
変圧部15は、電圧検出部14または電圧検出回路50からの電圧V2を所定の変圧比になるように変圧する部分である。すなわち、変圧部15は、供給された電圧V2を所定の電圧値に変圧し、変圧後の電圧VをLPF16に供給する。変圧部15は、例えば、電圧比が20:1になるように変圧する。
【0025】
<LPF>
LPF16は、変圧部15が所定の電圧値に変圧した電圧V2から高調波成分を除去する部分である。そして、LPF16は、高調波成分を除去した電圧V2を、全波整流部17と比較部18と電源周波数測定部21とに供給する。
【0026】
<全波整流部>
全波整流部17は、LPF16からの電圧V2を整流する部分である。そして、全波整流部17は、整流後の電圧V2をA/D変換部25に供給する。
【0027】
<比較部>
比較部18は、LPF12からの変換後電圧V1の信号波形S1と、LPF16からの電圧V2の信号波形S2と、を比較する部分である。すなわち、比較部18は、LPF12から供給された変換後電圧V1の0Vクロス点をとり、方形波変換を行い、方形波変換後の信号を演算部19に供給する。また、比較部18は、LPF16から供給された電圧V2の0Vクロス点をとり、方形波変換を行い、方形波変換後の信号を演算部19に供給する。
【0028】
<演算部>
演算部19は、比較部18が比較した結果に基づいて所定の演算を行う部分である。すなわち、演算部19は、比較部18から供給される信号に基づき所定の演算を行い、演算後の信号を位相パルス幅測定部20に供給する。例えば、演算部19は、EXOR(排他的論理和)回路からなっており、比較部18から供給された2つの方形波変換後の信号についてEXOR演算を実行する。
【0029】
<位相パルス幅測定部>
位相パルス幅測定部20は、演算部19の演算結果に基づいて、変換後電圧V1と電圧V2の位相パルス幅(位相差)を測定する部分である。
【0030】
具体的には、被測定電線路A(電源)が単相式の場合、
図7Aに示すように、漏洩電流成分Igrの位相角θは0°、漏洩電流成分Igcの位相角θは90°となる。したがって、漏洩電流成分Igrと漏洩電流成分Igcの位相差は、90°(1/4サイクル)となる。また、被測定電線路A(電源)が三相式の場合、
図7Bに示すように、漏洩電流成分Igrの位相角θは60°、漏洩電流成分Igcの位相角θは0°となる。したがって、漏洩電流成分Igrと漏洩電流成分Igcの位相差は、60°(1/6サイクル)となる。そこで、位相パルス幅測定部20は、被測定電線路A(電源)が単相のときでも、三相のときでも対応できるように、位相パルス幅を1サイクルの1/4以下のもののみ対象とする。
【0031】
そして、位相パルス幅測定部20は、演算部19から供給される演算結果に基づいて算出した、1サイクルの1/4以下の位相パルス幅を位相角度算出部22に出力する。なお、電源周波数が60Hzの場合には、1サイクルが16.6msであるので、位相パルス幅は、4.15ms以下となる。また、電源周波数が50Hzの場合には、1サイクルが20msであるので、5ms以下となる。
【0032】
<電源周波数測定部>
電源周波数測定部21は、LPF16からの電圧V2の信号に基づいて、被測定電線路Aの電圧線路に発生している電源周波数を測定する部分である。
【0033】
すなわち、電源周波数測定部21は、LPF16から供給された電圧V2に基づき、電源周波数を測定し、測定結果を位相角度算出部22に供給する。なお、被測定電線路Aが商用電源である場合、電源周波数測定部21の測定結果は、50Hz若しくは60Hzとなる。その他、電源周波数測定部21は、LPF16から供給された電圧V2に基づいて、50Hz又は60Hzの何れかを判定する構成としてもよい。
【0034】
<位相角度算出部>
