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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】乾溜ガス化焼却処理装置
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/06 20060101AFI20240708BHJP
   F23G 5/027 20060101ALI20240708BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F23J15/06
F23G5/027 A
F23G5/50 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020161172
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054142
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391060281
【氏名又は名称】株式会社キンセイ産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 正元
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/130388(WO,A1)
【文献】実開昭51-027335(JP,U)
【文献】特開平06-094234(JP,A)
【文献】特開2004-085089(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0251037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 15/00 - 15/08
F23G 5/00 - 7/14
F22B 1/00 - 37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を収納すると共に、該廃棄物の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉と、該乾溜炉から導入される該可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉と、該燃焼炉に導入される該可燃性ガスの燃焼に要する酸素を燃焼炉に供給する燃焼酸素供給手段と、を備えた乾溜ガス化焼却処理装置であって、
前記燃焼炉にそれぞれ一端が接続された第1上流側接続路及び第2上流側接続路と、
前記第1上流側接続路の他端に接続され、前記燃焼炉で燃焼されて前記第1上流側接続路を通過した廃熱に対して熱処理を行う第1熱処理装置と、
前記第2上流側接続路の他端に接続され、前記燃焼炉で燃焼されて前記第2上流側接続路を通過した廃熱に対して熱処理を行う第2熱処理装置と、
前記第1熱処理装置に一端が接続された第1下流側接続路と、
前記第2熱処理装置に一端が接続された第2下流側接続路と、
前記第1下流側接続路及び前記第2下流側接続路それぞれの他端が接続され、前記第1熱処理装置及び前記第2熱処理装置で処理されて前記第1下流側接続路及び前記第2下流側接続路を通過した廃熱に対して熱処理を行う第3熱処理装置と、
前記第1上流側接続路に設けられ、前記第1上流側接続路を開閉する第1上流側ダンパと、
前記第1下流側接続路に設けられ、前記第1下流側接続路を開閉する第1下流側ダンパと、
前記第2上流側接続路に設けられ、前記第2上流側接続路を開閉する第2上流側ダンパと、
前記第2下流側接続路に設けられ、前記第2下流側接続路を開閉する第2下流側ダンパと、
前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉を制御するダンパ制御手段と、
を備え、
前記ダンパ制御手段は、前記乾溜ガス化焼却処理装置による焼却量を所定焼却量に維持したまま、前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉を制御して、前記第1熱処理装置での熱処理量を調整することを特徴とする乾溜ガス化焼却処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乾溜ガス化焼却処理装置において、
前記燃焼炉内の圧力を検出する炉内圧力検出手段を備え、
前記ダンパ制御手段は、前記炉内圧力検出手段で検出される検出炉内圧力を所定圧力で維持するように、前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉順を制御することを特徴とする乾溜ガス化焼却処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の乾溜ガス化焼却処理装置において、
前記ダンパ制御手段は、前記炉内圧力検出手段で検出される検出炉内圧力を所定圧力で維持するように、前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉速度を制御することを特徴とする乾溜ガス化焼却処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の乾溜ガス化焼却処理装置において、
