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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 304D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021105658
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004139
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】水野 博康
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126199(JP,A)
【文献】特開2019-080761(JP,A)
【文献】特開2019-000500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動口への遊技球の入球に基づいて当否判定を行い、該当否判定の結果が当りの場合に当り遊技を実行する遊技機であって、
遊技者が操作可能な操作手段と、
前記当否判定の結果に基づいて演出表示を行う演出表示装置と、
前記演出表示中の所定の開始タイミングで可動役物を動作させて可動演出の実行を開始し、所定の終了タイミングで前記可動演出の実行を終了する可動演出手段と、
を備え、
前記可動演出が実行された場合には、前記可動演出が実行されなかった場合よりも前記当否判定の結果が当りとなる当り期待度が高く、
前記可動演出手段は、前記可動演出が実行される前記演出表示中において、前記所定の開始タイミングよりも前のタイミングで前記操作手段の操作がされた場合、前記所定の開始タイミングに先んじて前記可動役物を動作させて前記可動演出の実行を開始し、前記所定の終了タイミングまで前記可動演出の実行を維持してから該可動演出の実行を終了し、
前記演出表示中に前記当り期待度を示す予告演出を実行する予告演出手段を備え、
前記予告演出手段は、前記予告演出として遊技者に前記操作手段の特定操作を促すと共に所定期間中に前記特定操作がされると前記当り期待度を示す操作演出を実行し、
前記可動演出手段は、前記所定の開始タイミングよりも前のタイミングで前記操作手段が操作されても、前記操作演出における前記所定期間中の操作であれば前記可動演出の実行を開始せず、前記所定期間中以外の操作であれば前記可動演出の実行を開始する
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機としては、表示装置において当否を報知するための演出表示の実行中に、可動役物を動作させる可動演出を実行するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この遊技機では、表示装置の画面前方で可動役物(可動演出体)が上下に昇降移動するように構成し、可動役物を上昇位置から下降位置へ急速に移動させることでインパクトのある可動演出を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-224077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような遊技機において、可動演出以外に当否の結果を予告する他の予告演出が実行されることがあるが、他の予告演出の実行有無に拘わらず、可動演出が実行された方が可動演出が実行されなかった場合よりも当り発生の期待度が高いことが多い。このため、他の予告演出よりも可動演出が実行されるか否かをいち早く知りたいと考える遊技者にとっては、他の予告演出の実行により可動演出の開始タイミングまでの待ち時間が長くなると、却って遊技興趣が低下することがある。また、可動演出では、可動役物をいきなり動作させることでインパクトのある演出を実現することが多いから、演出によって驚かされるのを好まない遊技者もいる。これらのことから、可動演出による遊技興趣を向上させるために、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明の遊技機は、遊技者の趣向に合わせて可動演出の開始タイミングを変更可能とすることで遊技興趣を向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の遊技機は、
始動口への遊技球の入球に基づいて当否判定を行い、該当否判定の結果が当りの場合に当り遊技を実行する遊技機であって、
遊技者が操作可能な操作手段と、
前記当否判定の結果に基づいて演出表示を行う演出表示装置と、
前記演出表示中の所定の開始タイミングで可動役物を動作させて可動演出の実行を開始し、所定の終了タイミングで前記可動演出の実行を終了する可動演出手段と、
を備え、
前記可動演出が実行された場合には、前記可動演出が実行されなかった場合よりも前記当否判定の結果が当りとなる当り期待度が高く、
前記可動演出手段は、前記可動演出が実行される前記演出表示中において、前記所定の開始タイミングよりも前のタイミングで前記操作手段の操作がされた場合、前記所定の開始タイミングに先んじて前記可動役物を動作させて前記可動演出の実行を開始し、前記所定の終了タイミングまで前記可動演出の実行を維持してから該可動演出の実行を終了する
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の遊技機では、可動演出が実行される演出表示中において、所定の開始タイミングよりも前のタイミングで操作手段の操作がされた場合、所定の開始タイミングに先んじて可動役物を動作させて可動演出の実行を開始し、所定の終了タイミングまで可動演出の実行を維持してから可動演出の実行を終了する。これにより、当り期待度の高い可動演出が実行されるか否かが気になる遊技者は、可動演出の開始タイミングに先んじて知ることが可能となる。また、可動役物の動作で驚かされることを望まない遊技者は、操作手段を操作して可動役物の動作を予測できる状態で可動演出が開始すれば、驚くことなく可動演出を楽しむことができる。一方で、可動演出が通常通りに実行されることを望む遊技者は、操作手段を操作しなければ、所定の開始タイミングから可動演出を楽しむことができる。このように、遊技者の趣向に合わせて可動演出の開始タイミングを変更可能とすることで遊技興趣を向上させることができる。また、所定の開始タイミングに先んじて可動演出の実行が開始された場合でも、通常通り所定の終了タイミングまで可動演出の実行を維持してから可動演出を終了するため、可動演出が早く終わることによって演出時間を調整するための特別な演出を行う必要がなく、簡易な処理とすることができる。
【0009】
本発明の遊技機において、前記演出表示中に前記当り期待度を示す予告演出を実行する予告演出手段を備え、前記予告演出手段は、前記予告演出として遊技者に前記操作手段の特定操作を促すと共に所定期間中に前記特定操作がされると前記当り期待度を示す操作演出を実行し、前記可動演出手段は、前記所定の開始タイミングよりも前のタイミングで前記操作手段が操作されても、前記操作演出における前記所定期間中の操作であれば前記可動演出の実行を開始せず、前記所定期間中以外の操作であれば前記可動演出の実行を開始するものとしてもよい。こうすれば、操作演出における所定期間中の操作と適切に区別して、可動演出を先行して開始することができる。
【0010】
ここで、予告演出手段は、演出表示中に複数種類の予告演出を実行可能であり、予告演出手段が実行する予告演出の種類に拘わらず、可動演出が実行された場合の方が当り期待度が高いものとしてもよい。また、可動演出手段は、所定の開始タイミングに先んじて可動演出の実行を開始する場合の可動役物の動作態様を、所定の開始タイミングで可動演出の実行を開始する場合の動作態様と同じ態様としてもよい。勿論、異なる態様としてもよい。また、可動演出中に所定の開始タイミングが複数設けられており、開始タイミングが異なると可動役物の動作態様が異なる場合、可動演出手段は、操作手段の操作がされた後に最初に開始タイミングが到来する可動演出に応じた動作態様で可動演出の実行を開始すればよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遊技機によれば、遊技者の趣向に合わせて可動演出の開始タイミングを変更可能とすることで遊技興趣を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例としてのパチンコ機1の正面図である。
図2】パチンコ機1の裏面図である。
図3】パチンコ機1が有する遊技盤20の概略構成図である。
図4】遊技盤20の可動役物39が作動した様子の説明図である。
図5】パチンコ機1の電気的な構成を示すブロック図である。
図6】演出表示装置37の演出表示の一例を示す説明図である。
図7】パチンコ機1の仕様を説明する説明図である。
図8】主制御装置60のCPU60aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9】電源投入処理の一例を示すフローチャートである。
図10】始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。
図11】普通図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図12】普通図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
図13】普通図柄当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図14】特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図15】特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図16】変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
図17】変動パターンの一例を示す説明図である。
図18】大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図19】大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図20】図柄変動演出処理の一例を示すフローチャートである。
図21】ボタン演出処理の一例を示すフローチャートである。
図22】可動演出処理の一例を示すフローチャートである。
図23】図柄変動演出が実行される場合の一例を示すタイムチャートである。
図24】図柄変動演出が実行される場合の一例を示すタイムチャートである。
図25】図柄変動演出の様子の一例を示す説明図である。
図26】図柄変動演出の様子の一例を示す説明図である。
図27】図柄変動演出の様子の一例を示す説明図である。
図28】変形例の変動パターンを示す説明図である。
図29】変形例の図柄変動演出が実行される場合を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。
【実施例
【0014】
図1は、本発明のパチンコ機1の正面図であり、図2は、パチンコ機1の裏面図であり、3は、パチンコ機1が有する遊技盤20の概略構成図であり、図4は、遊技盤20の可動役物39が作動した様子の説明図であり、図5は、パチンコ機1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施例では、始動口に遊技球が入球したことを契機として特別図柄の変動表示を開始し、当該特別図柄が所定の大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技を開始する、いわゆるセブン機タイプ(第1種タイプ)の遊技機に本発明を適用した例について説明する。
【0015】
[パチンコ機1の外観構成]
本実施例のパチンコ機1は、図1に示すように、前面枠(ガラス枠)3に嵌め込まれたガラス板(透明板)4を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤20と、遊技球を貯留する上受け皿11および下受け皿12と、上受け皿11に貯留されている遊技球を遊技盤20へ発射するための発射ハンドル13と、を備える。本実施例のパチンコ機1は、プリペイドカードに対応したCR機であり、当該パチンコ機1の左側には、プリペイドカードの読み書きを行うためのCRユニット50が設けられている。
【0016】
前面枠3は、内枠5に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として内枠5に対して開閉可能となっている。また、内枠5は、外枠2に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として外枠2に対して開閉可能となっている。前面枠3と内枠5は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。一方、外枠2は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、遊技ホールの島設備の島枠に固定される。
【0017】
前面枠3内には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に対して注意喚起するための警告音を鳴らしたりするスピーカ14(図5参照)が設けられている。また、前面枠3内には、遊技状態に応じて発光する装飾用の発光素子としてのLED15(図5参照)が、遊技盤20の周囲を囲むように複数個配列されている。
【0018】
上受け皿11には、賞球や貸球が払い出され、下受け皿12には、上受け皿11から溢れた球が払い出される。上受け皿11の上部には、CRユニット50に挿入されたプリペイドカードの残高等を表示する精算表示装置52が配設され、当該精算表示装置52の両脇の一方には、遊技球の貸し出しを指示する球貸ボタン53が設けられ、両脇の他方には、CRユニット50に挿入されているプリペイドカードの精算(返却)を指示する精算ボタン54が設けられている。また、上受け皿11の手前には、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン16が配設されている。
【0019】
パチンコ機1の内枠5の裏側には、図2に示すように、球タンク77とタンクレール78と払出装置72とが設けられている。払出装置72は、遊技盤20に設けられる各入賞口に遊技球が入球すると、予め定められた数の遊技球を、賞球として、球タンク77からタンクレール78を介して上受け皿11に払い出す。また、払出装置72は、球貸ボタン53が操作されると、貸球を上受け皿11に払い出す。
【0020】
発射ハンドル13は、下受け皿12の右方に設けられており、遊技者により時計回りに回動操作されると、図示しない発射装置が有する発射モータ83(図5参照)が作動し、発射ハンドル13の回動操作量に応じた発射威力で遊技球を1球ずつ遊技盤20へ向けて打ち出す。
【0021】
[遊技盤20の構成]
