(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】ダイヤフラム部材をダイヤフラムボスに取り付ける方法、及び、ダイヤフラム部材をダイヤフラムボスに取り付けるロボットアーム装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/04 20060101AFI20240708BHJP
B23P 19/02 20060101ALI20240708BHJP
B25J 9/16 20060101ALI20240708BHJP
F16K 7/12 20060101ALI20240708BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B23P19/04 G
B23P19/02 C
B25J9/16
F16K7/12
B25J15/06 G
(21)【出願番号】P 2021565624
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2020047009
(87)【国際公開番号】W WO2021125235
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2019228367
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】池上 広高
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-286037(JP,A)
【文献】特開平10-132101(JP,A)
【文献】特開平07-178636(JP,A)
【文献】特開昭63-180429(JP,A)
【文献】実開昭64-038366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
B25J 1/00-21/02
F16K 7/00- 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状本体部と、当該柱状本体部の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部と、を有するダイヤフラム部材であって、前記柱状本体部には、取付表面側に小径凹部が設けられ、当該小径凹部の奥方に更に大径凹部が設けられている、というダイヤフラム部材を、
前記小径凹部と嵌合可能な軸部と、前記軸部に接続され前記大径凹部と嵌合可能な拡径部と、を有するダイヤフラムボス
に取り付ける方法であって、
(1)前記ダイヤフラムボスを、前記軸部及び前記拡径部が上方側に露出するように固定する工程と、
(2)エア吸引部を有するロボットアーム装置を用いて、前記ダイヤフラム部材を、前記小径凹部及び前記大径凹部が下方側に露出するようにエア吸引力で把持する工程と、
(3)前記工程(1)及び前記工程(2)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を傾斜させつつ、前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を、前記ダイヤフラムボスの前記拡径部に接触させる工程と、
(4)前記工程(3)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を回動させつつ前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を前記ダイヤフラムボスに対して押し当てていき、前記大径凹部に前記拡径部を嵌合させると共に前記小径凹部に前記軸部を嵌合させる工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
(5)前記工程(4)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(6)前記工程(5)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び傾斜させ、当該傾斜角度を維持しながら前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラム部材を回動させる工程
を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(7)前記工程(6)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程
を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイヤフラム部材は、前記取付表面側とは反対側に、バルブ封止面を有しており、
前記エア吸引部は、前記バルブ封止面に接触することなく、前記ダイヤフラム部材を把持する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
