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特許7515892センサーネットワークを構築することを含む方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】センサーネットワークを構築することを含む方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/02 20090101AFI20240708BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240708BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20240708BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240708BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240708BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20240708BHJP
【FI】
H04W40/02
H04W4/38
H04W16/18
H04W88/06
H04W84/10 110
H04W4/00 111
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021509626
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020013907
(87)【国際公開番号】W WO2020196811
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2019064041
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594142311
【氏名又は名称】株式会社ティアンドデイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】両角 章夫
(72)【発明者】
【氏名】瀬木 千秋
(72)【発明者】
【氏名】小林 哉人
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-294944(JP,A)
【文献】特開2016-015572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーネットワークを構築するための通信メッセージを伝送する際に、省電力で個々の呼び出しに応答する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置の中から選択された複数の第1の通信装置により第1のセンサーネットワークを構築することを有する方法であって、
前記複数の通信装置は、前記複数の通信装置とは異なる汎用の第1の情報処理装置と前記複数の通信装置とがそれぞれ実質的に並列に通信可能な、前記第1の通信ユニットとは異なる汎用の第2の通信ユニットをそれぞれ有し、
前記第1のセンサーネットワークを構築することは、
前記第1の情報処理装置が前記第2の通信ユニットを介して、前記第2の通信ユニットの通信可能な範囲の前記複数の通信装置から前記複数の通信装置の識別情報を一括して取得することと、
前記第1の情報処理装置上で、前記複数の通信装置の、一括して取得された前記識別情報の中から前記第1のセンサーネットワークを前記第1の通信ユニットにより構築するための前記複数の第1の通信装置を選択可能とすることと、
選択された前記複数の第1の通信装置に対し、前記第2の通信ユニットを介して、前記第1のセンサーネットワークを構築するために前記第1の通信ユニットを介して他の前記第1の通信装置と通信するための第1の設定情報を提供し、前記第1の設定情報にしたがい前記第1の通信ユニットにより、前記第2の通信ユニットの機能が不要な状態で通信を行い、前記選択された複数の第1の通信装置のみにより実空間において前記第1のセンサーネットワークを構築可能とすることとを含む、方法。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
前記選択された複数の第1の通信装置が、前記第1の設定情報にしたがい前記第1の通信ユニットにより、前記第2の通信ユニットの機能が不要な状態で通信を行い、前記実空間において前記選択された複数の第1の通信装置のみにより実際の前記第1のセンサーネットワークを構築することを有する、方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1のセンサーネットワークを構築することは、前記第1の通信ユニットによる通信が、特定小電力無線局用の通信を含む、方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記複数の通信装置は、親機と、子機と、前記親機と前記子機とを中継可能な中継機とを含み、
前記選択可能とすることは、前記親機、前記中継機および前記子機をそれぞれ選択可能とすることを含む、方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記親機は、サーバーと接続可能な第3の通信ユニットを含み、
前記子機は、測定データを取得するセンサーまたは前記センサーとのインターフェイスを含み、
当該方法は、前記親機が、前記第1のセンサーネットワークを介して前記子機のセンサーから取得した前記測定データを前記サーバーにアップすることを含む、方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記第1のセンサーネットワークを構築することは、前記第2の通信ユニットとしてBLE通信を用いることを含む、方法。
【請求項7】
センサーネットワークを構築するための通信メッセージを伝送する際に、省電力で個々の呼び出しに応答する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置に対し、汎用の第2の通信ユニットを介して通信可能な、前記複数の通信装置と異なる汎用の情報処理装置を制御するためのプログラムであって、
前記複数の通信装置は、前記汎用の情報処理装置と前記複数の通信装置とがそれぞれ実質的に並列に通信可能な、前記第1の通信ユニットとは異なる汎用の前記第2の通信ユニットをそれぞれ有し、