遊技盤20は、図3に示すように、外レール21aと内レール21bとによって囲まれる遊技領域21が形成されている。この遊技盤20は、遊技領域21の略中央部に設けられた演出表示装置37と、演出表示装置37の周囲に配置されたワープ入口やワープ樋,ステージ等を含むセンター役物38と、センター役物38に設けられ昇降移動が可能な可動役物39と、センター役物38の右方に配置された普通図柄作動ゲート22と、センター役物38の下方に配置された常時開放の第1始動口23と、普通図柄作動ゲート22の下方に配置された開閉式の第2始動口24と、遊技領域21の右下部に配置された大入賞口25と、遊技領域21の左下部に配置された常時開放の普通入賞口27と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口29と、を備える。また、遊技盤20には、遊技領域21を流下する遊技球をガイドしたり弾いたりする多数の釘21cが植設されている。
【0022】
第2始動口24は、普通電動役物として構成される可変式の入球口であり、左右一対の開閉羽根(開閉部材)24bと、開閉羽根24bを作動させる第2始動口ソレノイド24c(図5参照)と、を備える。この第2始動口24は、通常は、開閉羽根24bが直立して遊技球の入球が困難な閉鎖状態とされており、普通図柄が当り図柄で停止表示されて当り遊技(普通図柄当り遊技)が実行されるときに、第2始動口ソレノイド24cによって開閉羽根24bが左右に開くことにより、遊技球の入球が容易な開放状態とされる。第2始動口24には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための第2始動口スイッチ24aが取り付けられている。第2始動口24は、第2始動口スイッチ24aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される。
【0023】
大入賞口25は、特別電動役物として構成される可変式の入球口であり、開閉板(開閉部材)25bと、開閉板25bを作動させる大入賞口ソレノイド25c(図5参照)と、を備える。この大入賞口25は、通常は、開閉板25bによって塞がれて遊技球の入球が不能な閉鎖状態とされており、特別図柄が大当り図柄で停止表示されて大当り遊技が実行されるときに、大入賞口ソレノイド25cによって開閉板25bが手前に開くことにより、遊技球の入球が可能な開放状態とされる。大入賞口25には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための大入賞口スイッチ25aが取り付けられている。大入賞口25は、大入賞口スイッチ25aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される(ラウンド遊技)。大当り遊技は、上記ラウンド遊技を予め定められた所定回数繰り返すことにより行う。
【0024】
第1始動口23は、遊技者が遊技球を遊技領域21の左側領域(第1遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる左打ち)することにより遊技球を入球させることができる。一方、第2始動口24および大入賞口25は、左打ちによって遊技球を入球させることは不可能であり、遊技球を遊技領域21の右側領域(第2遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる右打ち)することにより遊技球を入球させることができる。もっとも、第2始動口24および大入賞口25は、可変式の入賞口であるから、それぞれ、普通図柄が当選した場合,特別図柄が大当りで当選した場合に開放されてはじめて遊技球が入球可能となる。
【0025】
遊技盤20の右下部には、第1特別図柄表示装置(第1特図表示装置)31と、第2特別図柄表示装置(第2特図表示装置)32と、第1特別図柄保留数表示装置(第1特図保留数表示装置)33と、第2特別図柄保留数表示装置(第2特図保留数表示装置)34と、普通図柄表示装置(普図表示装置)35と、普通図柄保留数表示装置(普図保留数表示装置)36と、が配置されている。
【0026】
第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、本実施例では、7セグメント表示装置として構成されており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数種類の表示態様を表現する。第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、始動口への遊技球の入球に基づいて表示態様を順次切り替えることにより特別図柄の変動表示を開始し、所定の変動時間が経過したときに予め定められた複数の停止表示態様のいずれかで停止表示することにより特別図柄を停止表示する。そして、特別図柄が所定の停止表示態様(大当り図柄)で停止表示されると、大当り遊技が実行される。第1特図表示装置31は、第1始動口23への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第1始動口入球用の表示装置であり、第2特図表示装置32は、第2始動口24への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第2始動口入球用の表示装置である。なお、第1特図表示装置31により表示される特別図柄を第1特別図柄(第1特図)とも呼び、第2特図表示装置32により表示される特別図柄を第2特別図柄(第2特図)とも呼ぶ。
【0027】
なお、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中に第1始動口23に遊技球が入球した場合、第1特別図柄の変動表示を所定数(例えば、4個)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第1特別図柄の変動表示を順次開始する。第1特別図柄の保留数は、第1特図保留数表示装置33に表示される。また、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中に第2始動口24に遊技球が入球した場合も、第2特別図柄の変動表示を所定数(例えば、4個)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第2特別図柄の変動表示を順次開始する。第2特別図柄の保留数は、第2特図保留数表示装置34に表示される。
【0028】
普図表示装置35は、本実施例では、複数の表示部を有するLED表示装置として構成されている。普図表示装置35は、普通図柄作動ゲート22に設けられたゲートスイッチ22aが遊技球を検知したことに基づいて、複数の表示部のそれぞれについて点灯と消灯とを繰り返すことにより普通図柄を変動表示し、所定の変動時間が経過すると、複数の表示部のそれぞれについて点灯あるいは消灯することにより普通図柄を停止表示する。そして、複数の表示部のうち特定の表示部が点灯している場合が当り図柄となり、それ以外の場合が外れ図柄となる。普通図柄が当り図柄で停止表示されると、第2始動口24が開放される。
【0029】
なお、本実施例では、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過したときには、普通図柄の変動表示を所定数(例えば、4個)まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留している普通図柄の変動表示を順次開始する。普通図柄の保留数は、普図保留数表示装置36に表示される。
【0030】
可動役物39は、図4に示すように、円盤状の可動部材39aと、可動部材39aを駆動する可動役物モータ39b(図5参照)と、可動部材39aに内蔵された装飾用の発光素子としてのLED39cとを備え、遊技盤20に設けられた溝20aに沿って可動部材39aが上下にスライド可能となっている。可動役物39は、図3に示すように、通常は、センター役物38内の待機位置(初期位置)に可動部材39aが格納されている。また、可動役物39は、図4に示すように、後述する可動演出において可動役物モータ39bの駆動により、可動部材39aが下降(作動)して演出表示装置37の表示画面の前方の作動位置まで移動する。可動演出では、LED39cは、可動部材39aの動作と連動して点灯あるいは点滅する。
【0031】
演出表示装置37は、液晶ディスプレイ等により構成される画像表示装置であり、表示画面上で特別図柄に対応する演出図柄(疑似図柄)371L,371C,371Rの表示の他、リーチ演出や大当りを予告する予告演出、演出ボタン16の操作を伴うボタン演出等の様々な演出表示を行う。図6は、演出表示装置37の演出表示の一例を示す説明図である。図示するように、演出表示装置37の表示画面の中央部には、数字や英字、文字、記号、キャラクタ等(図の例では、数字)からなる左,中,右の3つの演出図柄371L,371C,371Rが表示される。3つの演出図柄371L,371C,371Rは、始動口(第1始動口23または第2始動口24)に遊技球が入球すると、上から下へスクロールするように変動表示され、所定の変動時間が経過すると、左,右,中の順に停止表示される。右の演出図柄371Rが停止表示されたときに当該右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致しなかったときには、外れ(リーチ無し外れ)となる。一方、右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致したときには、リーチとなり、リーチ演出に移行する。そして、当該リーチ演出を経て中の演出図柄371Cが停止表示されたときに当該中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致しなかったときには、外れとなり(リーチ外れ)、中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致したときには、大当りとなる。なお、演出表示装置37には、演出図柄371L,371C,371Rの変動表示に伴って、例えば大当りの可能性(信頼度)を示唆するキャラクタ図柄373も表示される。
【0032】
また、演出表示装置37の表示画面の隅部(下部)には、図6に示すように、第1および第2保留図柄372a,372bも表示される。第1保留図柄372aは、第1特別図柄の保留記憶に対応する図柄である。第1保留図柄372aは、特別図柄の変動表示中等に第1始動口23に遊技球が入球する毎に1つずつ追加表示され、第1特別図柄の変動表示が開始される毎に1つずつ消去される。また、第2保留図柄372bは、第2特別図柄の保留記憶に対応する図柄である。第2保留図柄372bは、特別図柄の変動表示中等に第2始動口24に遊技球が入球する毎に1つずつ追加表示され、第2特別図柄の変動表示が開始される毎に1つずつ消去される。
【0033】
[制御回路の構成]
また、パチンコ機1は、図5に示すように、その制御回路として、主制御装置60と、払出制御装置70と、発射制御装置80と、サブ統合制御装置90と、演出表示制御装置91と、電源基板95(図2参照)と、を備える。主制御装置60は、CPU60aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU60aの他に、処理プログラムやテーブルを記憶するROM60b,処理プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM60c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。なお、図示しないが、払出制御装置70や発射制御装置80も同様に、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPUの他に、ROM,RAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。また、パチンコ機1には外部接続端子板65が設けられており、外部接続端子板65により遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ100(図5参照)へ送信される。
【0034】
主制御装置60は、遊技の基本的な進行を司るものである。図5に示すように、主制御装置60には、前面枠3の開放を検知する前面枠開放スイッチ3aや、内枠5の開放を検知する内枠開放スイッチ5a等からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力される。また、主制御装置60には、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過を検知するゲートスイッチ22aや、第1始動口23への遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ23a、第2始動口24への遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ24a、大入賞口25への遊技球の入球を検知する大入賞口スイッチ25a、普通入賞口27への遊技球の入球を検知する普通入賞口スイッチ27a等からの検知信号(検出信号)が遊技盤中継端子板61を介して入力される。更に、主制御装置60には、パチンコ機1の裏側に設けられた設定キースイッチ67やRAMクリアスイッチ68からの操作信号が直接入力され、設定キースイッチ67やRAMクリアスイッチ68を用いた設定内容をパチンコ機1の裏側に設けられた設定表示装置(性能表示装置)69に表示可能となっている。一方、主制御装置60からは、第2始動口ソレノイド24cや大入賞口ソレノイド25c等への駆動信号が遊技盤中継端子板61を介して出力される。また、主制御装置60からは、第1特図表示装置31や第2特図表示装置32、第1特図保留数表示装置33、第2特図保留数表示装置34、普図表示装置35、普図保留数表示装置36等への表示信号が図柄表示装置中継端子板62を介して出力される。更に、主制御装置60からは、ホールコンピュータ100への信号が裏配線中継端子板64および外部接続端子板65を介して出力される。
【0035】