柱状本体部と、当該柱状本体部の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部と、を有するダイヤフラム部材であって、前記柱状本体部には、取付表面側に小径凹部が設けられ、当該小径凹部の奥方に更に大径凹部が設けられている、というダイヤフラム部材を、
前記小径凹部と嵌合可能な軸部と、前記軸部に接続され前記大径凹部と嵌合可能な拡径部と、を有するダイヤフラムボス
に取り付けるためのロボットアーム装置であって、
前記ダイヤフラム部材を、前記小径凹部及び前記大径凹部が露出するようにエア吸引力で把持可能なエア吸引部と、
前記エア吸引部に接続され、当該エア吸引部の位置及び姿勢を変更するロボットアーム機構と、
前記ロボットアーム機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(3)前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を傾斜させつつ、前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を、前記ダイヤフラムボスの前記拡径部に接触させる工程と、
(4)前記工程(3)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラ部材ムの前記小径凹部及び/または前記大径凹部を回動させつつ前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を前記ダイヤフラムボスに対して押し当てていき、前記大径凹部に前記拡径部を嵌合させると共に前記小径凹部に前記軸部を嵌合させる工程と、
を実施可能である
ことを特徴とするロボットアーム装置。
【請求項7】
前記制御部は、
(5)前記工程(4)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程
を更に実施可能であることを特徴とする請求項6に記載のロボットアーム装置。
【請求項8】
前記制御部は、
(6)前記工程(5)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び傾斜させ、当該傾斜角度を維持しながら前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラム部材を回動させる工程
を更に実施可能であることを特徴とする請求項7に記載のロボットアーム装置。
【請求項9】
前記制御部は、
(7)前記工程(6)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程
を更に実施可能であることを特徴とする請求項8に記載のロボットアーム装置。
【請求項10】
前記ダイヤフラム部材は、前記取付表面側とは反対側に、バルブ封止面を有しており、
前記エア吸引部は、前記バルブ封止面に接触することなく、前記ダイヤフラム部材を把持可能となっている
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のロボットアーム装置。
【請求項11】
前記エア吸引部は、前記拡径部の前記軸部とは反対側の面に接触することなく、前記ダイヤフラムボスを把持可能となっている
ことを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のロボットアーム装置。
【請求項12】
柱状本体部と、当該柱状本体部の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部と、を有するダイヤフラム部材であって、前記柱状本体部には、取付表面側に小径凹部が設けられ、当該小径凹部の奥方に更に大径凹部が設けられている、というダイヤフラム部材を、
前記小径凹部と嵌合可能な軸部と、前記軸部に接続され前記大径凹部と嵌合可能な拡径部と、を有するダイヤフラムボス
に取り付けるためのロボットアーム装置であって、
前記ダイヤフラム部材を、前記小径凹部及び前記大径凹部が露出するようにエア吸引力で把持可能なエア吸引部と、
前記エア吸引部に接続され、当該エア吸引部の位置及び姿勢を変更するロボットアーム機構と、
前記ロボットアーム機構を制御する制御部と、
を備え、
前記エア吸引部は、段差を介して高さ方向に連続する下方大径孔と上方小径孔とを有しており、
前記ダイヤフラム部材は、前記柱状本体部が前記下方大径孔内に受容された状態で、前記エア吸引力によって把持されるようになっており、
前記ダイヤフラム部材は、前記エア吸引力によって把持された状態で、前記段差に当接するようになっている
ことを特徴とするロボットアーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラム部材をダイヤフラムボスに取り付ける方法、及び、ダイヤフラム部材をダイヤフラムボスに取り付けるロボットアーム装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイヤフラム式電磁弁は、流体の通流/遮断の制御に用いられている。
