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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】水抜栓開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 9/14 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
E03B9/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020189253
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078521
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000150095
【氏名又は名称】株式会社竹村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 信雄
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-115033(JP,A)
【文献】特開2007-270585(JP,A)
【文献】特開平11-158946(JP,A)
【文献】特開2018-119706(JP,A)
【文献】特開2018-197494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00-11/16
E03C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に水道を引くための立上り管と地中に埋設された給水管とを中継する水抜栓と、前記水抜栓を電動で開閉する駆動部と、外部の通信機器と無線通信可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記通信機器からの指令を受信して制御信号を異なる場所に配置された前記駆動部に伝達することで前記水抜栓開閉動作を制御する構成であり、前記建物の外壁面または前記外壁面の近くに配置され、外力によって操作できないように保護カバーが付設されていること
を特徴とする水抜栓開閉装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動部に配されモータの電流値を検出する電流センサを有し前記電流センサの検知信号に基づい前記開閉動作が正常であると判断した場合に前記開閉動作の完了信号を前記通信機器に送信し、前記検知信号に基づいて前記開閉動作が正常でないと判断した場合にエラー信号を前記通信機器に送信すること
を特徴とする請求項1記載の水抜栓開閉装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記水抜栓の周環境の物理量を検出する環境センサを有し前記環境センサの計測値に基づいて災害が発生していると判断した場合に前記指令よりも優先して水抜き動作を制御する構成であり、前記環境センサは、温度センサ、湿度センサ、光センサ、振動センサ、磁場センサ、圧力センサのいずれか二種以上の組み合わせからなること
を特徴とする請求項2に記載の水抜栓開閉装置。
【請求項4】
前記水抜栓の種別に対応したアプリケーションプログラムが前記通信機器にインストールされており、前記通信機器にて前記アプリケーションプログラムを起動させて前記水抜栓のうち無線通信する対象を特定して前記指令を前記制御部に送信する構成であり、前記制御部は、前記駆動部に配されたモータの電流値を検出する電流センサを有し、前記通信機器にて起動した前記アプリケーションプログラムは、前記電流センサの検知信号に基づいて前記水抜栓における前記開閉動作が正常であると判断した場合に前記制御部に前記開閉動作の完了信号を送信し、前記検知信号に基づいて前記水抜栓における前記開閉動作が正常でないと判断した場合に前記通信機器の画面にエラー表示をすること
を特徴とする請求項1に記載の水抜栓開閉装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記水抜栓の周環境の物理量を検出する環境センサを有し前記通信機器にて起動した前記アプリケーションプログラムは、前記制御部における前記環境センサの計測値に基づいて災害が発生していると判断した場合に前記指令よりも優先して水抜き動作を制御する構成であり、前記環境センサは、温度センサ、湿度センサ、光センサ、振動センサ、磁場センサ、圧力センサのいずれか二種以上の組み合わせからなること