前記情報処理装置が、前記複数の通信装置の識別情報を前記第2の通信ユニットを介して、前記第2の通信ユニットの通信可能な範囲の前記複数の通信装置から一括して取得することと、
前記複数の通信装置の一括して取得された前記識別情報の中から前記情報処理装置上で第1のセンサーネットワークを前記第1の通信ユニットにより構築するための複数の第1の通信装置を選択可能とすることと、
前記第2の通信ユニットを介して、前記第1のセンサーネットワークを構築するために前記第1の通信ユニットを介して他の前記第1の通信装置と通信するための第1の設定情報を選択された前記複数の第1の通信装置に提供し、前記第1の設定情報にしたがい前記第1の通信ユニットにより、前記第2の通信ユニットの機能が不要な状態で通信を行い、前記選択された複数の第1の通信装置のみにより実空間において前記第1のセンサーネットワークを構築可能とすることとを実行するための命令を有する、プログラム。
【請求項8】
センサーネットワークを構築するための通信メッセージを伝送する際に、省電力で個々の呼び出しに応答する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置と、
汎用の第2の通信ユニットにより、前記複数の通信装置と接続可能な、前記複数の通信装置と異なる汎用の第1の情報処理装置とを有し、
前記複数の通信装置は、前記汎用の第1の情報処理装置と前記複数の通信装置とがそれぞれ実質的に並列に通信可能な、前記第1の通信ユニットとは異なる汎用の前記第2の通信ユニットをそれぞれ有し、
前記第1の情報処理装置は、前記複数の通信装置の識別情報を前記第2の通信ユニットを介して、前記第2の通信ユニットの通信可能な範囲の前記複数の通信装置から一括して取得する機能と、
前記複数の通信装置の、一括して取得された前記識別情報の中から、第1のセンサーネットワークを前記第1の通信ユニットにより構築する複数の第1の通信装置を選択可能とする機能と、
前記第2の通信ユニットを介して、前記第1のセンサーネットワークを構築するために前記第1の通信ユニットを介して他の前記第1の通信装置と通信するための第1の設定情報を選択された前記複数の第1の通信装置に提供し、前記第1の設定情報にしたがい前記第1の通信ユニットにより、前記第2の通信ユニットの機能が不要な状態で通信を行い、前記選択された複数の第1の通信装置のみにより、実空間において前記第1のセンサーネットワークを構築可能とする機能とを含む、システム。
【請求項9】
請求項8において、
前記複数の通信装置は、親機と、子機と、前記親機と前記子機とを中継可能な中継機とを含み、
前記選択可能とする機能は、前記親機、前記中継機および前記子機をそれぞれ選択可能とする機能を含む、システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記親機は、サーバーに接続可能な第3の通信ユニットを含み、
前記子機は、測定データを取得するセンサーまたは前記センサーとのインターフェイスを含む、システム。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれかにおいて、
前記第1の通信ユニットは特定小電力無線局用の通信を行う機能を含み、
前記第2の通信ユニットはBLE通信を行う機能を含む、システム。
【請求項12】
センサーネットワークを構築するために他の通信装置に通信メッセージを伝送する際に、省電力で個々の呼び出しに応答する第1の通信ユニットをそれぞれ含む複数の通信装置であって、それぞれの前記複数の通信装置は、さらに、
前記複数の通信装置と異なる汎用の第1の情報処理装置前記複数の通信装置とがそれぞれ実質的に並列に通信可能な、前記第1の通信ユニットとは異なる汎用の第2の通信ユニットと、
前記第2の通信ユニットを介して、前記第1の情報処理装置に対し、前記第2の通信ユニットの通信可能な範囲であれば当該通信装置の識別情報を一括して提供し、前記複数の通信装置の中から前記第1の情報処理装置により選択された複数の第1の通信装置と前記第1の通信ユニットによる第1のセンサーネットワークを構築する他の通信装置と通信するための第1の設定情報を取得して前記第1の通信ユニットを設定し、前記第1の設定情報にしたがい前記第1の通信ユニットにより、前記第2の通信ユニットの機能が不要な状態で通信を行い、前記選択された複数の第1の通信装置のみにより実空間において前記第1のセンサーネットワークを構築するように構成された通信ネットワーク構成ユニットとを有する通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーネットワークを構築することを含む方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国特開2019-24161号公報には、データ転送の設定作業が簡単であり、処理負荷が低い通信装置として、6LoWPANに準拠した通信を行うワイヤレスセンサーネットワークに接続する機器から、各機器が利用しようとする第1のアドレスと同一のアドレスを有する他の機器がネットワーク内に存在するかを確認するための確認メッセージを受信する受信手段と、受信手段により確認メッセージを受信した場合に、第1のアドレスと同一のアドレスを有する他の機器がネットワーク内に存在するか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定の結果を、確認メッセージの応答として各機器に通知する通知手段と、受信手段が確認メッセージを受信し、通知手段が当該確認メッセージの応答として判定手段による判定の結果を通知するまでの間に、各機器が送信するデータの転送設定を行う第1の設定手段と、を備えた通信装置が開示されている。
【発明の開示】
【0003】
ワイヤレスセンサーネットワークなどの無線による通信ネットワークを、ユーザーが独自に、さらに簡単に構築できることが要望されている。
【0004】
本発明の態様の1つは、センサーネットワークを構築するための通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置の中から選択された複数の第1の通信装置を含む第1のセンサーネットワークを構築することを有する方法である。第1のセンサーネットワークを構築することは、複数の通信装置とは異なる汎用の第1の情報処理装置が、複数の通信装置がそれぞれ備えており、第1の情報処理装置と実質的に並列に通信可能な汎用の第2の通信ユニットを介して、前記複数の通信装置の識別情報を取得することと、第1の情報処理装置上で、複数の通信装置の、取得された識別情報の中から第1のセンサーネットワークを構築するための複数の第1の通信装置を選択可能とすることと、第2の通信ユニットを介して、第1のセンサーネットワークを構築するために第1の通信ユニットを介して他の第1の通信装置と通信するための第1の設定情報を前記複数の第1の通信装置に提供することとを含む。