【0003】
例えば、従来のダイヤフラム式電磁弁は、
図10に示すように、流路110a、110bが開口するダイヤフラム着座面112を有する電磁弁本体部110と、電磁弁本体部110のダイヤフラム着座面112に着座するように設けられたダイヤフラム部材120と、ダイヤフラム部材120を保持するダイヤフラムボス130と、ダイヤフラムボス130と一体である移動コア(
図10では不図示)と、移動コアに対して電磁力を作用させ、当該移動コアを電磁弁本体部110のダイヤフラム着座面112から離れる方向に移動させることでダイヤフラム部材120をダイヤフラム着座面112から離間させるコイル収容部(
図10では不図示)と、を備えている。
【0004】
より詳細には、ダイヤフラム部材120は、円柱状本体部123と、当該円柱状本体部123の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部124と、薄肉湾曲部124の更に外側に環状に設けられた厚肉外周部125と、を有しており、円柱状本体部123には、ダイヤフラムボス130に対する取付表面側に小径凹部122が設けられ、当該小径凹部122の奥方に更に大径凹部121が設けられている。一方、ダイヤフラムボス130は、小径凹部122と嵌合可能な軸部132と、当該軸部132に接続され大径凹部121と嵌合可能な拡径部131と、を有している。
【0005】
従来、ダイヤフラムボス130とダイヤフラム部材120とは、ダイヤフラム部材120の弾性変形を利用して、作業者の手作業によって嵌合(及び取り外し)されていた。
【0006】
ダイヤフラム式電磁弁のその他の基本的な構造については、例えば特開2009-257438(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-257438
【文献】特開2019-150915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、ダイヤフラムボスとダイヤフラム部材とを嵌合(及び取り外し)する作業は、人手によって行われている。
【0009】
ところが、近い将来、人手不足の深刻化が見込まれているため、本件発明者は、ロボット導入による自動化について検討してきた。
【0010】
ワークを把持するロボットハンドは、様々なタイプのものが開発されている。例えば特開2019-150915(特許文献2)には、爪状のワーク把持部を用いてワークを把持するロボットハンドが開示されている。
【0011】
しかしながら、ダイヤフラム部材は、不所望な力が加えられると不所望に塑性変形してしまう虞があるデリケートな部材である。一方、ダイヤフラム部材をダイヤフラムボスに嵌合させるためには、相応の力を加える必要がある。
【0012】
本件発明者は、鋭意の検討の結果、エア吸引力を利用してダイヤフラム部材を把持することが、不所望な変形を回避しつつダイヤフラム部材を確実に把持するのに効果的であることを見出し、更に、ダイヤフラムボスに対する嵌合のための力の加え方についても、ダイヤフラム部材の不所望な変形をより確実に回避できる態様を見出した。
【0013】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、ダイヤフラム部材の不所望な変形をより確実に回避できるような、ダイヤフラム部材をダイヤフラムボスに取り付ける方法、及び、ダイヤフラム部材をダイヤフラムボスに取り付けるロボットアーム装置、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、柱状本体部と、当該柱状本体部の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部と、を有するダイヤフラム部材であって、前記柱状本体部には、取付表面側に小径凹部が設けられ、当該小径凹部の奥方に更に大径凹部が設けられている、というダイヤフラム部材を、前記小径凹部と嵌合可能な軸部と、前記軸部に接続され前記大径凹部と嵌合可能な拡径部と、を有するダイヤフラムボスに取り付ける方法であって、
(1)前記ダイヤフラムボスを、前記軸部及び前記拡径部が上方側に露出するように固定する工程と、
(2)エア吸引部を有するロボットアーム装置を用いて、前記ダイヤフラム部材を、前記小径凹部及び前記大径凹部が下方側に露出するようにエア吸引力で把持する工程と、
(3)前記工程(1)及び前記工程(2)の後、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を傾斜させつつ、前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を、前記ダイヤフラムボスの前記拡径部に接触させる工程と、
