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特許7515849健康増進用組成物を含む医薬品又は飲食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】健康増進用組成物を含む医薬品又は飲食品
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/122 20060101AFI20240708BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20240708BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240708BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240708BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240708BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240708BHJP
【FI】
A61K31/122
A61K33/00
A61P17/00
A61P39/06
A61P43/00 121
A23L33/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020036428
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021138636
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】512031080
【氏名又は名称】株式会社APAコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100197701
【弁理士】
【氏名又は名称】長野 正
(72)【発明者】
【氏名】岡田 憲己
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-072132(JP,A)
【文献】特開2006-347927(JP,A)
【文献】国際公開第2007/037438(WO,A1)
【文献】特開2009-269832(JP,A)
【文献】特開2017-132701(JP,A)
【文献】特許第6312144(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスタキサンチンと、食用珪素と、を含有し、
前記食用珪素は、水晶から抽出した水溶性の珪素である、
健康増進用組成物を含み、
前記健康増進用組成物は、肌荒れを、改善及び予防するために使用される、
医薬品又は飲食品。
【請求項2】
前記食用珪素の含有量が、前記アスタキサンチンの含有量よりも多い、
請求項1に記載の医薬品又は飲食品
【請求項3】
前記アスタキサンチンの含有量が、0.10質量%以上0.30質量%以下である、
請求項1又は2に記載の医薬品又は飲食品
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康増進用組成物を含む医薬品又は飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
健康を増進させる健康増進用組成物が、種々開発されている。
このような組成物として、例えば特許文献1に、アスタキサンチンのみを主要な有効成分とする組成物が開示されている。
【0003】
アスタキサンチンは、体内に取り入れられると、抗酸化作用を奏し、活性酸素が一因とされる病気を改善及び予防すると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-27589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アスタキサンチンの効き目には、個人差がある虞がある。
そのため、アスタキサンチンのみを主要な有効成分とする組成物を摂取しても、活性酸素が一因とされる病気を、改善及び予防することができない虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、従来のアスタキサンチンのみを主要な有効成分とする組成物よりも、活性酸素が一因とされる病気を改善及び予防することが可能な健康増進用組成物、及び当該健康増進用組成物を含む医薬品又は飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の医薬品又は飲食品は、
アスタキサンチンと、食用珪素と、を含有し、
前記食用珪素は、水晶から抽出した水溶性の珪素である
健康増進用組成物を含み、
前記健康増進用組成物は、肌荒れを、改善及び予防するために使用される。
【0008】
例えば、前記食用珪素の含有量が、前記アスタキサンチンの含有量よりも多くてもよい。
【0009】
例えば、前記アスタキサンチンの含有量が、0.10質量%以上0.30質量%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のアスタキサンチンのみを主要な有効成分とする組成物よりも、活性酸素が一因とされる病気を改善及び予防することが可能な健康増進用組成物、及び当該健康増進用組成物を含む医薬品又は飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る健康増進用組成物について説明する。
【0013】
本発明の健康増進用組成物は、有効成分として、アスタキサンチンと、食用珪素と、を含有する。
【0014】
アスタキサンチンは、3、3’-ジヒドロキシ-β、β-カロテン-4、4’-ジオンである。
アスタキサンチンには、3、3’位のヒドロキシ基の立体配置に基づき、(3R、3’R)、(3R、3’S)、及び(3S、3’S)の3種の光学異性体が存在する。また、アスタキサンチンには、共役二重結合のシス-トランスに基づく4種の幾何異性体が存在する。
