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特許7515883飲酒量管理方法、システム、端末装置、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】飲酒量管理方法、システム、端末装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240708BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021084840
(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公開番号】P2022178215
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516305053
【氏名又は名称】株式会社CureApp
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】宋 龍平
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/230257(WO,A1)
【文献】弓月 ひろみ,App Storeにあるアプリを厳選セレクト! アプリラボ,iPhoneMagazine,日本,株式会社三栄書房,2012年11月20日,第32巻,第68ページ
【文献】るっき,飲酒量を記録・管理するアプリ3選。適度にお酒を飲もう。,2021年04月11日, [2024年1月17日検索], インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20210411210514/https://cotomono.life/app-alcohol-manager/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末から接続可能に構成された管理サーバとを含むシステム上で実施される方法であって、
前記ユーザ端末にてユーザの飲酒に関する情報を受け付けるステップと、
前記ユーザ端末で受け付けた前記情報を前記管理サーバへ送信するステップと、
前記管理サーバにて、
前記ユーザ端末から受信した情報を集計及び/または解析するステップと、
前記集計及び/または解析した結果を前記ユーザ端末にフィードバックするステップと
を実行するものであって、
前記ユーザの飲酒に関する情報には、少なくとも前記ユーザの飲酒量に関する情報と文脈情報とが含まれ
前記集計及び/または解析は、前記管理サーバが受信した情報における文脈情報ごとの飲酒量を集計及び/または解析することが含まれ、
前記集計及び/または解析は、前記管理サーバが受信した情報における2以上の文脈情報ごとの飲酒量を前記2以上の文脈情報の組み合わせに基づいて集計及び/または解析することが含まれることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記文脈情報には、誰と、どこで、どんな気持ちで、いつ飲み始めるか、どんな状況で、のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザ端末にてユーザの飲酒に関する情報を受け付けるステップは、前記ユーザの飲酒直前、飲酒中、飲酒直後、飲酒後のいずれか1以上のタイミングで実行されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ端末にフィードバックするステップは、前記ユーザが前記管理サーバにリスエストしたタイミング、または、あらかじめ設定されたタイミングで実行されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記集計及び/または解析は、前記管理サーバが受信した前記ユーザに関する情報に基づいた集計及び/または解析に加えて、前記ユーザ以外の他の複数のユーザに関する情報に基づいて集計及び/または解析されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザ端末にフィードバックするステップは、前記ユーザが前記管理サーバに所定日数分のデータを登録したことを条件として実行されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末から接続可能に構成された管理サーバとを含むシステムであって、
前記ユーザ端末は、ユーザの飲酒に関する情報を受け付け、前記受け付けた情報を前記管理サーバへ送信し、
前記管理サーバは、
前記ユーザ端末から受信した情報を集計及び/または解析し、
前記集計及び/または解析した結果を前記ユーザ端末にフィードバックするものであって、
前記ユーザの飲酒に関する情報には、少なくとも前記ユーザの飲酒量に関する情報と文脈情報とが含まれ
前記集計及び/または解析は、前記管理サーバが受信した情報における文脈情報ごとの飲酒量を集計及び/または解析することが含まれ、
前記集計及び/または解析は、前記管理サーバが受信した情報における2以上の文脈情報ごとの飲酒量を前記2以上の文脈情報の組み合わせに基づいて集計及び/または解析することが含まれることを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記文脈情報には、誰と、どこで、どんな気持ちで、いつ飲み始めるか、どんな状況で、のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項9】
ユーザの飲酒に関する情報を受け付け、前記受け付けた情報を記録するユーザ端末装置であって、
前記ユーザ端末装置は、
前記記録した情報を集計及び/または解析し、
前記集計及び/または解析した結果を前記ユーザ端末装置のディスプレイ上にフィードバックするものであって、
前記ユーザの飲酒に関する情報には、少なくとも前記ユーザの飲酒量に関する情報と文脈情報とが含まれ
前記集計及び/または解析は、前記記録した情報における文脈情報ごとの飲酒量を集計及び/または解析することが含まれ、
前記集計及び/または解析は、前記記録した情報における2以上の文脈情報ごとの飲酒量を前記2以上の文脈情報の組み合わせに基づいて集計及び/または解析することが含まれることを特徴とする端末装置。
【請求項10】
前記文脈情報には、誰と、どこで、どんな気持ちで、いつ飲み始めるか、どんな状況で、のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項に記載の端末装置。
【請求項11】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末から接続可能に構成された管理サーバとを含むシステム上で実施されるプログラムであって、
前記ユーザ端末に、
ユーザの飲酒に関する情報を受け付けさせるステップと、
前記受け付けさせた前記情報を前記管理サーバへ送信させるステップと、
前記管理サーバに、
前記ユーザ端末から受信した情報を集計及び/または解析させるステップと、
前記集計及び/または解析した結果を前記ユーザ端末にフィードバックさせるステップと
を実行するものであって、
前記ユーザの飲酒に関する情報には、少なくとも前記ユーザの飲酒量に関する情報と文脈情報とが含まれ
前記集計及び/または解析は、前記管理サーバが受信した情報における文脈情報ごとの飲酒量を集計及び/または解析することが含まれ、
前記集計及び/または解析は、前記管理サーバが受信した情報における2以上の文脈情報ごとの飲酒量を前記2以上の文脈情報の組み合わせに基づいて集計及び/または解析することが含まれることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記文脈情報には、誰と、どこで、どんな気持ちで、いつ飲み始めるか、どんな状況で、のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く生活習慣が関与する疾病やアルコール依存症といった精神に関わる疾病など、行動変容によって治療しうる疾病・疾患の状況を管理する方法等に関し、より詳細には、アルコール依存症患者を含む多量飲酒者の飲酒量や精神状況等を管理するための方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活習慣が関与する疾病やアルコール依存症といった精神に関わる疾病など、行動変容によって治療しうる疾患・疾患においては、いわゆる行動変容によるアプローチが有効とされる。具体的には、患者、医療従事者、及び周囲の関係者が、患者にとって望ましくない行動が生じる原因等を分析し、患者の行動の変化を促していくことなどが挙げられる。
【0003】
また、広く人の行動や発話、感情の変化等に着目してその人の健康を管理したり、身体の異常や兆候を発見したりする技術が提案されている。例えば、ユーザの行動に対応し、かつユーザの複数の感情に対応する選択ボタン入力情報に基づき、当該ユーザの健康状態を判定する技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