(4)前記工程(3)の後、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を回動させつつ前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を前記ダイヤフラムボスに対して押し当てていき、前記大径凹部に前記拡径部を嵌合させると共に前記小径凹部に前記軸部を嵌合させる工程と、
を備えたことを特徴とする方法である。
【0015】
本発明によれば、エア吸引力を利用してダイヤフラム部材を把持することにより、不所望な変形を回避しつつダイヤフラム部材を確実に把持することができ、更に、ダイヤフラムボスの軸部の軸線に対してダイヤフラム部材の柱状本体部の軸線を傾斜させつつダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部をダイヤフラムボスの拡径部に接触させてから、ダイヤフラムボスの軸部の軸線回りにダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部を回動させつつダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部をダイヤフラムボスに対して押し当てていくことにより、ダイヤフラム部材の不所望な変形をより確実に回避しながら、大径凹部に拡径部を嵌合させると共に小径凹部に軸部を嵌合させることができる。
【0016】
本発明において、(5)前記工程(4)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程、を更に備えることが好ましい。
【0017】
工程(5)によれば、拡径部の軸部とは反対側の面と大径凹部の奥方側の面とをしっかり密着させることができ、ダイヤフラム部材とダイヤフラムボスとの結合をより堅固なものとすることができる。
【0018】
この場合、(6)前記工程(5)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び傾斜させ、当該傾斜角度を維持しながら(円錐面内で)前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラム部材を回動させる工程、を更に備えることが好ましい。
【0019】
工程(6)によれば、工程(4)及び工程(5)による嵌合作業が十分に機能しなかった場合等において、より確実に、大径凹部に拡径部を嵌合させると共に小径凹部に軸部を嵌合させることができる。
【0020】
この場合、(7)前記工程(6)の後に、前記ロボットアーム装置を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程、を更に備えることが好ましい。
【0021】
工程(7)によれば、拡径部の軸部とは反対側の面と大径凹部の奥方側の面とをしっかり密着させることができ、ダイヤフラム部材とダイヤフラムボスとの結合をより堅固なものとすることができる(工程(5)と略同様の効果である)。
【0022】
また、前記ダイヤフラム部材は、前記取付表面側とは反対側に、バルブ封止面を有しており、前記エア吸引部は、前記バルブ封止面に接触することなく、前記ダイヤフラム部材を把持することが好ましい。
【0023】
この場合、電磁弁の性能において重要なバルブ封止面を、より確実に、ダイヤフラム部材の仕上げ後の状態のまま維持することができる。
【0024】
あるいは、本発明は、柱状本体部と、当該柱状本体部の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部と、を有するダイヤフラム部材であって、前記柱状本体部には、取付表面側に小径凹部が設けられ、当該小径凹部の奥方に更に大径凹部が設けられている、というダイヤフラム部材を、前記小径凹部と嵌合可能な軸部と、前記軸部に接続され前記大径凹部と嵌合可能な拡径部と、を有するダイヤフラムボスに取り付けるためのロボットアーム装置であって、前記ダイヤフラム部材を、前記小径凹部及び前記大径凹部が露出するようにエア吸引力で把持可能なエア吸引部と、前記エア吸引部に接続され、当該エア吸引部の位置及び姿勢を変更するロボットアーム機構と、前記ロボットアーム機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
(3)前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を傾斜させつつ、前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を、前記ダイヤフラムボスの前記拡径部に接触させる工程と、
(4)前記工程(3)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を回動させつつ前記ダイヤフラム部材の前記小径凹部及び/または前記大径凹部を前記ダイヤフラムボスに対して押し当てていき、前記大径凹部に前記拡径部を嵌合させると共に前記小径凹部に前記軸部を嵌合させる工程と、
