(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】管路施工法
(51)【国際特許分類】
E03F 3/06 20060101AFI20240708BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
E03F3/06
F16L1/00 H
(21)【出願番号】P 2021047729
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】590000916
【氏名又は名称】株式会社オカトク
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】山内 修二
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-351156(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0061630(KR,A)
【文献】特開平06-129188(JP,A)
【文献】特開2003-301690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 3/06
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発進側立坑と到達側立坑との間の地中に埋設され
、前記発進側立坑内に発進側開口部が開口する施工対象既設管
であり、前記発進側立坑内の前記発進側開口部の180度反対側に開口する既設管が配置されている施工対象既設管の内部に
、前記発進側立坑内から前記到達側立坑に向かって前記施工対象既設管に沿った管路を形成する管路施工法であって、
前記既設管の内部に、前記発進側開口部に対して進退可能な押圧部を有する押圧手段を
、前記既設管開口部に係合した反力手段
であり前記既設管開口部の周縁に係止された係止部材から前記既設管の内部に向かって延設された有底筒状の保持部材により前記既設管内の一定位置に保持する反力手段に連結した状態で配置する工程と、
長さが前記発進側立坑の内径より小さく、外径が前記既設管の内径より小さい第一管状体を前記発進側立坑内に搬入し、前記第一管状体の先端開口部、基端開口部をそれぞれ前記発進側開口部、前記既設管開口部に向けた状態とする第一管状体搬入工程と、
前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部に向かって前進させ前記第一管状体の基端開口部を押圧し、前記第一管状体を、その先端開口部側を前記到達側立坑に向けた姿勢で前記発進側開口部から前記施工対象既設管内に挿入する第一管状体挿入工程と、
前記第一管状体の基端開口部が前記発進側開口部まで移動したら前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部から後退させた後、長さが前記発進側立坑の内径より小さく、外径が前記既設管の内径より小さい第二管状体を前記発進側立坑内に搬入し、前記第二管状体の先端開口部、基端開口部をそれぞれ前記発進側開口部、前記既設管開口部に向けた状態とする第二管状体搬入工程と、
前記第二管状体の先端開口部を前記第一管状体の基端開口部に連結する第二管状体連結工程と、
前記第二管状体連結工程の完了後、前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部に向かって前進させて前記第二管状体の基端開口部を押圧し、前記第一管状体及び前記第二管状体を前記施工対象既設管内に沿って前記到達側立坑に向かって移動させる連結管状体移動工程と、を備えた管路施工法。
【請求項2】
前記連結管状体移動工程を経て前記第二管状体の基端開口部が前記発進側開口部まで移動したら、前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部から後退させた後、前記第二管状体搬入工程、前記第二管状体連結工程、並びに前記連結管状体移動工程と同様の三つの工程を順次繰り返し、前記第一管状体の先端開口部を前記施工対象既設管の到達側開口部まで到達させる請求項1記載の管路施工法。
【請求項3】
前記反力手段が、前記既設管開口部の周縁に係止された係止部材と、前記係止部材から前記既設管の内部に向かって延設され前記押圧手段を前記既設管内の一定位置に保持する保持部材と、を備えた請求項1または2記載の管路施工法。
【請求項4】
前記第一管状体及び前記第二管状体が、前記先端開口部(または前記基端開口部)の外周に雌ネジ部を有し、前記基端開口部(または前記先端開口部)の内周に前記雌ネジ部と螺合可能な形状の雄ネジ部を有するものである請求項1~3の何れかの項に記載の管路施工法。
【請求項5】