すわなち、特許文献1には、ユーザの所定の行動に対応し、かつ複数の感情にそれぞれ対応する複数のボタンのうち、ユーザにより選択されたボタンを示す選択情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された選択情報に基づいて、前記ユーザの健康状態を判定する判定部と、を備えることを特徴とする判定装置が開示されている。
【0005】
また、患者等の対象者の主訴に関する情報を確実に取得するとともに、対象者の身体の異常の兆候や症状の見落としを防止し、さらに、対象者の僅かな身体の異常や兆候を見つけることを可能にするシステムも提案されている(特許文献2)。
【0006】
すなわち、特許文献2には、医療、介護または看護に従事する従事者と、医療による診断、介護または看護の対象となる対象者とを含む複数の発話者の間で交わされる会話の音声情報を記録する音声記録部と、前記音声情報の分析または予め登録された発話者の音声データに基づいて、個々の発話者を特定する発話者特定部と、前記音声情報を、音声認識によって個々の発話者ごとにテキストデータに変換する音声認識部と、個々の発話者ごとの前記テキストデータを、複数の発話者による対話形式に並べ替えて、前記対話形式の文章データを作成する対話文章作成部と、前記対話形式の文章データを、前記複数の発話者に含まれる前記対象者ごとの医療、介護または看護に関する健康管理情報と対応付けて、外部からのアクセスに対して共有できるように保存するデータベースと、を備えていることを特徴とする会話記録システムが開示されている。
【0007】
また、ユーザの健康状態に関する情報である健康状態情報の入力を受け付け、受け付けられた健康状態情報の中から健康状態に関するキーワードを抽出し、このキーワードに基づいてユーザの体調を判定する技術も提案されている(特許文献3)。
【0008】
すなわち、特許文献3には、健康管理の対象となるユーザが使用する端末装置であるユーザ端末と、前記ユーザ端末に接続され前記ユーザの健康を管理するサーバ装置とを備え、前記ユーザの健康を管理する健康管理システムであって、前記ユーザの健康状態に関する情報である健康状態情報の入力を受け付ける健康状態情報入力部と、前記健康状態情報入力部により受け付けられた前記健康状態情報の中から健康状態に関するキーワードを抽出するキーワード抽出部と、前記キーワード抽出部が抽出した前記キーワードを含む情報を前記ユーザに提示するキーワード提示部と、前記キーワード抽出部が抽出した前記キーワードに基づいて、前記ユーザの体調を判定する体調判定部とを備える健康管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2019-164737号公報
【文献】特開2018-206055号公報
【文献】特開2016-224784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1~3に開示された技術においては、ユーザまたは患者の飲酒と健康との関連性に着目した分析や判定等は行われていない。また、多量の飲酒は望ましくない行動であり、この行動に関わる飲酒量をモニタリングし、患者本人、その関係者、及び医療従事者で共有して分析等することが有効であると考えられる。従前、臨床心理学の領域においては、機能分析に基づく認知行動療法が試みられているが、アルコール依存症に対する具体的なシステムソルーションとしては、未だ十分な提案がなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理方法は、ユーザ端末と、前記ユーザ端末から接続可能に構成された管理サーバとを含むシステム上で実施される方法であって、前記ユーザ端末にてユーザの飲酒に関する情報を受け付けるステップと、前記ユーザ端末で受け付けた前記情報を前記管理サーバへ送信するステップと、前記管理サーバにて、前記ユーザ端末から受信した情報を集計及び/または解析するステップと、前記集計及び/または解析した結果を前記ユーザ端末にフィードバックするステップとを実行するものであって、前記ユーザの飲酒に関する情報には、少なくとも前記ユーザの飲酒量に関する情報と文脈情報とが含まれることを特徴とする。
【0012】
また、前記文脈情報には、誰と、どこで、どんな気持ちで、いつ飲み始めるか、どんな状況で、のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理方法等によれば、ユーザに対してより適切に減酒や体調改善、さらには健康増進に関わるフィードバックを提供できるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムの全体構成例を説明する説明図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける管理サーバの機能ブロック構成を説明する説明図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける情報処理装置(ユーザ端末または医師端末等)の外観構成例を説明する説明図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる情報処理装置を構成するハードウェアの機能ブロック構成を説明する説明図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける処理動作の流れを説明する説明図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける処理動作の流れを説明する説明図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける処理動作フローを説明するフローチャートである。
図8】本発明の他の実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける処理動作フローを説明するフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける処理動作フローを説明するフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける情報処理装置の表示例を説明する説明図である。
図11】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける情報処理装置の表示例を説明する説明図である。
図12】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける情報処理装置の表示例を説明する説明図である。
図13】本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける情報処理装置の表示例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システム等について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1に、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムの全体構成例を示す。
【0017】
図1に示されるように、飲酒量管理システム10は、その一実施形態における構成として、管理サーバ11と、ユーザ(患者やその関係者)や医師等が使用する各種情報処理装置(図において、例示的に、携帯情報端末、スマートフォン、あるいは、タブレット端末12、17~18、携帯電話13、PC14~16が示されている。以下、総称して「各種端末」あるいは単に「端末」とも言うこともある)とで構成されている。管理サーバ11、各種端末間は、図1に示されるように専用回線やインターネット等の公衆回線(有線の回線として、37~39)で相互に通信可能に接続されている。また、回線は有線であっても無線であってもよく、無線の場合、携帯情報端末あるいはスマートフォン12、17~18及び携帯電話13は、無線で図示しない基地局やアクセスポイント等を介してインターネット39に乗り入れ、更に回線38を介して管理サーバ11と相互に通信可能に接続される。
【0018】
ここで、アクセスポイントとは、PCやスマートフォンなどの無線端末を相互に接続したり、他のネットワークに接続させたりするための無線機である。典型的には、アクセスポイント等の無線機は、OSI参照モデルにおける第1層(物理層)及び第2層(データリンク層)の通信プロトコルで作動するデバイスである。
【0019】
なお、本願の出願時点での携帯電話や携帯情報端末あるいはタブレットは、パーソナルコンピュータ(PC)と同等の処理能力(通信処理速度や画像処理能力等)を備えているものも多く、小型のコンピュータとも言うべきものである。
【0020】
また、本発明の実施に必要なプログラムあるいはソフトウェアは、通常、PCや携帯情報端末の記憶部におけるHDD、SSD等にインストールあるいは記憶され、プログラムあるいはソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPUにおいて演算実行される。
【0021】
あるいは、ブラウザベースのコンピュータあるいは携帯情報端末を採用することもできる。この場合は、必要に応じて他のサーバやコンピュータから端末にプログラムが配信され、端末上のブラウザによってプログラムが実行される。