を実施可能である
ことを特徴とするロボットアーム装置である。
【0025】
本発明によれば、エア吸引力を利用してダイヤフラム部材を把持することにより、不所望な変形を回避しつつダイヤフラム部材を確実に把持することができ、更に、ダイヤフラムボスの軸部の軸線に対してダイヤフラム部材の柱状本体部の軸線を傾斜させつつダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部をダイヤフラムボスの拡径部に接触させてから、ダイヤフラムボスの軸部の軸線回りにダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部を回動させつつダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部をダイヤフラムボスに対して押し当てていくことにより、ダイヤフラム部材の不所望な変形をより確実に回避しながら、大径凹部に拡径部を嵌合させると共に小径凹部に軸部を嵌合させることができる。
【0026】
本発明において、前記制御部は、(5)前記工程(4)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程、を更に実施可能であることが好ましい。
【0027】
工程(5)によれば、拡径部の軸部とは反対側の面と大径凹部の奥方側の面とをしっかり密着させることができ、ダイヤフラム部材とダイヤフラムボスとの結合をより堅固なものとすることができる。
【0028】
この場合、前記制御部は、(6)前記工程(5)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び傾斜させ、当該傾斜角度を維持しながら前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線回りに前記ダイヤフラム部材を回動させる工程、を更に実施可能であることが好ましい。
【0029】
工程(6)によれば、工程(4)及び工程(5)による嵌合作業が十分に機能しなかった場合等において、より確実に、大径凹部に拡径部を嵌合させると共に小径凹部に軸部を嵌合させることができる。
【0030】
この場合、前記制御部は、(7)前記工程(6)の後に、前記ロボットアーム機構を制御して、前記ダイヤフラムボスの前記軸部の軸線に対して前記ダイヤフラム部材の前記柱状本体部の軸線を再び一致させた状態で、前記ダイヤフラム部材を当該軸線回りに往復回動させる工程、を更に備えることが好ましい。
【0031】
工程(7)によれば、拡径部の軸部とは反対側の面と大径凹部の奥方側の面とをしっかり密着させることができ、ダイヤフラム部材とダイヤフラムボスとの結合をより堅固なものとすることができる(工程(5)と略同様の効果である)。
【0032】
また、前記ダイヤフラム部材は、前記取付表面側とは反対側に、バルブ封止面を有しており、前記エア吸引部は、前記バルブ封止面に接触することなく、前記ダイヤフラム部材を把持可能となっていることが好ましい。
【0033】
この場合、電磁弁の性能において重要なバルブ封止面を、より確実に、ダイヤフラム部材の仕上げ後の状態のまま維持することができる。
【0034】
また、前記エア吸引部は、前記拡径部の前記軸部とは反対側の面に接触することなく、前記ダイヤフラムボスを把持可能となっていることが好ましい。
【0035】
この場合、ダイヤフラム部材とダイヤフラムボスとの堅固な結合において重要なダイヤフラムボスの拡径部の軸部とは反対側の面を、より確実に、ダイヤフラムボスの仕上げ後の状態のまま維持することができる。
【0036】
あるいは、本発明は、柱状本体部と、当該柱状本体部の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部と、を有するダイヤフラム部材であって、前記柱状本体部には、取付表面側に小径凹部が設けられ、当該小径凹部の奥方に更に大径凹部が設けられている、というダイヤフラム部材を、前記小径凹部と嵌合可能な軸部と、前記軸部に接続され前記大径凹部と嵌合可能な拡径部と、を有するダイヤフラムボスに取り付けるためのロボットアーム装置であって、前記ダイヤフラム部材を、前記小径凹部及び前記大径凹部が露出するようにエア吸引力で把持可能なエア吸引部と、前記エア吸引部に接続され、当該エア吸引部の位置及び姿勢を変更するロボットアーム機構と、前記ロボットアーム機構を制御する制御部と、を備え、前記エア吸引部は、段差を介して高さ方向に連続する下方大径孔と上方小径孔とを有しており、前記ダイヤフラム部材は、前記柱状本体部が前記下方大径孔内に受容された状態で、前記エア吸引力によって把持されるようになっており、前記ダイヤフラム部材は、前記エア吸引力によって把持された状態で、前記段差に当接するようになっていることを特徴とするロボットアーム装置である。
【0037】