設定キースイッチ67は、特別図柄の大当り確率などの各種設定を行うためのスイッチである。また、RAMクリアスイッチ68はRAMクリアを実行するためのスイッチであり、遊技ホールの管理者は、RAMクリアスイッチ68を押下した状態で電源を投入することでRAMクリアを実行することができる。本実施例では、特別図柄の大当り確率の設定値の選択にもRAMクリアスイッチ68が用いられる。即ち、設定キースイッチ67およびRAMクリアスイッチ68は、特別図柄の大当り確率としてそれぞれ異なる大当り確率が割り当てられた6つの設定値(設定1~6)のいずれかを選択してセットするために用いられる。設定表示装置69は、7セグメント表示装置として構成されており、各種設定における設定値やパチンコ機1の性能、エラー発生時のエラーコードなどを表示する。遊技ホールの管理者は、所定の鍵を設定キースイッチ67に挿入して回転させると共にRAMクリアスイッチ68を押下した状態で電源を投入する。すると、パチンコ機1は、RAMクリアが行われて設定値の変更が可能な状態となる。パチンコ機1がこの状態になると、管理者は、RAMクリアスイッチ68を押下することにより、設定1~6の中から所望の設定値を選択することができる。本実施例では、パチンコ機1は、RAMクリアスイッチ68が押下される度に、設定表示装置69に現在選択されている設定値に対応する「1」~「6」の数字を順番に表示する。このため、管理者は、設定表示装置69に表示される数字が所望の設定値に対応する数字となるようにRAMクリアスイッチ68の押下を繰り返すことにより、所望の設定値を選択することができる。RAMクリアスイッチ68の操作によって選択された設定値は、管理者が設定キースイッチ67に挿入した鍵を回転させて初期位置に戻すことにより確定され、特別図柄の大当り確率としてセットされる。管理者は、こうした操作を行うことにより、パチンコ機1毎に、設定1~6のいずれかをセットすることができる。なお、本実施例では、設定キースイッチ67およびRAMクリアスイッチ68を用いて設定値の選択およびセットを行う構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、回転つまみ等、外部から操作できるものであれば、他の如何なる操作手段を用いて設定値の選択やセットを行う構成であってもよく、設定値を選択するための専用のスイッチを設ける構成であってもよい。また、パチンコ機1は、設定値を設定表示装置69に表示するものとしたが、他の表示装置に表示してもよいし、音声により報知してもよい。また、設定値は設定1~6の6つに限られず、複数の設定値のうちから選択可能なものであれば幾つであっても構わない。
【0036】
払出制御装置70は、賞球や貸球の払い出しに関する制御を司るものである。この払出制御装置70には、上受け皿11に払い出す遊技球を貯留するための球タンク77の球切れを検知する球切れスイッチ76からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力され、上受け皿11に払い出される遊技球を検知する払出スイッチ74からの検知信号が払出中継端子板71および裏配線中継端子板64を介して入力され、下受け皿12の満杯を検知する満杯スイッチ75からの検知信号が直接に入力される。一方、払出制御装置70からは、払出モータ73への駆動信号が裏配線中継端子板64および払出中継端子板71を介して出力される。払出制御装置70は、主制御装置60と双方向通信が可能に構成されており、主制御装置60から送信されるコマンドに従って払出モータ73を駆動して賞球の払い出しを行う。払出制御装置70は、球切れスイッチ76および満杯スイッチ75のいずれかから検知信号を入力すると、その検知の状況が解消して検知信号を入力しなくなるまで、払出モータ73を駆動停止し、賞球の払出動作を中断する。
【0037】
また、払出制御装置70は、CRユニット端子板51を介してCRユニット50と通信可能に構成されている。CRユニット端子板51は精算表示装置52と双方向通信が可能に構成されており、払出制御装置70には、精算表示装置52に設けられた球貸スイッチ53aや精算スイッチ54aからの検知信号がCRユニット端子板51を介して入力される。なお、球貸スイッチ53aは、球貸ボタン53の操作を検知して検知信号を出力するものであり、精算スイッチ54aは、精算ボタン54の操作を検知して検知信号を出力するものである。払出制御装置70は、球貸コマンドを入力すると、払出モータ73を駆動して貸球の払い出しを行う。また、払出制御装置70は、発射制御装置80とも双方向通信が可能に構成され、満杯スイッチ75から検知信号を入力する等の所定の発射停止条件が成立したときに、発射制御装置80に対して発射停止コマンドを送信する。
【0038】
発射制御装置80は、遊技領域21への遊技球の発射に関する制御を司るものである。この発射制御装置80には、発射ハンドル13の回動操作に応じて出力される回動量信号や、発射停止ボタンの操作を検知する発射停止スイッチ81からの発射停止信号、遊技者が発射ハンドル13に触れていることを検知するタッチスイッチ82からのタッチ信号等が入力される。一方、発射制御装置80からは、発射モータ83への駆動信号が出力される。発射制御装置80は、回動量信号に基づく発射強度で遊技球が遊技領域21へ発射されるよう発射モータ83を制御する。なお、発射制御装置80は、タッチ信号を入力していないときや発射停止コマンドを入力しているときには、発射ハンドル13の操作に拘わらず発射モータ83の駆動を停止し、遊技球を発射させない。
【0039】
サブ統合制御装置90は、遊技の演出に関する制御を司るものである。サブ統合制御装置90は、CPU90aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU90aの他に、ROM90b,RAM90c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。このサブ統合制御装置90は、演出中継端子板63を介して主制御装置60から一方向通信により各種コマンドを受信可能となっており、受信したコマンドに応じた演出制御を行う。サブ統合制御装置90には、演出ボタン16の操作(押下)を検知する演出ボタンスイッチ16aからの検知信号が入力される。一方、サブ統合制御装置90からは、スピーカ14への音声信号やLED15,39cへの点灯信号、可動役物モータ39bへの駆動信号が出力される。また、サブ統合制御装置90からは、演出表示制御装置91への演出表示制御用のコマンドが一方向通信により出力される。演出表示制御装置91は、サブ統合制御装置90からの演出表示制御用のコマンドを受信し、そのコマンドに応じた演出画像が演出表示装置37に表示されるよう当該演出表示装置37の表示制御を行う。
【0040】
電源基板95は、外部のAC電源からの交流電圧を直流電圧に変換する直流電源であり、電源スイッチ95aの操作によってパチンコ機1の各部に電力を供給する。電源基板95は電源スイッチ95aがオフされてパチンコ機1の電源が落とされた状態であってもAC電源からの電力を主制御装置60のRAM60c等に供給しており、RAM60c内のデータはAC電源からの電力により保持される。また、電源基板95は、コンデンサ等により構成される補助電源を備え、AC電源から供給される電力を補助電源に蓄電する。これにより、AC電源からの電力の供給が遮断される停電時に、補助電源からの電力が主制御装置60のRAM60c等に供給され、主制御装置60のRAM60c内のデータ等が一定時間に亘って保持される。このように、主制御装置60には、電源スイッチ95aがオフされたり停電したりしてもAC電源や補助電源からの電力によりRAM60cの記憶を保持するバックアップ機能を有する。一方、サブ統合制御装置90には、こうしたバックアップ機能を有していないため、電源スイッチ95aがオフされたり停電したりすると、RAM90cの記憶はクリアされる。
【0041】
[パチンコ機1の遊技の概要]
次に、こうして構成されたパチンコ機1における遊技の概要について説明する。図7は、パチンコ機1の仕様を説明する説明図である。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄の大当り確率は、遊技状態と設定値とによって異なる。即ち、図7(a)に示すように、遊技状態が通常状態(通常遊技状態)である場合、設定1の大当り確率は、1/320であり、設定2の大当り確率は、1/310であり、設定3の大当り確率は、1/300であり、設定4の大当り確率は、1/290であり、設定5の大当り確率は、1/280であり、設定6の大当り確率は、1/270である。一方、遊技状態が確変遊技状態(確変状態)である場合、設定1の大当り確率は、1/64であり、設定2の大当り確率は、1/62であり、設定3の大当り確率は、1/60であり、設定4の大当り確率は、1/58であり、設定5の大当り確率は、1/56であり、設定6の大当り確率は、1/54である。特別図柄で大当りが発生すると、4ラウンドの大当り遊技(規定数が10個で最大開放時間が30秒間のラウンド遊技が4回繰り返される大当り遊技)または10ラウンドの大当り遊技(上記ラウンド遊技が10回繰り返される大当り遊技)が実行される。大当り遊技が実行されると、大当り遊技終了後の遊技状態は、65%の確率で確変状態となる(確変大当り)。確変状態は、特別図柄の当選確率(大当り確率)が通常状態よりも高くなる遊技状態である。また、大当り遊技が実行されると、大当り遊技終了後の遊技状態として時短状態(時短遊技状態,入球容易状態)も発生する。
【0042】
また、図7(b)に示すように、普通図柄の当り確率は、遊技状態によって異なり、遊技状態が通常状態である場合、1/100であり、遊技状態が時短状態である場合、1/1.1である。普通図柄で当りが発生すると、第2始動口24(普通電動役物)が開放する普通図柄当り遊技(普図当り遊技)が実行される。遊技状態が通常状態であるときに普通図柄で当りが発生した場合、規定数が10個で最大開放時間が0.1秒間の普図当り遊技が実行され、遊技状態が時短状態であるときに普通図柄で当りが発生した場合、規定数が10個で最大開放時間が5.8秒間の普図当り遊技が実行される。本実施例では、時短状態は、普通図柄の変動時間が通常状態よりも短縮される時短機能と、普通図柄の当選確率が通常状態よりも高くなる普図確変機能と、普通図柄が当選したときの第2始動口24の開放時間が通常状態よりも延長される開放延長機能とを作動させる遊技状態である。なお、時短状態は、これらの3つの機能のうち一部の機能が省略されてもよい。
【0043】
こうした仕様のパチンコ機1において、左打ち(第1遊技領域への遊技球の発射)により第1始動口23に遊技球が入球すると、当否判定を行って、第1特別図柄の変動表示が開始される。そして、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当りとなり、大入賞口25が開放される大当り遊技が実行される。大入賞口25は、左打ちでは遊技球の入球が不能であり、右打ち(第2遊技領域への遊技球の発射)することにより遊技球が入球可能となる。したがって、大当り遊技が実行されると、遊技者は右打ちすることにより大当り遊技が消化されることになる。なお、特別図柄の当り図柄に、大入賞口25の開放時間が大当り遊技よりも短い小当り遊技が実行される小当り図柄を含めてもよい。
【0044】
大当り図柄には、通常大当り図柄と確変大当り図柄とがある。特別図柄が通常大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技の終了後は、特別図柄の変動表示が所定回数(100回)実行されるまで時短状態となる。一方、特別図柄が確変大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技の終了後は確変状態および時短状態となる。確変状態では、特別図柄の変動表示が所定回数(10000回)実行されるまで、即ち実質的に次に大当りを引くまで特別図柄の当選確率(大当り確率)が通常状態よりも高くなる。したがって、確変状態および時短状態では、遊技者は、右打ちすることにより第2始動口24に遊技球を容易に入球させて、持ち球の減りを抑制しつつ大当りを有利に発生させることができ、短時間で多くの出玉を獲得できるチャンスとなる。
【0045】
[主制御処理]
次に、パチンコ機1の動作、特に主制御装置60の動作について更に詳細に説明する。図8は、主制御装置60のCPU60aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機1の電源スイッチ95aが操作されたときに実行される。主制御処理は、パチンコ機1の電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S10)、乱数更新処理(S20)と、入賞確認処理(S30)と、始動入賞処理(S40)と、普通図柄遊技処理(S50)と、普通図柄当り遊技処理(S60)と、特別図柄遊技処理(S70)と、大当り遊技処理(S80)と、を繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S20~S80の処理に要する時間は約2msecであり、これらの処理は、約2msecの間隔で繰り返し実行される。主制御装置60は、主制御処理の実行により、各種コマンドを担当する制御装置に送信してコマンドに応じた処理を実行させることで、パチンコ機1の全体の遊技を進行させている。
【0046】
[電源投入処理]
図9は、電源投入処理の一例を示すフローチャートである。S10の電源投入処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、セキュリティチェックが完了した後、RAM60cへのデータの読み出しや書き込みを可能とするアクセス許可を設定する(S100)。続いて、バックアップフラグがOFFであるか否か(S102)、RAMクリア信号がOFFであるか否か(S104)、をそれぞれ判定する。バックアップフラグは、RAM60cの記憶内容が正常であるか否かを示すフラグである。バックアップフラグは、例えばチェックサム処理によりRAM60cの記憶内容が正常であるか否かが判定され、正常であると判定されるとONされ、正常でないと判定されるとOFFされる。RAMクリア信号は、RAMクリアスイッチ68が操作された状態で電源が投入されるとONされ、RAMクリアスイッチ68が操作されない状態で電源が投入されるとOFFされる。
【0047】
バックアップフラグがOFFであると判定するか、バックアップフラグはONであるがRAMクリア信号がONであると判定すると、初期状態から起動する。即ち、CPU60aは、RAM60cの遊技情報を記憶する遊技情報記憶領域をクリアして初期化すると共に初期状態から遊技を開始する初期化処理を行い(S110)、払出制御装置70とサブ統合制御装置90とにそれぞれ対応する初期コマンドを送信して(S108)、電源投入処理を終了する。なお、上述したように、設定キースイッチ67およびRAMクリアスイッチ68が操作されながら電源投入されていれば、RAMクリア信号がONとなり、CPU60aは、初期化処理に伴い、設定1~6の中から設定キースイッチ67によりセット(選択)された一の設定値をRAM60cの設定値記憶領域に記憶し、当該設定値を有効化する。設定値記憶領域は、初期化処理によってはクリアされない。
【0048】
一方、S102,S104でバックアップフラグがONで且つRAMクリア信号がOFFであると判定すると、電源遮断直前の状態から起動する。即ち、CPU60aは、まず、RAM60cの遊技情報記憶領域に記憶保持されている電源遮断直前の遊技情報を読み出す(S110)。電源遮断直前の遊技情報は、電源遮断直前に進行していた遊技の状態を示す情報である。そして、読み出した遊技情報にしたがって遊技を再開する電源復帰処理を行うと共に(S112)、払出制御装置70とサブ統合制御装置90とにそれぞれ対応する復帰コマンドを送信して(S114)、電源投入処理を終了する。電源投入処理を終了すると、主制御処理に戻って次の乱数更新処理(S20)に進む。
【0049】