前記押圧手段が、前記発進側立坑の地上部分に配置したコンプレッサーから給油管を経由して供給される油体により進退動作する押圧部を有する油圧ジャッキである請求項1~4の何れかの項に記載の管路施工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されている下水管、排水管、雨水管などの既設管の内部に管路を形成する管路施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設されている既設管を掘り出すことなく、既設管の内部に管状体を形成する方法については、従来、数多くの提案がなされているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1,2に記載された「既設管更生工法」あるいは特許文献3に記載された「既設管更生方法」などがある。
【0003】
特許文献1に記載された「既設管更生工法」は、既設管を補修する更生管を形成する管更生材を用いた管更生工法であって、
管更生材は、筒状の繊維布、繊維布に含浸される熱硬化性樹脂、繊維布の内周面を覆う筒状の内チューブ、繊維布の外周面を覆う筒状の外チューブからなり、筒状の外チューブ内に牽引紐を挿通配置すると共に筒状の繊維布内に筒状の内チューブを挿通配置する管更生材準備工程と、外チューブの一方端部と繊維布及び内チューブの一方端部とを牽引紐により縛着すると共に繊維布に熱硬化性樹脂を含浸する樹脂含浸工程と、樹脂含浸後、外チューブを内外に捲り反転して熱硬化性樹脂が含浸された繊維布の外周面を外チューブで覆設する外チューブ装着工程と、外チューブ、熱硬化性樹脂が含浸された繊維布及び内チューブからなる管更生材を牽引紐を牽引して既設管内に挿通する管更生材引込工程と、挿通後、内チューブ内に流体を送入して管更生材を流体圧力により拡径する管更生材拡径工程と、流体の送入を保持して管更生材の熱硬化性樹脂を硬化させる樹脂硬化工程と、樹脂硬化後、管更生材の余剰端部を処理する管口処理工程とを含むことを特徴としている。
【0004】
特許文献2に記載された「既設管更生工法」は、外表面が液密であり、硬化性樹脂組成物が含浸させてなる管状樹脂吸収基材と、管状樹脂吸収基材の内側に折り畳まれて配置され、管状樹脂吸収基材の内面を被覆可能な周長を有する管状シートとを備えた既設管更生用ライニング材で既設管の内壁を被覆する既設管の更生方法であって、
既設管更生用ライニング材を、既設管内に挿入する工程と、挿入したライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径し、かつライニング材を既設管の内壁に押圧する工程と、ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する工程と、拡径された管状シートを反転しつつ引き剥がす工程とを含むことを特徴としている。
【0005】
特許文献3に記載された「既設管更生方法」は、マンホールの間に配置された下水管(下水道本管)内に、管状のライニング材を導入した後、その両端を閉塞部材で閉塞して形成された閉塞空間内に作業装置からホースを介して圧縮空気を導入し、管状ライニング材を拡径してその外周面を下水管の内周面に接触させ、その後、ライニング材の内側からライニング材に対してランプ連結体により光照射することより、ライニング材に含まれる硬化性樹脂組成物を硬化させ、下水管の内側にライニング材が硬化した更生管を形成する、というものである
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-80897号公報
【文献】特開2017-80972号公報
【文献】特開2018-65356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載された「既設管更生工法」並びに特許文献3に記載された「既設管更生方法」はそれぞれ長所を備えているのであるが、これらの更生工法(更生方法)を施工する場合、何れも一般に出回っていない専用の資材や機械を必要とするので、施工現場の状況や工事費の制約などにより、採用が困難となることがある。
【0008】
即ち、特許文献1に記載された「既設管更生工法」において使用される「筒状の繊維布、繊維布に含浸される熱硬化性樹脂、繊維布の内周面を覆う筒状の内チューブ、繊維布の外周面を覆う筒状の外チューブからなる管更生材」並びに「内チューブ内に流体を送入して流体圧力により拡径する装置」などは汎用的なものではなく、施工の際には特殊な技術を必要とする。
【0009】
また、特許文献2に記載された「既設管更生工法」において使用される「硬化性樹脂組成物が含浸させてなる管状樹脂吸収基材と、管状樹脂吸収基材の内側に折り畳まれて配置され、管状樹脂吸収基材の内面を被覆可能な周長を有する管状シートとを備えた既設管更生用ライニング材」並びに「管状シートを拡径するコンプレッサーや管状樹脂吸収基材に含侵された硬化性樹脂組成物を硬化させるボイラー」なども汎用的なものではなく、施工の際には特殊な技術を必要とする。