本発明によれば、エア吸引力を利用してダイヤフラム部材を把持することにより、不所望な変形を回避しつつダイヤフラム部材を確実に把持することができ、更に、段差を利用してダイヤフラム部材に押し当て力を適用することができるため、ダイヤフラム部材の不所望な変形をより確実に回避しながら、大径凹部に拡径部を嵌合させると共に小径凹部に軸部を嵌合させることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、エア吸引力を利用してダイヤフラム部材を把持することにより、不所望な変形を回避しつつダイヤフラム部材を確実に把持することができ、更に、ダイヤフラムボスの軸部の軸線に対してダイヤフラム部材の柱状本体部の軸線を傾斜させつつダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部をダイヤフラムボスの拡径部に接触させてから、ダイヤフラムボスの軸部の軸線回りにダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部を回動させつつダイヤフラム部材の小径凹部及び/または大径凹部をダイヤフラムボスに対して押し当てていくことにより、ダイヤフラム部材の不所望な変形をより確実に回避しながら、大径凹部に拡径部を嵌合させると共に小径凹部に軸部を嵌合させることができる。
【0039】
あるいは、本発明によれば、エア吸引力を利用してダイヤフラム部材を把持することにより、不所望な変形を回避しつつダイヤフラム部材を確実に把持することができ、更に、段差を利用してダイヤフラム部材に押し当て力を適用することができるため、ダイヤフラム部材の不所望な変形をより確実に回避しながら、大径凹部に拡径部を嵌合させると共に小径凹部に軸部を嵌合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロボットアーム装置の概略図である。
【
図3】移動コアの一部であるダイヤフラムボスの一例の断面図である。
【
図5】
図1のロボットアーム装置のエア吸引部の概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る方法を示すフローチャートである。
【
図7】エア吸引部がダイヤフラムボスを含む移動コアを把持している状態を示す概略図である。
【
図8】エア吸引部がダイヤフラム部材を把持している状態を示す概略図である。
【
図9】ダイヤフラムボスに嵌合されたダイヤフラム部材を示す概略図である。
【
図10】ダイヤフラム式電磁弁の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットアーム装置の概略図であり、
図2は、ダイヤフラム部材の一例の断面図であり、
図3は、移動コアの一部であるダイヤフラムボスの一例の断面図であり、
図4は、グランドの一例の断面図であり、
図5は、
図1のロボットアーム装置のエア吸引部の概略図である。
【0043】
図1に示すように、本実施形態のロボットアーム装置10は、ダイヤフラム部材20等をエア吸引力で把持可能なエア吸引部1と、エア吸引部1に接続され当該エア吸引部1の位置及び姿勢を変更するロボットアーム機構2と、ロボットアーム機構2を制御する制御部3と、を備えている。
【0044】
図2に示すように、本実施形態のダイヤフラム部材20は、円柱状本体部(柱状本体部の一例)23と、当該円柱状本体部23の外周に環状に設けられた薄肉湾曲部24と、薄肉湾曲部24の更に外側に環状に設けられた厚肉外周部25と、を有している。ダイヤフラム部材20の材料は、例えばゴム(フッ素ゴム等)である。
【0045】
円柱状本体部23には、移動コア5の一部であるダイヤフラムボス30に対する取付表面側に小径凹部22が設けられ、当該小径凹部22の奥方に更に大径凹部21が設けられている。また、円柱状本体部23の取付表面側とは反対側の面は、バルブ封止面26として仕上げられている。
【0046】
本実施形態の円柱状本体部23は、高さ4.5mm、直径6mmであり、薄肉湾曲部24の外径は、14.4mmであり、薄肉湾曲部24の厚み(高さ)は、概ね0.5mmであり、厚肉外周部25の外径は、18.3mmである。
【0047】
また、本実施形態の小径凹部22は、高さ1mm、直径3mmであり、大径凹部21は、高さ2mm、直径5mmである。
【0048】
次に、
図3に示すように、本実施形態のダイヤフラムボス30は、移動コア5の一部であって、小径凹部22と嵌合可能な軸部32と、当該軸部32に接続され大径凹部21と嵌合可能な拡径部31と、を有している。ダイヤフラムボス30の材料は、例えば磁性材料(電磁ステンレス鋼等)である。
【0049】
本実施形態の軸部32は、長さ(高さ)3mm、直径3mmであり、識別用のV字溝が設けられている。また、本実施形態の拡径部31は、高さ2mm、直径5.1mmである(大径凹部21が弾性変形することで嵌合するようになっている)。
【0050】
更に、本実施形態では、