通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置が、第1の通信ユニットによる第1の通信ネットワークを構築することを有する方法が開示されている。複数の通信装置は、それぞれ、第1の情報処理装置(ホストとなる情報処理装置、ホストPC)と通信可能な第2の通信ユニットを含み、第1の通信ネットワークを構築することは以下のステップを含む。
1.第1の情報処理装置が、第2の通信ユニットを介して、複数の通信装置の識別情報を取得すること。
2.識別情報を用いて第1の情報処理装置上で、複数の通信装置を含む第1の通信ネットワークを仮想的に構築すること。
3.仮想的に構築された第1の通信ネットワークにしたがって他の通信装置と通信するための第1の設定情報を、第2の通信ユニットを介して複数の通信装置の中の、第1の通信ネットワークを制御する通信装置に設定すること。第1の設定情報を設定する対象となる通信装置は、例えば、第1の通信ネットワークを管理できる最上位の通信装置であり、親機と称されることがある。分散型の通信ネットワークなどにおいては、第1の設定情報は各々の通信装置に設定されてもよい。
【0005】
当該方法は、さらに、第1の通信ネットワークに属する複数の通信装置が第1の設定情報にしたがい第1の通信ユニットにより通信を行うことを有していてもよい。第2の通信ユニットは、複数の通信装置と第1の情報処理装置とが実質的に並列に通信可能なものであってもよい。識別情報を取得することは、複数の通信装置が、それぞれ、第1の情報処理装置と実質的に並列に通信することを含んでもよい。
【0006】
通信装置が、第1の情報処理装置、例えば、ノートPCなどに限らず、タブレット端末またはスマートホン端末に標準的に搭載された、無線LAN、BLE通信(BLE:Bluetooth(登録商標) Low Energy)などで通信可能な第2の通信ユニットを搭載して情報をホストとなる第1の情報処理装置に提供することにより、第1の情報処理装置上で通信装置による通信ネットワークを仮想的に構築することができる。第2の通信ユニットを介して、第1の情報処理装置から、通信ネットワークを制御する通信装置に、仮想的に構築された通信ネットワークの情報をフィードバックすることにより、第1の情報処理装置には標準的に搭載されない第1の通信ユニットにより省電力通信ネットワークを簡単に構築できる。PCなどの情報処理装置に標準的には搭載されない第1の通信ユニットの一例は、カスタマイズが容易で、省電力な特定小電力無線局用の通信、ZigBee(登録商標)などであり、これらの第1の通信ユニットにより、センサーネットワークなどに好適な省電力通信ネットワークを簡単に構築できる。
【0007】
第1の通信ネットワークを仮想的に構築するステップは、第1の情報処理装置に複数の通信装置をそれぞれ示す複数のアイコンを表示することと、複数のアイコンをドラッグ・アンド・ドロップすることにより、複数のアイコンにより仮想的な第1の通信ネットワークを構築することとを含んでもよい。複数の通信装置は、クラウドに接続可能な親機を介して、センサーから取得した測定データを提供する子機と、親機と子機とを中継可能な中継機とを含んでもよい。ワイヤレスセンサーネットワーク(WSN)を短時間に構築できる。第1の通信ネットワークを仮想的に構築するステップは、親機を含めた通信ネットワークを構築することを含んでもよい。
【0008】
本発明の他の態様の1つは、センサーネットワークを構築するための通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置に対し、複数の通信装置がそれぞれ備えている汎用の第2の通信ユニットを介して通信可能な、複数の通信装置と異なる汎用の情報処理装置を制御するためのプログラムである。このプログラムは、情報処理装置が、複数の通信装置の識別情報を第2の通信ユニットを介して実質的に並列に取得することと、複数の通信装置の取得された識別情報の中から情報処理装置上で第1のセンサーネットワークを構築するための複数の第1の通信装置を選択可能とすることと、第2の通信ユニットを介して、第1のセンサーネットワークを構築するために第1の通信ユニットを介して他の第1の通信装置と通信するための第1の設定情報を前記複数の第1の通信装置に提供することとを実行するための命令を有する。
通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置に対し第2の通信ユニットを介して通信可能な情報処理装置を制御するためのプログラム(プログラム製品)が開示されている。このプログラムは、情報処理装置が、複数の通信装置の識別情報を前記第2の通信ユニットを介して取得することと、識別情報を用いて情報処理装置上で、第1の通信ユニットによる第1の通信ネットワークを仮想的に構築することと、仮想的に構築された第1の通信ネットワークにしたがって通信するための第1の設定情報を、第2の通信ユニットを介して、複数の通信装置の中の、第1の通信ネットワークを制御する通信装置に設定することとを実行するための命令を有する。プログラム(プログラム製品)は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0009】
本発明の他の態様の1つは、センサーネットワークを構築するための通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置と、複数の通信装置がそれぞれ有する汎用の第2の通信ユニットにより、複数の通信装置と接続可能な、複数の通信装置と異なる汎用の第1の情報処理装置とを有するシステムである。第1の情報処理装置は、複数の通信装置の識別情報を前記第2の通信ユニットを介して取得する機能と、複数の通信装置の取得された識別情報の中から、第1のセンサーネットワークを構築する複数の第1の通信装置を選択可能とする機能と、第2の通信ユニットを介して、第1のセンサーネットワークを構築するために第1の通信ユニットを介して他の第1の通信装置と通信するための第1の設定情報を複数の第1の通信装置に提供する機能とを含む。