【0022】
また、管理サーバ11のハードウェア構成も、基本的にはPCを採用することができる(念のため、図2を参照して後述する)。なお、本発明はこれに限定されるものではないが、管理サーバ21は、必要に応じてそのハードウェアスペックを上げるにあたり、複数のPC(一例として、数十台~数万台)を並列的に作動させることによって大規模データの処理に適した構成をとることもできる。
【0023】
図2に、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける管理サーバの機能ブロック図を示す。例示的に、管理サーバの動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びソフトウェアとこれらハードウェアとの連携動作によって実現されている。
【0024】
図2において、ハードウェアブロック全体としての管理サーバ200は、大別すると、各種比較・演算処理を行うためのCPU201と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の記憶部202と、キーボードやポインティングデバイス等の入力部203と、ディスプレイやスピーカ等の出力部204と、各種信号制御のための制御部205と、通信(インタフェース)部206(無線、有線を問わない)と、時刻等を計時するための計時部207と、電源部208とからなる。
【0025】
これらのモジュールは必要に応じて適宜通信バスや給電線(図2においては、便宜上各線が適宜区分された結線299としてひとまとめに表す)によって接続されている。
【0026】
また、本発明の実施に必要な管理サーバ200上で実行されるプログラムあるいはソフトウェアは、通常、記憶部202を構成するハードディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等にインストールあるいは記憶され、プログラムあるいはソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部202内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU201において演算実行される。
【0027】
なお、演算実行は必ずしもCPU201等の中央処理部で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0028】
図3に、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける情報処理装置(ユーザ端末)としてのスマートフォンあるいはタブレット端末12の外観構成を示す。図3において、スマートフォンあるいはタブレット端末12は、筐体部121とディスプレイ122と筐体121の下部中央部に設けられたハードウェアボタン123とからなる。ディスプレイ122は典型的には液晶ディスプレイ(LCD)等で構成され、文字や静止画像や動画など様々な情報を表示することができる。また、ディスプレイ122にメニューボタンやソフトウェアキーボードを表示させ、これを指あるいはタッチペン(不図示)等で触れることによりタブレット端末12への指示(コマンド)とすることができる。この点で上記ハードウェアボタン123は必須の構成要素ではないが、本発明の説明の便宜上、一定の機能を担うボタンとして実装されている。本発明の一実施形態においては、ハードウェアボタン123等の物理的ボタンを、ディスプレイ122の一部に表示させたメニューボタンで代替させることも可能である。
【0029】
また、ディスプレイ122には、マルチタッチ入力パネルが含まれており、タッチ入力パネル上でのタッチ入力位置座標が入力デバイスインタフェース(不図示)を介してスマートフォンあるいはタブレット端末12の処理系(CPU)へ送信され処理される。そして、このマルチタッチ入力パネルは、パネルに対する複数の接触点を同時に感知することができるよう構成されている。この検出(センサ)については様々な方法で実現することができ、必ずしも接触センサに限られず、例えば、光学式のセンサを利用してパネルに対する指示点を抽出することも可能である。さらに、センサには、接触式のセンサや光学式のセンサのほか、人の肌の接触を感知する静電容量方式のセンサを用いることも可能である。
【0030】
また、図3には現れていないが、スマートフォンあるいはタブレット端末12は、マイクやスピーカを備えることもできる。この場合にはマイクより拾ったユーザの声などを判別して入力コマンドとすることも可能である。さらに、図3には現れていないが、スマートフォンあるいはタブレット端末12の背面等にCMOS等のカメラデバイスを実装させることもできる。
【0031】
図4に、本発明の一実施形態にかかるスマートフォンあるいはタブレット端末12を構成するハードウェアの機能ブロック図を例示する。スマートフォンあるいはタブレット端末12の動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びソフトウェアとこれらハードウェアとの連携動作によって実現されている。
【0032】
図4において、ハードウェアブロック全体としてのスマートフォンあるいはタブレット端末400は、大別すると、図3におけるハードウェアボタン123、ディスプレイ122に設けられたマルチタッチ入力パネル、マイク等で構成される入力部401と、プログラムやデータ等を記憶するためのハードディスク、RAM及び/又はROM等で構成される記憶部402と、プログラムによって様々な数値計算や論理演算を行うCPUによって構成される中央処理部403と、ディスプレイ122等で構成される表示部404と、チップや電気系統等の制御を行うための制御部405と、インターネットにアクセスするためのスロットや光通信を行うためのポート、及び通信インタフェースから構成される通信インタフェース部406と、スピーカやバイブレーション、赤外線プロジェクター等の出力部407と、時刻等を計時するための計時部408と、CMOS等のイメージセンサや赤外線センサ、慣性センサ等からなるセンサ部409と、装置内の各モジュールに電源を供給するための電源部410とからなり、これらのモジュールは必要に応じて適宜通信バスや給電線(図4においては、便宜上各線が適宜区分された結線499としてひとまとめに表す)によって接続されている。
【0033】
なお、センサ部409には、スマートフォンあるいはタブレット端末400(12)の位置を特定するためのGPSセンサモジュールを含めることとしても良い。また、センサ部409を構成するCMOS等のイメージセンサや赤外線センサ等によって検知された信号は、入力部401において入力情報として処理することができる。
【0034】
また、本発明の実施に必要なスマートフォンあるいはタブレット端末400上で実行されるプログラムあるいはソフトウェアは、通常、記憶部402を構成するハードディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等にインストールあるいは記憶され、プログラムあるいはソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部402内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU403において演算実行される。
【0035】
なお、演算実行は必ずしもCPU等の中央処理部403で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0036】
次に、図5及び図6に、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける処理動作の流れを示す。図5に示された処理動作フローは、本発明の一実施形態において、ユーザが、本発明の一実施形態にかかるアプリを起動し、飲酒に関する目標値等を設定入力し、飲酒前や飲酒中や飲酒後の入力を行うまでの様子を時間の流れに沿って例示的に説明している(時刻t1~t12)。また、図示されるように、この間に管理システムは、ユーザ端末から入力され送信される情報を記録または登録管理し、適宜解析する。また、一実施形態においては、ユーザの担当医も医師端末(ユーザの担当医が所持する端末。以下、同様。)を介して管理システムで管理されている情報を適宜参照することができる。なお、図5では、図示しないメッセージのやりとりをシステムと端末間で行うこともできる。
また、図6には、図5に示された端末(ユーザ端末、医師端末)に加え、ユーザの関係者の端末や店舗端末が加えられ、同図は、これらの端末と管理サーバ間で情報をやり取りする場合の動作フローを時間の流れに沿って例示的に説明している(時刻t31~t47)。
【0037】
なお、図5及び図6を参照して説明したユーザの飲酒管理を実現するために、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システム上では、ユーザごとの属性情報(一例として、ユーザ名、氏名、連絡先、健康管理情報等のユーザ属性情報、ならびに、当該ユーザの飲酒に関する情報)が管理され、都度再計算されて更新制御されている。また、ユーザの飲酒に関する情報は数値化されて都度再計算されて、計算結果に基づく知見情報をユーザ端末に適宜通知させることができる。