本実施例のパチンコ機1では、主制御装置60は、上述したように、RAM60cの記憶を保持するバックアップ機能を備えており、電源投入時においてRAM60cに遊技情報が正常に記憶されており且つRAMクリアされていなければ、電源遮断前の遊技状態で復帰することができる。一方、サブ統合制御装置90は、こうしたバックアップ機能を備えていないため、電源投入時にパチンコ機1の遊技状態を認識することができない。そこで、本実施例では、電源投入時処理において復帰時に記憶されている遊技情報に応じて主制御装置60からサブ統合制御装置90へ初期コマンドと復帰コマンドとを選択的に送信することで、サブ統合制御装置90は、受信したコマンドに基づいてパチンコ機1の電源投入直後の遊技状態を判別するものとした。
【0050】
[乱数更新処理]
S20の乱数更新処理は、各種判定用乱数を更新する処理である。判定用乱数としては、例えば、始動口(第1始動口23または第2始動口24)への遊技球の入球に基づいて行われる大当り判定(当否判定)に用いる大当り判定用乱数(特別図柄当否判定用乱数)や、大当り判定の結果が大当りであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる大当り図柄の決定に用いる大当り図柄決定用乱数、大当り判定の結果が外れであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる外れ図柄の決定に用いる外れ図柄決定用乱数、特別図柄の変動パターン(変動時間)の決定に用いる変動パターン決定用乱数、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過に基づいて行われる当否判定に用いる普通図柄当否判定用乱数などを挙げることができる。乱数更新処理を終了すると、主制御処理に戻って次の入賞確認処理(S30)に進む。
【0051】
[入賞確認処理]
S30の入賞確認処理は、各種センサ(第1始動口スイッチ23aや第2始動口スイッチ24a、ゲートスイッチ22a、大入賞口スイッチ25a、普通入賞口スイッチ27aなど)の状態を検知してRAM60cの所定の状態記憶領域に保存する。また、賞球に関わるスイッチ(ゲートスイッチ22aを除く上記入賞口スイッチ)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM60cの所定の賞球情報記憶領域に保存する。そして、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御装置70に送信して入賞確認処理を終了する。払出制御装置70は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ73を駆動して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出スイッチ74により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入球が検知されて主制御装置60から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。入賞確認処理を終了すると、主制御処理に戻って次の始動入賞処理(S40)に進む。
【0052】
[始動入賞処理]
図10は、始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。S40の始動入賞処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、第1始動口スイッチ23aからの検知信号を入力して第1始動口23に遊技球が入球したか否かを判定する(S200)。第1始動口23に遊技球が入球したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)がその上限数(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新し(S204)、第1特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S206)。ここで、S206で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数など第1特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第1特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S208)、S210の処理に進む。第1特別図柄保留数指示コマンドには、演出表示装置37に第1保留図柄372aを表示させるための第1特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S200で第1始動口23に遊技球が入球していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S204~S208の処理をスキップして次のS210の処理に進む。
【0053】
次に、第2始動口スイッチ24aからの検知信号を入力して第2始動口24に遊技球が入球したか否かを判定する(S210)。第2始動口24に遊技球が入球したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数(第2特図保留数)がその上限数(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新し(S214)、第2特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S216)。ここで、S216で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数など第2特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第2特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S218)、S220の処理に進む。第2特別図柄保留数指示コマンドには、演出表示装置37に第2保留図柄372bを表示させるための第2特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S210で第2始動口24に遊技球が入球していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S214~S218の処理をスキップして次のS220の処理に進む。
【0054】
次に、ゲートスイッチ22aからの検知信号を入力して普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したか否かを判定する(S220)。普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したと判定すると、現在の普通図柄の保留数がその上限数(例えば、値4)よりも少ないか否かを判定する(S222)。普通図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、普通図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に普図保留数表示装置36の表示を更新する(S224)。次に、普通図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S226)。普通図柄の判定用乱数としては、上述した普通図柄当否判定用乱数などの普通図柄の変動遊技の進行に関する情報を例示することができる。そして、普通図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S228)、始動入賞処理を終了する。S220で普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過していないと判定したり、S222で普通図柄の保留数が上限値に達していると判定したりすると、S224~S228の処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理を終了すると、主制御処理に戻って次の普通図柄遊技処理(S50)に進む。
【0055】
[普通図柄遊技処理]
図11は、普通図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。S50の普通図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、普通図柄当りフラグ(普図当りフラグ)が値1であるか否かを判定する(S300)。普図当りフラグは、普通図柄当り遊技中であるか否かを示すフラグである。普図当りフラグが値1であると判定すると、普通図柄当り遊技中であると判断し、普通図柄遊技処理を終了する。普通図柄遊技処理を終了すると、次のS60の普通図柄当り遊技処理に進む。一方、普図当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、普通図柄当り遊技中でないと判断し、普通図柄が変動表示中であるか否か(S302)、普通図柄の確定図柄の表示時間中であるか否か(S304)、をそれぞれ判定する。普通図柄が変動表示中でなく、その確定図柄の表示時間中でもないと判定すると、普通図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S306)。普通図柄の保留数が値0よりも多くない、即ち値0であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。一方、普通図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている普通図柄判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S308)、普通図柄の変動表示を行うための普通図柄変動表示関連処理を実行して(S310)、普通図柄遊技処理を終了する。以下、S310の普通図柄変動表示関連処理の詳細について図12のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
普通図柄変動表示関連処理では、時短フラグが値0であるか否かを判定する(S350)。時短フラグは、現在の遊技状態が時短状態であるか否かを示すフラグである。時短フラグが値0である、即ち現在の遊技状態が時短状態でないと判定すると、取得した普通図柄当否判定用乱数に基づいて低確率用普通図柄当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(S352)。一方、時短フラグが値1である、即ち現在の遊技状態が時短状態であると判定すると、取得した普通図柄当否判定用乱数に基づいて高確率用普通図柄当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(S354)。普通図柄の当否判定は、普通図柄当否判定用乱数と普通図柄当り判定テーブルに含まれる当り値とを比較することにより行い、普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致したときには当りと判定し、一致しなかったときには外れと判定する。高確率用普通図柄当り判定テーブルは、低確率用普通図柄当り判定テーブルに比して、多くの当り値が定められている。これにより、普通図柄の当り確率は、時短状態の場合に高確率とされ、時短状態でない場合に低確率とされる。当否判定の結果、当りと判定すると(S356の「YES」)、普通図柄の確定図柄に当り図柄を決定し(S358)、普通図柄の変動表示を開始してから当り図柄で確定表示するまでの普通図柄の変動時間(当り変動パターン)を決定する(S362)。また、当否判定の結果、外れと判定すると(S356の「NO」)、普通図柄の確定図柄に外れ図柄を決定し(S360)、普通図柄の変動表示を開始してから外れ図柄で確定表示するまでの普通図柄の変動時間(外れ変動パターン)を決定する(S362)。普通図柄の変動時間は、時短状態の方が通常状態よりも短い時間が設定される。こうして普通図柄の確定図柄と変動時間(変動パターン)とを決定すると、普通図柄の変動表示を開始し(S364)、普通図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に普図保留数表示装置36の表示を更新し(S366)、普通図柄の変動開始コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S368)、普通図柄遊技処理を終了する。
【0057】
図11の普通図柄遊技処理に戻って、普通図柄の変動表示を開始すると、次に普通図柄遊技処理が実行されたときに、主制御装置60のCPU60aは、S302で普通図柄が変動表示中であると判定するため、次に、S362で決定した普通図柄の変動時間が経過(決定した変動パターンによる変動が終了)したか否かを判定する(S312)。普通図柄の変動時間が経過していないと判定すると、普通図柄遊技処理を一旦終了し、普通図柄の変動時間が経過したと判定すると、変動表示中の普通図柄の確定図柄を表示する確定図柄表示処理を行う(S314)。そして、確定図柄表示時間(例えば0.5秒)が経過したか否かを判定する(S316)。確定図柄表示時間が経過していないと判定すると、普通図柄遊技処理を一旦終了する。普通図柄の確定図柄が表示された後に、普通図柄遊技処理が実行されると、S304で確定図柄の表示時間中であると判定するため、再びS316で確定図柄表示時間が経過したか否かを判定し、確定図柄表示時間が経過したと判定すると、確定図柄の表示を終了して(S318)、普通図柄の確定図柄が当り図柄であるか否かを判定する(S320)。
【0058】
普通図柄の確定図柄が当り図柄でなく外れ図柄であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。一方、普通図柄の確定図柄が当り図柄であると判定すると、普通図柄当りフラグ(普図当りフラグ)に値1を設定して(S322)、普通図柄遊技処理を終了する。普通図柄遊技処理を終了すると、次のS60の普通図柄当り遊技処理に進む。
【0059】
[普通図柄当り遊技処理]
図13は、普通図柄当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S60の普通図柄当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、普図当りフラグが値1であるか否かを判定する(S400)。普図当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、普通図柄当り遊技中でないと判断し、普通図柄当り遊技処理を終了する。一方、普図当りフラグが値1であると判定すると、普通図柄当り遊技中であると判断し、第2始動口24が開放中であるか否かを判定する(S402)。第2始動口24が開放中でないと判定すると、開放待ち時間が経過したか否かを判定する(S404)。開放待ち時間が経過していないと判定すると、普通図柄当り遊技処理を終了する。一方、開放待ち時間が経過したと判定すると、第2始動口24の開放パターン(最大開放時間)を決定すると共に(S406)、決定した開放パターンで第2始動口24が開放するよう第2始動口ソレノイド24cを制御して(S408)、普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。第2始動口24の開放パターンは、遊技状態によって異なる。本実施例では、遊技状態が通常状態である場合には、最大0.1秒間、1回開放される開放パターンが設定され、遊技状態が時短状態である場合には、最大5.8秒間、1回開放される開放パターンが設定される。