前記第1熱処理装置は、前記燃焼炉で燃焼されて前記第1上流側接続路を通過した廃熱により加熱されるボイラから構成され、
前記第2熱処理装置は、前記燃焼炉で燃焼されて前記第2上流側接続路を通過した廃熱を減温する減温塔から構成され、
前記第3熱処理装置は、前記第1下流側接続路及び前記第2下流側接続路を通過した廃熱に対して集塵を行う集塵装置から構成されていることを特徴とする乾溜ガス化焼却処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃タイヤ等の廃棄物を乾溜して焼却処理する乾溜ガス化焼却処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃タイヤ等の廃棄物を焼却処理する装置として、例えば、乾溜炉内に収納した廃棄物の一部を燃焼させ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾留(熱分解)し、該乾留により生成する可燃性ガスを該乾溜炉から燃焼炉に導入して燃焼させる乾溜ガス化焼却処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の乾溜ガス化焼却処理装置では、燃焼炉で燃焼された燃焼排気を、ボイラ(第1熱処理装置)に送給して該ボイラでの発熱(第1熱処理装置での処理)に利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-135280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の乾溜ガス化焼却処理装置では、ボイラでの発熱量を調整する場合に、燃焼炉の燃焼温度を調整する必要があり、燃焼炉の燃焼温度の調整により、燃焼炉での燃焼量が増減してしまうという問題があった。特に、燃焼炉での燃焼量が減少する、すなわち、焼却量が減少することは問題となっていた。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、燃焼炉での燃焼量を維持したまま、焼却炉で燃焼された燃焼排気に対して処理を行う処理装置での処理量を調整することができる乾溜ガス化焼却処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の乾溜ガス化焼却処理装置は、廃棄物を収納すると共に、該廃棄物の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉と、該乾溜炉から導入される該可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉と、該燃焼炉に導入される該可燃性ガスの燃焼に要する酸素を燃焼炉に供給する燃焼酸素供給手段と、を備えた乾溜ガス化焼却処理装置であって、
前記燃焼炉にそれぞれ一端が接続された第1上流側接続路及び第2上流側接続路と、
前記第1上流側接続路の他端に接続され、前記燃焼炉で燃焼されて前記第1上流側接続路を通過した廃熱に対して熱処理を行う第1熱処理装置と、
前記第2上流側接続路の他端に接続され、前記燃焼炉で燃焼されて前記第2上流側接続路を通過した廃熱に対して熱処理を行う第2熱処理装置と、
前記第1熱処理装置に一端が接続された第1下流側接続路と、
前記第2熱処理装置に一端が接続された第2下流側接続路と、
前記第1下流側接続路及び前記第2下流側接続路それぞれの他端が接続され、前記第1熱処理装置及び前記第2熱処理装置で処理されて前記第1下流側接続路及び前記第2下流側接続路を通過した廃熱に対して熱処理を行う第3熱処理装置と、
前記第1上流側接続路に設けられ、前記第1上流側接続路を開閉する第1上流側ダンパと、
前記第1下流側接続路に設けられ、前記第1下流側接続路を開閉する第1下流側ダンパと、
前記第2上流側接続路に設けられ、前記第2上流側接続路を開閉する第2上流側ダンパと、
前記第2下流側接続路に設けられ、前記第2下流側接続路を開閉する第2下流側ダンパと、
前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉を制御するダンパ制御手段と、
を備え、
前記ダンパ制御手段は、前記乾溜ガス化焼却処理装置による焼却量を所定焼却量に維持したまま、前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉を制御して、前記第1熱処理装置での熱処理量を調整することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ダンパ制御手段により、第1上流側ダンパ、第1下流側ダンパ、第2上流側ダンパ、及び第2下流側ダンパの開閉を制御することで、乾溜ガス化焼却処理装置による焼却量を所定焼却量に維持(燃焼炉での燃焼量(燃焼排気量)を所定量に維持)したまま、第1熱処理装置での処理量を調整することができる。例えば、焼却量を所定焼却量に維持したまま、第1熱処理装置での処理量を減少させる場合には、第2上流側ダンパ、及び第2下流側ダンパの開度を上げ、且つ、第1上流側ダンパの開度を下げることで、第1熱処理装置に送給される燃焼排気量を減少させる。また、焼却量を所定焼却量に維持したまま、第1熱処理装置での処理量を上昇させる場合には、第2上流側ダンパ、及び第2下流側ダンパの開度を下げ、且つ、第1上流側ダンパの開度を上げることで、第1熱処理装置に送給される燃焼排気量を増加させる。