【0038】
図5の時刻t1において、ユーザは自身の端末(情報処理装置)を介して専用アプリを起動する(ステップS501)。なお、この時点までにインストール等の必要な処理は完了しているものとする。
本発明はこれに限定されるものではないが、その後、ユーザは希望する情報通知を受けたり、管理サーバを介した医師等からのメッセージを受信したりすることができる。
【0039】
時刻t1~t2まで、ユーザは、自身の治療または体調改善のための目標値を設定入力する(ステップS502)。一実施形態において、この目標値は飲酒量や飲酒頻度などの設定入力である。
図10にこの設定入力画面の例を示す。
【0040】
図10は、ユーザの飲酒に関する目標値を設定入力する入力画面例である。図10において、画面1000には、取り組み開始日入力欄1010と、目標選択欄1020と、1日の上限ドリンク数入力欄1030と、1週間の上限ドリンク数入力欄1040と、1週間における休肝日設定欄1050と、確定ボタン1060が表示されている。図10において、1日の上限ドリンク数入力欄1030はオープン状態となっており、さらに詳細な入力項目1031~1033を確認することができる。一方で、1週間の上限ドリンク数入力欄1040と1週間における休肝日設定欄1050はクローズ状態となっており、同図においては、詳細な入力項目は表れていない(一実施形態として、各欄左端のチェックマークを押下することによって、1030と同様にオープン状態にすることができる)。
【0041】
本発明の一実施形態において、目標選択欄1020は、「お酒を減らす」または「お酒をやめてみる」という2種類の目標選択が可能となっている。一実施形態において、目標を減酒にする場合にはボタン1021を押下し、目標を断酒にする場合にはボタン1022を押下する。
【0042】
1日の上限ドリンク数入力欄1030における詳細な入力項目1031~1033には、飲酒量や飲酒頻度等についての詳細入力が可能になっている。詳細な入力項目1031には、1日の飲酒量を何杯までとするかを入力することができるようになっており、一実施形態としてセレクトボックス等により数値を選択して入力することができる。飲酒の杯数(ドリンク)については、さまざまな定義が可能であり、一実施形態においては、純アルコール量10gを1ドリンクと定義することができる。この場合、アルコール度数5%のビール500mlは、「2ドリンク」(アルコールの比重は0.8であるため)とされる。また、他の実施形態においては、純アルコール量10gを1ドリンクと定義することができる。この場合、ルコール度数5%のビール500mlは、「2.0ドリンク」とされる。
【0043】
本発明の一実施形態において、詳細な入力項目1032には、あらかじめユーザが決めた特別日(自分自身の誕生日や結婚記念日など。)の飲酒量を個別に設定することができるようになっている。あるいは、他の実施形態においては、特別日は、ユーザによって随時設定することができる(例えば、今日は仕事を頑張ったので特別日に急遽決定するなど)。なお、通常、入力項目1032に入力されるドリンク数は、入力項目1031に入力されるドリンク数よりも大きい値が入力されるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0044】
さらに、詳細な入力項目1033には、上記特別日を4週間で何日まで設定してよいかの目標値をあらかじめ設定することができる。一実施形態においては、ここで設定された目標値を上回らなければ、ユーザは、4週間のうちの好きな日を任意に特別日とすることができる。さらに、他の実施形態においては、ユーザは、事後的に特別日を設定することも可能である。
また、入力項目1033における「4週間」という期間は、3カ月間や半年間、あるいは1年間といった様々な期間長を採用することができる。
【0045】
1週間の上限ドリンク数入力欄1040には、ユーザが1週間単位で許容するドリンク数の上限を設定することができる。また、1週間における休肝日設定欄1050には、1週間における休肝日数を設定することができる。ここで、「1週間」という期間は、2週間や1カ月間など様々な期間長を採用することができる。また、休肝日設定については、単に日数の設定のみならず、1以上の曜日設定(一例として、毎週何曜日とか、第1・3日曜日及び月曜日など複数の曜日設定など)が可能である。
【0046】
これらの目標設定値を入力できれば、確定ボタン1060することによって、入力情報を管理サーバへアップロードさせ(ステップS503)、管理サーバに記録または登録管理させることができる(ステップS504)。また、代替的な実施形態においては、確定ボタン1060の押下によって入力情報を管理サーバへアップロードさせるのではなく、他のタイミング(アプリがオンラインになったタイミングなど)で入力情報を管理サーバへアップロードさせてもよい。
【0047】
本発明はこれに制限されるものではないが、一実施形態として、時刻t3において、管理サーバから医師端末へメッセージが送信される(ステップS505)。このメッセージ送信にはさまざまな送信理由が考えられる。単に、ユーザ登録が完了したという通知の場合もあるし、ユーザによる目標設定値が高すぎる場合(あるいは低すぎる場合)にユーザに修正を促す通知の場合もある。一実施形態においては、これらの条件はユーザ端末にインストールされたアプリにあらかじめ設定させることができる。また、ユーザへのメッセージ通知は、ユーザ端末がオフライン状態でも実施することができる。
【0048】
時刻t3において、医師端末は、管理サーバから送信されたメッセージを受信する。ここでは、医師は医師端末を介して受信したメッセージ内容を確認し、ユーザの登録内容を確認するために管理サーバに登録されている情報の参照が行われる(時刻t4、ステップS506)。
【0049】
次に、時刻t5~t6において、ユーザは飲酒を開始する直前の入力を行う(ステップS507)。この場合の入力項目には多様な入力項目を採用することができるが、一実施形態においては、次表のような入力項目が採用される。
【表1】
上表の項目うち、「誰と」については、具体的な名前を入力することとしてもよいし、本人との関係性(家族、友人など)の入力に留めることとしてもよい。あるいは、単に人数を入力することとしてもよい。さらにこれらの入力形式を統一せずに併用させることとしてもよい。
また、「どこで」については、具体的な場所名(お店の名前や所在地)を入力することとしてもよいし、大まか区分(自宅、友人宅、お店など)を入力することとしてもよい。
また、「どんな気持ちで」については、典型的にはあらかじめ定められた区分(「楽しい」、「つらい」、「腹立たしい(怒りの気持ち)」など)から選択するようにしてもよい。
【0050】
また、「いつ飲み始めるか」については、日時が決まっている場合には、あらかじめ入力することができるようにしてもよい。
また、「どんな状況で」については、一実施形態において、「同窓会」、「接待」、「自分自身または他人の誕生パーティー」といった飲酒するユーザ自身に関わる状況を入力するようにしてもよい。
【0051】
図10において、飲酒直前入力を終えると管理サーバへ送信され(ステップS508)、送信された情報は管理サーバにおいて記録または登録される(ステップS509)。ここで、管理サーバにおいては、情報の記録や登録だけに留まらず必要に応じて情報の集計や解析を行うこともできる(ステップS509。種々の集計や解析については後述する)。また、図10には逐次図示していないが、管理サーバで集計や解析した結果等については、適宜ユーザにフィードバックすることができる(種々のフィードバックについては後述する)。
【0052】
次に、時刻t7~t8において、ユーザは飲酒中の入力を行う(ステップS510)。この場合の入力項目には多様な入力項目を採用することができるが、一実施形態においては、次表のような入力項目が採用される。
【表2】

上表の項目うち、「いつ」については、入力時点の時刻(日時)を自動入力することとしてもよい。「何を」については、飲むお酒の種類(度数や量)を入力することができる。また、「どんな気持ちで」については、気持ちの変化を入力することもできる。つまり、単に「楽しい」だけではなく、楽しさの度合いを数値化して入力することもできる。
また、「どんな状況で」については、その場の変化(飛び入りの参加者があり場はさらに盛り上がったとか、反対につらい話題が出て急に気分がふさぎ込んだなど)を入力することができる。
【0053】
図10において、飲酒中入力を終えると管理サーバへ送信され(ステップS511)、送信された情報は管理サーバにおいて記録または登録される(ステップS512)。この飲酒中入力は、飲酒中に複数回入力されることがあり得る。ここで、管理サーバにおいては、情報の記録または登録だけに留まらず、必要に応じて情報の集計や解析を行うこともできる(ステップS512。種々の集計や解析については後述する)。また、ステップS512においては、前回(例えば15分前)の飲酒中入力の内容との比較を行ってユーザがその場で飲んだお酒の順序を記録したり、1杯1杯の飲酒記録の入力間隔から飲酒ペースを算定したりすることができる。