位相角度算出部22は、位相パルス幅測定部20からの位相パルス幅と、電源周波数測定部21からの電源周波数とに基づいて、被測定電線路Aに流れる漏洩電流Iの位相角度を算出する部分である。
【0035】
すなわち、位相角度算出部22は、位相パルス幅測定部20から供給された位相パルス幅Wと、電源周波数測定部21から供給された電源周波数Fに基づいて、下記(1)式により被測定電線路Aに流れている漏洩電流Iの位相角度θを算出する。
θ=360×W×F …(1)
【0036】
そして、位相角度算出部22は、算出した位相角度θを漏洩電流成分算出部27に供給する。
【0037】
<A/D変換部>
A/D変換部23は、全波整流部13からの整流後の変換後電圧V1をデジタル信号に変換する部分である。そして、A/D変換部23は、変換後のデジタル信号を実効値算出部24に供給する。
【0038】
<実効値算出部>
実効値算出部24は、A/D変換部23からのデジタル信号に変換された変換後電圧V1に基づいて、下記(2)式により、変換後電圧V1の実効値I0を算出する部分である。なお、実効値算出部24に供給される信号は、被測定電線路Aに流れている漏洩電流Iを電圧に変換した変換後電圧V1に基づくものであるので、便宜的にI0とする。
I0=I×(π/2)/√2 …(2)
【0039】
そして、実効値算出部24は、算出した実効値I0を漏洩電流成分算出部27に供給する。
【0040】
<A/D変換部>
A/D変換部25は、全波整流部17からの整流後の電圧V2をデジタル信号に変換する部分である。そして、A/D変換部25は、変換後のデジタル信号を実効値算出部26に供給する。
【0041】
<実効値算出部>
実効値算出部26は、A/D変換部25からのデジタル信号に変換された電圧V2に基づいて、下記(3)式により、電圧V2の実効値V0を算出する部分である。
V0=V×(π/2)√2 …(3)
【0042】
そして、実効値算出部26は、算出した実効値V0を抵抗値算出部28に供給する。
【0043】
<漏洩電流成分算出部>
漏洩電流成分算出部27は、実効値算出部24で算出された変換後電圧V1の実効値I0(漏洩電流)と、位相角度算出部22で算出された漏洩電流Iの位相角度θと、に基づいて、対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流成分Igrを算出する部分である。そして、漏洩電流成分算出部27は、算出した漏洩電流成分Igrを、判定部29と抵抗値算出部28とに供給する。
【0044】
ここで、被測定電線路A(電源)が単相式の場合、漏洩電流成分算出部27は、下記(4)式により漏洩電流成分Igrを算出する。被測定電線路A(電源)が三相式の場合、漏洩電流成分算出部27は、下記(5)式により漏洩電流成分Igrを算出する。
Igr=I0×cosθ …(4)
Igr=(I0×sinθ)/cos30° …(5)
【0045】
なお、漏洩電流成分算出部27は、被測定電線路A(電源)が単相電源であるか三相電源であるかを、ロータリースイッチ(図示しない)の選択状態に応じて判断する。
【0046】
<抵抗値算出部>
抵抗値算出部28は、実効値算出部26から供給された実効値V0と、漏洩電流成分算出部27から供給された漏洩電流成分Igrとに基づいて、下記(6)式によりGrを算出する。
Gr=V0/Igr …(6)
【0047】
<判定部>
判定部29は、被測定電線路Aの漏洩状態を判定する部分である。判定部29は、例えば、現在の漏洩電流成分Igrが、漏洩閾値以上である場合、現在、被測定電線路Aは漏洩していると判定するように構成されている。漏洩閾値は、被測定電線路Aが漏洩しているか否かの判断基準値であり、例えば、6mA、8mA、15mA等が設定される。
【0048】
<遮断部>