【0009】
[2] 前記燃焼炉内の圧力を検出する炉内圧力検出手段を備え、
前記ダンパ制御手段は、前記炉内圧力検出手段で検出される検出炉内圧力を所定圧力で維持するように、前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉順を制御することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、燃焼炉内の検出炉内圧力を所定圧力で維持するように、ダンパ制御手段により、第1上流側ダンパ、第1下流側ダンパ、第2上流側ダンパ、及び第2下流側ダンパの開閉順を制御するので、容易に、焼却量を所定焼却量に維持したまま、第1熱処理装置での処理量を調整することができる。
【0011】
[3] 前記ダンパ制御手段は、前記炉内圧力検出手段で検出される検出炉内圧力を所定圧力で維持するように、前記第1上流側ダンパ、前記第1下流側ダンパ、前記第2上流側ダンパ、及び前記第2下流側ダンパの開閉速度を制御することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、燃焼炉内の検出炉内圧力を所定圧力で維持するように、ダンパ制御手段により、第1上流側ダンパ、第1下流側ダンパ、第2上流側ダンパ、及び第2下流側ダンパの開閉速度を制御するので、焼却量を所定焼却量に維持したまま、より一層精密に第1熱処理装置での処理量を調整することができる。
【0013】
[4] 前記第1熱処理装置は、前記燃焼炉で燃焼されて前記第1上流側接続路を通過した廃熱により加熱されるボイラから構成され、
前記第2熱処理装置は、前記燃焼炉で燃焼されて前記第2上流側接続路を通過した廃熱を減温する減温塔から構成され、
前記第3熱処理装置は、前記第1下流側接続路及び前記第2下流側接続路を通過した廃熱に対して集塵を行う集塵装置から構成されていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、第1上流側ダンパ、第1下流側ダンパ、第2上流側ダンパ、及び第2下流側ダンパの開閉を個別に制御することで、容易に、焼却量を所定焼却量に維持したまま、ボイラでの発熱量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の乾溜ガス化焼却処理装置の構成を示すシステム構成図。
図2】発電量と、焼却量と、炉内圧と、各ダンパの開閉状態との経時変化を示すグラフ。
【0016】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の乾溜ガス化焼却処理装置1は、廃タイヤ等の廃棄物Aを収納し、その乾留ガス化及び灰化を行う2基の乾溜炉2a,2bと、乾溜炉2a,2bにガス通路3a,3bを介して接続される燃焼炉4と、を備える。
【0018】
乾溜炉2a,2bの上面部には、それぞれ開閉自在な投入扉5a,5bを備える投入口6a,6bが形成され、投入口6a,6bから廃棄物Aを乾溜炉2a,2b内に投入可能とされている。そして、乾溜炉2a,2bはその投入扉5a,5bを閉じた状態では、その内部が実質的に外部と遮断されるようになっている。乾溜炉2a,2bには、所定量の廃棄物Aを計量して投入口6a,6bから乾溜炉2a,2b内に投入する計量装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0019】
乾溜炉2a,2bの外周部には、その冷却構造として、乾溜炉2a,2bの内部と隔離されたウォータージャケット(図示せず)が形成されている。ウォータージャケットは、図示しない給水装置により給水され、内部の水量が所定水位に維持されるようになっている。
【0020】
乾溜炉2a,2bの下部は下方に移動自在の底扉7a,7bとなっており、乾溜炉2a,2bはその底扉7a,7bを閉じた状態では、その内部が実質的に外部と遮断されるようになっている。底扉7a,7bの下部には乾溜炉2a,2bの内部と隔離された空室8a,8bが形成されており、空室8a,8bは、底扉7a,7bに設けられた複数の給気ノズル9a,9bを介して、乾溜炉2a,2bの内部に連通している。
【0021】
乾溜炉2a,2bの下部の空室8a,8bには、それぞれ乾溜酸素供給路10a,10bが接続されており、乾溜酸素供給路10a,10bは、酸素供給路11を介して押込ファン等により構成された酸素供給源12に接続されている。乾溜酸素供給路10a,10bにはそれぞれ制御弁13a,13bが設けられ、制御弁13a,13bは弁駆動器14a,14bによりその開度が制御されるようになっている。この場合、弁駆動器14a,14bは、CPU等を含む電子回路により構成された制御装置15により制御される。
【0022】
さらに、乾溜炉2a,2bの下部には、それぞれ乾溜炉2a,2bに収容された廃棄物Aに着火するための着火装置16a,16bが取り付けられている。着火装置16a,16bは点火バーナ等により構成され、燃料供給装置17a,17bから燃料供給路18a,18bを介して供給される燃料を燃焼させることにより、廃棄物Aに燃焼炎を供給する。燃料供給装置17a,17bには、軽油等の燃料が貯留されている。