を特徴とする請求項4に記載の水抜栓開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道の凍結を防止する水抜栓開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立上り管の水を凍結深度以下の地中に排水する水抜きによって水道管の凍結を防止する水抜栓が知られている(特許文献1:特公平7-37733号公報)。また、外部からの通信に応じて給水管の開閉制御を行う散水栓が提案されている(特許文献2:特開2007-270585号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平7-37733号公報
【文献】特開2007-270585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水抜栓開閉装置は、室内に配置された操作盤の操作によって水抜き状態と通水状態とを切り換える構成が一般的であった。しかし、屋外に配置された水抜栓と室内に配置された操作盤とを配線接続するに際して、建物に穴を開けて配線工事を行わなければならず、施工主の立ち合いも必要になるため、作業手順や工事が煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、作業手順や工事が簡易であるとともに水抜栓の種別が多くなっても容易に対応できる新規な構造の水抜栓開閉装置を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決策により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る水抜栓開閉装置は、建物に水道を引くための立上り管と地中に埋設された給水管とを中継する水抜栓と、前記水抜栓を電動で開閉する駆動部と、外部の通信機器と無線通信可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記通信機器からの指令を受信して制御信号を異なる場所に配置された前記駆動部に伝達することで前記水抜栓開閉動作を制御する構成であり、前記建物の外壁面または前記外壁面の近くに配置され、外力によって操作できないように保護カバーが付設されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、建物の外に配された制御部は建物の使用者などから通信機器によって送信された指令を受信して水抜栓の開閉動作を制御するので、従来のように操作盤を設置するための建物に穴を開ける工事や室内の配線工事が不要になる。尚且つ、通信機器上でアプリケーションプログラムを起動させて制御データにアクセスするなどのソフトウエア処理によって水抜栓を特定することができるので、水抜栓の種別が多くなっても容易に対応できる。
【0011】
記制御部が建物の近くや建物の外壁面または当該外壁面の近くに配置されていることで前記建物に設置されたWi-Fi機器を介して前記通信機器と通信すことも容易にできる。記制御部は外力によって操作できないように保護されてい。これにより、セキュリティをより高めることができる。一例として、前記制御部はブラックボックスにする場合がある。一例として、前記制御部は操作釦が配されていない構成にする場合がある。一例として、前記制御部は筐体にカバーして鍵を付ける場合がある。
【0012】
一例として、前記制御部は、前記駆動部に配されモータの電流値を検出する電流センサを有し前記電流センサの検知信号に基づい前記開閉動作が正常であると判断した場合に前記開閉動作の完了信号を前記通信機器に送信し、前記検知信号に基づいて前記開閉動作が正常でないと判断した場合にエラー信号を前記通信機器に送信する。これにより、通信機器の負担が非常に少ない構成になるので、リモートコントローラなど簡易な構成の通信機器を適用することが容易にできる。そして、水抜き状態と通水状態との切り換え状況の表示や、切り換え完了の表示を通信機器の画面に表示させることが容易になり、建物の使用者は、水抜き状態であるか通水状態であるかが一目瞭然になる。
【0013】
一例として、前記制御部は、前記水抜栓の周環境の物理量を検出する環境センサを有し前記環境センサの計測値に基づいて災害が発生していると判断した場合に前記指令よりも優先して水抜き動作を制御する構成であり、前記環境センサは、温度センサ、湿度センサ、光センサ、振動センサ、磁場センサ、圧力センサのいずれか二種以上の組み合わせからなる。前記制御部は前記環境センサの計測値に基づいて、凍結、氷結、降雪、地震、低気圧、その他既知の自然災害を含む災害が発生しているか否かを判断し、前記通信機器からの前記指令よりも優先して水抜き動作を制御する。これにより、自然災害を含む災害に対応して迅速に水抜きを行うことができる。