通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置と、複数の通信装置がそれぞれ有する第2の通信ユニットにより、複数の通信装置と接続可能な第1の情報処理装置とを有するシステムが開示されている。第1の情報処理装置には、第2の通信ユニットを介して取得した複数の通信装置の識別情報を用いて、第1の通信ユニットによる第1の通信ネットワークを仮想的に構築する機能(ユニット、機能ユニット)と、仮想的に構築された第1の通信ネットワークにしたがって他の通信装置と通信するための第1の設定情報を、第2の通信ユニットを介して、複数の通信装置の中の、第1の通信ネットワークを制御する通信装置に設定する機能(ユニット、機能ユニット)とを含む。このシステムにおいては、複数の通信装置が、第1の設定情報にしたがい第1の通信ユニットにより通信を行う第1の通信ネットワークを簡単に構築できる。
【0010】
第1の通信ネットワークを仮想的に構築する機能は、第1の情報処理装置に複数の通信装置をそれぞれ示す複数のアイコンを表示する機能と、複数のアイコンをドラッグ・アンド・ドロップすることにより、複数のアイコンにより仮想的な第1の通信ネットワークを構築する機能とを含んでもよい。
【0011】
複数の通信装置は、クラウドに接続可能な親機を介して、センサーから取得した測定データを提供する子機と、親機と子機とを中継可能な中継機とを含んでもよい。通信ネットワークを仮想的に構築する機能は、親機を含めた通信ネットワークを構築する機能を含んでもよい。第1の通信ユニットは特定小電力無線局用の通信を行う機能を含み、第2の通信ユニットはBLE通信を行う機能を含んでもよい。ホストとなる第1の情報処理装置は、ノートPCであってもよく、タブレット端末であってもよく、スマートホン端末であってもよい。
【0012】
本発明のさらに異なる他の態様の1つは、センサーネットワークを構築するために他の通信装置に通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ含む複数の通信装置である。それぞれの複数の通信装置は、複数の通信装置と異なる汎用の第1の情報処理装置と接続可能であり、複数の通信装置と実質的に並列に接続可能な汎用の第2の通信ユニットと、第2の通信ユニットを介して、第1の情報処理装置に当該通信装置の識別情報を提供し、他の通信装置と通信するための第1の設定情報を取得して第1の通信ユニットを設定し、センサーネットワークを構築するように構成された通信ネットワーク構成ユニットとを有する通信装置である。
他の通信装置に通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置を含む第1の通信ネットワークを構築する通信装置が開示されている。通信装置は、第1の情報処理装置に対して複数の通信装置と接続可能な第2の通信ユニットと、第2の通信ユニットを介して、第1の情報処理装置に当該通信装置の識別情報を提供し、第1の情報処理装置において仮想的に構築された複数の通信装置を含む第1の通信ネットワークにしたがって他の通信装置と通信するための第1の設定情報を取得して前記第1の通信ユニットを設定するように構築された通信ネットワーク構成ユニットとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】複数の通信装置を含むネットワークを構築するシステムを示すブロック図。
図2】ネットワークを構築するプロセスを示すフローチャート。
図3】仮想ネットワークの一例を示す図。
図4】仮想ネットワークを構築するプロセスの一例を示す図。
図5図4に続いて仮想ネットワークを構築するプロセスを示す図。
図6図5に続いて仮想ネットワークを構築するプロセスを示す図。
【発明の実施の形態】
【0014】
図1に、ワイヤレスセンサーネットワーク(WSN)65を構築(構成)するシステム1を示している。WSN65は、他の通信装置を中継しながら通信メッセージを伝送する第1の通信ユニット51をそれぞれ有する複数の通信装置60を含む。複数の通信装置60には、クラウド9に接続可能な親機20を介して、内蔵または外付けされたセンサー59から取得した測定データを提供する子機50と、親機20と子機50とを中継可能な中継機30とを含む。なお、以降において、親機20を含めた通信装置60、すなわち、親機20、中継機30および子機50からなる通信ネットワーク(第1の通信ネットワーク)65を構築すること説明する。
【0015】
システム1は、他の通信装置60、本例においては、親機20および/または中継機30を中継しながら通信メッセージを伝送する第1の通信ユニット51をそれぞれ有する複数の通信装置60を有する。システム1は、さらに、複数の通信装置60がそれぞれ有する第2の通信ユニット52により、複数の通信装置60と実質的に並列に接続可能なホストPC(第1の情報処理装置)10を有する。ホストPC10には、第2の通信ユニット52を介して取得した複数の通信装置60の識別情報IDを用いて、複数の通信装置60を含む第1の通信ネットワーク65を仮想的に構築(構成)する機能(機能ユニット)15と、仮想的に構築された第1の通信ネットワーク15nにしたがって第1の通信ユニット51を介して他の通信装置と通信するための設定情報(第1の設定情報)15sを、第2の通信ユニット52を介して複数の通信装置60の中の、第1の通信ネットワーク65を制御する通信装置、例えば親機20に設定する機能(機能ユニット)16とが実装されている。設定する機能16は、第1の通信ネットワーク65を構成する複数の通信装置60の各々に、第1の設定情報15sを設定してもよい。ツリー型またはスター型のネットワークを構築(構成)する場合は、中心となる親機20にのみ設定情報15sが設定されていてもネットワークの構築が可能である。一方、リング型、メッシュ型などの分散型のネットワークを構築する場合には、ネットワークを構成する全ての通信装置60に設定情報15sが設定されていてもよい。
【0016】
子機50は、他の通信装置60、例えば、中継機30または親機20を中継しながら通信メッセージを伝送する第1の通信ネットワーク65を構成する通信装置60の1つのタイプである。子機50は、第1の通信ユニット51をそれぞれ有し、第1の通信ユニット51を介して第1の通信ネットワーク65を構築する。子機50は、ホストPC(第1の情報処理装置)10に対して複数の通信装置60、すなわち、親機20、中継機30および他の子機50と実質的に並列に接続可能な第2の通信ユニット52と、第2の通信ユニット52を介して、ホストPC10に子機50の識別情報IDを提供するように構成された通信ネットワーク構成ユニット55とを含む。通信ネットワーク構成ユニット55は、ホストPC10において仮想的に構築された複数の通信装置を含む通信ネットワーク15nにしたがって他の通信装置60と通信するための設定情報15sを取得して第1の通信ユニット51を設定する機能を含んでいてもよい。