【0060】
第2始動口24を開放すると、次に普通図柄当り遊技処理を実行したときに、S402で第2始動口24が開放中であると判定するため、第2始動口スイッチ24aからの検知信号に基づいて第2始動口24に遊技球が規定数(例えば10個)入球したか否か(S410)、第2始動口24の開放を開始してからの経過時間がS406で決定した最大開放時間に達したか否か(S412)、をそれぞれ判定する。第2始動口24に遊技球が規定数入球しておらず、第2始動口24の開放を開始してからの経過時間が最大開放時間に達してもいないと判定すると、第2始動口24の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、第2始動口24に遊技球が規定数入球したと判定したり、第2始動口24の開放を開始してからの経過時間が最大開放時間に達したと判定すると、第2始動口24を閉鎖する(S414)。そして、普通図柄当り遊技を終了させるために、普図当りフラグに値0を設定して(S416)、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、次に、S70の特別図柄遊技処理に進む。
【0061】
[特別図柄遊技処理]
図14および図15は、特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。S70の特別図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1であるか否かを判定する(S500)。大当りフラグが値1であると判定すると、大当り遊技中であると判断し、特別図柄遊技処理を終了する。なお、特別遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の大当り遊技処理(S80)に進む。一方、大当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、大当り遊技中でないと判断し、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが、変動表示中であるか否か(S502)、確定図柄表示中であるか否か(S504)、をそれぞれ判定する。第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中ではなくその確定図柄が表示中でもないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S506)。第2特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S508)、第2特別図柄の変動表示を行うための第2特別図柄変動表示関連処理を実行して(S510)、特別図柄遊技処理を終了する。
【0062】
一方、第2特別図柄の保留数が値0であると判定すると、第1特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S512)。第1特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第1特別図柄の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S514)、第1特別図柄の変動表示を行うための第1特別図柄変動表示関連処理を実行して(S516)、特別図柄遊技処理を終了する。S512で第1特別図柄の保留数が値0であると判定すると、特別図柄遊技処理を終了する。S506~S516では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0よりも多いときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される(特図2優先変動)。勿論、これに限定されるものではなく、第1特別図柄の変動表示(保留の消化)を優先して行うものとしてもよいし(特図1優先変動)、特別図柄の変動表示を始動口(第1始動口23,第2始動口24)への遊技球の入球順に行うものとしてもよいし(入球順変動)、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とを並行して行うものとしてもよい(同時変動)。以下、S510の第2特別図柄の変動表示関連処理とS516の第1特別図柄の変動表示関連処理の詳細について説明する。なお、重複を避けるため、第1特別図柄の変動表示関連処理と第2特別図柄の変動表示関連処理とを共通のフローチャートを用いて説明する。図16は、変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
変動表示関連処理では、まず、確変フラグが値0であるか否か、即ち通常状態中であるか否かを判定する(S600)。確変フラグが値0(通常状態)であると判定すると、大当り確率が低確率である低確率用の大当り判定処理(当否判定)を行い(S602)、確変フラグが値1(確変状態)であると判定すると、大当り確率が高確率である高確率用の大当り判定処理を行う(S604)。大当り判定処理は、第1始動口23または第2始動口24への遊技球の入球に基づいて取得される大当り判定用乱数と大当り判定テーブルに含まれる大当り値とを比較することにより行い、大当り判定用乱数がいずれかの大当り値と一致したときには大当りと判定し、大当り判定用乱数がいずれの大当り値とも一致しなかったときには外れと判定する。大当り判定テーブルは、大当り確率の現在の設定値(設定値1~6のいずれか)に応じた低確率用および高確率用の大当り判定テーブルのうち、確変フラグが値0(低確率状態)のときには大当り値の少ない低確率用の大当り判定テーブルが用いられ、確変フラグが値1(高確率状態)のときには大当り値の多い高確率用の大当り判定テーブルが用いられる。大当り判定処理を行うと、大当り判定の結果が大当りであるか否かを判定する(S606)。
【0064】
大当り判定処理の結果が大当りであると判定すると、S508またはS514で読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する(S608)。この処理は、大当り図柄決定用乱数を用いて大当り遊技の内容(ラウンド数)や大当り遊技終了後の遊技状態(時短状態,確変状態)が異なる複数の大当り図柄(例えば4R通常大当り図柄や4R確変大当り図柄、10R確変大当り図柄など)の中から一の図柄を選択することにより行う。なお、決定した大当り図柄は、RAM60cに記憶され、大当り遊技終了時まで保存される。そして、S508またはS514で読み出した変動パターン決定用乱数と大当り用変動パターンテーブルとに基づいて特別図柄の変動表示を開始してから決定した大当り図柄で停止表示するまでの特別図柄の変動時間(大当り変動パターン)を決定する(S610)。
【0065】
一方、S606で大当り判定の結果が外れであると判定すると、S508またはS514で読み出した外れ図柄決定用乱数に基づいて外れ図柄を決定する(S612)。そして、S508またはS514で読み出した変動パターン決定用乱数と外れ用変動パターンテーブルとに基づいて特別図柄の変動表示を開始してから決定した外れ図柄で停止表示するまでの特別図柄の変動時間(外れ変動パターン)を決定する(S614)。なお、通常状態では平均変動時間が長い変動パターンテーブルを用い、時短状態では平均変動時間の短い変動パターンテーブルを用いるなど、遊技状態に応じて異なる変動パターンテーブルを用いてもよい。
【0066】
こうして変動パターンを決定すると、特別図柄の変動表示を開始し(S616)、特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に特図保留数表示装置の表示を更新する(S618)。この処理は、第1特別図柄の変動表示を開始する際には、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新する処理となり、第2特別図柄の変動表示を開始する際には、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新する処理となる。また、特別図柄の保留数の更新に伴って今回消化する保留に係る判定用乱数をクリアする。そして、変動指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S620)、変動表示関連処理を終了する。変動指示コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出表示装置37で図柄変動演出が開始されるように演出表示制御装置91に制御コマンドを送信する。変動指示コマンドには、大当り判定の結果や特別図柄の変動パターン(変動時間)、確定図柄(通常大当り図柄、確変大当り図柄または外れ図柄)などが含まれる。
【0067】
図14および図15の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S502で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御装置60のCPU60aは、変動時間が経過したか否かを判定する(S518)。変動時間はS610またはS614で決定した特別図柄の変動パターンに応じて設定されるから、変動時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と、変動パターンに対応する変動時間とを比較することにより行うことができる。変動時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間が経過していると判定すると、図柄停止コマンドをサブ統合制御装置90に送信すると共に(S520)、変動表示中の特別図柄の確定図柄を表示する(S522)。図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出表示装置37で図柄変動演出を終了するように演出表示制御装置91に制御コマンドを送信する。そして、確定図柄表示時間が経過したか否かを判定する(S524)。ここで、確定図柄表示時間は、本実施例では0.5秒に設定される。確定図柄表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S504で確定図柄表示中と判定するため、再びS524で確定図柄表示時間が経過したか否かを判定し、確定図柄表示時間が経過していると判定すると、確定図柄の表示を終了し(S526)、確定図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S528)。
【0068】
S528で大当り図柄であると判定すると、大当りを発生させるために、条件装置の作動を開始すると共に(S530)、役物連続作動装置の作動を開始し(S532)、大当りフラグに値1を設定する(S534)。そして、大当り遊技中には確変機能や時短機能を停止させるために、確変フラグが値1(確変状態)のときには確変フラグを値0とし(S536,S538)、時短フラグが値1(時短状態)のときには時短フラグを値0とし(S540,S542)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S544)、特別図柄遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、大当りフラグの値や確変フラグの値、時短フラグの値が含まれる。特別図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS80の大当り遊技処理に進む。
【0069】
一方、S528で大当り図柄でないと判定すると、確変フラグが値1であるか否かを判定し(S546)、確変フラグが値1でなく値0であると判定すると、S554の処理に進む。確変フラグが値1であると判定すると、確変カウンタを値1だけデクリメントして(S548)、確変カウンタが値0であるか否かを判定する(S550)。ここで、確変カウンタは、確変状態を維持する特別図柄の残り変動回数を示すものであり、確変カウンタには、大当り遊技の終了に際して予め定められた値がセットされる。本実施例では、確変大当りで当選すると、確変状態が継続する特別図柄の変動回数(確変状態の継続回数)として確変カウンタに値10,000がセットされるため、実質的に次に大当りを引くまで確変状態が維持される。確変カウンタが値0でないと判定すると、確変状態を維持したまま次のS554の処理に進み、確変カウンタが値0であると判定すると、確変状態を終了させるために、確変フラグを値0として(S552)、次のS554の処理に進む。
【0070】
次に、時短フラグが値1であるか否かを判定し(S554)、時短フラグが値1でなく値0であると判定すると、S544の処理に進む。時短フラグが値1であると判定すると、時短カウンタを値1だけデクリメントし(S556)、時短カウンタが値0であるか否かを判定する(S558)。ここで、時短カウンタは、時短状態を維持する特別図柄の残り変動回数を示すものであり、時短カウンタには、大当り遊技の終了に際して予め定められた値がセットされる。本実施例では、確変大当りで当選すると、値10,000がセットされるため、実質的に次に大当りを引くまで時短状態が維持される。また、通常大当りで当選すると、値100がセットされる。時短カウンタが値0でないと判定すると、時短状態を維持したまま特別図柄遊技処理を終了し、時短カウンタが値0であると判定すると、時短状態を終了させるために、時短フラグを値0とする(S560)。そして、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S544)、特別図柄遊技処理を終了する。
【0071】
図17は、変動パターンの一例を示す説明図である。図示するように、大当り変動パターンには、通常変動からノーマルリーチを経てSPリーチAに発展する変動パターンP01,P02と、通常変動からノーマルリーチを経てSPリーチBに発展する変動パターンP03,P04とが含まれる。変動パターンP01では、演出ボタン16を用いたボタン演出や可動役物39を用いた可動演出(可動役物演出)は行われず、変動パターンP02では、ボタン演出が行われて可動演出は行われず、変動パターンP03では、ボタン演出が行われずに可動演出が行われ、変動パターンP04では、ボタン演出と可動演出とが行われる。可動演出は、例えばノーマルリーチからSPリーチBに発展する際に行われ、ボタン演出は、例えば可動演出よりも前のノーマルリーチ中などに行われる。外れ変動パターンには、通常変動で終了する変動パターンP11と、ノーマルリーチで終了する変動パターンP12と、変動パターンP01と同様にSPリーチAに発展しボタン演出と可動演出とが行われない変動パターンP13と、変動パターンP02と同様にSPリーチAに発展しボタン演出が行われて可動演出は行われない変動パターンP14と、変動パターンP03と同様にSPリーチBに発展しボタン演出が行われずに可動演出が行われる変動パターンP15と、変動パターンP04と同様にSPリーチBに発展しボタン演出と可動演出とが行われる変動パターンP16とが含まれる。なお、大当り変動パターンには、通常変動の変動パターンと、ノーマルリーチの変動パターンとが含まれないため、通常変動やノーマルリーチで大当りが発生することはない。