【0010】
さらに、特許文献3に記載された「既設管更生方法」において使用される「既設の下水道管内に導入される管状ライニング材」、「管状ライニング材の両端を閉塞して形成された閉塞空間内にホースを介して圧縮空気を導入して管状ライニング材を拡径する作業装置」並びに「ライニング材の内側からライニング材に対して光照射するランプ連結体」なども、前述と同様、汎用的なものではなく、施工の際には特殊な技術を必要とする。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、汎用的な土木建設資材並びに土木建設機械を用いて既設管内に管路を形成することができ、施工が容易であり、工期の短縮化を図ることもできる管路施工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る管路施工法は、発進側立坑と到達側立坑との間の地中に埋設された施工対象既設管の内部に前記発進側立坑内から前記到達側立坑に向かって前記施工対象既設管に沿った管路を形成する管路施工法であって、
前記発進側立坑内に開口する前記施工対象既設管の発進側開口部の180度反対側に開口する既設管の内部に、前記発進側開口部に対して進退可能な押圧部を有する押圧手段を前記既設管開口部に係合した反力手段に連結した状態で配置する工程と、
長さが前記発進側立坑の内径より小さく、外径が前記既設管の内径より小さい第一管状体を前記発進側立坑内に搬入し、前記第一管状体の先端開口部、基端開口部をそれぞれ前記発進側開口部、前記既設管開口部に向けた状態とする第一管状体搬入工程と、
前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部に向かって前進させ前記第一管状体の基端開口部を押圧し、前記第一管状体を、その先端開口部側を前記到達側立坑に向けた姿勢で前記発進側開口部から前記施工対象既設管内に挿入する第一管状体挿入工程と、
前記第一管状体の基端開口部が前記発進側開口部まで移動したら前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部から後退させた後、長さが前記発進側立坑の内径より小さく、外径が前記既設管の内径より小さい第二管状体を前記発進側立坑内に搬入し、前記第二管状体の先端開口部、基端開口部をそれぞれ前記発進側開口部、前記既設管開口部に向けた状態とする第二管状体搬入工程と、
前記第二管状体の先端開口部を前記第一管状体の基端開口部に連結する第二管状体連結工程と、
前記第二管状体連結工程の完了後、前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部に向かって前進させて前記第二管状体の基端開口部を押圧し、前記第一管状体及び前記第二管状体を前記施工対象既設管内に沿って前記到達側立坑に向かって移動させる連結管状体移動工程と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記管路施工法においては、前記連結管状体移動工程を経て前記第二管状体の基端開口部が前記発進側開口部まで移動したら、前記押圧手段の押圧部を前記発進側開口部から後退させた後、前記第二管状体搬入工程、前記第二管状体連結工程、並びに前記連結管状体移動工程と同様の三つの工程を順次繰り返し、前記第一管状体の先端開口部を前記施工対象既設管の到達側開口部まで到達させることができる。
【0014】
前記管路施工法において、前記反力手段は、前記既設管開口部の周縁に係止された係止部材と、前記係止部材から前記既設管の内部に向かって延設され前記押圧手段を前記既設管内の一定位置に保持する保持部材と、を備えたものを使用することができる。
【0015】
前記管路施工法において、前記第一管状体及び前記第二管状体は、前記先端開口部(または前記基端開口部)の外周に雌ネジ部を有し、前記基端開口部(または前記先端開口部)の内周に前記雌ネジ部と螺合可能な形状の雄ネジ部を有するものを使用することができる。
【0016】
前記管路施工法においては、前記押圧手段は、前記発進側立坑の地上部分に配置したコンプレッサーから給油管を経由して供給される油体により進退動作する押圧部を有する油圧ジャッキを使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、汎用的な土木建設資材並びに土木建設機械を用いて既設管内に管路を形成することができ、施工が容易であり、工期の短縮化を図ることもできる管路施工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態である管路施工法の作業工程を示す一部省略垂直断面図である。
【
図2】
図1中のA-A線における一部省略垂直断面図である。
【
図3】