【0017】
子機50は温度、湿度などを測定するセンサー59と、測定された値(測定データ)59aを記録する内蔵メモリー58と、第1の通信ユニット51として機能する特定小電力(400MHz)無線通信ユニットと、第2の通信ユニット52として機能するBLE(2.4GHz)通信ユニットと、これらを制御するプロセッサ53とを含む。子機50は、センサー59とともに、あるいはセンサー59の代わりに、外部のセンサーと接続可能なインターフェイスを備えていてもよい。特定小電力無線ユニット51は、親機20または中継機30と通信するために使用され、BLE通信ユニット52は、スマホ・タブレット端末などのホストPC10と通信するために使用される。
【0018】
特定小電力無線通信ユニット51は、特定小電力無線2により、子機50の記録データ(測定データ)59aを含む通信メッセージ2aを、他の通信装置である中継機30または親機20を中継しながら、インターネット9あるいは他の通信ネットワーク上に構築されるサーバー40まで伝送してアップロードするために用いられる。また、特定小電力無線通信ユニット51は、子機50における記録条件(測定条件)を設定するためにも使用される。
【0019】
BLE通信ユニット52は、Bluetooth(登録商標)規格の一部として策定された仕様による無線通信3によりホストPC10と通信する。BLE通信ユニット52は、子機50が親機20および中継機30と特定小電力無線2で通信して、センサーネットワーク65を構築(形成)するための条件(ID、周波数チャンネル)をホストPCに提供するために使用される。通信ネットワーク65を構成するための情報(設定情報)15sが提供されるために使用されてもよい。
【0020】
子機50は、メモリー58およびプロセッサ53を含むコンピュータ資源を含む。プロセッサ53は、メモリー58に記録されているプログラム(プログラム製品)53aをダウンロードすることにより所定の機能が実装され、機能モジュールあるいは機能ユニットとして動作する。プロセッサ53は、通信ネットワーク構成ユニット55としての機能を含む。通信ネットワーク構成ユニット55は、第2の通信ユニットであるBLE通信ユニット52を介して、ホストPC10に子機50の識別情報IDを提供する。通信ネットワーク構成ユニット55は、ホストPC10において仮想的に構築された複数の通信装置60を含む通信ネットワーク(仮想通信ネットワーク)15nにしたがって他の通信装置と通信するための周波数チャンネルなどを含む設定情報15sを取得して第1の通信ユニットである特定小電力無線通信ユニット51を設定してもよい。通信ネットワーク構成ユニット55は、予め設定された周波数チャンネル、IDなどを用いて特定小電力無線通信ユニット51を介して通信してもよい。この処理により、子機50は、中継機30および親機20を含む、実際の通信ネットワーク65を構成して、特定小電力無線2によりメッセージ2aを伝送することが可能となる。
【0021】
プロセッサ53は、さらに、内部のセンサー59または外部のセンサーから測定データ59aを定期的に取得する測定機能56と、特定小電力無線通信ユニット51により、親機20または中継機30からの呼び出しに対応して測定データ59aを含むメッセージ2aを伝送する通信機能(通信制御ユニット)54とを含む。センサー59は内蔵されていても、外付けされていてもよく、温度、湿度、電圧、電流、パルス、照度、赤外線強度、CO2濃度などの物理量の1つを測定するものであってもよく、複数種類の物理量を測定する多種多様なセンサー(複数のセンサー)を含んでいてもよい。
【0022】
通信機能54は、BLE通信ユニット52を介して取得した通信ネットワーク65を構築するための条件15sを用いて、または、予め設定されている条件を用いて、省電力で、他の通信装置60と通信するように特定小電力無線通信ユニット51を動作させる。具体的には、通信機能54は、親機20または中継機30と、ユーザーまたはシステム1の設計者により設定された仕様またはプロトコルにしたがって特定小電力無線通信ユニット51を動作させる。特定小電力無線通信ユニット51による通信には、ホスト10に搭載されているような汎用の通信機能と通信するような汎用性は不要であり、特定の通信装置60から構築される第1の通信ネットワーク65の中で、特定のプロトコルまたは仕様にしたがって通信できればよく、特定の目的、例えば、省電力を最優先するようなプロトコルまたは仕様で通信を行うことができる。
【0023】
BLE通信ユニット52は、ホスト10に搭載されている汎用のBluetooth(登録商標)通信ユニット52と、汎用のプロトコルにしたがって通信する。このため、子機50は、ペアリングなどの所定の処理が行われており、BLE通信3が可能な距離にあれば、ホスト10とBLE通信ユニット52を介して通信が可能である。その一方、汎用のホスト10と通信するために、BLE通信ユニット52では汎用の仕様およびプロトコルにしたがった通信が行われ、必ずしも省電力などのユーザーまたはシステム1が最優先する目的にしたがった通信は行われない。
【0024】
第1の通信ネットワーク65は、子機50に含まれた、また子機50を介して接続されるセンサーを含むネットワーク(センサーネットワーク)である。すなわち、特定小電力無線通信ユニット51による第1の通信ネットワーク65が構成されると、それはセンサーネットワークとして機能する。子機50は、センサーから測定データ59aを取得し、それをメッセージ2aに含めてセンサーネットワーク65を介してクラウド9にアップする。この処理においては、BLE通信ユニット52の機能は不要である。したがって、いったん、センサーネットワーク65による通信が確立した後は、BLE通信ユニット52を停止して電力消費をさらに削減するような処理も可能である。
【0025】