【0072】
本実施例では、大当り変動パターンの出現率は、高い方から変動パターンP04,P03,P02,P01の順となっている。一方、外れ変動パターンの出現率は、高い方から、変動パターンP11,P12,P13,P14,P15,P16の順となっている。このため、SPリーチAまたはSPリーチBに発展する変動パターンでは、ボタン演出と可動演出とがいずれも行われない変動パターン(P01,P13)よりもボタン演出が行われる変動パターン(P02,P14)の方が大当り期待度(信頼性)が高く、ボタン演出が行われる変動パターン(P02,P14)よりも可動演出が行われる変動パターン(P03,P15)の方が大当り期待度が高く、ボタン演出と可動演出とがいずれも行われる変動パターン(P04,P16)が最も大当り期待度が高いものとなる。また、可動演出を伴って発展するSPリーチBの方が、可動演出を伴わないSPリーチAよりも大当り期待度が高い。なお、図示は省略するが、変動演出中には、ボタン演出や可動演出の他にも大当り期待度を予告する予告演出を実行可能となっている。例えば、キャラクタ図柄373の種類や表情で大当り期待度を示すキャラクタ予告演出や、セリフやメッセージなどで大当り期待度を示すセリフ予告演出などの複数種類の予告演出を実行可能である。ただし、本実施例では、これらの予告演出のうちどの種類の予告演出が実行されたかに拘わらず、可動演出が実行された場合の方が大当り期待度が高いものなっている。
【0073】
[大当り遊技処理]
図18および図19は、大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S80の大当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1(大当り遊技中)であるか否かを判定する(S700)。大当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、大当り遊技処理を終了する。一方、大当りフラグが値1であると判定すると、大入賞口25が開放中であるか否か(S702)、大当り遊技開始演出中であるか否か(S704)、大当り遊技終了演出中であるか否か(S706)、開放間インターバル中であるか否か(S708)、をそれぞれ判定する。S702~S708のいずれも否定的な判定をすると、大当り遊技開始演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S710)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技開始演出コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、大当り遊技開始演出を開始する。大当り遊技開始演出が開始されると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S704で大当り遊技開始演出中であると判定するため、大当り遊技開始演出時間が経過したか否を判定する(S712)。大当り遊技開始演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技開始演出時間が経過したと判定すると、大入賞口ソレノイド25cの駆動により大入賞口25を開放して(S714)、大当り遊技処理を終了する。主制御装置60は、大入賞口25の開放に伴い、ラウンド遊技演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信する。
【0074】
大入賞口25を開放すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S702で大入賞口25が開放中であると判定するため、大入賞口スイッチ25aからの検知信号に基づいて大入賞口25への遊技球の入球数が規定数(実施例では10個)に達したか否か(S716)、大入賞口25を開放してからの経過時間(開放時間)が最大開放時間(実施例では30秒)に達したか否か(S718)、をそれぞれ判定する。大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達しておらず、大入賞口25の開放時間が最大開放時間にも達していないと判定すると、大入賞口25の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達したと判定したり、当該入球数が規定数に達していなくても大入賞口25の開放時間が最大開放時間に達したと判定したりすると、大入賞口25を閉鎖し(S720)、今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かを判定する(S722)。大当り遊技のラウンド数は、大当り図柄(「4R通常大当り図柄」や「10R通常大当り図柄」、「10R確変大当り図柄」)によって設定されるため、今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かの判定は、ラウンド遊技の繰り返し回数が大当り図柄に応じて定まる回数に達しているか否かを判定することにより行われる。今回のラウンド遊技が最終ラウンドでないと判定すると、開放間インターバルを発生させて(S724)、大当り遊技処理を終了する。主制御装置60は、開放間インターバルの発生に伴い、開放間インターバル発生コマンドをサブ統合制御装置90へ送信する。開放間インターバルが発生すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S708で開放間インターバル中であると判定するため、開放間インターバル時間(例えば、2秒)が経過したか否かを判定する(S726)。開放間インターバル時間が経過していないと判定すると、大入賞口25を閉鎖したまま大当り遊技処理を一旦終了し、開放間インターバル時間が経過したと判定すると、再度、大入賞口25を開放して(S714)、大当り遊技処理を終了する。
【0075】
こうして開放間インターバルを挟んで大入賞口25を開閉するラウンド遊技を繰り返した後、S722で今回のラウンド遊技が最終ラウンドであると判定すると、大当り遊技終了演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S728)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技終了演出コマンドを受信したサブ統合制御装置90は大当り遊技終了演出を開始する。大当り遊技終了演出が開始されると、次に大当り遊技処理が開始されたときに、S706で大当り遊技終了演出中であると判定するため、大当り遊技終了演出時間が経過したか否かを判定する(S730)。大当り遊技終了演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技終了演出時間が経過したと判定すると、役物連続作動装置の作動を停止すると共に(S732)、条件装置の作動を停止する(S734)。続いて、今回の大当り図柄が確変大当り図柄であるか否かを判定する(S736)。大当り図柄が確変大当り図柄であると判定すると、確変状態と時短状態とを発生させるために、確変フラグに値1を設定すると共に(S738)、確変カウンタに値10000を設定し(S740)、時短フラグに値1を設定すると共に(S742)、時短カウンタに値10000を設定する(S744)。一方、大当り図柄が確変大当り図柄でなく通常大当り図柄であると判定すると、時短状態を発生させるために、時短フラグに値1を設定すると共に(S746)、時短カウンタに値100を設定する(S748)。そして、大当り遊技を終了させるために大当りフラグに値0を設定し(S750)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S752)、大当り遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、確変フラグの値や時短フラグの値、大当りフラグの値などが含まれる。
【0076】
次に、主制御装置60から各種コマンドを受信したサブ統合制御装置90で実行される各種処理について説明する。サブ統合制御装置90が主制御装置60から受信するコマンドとしては、上述したように、初期コマンドや復帰コマンド、特図変動開始コマンド(第1特図変動開始コマンド,第2特図変動開始コマンド)、図柄停止コマンド、遊技状態指定コマンド、大当り遊技開始演出コマンド、大当り遊技終了演出コマンドなどがある。各種コマンドを受信したサブ統合制御装置90の処理として、特別図柄の変動表示に伴って演出図柄を変動表示する図柄変動演出を実行するための図柄変動演出処理、大当りの発生に伴って大当り遊技演出を実行するための大当り遊技演出処理などがある。また、図柄変動演出中には、ボタン演出や可動演出が行われる場合がある他、各種予告演出なども行われる。以下、図柄変動演出処理とボタン演出処理と可動演出処理の詳細について説明する。なお、大当り遊技演出処理については本発明の要旨をなさないから説明を省略する。
【0077】
[図柄変動演出処理]
図20は、サブ統合制御装置90のCPU90aにより実行される図柄変動演出処理の一例を示すフローチャートである。図柄変動演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、まず、主制御装置60から送信される特図変動開始コマンド(第1特図変動開始コマンドまたは第2特図変動開始コマンド)を受信したか否かを判定する(S800)。特図変動開始コマンドを受信していないと判定すると、S808に進む。一方、特図変動開始コマンドを受信したと判定すると、受信した特図変動開始コマンドに含まれる特別図柄の確定図柄(通常大当り図柄、確変大当り図柄または外れ図柄)に基づいて演出図柄の停止図柄を決定すると共に(S802)、特別図柄の変動パターンに基づいて演出パターンを決定する(S804)。
【0078】
ここで、演出図柄の決定は、ROM90bに予め記憶されている演出図柄設定テーブルの中から特別図柄の確定図柄に対応する演出図柄の停止図柄を決定することにより行うことができる。演出図柄の停止図柄には、例えば、特別図柄の確定図柄として通常大当り図柄が決定されている場合、「444」や「666」等の偶数図柄のゾロ目が決定され、確変大当り図柄が決定されている場合、「333」や「777」等の奇数図柄のゾロ目が決定される。また、演出パターンの決定は、ROM90bに予め記憶されている演出パターンテーブルの中から特別図柄の変動パターンに対応する演出パターンを決定することにより行うことができる。こうして、演出図柄の停止図柄と演出パターンとを決定すると、演出図柄を変動表示させる図柄変動演出を開始する(S806)。図柄変動演出は、決定した演出パターンで演出図柄が変動表示されるよう演出表示制御装置91に制御コマンドを送信することにより行われる。
【0079】
次に、図柄変動演出を実行中であるか否かを判定し(S808)、図柄変動演出を実行中でないと判定すると、S816に進む。一方、図柄変動演出を実行中であると判定すると、当該図柄変動演出の演出パターンがSPリーチに発展するSPリーチ演出パターンであるか否かを判定する(S810)。演出パターンがSPリーチ演出パターンであると判定すると、SPリーチタイミングが到来したか否かを判定する(S812)。ここで、SPリーチタイミングは、SPリーチの開始(発展)タイミングであり、図柄変動演出が開始されてからの経過時間により予め定められている。SPリーチタイミングが到来したと判定すると、SPリーチ演出を開始する(S814)。S810で演出パターンがSPリーチ演出パターンでないと判定したり、SPリーチタイミングが到来していないと判定すると、S814をスキップして、S816に進む。
【0080】
次に、SPリーチ中であるか否かを判定し(S816)、SPリーチ中でないと判定すると、S822に進む。一方、SPリーチ中であると判定すると、SPリーチの結果報知タイミングであるか否かを判定する(S818)。S818の処理は、SPリーチ開始からの経過時間に基づいて結果報知タイミングが到来したか否かを判定することにより行う。結果報知タイミングでない場合には、S822に進む。一方、結果報知タイミングであると判定すると、結果報知演出を実行して(S820)、S822に進む。なお、今回の変動が大当りの変動であれば、成功態様の結果報知演出を実行し、大当りでなく外れの変動であれば、失敗態様の結果報知演出を実行する。
【0081】
続いて、主制御装置60から送信される図柄停止コマンドを受信したか否かを判定する(S818)。図柄停止コマンドを受信していないと判定すると、図柄変動演出処理を終了する。一方、図柄停止コマンドを受信したと判定すると、演出図柄を停止表示させることで図柄変動演出を終了して(S824)、図柄変動演出処理を終了する。
【0082】
[ボタン演出処理]
図21は、サブ統合制御装置90のCPU90aにより実行されるボタン演出処理の一例を示すフローチャートである。ボタン演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、まず、ボタン演出ありの演出パターンで図柄変動演出を実行中であるか否かを判定する(S830)。S830では、上述した変動パターンP02,P04,P14,P16のいずれかに対応する演出パターンで図柄変動演出を実行中あれば、ボタン演出ありの演出パターンで図柄変動演出を実行中であると判定する。また、図柄変動演出を実行中でないか、変動パターンP02,P04,P14,P16以外の変動パターンに対応する演出パターンで図柄変動演出を実行中であれば、S830でボタン演出ありの図柄変動演出を実行中でないと判定し、ボタン演出処理を終了する。
【0083】
一方、S830でボタン演出ありの図柄変動演出を実行中であると判定すると、ボタン演出において演出ボタン16の操作が有効とされる有効期間(所定期間)中であるか否かを判定する(S832)。有効期間中でないと判定すると、ボタン演出の開始タイミングが到来したか否かを判定する(S834)。上述したように、本実施例のボタン演出は、可動演出よりも前のノーマルリーチ中などに開始され、演出パターン毎にノーマルリーチ中の開始タイミングが定められている。ボタン演出の開始タイミングでないと判定すると、ボタン演出処理を終了する。一方、ボタン演出の開始タイミングであると判定すると、演出ボタン16の操作(特定操作)を遊技者に示唆するための操作示唆画像と、有効期間(残り期間)を示唆するための有効期間画像とを演出表示装置37に表示してボタン演出の実行を開始する(S836)。ここで、ボタン演出における演出ボタン16の操作条件としては、例えば演出ボタンを1回押すことで成立する「単発押し」と、演出ボタン16を所定時間押し続けることで成立する「長押し」と、演出ボタン16を所定回数押すことで成立する「連打」などのうちいずれかが設定される。操作示唆画像は、その操作条件に応じた演出ボタン16の操作を示唆する画像が表示される。また、有効期間画像としては、有効期間の初期値に対する残り期間の割合が表示される。なお、有効期間は一定の期間に限られず、長短の異なる複数の有効期間のうちいずれかが設定されてもよい。
