(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】継手および流体制御装置
(51)【国際特許分類】
F16L 25/00 20060101AFI20240708BHJP
F16L 21/00 20060101ALI20240708BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20240708BHJP
F17D 1/02 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F16L25/00 Z
F16L21/00 F
F16L1/00 Y
F17D1/02
(21)【出願番号】P 2020055288
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀信
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-013088(JP,U)
【文献】特開2006-100643(JP,A)
【文献】特開昭52-056007(JP,A)
【文献】特開2001-107440(JP,A)
【文献】特開2001-058865(JP,A)
【文献】特開2005-298250(JP,A)
【文献】特開2004-299933(JP,A)
【文献】特開2004-123421(JP,A)
【文献】特開2002-114587(JP,A)
【文献】特開2008-210982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 25/00
F16L 21/00
F16L 1/00
F17D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体制御機器が固定される継手であって、
金属粉末焼結造形方式により作製され、流路が形成された金属素地と、
前記金属素地の少なくとも一部に形成された表面釉薬層と、を備え、
前記表面釉薬層は、前記流路、および、前記金属素地の流体制御機器が固定される外面
の全体に形成された、継手。
【請求項2】
前記表面釉薬層の中心線平均粗さRaが0.07μm未満である、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記金属素地と前記表面釉薬層との間に着色釉薬層が形成され、前記表面釉薬層が透明である、請求項1または請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記着色釉薬層は、ガス種を示す文字列、品番を示す文字列、およびガスの流れの方向を示す矢印の少なくともいずれか一つを構成している、請求項3に記載の継手。
【請求項5】
前記金属素地において、前記流路の各開口に相当する位置には、環状凹部が形成されており、
前記表面釉薬層は、前記環状凹部に形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の継手。
【請求項6】
前記流路は、一方の開口から他方の開口に向かって円弧状に延びている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の継手。
【請求項7】
複数の継手と、
前記複数の継手に固定された複数の流体制御機器と、を備え、
各継手は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の継手である流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、継手および流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス供給ユニットでは、手動弁と、レギュレータと、圧力計とが、流路の形成された固定ブロックを介して、ベースに対し固定されている(例えば、特許文献1参照。)。当該固定ブロックは、略直方体状の金属材料に対し、切削加工および研磨加工等により流路を形成することにより製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、固定ブロック(継手)を3Dプリンタにより製造することも可能である。しかし、3Dプリンタにより継手を製造した場合には表面が粗いため、ゴミの付着、シール性の低下等が予測される。
【0005】
そこで本開示は、ゴミの付着およびシール性の低下を抑制可能な継手および流体制御装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様である継手は、流路が形成された金属素地と、前記金属素地の少なくとも一部に形成された表面釉薬層と、を備える。
【0007】
前記表面釉薬層は、前記流路および/または前記金属素地の外面に形成されていてもよい。
【0008】
前記表面釉薬層の中心線平均粗さRaが0.07μm未満であってもよい。
【0009】
前記表面釉薬層が前記流路に形成されている場合において、前記金属素地と前記表面釉薬層との間に着色釉薬層が形成され、前記表面釉薬層が透明であってもよい。
【0010】
前記表面釉薬層が前記金属素地の外面に形成されている場合において、前記金属素地と前記表面釉薬層との間に着色釉薬層が形成され、前記表面釉薬層が透明であってもよい。
【0011】
前記着色釉薬層は、ガス種を示す文字列、品番を示す文字列、およびガスの流れの方向を示す矢印の少なくともいずれか一つを構成していてもよい。
【0012】
前記金属素地において、前記流路の各開口に相当する位置には、環状凹部が形成されており、前記表面釉薬層は、前記環状凹部に形成されていてもよい。