親機20は、BLE通信ユニット52により得られた第1の設定情報15sに基づいて、特定小電力無線通信ユニット51による第1の通信ネットワーク65を構成し、それはセンサーネットワークとして機能させる。さらに、親機20は、子機50から特定小電力無線2でアップロードされた記録データ59aを含むメッセージ2aを、インターネット9上のクラウドサービス(WebStorage)サーバー40にアップロードする機器としても機能する。親機20は、特定小電力(400MHz)無線通信ユニット51と、BLE(2.4GHz)通信ユニット52の2種類の規格の無線機能と、さらに、インターネット9に接続するための機能として、有線LAN、無線LANまたは3G・LTE通信などを行うクラウド接続ユニット(第3の通信ユニット、ネットワーク接続ユニット)21とを含む。親機20は、メモリー28と、プロセッサ23とを含むコンピュータ資源を備えている。プロセッサ23は、メモリー28に記録されているプログラム(プログラム製品)23aをダウンロードすることにより所定の機能が実装され、機能モジュールあるいは機能ユニットとして動作する。
【0026】
プロセッサ23は、通信ネットワーク構成ユニット25としての機能を含み、子機50の通信ネットワーク構成ユニット55と同様の処理を行う。通信ネットワーク構成ユニット25は、第2の通信ユニットであるBLE通信ユニット52を介して、ホストPC10に親機20の識別情報IDを提供する。通信ネットワーク構成ユニット25は、ホストPC10において仮想的に構築された複数の通信装置60を含む通信ネットワーク(仮想通信ネットワーク)15nにしたがって他の通信装置と通信するための周波数チャンネルなどを含む第1の設定情報15sを取得して第1の通信ユニットである特定小電力無線通信ユニット51を設定する。この処理により、親機20は、中継機30および子機50を含む、実際の第1の通信ネットワーク65を構成して、特定小電力無線2によりメッセージ2aを伝送することを可能とする。
【0027】
プロセッサ23は、さらに、子機50より転送されたメッセージ2aの測定データ59aを、クラウド接続ユニット21を介してクラウド9にアップするアップロード機能26と、特定小電力無線通信ユニット51により、子機50または中継機30を呼び出してメッセージ2aを取得する通信機能24とを含む。通信機能(通信制御ユニット)24は、BLE通信ユニット52を介して取得したセンサーネットワーク65を構築するための設定情報15sを用いて特定小電力無線通信ユニット51を設定し、特定小電力無線通信ユニット51を用いて子機50または中継機30と通信してメッセージ2aを取得する。
【0028】
中継機30は、子機50と親機20との間でメッセージ2aを中継してセンサーネットワーク65を形成するために使用され、親機20、子機50間の無線通信距離を延ばすための機器である。中継機30は、特定小電力(400MHz)無線通信ユニット51と、BLE(2.4GHz)通信ユニット52の2種類の規格の無線機能を含む。さらに、中継機30は、メモリー38と、プロセッサ33とを含むコンピュータ資源を含む。プロセッサ33は、メモリー38に記録されているプログラム(プログラム製品)33aをダウンロードすることにより所定の機能が実装され、機能モジュールあるいは機能ユニットとして動作する。プロセッサ33は、子機50の通信ネットワーク構成ユニット55と同様の処理を行う通信ネットワーク構成ユニット35と、特定小電力無線通信ユニット51を用いて子機50および中継機30と通信してメッセージ2aを中継する通信機能(通信制御ユニット)34とを含む。ネットワーク構成ユニット35は、BLE通信ユニット52を介してセンサーネットワーク65を構築するための設定情報15sを取得してもよく、通信機能34は、その設定情報15sを用いて特定小電力無線通信ユニット51を設定してもよい。
【0029】
ホストPC(ホスト、第1の情報処理装置)10は、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートホンなどであり、メモリー13およびプロセッサ11を含む汎用的なコンピュータ資源と、通信および処理を行う資源を含む。典型的には、ホスト10は、BLE(Bluetooth(登録商標))通信ユニット52と、有線LAN、無線LANまたは3G・LTE通信などを行うクラウド接続ユニット(ネットワーク接続ユニット)12と、メモリー13と、プロセッサ11と、ユーザーインターフェイス14とを含む。プロセッサ11は、メモリー13に記録されているプログラム(プログラム製品)11aをダウンロードすることにより所定の機能が実装され、機能モジュールあるいは機能ユニットとして動作する。プロセッサ11は、種々のアプリケーション19を実行する機能と、センサーネットワークである第1の通信ネットワーク65を仮想的に構築する機能15と、仮想的に構築された第1の通信ネットワーク15nにしたがって通信装置60が通信するための設定情報(第1の設定情報)15sを通信装置60の各々に設定する機能16とを含む。プログラム11aは、これらの機能を実装するための命令を含み、プログラム(プログラム製品)11aは、メモリーあるいは他の記録媒体に記録して提供できる。
【0030】
通信ネットワークを構築する機能(第1の通信ネットワークを構築する機能)15は、複数の通信装置60をそれぞれ示す複数のアイコンを表示する機能15aと、複数のアイコンをドラッグ・アンド・ドロップすることにより、複数のアイコンにより仮想的な通信ネットワーク15nを構築する機能15bとを含む。
【0031】
図2に、ホストPC10において、親機20、中継機30および子機50を含む通信装置60により通信ネットワーク(第1の通信ネットワーク、センサーネットワーク)65を構築するステップ70を含むプロセスを示している。ステップ71において、ホスト10は、ホスト10からBLE通信の範囲に存在し、ペアリングなど通信開始のための処理が行われた複数の通信装置60と通信する。ホスト10および複数の通信装置60が、BLE通信ユニット52を介して、実質的に並列に通信を行い、各通信装置60、すなわち、親機20、中継機30および子機50の識別情報IDを取得する。識別情報IDには、通信装置60の種類、例えば、親機20、中継機30、子機50、さらに、子機50に内蔵しているセンサー59などが含まれていてもよい。
【0032】
このステップ71において、BLE通信ユニット52は、通信ネットワーク65を構築する複数の通信装置60から、それぞれの識別情報IDを一括して受信できればよい。したがって、無線ネットワーク65を構築する、または構築する候補となる複数の通信装置60に対して、仮想ネットワークをホスト10の上で構築する処理のために障害とならない程度の時間間隔でそれらの通信装置60と通信が行われればよく、必ずしも同時にそれらの通信装置60との間で通信が行われる必要はない。BLE通信ユニット52を用いた通信3は、このステップおよび以降の処理において、ユーザーがほとんど同時にそれらの通信装置60の情報を取得または操作できる程度に、並列的に、断続的に、あるいは順番に、すなわち、実質的に並列に、それらの通信装置60との間で通信が行われればよい。