遮断部30は、判定部29が被測定電線路Aは漏洩していると判定した場合、判定部29からの遮断信号に従って、被測定電線路Aを遮断する部分である。
また、遮断部30は、既存の漏電ブレーカに準じており、遮断スピードは概ね2サイクル(50Hzの場合には0.04秒)~5サイクル(50Hzの場合には0.1秒)程度である。遮断部30は、例えば、引き外しコイルTC等により構成されている。
【0049】
<制御部>
制御部32は、現在の漏洩電流成分Igrを液晶モニタ39に表示させる部分である。その他、制御部32は、被測定電線路Aが漏洩している場合、LED(図示しない)を点灯し、ブザー(図示しない)をONする構成としてもよい。
【0050】
<液晶モニタ>
液晶モニタ39は、制御部32から入力される漏洩電流成分Igrを表示する部分である。
【0051】
<カーボンアンテナセンサ>
カーボンアンテナセンサ40は、カーボン(導電性材料、炭素繊維)で形成されると共に、被測定電線路Aを非接触で囲むように配置され、被測定電線路Aを流れる漏洩電流に基づいて誘導電圧を発生させる電圧アンテナである(
図1~
図3参照)。カーボンアンテナセンサ40は、細長のシート状であって、本体部41と、延長部42と、端子部43と、を備えている。
【0052】
本体部41は、軸方向視で1/2円弧状であり、1/2円弧状の第1クランプ片9Aの内周面に固定されている。そして、クランプ部9が被測定電線路Aをクランプすると、本体部41が被測定電線路Aを非接触で囲むように配置されるようになっている。
【0053】
延長部42は、本体部41の基端側から延びる細長の小片で、第1クランプ片9Aを径方向において跨ぐ部分である。端子部43は、延長部42の径方向外側端から延びる細長の小片で、電圧検出回路50が接続される端子である。
【0054】
そして、クランプ部9が被測定電線路Aをクランプし、本体部41が被測定電線路Aを非接触で囲むように配置された状態において、被測定電線路Aを漏洩電流が通電すると、漏洩電流の大きさに対応して、本体部41(カーボンアンテナセンサ40)で、誘導電圧が発生するようになっている(
図5、
図6参照)。
【0055】
<電圧検出回路>
電圧検出回路50は、カーボンアンテナセンサ40からの誘導電圧をスイッチ61に出力する回路である。電圧検出回路50は、
図4に示すように、ハイインピーダンス部51と、カーボンアンテナセンサ40用(非接触回路用)の第2電源52と、両電源演算増幅器53(オペアンプ)と、FET54(電界効果トランジスタ)と、フォトカプラ55と、メイン回路駆動用の第1電源56と、を備えている。
【0056】
そして、カーボンアンテナセンサ40からの誘導電圧は、両電源演算増幅器53で増幅された後、制御信号としてFET54に出力されるようになっている。次いで、FET54はこの制御信号に基づいてON/OFF制御され、これに連動してフォトカプラ55がON/OFF制御されるようになっている。このようにフォトカプラ55がON/OFF制御されると、カーボンアンテナセンサ40からの誘導電圧の波形と連動する第1電源56からの電圧波形がスイッチ61に出力されるようになっている。
【0057】
<スイッチ>
スイッチ61は、オペレータ(使用者)の操作に従って、電圧検出部14からの電圧波形または電圧検出回路50からの電圧波形を、変圧部15に出力するものである。なお、オペレータ(使用者)は、例えば、図示しないボタンスイッチを操作し、電圧検出部14からの電圧波形、電圧検出回路50からの電圧波形のいずれを変圧部15に出力するかを選択する。
【0058】
<LEDランプ>
LEDランプ62は、スイッチ61が電圧検出回路50からの電圧波形を変圧部15に出力する場合にON(点灯)することで、カーボンアンテナセンサ40を使用して、漏洩電流成分Igrを算出していることを外部に報知するものである。