【0013】
前記流路は、一方の開口から他方の開口に向かって円弧状に延びていてもよい。
【0014】
また、本開示の一態様である流体制御装置は、複数の継手と、前記複数の継手に固定された複数の流体制御機器と、を備え、各継手は、上記の継手である。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、ゴミの付着およびシール性の低下を抑制可能な継手および流体制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る流体制御装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施形態に係る継手1および流体制御装置10について、図面を参照して説明する。以下の説明における上下は、
図1の上下とする。
【0018】
図1は、本実施形態に係る継手1を備える流体制御装置10の側面図である。
【0019】
流体制御装置10は、基盤11と、複数(
図1では一つのみ表示)のガスライン12と、を備える。各ガスライン12は、複数の継手1と、複数の流体制御機器13~19とを備える。複数の継手1は、基盤11上に一列に並ぶように設けられ、図示せぬボルトにより基盤11に固定されている。
【0020】
複数の流体制御機器13~19は、自動弁(例えば流体駆動式の自動弁)13~16と、手動式のレギュレータ(減圧弁)17と、フィルタ18と、流量制御機器(例えば、マスフローコントローラ)19とにより構成されている。流体制御機器13~19は、ボルト20(図の簡略化のため一つのボルト20にのみ参照番号を付している。)により、継手1それぞれ連結されている。複数の流体制御機器13~19と継手1それぞれの間には、流路を流体密に連結させるガスケット(図示省略)が介在されている。当該ガスケットは、ボルト20の締付により発生する軸力によって複数の流体制御機器13~19と継手1に挟圧される。
【0021】
そして、プロセスガスは、流体制御機器13~19、複数の継手1を通過して、図示せぬチャンバへ供給される。
【0022】
次に、本実施形態に係る継手1について説明する。
図2は、継手1の斜視図である。
図3は、継手1の断面図である。
【0023】
継手1は、金属素地2と、表面釉薬層3とを備える。金属素地2は略直方体状をなし、上面2Aと、上面2Aの反対側に位置する下面2Bと、4つの側面2Cとを有する。金属素地2には、両端が上面2Aに開口する流路4が形成されている。流路4は、一方の開口から他方の開口に向かって円弧状に延びている。このように、流路4に屈曲または屈折した部分がないので、流体の流れがスムーズになり、継手1の流量を増加させることができる。流路4は断面円形状である。金属素地2の上面2Aには、流路4の各開口に相当する位置に、図示せぬガスケットが挿入される環状凹部5を有している。当該ガスケットは環状凹部5と各流体制御機器13~19とにより狭圧される。環状凹部5の底面には、上面2A側へ突出する図示せぬ環状の突起が設けられる。表面釉薬層3は、本実施形態では、金属素地2の流路4および外面全体に形成されている。
【0024】
金属素地2は、3Dプリントにより製造される。例えば、金属素地2は、三次元造形装置において、金属素地2を形成するためのデータに基づいて、ステンレス、チタン等の金属粉末を積層する工程と、積層した金属粉末層をレーザーまたは電子ビームで溶着(焼結)する工程とを繰り返すことにより造形される。このように、金属素地2は、例えば金属粉末焼結造形方式により製造される。環状凹部5は、三次元造形装置により形成されてもよいし、切削加工により環状凹部5を形成してもよい。
【0025】
表面釉薬層3の釉薬組成の好ましい範囲、およびより好ましい範囲を示せば下記の通りである。
好ましい範囲(重量%)
SiO2:55~80、Al2O3:5~13、Fe2O3:0.1~0.4、MgO:0.8~3.0、CaO:8~17、ZnO:3~8、K2O:1~4、Na2O:0.5~2.5、ZrO2:0.1~15、顔料1~20
より好ましい範囲(重量%)
SiO2:60~80、Al2O3:5~10、Fe2O3:0.1~0.4、MgO:0.8~3.0、CaO:8~15、ZnO:4~8、K2O:1~4、Na2O:0.5~2.5、ZrO2:0.1~15、顔料1~20
【0026】
本実施形態において、上記表面釉薬層3の厚さは適宜設定されてよい。具体的な表面釉薬層3の厚さは、例えば0.1~3mm程度の厚さであり、好ましくは0.2~2mm程度であり、より好ましく0.3~1.2mmである。
【0027】
本実施形態による継手1は、表面釉薬層3を形成する釉薬原料として次のいずれかを用い、これを金属素地2上に適用し、焼成することで製造出来る。
(1)レーザー回折法による粒度分布測定での50%粒径(D50)が1.5μmの釉薬原料を使用
なお、レーザー回析法による粒度分布測定により得られた、例えば「50%粒径」とは、レーザー回析法により測定された粒度分布測定データにおける微粒子側からの微粒子数の累積が50%に達したときの粒子の粒径を意味する。なお、以下本明細書において、単に「50%粒径」または「粒径がD50」とともに粒径に言及する場合、それはレーザー回析法による粒度分布測定により得られた「50%粒径」を意味する。
(2)非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料を使用
(3)非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料と、非フリット釉薬原料との混合釉薬を使用