図1に示す作業後の作業工程を示す一部省略垂直断面図である。
【
図4】
図3に示す作業後の作業工程を示す一部省略垂直断面図である。
【
図5】
図4に示す作業後の作業工程を示す一部省略垂直断面図である。
【
図6】
図5に示す作業後の作業工程を示す一部省略垂直断面図である。
【
図7】
図6に示す作業後の作業工程を示す一部省略垂直断面図である。
【
図8】
図7に示す作業後の作業工程を示す一部省略垂直断面図である。
【
図9】管路施工作業完了後の状態を示す一部省略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1~
図9に基づいて、本発明の実施形態である管路施工法について説明する。本実施形態に係る管路施工法は、
図9に示すように、発進側立坑10と到達側立坑20との間の地中に埋設された施工対象既設管30の内部に、施工対象既設管30の長手方向に沿って水密状に連続する管路40を形成する管路施工法である。
図1中の矢線Sは施工対象既設管30内を流動する流体(下水など)の流れ方向を示しているが、流れ方向が矢線Sと逆であっても施工可能である。
【0020】
図9に示すように、施工対象既設管30の内部に連続した管路40を形成するために使用する管状体1は、
図3に示すように、その長さ1Lが発進側立坑10の管取付け壁11の内径11dより小さく、外径1Dが施工対象既設管30の内径30dより小さい。管状体1の基端開口部1bの外周には雄ネジ部1mが形成され、先端開口部1aの内周には雌ネジ部1fが形成されている。雌ネジ部1f並びに雄ネジ部1mは互いに螺合可能な形状をなしている。管状体1は、限定しないが、例えば、下水道推進工法用硬質塩化ビニル管(スパイラル継手付直管)などが好適である。なお、後述する第一管状体1-1、第二管状体1-2、第三管状体1-3は、
図3中に示す管状体1と同じサイズ、形状を有する。
【0021】
管路施工法を開始する場合、
図1に示すように、発進側立坑10並びに到達側立坑20(
図9参照)のインバート(図示せず)などを斫って除去した後、施工対象既設管30の内部を洗浄し、発進側立坑10内に開口する施工対象既設管30の発進側開口部30aに固定部材2を取り付ける。固定部材2は、筒状部2aと、筒状部2aの一方の端部に形成されたフランジ部2bとを有し、筒状部2aの外径は施工対象既設管30の内径30d以下で、発進側開口部30aから施工対象既設管30内に挿入可能であり、フランジ部2bの外径は施工対象既設管30の内径30dより大である。固定部材2の筒状部2aを、発進側開口部30aから施工対象既設管30内に挿入すると、フランジ部2bは発進側開口部30aの周縁に係止される。なお、固定部材2の筒状部2aの内径2dは管状体1の外径1Dは大である。
【0022】
次に、発進側開口部30aの180度反対側に開口する既設管31の内部に、押圧手段である油圧ジャッキ3を配置する。油圧ジャッキ3は、発進側開口部30aに対して進退動作する押圧部3aを有し、既設管開口部31aに係合した反力手段5に連結した状態で既設管31の内部に配置される。油圧ジャッキ3の押圧部3aは円板状をなし、発進側立坑10の地上部分に配置したコンプレッサー4から給油管4a,4bを経由して供給される油体で伸縮するピストンロッド3bにより発進側開口部30aに対して進退動作する。
【0023】
反力手段5は、既設管開口部31aの周縁に係止された扇形状の係止部材5aと、係止部材5aから既設管31の内部に向かって延設され油圧ジャッキ3を既設管31内の一定位置(既設管31の軸心と同軸をなす位置)に保持する有底筒状の保持部材5bと、を備えている。係止部材5aと保持部材5bとの間には既設管31の内周面に内接する樋形状の連接部材5cが一体的に形成されている。連接部材5cの内径は、押圧部3aの外径より大である(
図2参照)。
【0024】
反力手段5の長手方向のサイズは、発進側立坑10の内径より大であるが、保持部材5bの外径5dが既設管31の内径31dの半分程度であるため、反力手段5を傾斜させた状態で発進側立坑10内へ搬入することにより、既設管31内へ挿入することができる。
【0025】
固定部材2並びに反力手段5の配置が終わったら、発進側立坑10の底部10bに支持部材6及び架台7を配置する。架台7は、この後の工程において、発進側立坑10の地上部分から吊り降ろされる管状体1を水平状態で保持するための部材である。なお、固定部材2、反力手段5及び架台7などを配置する順番は前述した順番に限定しないので、現場の状況に応じて変更可能である。
【0026】
次に、
図3に示すように、第一管状体1-1を地上から発進側立坑10内に搬入し、第一管状体1-1の先端開口部1a、基端開口部1bをそれぞれ発進側開口部30a、既設管開口部31aに向けた状態で架台7上に載置し(第一管状体搬入工程)、油圧ジャッキ3の押圧部3aを第一管状体1-1の基端開口部1bに当接させる。