【0014】
一例として、前記水抜栓の種別に対応可能なアプリケーションプログラムが前記通信機器にインストールされており、前記通信機器にて前記アプリケーションプログラムを起動させて前記水抜栓のうち無線通信する対象を特定する構成である。これにより、ソフトウエア処理によって水抜栓を特定するので、水抜栓の種別が多くなっても容易に対応できる。また、通信機器と水抜栓との通信を一対一で行うことが容易にできるうえに、SSL暗号化通信やTLS暗号化通信によってセキュリティをより高めることができる。
【0015】
一例として、前記制御部と無線通信するために前記通信機器にインストールされて前記水抜栓の種別に対応する制御データにアクセス可能なアプリケーションプログラムを備え、前記通信機器にインストールした前記アプリケーションプログラムを起動させて前記制御データにアクセスすることで前記水抜栓のうち無線通信する対象を特定して前記開閉動作を制御する構成である。これにより、必要に応じてネットワークにアクセスし、アプリケーションプログラムを通信機器にダウンロードしてインストールする簡便な作業によって水抜栓の様々な種別に対応する制御データを通信機器に取り込むことが容易にできる。尚且つ、必要な制御データを最新版にアップデートすることが容易にできる。なお、前記アプリケーションプログラムに制御データを予め組み込む場合もある。
【0016】
一例として、前記水抜栓の種別に対応したアプリケーションプログラムが前記通信機器にインストールされており、前記通信機器にて前記アプリケーションプログラムを起動させて前記水抜栓のうち無線通信する対象を特定して前記指令を前記制御部に送信する構成であり、前記制御部は、前記駆動部に配されモータの電流値を検出する電流センサを有し前記通信機器に起動した前記アプリケーションプログラムは、前記電流センサ検知信号に基づいて前記水抜栓における前記開閉動作が正常であると判断した場合に前記制御部に前記開閉動作の完了信号を送信し、前記検知信号に基づいて前記水抜栓における前記開閉動作が正常でないと判断した場合に前記通信機器の画面にエラー表示をする。これにより、制御部の負担が非常に少ない構成になるので、4ビットマイコンなど簡易な構成の制御部を適用することが容易にできる。そして、水抜き状態と通水状態との切り換え状況の表示や、切り換え完了の表示を通信機器の画面に表示させることが容易になり、建物の使用者は、水抜き状態であるか通水状態であるかが一目瞭然になる。
【0017】
一例として、前記制御部は、前記水抜栓の周環境の物理量を検出する環境センサを有し前記通信機器にて起動した前記アプリケーションプログラムは、前記制御部における前記環境センサの計測値に基づいて災害が発生していると判断した場合に前記指令よりも優先して水抜き動作を制御する構成であり、前記環境センサは、温度センサ、湿度センサ、光センサ、振動センサ、磁場センサ、圧力センサのいずれか二種以上の組み合わせからなる。前記通信機器にて起動した前記アプリケーションプログラムは前記環境センサの計測値に基づいて、凍結、氷結、降雪、地震、低気圧、その他既知の自然災害を含む災害が発生しているか否かを判断し、前記通信機器における前記指令よりも優先して水抜き動作を制御する。これにより、自然災害を含む災害に対応して迅速に水抜きを行うことができる。
【0018】
前記通信機器は、一例としてスマートフォン、携帯電話、PHS、PDA、またはリモートコントローラである。前記通信機器に適用可能な通信方式または周波数帯は例えばGSM、PDC、W-CDMA、セルラー、4G、LTE、5G、LPWA、Wi-Fi、ZigBee、またはBluetoothである。一例として、前記通信機器はスマートフォンである。これにより、専用の通信機器が不要になるとともに汎用性が高くなって、使用者にとってより身近で使い勝手の良い構成にできる。
【0019】
本発明によれば、建物の外に配された制御部は建物の使用者などから通信機器によって送信された指令を受信して水抜栓の開閉動作を制御するので、従来のように操作盤を設置するための建物に穴を開ける工事や室内の配線工事が不要になる。尚且つ、通信機器上でアプリケーションプログラムを起動させて制御データにアクセスするなどのソフトウエア処理によって水抜栓を特定することができるので、水抜栓の種別が多くなっても容易に対応できる。よって、信頼性を高めた合理的な構造の水抜栓開閉装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の実施形態に係る水抜栓開閉装置の設置例を示す概略の構成図である。