【0054】
また、図10には逐次図示していないが、管理サーバで集計や解析した結果等については、適宜ユーザにフィードバックすることができる(種々のフィードバックについては後述する)。
【0055】
次に、時刻t9~t10において、ユーザは飲酒直後の入力を行う(ステップS513)。この場合の入力項目には多様な入力項目を採用することができるが、一実施形態においては、次表のような入力項目が採用される。
【表3】

上表の項目うち、「いつ」については、入力時点の時刻(日時)を自動入力することとしてもよい。また、「どんな気持ちで」については、気持ちの変化や満足度を入力することもできる。
【0056】
図10において、飲酒直後入力を終えると管理サーバへ送信され(ステップS514)、送信された情報は管理サーバにおいて記録または登録される(ステップS515)。ここで、管理サーバにおいては、情報の記録または登録だけに留まらず必要に応じて情報の集計や解析を行うこともできる(ステップS515。種々の集計や解析については後述する)。
【0057】
また、図10には逐次図示していないが、管理サーバで集計や解析した結果等については、適宜ユーザにフィードバックすることができる(種々のフィードバックについては後述する)。
【0058】
次に、時刻t11~t12において、ユーザは飲酒後の入力を行う(ステップS516)。本発明の一実施形態において、この入力は飲酒した日の就寝前や翌朝などに入力される。この場合の入力項目には多様な入力項目を採用することができるが、一実施形態においては、次表のような入力項目が採用される。
【表4】

上表の項目のうち、「体調」については、飲酒当日の入力の場合にはアプリのチェックアウト時のユーザの体調が入力されるなどし、飲酒翌日(例えば、翌朝)の入力の場合にはアプリのチェックイン時のユーザの体調が入力されるなどする。このとき、入力時点の時刻(日時)を自動入力させることとしてもよい。また、「気持ち」については、飲酒後の気持ちの状態を入力することができる。
【0059】
図10において、飲酒後入力を終えると管理サーバへ送信され(ステップS517)、送信された情報は管理サーバにおいて記録または登録される(ステップS518)。ここで、管理サーバにおいては、情報の記録または登録だけに留まらず必要に応じて情報の集計や解析を行うこともできる(ステップS518。種々の集計や解析については後述する)。
【0060】
また、図10には逐次図示していないが、管理サーバで集計や解析した結果等については、適宜ユーザにフィードバックすることができる(種々のフィードバックについては後述する)。
【0061】
図6に示されたフローは、図5に示されたフローのバリエーションであり、図5では不図示であった関係者端末及び店舗端末が含まれる。関係者端末は、一実施形態において、ユーザの関係者(家族や友人など)の所持する端末であり、店舗端末は、一実施形態において、ユーザ等が飲酒等のために訪れる店舗に設置された端末である。
図6における関係者端末及び店舗端末は、図1における各種端末12~18のいずれかに対応する。なお、図6においては、ユーザ端末等への飲酒管理アプリのインストールや目標値設定は既に完了しているものとする。
【0062】
図6の時刻t31~t32において、ユーザは飲酒を開始する直前の入力を行う(ステップS601)。この場合の入力項目には多様な入力項目を採用することができるが、一実施形態においては、すでに述べたような、「誰と」、「どこで」、「どんな気持ちで」、「いつ飲み始めるか」、「どんな状況で」といった入力項目が採用される。
【0063】
図6において、飲酒直前入力を終えると管理サーバへ送信され(ステップS602)、送信された情報は管理サーバにおいて記録または登録される(ステップS603)。ここで、管理サーバにおいては、情報の記録または登録だけに留まらず必要に応じて情報の集計や解析を行うこともできる(ステップS603)。また、管理サーバで集計や解析した結果等については、適宜ユーザにフィードバックすることができる(ステップS604)。
【0064】
図7に、ステップS603で実施される管理サーバにおける解析処理フロー例を示す。なお、図7に示された処理フローは、ステップS603のような飲酒直前入力時にのみ実施されるものではなく、本発明の実施例において技術的な矛盾を生じさせない範囲において、任意のタイミングで実施されることができる。また、図7に示された解析処理フロー例では、例示的に管理サーバで既に管理されているデータ量(被験者数そのものの数や、あるいは、特定の被験者における取得データ量)の過多によって処理を分けるように制御される。一実施形態において、データ量が少ない場合にはステップS703~ステップS705に示された解析処理が実施され、データ量が多い場合にはステップS706~ステップS707に示された解析処理が実施される。この場合のデータ量の過多は一定の閾値が採用されてもよい。また、データ量が少ないと判断される場合の閾値とデータ量が多いと判断される場合の閾値とを異ならしめてもよい(この場合、データ量が少ないとも多いとも言えない場合には、他の公知の解析処理や本実施例で説明されるバリエーションの処理いずれかが実施される)。
以下、図7を参照して解析処理フロー例について詳述する。
【0065】
図7のステップS701において処理を開始すると、ステップS702に進み、管理サーバは、すでに記録または登録管理しているデータ量の過多を判断する。先に述べたようにデータ量のパラメータは、比較可能な被験者(ユーザ)の数である場合や、あるいは、個々の被験者(ユーザ)の取得データ数である場合などがある。ステップS702においてデータ量が少ないと判断された場合(Yes)、ステップS703へ進み、データ量が多いと判断された場合(No)、ステップS706へ進む。
【0066】
ステップS703~ステップS705では、いくつかの「特異日」を設定し、この特異日における他の状況を集計してスコア化するという処理を行う。本発明の一実施形態においては、「特異日」には次のような日が設定される。
【0067】
(A1)その日の総飲酒量が過去最大の日
(A2)その日の総飲酒量が過去の飲酒日の中で上位〇〇%の日
(A3)その日の飲酒量が多量飲酒基準を超えた日
(A4)その日の飲酒量が目標設定値を超えた日
【0068】
そして、本発明の一実施形態においては、上記特異日における諸状況(一例として、「誰と」、「どこで」、「どんな気持ちで」、「いつ飲み始めたか」、「どんな状況で」)を考慮して、それぞれの状況ごとの特異日を集計する。
【0069】
また、スコア化については、一例として、次のような算定によるスコアリングを行い、このスコアリングをもとに、入力項目のカテゴリ(たとえば、「どこで」)ごとの順位付けを行うことができる。ここで、入力項目とは、「どこで」における「自宅」などが該当する。
(B1)飲酒量上位〇%の日のうちその入力項目が含まれる割合(%)/(飲酒量上位〇%ではない日のうちその入力項目が含まれる割合(%)+1)
(B2)多量飲酒基準を超えた日のうちその入力項目が含まれる割合(%)/(多量飲酒基準未満の日のうちその入力項目が含まれる割合(%)+1)
(B3)目標飲酒量上限を超えた日のうちその入力項目が含まれる割合(%)/(目標飲酒量上限を超えた日のうちその入力項目が含まれる割合(%)+1)
(B4)その入力項目が含まれる日の平均不満足度(満足した=-1,普通=0,後悔した=1)
【0070】
なお、上記(B1)式については、この式を求めることで、「自宅」での飲酒が飲酒量上位〇%と関連しやすければ分子が大きくなり、スコアの値が大きくなる。また、関連しづらければ分母が大きくなり、スコアの値が小さくなる。さらに、分母が0にならないように、「+1」としている(上記(B2)式~(B4)式の趣旨について、同様。)。
【0071】
図7に戻り、ステップS703では、状況に応じた特異日が選定される。この選定方法は、予め固定的に選定されてもよいし、予め定められた順位によって選定されてもよい。また、あらゆる特異日における状況集計のために、常に全ての特異日が選定されてもよい。
【0072】
次に、ステップS704へ進み、それぞれの特異日における状況ごとの集計を行う。これにより、その特異日に着目したときに、どのような状況下での飲酒が顕著であるか等の傾向を読み解くためのデータを準備することができる。そして、ステップS705へ進み、それぞれの特異日に着目したスコア計算等を行う。
【0073】
なお、ステップS704及びステップS705は、常に双方の指標を算出することが必須となるものではなく、実施状況においていずれか一方の処理を省略することができる。その場合、特異日における状況集計結果(ステップS704)またはスコアリングによる結果(ステップS705)のいずれかに基づいてユーザへのフィードバックが行われる。
【0074】
一方で、ステップS706~ステップS707では、対象となるデータは豊富に管理サーバにある状況であるので、集計対象を選定したのち(ステップS706)、公知の回帰分析に基づく判定が行われる。この公知の回帰分析には、線形回帰分析、ロジスティック回帰分析などが採用される。さらに、公知の決定木分析が用いられてもよい。
【0075】