【0027】
この後、
図4に示すように、油圧ジャッキ3のピストンロッド3bを進展させることにより押圧部3aを発進側開口部30aに向かって前進させ、第一管状体1-1の基端開口部1bを押圧し、第一管状体1-1を、その先端開口部1a側を到達側立坑20(
図9参照)に向けた姿勢で発進側開口部30aから施工対象既設管30内に挿入する(第一管状体挿入工程)。このとき、油圧ジャッキ3のピストンロッド3bを進展させることにより第一管状体1-1から押圧部3aが受ける反力は反力手段5で支えられる。
【0028】
第一管状体1-1の基端開口部1bが発進側開口部30aまで移動したら、
図5に示すように、油圧ジャッキ3のピストンロッド3bを縮退させて押圧部3aを発進側開口部30aから後退させる。この後、
図6に示すように、第二管状体1-2を発進側立坑10内に搬入し、第二管状体1-2の先端開口部1-2a、基端開口部1-2bをそれぞれ発進側開口部30a、既設管開口部31aに向けた状態で架台7上に載置する(第二管状体搬入工程)。
【0029】
次に、第二管状体1-2の先端開口部1-2aの雌ネジ部1-2fを第一管状体1-1の基端開口部1-1bの雄ネジ部1-1mに螺着することにより、第一管状体1-1の基端開口部1-1bに第二管状体1-2の先端開口部1-2aを連結する(第二管状体連結工程)。
【0030】
第一管状体1-1に対する第二管状体1-2の連結作業が完了したら、
図7,
図8に示すように、油圧ジャッキ3の押圧部3aを発進側開口部30aに向かって前進させ第二管状体1-2の基端開口部1bを押圧することにより、互いに一体化した第一管状体1-1及び第二管状体1-2を施工対象既設管30内に沿って到達側立坑20(
図9参照)に向かって移動させる(連結管状体移動工程)。
【0031】
前述した連結管状体移動工程を経て、第二管状体1-2の基端開口部1-2bが発進側開口部30aまで移動したら、油圧ジャッキ3の押圧部3aを発進側開口部30aから後退させた後、
図6に示す第二管状体搬入工程、
図7,
図8に示す第二管状体連結工程並びに連結管状体移動工程と同様の三つの工程を順次繰り返し、
図9に示すように、第一管状体1-1の先端開口部1-1aを施工対象既設管30の到達側開口部30b(
図9参照)まで到達させる。この後、
図1中に示す固定部材2,油圧ジャッキ3、反力手段5、コンプレッサー4及び給油管4a,4bなどを撤収すると、
図9に示すように、施工対象既設管30の内部に、施工対象既設管30の長手方向に沿って水密状に連続する管路40が形成される。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る管路施工法によれば、管状体1、固定部材2,油圧ジャッキ3、反力手段5、コンプレッサー4及び給油管4a,4bなどの汎用的な土木建設資材並びに土木建設機械を用いて施工対象既設管30内に管路40を形成することができる。また、本実施形態に係る管路施工法は特殊な技術を要する作業が不要であるため、施工が容易であり、工期の短縮化を図ることもできる。
【0033】
また、
図7,
図8に示すように、複数の管状体1-1,1-2,・・・を複数連結した連結管状体を施工対象既設管30内に沿って移動させる連結管状体移動工程においては、油圧ジャッキ3の押圧部3aの押圧力は個々の管状体1-1,1-2,・・・に対して、それぞれの長手方向の圧縮力となって加わるので、連結管状体の長さが比較的長くなった場合においても管状体1-1,1-2,・・・の損傷を防止することができる。
【0034】
なお、
図1~
図9に基づいて説明した管路施工法は、本発明に係る管路施工法の一例を示すものであり、本発明に係る管路施工法は、前述した管路施工法に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る管路施工法は、例えば、地中に埋設されている下水管、排水管、雨水管などの既設管の内部に管路を形成する工法として、土木建設業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 管状体
1-1 第一管状体
1-2 第二管状体
1a,1-1a,1-2a 先端開口部
1b,1-1b,1-2b 基端開口部
1d,1D,5d 外径
1f,1-2f 雌ネジ部
1L 長さ
1m,1-1m 雄ネジ部
2 固定部材
2a 筒状部
2b フランジ部
2d,10d,11d,30d,31d 内径
3 油圧ジャッキ
3a 押圧部
3b ピストンロッド
4 コンプレッサー
4a,4b 給油管
5 反力手段
5a 係止部材
5b 保持部材
5c 連接部材
6 支持部材
7 架台
10 発進側立坑
10b 底部
11 管取付け壁
11d,30d,31d 内径
20 到達側立坑
30 施工対象既設管
30a 発進側開口部
30b 到達側開口部
31 既設管
31a 既設管開口部
40 管路