図2図2は本実施形態の水抜栓開閉装置の構成例を示す概略の回路図である。
図3図3は本実施形態の水抜栓開閉装置の動作手順の第1例を示す概略のフローチャート図である。
図4図4は本実施形態の水抜栓開閉装置の動作手順の第2例を示す概略のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態は、家屋、アパート、マンション、工場、事務所、商店等の建物Hの外に設置されて、立上り管T2に空気を入れることで水抜きを行って凍結深度以下の地中に排水し、水道管の凍結を防止する水抜栓開閉装置1である。図1に示すように、水抜栓開閉装置1は水抜栓2と駆動部5と制御部7とを備える。水抜栓2は、建物Hの室内に水道を引くため地上に設けられた立上り管T2と地中に埋設された給水管T1とを中継する中継管4と、中継管4に接続されて立設する管体3と、管体3に接続されて給水管T1から立上り管T2への水路を開閉するバルブとして機能する。駆動部5は、水抜栓2の上部に配されており、水抜栓2を電動で開閉する。制御部7は、地面E1よりも上方に配されており、駆動部5に配線接続されるとともに外部の通信機器Sと双方向で無線通信可能な通信回路6が内蔵されている。
【0022】
図1の例では、制御部7は建物Hの外に配置されているとともに水抜栓2よりも建物Hの近くに配置されている。また制御部7は、建物Hの外壁面H1に配置されているとともに、外力によって操作できないように保護カバーが付設されている。制御部7は、通信機器Sからの指令を受信して水抜栓2の開閉動作を制御することで水抜き状態と通水状態とを切り換え可能に制御する構成である。
【0023】
図2は水抜栓開閉装置1の回路図の例である。駆動部5は、水抜栓2を開閉動作させるモータ12と、モータ12を駆動するドライバ13と、ドライバ13に給電するコンバータ16を備える。モータ12は直流で作動し、コンバータ16は外部からの交流電圧を直流電圧に変換して降圧するAC/DCコンバータである。制御部7は、無線通信可能な通信回路6と、ドライバ13の電流値を検出する電流センサ14と、電流センサ14からの検知信号を受信することでモータ12を駆動制御するコントローラ15を備える。コントローラ15は通信回路6を制御する。コントローラ15は、通信回路6から外部の通信機器Sに信号を送信し、また、外部の通信機器Sからの指令を受信した通信回路6から当該指令を受けてモータ12を駆動制御する。一例として、コントローラ15はマイコンであり、受信した指令に基づいてドライバ13にPWM信号を送出し、パワーMOSFETからモータ12に供給する電力を適宜設定する。図2の例では、制御部7は、水抜栓2の周辺における外部環境の物理量を検出する環境センサ24を有しており、制御部7が環境センサ24の計測値に基づいて水抜栓2における開閉動作を通信機器Sからの指令よりも優先して制御する構成である。
【0024】
通信機器Sは、一例としてスマートフォンである。スマートフォンは、一例として建物Hの使用者の所有物である。水抜栓開閉装置1は、制御部7と無線通信するために通信機器Sにインストールされて水抜栓2の種別に対応する制御データにアクセス可能なアプリケーションプログラム9を有し、通信機器Sにインストールしたアプリケーションプログラム9を起動させて使用する。アプリケーションプログラム9は、通信機器S上で起動して前記制御データにアクセスし、データ登録された水抜栓のうちの無線通信する対象となる水抜栓2を特定し、特定した水抜栓2の開閉動作を制御する。この構成により、必要に応じてネットワークにアクセスし、アプリケーションプログラム9を通信機器Sにダウンロードしてインストールする簡便な作業によって水抜栓2の様々な種別に対応する制御データを通信機器Sに取り込むことが容易にできるとともに、これら制御データを最新版にアップデートすることが容易にできる。
【0025】
(第1例)
続いて、図3に示すフローチャート図に基づいて本実施形態の水抜栓開閉装置1の動作手順の第1例を以下に説明する。
【0026】
ステップS1Aにて、使用者は通信機器Sの画面上で所定のアイコンをタップしてアプリケーションプログラム9を起動させると、アプリケーションプログラム9は水抜栓2の様々な種別に対応する制御データにアクセスし、データ登録された水抜栓のうちの無線通信する対象となる水抜栓2を特定する。例えば、予めユーザ登録された水抜栓2のMedia Access Control addressをデータ取得して照合することで水抜栓2を特定する。ステップS1Aに続いてステップS1Bにて、使用者は通信機器Sの画面上で、通水または水抜きの指令としての第1指令を入力する。ステップS1Bに続いてステップS1Cにて、アプリケーションプログラム9は通信機器Sから前記指令を無線で送信する。