【0023】
燃焼炉4は、廃棄物Aの乾溜により生じる可燃性ガスとその完全燃焼に必要な酸素(空気)とを混合するバーナ部19と、酸素(空気)と混合された可燃性ガスを燃焼させる燃焼部20とからなり、燃焼部20はバーナ部19の下流側でバーナ部19に連通している。バーナ部19の上流側には、ガス通路3a,3bがそれぞれダンパ21a,21bを介して接続され、乾溜炉2a,2bにおける廃棄物Aの乾溜により生じた可燃性ガスがガス通路3a,3bを介してバーナ部19に導入される。
【0024】
バーナ部19の外周部には、その内部と隔離された空室(図示せず)が形成され、該空室はバーナ部19の内周部に穿設された複数のノズル孔(図示せず)を介してバーナ部19の内部に連通している。前記空室には、酸素供給路11から分岐する燃焼酸素供給路22が接続されている。燃焼酸素供給路22は、途中で燃焼部20内を経由するように配設されており、燃焼部20内で予熱された酸素(空気)が前記空室に供給される。
【0025】
燃焼酸素供給路22には制御弁23が設けられ、制御弁23は弁駆動器24によりその開度が制御されるようになっている。この場合、弁駆動器24は、制御装置15により制御される。
【0026】
バーナ部19の上流側には、燃焼装置25が取り付けられている。燃焼装置25は点火バーナ等により構成され、燃料供給装置26から燃料供給路27を介して供給される燃料を燃焼させることにより、バーナ部19に導入された可燃性ガスに着火し、或いは燃焼炉4を加熱する。燃料供給装置26には、軽油等の燃料が貯留されている。
【0027】
燃焼部20の下流側には、ボイラ上流側ダクト29a(第1上流側接続路)を介して、燃焼炉4内で燃焼された燃焼排気(廃熱)により加熱されるボイラ28(第1熱処理装置)が取り付けられている。
【0028】
ボイラ28は、図示しない給水装置により給水され、廃棄物Aの燃焼熱を利用して加熱された蒸気は周知のタービン30に送られ、蒸気によりタービン30が回転され、タービン30が回転する力により、周知の発電機31で発電される。
【0029】
ボイラ28の出口側には、ボイラ28で冷却された燃焼排気を排出するボイラ下流側ダクト29b(第1下流側接続路)が設けられている。
【0030】
燃焼部20の下流側には、減温塔上流側ダクト29c(第2上流側接続路)を介して、燃焼炉4内で燃焼された燃焼排気を減温する減温塔32(第2熱処理装置)が取り付けられている。
【0031】
減温塔32の出口側には、減温塔32で冷却された燃焼排気を排出する減温塔下流側ダクト29d(第2下流側接続路)が設けられている。
【0032】
ボイラ上流側ダクト29aには、ボイラ上流側ダクト29aを開閉するボイラ上流側ダンパ33a(第1上流側ダンパ)が設けられ、ボイラ下流側ダクト29bには、ボイラ下流側ダクト29bを開閉するボイラ下流側ダンパ33b(第1下流側ダンパ)が設けられている。
【0033】
減温塔上流側ダクト29cには、減温塔上流側ダクト29cを開閉する減温塔上流側ダンパ33c(第2上流側ダンパ)が設けられ、減温塔下流側ダクト29dには、減温塔下流側ダクト29dを開閉する減温塔下流側ダンパ33d(第2下流側ダンパ)が設けられている。各ダンパ33a~33dは、制御装置15により駆動(開閉)が制御される。
【0034】
ボイラ下流側ダクト29b及び減温塔下流側ダクト29dの下流端は、急冷塔34の上端部に接続されている。急冷塔34は、ボイラ下流側ダクト29b及び減温塔下流側ダクト29dから導入される燃焼排気に散水して冷却するスプレー35を備えており、スプレー35は冷却水を供給する給水装置(図示せず)及び空気圧縮機(図示せず)に接続されている。
【0035】
急冷塔34で冷却された燃焼排気は、急冷塔34の下部に開閉弁36を介して接続されたダクト29eにより取出される。
【0036】
ダクト29eはバグフィルタ37の一方の端部に接続されており、ダクト29eからバグフィルタ37に導入される燃焼排気には薬剤サイロ38から供給される消石灰及び活性炭が混合され、脱硫及び脱臭が行われる。
【0037】
バグフィルタ37(集塵装置は)、フィルタ部と、フィルタ部によって燃焼排気から分離された灰等を回収する回収部とを備え、フィルタ部にはその清浄のための空気圧縮機(図示せず)が接続されている。バグフィルタ37の他方の端部には、ダクト29fが接続されており、ダクト29fは燃焼炉4内の燃焼排気を誘引する誘引ファン39を介して煙突40に接続されている。この結果、ダクト29fに流通される燃焼排気は、煙突40から大気中に放出される。
【0038】
また、本実施形態の乾溜ガス化焼却処理装置1において、燃焼炉4には燃焼炉4内の圧力Pを検知する圧力センサ42(炉内圧検出手段)が、バーナ部19の下流側に臨む位置に設けられており、圧力センサ42の検出信号は制御装置15に入力される。
【0039】
次に、図1及び図2を参照して、乾溜ガス化焼却処理装置1で廃棄物の乾溜ガス化焼却処理を行う際の処理の流れについて説明する。
【0040】
乾溜ガス化焼却処理装置1において、廃棄物Aを焼却処理する際には、まず、底扉7aが閉じた状態で乾溜炉2aの投入扉5aを開き、投入口6aから廃タイヤ等の廃棄物Aを乾溜炉2a内に投入する。乾溜炉2aが前記計量装置を備えているときには、該計量装置により所定量の廃棄物Aを計量して投入口6aから乾溜炉2a内に投入する。