ステップS706の集計対象の選定には、ユーザ本人の蓄積データであるか、あるいは、オーディエンス(デモグラフィック属性)単位であるか等の選定がなされる。
【0076】
また、ステップS707において回帰分析を採用するとき、次のような一般式に基づいて算出等が行われる。
Y=a1x1+a2x2+a3x3+・・・+誤差項
【0077】
本発明の一実施形態においては、上式におけるY項には、「1日の総飲酒量」、「満足度」、「当日チェックアウト時の体調、気持ち、眠気等の各値」、「翌日チェックイン時の体調、気持ち、熟睡度等の各値」等を適用することができ、上式におけるX項には、「当日チェックイン時の体調、気持ち、眠気等の各値」、「誰と、どこで、どんな気持ちで」等に関する各数値を適用することができる。また、上式におけるX項には、「いつ飲み始めたか(時間)」、「いつ飲み始めたか(状況)」、「飲んだお酒の種類(度数と量)」、「飲んだお酒の順序」、「飲酒ペース(飲酒記録の入力時間から算定)」に関する各数値を採用することもできる。
a1、a2、a3・・・の項は回帰係数である。
【0078】
図7のステップS708では、解析結果がユーザに表示すべきタイミングであるかどうかが判断される。本発明の一実施形態において、ステップS708におけるタイミングには、次のようなものが採用される。
【0079】
(C1)ユーザがリクエストした時
(C2)アプリで設定されたタイミングであってユーザの飲酒記録中以外のタイミング
(C3)飲酒記録中に閾値を超えたスコア等が算出された時
【0080】
上記(C1)の具体的シーンとしては、ユーザ自身が自分の飲酒量が増えやすいのはどのようなときか知りたい場合に管理サーバへ問い合わせるような場合がある。この場合、管理サーバでは、過去の記録をもとに上述した解析を行い、その結果をユーザへフィードバックする。また、(C3)の具体的シーンとしては、飲酒中入力時に随時管理サーバが解析を行い、所定の閾値に達した結果が得られた場合に注意喚起の目的でユーザへメッセージ送信を行うような場合がある。
【0081】
再び、図6に戻り、ステップS605では、管理サーバからのフィードバックをユーザ端末に表示する(ステップS605)。本発明の実施形態においては、フィードバック画面例として、図11図13を挙げている。ステップS605では、ユーザの飲酒前にユーザ自身が飲みやすい客観的情報を提示するべく、図10のような画面が表示されたり、ユーザのこれまでの飲酒履歴の分析からユーザの飲酒と体調との関係を示唆すべく、図13のような画面が表示されたりする。あるいは、図6には図示されていないが、後述するステップS607のようなユーザの飲酒中入力時にユーザの好ましくない飲酒傾向が発見されたときなどに注意を喚起すべく、図12のような画面をユーザ端末に表示させることもできる。
【0082】
次に、図6の時刻t34においては、医師が医師端末を介してユーザの情報を参照すべく管理サーバアクセスしている(ステップS606)。
【0083】
図6の時刻t35においては、ユーザがユーザ端末を介して飲酒中入力を行う。ここでは、本発明の一実施形態として、入力情報は管理サーバへ直接送信されずに、ユーザが訪れている飲食店(例えば、ステーキハウスやパブなど)に設置されている店舗端末に送信される(時刻t36、ステップS608)。つまり、ステップS607における飲酒中入力は、ユーザの飲酒記録であるとともに店舗におけるドリンクのオーダーを兼ねている。換言すると、ユーザの店舗でのドリンクオーダーがユーザ自身の飲酒中記録になっているとも言える。本願の出願時点では、店舗に配置された端末からのオーダーのみならず、ユーザ自身の端末にインストールされたアプリからのオーダーも可能な技術的水準にあるため、このような運用も可能となっている。この場合、必要に応じて次のようなシステム、アプリ間の連携が行われることができる。
【0084】
(D1)ステップS607における飲酒中入力は飲酒量管理アプリに対して行われ、飲酒量管理アプリから店舗端末へのオーダーがなされる。
(D2)ステップS607における飲酒中入力は飲食店から配布された店舗アプリに対するその店舗におけるドリンクのオーダーとして行われ、適宜店舗アプリと飲酒量管理アプリ及び/または管理サーバとの連携が図られる(図6においては、不図示)。
(D3)ステップS607における飲酒中入力は飲酒量管理アプリに対して行われ、入力データはいったん管理サーバに送信及び登録された後、管理サーバを介して店舗端末へドリンクのオーダーがなされる(図6においては、不図示)。
【0085】
図6の時刻t36~t37においては、店舗端末でのオーダー処理が行われ(ステップS609)、時刻t37において、店舗端末から管理サーバへ飲酒中入力情報が送信される。管理サーバでは、これを記録または登録し、集計や解析をする(ステップS610)。
【0086】
ステップS610で管理サーバが集計や解析を行った結果、解析結果が何らかの閾値を超えたこと等によって、ユーザにフィードバックする必要があると判断された場合には、例えば、図12に示されたようなメッセージ1230を直接ユーザ端末に送信することもできるが、図6では、他の実施形態として、ユーザの関係者(家族や友人など)の所持端末(関係者端末)へメッセージを送信する(時刻t38、ステップS611)。ステップS611でのメッセージ内容は、例えば、関係者からユーザへの飲酒制限を促して欲しいなどのメッセージである(メッセージ内容については、不図示)。ステップS611でのメッセージを受信した関係者は、その内容を理解し、自身の端末を介してユーザへ飲酒の自制を求めるメッセージを送信する(時刻t39、ステップS612)。ステップS612のメッセージは、飲酒量管理アプリを介してやり取りされても良いし、別のメッセージアプリ等を介したメッセージ伝達であってもよい(この場合のメッセージ伝達の仕組みは、本発明の一実施形態にかかるシステムの支配下において実施されているものと言える)。
【0087】
次に、時刻t40~t41においては、ユーザと同席している関係者が関係者端末からユーザのために飲酒中入力を行っている(ステップS613)。入力項目は、既に述べた内容と同様である。本発明の一実施形態においては、このようにユーザの関係者も飲酒量管理アプリをインストールすることによって、当該ユーザの治療や体調改善のサポートを行うことができる。入力された情報は、関係者端末から店舗端末へ送信され(ステップS614)、店舗端末ではこれをオーダーとして処理し(時刻t41~t42。ステップS615)、飲酒中入力情報については管理サーバに送信する(時刻t42)。なお、ステップS614~ステップS615では、ユーザの飲酒中入力を店舗オーダーとしても処理しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、店舗端末を介さずにユーザの飲酒中入力を直接管理サーバへ送信してもよい。
管理サーバでは、受信した飲酒中入力情報を記録または登録し、集計や解析をする(時刻t42~t43、ステップS616)。
【0088】
図6の時刻t43においては、管理サーバから医師端末へメッセージが送信される(時刻t43、ステップS617)。集計や解析の結果、ユーザへフィードバックしたほうが良いと判断された事項が抽出されたからである。本発明の他の実施形態においては、このメッセージは医師端末を介さずに直接ユーザ端末へ送信することもできる。
本発明の一実施形態においては、ステップS617では、担当医師からユーザへ飲酒自制を促すようにメッセージが送信され(メッセージ内容については、不図示)、時刻t44において、医師は医師端末を介して当該ユーザの飲酒状況を確認するために管理サーバへアクセスする(ステップS618)。そして、時刻t45において、医師は医師端末を介してユーザへ飲酒を自制するようなメッセージを送信する(ステップS619)。
ユーザ端末では、医師端末から送信されたメッセージが表示される(時刻t45、ステップS620)。
【0089】
また、図6には図示されていないが、ユーザは飲酒直後(ステップS621にて後述する飲酒後入力ではない)の入力を行うこともできる。
【0090】
次に、時刻t46~t47において、ユーザは飲酒後の入力を行う(ステップS621)。本発明の一実施形態において、この入力は飲酒した日の就寝前や翌朝などに入力される。飲酒後入力を終えると入力データは管理サーバへ送信され(ステップS622)、送信された情報は管理サーバにおいて記録または登録される(ステップS623)。ここで、管理サーバにおいては、情報の記録または登録だけに留まらず必要に応じて情報の集計や解析を行うこともできる(ステップS623)。
【0091】
図8に、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける処理動作フローを示す。図8に示す処理動作フローは、図7に示す処理動作フローの代替的なフローであり、ユーザの飲酒中入力がなされた際に、管理サーバにおいて適宜実施される解析処理の具体例である。論理的に矛盾を生じさせない限り、図7に示した処理動作フローの一部又は全部と併用させることもできる。
以下、図8を参照して動作を詳述する。
【0092】