【0027】
ステップS1Cに続いてステップS1Dにて、制御部7は通信回路6にて通信機器Sからの第1指令を受信する。ステップS1Dに続いてステップS2Aにて、制御部7はコントローラ15にて第1指令が正常であるか否かを判断する。そして、第1指令が正常でないと判断した場合は通信回路6から通信機器Sに対してエラー信号を送信するステップS4Aになる。例えば通水の指令があったときに既に通水状態になっているときは第1指令が正常ではないと判断してエラー信号にて通信機器Sに返す。例えば水抜きの指令があったときに既に水抜き状態になっているときは第1指令が正常ではないと判断してエラー信号にて通信機器Sに返す。他方、例えば通水の指令があった時点で水抜き状態になっているときは第1指令が正常であると判断して次のステップに進む。例えば水抜きの指令があった時点で通水状態になっているときは第1指令が正常であると判断して次のステップに進む。ステップS2Aにおける「正常」は、「有効」と同義である。
【0028】
ステップS2Aにて制御部7にて第1指令が正常でない(有効でない)と判断されてステップS4Aにてエラー信号が送信されると、通信機器SはステップS4Bにて当該エラー信号を受信し、ステップS4Cにて通信機器Sの画面に第1指令が正しくないことを示すエラー表示をする。
【0029】
ステップS2Aにおいて、制御部7にて第1指令が正常である(有効である)と判断されるとステップS3に進み、ステップS3にて、制御部7はモータ12の駆動制御を開始する。ステップS3に続いてステップS5に進み、ステップS5にて制御部7は電流センサ14からの検知信号を受信してモータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常であるか否かを判断する。モータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常でないと判断した場合は、モータ12の通電を停止するとともにエラー信号を通信機器Sに送信するステップS6Aになる。他方、ステップS5にて制御部7がモータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常であると判断した場合は、モータ12の通電を継続する。ステップS5における「正常」は、「正常範囲内」または「設定範囲内」と同義である。
【0030】
ステップS5にモータ12の初期電流値または立上り電流値が正常でない(正常範囲内でないか設定範囲内でない)と判断されてステップS6Aにてエラー信号が送信されると、通信機器SはステップS6Bにて当該エラー信号を受信し、ステップS6Cにて通信機器Sの画面に水抜栓2の駆動部5におけるモータ12の動作が異常であることを示すエラー表示をする。
【0031】
ステップS5において、制御部7にてモータ12の初期電流値または立上り電流値が正常である(正常範囲内であるか設定範囲内である)と判断されるとステップS7に進む。ここで、ステップS5において、制御部7にてモータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常であると判断されたときに、迅速に、正常に動作していることを通信機器Sに通知するようにしてもよい。
【0032】
ステップS5において、制御部7にてモータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常であると判断されるとステップS7に進み、ステップS7にて、制御部7は電流センサ14からの検知信号を受信してモータ12が全負荷電流値に達したか否か、またはモータ12が定格電流に達したか否かを判断する。制御部7によってモータ12が全負荷電流値に未達であるかまたはモータ12が定格電流に未達であると判断された場合は、前記検知信号に対応したモータ12の状態信号を通信機器Sに送信するステップS8Aになり、続いてステップS8Bにて送信されたモータ12の状態信号を通信機器Sが受信し、続いてステップS8Cにて水抜栓2の開閉状態を通信機器Sの画面に表示する。
【0033】