本発明の健康増進用組成物では、これら3種の光学異性体及び4種の幾何異性体のいずれの異性体が含有されてもよい。
【0015】
アスタキサンチンは、天然由来のものであってもよく、人工的に合成されたものであってもよい。
【0016】
天然由来のアスタキサンチンとしては、特に限定されないが、例えば、ヘマトコッカス藻などの藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、エビやカニなどの甲殻類、サケやタイなどの魚類、Paracoccus sp.N81106やBrevundimonas sp.SD212などのバクテリア類、Schizochytriuym sp.KH105などのラビリンチュラ類から抽出されるアスタキサンチンが挙げられる。
【0017】
特に、ヘマトコッカス藻には、比較的多くのアスタキサンチンが蓄積されていると考えられることから、天然由来のアスタキサンチンは、ヘマトコッカス藻から抽出されることが好ましい。
ヘマトコッカス藻としては、例えば、UTEX2505などのヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ATCC30453などのヘマトコッカス・ラクストリス(Haematococcus lacustris)、UTEX LB1758などのヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)、UTEX LB1023などのヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、UTEX 55などのヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus deroebakensis)が挙げられる。
【0018】
天然物からアスタキサンチンを抽出する方法としては、特に限定されないが、例えば天然物を粉砕して、その粉砕物からアスタキサンチンを有機溶媒で抽出し、その抽出に使用された有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
なお、抽出に使用される有機溶媒としては、アセトン、エーテル、エタノール、メタノール及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0019】
また、人工的に合成されたアスタキサンチンとしては、特に限定されず、公知の方法により合成されたアスタキサンチンであってもよい。
公知の方法としては、例えば、特開第平07-118227号公報に開示されているアスタキサンチンの製造方法であって、カンタキサンチンジ金属エノレートに、低温下で、特定のオキサジリジン化合物の非プロトン性極性溶媒の溶液を加えた後、さらに酸性物質を加え、それにより得られた反応液から低温下で未反応のカンタキサンチンを分離する方法が挙げられる。
【0020】
また、アスタキサンチンは、市販のものであってもよい。
市販のアスタキサンチンとしては、特に限定されないが、例えば、オリザ油化株式会社から販売されている「アスタキサンチン-LS1」、バイオアクティブズジャパン株式会社から販売されている「アスタキサンチンパウダー」、富士化学工業株式会社から販売されている「アスタリール(登録商標)」が挙げられる。
特に、本発明では、市販のアスタキサンチンを用いる場合、含有成分等を考慮し、オリザ油化株式会社から販売されている「アスタキサンチン-LS1」を用いることが好ましい。
【0021】
食用珪素は、非晶質珪素であり、例えば、食物由来の珪素や、鉱物由来の珪素が挙げられる。
食物由来の珪素としては、穀類、野菜類、海藻類などに含まれる珪素が挙げられる。
穀類としては、例えば、麦、玄米、白米、トウモロコシである。
野菜類としては、例えば、ゴボウ、大根、人参である。
海藻類としては、例えば、昆布、ワカメである。
穀類、野菜類、海藻類などの食物は、粉砕された状態で、本発明の健康増進用組成物に含有されていてもよい。
【0022】
鉱物由来の珪素としては、水晶から抽出した珪素が挙げられる。
【0023】
また、食用珪素は、市販の食用珪素であってもよく、例えば、株式会社APAコーポレーションから販売されている水溶性珪素「umo(登録商標)」に含まれている珪素が挙げられる。
【0024】
また、食用珪素は、単体の珪素であってもよいし、例えば二酸化珪素のように化合物中の珪素であってもよい。
【0025】
食用珪素は、人体に摂取されると、腸管から吸収されて、細胞中のミトコンドリアを活性化しつつ、体内の活性酸素の過剰な増加を防ぐ。
つまり、食用珪素を摂取すると、その抗酸化作用により、活性酸素が一因とされる病気を改善及び予防することが可能になる。
【0026】
このような本発明の健康増進用組成物によれば、アスタキサンチンの抗酸化作用に加え、食用珪素の抗酸化作用が得られる。
そのため、本発明の健康増進用組成物を摂取することで、アスタキサンチンのみを主要な有効成分とする組成物を摂取する場合と比較して、活性酸素が一因とされる病気を、より改善及び予防することが可能になる。
【0027】
活性酸素が一因とされる病気としては、特に限定されないが、例えば、動脈硬化、心筋梗塞、癌、糖尿病、肌荒れなどの病気が挙げられる。
【0028】
ここで、本発明の健康増進用組成物に含まれるアスタキサンチン及び食用珪素の含有量は、特に限定されない。
ただし、食用珪素の含有量が、アスタキサンチンの含有量よりも多いことが好ましい。
これにより、活性酸素が一因とされる病気を、さらに改善及び予防することが可能になると考えられる。
【0029】
また、本発明の健康増進用組成物の総質量に基づくアスタキサンチンの含有量は、0.01質量%以上0.50質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上0.30質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%であることが最も好ましい。