【0059】
≪漏洩電流遮断装置の測定原理-波形図≫
次に、漏洩電流遮断装置の測定原理を説明する。
ここでは、被測定電線路Aの電源が三相式である場合を説明するが、電源が単相式である場合も同様である。
【0060】
CTセンサ部10は、被測定電線路Aをクランプし、
図8Aに示すように、位相が120°ずつ異なるR相-S相間、S相-T相間及びT相-R相間の波形を検出する。なお、
図8Aでは、便宜的にそれぞれの波形を示しているが、CTセンサ部10で検出される波形は合成波形である。CTセンサ部10により検出された合成波形は、増幅部11、LPF12及び比較部18を介して演算部19に入力される。
【0061】
また、電圧検出部14は、R相及びT相に電圧プローブを接続し、R相-T相間の電圧を検出し、検出した電圧を、
図8Bに示すように、反転させる。電圧検出部14は、検出した電圧の所定の場所で0クロスする点を基準点aとして定める。このように基準点aが定まった電圧V2は、変圧部15、LPF16及び比較部18を介して演算部19に入力される。
【0062】
例えば、被測定電線路AのR相に漏洩電流成分Igr(以下「R相Igr」という。)のみが発生し、また、T相に漏洩電流成分Igr(以下「T相Igr」という。)のみが発生している場合には、
図8Cに示すように、R相Igrは、基準点aから120°の位相差が生じ、T相Igrは、基準点aから60°の位相差が生じる。
【0063】
また、被測定電線路AのR相に漏洩電流成分Igc(以下「R相Igc」という。)のみが発生し、また、T相に漏洩電流成分Igc(以下「T相Igc」という。)のみが発生している場合には、
図8Dに示すように、R相IgcとT相Igcの合成波形の基準点aからの位相差は、180°(0°)である。
【0064】
さらに、被測定電線路AのR相に漏洩電流成分Igrと漏洩電流成分Igcとが発生し、T相に漏洩電流成分Igrと漏洩電流成分Igcとが発生している場合には、
図8Eに示すようになる。
【0065】
≪漏洩電流遮断装置の測定原理-ベクトル図≫
また、上述の説明をベクトルで表すと、以下のようになる。被測定電線路Aが三相式なので、
図9Aに示すようになる。そして、電圧検出部14でR相-T相間の電圧を検出し、検出した電圧から基準点aを求めると、
図9Bに示すように、単相式のベクトル図となる。なお、上述したように、R相Igrと基準点aとの位相差は、60°であり、また、T相Igrと基準点aとの位相差は、120°である。
【0066】
また、単相式の場合には、
図7Aを用いて既述したように、漏洩電流成分Igrと漏洩電流成分Igcの位相差は90°なので、R相Igrから90°回った位置にR相Igcを求めることができ、また、T相Igrから90°回った位置にT相Igcを求めることができる。さらに、基準点aから180°(0°)の位置に、R相IgcとT相Igcとの合成ベクトルIgcを求めることができる(
図9C)。
【0067】
したがって、例えば、被測定電線路AにR相Igrのみが発生している場合には、R相IgrとIgcとの合成ベクトル、すなわち被測定電線路Aに流れている漏洩電流I0は、
図9Dのように表すことができる。なお、
図9Dから、R相Igrを算出する式として
、上述した(5)式を導き出すことができる。また、漏洩電流I0の位相差θは、R相Igr及びIgcの大きさにより変化し、変化の幅は、基準点aから60°~180°である。
【0068】
また、例えば、被測定電線路AにT相Igrのみが発生している場合には、T相IgrとIgcとの合成ベクトル、すなわち被測定電線路Aに流れている漏洩電流I0は、
図9Eのように表すことができる。なお、