【0084】
ボタン演出の実行を開始すると、演出ボタンスイッチ16aからの検知信号に基づいて演出ボタン16が操作されたか否かを判定する(S840)。演出ボタン16が操作されたと判定すると、今回のボタン演出における操作条件が成立したか否かを判定する(S842)。演出ボタン16が操作されてないと判定したり、操作条件が成立していないと判定すると、今回のボタン演出における有効期間が経過したか否かを判定し(S844)、有効期間が経過していないと判定すると、ボタン演出処理を一旦終了する。有効期間中は、次にボタン演出処理が実行されたときにS832で有効期間中であると判定するため、表示中の有効期間画像の残り期間を更新して(S838)、S840に進む。
【0085】
S840,S842で演出ボタン16が操作され且つ操作条件が成立したと判定すると、操作有効期間を終了(操作示唆画像や有効期間画像を消去)し(S846)、操作対応演出を実行して(S848)、ボタン演出処理を終了する。例えば、操作対応演出として、大当りの可能性が高いことを示唆する対応演出と、大当りの可能性が高くないことを示唆する対応演出とを有し、大当り変動パターンP02,P04に対応する演出パターンでボタン演出が実行された場合の方が外れ変動パターンP14,P16に対応する演出パターンでボタン演出が実行された場合よりも、前者の対応演出が実行される割合(選択率)が高いものとなっている。
【0086】
一方、S840,S842で演出ボタン16が操作され且つ操作条件が成立したと判定することなく、S844で有効期間が経過したと判定すると、有効期間を終了し(S846)、操作対応演出を実行して(S848)、ボタン演出処理を終了する。即ち、本実施例では、有効期間内に操作条件に応じた演出ボタン16の操作がされなくても、操作対応演出を実行する。ただし、有効期間内に操作条件に応じた演出ボタン16の操作がされなかった場合には、操作対応演出を実行せずに有効期間を終了してもよい。
【0087】
[可動演出処理]
図22は、サブ統合制御装置90のCPU90aにより実行される可動演出処理の一例を示すフローチャートである。可動演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、まず、可動演出ありの演出パターンで図柄変動演出を実行中であるか否かを判定する(S860)。S860では、上述した変動パターンP03,P04,P15,P16のいずれかに対応する演出パターンで図柄変動演出を実行中あれば、可動演出ありの演出パターンで図柄変動演出を実行中であると判定する。また、図柄変動演出を実行中でないか、変動パターンP03,P04,P15,P16以外の変動パターンに対応する演出パターンで図柄変動演出を実行中であれば、S830で可動演出ありの図柄変動演出を実行中でないと判定し、ボタン演出処理を終了する。
【0088】
一方、S860で可動演出ありの図柄変動演出を実行中であると判定すると、可動役物39を用いた可動演出中であるか否かを判定する(S862)。可動演出中でないと判定すると、可動演出の開始タイミングが到来したか否かを判定する(S864)。上述したように、本実施例では、可動演出の開始タイミングがノーマルリーチからSPリーチに発展するタイミングに定められている。可動演出の開始タイミングが到来したと判定すると、今回の可動演出における演出態様で可動役物39(可動部材39a)を作動させることで可動演出を開始する(S866)。なお、演出表示装置37では、可動演出の実行に合わせて後述する可動時演出表示が行われる。
【0089】
また、S864で可動演出の開始タイミングが到来していないと判定すると、演出ボタンスイッチ16aからの検知信号に基づいて演出ボタン16が操作されたか否かを判定する(S868)。演出ボタン16が操作されたと判定すると、上述したボタン演出における有効期間中であるか否かを判定し(S870)、有効期間中でないと判定すると、更に可動演出の開始タイミングの到来前であるか否か、即ち今回の図柄変動演出中に実行予定の可動演出があるか否かを判定する(S872)。S872では、今回の図柄変動演出中に実行予定の可動演出がないか、可動演出があっても既にその可動演出を実行済みであって未実行の可動演出がなければ、可動演出の開始タイミングの到来前ではないと判定する。S868で演出ボタン16が操作されていないと判定したり、演出ボタン16が操作されたもののS870で有効期間中であると判定したり、有効期間中でなくてもS872で可動演出の開始タイミングの到来前でないと判定すると、可動演出処理を終了する。なお、S868で演出ボタン16が操作されたと判定した場合に、今回の図柄変動演出が可動演出ありであるか否かを判定するようにして、可動演出ありと判定するとS870やS872の判定に進むようにしてもよい。
【0090】
一方、S868~S872で、演出ボタン16の操作がボタン演出の有効期間中以外で行われ且つ可動演出の開始タイミングの到来前であると判定すると、次に実行される可動演出の演出態様で可動役物39(可動部材39a)を作動させることで可動演出を先行して開始する(S874)。このように、可動演出の開始タイミングが到来する前であって、ボタン演出の有効期間中以外で演出ボタン16が操作された場合、所定の開始タイミング(本来の開始タイミング)に先立って可動演出を開始するのである。即ち、本実施例では、所定の開始タイミングよりも前に、可動演出の先行開始が可能となっている。
【0091】
こうしてS866またはS874で可動演出を開始すると、可動演出の所定の終了タイミングが到来したか否かを判定し(S876)、終了タイミングが到来していないと判定すると、可動演出処理を一旦終了する。可動演出を開始すると、次に可動演出処理が実行されたときにS862で可動演出中であると判定するため、S876に進む。そして、可動演出の終了タイミングが到来したと判定すると、可動部材39aを初期位置に戻すことで可動演出を終了して(S878)、可動演出処理を終了する。このように、S866で所定の開始タイミング通りに可動演出を開始した場合と、S874で所定の開始タイミングに先行して可動演出を開始した場合のいずれにおいても、所定の終了タイミング(本来の終了タイミング)で可動演出を終了するのである。
【0092】
ここで、図23図24は、図柄変動演出が実行される場合の一例を示すタイムチャートであり、図25図27は、図柄変動演出の様子の一例を示す説明図である。まず、図23のタイムチャートと図25図26の説明図とを用いて、図柄変動演習中に所定の開始タイミングで可動演出を開始する場合を説明する。
【0093】
図柄変動演出中に左右の演出図柄371L,371Rが一致してリーチになると(図25(a))、リーチ演出(ノーマルリーチ)に移行する。ノーマルリーチ中にボタン演出開始タイミングが到来すると(図23の時刻t10)、操作示唆画像374と有効期間画像375とを表示してボタン演出(有効期間)を開始する(図25(b))。ボタン演出の有効期間中に演出ボタン16のボタン操作が行われて操作条件が成立すると(図23の時刻t11)、有効期間を終了して操作対応演出を実行する(図25(c))。図25の操作対応演出では、例えば大当りの可能性が高いことを示唆する表情でキャラクタ図柄373が表示される。
【0094】
ボタン演出の終了後のノーマルリーチ中に(図25(d),(e))、SPリーチBへの発展タイミングになると、可動演出の開始タイミングが到来したとして(図23の時刻t12)、可動演出を開始する(図25(f))。可動演出は、予め定められた演出態様(動作態様,発光態様、音出力態様)で実行される。例えば、演出表示装置37の画面前方まで一気に下降する動作態様で可動部材39aが作動するように可動役物モータ39bを制御し、所定の発光態様で発光(点灯)するようにLED39cを制御し、所定の音出力態様の効果音を出力するようにスピーカ14を制御することにより行われる。また、演出表示装置37の表示画面では、可動時演出表示として、下降した可動部材39aの周囲の領域に、LED39cの発光に合わせて所定色で発光する画像などの背景画像(装飾画像)376を表示すると共に、他の領域にSPリーチBで登場するキャラクタ図柄を表示する。このSPリーチBでは、主人公キャラクタ373Aが敵キャラクタ373Bと対決するバトル演出を行うものとし、主人公キャラクタ373Aが表示された後(図25(f))、敵キャラクタ373Bが表示される(図26(a))。なお、図示は省略するが、SPリーチAに発展する場合、即ち可動演出を伴わずにSPリーチに発展する場合、演出表示装置37の表示画面では、可動時演出表示(背景画像376など)を行わずに、SPリーチで登場するキャラクタ図柄などを表示する発展演出が行われる。この発展演出では、例えば、SPリーチBよりも勝利の可能性が低い主人公キャラクタ373AやSPリーチBよりも手強い敵キャラクタ373Bが表示される。
【0095】
こうして可動演出を開始してから、可動演出の所定の終了タイミングが到来すると(図23の時刻t13)、可動演出を終了する(図26(b))。可動演出の終了は、可動部材39aが上方の待機位置(初期位置)に戻るように可動役物モータ39bを制御し、LED39cを消灯させることなどにより行われる。また、可動演出の終了に伴い、演出表示装置37の可動時演出表示も終了し、表示画面の全体でSPリーチB(バトル演出)が行われる(図26(b),(c))。
【0096】
そして、SPリーチの結果報知タイミングが到来すると、例えば主人公キャラクタ373Aが勝利する成功報知演出が行われ(図26(d))、演出図柄を大当り図柄(例えば通常大当り図柄)で停止表示して(図26(e))、図柄変動演出を終了する(図23の時刻t14)。なお、図示は省略するが、外れの場合には、結果報知タイミングが到来すると、主人公キャラクタ373Aが敗北する失敗報知演出が行われ、演出図柄を外れ図柄で停止表示して、図柄変動演出を終了する。
【0097】
次に、図24のタイムチャートと図27の説明図とを用いて、所定の開始タイミングよりも前のタイミングで可動演出を先行開始する場合を説明する。以下では、所定の開始タイミングで可動演出が実行される場合(通常の場合)との違いを中心に説明し、時刻t10,t11(図27(a)~(c))のボタン演出や操作対応演出は、共通の内容であるため説明を省略する。
【0098】
ボタン演出(有効期間)が終了して操作対応演出が実行された後に、演出ボタン16が操作されると、有効期間中でなく、到来前の開始タイミングがあると判定する。このため、可動演出を先行して開始する(図24の時刻t15)。即ち、所定の開始タイミング(SPリーチへ発展する)前に、可動演出が先行開始される(図27(d),(e))。可動演出が先行開始される場合でも、可動演出が通常通り所定の開始タイミングで開始される場合と同じ演出態様(動作態様,発光態様,音出力態様)で開始される。また、演出表示装置37の表示画面では、可動部材39aの周囲の領域に背景画像376を表示する。
【0099】
可動演出により可動役物39(可動部材39a)が表示画面の一部の領域を覆うため、画面全体で実行していた図柄変動演出(リーチ演出)を残りの領域に収まるように小さく表示してもよい(図27(d),(e))。勿論、図柄変動演出をそのまま継続して画面全体に表示してもよい。この場合、実行していたリーチ演出の一部が見えなくなるが、可動演出が先行して開始されることによりSPリーチに発展することが示唆されているため、特に問題はない。あるいは、可動演出を先行して開始する場合には、実行中の演出を中断し、可動演出を通常通り開始した場合と同じ画面表示(図27(f),図26(a))を表示してもよい。そのようにする場合、可動演出を通常通り開始した場合と同じ画面表示を一旦表示した後、所定の開始タイミングまでの残り時間が比較的長ければ、元の演出を実行し(図27(d),(e))、所定の開始タイミングまでの残り時間が短ければSPリーチBに発展するまでその画面表示(図27(f),図26(a))を維持してもよい。演出表示装置37における表示演出がどのように行われるかに拘わらず、可動演出の実行はそのまま維持される。
【0100】
そして、SPリーチBの発展タイミングが到来すると(図24の時刻t12)、通常通りSPリーチ演出を開始する(図27(f))。即ち、可動演出を通常通り開始する場合と同様に、バトル演出に登場する主人公キャラクタ373Aなどが表示される。図27(f)の後は、図26(a)~(e)と同様に演出が進行して大当りが報知される。また、可動演出は、所定の終了タイミングが到来すると終了する(図24の時刻t13)。即ち、上述したように可動演出が先行して開始されても、通常の場合と同じ終了タイミングで可動演出が終了する。
【0101】
以上説明した実施例のパチンコ機1では、可動演出の所定の開始タイミング(例えばSPリーチへの発展タイミング)よりも前のタイミングで演出ボタン16が操作された場合、可動演出を先行して開始し、所定の終了タイミングまで可動演出の実行を維持してから終了する。これにより、大当り期待度の高い可動演出が実行されるか否かが気になる遊技者は、所定の開始タイミングに先んじて可動演出が実行されるか否か(SPリーチBへ発展するか否か)を知ることが可能となる。また、可動部材39aの突然の動作によって驚くことを望まない遊技者は、演出ボタン16を自ら操作して可動部材39aの動作を予測できる状態で可動演出を開始させることで、驚くことなく可動演出を楽しむことができる。一方で、通常通りの可動演出の開始を望む遊技者は、ボタン演出の有効期間以外で演出ボタン16を操作しなければよい。このように、遊技者の趣向に合わせて可動演出の開始タイミングを変更可能とすることで遊技興趣を向上させることができる。
【0102】
また、可動演出が先行して開始された場合でも、所定の終了タイミングまで可動演出の実行を維持して終了するため、可動演出が通常よりも早く終了することはない。このため、演出時間(尺)を調整するための特別な演出などを設ける必要がなく、演出処理が複雑になるのを防止することができる。また、演出ボタン16が操作されても、ボタン演出の有効期間中であれば可動演出を開始しないから、ボタン演出の操作と適切に区別して可動演出を開始することができる。
【0103】
実施例では、可動演出の所定の開始タイミングをSPリーチに発展するタイミングとしたが、これに限られず、ノーマルリーチ中やSPリーチ中の所定のタイミングでもよいし、SPリーチの報知演出(成功報知演出,失敗報知演出)を行うタイミングでもよいし、図柄変動演出の結果報知(演出図柄の停止表示)タイミングでもよい。また、演出図柄を通常大当り図柄で一旦停止表示した後に、演出図柄を確変大当り図柄に変更して確変大当りの発生を報知する場合、演出図柄を変更するタイミングで可動演出を実行してもよい。また、図柄変動演出中に可動演出が1回だけ行われるものに限られず、複数回行われてもよい。可動演出が複数回行われる場合の変形例を以下に説明する。