ステップS801において処理を開始すると、ステップS802へ進み、ユーザによるドリンクの杯数や文脈情報が入力される。ここで、ドリンクに関する情報は、杯数のみならず、ドリンクの種別やアルコール度数、分量といった情報として入力することもできる。また、文脈情報とは、上述したユーザの状況情報(「どんな気持ちで」といった主観的情報のほか、「誰と」、「どこで」、「どんな状況で」といった状況情報も含まれる)である。入力された情報は、管理サーバへ送信され記録または登録される。
【0093】
次に、ステップS803へ進み、管理サーバにおいて記録または登録されたデータの集計や解析が行われる。ここでは、一実施形態として、記録または登録された文脈情報別に飲酒回数や飲酒杯数の集計及び比較が行われる(処理概念等については、後述する)。
【0094】
次に、ステップS804へ進み、前ステップでの集計・比較の結果、ユーザへフィードバックすべき傾向や事項が見出されたかどうかが判断される。同ステップでYesの場合はステップS805へ進むが、Noの場合はステップS802へ復帰する。
【0095】
ステップS805では、前ステップで見出された結果をいったん保存し、ステップS806でユーザにアラート(フィードバック)すべきタイミングかどうかが判断される。同ステップでYesの場合はステップS807へ進むが、Noの場合はステップS802へ復帰する。
【0096】
ステップS807では、ユーザへのアラート(フィードバック)が行われる。具体的なフィードバック画面は、図11図13に示した通りである(各図の構成等は、後述する)。そして、ステップS808へ進み、本フローの処理としては終了する。
【0097】
以下では、ステップS803~ステップS804の解析処理について、(処理の基本概念)、(処理の具体例)、(他の処理例)という項目に沿って詳述する。
【0098】
(処理の基本概念)
本発明の一実施形態における解析処理は、ユーザの飲酒量(杯数)とユーザの文脈情報(「気持ち」や「場所」など)に基づいて実施される。一例としては、文脈情報別に飲酒回数や杯数を計数したり比較したりする。そうして、気持ちが「怒り」であるときの飲酒量が、気持ちが「リラックス」あるいは「平穏」であるときの飲酒量と比べて有意に多く、さらに、飲酒場所が「自宅」であるときの飲酒量よりも「居酒屋」であるときの飲酒量のほうが有意に多いことが認められると、管理サーバは、ユーザの気持ちが「怒り」であり、飲酒場所が「居酒屋」であるときに飲酒量が増えることをユーザにフィードバックする。
【0099】
また、フィードバックは、ユーザの気持ちが「怒り」であるときの、あるいは、場所が「居酒屋」であるときの飲酒前や飲酒中に与えるように制御されても良い。あるいは、平時にユーザが管理サーバに問い合わせを行ったときにフィードバックを与えるように制御することができる。また、飲酒量管理アプリに指定された任意のタイミングでフィードバックを与えるように制御されても良い。
【0100】
(処理の具体例)
次に、上記基本概念に基づいた具体的な処理例を示す。次表は、ユーザが日ごとに、どこでどんな気持ちでどれくらいの飲酒を行ったかを示す記録である。
【表5】

ここで、上表においては日付のみに着目しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、時間帯別、曜日別といったパラメータを導入することもできる。また、ドリンク数についても、単に杯数をカウントするのではなく、アルコール度数や純アルコール量に換算した計数を行うこともできる。以下、発明の理解の容易のために詳細な説明は割愛する。
【0101】
上表において、「気持ち」や「場所」といった異なる文脈パラメータごとに、その文脈ごとの「合計ドリンク数」、「合計出現日数」、「合計ドリンク数/合計出現日数」を集計ないし算定すると、次表のようになる。
【表6】
【0102】
上表の集計ないし算定により、ユーザの気持ちが「怒り」である場合や、飲酒場所が「居酒屋」である場合には、有意に飲酒杯数が増えていることが分かる。管理サーバは、この結果を踏まえて、ユーザに対するフィードバックを行うことができる。また、これらの解析結果は、医師の所見等に基づく対策の提案などに用いることができる
【0103】
(他の処理例)
図9に、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムにおける他の処理動作フローを示す。図8に示した処理フローが、主として飲酒中に入力される情報に基づいた解析処理であるのに対し、図9に示した処理フローは、主として飲酒後に入力された情報に基づいた解析処理である。但し、図8及び図9に示されたフローは、完全に独立のもとして排他的に区別されるべきものではない。図8及び図9に示されたフローは、発明の理解の容易のために整理されたものである。
以下、図9を参照して説明する。
【0104】
ステップS901において処理を開始すると、ステップS902へ進み、ユーザは飲酒日の翌朝などに飲酒量管理アプリにチェックイン(ログイン)する。次に、ステップS903へ進み、ユーザは、飲酒量管理アプリに自身の体調や気持ち(気分)、昨夜の睡眠状況等を入力する。これらの入力項目は、一例として、複数の選択肢から選択可能に提供されたり、複数段階の評価入力可能に提供されたりすることができる。
【0105】
ステップS904では、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムの管理サーバにおいて、ユーザが入力した文脈別にユーザが飲酒したドリンク数が集計され、必要に応じて比較・分析される。一実施形態において、これらの集計及び比較・分析は、ユーザからの入力があるたびに実施され、その結果は、逐次更新されることができる。
【0106】
ステップS905では、ユーザの入力情報の蓄積量が判断される。本発明の一実施形態においては、ユーザの入力情報が所定日数分蓄積されているかどうかが判断される。これは、データの蓄積量が少ない場合にはフィードバックする意義が薄れることが多いためである。ここでの所定日数には、一例として、5日とか7日といった日数が採用されるが、本発明はこれに制限されるものではない。ステップS905でYesの場合はステップS906へ進むが、Noの場合はステップS902へ復帰する。
【0107】
次に、ステップS906へ進み、ステップS904までに実施された比較・分析結果に判定事項があるかどうか(知見が見出されたかどうか)が判断される。典型的には、閾値を超えた事項を判定事項としたり、比較上の上位の事実を知見事項としたりすることができる。ステップS906でYesの場合はステップS907へ進み、Noの場合はステップS902へ復帰する。
【0108】
なお、本発明の他の実施形態においては、ステップS905における判断処理を省略することもできる。また、ステップS905における判断処理を省略しない場合、S905における判断処理とステップS906における判断処理とを入れ替えて実施することもできる。
【0109】
ステップS907では、前ステップまでに得られた判定事項や知見をユーザにフィードバックする。そして、ステップS908へ進み、本フローとしては終了する。
【0110】
[利用シーンにフォーカスした実施形態]
次に、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムのおける利用シーンにフォーカスした実施形態を説明する。ここでは、ユーザがどのような行動をとり、どのようにシステムを利用し、どのようなフィードバックを得ているかをシナリオ形式で説明している。また、各シーン(シーン1~シーン9)は基本的に時系列に進行している。
【0111】
(シーン1)~目標値設定
ユーザA(ユーザID:D001)は、飲酒量管理アプリに、あらかじめ目標とする1日飲酒量上限、1週間の総飲酒量上限、1週間の休肝日数を入力した。具体的には、純アルコール10gを1ドリンクとしたときに、14ドリンクを1週間の総飲酒量上限として設定した。
さらに具体的な目標設定入力データは、次表のとおりである。
【表7】
【0112】
(シーン2)~飲酒直前入力及び飲酒中入力
ユーザAは、飲酒量管理アプリをインストールした当日の夕方から飲酒を伴う会食をすることなったため、「(久しぶりに会う)友人と」、「パブで」、「楽しい気分で」、19時00分から飲酒を伴う会食についての飲酒直前入力を行い、会食を開始した。
【0113】
ユーザAは、飲酒中入力として、ドリンクを重ねるごとにドリンク杯数と文脈情報(「ドリンク」、「誰と」、「場所」、「気持ち」)とを1杯目の入力~3杯目の入力まで、次表のように入力した。なお、日付及び時刻は入力時に自動的に入力されるものとした。
【表8】
【0114】
(シーン3)~飲酒直後入力
ユーザAは、会食を終えた後、飲酒直後入力として、満足度4(5段階中)を入力した。その後、ユーザAは、友人と別れたあと、自宅へは戻らず一人でバーに立ち寄り飲酒した(改めて飲酒中入力を行った。その後の満足度として2(5段階中)を入力した)。
【0115】
(シーン4)~飲酒後入力
ユーザAは、その日帰宅してシャワーを浴びて就寝し、翌日の朝に飲酒量管理アプリを起動した。チェックイン後、自身の体調、気持ち、睡眠情報等を入力した。一例として、ユーザAは、体調3(5段階中)、気持ち2(5段階中)、睡眠2(5段階中)を入力した。
【0116】