図9Eから、T相Igrを算出する式として、上述した(5)式を導き出すことができる。また、漏洩電流I0の位相差θは、T相Igr及びIgcの大きさにより変化し、変化の幅は、120°~180°である。
【0069】
≪漏洩電流遮断装置の第1測定例≫
次に、本実施形態に係る漏洩電流遮断装置1により、実際に被測定電線路Aから漏洩電流成分を測定した第1測定例を表1に示す。表1は、屋上受配電キュービクル(高圧受電設備)の動力盤(電源周波数:50Hz、電圧:200V、被測定低電圧電路の種類:三相3線式、150kvA、室温:41℃、湿度:43%)を測定対象として行ったものである。
【0070】
【0071】
また、測定例では、測定開始から6分経過時~9分経過前(3分間)に疑似絶縁抵抗としてR相に20kΩを接地し、測定開始から9分経過時~11分経過前(2分間)に疑似絶縁抵抗としてT相に20kΩを接地し、測定開始から11分経過時~12分経過前(1分間)に疑似絶縁抵抗を外し(接地解除)、測定開始から12分経過時~13分経過前(1分間)に疑似絶縁抵抗としてR相に10kΩを接地し、測定開始から13分経過時~15分経過前(2分間)に疑似絶縁抵抗としてT相に10kΩを接地し、測定開始から15分経過後に疑似絶縁抵抗を外した。
例えば、疑似絶縁抵抗としてR相に20kΩの抵抗を接地した場合には、理論的に、疑似絶縁抵抗成分の電流として、
Igr=V/R=200/(20×103)=10mA
の電流が被測定電線路に加算されて流れる。
【0072】
漏洩電流遮断装置1は、表1に示すように、時間が6分経過時に、疑似絶縁抵抗としてR相に20kΩの抵抗を接地したら、12.3mAの漏洩電流成分Igrを検出した。疑似絶縁抵抗を接地していないとき(測定開始から6分経過前、測定開始から11分経過時~12分経過前及び測定開始から15分経過後)の漏洩電流成分Igrが2mAであるので、R相に20kΩの疑似抵抗を接地した後の漏洩電流成分Igrから2mAを差し引くと、10.3mAとなる。したがって、本実施形態に係る漏洩電流遮断装置1は、10.3mAの変化を測定できたことになる。この値は、上述した理論値(10mA)とほぼ一致している。
【0073】
また、R相に疑似絶縁抵抗を20kΩ接地したとき、接地前の抵抗値(Gr≒105.46kΩ(測定開始から6分経過前までのGrの平均値))との合成抵抗値は、
Gr=(20×103×105.46×103)/(20×103+105.46×103)≒16.3kΩ
となる。漏洩電流遮断装置1は、表1に示すように、測定開始から6分経過時の抵抗Grは17.2kΩを示しており、上述した理論値(16.3kΩ)とほぼ一致している。
【0074】
また、疑似絶縁抵抗としてT相に20kΩの抵抗を接地した場合にも、上述と同様に、理論的には、疑似絶縁抵抗成分の電流は10mA増加する。漏洩電流遮断装置1では、表1に示すように、測定開始から9分経過時~11分経過前に検出した漏洩電流成分Igrは、ほぼ12.4mAとなっており、該数値から2mAを差し引くと、10.4mAとなり、ほぼ理論値(10mA)と一致する。
【0075】
また、T相に疑似絶縁抵抗を20kΩ接地したときの合成抵抗値Grは、上述と同様に、理論的には、16.3kΩであり、測定値は17.4kΩを示しており、ほぼ理論値と一致している。
【0076】
また、漏洩電流遮断装置1は、表1に示すとおり、疑似絶縁抵抗としてR相又はT相に10kΩを接地したときの漏洩電流成分IgrとGrも理論値と実測値がほぼ一致している。
【0077】
さらに、漏洩電流遮断装置1は、測定開始から11分経過後から12分経過前、及び15分経過時に疑似絶縁抵抗の接地状態を解除した場合、漏洩電流成分Igr、I0及びGrの値が接地以前(測定開始から1分~5分)の状態に戻った。
【0078】
≪漏洩電流遮断装置の第2測定例≫