【0033】
ステップ72において、BLE通信ユニット52を介して取得された通信装置60の識別情報IDを用いてホスト10の上で、複数の通信装置60を含む通信ネットワークを仮想的に構築する。このステップ72は、ホスト10のディスプレイあるいはタッチパネルなどのユーザーインターフェイス(U/I)14に、複数の通信装置60をそれぞれ示す複数のアイコンを表示するステップ73と、複数のアイコンをドラッグ・アンド・ドロップすることにより、複数のアイコンにより仮想的な通信ネットワーク15nを構築するステップ74とを含む。
【0034】
図3から図6に、U/I14、例えばタッチパネルを用いて仮想ネットワーク15nを構築する一例を示している。この例では、図3に示すような、冷蔵庫内の温度を測定するための仮想通信ネットワーク15nを複数の通信装置60で構築し、その情報を、親機20へ提供(供給、フィードバック)して親機20を設定することにより、通信ネットワーク(センサーネットワーク)65を構築する。親機20とともに、その他の各通信装置60へ提供(供給、フィードバック)して各通信装置60を設定することにより、通信ネットワーク(センサーネットワーク)65を構築してもよい。
【0035】
まず、図4に示すように、タッチパネル14に表示された複数の親機20のIDの中から「12340000」を選択すると、冷蔵庫内の温度測定用のネットワーク15nの親機20として、タッチパネル14に親機のアイコン81が表示される。次に、図5に示すように、タッチパネル14に表示されている複数の中継機30および子機50の中から、親機20と直に通信する中継機30および子機50を選択して、親機20のアイコン81にドラッグ・アンド・ドロップする。
【0036】
例えば、3つの中継機30のアイコン(Repeater1~3)82と、2つの子機50のアイコン83とを親機20のアイコン81にドラッグ・アンド・ドロップする。この操作により、親機20とこれらの中継機30および子機50とが直に(中継機なしで)接続されるネットワークが構築される。また、親機20と接続された中継機30のアイコン82に、3つの子機50のアイコン83をドラッグ・アンド・ドロップする。この操作により、中継機30とこれらの子機50とが直に(他の中継機なしで)接続され、子機50が中継機30を介して親機20と接続されるネットワークが構築される。
【0037】
また、親機20と接続された中継機30のアイコン82に、他の中継機30のアイコン82をドラッグ・アンド・ドロップし、さらに、その中継機30のアイコン82に2つの子機50のアイコン83をドラッグ・アンド・ドロップしてもよい。この操作により、これらの子機50が2つの中継機30を介して親機20と接続されるネットワークが構築される。
【0038】
図6は、上記のように仮想的に形成されたネットワーク15nの一部の構成を確認する様子を示している。例えば、親機20に繋がった中継機30のアイコン82に対して、3台の子機50を示すアイコン83が接続されている状態が示されており、中継機30に対して3台の子機50が接続されたネットワークが構築されていることを示している。
【0039】
図2に戻って、ホスト10は、ステップ74において仮想的なネットワーク15nが形成されると、ステップ75において、仮想的な通信ネットワーク15nにしたがって特定小電力無線ユニット(第1の通信ユニット)51を介して他の通信装置と通信するための設定情報(第1の設定情報)15sを、BLE通信ユニット(第2の通信ユニット)52を介して親機20に提供する。ステップ76において、親機20は、設定情報15sに含まれる通信ネットワーク15nのルーティング情報に基づいて、中継機30および子機50と通信する。中継機30は、親機20から通信とともに供給されるルーティング情報を含む設定情報15sにしたがって下位の中継機30および/または子機50と通信する。子機50および中継機30は、親機20から受信したルーティング情報を含む設定情報15sにしたがって上記の中継機30または親機20に対して測定データ59aを含むメッセージ2aを送信する。このようにして、ホストPC10で仮想的に構築された通信ネットワーク15nに含まれている複数の通信装置60により、実空間において、特定小電力無線ユニット(第1の通信ユニット)51による第1の通信ネットワーク65が形成され、稼働させることができる。
【0040】
ステップ75において、通信ネットワーク15nに含まれている複数の通信装置60の各々に第1の設定情報15sを提供し、それぞれの通信装置60の特定小電力無線ユニット(第1の通信ユニット)51の通信条件を設定してもよい。この処理により、実空間において、複数の通信装置60により第1の通信ネットワーク65を稼働させる条件が整う。このため、ステップ76において、例えば、BLE通信ユニット52を介して、親機20、中継機30および子機50を含む複数の通信装置60に、センサー59を用いて計測するとともに、その測定データ59aを含むメッセージ2aを伝送する処理の開始を通知してもよい。これにより、通信ネットワーク65に属する親機20、中継機30および子機50が特定小電力無線ユニット51を用いた通信を開始し、通信ネットワーク65を稼働させることができる。この場合、BLE通信ユニット52は、無線ネットワーク65により通信を開始するための設定情報15sを複数の通信装置60に対して一括して配信できればよく、実質的に並列に複数の通信装置60に対してアクセスできればよい。
【0041】
なお、上記の例では、複数の通信装置(無線装置)60の間の通信ネットワーク65を構築する第1の通信ユニット(第1の無線ユニット)51の一例として特定小電力無線(400MHz)を用いた例を示しているが、特定小電力無線(900MHz)であってもよく、ZigBee(登録商標)などの他の省電力通信が可能な通信方式を用いた通信ユニットであってもよい。子機50および中継機30は、バッテリーで稼働するものであってもよく、通信に要する電力消費が少ないことが望ましい。したがって、第1の通信ユニット51は、ホストPC10には標準的に搭載されず、カスタマイズが容易で、省電力化が容易な通信ユニットであればよい。
【0042】
一方、ホストPC10と接続する第2の通信ユニット52として、上記ではBLE通信ユニットを採用した例を示しているが、他の汎用的な通信ユニットであって、ホストPC10に標準的に搭載される通信ユニット、例えば、無線LANユニットであってもよい。また、上記では、子機50がセンサーを内蔵した、あるいはセンサーと接続されたセンサーネットワークを例に説明しているが、子機50が中継機30としての機能を内蔵していてもよい。また、センサーネットワークに限らず、その他の無線通信マルチホップ方式で通信を行う端末を含む通信ネットワークに対して本発明を適用することが可能である。