(シーン5)~7日経過後
ユーザAは、上記の要領で飲酒量管理アプリを使用し、一例として、飲酒記録として次表のような7日分のデータを入力した(2日目、5日目、及び7日目は休肝日のため入力はなし)。
【表9】
【0117】
(シーン6)~システムによる文脈情報ごとの解析
管理サーバでは、上述の入力について文脈情報別にドリンク数を集計した。一例として、文脈情報別の飲酒回数等(飲酒当日)として次表のように集計された。
【表10】
【0118】
また、上表に対応した文脈情報別の飲酒回数等(飲酒翌日)として次表のように集計された。
【表11】
【0119】
そして、管理サーバでは、文脈情報のカテゴリごとのドリンク量を次表のようにさらに集計した。
【表12】
上表のような文脈情報ごとの平均集計により、平均ドリンク数が最も多かったのは、「感情」が「怒り」の場合(9.9ドリンク)であった。このような集計結果に基づき、管理サーバは、ユーザの気持ちが「怒り」であるときにはユーザの飲酒量が有意に増えると判定することができる。また、他のカテゴリに着目した集計を行ってもよい。例えば、「1日で飲んだ場所の数」や「飲み始めたときの感情(気持ち)」に基づいた集計を行ってもよい。このような集計により、「1日に2以上の場所で飲むと飲酒量が増えやすい」、「飲み始めの感情が『怒り』であると飲酒量が増えやすい」といった傾向を見出すことも可能となろう。
【0120】
本発明の他の実施形態においては、文脈情報の他の組み合わせに基づいた集計を行ってもよい。例えば、文脈情報の他の組み合わせにより、「一人飲み(同伴者なし)×自宅飲み×怒り」の組み合わせで飲むと上記9.9ドリンクよりももっと高い10.8ドリンクという数値が見出されるといったこともありうる。
【0121】
また、本発明の他の実施形態においては、文脈情報等の集計は、ユーザごとにではなくオーディエンス単位で実施することもできる。
【0122】
管理サーバは、このように種々の集計結果や解析結果をユーザへフィードバックすることができる。そして、管理サーバは、ユーザによるリクエストがあったときや飲酒記録中以外のタイミングであって飲酒量管理アプリにおいて設定された任意のタイミングでもユーザへフィードバックすることができる。
【0123】
(シーン7)~ユーザによる飲酒傾向等確認
ユーザAは、飲酒の翌日のアプリチェックイン時に、どのような時に飲酒量が増えるのかを確認するため、管理サーバへリクエストした。管理サーバでは、ユーザに分析結果をフィードバックできるのは、そのユーザのデータが休肝日分を含めて一例として7日分蓄積されていることが条件となっているため、ユーザの蓄積データ量が7日分以上あることを確認し、ユーザへフィードバックをした。
なお、「7日分」というのは、例示であって他の日数を採用することもできる。
【0124】
ユーザAは、フィードバック画面(不図示)を開いた。その画面には、「どこで」、「だれと」、「どんな気持ちで」、「いつ飲み始めたか(時刻)」、「いつ飲み始めたか(状況)」という文脈ごとの飲酒しやすさのスコアが、多い順に記載されていた。
ユーザAは、これをみて、自分は、「友人」と共に「パブ」などで「怒り」を感じながら飲んだときに飲酒量が増えることを認識した。
【0125】
図11には、文脈ごとの飲酒しやすさの上位をわかりやすくユーザに示す画面例が示されている。図11において、画面1100には、タイトル1110と、文脈情報のカテゴリごとの表示欄1120、1130、1140と解析結果表示欄1150が表示されている。文脈情報カテゴリ1120には、ユーザの行動履歴に残っている場所1121、1122が表示されており、より飲酒傾向の強い場所1121が強調表示されている。文脈情報カテゴリ1130には、ユーザの行動履歴に残っている同伴者種別1131、1132が表示されており、より飲酒傾向の強い同伴者種別1131が強調表示されている。文脈情報カテゴリ1140には、ユーザの行動履歴に残っているユーザの気持ち1141、1142が表示されており、より飲酒傾向の強い気持ち1141が強調表示されている。
そして、解析結果表示欄1150には、もっとも飲酒に影響を及ぼす要因となる文脈1151が示されている。
【0126】
(シーン8)~別の日の飲酒記録中のアラート
また、さらにその翌日、ユーザAは、飲酒をした。飲酒前に飲酒場所として「自宅」を入力すると、システムは、「自宅では他の場所での飲酒よりも飲みすぎる傾向があります。今日はお酒が増えやすいかも。注意です。」とのフィードバックを行った。ユーザAは、そのフィードバックをみて「自宅」での飲酒は飲酒量を増やすことを認識し、1回に注ぐビールの量を普段よりも少なめにして19時から飲酒をはじめた。
【0127】
図12には、ユーザの飲酒前(あるいは、飲酒中)の記録入力に伴うアラート表示の例が示されている。図12において、画面1200には、飲酒日表示欄1210と、現在飲酒中のドリンク量(及びその日の上限目標ドリンク量)表示欄1220と、システムからのアラート表示欄1230と、飲酒を開始してからの飲酒入力記録欄1241~1242と、飲酒入力記録開始ボタン1250が表示されている。さきほどのシナリオでも述べたように、ユーザAは、アラート表示欄1230の表示内容をみて、飲酒ペースを普段よりダウンさせて飲酒を開始することができた。
【0128】
(シーン9)~ユーザによる飲酒と体調との関係等確認
また、別の日に、ユーザAは、自身の飲酒と体調との関係を知りたいと思い、管理サーバへ問い合わせを行った。管理サーバからは、直近のユーザの体調の履歴とともにそれぞれの前日の飲酒量の一覧がユーザ端末に送信され、ユーザAはそれらの情報を確認して飲酒と体調との関係を理解することができた。
【0129】
図13には、ユーザの飲酒と体調との関係が示唆される情報表示の例が示されている。図13において、画面1300には、メッセージ1310と、直近の体調履歴表示欄1320と、それぞれの前日の飲酒量表示欄1330が表示されている。図13に示されるように、ユーザAは、この画面を確認して飲酒と体調との関係を直感的かつ俯瞰的に把握することができる。
【0130】
(本発明のバリエーション:ユーザ端末によるスタンドアロン作動)
ここまで詳述した実施形態においては、本発明の一実施形態にかかる飲酒量管理システムの構成として管理サーバ11を含めている。しかしながら、本発明はこれに制限されるものではなく、論理的矛盾が生じない限りにおける処理の全てをユーザ端末にて実行させるように運用してもよい。この場合、本発明の実施形態を実現するデバイスは、飲酒量管理装置(端末装置)ということになる。
そこで、本発明の他の実施形態にかかる飲酒量管理装置における代替処理の一例を、図5図7~9を参照して以下に述べる。
【0131】
まず、図5においては、管理サーバは省略される。そして、ステップS504、ステップS509、ステップS512、ステップS515、ステップS518の処理は、一例としてユーザごとのユーザ端末上で実行される。また、医師端末によるユーザデータ等の参照(ステップS506)は、医師端末から個別にユーザ端末にアクセスして参照することとなるか、あるいは、ユーザ端末から医師端末に必要に応じてユーザデータ等が送信され、医師端末に当該ユーザデータ等が参照される。
【0132】
また、図7~9における処理(ステップS701~ステップS709、ステップS801~ステップS807、ステップS901~ステップS907)も、ユーザ端末上で実施される。この場合、ユーザ端末はスタンドアロン作動するので、自身のデータ以外のデータ(被験者数や他のユーザ情報)については取り扱わないこととすることができる。
【0133】
以上、具体例に基づき、飲酒量管理システム等の実施形態を説明したが、本発明の実施形態としては、システム又は装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、メモリカード)等としての実施態様をとることも可能である。
【0134】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であっても良い。
【0135】
さらに、プログラムは、必ずしも制御基板上のCPUにおいてのみ、全ての処理が実施される必要はなく、必要に応じて基板に付加された拡張ボードや拡張ユニットに実装された別の処理ユニット(DSP等)によってその一部又は全部が実施される構成とすることもできる。
【0136】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0137】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0138】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0139】
10 飲酒量管理システム
11 管理サーバ
12 スマートフォンまたはタブレット端末(ユーザ等端末の一形態)
13 携帯電話(ユーザ端末等の一形態)
14~16 PC(ユーザ端末等の一形態)
17~18 スマートフォンまたはタブレット端末(ユーザ等端末の一形態)
37、38 通信回線
39 公衆回線(専用線、インターネット等)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13