次に、本実施形態に係る漏洩電流遮断装置1により、実際に被測定電線路から漏洩電流成分を測定した第2測定例を表2に示す。表2は、受配電キュービクル(高圧受電設備)の動力盤(電源周波数:50Hz、電圧:200V、被測定低電圧電路の種類:三相3線式、150kvA)を測定対象として行ったものである。
【0079】
【0080】
また、測定例は、測定開始から1分経過時~4分経過前(3分間)に疑似静電容量としてR相及びT相に0.22μFを接地し、測定開始から3分経過時~4分経過前(1分間)に疑似絶縁抵抗としてT相に20kΩを接地し、測定開始から4分経過後に疑似静電容量及び疑似絶縁抵抗を外して行った。したがって、測定開始から3分経過時~4分経過前は、R相及びT相に疑似静電容量を接地し、かつ、T相に疑似絶縁抵抗を接地して行った。
【0081】
例えば、疑似静電容量としてR相及びT相に0.22μFの容量を接地した場合には、容量性リアクタンスXは、
X=1/2πfC=1/(2π×50×(0.22×10-6+0.22×10-6))≒7.23×103
となる。
【0082】
したがって、被測定電線路には、
I=V/X=200/7.23×103≒27.6mA
の電流が加算されて流れる。
【0083】
また、絶縁抵抗としてT相に20kΩの抵抗を接地した場合には、理論的に、疑似絶縁抵抗成分の電流として、
Igr=V/R=200/(20×103)=10mA
の電流が被測定電線路に加算されて流れる。
【0084】
漏洩電流遮断装置1は、表2に示すように、時間が測定開始から1分経過時に、疑似静電容量としてR相及びT相に0.22μFの静電容量が接地されているときに、7.8mAの漏洩電流成分Igrを検出し、また、100.8mAのI0を検出した。なお、I0は、上述したように絶縁抵抗に起因する漏洩電流成分Igrと、静電容量に起因する漏洩電流成分Igcの合成電流である。
【0085】
疑似静電容量を接地していないときの漏洩電流成分Igrは、表2に示したとおり、7.6mA(測定開始から1分経過前の漏洩電流成分Igr)であるので、R相及びT相に疑似静電容量を接地した場合、漏洩電流成分Igrの変化は殆どない。
【0086】
一方、疑似静電容量を接地していないときのI0は、75.9mA(測定開始から1分経過前のI0)である。疑似静電容量接地後のI0(100.8mA)から疑似静電容量接地前のI0(75.9mA)を差し引くと、24.9mAとなり、これが、加算された漏洩電流成分Igcである。この加算された漏洩電流成分Igcは、理論値(27.6mA)とほぼ等しい。
【0087】
また、漏洩電流遮断装置1は、表2に示すように、R相及びT相に疑似静電容量が接地され、かつ、T相に疑似絶縁抵抗が接地されているとき(測定開始から3分経過時~4分経過前)に、21.0mAの漏洩電流成分Igrを検出し、また、107.0mAのI0を検出した。
【0088】
T相に絶縁抵抗を接地した後の漏洩電流成分Igr(21mA)から、絶縁抵抗を接地する前の漏洩電流成分Igr(8mA(測定開始から3分経過時の漏洩電流成分Igr))を差し引くと、13mAとなり、理論値(10mA)とほぼ等しくなる。
【0089】
≪比較部、演算部の動作例≫
次に、R相に疑似絶縁抵抗として10kΩを接地したときの比較部18と演算部19の動作について、
図10~
図12を参照して説明する。
【0090】
比較部18は、
図10に示すように、LPF12から変換後電圧V1が入力され、LPF16から電圧V2が入力される。変換後電圧V1と電圧V2の位相差は、120°である。比較部18は、
図11Aに示すように、LPF12から入力された変換後電圧V1を方形波変換し、変換後の信号を演算部19に出力する。また、比較部18は、
図11Bに示すように、LPF16から入力された電圧V2を方形波変換し、変換後の信号を演算部19に出力する。
【0091】