【0041】
次に、制御装置15により乾溜炉2aに対する廃棄物Aの投入が完了し、乾溜炉2aに廃棄物Aが収容されていることが検知される。乾溜炉2aに対する廃棄物Aの投入の完了の検知は、例えば、投入扉5a及び底扉7aにそれぞれ閉じているときにONになるリミットスイッチを設け、該リミットスイッチがONであることを検知することにより行うことができる。また、乾溜炉2aが前記計量装置を備える場合には、該計量装置に投入済ボタンを設け、該投入済ボタンの作動を検知することにより行ってもよい。さらに、前記両リミットスイッチがONであることと、前記投入済ボタンの作動とを検知することにより行ってもよい。
【0042】
次いで、投入扉5aを閉じて乾溜炉2a内を密封状態としたのち、廃棄物Aの着火に先立って、燃焼炉4の燃焼装置25を作動させることにより、燃料供給装置26から燃料供給路27を介して供給される燃料の燃焼により、燃焼炉4の予熱が開始される。
【0043】
次に、図示しない温度センサにより検知される燃焼炉4内の温度が前記燃料の燃焼により次第に上昇し、例えば760℃に達すると、制御装置15により弁駆動器14aが駆動されて制御弁13aの開度が所定の開度、例えば25%とされ、酸素供給源12から酸素供給路11、乾溜酸素供給路10aを介して乾溜炉2aに酸素(空気)の供給が開始される。
【0044】
制御装置15により、乾溜炉2aに対する廃棄物Aの投入の完了と、乾溜炉2aに廃棄物Aが収容されていることと、ダンパ21aが開かれていることとが検知されると、所定時間後、例えば5分後に乾溜炉2aの着火装置16aが作動される。この結果、燃料供給装置17aから燃料供給路18aを介して供給される燃料が着火装置16aで燃焼されることにより、廃棄物Aに着火され、廃棄物Aの部分的燃焼が開始される。
【0045】
次に、乾溜炉2aでは、制御装置15により弁駆動器14aが制御されて、制御弁13aの開度が段階的に増大される。これに伴って、乾溜炉2aにおける廃棄物Aの部分的燃焼は、酸素供給源12から供給される酸素(空気)により次第に拡大して安定化し、廃棄物Aの底部に火床が形成される。前記火床が形成されると着火装置16aは停止され、廃棄物Aの部分的燃焼の熱により廃棄物Aの他の部分の乾溜が開始され、可燃性ガスの生成が始まる。前記可燃性ガスの生成は、例えば、ガス通路3aの乾溜炉2aに臨む位置に図示しない温度センサを配設し、該温度センサにより検出される温度の上昇により検知することができる。
【0046】
乾溜炉2aの内部空間は、誘引ファン39により燃焼炉4を介して吸引されているので、前記可燃性ガスはガス通路3aを介してバーナ部19に導入される。バーナ部19では、制御装置15により弁駆動器24が駆動されて制御弁23の開度が所定の開度とされ、酸素供給源12から酸素供給路11、燃焼酸素供給路22を介して酸素(空気)が供給されている。そこで、前記可燃性ガスは、燃焼酸素供給路22を介して供給される酸素(空気)と混合され、燃焼装置25から供給される燃焼炎により着火されて、燃焼部20における燃焼が開始される。
【0047】
前記火床が形成されるまでの間、前記可燃性ガスの燃焼による燃焼炉4内の温度はしばらく800℃付近で細かく上下するが、やがて該可燃性ガスの発生が活発になり自然燃焼を開始すると次第に上昇し、予め設定された第1の温度(以下、第1の設定温度という)、例えば930℃に達する。
【0048】
前記可燃性ガスの燃焼により燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度に達すると、燃焼装置25が停止され、制御装置15は乾溜炉2aにおける該可燃性ガスの生成のフィードバック制御を開始する。この結果、前記可燃性ガスの燃焼により燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度となるように制御弁13aの開度が制御される。
【0049】
尚、制御装置15により燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度となるように前記可燃性ガスの生成がフィードバック制御されている間に、燃焼炉4内の温度が低下し該第1の設定温度より低い第2の設定温度、例えば875℃に達したときには、燃焼装置25が再作動され燃焼装置25の火力により燃焼炉4が加熱される。燃焼装置25は燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度に復帰すると停止される。
【0050】
[ボイラ]
ボイラ上流側ダクト29aに設けられたボイラ上流側ダンパ33aが開状態で、ボイラ上流側ダクト29aが開状態とされている場合、燃焼部20における前記可燃性ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、ボイラ28でボイラ28に流通される水と熱交換することにより冷却され、ボイラ下流側ダクト29bに排出される。
【0051】
ボイラ28で燃焼排気を利用して加熱された蒸気はタービン30に送られ、その蒸気によりタービン30が回転され、タービン30が回転する力により、発電機31で発電される。