ステップS7にて、モータ12が全負荷電流値に達している場合またはモータ12が定格電流に達している場合は、制御部7は水抜栓2の開閉切り換えができていると判断してステップS9Aに進み、ステップS9Aにて完了信号を送信し、ステップS9Bにて通信機器Sは当該完了信号を受信し、ステップS9Cにて水抜栓2の開閉動作が完了したことを通信機器Sの画面に表示する。また制御部7は、ステップS9Aにて完了信号を送信すると、ステップS10にてモータ12の駆動制御を停止する。そして、アプリケーションプログラム9は動作を終了する。
【0034】
本実施形態によれば、建物Hの外に配された制御部7は建物Hの使用者などから通信機器Sによって送信された指令を受信して水抜栓2の開閉動作を制御するので、従来のように操作盤を設置するための建物に穴を開ける工事や室内の配線工事が不要になる。尚且つ、通信機器S上でアプリケーションプログラム9を起動させて制御データにアクセスするなどのソフトウエア処理によって水抜栓2を特定することができるので、水抜栓の種別が多くなっても容易に対応できる。上述の第1例は、制御部7が前記検知信号に基づいて水抜栓2における前記開閉動作が正常であるか否かを判断する構成である。これにより、通信機器Sの負担が非常に少ない構成になる。そして、上述の実施形態に加えて、制御部7が環境センサ24の計測値に基づいて水抜栓2における開閉動作を通信機器Sからの前記指令よりも優先して制御する優先制御を実行することができる構成になっており、当該優先制御はアプリケーションプログラム9を起動して通信機器Sの設定条件入力画面から設定変更することが可能である。そして、例えば通信機器Sによって設定された災害アラート信号に連動して当該通信機器Sからの前記指令よりも優先して制御する優先制御を実行するようにアプリケーションプログラム9にプログラミングすることも可能である。
【0035】
(第2例)
続いて、図4に示すフローチャート図に基づいて本実施形態の水抜栓開閉装置1の動作手順の第2例を以下に説明する。なお、同一の機能を有するステップには同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0036】
ステップS1A~ステップS1Dまでは、上述の第1例と同じである。ステップS1Dにて制御部7は通信回路6にて通信機器Sからの第1指令を受信すると、ステップS1Eにて水抜栓2が水抜き状態であるか否かを示す状態信号を送信し、ステップS1Fにて当該状態信号を受信した通信機器SはステップS2Bに進み、ステップS2にてアプリケーションプログラム9は第1指令が正常であるか否かを判断する。そして、第1指令が正常でないと判断した場合は通信機器Sの画面にエラーを表示するステップS4Cになる。例えば通水の指令があったときに既に通水状態になっているときは第1指令が正常ではないと判断してエラー表示をする。例えば水抜きの指令があったときに既に水抜き状態になっているときは第1指令が正常ではないと判断してエラー表示をする。他方、例えば通水の指令があった時点で水抜き状態になっているときは第1指令が正常であると判断して次のステップに進む。例えば水抜きの指令があった時点で通水状態になっているときは第1指令が正常であると判断して次のステップに進む。ステップS2Bにおける「正常」は、「有効」と同義である。
【0037】
ステップS2Bにおいて、アプリケーションプログラム9にて第1指令が正常である(有効である)と判断されるとステップS12Aに進み、第1指令が正常であると判断したので第1指令を実行するように指示する第2指令を送信し、ステップS12Bにて制御部7は当該第2指令を受信してステップS13に進み、ステップS13にて、制御部7はモータ12の駆動制御を開始する。ステップS13に続いてステップS14Aにて制御部7は電流センサ14からの検知信号を受信してモータ12の初期電流値(または立上り電流値)を送信する。ステップS14Aにてモータ12の初期電流値(または立上り電流値)が送信されると、ステップS14Bにて通信機器Sは当該初期電流値するとステップS15に進み、ステップS15にてアプリケーションプログラム9はモータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常であるか否かを判断する。モータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常でない場合は、モータ12の通電を停止するとともにステップS16Cにて通信機器Sの画面に水抜栓2の駆動部5におけるモータ12の動作が異常であることを示すエラー表示をする。
【0038】