演算部19は、
図12に示すように、変換後電圧V2の方形波信号と、電圧V2の方形波信号に基づき、EXOR演算を実行する。演算部19は、EXOR演算後の信号に基づき、1サイクルの1/4以下の位相パルス幅を求め、求めた位相パルス幅を位相角度算出部22に出力する。
【0092】
≪漏洩電流遮断装置の動作・効果≫
次に、漏洩電流遮断装置1の動作・効果を説明する。
被測定電線路Aと非接触であるカーボンアンテナセンサ40によって、被測定電線路Aを流れる漏洩電流に基づいて誘導電圧を発生させ、漏洩電流の電圧波形を検出できる。すなわち、被測定電線路Aに直接接続して電圧波形を検出する電圧検出部14を不要とできる。つまり、被測定電線路Aと電気的に接続せず、漏洩電流の電圧波形を検出し、簡単に漏洩電流成分Igrを測定できる。
【0093】
ここで、
図5、
図6に示すように、カーボンアンテナセンサ40が検出する誘導電圧の波形と、電源電圧の波形(電圧検出部14が検出する電圧の波形)とは、同期している。なお、
図5は電源電圧が200Vの場合を示し、
図6は電源電圧が100Vの場合を示している。
【0094】
カーボンアンテナセンサ40は、第1クランプ片9Aの内周面に固定されているので、クランプ部9で被測定電線路Aをクランプすると同時に、カーボンアンテナセンサ40が被測定電線路Aを囲むように配置される。すなわち、被測定電線路Aに対して、クランプ部9と、カーボンアンテナセンサ40とを別々に操作する必要はなく、手間を要しない。
【0095】
≪変形例≫
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更してもよい。
【0096】
前記した実施形態では、カーボンアンテナセンサ40がクランプ部9の内面に固定された構成を例示したが、その他に例えば、カーボンアンテナセンサ40がクランプ部9と別に独立して備える構成でもよい。
【0097】
前記した実施形態では、カーボンアンテナセンサ40がカーボン(炭素繊維)で形成された構成を例示したが、その他の導電性材料(アルミニウム合金薄膜等)で形成された構成でもよい。
【0098】
前記した実施形態では、漏洩電流遮断装置1が、被測定電線路Aに接続されその電圧を直接検出する電圧検出部14を備える構成を例示したが、その他に例えば、漏洩電流遮断装置1が電圧検出部14を備えない構成でもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 漏洩電流遮断装置(Igr測定装置)
9 クランプ部
10 CTセンサ部(漏洩電流検出部)
14 電圧検出部
20 位相パルス幅測定部(位相差検出部)
21 電源周波数測定部
22 位相角度算出部
27 漏洩電流成分算出部(Igr算出部)
29 判定部
40 カーボンアンテナセンサ(電圧センサ)
50 電圧検出回路
A 被測定電線路
【要約】
【課題】 簡単に漏洩電流成分Igrを測定可能なIgr測定装置を提供する。
【解決手段】 被測定電線路Aをクランプするクランプ部9を有し、漏洩電流を検出するCTセンサ部10と、被測定電線路Aを非接触で囲むように配置され、漏洩電流に基づいて誘導電圧を発生させるカーボンアンテナセンサ40と、CTセンサ部10の検出した漏洩電流の信号波形と、カーボンアンテナセンサ40で発生した誘導電圧の信号波形との位相差を検出する位相パルス幅測定部20と、電源周波数を測定する電源周波数測定部21と、位相パルス幅測定部20の検出した位相差と、電源周波数測定部21の測定した電源周波数とに基づいて、漏洩電流の位相角度を算出する位相角度算出部22と、CTセンサ部10の検出した漏洩電流と、位相角度算出部22の算出した位相角度とに基づいて、漏洩電流成分Igrを算出する漏洩電流成分算出部27と、を備える。
【選択図】
図1