【0052】
ボイラ下流側ダクト29bに設けられたボイラ下流側ダンパ33bが開状態で、ボイラ下流側ダクト29bが開状態とされている場合、ボイラ28からの燃焼排気はボイラ下流側ダクト29bから急冷塔34に導入され、スプレー35から撒水される冷却水により冷却され、ダクト29eに排出される。このとき、急冷塔34の下流側の開閉弁36は開弁されている。
【0053】
[減温塔]
減温塔上流側ダクト29cに設けられた減温塔上流側ダンパ33cが開状態で、減温塔上流側ダクト29cが開状態とされている場合、燃焼部20における前記可燃性ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、減温塔32で減温され、減温塔下流側ダクト29dに排出される。
【0054】
減温塔下流側ダクト29dに設けられた減温塔下流側ダンパ33dが開状態で、減温塔下流側ダクト29dが開状態とされている場合、減温塔32からの燃焼排気は減温塔下流側ダクト29dから急冷塔34に導入され、スプレー35から撒水される冷却水により冷却され、ダクト29eに排出される。このとき、急冷塔34の下流側の開閉弁36は開弁されている。
【0055】
次に、ダクト29eに排出された燃焼排気は、薬剤サイロ38から供給される消石灰及び活性炭と混合されて脱硫及び脱臭され、バグフィルタ37に導入されて灰や塵埃等が除去された後、ダクト29fに排出され、さらに煙突40から大気中に放出される。
【0056】
本実施形態では、乾溜炉2aで生成した前記可燃性ガスの燃焼による燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度に達した後、乾溜炉2bの底扉7bが閉じた状態で投入扉5bを開き、投入口6bから廃タイヤ等の廃棄物Aを乾溜炉2b内に投入する。廃棄物Aの乾溜炉2b内への投入は、乾溜炉2a内への投入の場合と同様にして行うことができる。
【0057】
次に、制御装置15により、乾溜炉2bに対する廃棄物Aの投入の完了と、乾溜炉2bに廃棄物Aが収容されていることとが検知された後、乾溜炉2aにおける制御弁13aの開度が、所定の開度、例えば50%に達すると、ダンパ21bが開かれ、制御装置15により乾溜炉2bにおける弁駆動器14bが駆動されて制御弁13bの開度が所定の開度、例えば25%とされ、酸素供給源12から酸素供給路11、乾溜酸素供給路10bを介して乾溜炉2bに酸素(空気)が供給される。
【0058】
次に、乾溜炉2aにおける制御弁13aの開度が、第1の所定の開度、例えば53%に達すると、乾溜炉2bの着火装置16bが作動される。この結果、燃料供給装置17bから燃料供給路18bを介して供給される燃料の燃焼により乾溜炉2b内の廃棄物Aに着火され、廃棄物Aの部分的燃焼が開始される。
【0059】
制御装置15による、乾溜炉2bに対する廃棄物Aの投入の完了と、乾溜炉2bに廃棄物Aが収容されていることとの検知は、乾溜炉2aの場合と同様にして行うことができる。
【0060】
次に、乾溜炉2bでは、制御装置15により弁駆動器14bが制御されて、制御弁13bの開度が段階的に増大される。これに伴って、乾溜炉2bにおける廃棄物Aの部分的燃焼は、酸素供給源12から供給される酸素(空気)により次第に拡大して安定化し、廃棄物Aの底部に火床が形成される。前記火床が形成されると着火装置16bは停止される。
【0061】
次に、乾溜炉2aにおける制御弁13aの開度が、第1の所定の開度(例えば53%)よりも小さい第2の所定の開度、例えば50%に達すると、制御装置15により弁駆動器14bが制御されて、制御弁13bの開度が減少せしめられて例えば15%とされ、前記火床の維持に必要十分なだけの酸素(空気)が酸素供給源12から酸素供給路11、乾溜酸素供給路10bを介して乾溜炉2bに供給されるようになる。
【0062】
この結果、乾溜炉2bは、前記火床は維持されているが、炉内に収容した廃棄物Aの乾溜は開始されていない状態、換言すれば、必要に応じて直ちに廃棄物Aの乾溜を開始することができるスタンバイ状態とされる。乾溜炉2bが前記スタンバイ状態とされている間、制御弁13bの開度は、前記火床の維持に必要十分なだけの酸素(空気)が乾溜炉2bに供給される開度に維持されている。
【0063】
次に、乾溜炉2aにおける制御弁13aの開度が、第2の所定の開度(例えば50%)よりも大きな第3の所定の開度、例えば60%に達すると、乾溜炉2bでは制御装置15により弁駆動器14bが制御されて、制御弁13bの開度が増大される。この結果、前記スタンバイ状態が解除されて、乾溜炉2b内に収容した廃棄物Aの乾溜が開始され、乾溜炉2bで生成した前記可燃性ガスがガス通路3bを介して燃焼炉4のバーナ部19に導入されるようになる。前記可燃性ガスの生成は、例えば、乾溜炉2aにおける場合と同様に、ガス通路3bの乾溜炉2bに臨む位置に図示しない温度センサを配設し、該温度センサにより検出される温度の上昇により検知することができる。
【0064】