これにより、本発明の健康増進用組成物を摂取した際に、アスタキサンチンの特有の臭いなどをなるべく感じさせることなく、活性酸素が一因とされる病気を改善及び予防することが可能になる。
なお、本発明の健康増進用組成物の総質量に基づくアスタキサンチンの含有量について、好ましいのは0.01質量%以上0.50質量%以下であるから、例えば0.02質量%、0.04質量%、0.06質量%、0.08質量%、0.12質量%、0.14質量%、0.16質量%、0.18質量%、0.22質量%、0.24質量%、0.26質量%、0.28質量%、0.32質量%、0.34質量%、0.36質量%、0.38質量%、0.40質量%、0.42質量%、0.44質量%、0.46質量%及び0.48質量%が含まれる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0031】
例えば、本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、さらに、アスタキサンチンや食用珪素とは関連しない成分であって、抗酸化作用を奏する成分を含んでもよい。
このような抗酸化作用を奏する成分としては、特に限定されないが、例えば、γ-オリザノール、アルファリポ酸、カテキン類、フラボノイド、コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、エンゾジノール、ローヤルゼリー、尿酸、クエン酸などを挙げることができる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの抗酸化作用を奏する成分の少なくとも1つ以上を含有してもよい。
【0032】
そして、本発明の健康増進用組成物に、上記のγ-オリザノール、アルファリポ酸、カテキン類、フラボノイド、コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、エンゾジノール、ローヤルゼリー、尿酸、クエン酸などを含有させる場合、それらの含有量は、特に限定されない。
【0033】
また、本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、コーティング剤、着色剤、結合剤、滑沢剤、及び界面活性剤などを含有してもよい。
【0034】
賦形剤としては、特に限定されず、例えば、デンプン、乳糖、白糠、ラクトース、微結晶セルロース、スクロース、デキストリン、D-マンニトール、コーンスターチ、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、メタケイ酸有アルミン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上の賦形剤を含有してもよい。
【0035】
pH調整剤としては、特に限定されず、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、重曹、水酸化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上のpH調整剤を含有してもよい。
【0036】
清涼化剤としては、特に限定されず、例えば、l-メントール、ハッカ水などが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上の清涼化剤を含有してもよい。
【0037】
懸濁化剤としては、特に限定されず、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カオリン、カルメロースナトリウムなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上の懸濁化剤を含有してもよい。
【0038】
コーティング剤としては、特に限定されず、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリレートコポリマーなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上のコーティング剤を含有してもよい。
【0039】
着色剤としては、特に限定されず、例えば、タール色素、酸化チタン、ウコン抽出液、リボフラビンなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上の着色剤を含有してもよい。
【0040】
結合剤としては、特に限定されず、例えば、エタノール、プロパノール、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、ブドウ糖、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上の結合剤を含有してもよい。
【0041】
滑沢剤としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上の滑沢剤を含有してもよい。
【0042】
界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、Tween60、Tween80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリンサングリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
本発明の健康増進用組成物は、必要に応じて、これらの1つ以上の界面活性剤を含有してもよい。
【0043】
また、本発明の健康増進用組成物は、医薬品又は飲食品に含まれてもよい。
【0044】
医薬品に含まれる場合は、特に限定されないが、例えば、薬学的に許容される担体とともに、錠剤、カプセル剤、液剤、粉末剤、ペースト状剤、ゲル状剤などの形態で人体に投与される。
【0045】
飲食品は、飲料品又は食料品を意味し、特に限定されないが、例えば、果汁飲料、清涼飲料、コーヒー、野菜ジュース、茶、コーヒー、シロップ、食酢、味噌、果物、野菜、穀物、肉、乳製品、菓子、麺、ゼリー、栄養補助食品、機能性食品、健康食品などが挙げられる。