【0104】
図28は、変形例の変動パターンを示す説明図である。図28の変動パターンでは、大当りの変動パターンとして、可動演出を2回(SPリーチへの発展タイミングと図柄変動演出での大当り結果の報知タイミング)行う変動パターンP05,P06が設けられている。なお、図17の変動パターンと異なり、SPリーチAに発展する変動パターンを含めてないが、含めてもよい。変形例では、SPリーチへの発展タイミングの可動演出は第1演出態様で行われ、大当り結果の報知タイミングの可動演出は第2演出態様で行われる。図示は省略するが、例えば第1演出態様は、実施例と同様に可動部材39aが一気に降下する動作態様とし、第2演出態様は、可動部材39aが降下途中で一時停止したり降下した後に上下に振動したりする動作態様などとする。勿論、動作態様以外にLED39cの発光態様や効果音の音出力態様が異なってもよい。
【0105】
また、図29は、変形例の図柄変動演出が実行される場合を示すタイムチャートである。図29では、変動パターンP06に対応する演出パターンで図柄変動演出が実行された場合を示す。図示するように、1回目の可動演出の開始タイミングより前に演出ボタン16が操作されると、1回目の可動演出と同じ第1演出態様で可動演出が先行して開始される(図29の時刻t15)。第1演出態様での可動演出は、1回目の可動演出における所定の終了タイミングまで維持されて終了する(図29の時刻t13)。また、1回目の可動演出が終了してから2回目の可動演出の開始タイミングまでの間に演出ボタン16が操作されると、2回目の可動演出と同じ第2演出態様で可動演出が先行して開始される(図29の時刻t16)。第2演出態様での可動演出は、2回目の可動演出における所定の終了タイミングまで維持されて終了する(図29の時刻t14)。このように、可動演出の実行タイミングが複数回設けられた図柄変動演出中に演出ボタン16が操作された場合、その操作の後に最初に開始タイミングが到来する次の可動演出で定められた演出態様で可動演出を先行して開始するのである。また、先行して開始した可動演出は、それぞれの所定の終了タイミングまで実行を維持してから終了する。
【0106】
ここで、変形例の図28の変動パターンに変動パターンP03,P04を含めないようにすることで、大当りの場合には可動演出が必ず2回行われ、2回目の可動演出を大当り報知時に行うものとすることができる。そのようにする場合、1回目の可動演出の終了後に演出ボタン16を操作して可動演出が先行して開始されれば(可動部材39aが先行して動作すれば)、大当りが確定する。言い換えると、1回目の可動演出の終了後に演出ボタン16を操作して可動演出が開始されなければ外れが確定することになり、遊技興趣が低下してしまう。そこで、可動演出を先行して開始するのは、1回目の可動演出のみとし、1回目の可動演出の終了後(2回目の可動演出の前)に演出ボタン16が操作されても、2回目の可動演出を先行して開始しない構成としてもよい。あるいは、2回目の可動演出の前に演出ボタン16が操作された場合に、可動演出を先行して開始するか否かの抽選を行い、抽選に当選すると2回目の可動演出を先行して開始してもよい。なお、複数回目(変形例では2回目)の可動演出が大当り報知時以外のタイミング、例えばSPリーチ中の所定タイミングなどに定められている場合には、大当りか外れかが確定しないから、演出ボタン16が操作されれば可動演出を先行して開始すればよい。
【0107】
この変形例のように、複数回の可動演出が実行される演出パターンにおいて、先の可動演出が先行して開始された場合に、その可動演出の所定の終了タイミングで可動演出が終了せず(可動部材39aを初期位置に戻さず)、次の可動演出の終了タイミングで可動演出が終了する(可動部材39aを初期位置に戻す)ようにしてもよい。例えば、1回目の可動演出の終了タイミングで可動部材39aが初期位置に戻らずに作動位置のままとし、2回目の可動演出の終了タイミングで可動部材39aが初期位置に戻るものなどとしてもよい。このような演出パターンを、大当りの確定の演出パターンとして備えればよい。
【0108】
また、実施例のように、可動演出が1回だけ実行されるものにおいて、SPリーチへの発展タイミングではなく大当り結果の報知タイミングで可動演出が実行されてもよい。そのようにする場合、例えばSPリーチに発展するまでは、演出ボタン16が操作されても可動演出を先行して開始しないようにしてもよい。このようにすることで、SPリーチ前の早い段階で、演出ボタン16を操作しても可動演出が実行されないことにより、外れが確定するのを防止することができる。即ち、演出表示における大当り報知時に可動演出を実行するものにおいて、所定時期(例えばSPリーチへの発展時)となる前に演出ボタン16が操作されても可動演出を先行して開始せず、所定時期以降に演出ボタン16が操作されると可動演出を先行して開始すればよい。また、可動演出の実行回数や開始タイミングに拘わらず、可動演出の前にボタン演出が実行される場合には、ボタン演出が終了するまでは演出ボタン16が操作されても可動演出を先行して開始せず、ボタン演出が終了した以降に演出ボタン16が操作されると可動演出を先行して開始してもよい。また、可動演出の開始タイミングまでの残り時間が所定時間となる前に演出ボタン16が操作されても可動演出を先行して開始せず、残り時間が所定時間以下となってから演出ボタン16が操作されると可動演出を先行して開始してもよい。
【0109】
実施例では、可動演出を先行して開始する場合の演出態様を、所定の開始タイミングで開始する通常の場合と同じ演出態様としたが、これに限られず、異なる演出態様としてもよい。例えば、可動部材39aの動作態様は同じであるが、LED39cの点灯態様が異なったり効果音の音出力態様が異なったりするなど、通常の場合とは可動演出の演出態様の一部が異なるものでもよい。演出態様の一部が異なる態様で可動演出が先行して開始された場合、その可動演出の所定の開始タイミング(本来の開始タイミング)が到来すると、通常の演出態様での可動演出に切り替えればよい。あるいは、終了タイミングとなるまで、通常の演出態様とは異なる態様で可動演出を継続させてもよい。なお、可動演出が先行して開始される場合の演出表示装置37の背景表示(背景画像376)も通常の場合と同様としたが、これに限られず、背景表示が異なるものでもよい。その背景表示も、所定の開始タイミングが到来すると、可動演出時の通常の背景表示に切り替えればよい。
【0110】
実施例では、可動演出を先行して開始させるための演出ボタン16の操作示唆を行わないものとしたが、これに限られず、演出ボタン16の操作をすれば可動演出が先行して開始される旨の操作示唆を行ってもよい。その操作示唆は、ボタン演出における操作示唆(操作示唆画像374の表示)とは異なるものであればよく、例えば、演出ボタン16の操作をすれば可動演出が先行して開始される旨のメッセージを演出表示装置37の画面に表示したり、スピーカ14から音声出力すればよい。
【0111】
実施例では、可動演出の実行を伴って発展したSPリーチBの方が、可動演出の実行を伴わずに発展したSPリーチAよりも、大当りの可能性が高いリーチとした。即ち、可動演出の実行有無によって、大当りの可能性が異なるSPリーチに発展したが、これに限られない。例えば、ノーマルリーチから同じ演出内容のSPリーチに発展し、そのSPリーチ中に可動演出が実行された場合の方が、実行されない場合よりも大当りの可能性が高いものとしてもよい。
【0112】
実施例では、センター役物38内に格納され、演出表示装置37の表示画面の前方に可動部材39aが移動する可動役物39を例示したが、これに限られない。例えば、前面枠3内に格納され、枠外に可動部材が突出する可動役物などとしてもよい。また、可動役物39は、LED39cを備えたが、これに限られず、LED39cを備えなくてもよい。
【0113】
実施例では、演出ボタン16が操作(単発押し)されると可動演出を先行して開始したが、これに限られない。例えば、演出ボタン16が操作されると所定の確率で可動演出を開始するなど、可動演出を開始しない場合があってもよい。あるいは、連打操作などにより演出ボタン16が所定回数操作されると可動演出を開始したり、長押し操作などにより演出ボタン16が所定時間操作されると可動演出を開始したりしてもよい。このような所定操作を条件とすれば、遊技者が誤って演出ボタン16を操作した場合に、遊技者の意図によらずに可動演出が先行して開始されるのを抑制することができる。また、演出ボタン16が操作された場合に可動演出を先行して開始するか否かを遊技者に選択可能に表示し、開始が選択されると可動演出を先行して開始するように構成してもよい。
【0114】
実施例では、演出ボタン16が操作されたタイミングで可動演出を先行して開始したが、これに限られない。例えば、演出ボタン16が操作されてから所定の遅延時間が経過したタイミングで可動演出を先行して開始してもよい。そのようにする場合、可動演出の開始までの残り時間を示すカウントダウン表示を演出表示装置37に表示してもよい。
【0115】
実施例では、ボタン演出が実行された後であって、可動演出の開始タイミングより前に演出ボタン16が操作されると、可動演出を先行して開始したが、これに限られず、可動演出の開始タイミングより前に演出ボタン16が操作されれば、ボタン演出が実行される前であっても可動演出を先行して開始してもよい。あるいは、可動演出を先行して開始するのは、ボタン演出が実行された後に限るものでもよい。ここで、ボタン演出が実行される予定である場合に、ボタン演出よりも前に可動演出が先行して実行された場合には、ボタン演出を実行しないようにしてもよい。そのようにする場合でも、ボタン演出の開始タイミングが到来すると、演出ボタン16の操作を有効とせずに実行予定であったボタン演出とは異なる演出を実行したり、演出ボタン16の操作を有効として実行予定のボタン演出とは異なるボタン演出を実行するなど、実行予定のボタン演出の代替演出を実行してもよい。これにより、実行予定であった本来のボタン演出は実行されないものの、そのボタン演出が実行される予定であったことを遊技者に示唆することができる。
【0116】
実施例において、可動演出を先行して開始した場合に、可動演出が終了するまでの残り時間を示すカウントダウン表示を演出表示装置37に表示してもよい。これにより、先行して開始された可動演出がいつ終了するかを遊技者に把握させることができる。
【0117】
実施例では、ボタン演出で用いられる操作手段と可動演出を先行して開始させるための操作手段とを共通の演出ボタン16としたが、これに限られず、ボタン演出で用いられる操作手段(演出ボタン16)と可動演出を先行して開始させるための操作手段とを別々の操作手段としてもよい。
【0118】
実施例では、本発明をいわゆるセブン機タイプの遊技機に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、小当り遊技中に開放する大入賞口の内部に特定領域を備え、小当り遊技中に大入賞口に遊技球が入球し、入球した遊技球が当該特定領域を通過すると、大当り遊技に発展するいわゆる1種2種混合機に適用してもよい。
【0119】
実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を賞球や貸球として上受け皿11に払い出す構成としたが、いわゆる封入式のパチンコ機であってもよい。封入式のパチンコ機は、内部に封入した遊技球を循環させることにより遊技を行うものである。また、実施例や変形例のパチンコ機は、いわゆる管理遊技機に適用されてもよい。管理遊技機は、主制御装置への外部からのアクセスを制限するものであり、枠制御装置(実施例の払出制御装置に相当)から主制御装置へは特定情報(遊技の性能に影響を与える情報や、遊技の結果に影響を及ぼす虞のある情報)以外を送信可能とし、枠制御装置はCRユニットと接続され、枠制御装置を介してのみ外部と通信可能に構成されたものである。
【0120】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、演出ボタン16が「操作手段」に相当し、演出表示装置37が「演出表示装置」に相当し、可動部材39aを含む可動役物39が「可動役物」に相当し、可動演出処理を実行するサブ統合制御装置90のCPU90aが「可動演出手段」に相当する。ボタン演出処理を実行するサブ統合制御装置90のCPU90aが「予告演出手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0121】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0122】
1 パチンコ機、2 外枠、3 前面枠、3a 前面枠開放スイッチ、4 ガラス板、5 内枠、5a 内枠開放スイッチ、11 上受け皿、12 下受け皿、13 発射ハンドル、14 スピーカ、15 LED、16 演出ボタン、16a 演出ボタンスイッチ、20 遊技盤、20a 溝、21 遊技領域、21a 外レール、21b 内レール、21c 釘、22 普通図柄作動ゲート、22a ゲートスイッチ、23 第1始動口、23a 第1始動口スイッチ、24 第2始動口、24a 第2始動口スイッチ、24b 開閉羽根、24c 第2始動口ソレノイド、25 大入賞口、25a 大入賞口スイッチ、25b 開閉板、25c 大入賞口ソレノイド、27 普通入賞口、27a 普通入賞口スイッチ、29 アウト口、31 第1特別図柄表示装置(第1特図表示装置)、32 第2特別図柄表示装置(第2特図表示装置)、33 第1特別図柄保留数表示装置(第1特図保留数表示装置)、34 第2特別図柄保留数表示装置(第2特図保留数表示装置)、35 普通図柄表示装置(普図表示装置)、36 普通図柄保留数表示装置(普図保留数表示装置)、37 演出表示装置、371L,371C,371R 演出図柄(疑似図柄)、372a 第1保留図柄、372b 第2保留図柄、373 キャラクタ図柄、373A 主人公キャラクタ、373B 敵キャラクタ、374 操作示唆画像、375 有効期間画像、376 背景画像、38 センター役物、39 可動役物、39a 可動部材、39b 可動役物モータ、39c LED、50 CRユニット、51 CRユニット端子板、52 精算表示装置、53 球貸ボタン、53a 球貸スイッチ、54 精算ボタン、54a 精算スイッチ、60 主制御装置、60a CPU、60b ROM、60c RAM、61 遊技盤中継端子板、62 図柄表示装置中継端子板、63 演出中継端子板、64 裏配線中継端子板、65 外部接続端子板、67 設定キースイッチ、68 RAMクリアスイッチ、69 設定表示装置、70 払出制御装置、71 払出中継端子板、72 払出装置、73 払出モータ、74 払出スイッチ、75 満杯スイッチ、76 球切れスイッチ、77 球タンク、78 タンクレール、80 発射制御装置、81 発射停止スイッチ、82 タッチスイッチ、83 発射モータ、90 サブ統合制御装置、90a CPU、90b ROM、90c RAM、91 演出表示制御装置、95 電源基板、95a 電源スイッチ、100 ホールコンピュータ。
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