次に、第2の乾溜炉2bで生成した可燃性ガスが燃焼炉4に導入されるようになると、制御装置15は前述のように、第1の乾溜炉2aで生成した可燃性ガスの燃焼と、第2の乾溜炉2bで生成した可燃性ガスの燃焼との合計による燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度となるように制御弁13aの開度を制御する。この結果、制御弁13aの開度は第3の所定の開度(例えば60%)を超えて最大の開度、例えば80%に達した後、減少する傾向に転じる。
【0065】
次に、制御装置15は、弁駆動器14aを介して制御弁13aの開度を所定の開度に固定する一方、乾溜炉2bで生成した可燃性ガスの燃焼による燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度となるように制御弁13bの開度を制御し、乾溜炉2bにおける前記可燃性ガスの生成をフィードバック制御する。この間に、乾溜炉2aでは前記可燃性ガスの発生が全く無くなり、燃焼炉4で燃焼される可燃性ガスが、乾溜炉2aで生成した可燃性ガスから、乾溜炉2bで生成した可燃性ガスに切り替わる。
【0066】
この結果、本実施形態では、燃焼炉4で燃焼される可燃性ガスの、乾溜炉2aで生成した可燃性ガスから、乾溜炉2bで生成した可燃性ガスへの切り替えを円滑に行うことができる。
【0067】
なお、上記した燃焼炉4で燃焼される可燃性ガスの、乾溜炉2aで生成した可燃性ガスから、乾溜炉2bで生成した可燃性ガスへの切り替え方法は、WO2017/131158に詳しく記載されており、この方法で行われるものである。また、乾溜炉を3個以上設けるようにしてもよい。
【0068】
[ボイラ熱処理量調整制御]
本実施形態では、制御装置15は、ボイラ28での発熱量である熱処理量(発電機31での発電量)を調整する場合に、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量を所定焼却量に維持したまま、ボイラ上流側ダンパ33a、ボイラ下流側ダンパ33b、減温塔上流側ダンパ33c、及び減温塔下流側ダンパ33dの開閉(開度)を制御して、ボイラ28での熱処理量(発電機31での発電量)を調整する。
【0069】
詳しくは、制御装置15は、圧力センサ42で検出された燃焼炉4の炉内圧(kPa)を所定圧力で維持するように、各ダンパ33a~33dの開閉を制御する。本実施形態では、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量(kg/h)と、圧力センサ42で検出された燃焼炉4の炉内圧(kPa)とは、比例関係にあり、燃焼炉4の炉内圧(kPa)を所定圧力に維持することで、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量も所定焼却量に維持することができる。また、本実施形態では、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量と、燃焼炉4の燃焼量とは、比例関係にあり、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量を所定焼却量に維持することで、燃焼炉4の燃焼量も所定燃焼量に維持することができる。
【0070】
図2に、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量を所定焼却量に維持したまま、ボイラ28での熱処理量(発電機31での発電量)を調整する場合の各ダンパ33a~33dの開閉制御の一例を示す。
【0071】
図2に示すように、時刻t0では、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量はX1(kg/h)で、燃焼炉4の炉内圧はP1(kPa)で、ボイラ上流側ダンパ33a及びボイラ下流側ダンパ33bは開状態で、減温塔上流側ダンパ33c及び減温塔下流側ダンパ33dは閉状態で、発電機31での発電量は、W4(kW)となっている。時刻t0では、燃焼部20における可燃性ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、全てボイラ28に送られるため、発電機31での発電量が多い状態となっている。
【0072】
そして、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量をX1(kg/h)で維持し、燃焼炉4の炉内圧をP1(kPa)で維持したまま、発電機31での発電量を減少させる場合、先ず、制御装置15は、時刻t1で減温塔下流側ダンパ33dを閉状態から開状態に切り換える。
【0073】
次に、制御装置15は、時刻t2で減温塔上流側ダンパ33cを閉状態から開状態に切り換える。これにより、燃焼部20における可燃性ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、減温塔32にも送られるようになり、ボイラ28に送られる燃焼排気の量が減少するため、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量をX1(kg/h)で維持し、燃焼炉4の炉内圧をP1(kPa)で維持したまま、発電機31での発電量が、時刻t0でのW4(kW)の例えば1/4であるW1(kW)に減少される。そして、減温塔32からの燃焼排気はボイラ下流側ダクト29bから急冷塔34に導入され、スプレー35から撒水される冷却水により冷却され、ダクト29eに排出される。