他方、ステップS15にてアプリケーションプログラム9によってモータ12の初期電流値(または立上り電流値)が正常であると判断された場合は、モータ12の初期電流値が正常であると判断したのでモータ12の通電を継続するように指示する第3指令を送信するステップS23Aになり、続いてステップS23Aにて通信機器Sから送信された第3指令を制御部7が受信するステップS23Bになる。そして、ステップS23Bに続いてステップS28Aになり、ステップ28Aにて制御部7はモータ12の通電を継続するとともに設定された所定時間毎に電流センサ14からの検知信号を受信してモータ12の電流値を示す状態信号を送信する。
【0039】
ステップS28Aにて設定された所定時間毎に電流センサ14からの検知信号を受信してモータ12の電流値を示す状態信号が送信されると、ステップ28Bにて通信機器Sは当該状態信号を受信してステップS37に進み、ステップS37にてアプリケーションプログラム9はモータ12が全負荷電流値に達したか否か、またはモータ12が定格電流に達したか否かを判断する。モータ12が全負荷電流値に未達であるかまたはモータ12が定格電流に未達の場合は、前記検知信号に対応したモータ12の状態信号に基づいて通信機器Sの画面に開閉状態として表示するステップS38Cになる。
【0040】
ステップS37にて、アプリケーションプログラム9によってモータ12が全負荷電流値に達していると判断された場合またはモータ12が定格電流に達していると判断された場合は、アプリケーションプログラム9は水抜栓2の開閉切り換えができていると判断してステップS39Aに進み、ステップS39Aにて完了信号を送信し、ステップS39Bにて制御部7は当該完了信号を受信し、ステップS40にてモータ12の駆動制御を停止する。またアプリケーションプログラム9は、ステップS39Aにて完了信号を送信すると、ステップS39Cにて水抜栓2の開閉動作が完了したことを通信機器Sの画面に表示して、動作を終了する。
【0041】
上述の第2例は、アプリケーションプログラム9が前記検知信号に基づいて水抜栓2における前記開閉動作が正常であるか否かを判断する構成である。これにより、制御部7の負担が非常に少ない構成になる。そして、上述の実施形態に加えて、通信機器Sにて起動したアプリケーションプログラム9が環境センサ24の計測値に基づいて水抜栓2における開閉動作を当該通信機器Sからの前記指令よりも優先して制御する優先制御を実行することができる構成になっており、当該優先制御はアプリケーションプログラム9を起動して通信機器Sの設定条件入力画面から設定変更することが可能である。そして、例えば通信機器Sによって設定された災害アラート信号に連動して当該通信機器Sからの前記指令よりも優先して制御する優先制御を実行するようにアプリケーションプログラム9にプログラミングすることも可能である。
【0042】
上述の実施形態では、通信機器Sからの通水または水抜きの指令に応じて制御部7が水抜栓2の開閉動作を制御することで水抜き状態と通水状態とを切り換え可能に制御する構成を例示したが、通信機器Sからの状態確認指令の都度、制御部7が水抜栓2の開閉状態を確認して通信機器Sに所定の信号を送信して通信機器Sの画面に状態表示をするように構成してもよい。これにより、例えば水抜栓2が電動と手動の両方に対応している構成において手動で水抜栓2の開閉を切り換えたときや、遠隔場所の使用者が現在の水抜栓2の開閉状態を知りたいときなどに、現時点の水抜栓2の開閉状態を通信機器Sにて確認できるので使い勝手がよい。図2の例では、制御部7は駆動部5から給電する構成を示しているが、建物Hから給電する構成にしてもよいし、バッテリを内蔵するなどの給電方式を採用してもよい。また、図2の例では、電流センサ14は制御部7に含まれる構成を示しているが、電流センサ14は駆動部5に含まれる構成にしてもよい。また、図2の例では、環境センサ24は制御部7に含まれる構成を示しているが、環境センサ24は駆動部5に含まれる構成にしてもよい。そして、図2の例では、制御部7と駆動部5との信号接続は有線で信号接続する構成を示しているが、制御部7と駆動部5との信号接続を近距離通信等の無線で行うことも可能である。
【0043】
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 水抜栓開閉装置
2 水抜栓
3 管体
4 中継管
5 駆動部
6 通信回路
7 制御部
9 アプリケーションプログラム
12 モータ
13 ドライバ
14 電流センサ
15 コントローラ(マイコン)
16 コンバータ
24 環境センサ
E1 地面
H 建物、H1 外壁面
S 通信機器(スマートフォン)
T1 給水管
T2 立上り管
図1
図2
図3
図4