【0028】
上記(1)の釉薬原料は、釉薬原料粉体をボールミル等により粉砕することにより準備できる。このような微粉化された釉薬原料を用いることで本開示による平滑な表面を有する継手1を得ることができる。
【0029】
上記(2)の非晶質釉薬原料、例えばガラス化されたフリット釉薬原料は、釉薬原料粉体を1300度以上の高温で溶融させることにより得ることができる。このような予めガラス化された釉薬原料を用いることで、本開示による平滑な表面を有する継手1を得ることができる。
【0030】
上記(3)の態様にあっては、ガラス化されたフリット釉薬原料のような非晶質釉薬原料と、非フリット釉薬原料との混合物を使用してもよい。非晶質釉薬原料は上記(2)と同様にして得ることができる。
【0031】
上記非フリットの釉薬原料粉体の粒径は特に限定されないが、微細な方が好ましい。例えば、50%粒径が6μm以下あり、好ましくは4μm以下、より好ましくは1.5μm以下である。
【0032】
また、本実施形態では、上記(3)において、釉薬原料粉末中のうちの少なくとも焼成後に結晶粒子として残留する成分については、50%の粒径が6μm以下に微細化されたものであることが好ましく、4μm以下であることがより好ましい。釉薬原料粉末中のうち、少なくとも焼成後に結晶粒子として残留する成分として、ジルコン等の顔料粒子や、シリカ(石英)粒子がある。焼成後の釉薬表面に残ったジルコン粒子は樹形状の凸部を形成し、シリカ(石英)粒子は凹部を形成する。ここで、継手1の焼成温度(800~1300℃)において、ジルコン粒子は釉薬中のガラス成分に固溶せずに残存するものであり、シリカ粒子は粒子表面から釉薬中のガラス成分に固溶していくが、粒が粗いと固溶反応が充分に進行せずに残存する。従って、いずれの粒子においても原料が微細化されているほうが表面の凹凸が小さくなることが好ましい。
【0033】
さらにシリカ粒子については微細化されていると、耐アルカリ性が向上するために、長期使用時における表面粗さの増大も生じにくくなる。
【0034】
本実施形態によれば、上記(3)の態様において、非フリット釉薬原料が、その50%粒径が6μm程度のあまり微細化されていないものである場合、混合釉薬におけるフリット釉薬原料の含量は50重量%以下が好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できる。
【0035】
上記フリット釉薬原料のような非晶質釉薬原料は、非フリット釉薬原料粉体よりも軟化温度が高い原料を使用することが好ましい。これによっても、焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できる。
【0036】
上記釉薬原料を金属素地2に適用する方法は特に限定されず、スプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の一般的な方法を適宜選択することができる。
【0037】
上記のようにして表面釉薬層3の前駆層が形成された金属素地2を焼成する。焼成温度は、釉薬が軟化可能である300℃以上、好ましくは400℃以上の温度で焼成する。これにより、本開示の継手1が得られる。
【0038】
そして、本実施形態の継手1は、金属素地2上に表面釉薬層3を形成した継手1である。そして、表面釉薬層3の中心線平均粗さRaが0.07μm未満であるものである。本開示の好ましい態様によれば、中心線平均粗さRaは、0.068mm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましく、0.03μm以下であることが最も好ましい。
【0039】
本実施形態において、「中心線平均粗さRa」とは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さlの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をY=f(x)で表したとき、次式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0040】
本実施形態において中心線平均粗さRaの測定は、JIS-B0601(1994年)による定義と表示に従い、JIS-B0651(1996年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置により実施した。これらJIS基準は日本産業規格から、その英訳とともに容易に入手可能である。
【0041】
その測定装置の概略は
図4に示される通りである。図において、検出器21は触針22とスキッド23を備え、検出器21は、固定装置24上にある試料25の表面を送り装置26により送られながら、垂直方向の変位を検出する。この変位を拡大装置(図示せず)を通して、指示装置または記録装置に表示することで、表面粗さ曲線を得ることができる。
【0042】
本実施形態に係る継手1によれば、流路4が形成された金属素地2と、金属素地2の少なくとも一部に形成された表面釉薬層3とを備え、表面釉薬層3は、流路4および/または金属素地2の外面(上面2A、下面2B、側面2C)に形成されている。このため、金属素地2のままでは表面は非常に粗いが、表面釉薬層3により表面を平滑にすることができる。これにより、ゴミの付着を抑制可能な継手1を提供することができる。さらに、継手1と他の部材との当接時に密着性が高まる。これにより、複数の流体制御機器13~19と継手1それぞれの間で挟圧されるガスケットに加わる力が均一化される結果、当接面におけるシール性の低下を抑制可能な継手1を提供することができる。また、環状凹部5に設けられる突起(図示省略)に表面釉薬層3が形成されることで、ガスケットへの加重箇所の密度および硬度が向上する。これにより、環状凹部5における加重箇所の欠けや座屈を防止し、シール性の低下を抑制することができる。