【0074】
次に、制御装置15は、時刻t3でボイラ上流側ダンパ33aの開度を減少させる(例えば、時刻t0~時刻t2の開度の1/4にする)。これにより、発電機31での発電量が、時刻t0でのW4(kW)の例えば1/4であるW1(kW)に維持される。
【0075】
次に、制御装置15は、時刻t4でボイラ上流側ダンパ33aの開度を増加させる(例えば、時刻t3の開度の4倍にする)。
【0076】
制御装置15は、時刻t5で減温塔上流側ダンパ33cを開状態から閉状態に切り換える。これにより、燃焼部20における可燃性ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、全てボイラ28に送られ、発電機31での発電量が、時刻t0と同じW4(kW)に増加される。制御装置15は、時刻t6で減温塔下流側ダンパ33dを開状態から閉状態に切り換える。
【0077】
そして、時刻t7~t9では、時刻t1~t3と同様の制御が行われる。
【0078】
本実施形態では、制御装置15により、ボイラ上流側ダンパ33a、ボイラ下流側ダンパ33b、減温塔上流側ダンパ33c、及び減温塔下流側ダンパ33dの開閉を制御することで、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量をX1(kg/h)で維持し、燃焼炉4の炉内圧をP1(kPa)で維持したまま、ボイラ28での熱処理量(発電機31での発電量)を調整することができる。
【0079】
さらに、制御装置15により、ボイラ上流側ダンパ33a、ボイラ下流側ダンパ33b、減温塔上流側ダンパ33c、及び減温塔下流側ダンパ33dの開閉順を制御するので、容易に、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量をX1(kg/h)で維持し、燃焼炉4の炉内圧をP1(kPa)で維持したまま、ボイラ28での熱処理量(発電機31での発電量)を調整することができる。
【0080】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0081】
例えば、上記実施形態では、燃焼炉4に各ダクト29a,29cを介してボイラ28及び減温塔32を接続しているが、燃焼炉4に各ダクト29a,29cを介して接続される装置は、廃熱に対して熱処理を行う熱処理装置であればよく、例えば、油を使った乾燥機に使用するために、廃熱を回収して油を加湿する廃熱回収機でもよく、両方をボイラとしてもよい。
【0082】
上記実施形態で示した焼却量X1(kg/h)、燃焼炉4の炉内圧P1(kPa)、発電機31での発電量W4(kW)は、任意の数値であり、適宜変更可能であり、所定範囲の数値でもよい。
【0083】
上記実施形態では、燃焼炉4の炉内圧を一定に維持することで、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量を一定に維持するように制御しているが、該焼却量を一定に維持することができればよく、例えば、燃焼炉4から排出される燃焼排気量を検出する燃焼排気量検出装置を設け、この燃焼排気量検出装置での検出値を一定に維持することで、乾溜ガス化焼却処理装置1による焼却量を一定に維持するように制御してもよい。
【0084】
上記実施形態では、ボイラ下流側ダクト29b及び減温塔下流側ダクト29dの下流端に急冷塔34を接続し、この急冷塔34にバグフィルタ37を接続しているが、急冷塔34を設けずに、ボイラ下流側ダクト29b及び減温塔下流側ダクト29dの下流端にバグフィルタ37を接続するようにしてもよい。
【0085】
また、乾溜ガス化焼却処理装置1では、燃焼炉4内の燃焼排気を誘引する誘引ファン39により燃焼炉4の炉内圧(燃焼炉4の差圧)が所定圧力(一定値以内)になるように制御されており、制御装置15が、各ダンパ33a~33dを開閉させるときに、その開閉速度が速すぎる場合や遅すぎる場合には、燃焼炉4の炉内圧(燃焼炉4の差圧)が所定圧力(一定値以内)から外れることがある。
【0086】
このため、制御装置15が、各ダンパ33a~33dを開閉させるときに、圧力センサ42で検出される燃焼炉4の炉内圧(燃焼炉4の差圧)が所定圧力(一定値以内)で維持されるように、各ダンパ33a~33dの開閉速度を制御することが好ましく、例えば、10秒~15秒程度で、各ダンパ33a~33dを開閉するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…乾溜ガス化焼却処理装置、2a,2b…乾溜炉、4…燃焼炉、10a,10b…乾溜酸素供給路、12…酸素供給源、15…制御装置(ダンパ制御手段)、28…ボイラ(第1熱処理装置)、29a…ボイラ上流側ダクト(第1上流側接続路)、29b…ボイラ下流側ダクト(第1下流側接続路)、29c…減温塔上流側ダクト(第2上流側接続路)、29d…減温塔下流側ダクト(第2下流側接続路)、32…減温塔(第2熱処理装置)、33a…ボイラ上流側ダンパ(第1上流側ダンパ)、33b…ボイラ下流側ダンパ(第1下流側ダンパ)、33c…減温塔上流側ダンパ(第2上流側ダンパ)、33d…減温塔下流側ダンパ(第2下流側ダンパ)、42…圧力センサ(炉内圧検出手段)、A…廃棄物
図1
図2