上記には通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置が、前記第1の通信ユニットによる第1の通信ネットワークを構築することを有する方法が記載されている。前記複数の通信装置は、それぞれ、第1の情報処理装置と通信可能な第2の通信ユニットを含み、前記第1の通信ネットワークを構築することは、前記第1の情報処理装置が、前記第2の通信ユニットを介して、前記複数の通信装置の識別情報を取得することと、前記識別情報を用いて前記第1の情報処理装置上で、前記複数の通信装置を含む前記第1の通信ネットワークを仮想的に構築することと、仮想的に構築された前記第1の通信ネットワークにしたがって他の通信装置と通信するための第1の設定情報を、前記第2の通信ユニットを介して、前記複数の通信装置の中の、前記第1の通信ネットワークを制御する通信装置に設定することとを含む。この方法は、さらに、前記第1の通信ネットワークに属する前記複数の通信装置が前記第1の設定情報にしたがい前記第1の通信ユニットにより通信を行うことを有してもよい。また、前記第1の通信ユニットにより通信を行うことは、前記第1の通信ユニットが特定小電力無線局用の通信を用いることを含んでもよい。前記識別情報を取得することは、前記複数の通信装置が、それぞれ、前記第1の情報処理装置と実質的に並列に通信することを含んでもよい。前記第1の通信ネットワークを仮想的に構築することは、前記第1の情報処理装置に前記複数の通信装置をそれぞれ示す複数のアイコンを表示することと、前記複数のアイコンをドラッグ・アンド・ドロップすることにより、前記複数のアイコンにより仮想的な前記第1の通信ネットワークを構築することとを含んでもよい。前記複数の通信装置は、親機と、子機と、前記親機と前記子機とを中継可能な中継機とを含み、前記第1の通信ネットワークを仮想的に構築することは、前記親機、前記中継機および前記子機を含めた通信ネットワークを構築することを含んでもよい。前記親機は、クラウドに接続可能な第3の通信ユニットを含み、前記子機は、測定データを取得するセンサーまたは前記センサーとのインターフェイスを含み、前記第1の通信ネットワークを仮想的に構築することは、センサーネットワークを構築することを含んでもよい。前記設定することは、前記第1の設定情報を、前記第2の通信ユニットを介して、前記親機に設定することを含んでもよい。前記設定することは、前記第1の設定情報を、前記第2の通信ユニットを介して、前記複数の通信装置の各々に設定することを含んでもよい。前記第1の通信ネットワークを構築することは、前記第2の通信ユニットがBLE通信を用いることを含んでもよい。
上記には、通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置に対し第2の通信ユニットを介して通信可能な情報処理装置を制御するためのプログラムであって、前記情報処理装置が、前記複数の通信装置の識別情報を前記第2の通信ユニットを介して取得することと、前記識別情報を用いて前記情報処理装置上で、前記第1の通信ユニットによる第1の通信ネットワークを仮想的に構築することと、前記仮想的に構築された前記第1の通信ネットワークにしたがって通信するための第1の設定情報を、前記第2の通信ユニットを介して、前記複数の通信装置の中の、前記第1の通信ネットワークを制御する通信装置に設定することとを実行するための命令を有するプログラムが記載されている。
上記には、通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ有する複数の通信装置と、前記複数の通信装置がそれぞれ有する第2の通信ユニットにより、前記複数の通信装置と接続可能な第1の情報処理装置とを有し、前記第1の情報処理装置は、前記第2の通信ユニットを介して取得した前記複数の通信装置の識別情報を用いて、前記第1の通信ユニットによる第1の通信ネットワークを仮想的に構築する機能と、仮想的に構築された前記第1の通信ネットワークにしたがって通信するための第1の設定情報を、前記第2の通信ユニットを介して前記複数の通信装置の中の、前記第1の通信ネットワークを制御する通信装置に設定する機能とを含むシステムが記載されている。前記第1の通信ネットワークを仮想的に構築する機能は、前記第1の情報処理装置に前記複数の通信装置をそれぞれ示す複数のアイコンを表示する機能と、前記複数のアイコンをドラッグ・アンド・ドロップすることにより、前記複数のアイコンにより仮想的な前記第1の通信ネットワークを構築する機能とを含んでもよい。前記複数の通信装置は、親機と、子機と、前記親機と前記子機とを中継可能な中継機とを含み、前記第1の通信ネットワークを仮想的に構築する機能は、前記親機、前記中継機および前記子機を含めた通信ネットワークを構築する機能を含んでもよい。前記親機は、クラウドに接続可能な第3の通信ユニットを含み、前記子機は、測定データを取得するセンサーまたは前記センサーとのインターフェイスを含んでもよい。前記第1の通信ユニットは特定小電力無線局用の通信を行う機能を含み、前記第2の通信ユニットはBLE通信を行う機能を含んでもよい。
さらに、上記には、他の通信装置に通信メッセージを伝送する第1の通信ユニットをそれぞれ含む複数の通信装置により第1の通信ネットワークを構成する通信装置であって、第1の情報処理装置に対して前記複数の通信装置と接続可能な第2の通信ユニットと、前記第2の通信ユニットを介して、前記第1の情報処理装置に当該通信装置の識別情報を提供し、前記第1の情報処理装置において仮想的に構築された前記第1の通信ネットワークにしたがって他の通信装置と通信するための第1の設定情報を取得して前記第1の通信ユニットを設定するように構成された通信ネットワーク構成ユニットとを有する通信装置が記載されている。
【0043】
また、上記においては、本発明の特定の実施形態を説明したが、様々な他の実施形態および変形例は本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者が想到し得ることであり、そのような他の実施形態および変形は以下の請求の範囲の対象となり、本発明は以下の請求の範囲により規定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6