【0043】
表面釉薬層3の中心線平均粗さRaが0.07μm未満であるので、半導体製造装置において要求される粗さ(Ra0.1μm未満)を満たす流量制御装置10(継手1)を提供することができる。
【0044】
なお、本開示は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0045】
例えば、金属素地2と表面釉薬層3との間に、さらに釉薬層が設けられていてもよい。すなわち、釉薬層が多層構造を有するものであっても、最表層である表面釉薬層3の表面が上記Raの数値範囲を満たすものであればよい。より具体的には、金属素地2と表面釉薬層3との間に、着色釉薬層が形成し、かつ表面釉薬層3が透明である態様が好ましい。
【0046】
例えば、流路4の表面を着色釉薬層により黒色等に着色してもよい。これにより、ゴミ(パーティクル)の発見を容易にすることができる。また、側面2Cに着色釉薬層により所望の色によって、ガス種を示す文字列、品番を示す文字列、およびガスの流れの方向を示す矢印(
図1の右から2番目の継手1)を、設けるようにしてもよい。側面2Cに限らず、上面2Aおよび下面2Bに文字列等を設けるようにしてもよい。これにより、継手1の製造時に、継手1の側面に文字情報等を付与することができ、継手1の製造後に文字情報等が消えるのを防止することができる。また、金属素地2の外面の一部または全部を、着色釉薬層により会社のイメージカラーに着色してもよい。
【0047】
この態様にあっては、表面釉薬層3の厚さを薄くでき、焼成中表面釉薬層3が極めて軟化しても、釉薬層中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できる。さらに、釉薬成分として亜鉛が含有されている場合、亜鉛成分は焼成時に気化して窯内に亜鉛華として付着し、焼成窯を汚染する。しかし、表面釉薬層を設けた場合には、中間に存在する釉薬層で気化した亜鉛が、表面釉薬層を通過しないと窯内雰囲気に蒸発されない。従って、一層のみの場合と同一の膜厚になるように二層にした場合には、一層の場合と比較して亜鉛華による窯の汚染が抑制される。
【0048】
なお、金属素地2と表面釉薬層3との間に、さらに釉薬層が設けられている継手1にあっても、その製造法は、中間に存在する釉薬層の前駆層を形成する工程が加わる以外は上記と同様である。すなわち、中間に存在する釉薬層の前駆層、例えば着色性釉薬層の前駆体を形成し、その上に上記(1)~(3)の釉薬原料により表面釉薬層の前駆体を形成する以外は、上記と同様であってよい。この場合、表面釉薬層の厚みは一般的には0.05~1.2mmであり、0.1~0.8mmであることが好ましく、0.15~0.4mmであることがより好ましい。
【0049】
また、着色性釉薬層の厚みは一般的には0.05~1.8mmであり、0.1~1.2mmであることが好ましく、0.2~0.7mmであることがより好ましい。
【0050】
着色性釉薬層を金属素地2と表面釉薬層3との間に形成する場合、着色性釉薬層を形成可能な釉薬原料のD50は4μm以上であることが好ましい。このような粒径の着色性釉薬原料を用い、かつ上記(1)~(3)の釉薬原料を組み合わせて用いることにより、焼成にあたり発生する気体が釉薬層中に残留することがなく、外観不良の発生が防止できる。
【0051】
さらに、着色性釉薬層を金属素地2と表面釉薬層3との間に形成する場合、上記(3)の混合釉薬の利用が好ましい。さらに好ましくは、非フリット釉薬原料が、その50%粒径が6μm以下に微細化されかつ顔料および/または乳濁剤(具体的にはZrO2)を欠いたものであり、さらにフリット釉薬原料が混合釉薬の50~99重量%、好ましくは60~95重量%、を占めるものの利用がこのましい。最も好ましくは非フリット釉薬原料:フリット釉薬原料が30:70~10:90である。この場合の焼成温度は800~1300℃が好ましい。従って、この好ましい製造法をまとめると、金属素地2にまず顔料と、乳濁剤とが添加されている着色性釉薬原料を適用し、さらに顔料と乳濁剤とを含まない透明性の非フリット釉薬原料と、フリット釉薬とを50~99重量%(好ましくは60~90重量%)で混合した混合釉薬を適用し、その後800~1300℃の温度で焼成する方法である。
【0052】
本実施形態による継手1の少なくとも一部には、表面釉薬層3が形成されていない部分が設けられてもよい。これによれば、釉薬層が形成されていない部分が焼成中に発生する気体の開放口となり、表面釉薬層3中に気体が入り込み残留して外観不良を発生させることが有効に防止できる。特に、金属素地2に釉薬原料を塗布後一度で焼成させる方法を用いた場合に有効である。
【0053】
上記の実施形態では、表面釉薬層3は、金属素地2の外面のすべてに形成したが、流路のみに形成してもよいし、金属素地2の外面の一部のみに形成してもよい。
【0054】
また、実施形態では、流体制御装置10は、流体制御機器として開閉弁(バルブ)、圧力計、レギュレータ、およびマスフローコントローラを備えていたが、これらの他にフィルタ、逆止弁等を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:継手
2:金属素地
2A:上面
2B:下面
2C:側面
3:表面釉薬層
4:流路
13-19:流体制御機器