図4に示すグランド40と呼ばれる環状部材も用いられる。本実施形態のグランド40は、外径18.4mm、内径8.4mmであり、下方垂下部41は、長さ(高さ)2.4mm、外径13mm、内径11.8mmであり、下方垂下部41を除いたグランド40の高さは、2.55mmである。
【0051】
一方、本実施形態のエア吸引部1は、
図5に示すように、段差1sを介して高さ方向に連続する下方大径孔1aと上方小径孔1bとを有している。上方小径孔1bは、更に、縦孔1cと横孔1dとを介して、不図示のエア吸引機構に接続されている。当該エア吸引機構の作用により、エア吸引部1は、下方大径孔1a及び/または上方小径孔1bに受容される物体を負圧によって把持することができるようになっている。エア吸引部1の材料は、把持対象物を傷つけることがないよう、例えば硬質樹脂(ナイロン等)が採用される。
【0052】
本実施形態の下方大径孔1aは、長さ(高さ)2.4mm、直径6.2mmであり、本実施形態の上方小径孔1bは、長さ(高さ)2.8mm、直径5.2mmである。
【0053】
続いて、
図6は、本発明の一実施形態に係る方法を示すフローチャートであり、
図7は、エア吸引部1がダイヤフラムボス30を含む移動コア5を把持している状態を示す概略図であり、
図8は、エア吸引部1がダイヤフラム部材20を把持している状態を示す概略図であり、
図9は、ダイヤフラムボス30に嵌合されたダイヤフラム部材20を示す概略図である。
【0054】
本実施形態では、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、エア吸引部1のエア吸引力を用いて、予めグランド40が嵌合された移動コア5を把持する(STEP0)。
【0055】
この時、
図7に示すように、拡径部31が概ね上方小径孔1b内に受容されて、エア吸引機構がもたらす負圧が効果的に把持力として作用する。
【0056】
また、この時、エア吸引部1は、拡径部31の軸部32とは反対側の面に接触することなく、ダイヤフラムボス30含む移動コア5を把持する。これにより、当該面を、ダイヤフラムボス30の仕上げ後の状態のまま維持することができる。このため、ダイヤフラム部材20とダイヤフラムボス30との堅固な結合をより効果的にもたらすことができる。
【0057】
次に、本実施形態では、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、エア吸引部1によって把持したダイヤフラムボス30を含む移動コア5を、所定のエアチャック(不図示)にまで移動する。そして、エア吸引機構をOFFにして、移動コア5を所定のエアチャックに引き渡す。当該エアチャックは、移動コア5を、軸部32及び拡径部31が上方側に露出するように固定する(STEP1)。
【0058】
次に、本実施形態では、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、エア吸引部1のエア吸引力を用いて、ダイヤフラム部材20を把持する(STEP2)。
【0059】
この時、
図8に示すように、円柱状本体部123が概ね下方大径孔1a内に受容されて、エア吸引機構がもたらす負圧が効果的に把持力として作用する。
【0060】
また、この時、エア吸引部1は、バルブ封止面26に接触することなく、ダイヤフラム部材20を把持する。これにより、当該面を、ダイヤフラム部材20の仕上げ後の状態のまま維持することができる。このため、ダイヤフラム弁としての所望の性能をより確実に実現することができる。
【0061】
次に、本実施形態では、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を傾斜させつつ(例えば傾斜角度10°~30°、好ましくは傾斜角度20°)、ダイヤフラム部材20の小径凹部22及び/または大径凹部21を、ダイヤフラムボス30の拡径部31に接触させる(STEP3)。
【0062】
これに引き続いて、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線回りにダイヤフラム部材20の小径凹部22及び/または大径凹部21を回動させつつダイヤフラム部材20の小径凹部22及び/または大径凹部21をダイヤフラムボス30に対して押し当てていき(具体的には、例えば傾斜角度を次第に小さくしていく(例えば3/4回転程度の間に傾斜角度を0°にする))、大径凹部21に拡径部31を嵌合させると共に小径凹部22に軸部32を嵌合させる(STEP4)。押し当てて行く際の力は、段差1sからダイヤフラム部材20に与えられる。
【0063】
なお、本実施形態のSTEP4では、エア吸引部1の位置制御が採用され、荷重フィードバック制御は行われない。
【0064】
本実施形態では、更にこれに引き続いて、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を一致させた状態で(傾斜角度が0°の状態で)、ダイヤフラム部材20を当該軸線回りに往復回動させる(STEP5)。往復回動は、例えば交互に、右回り略半周回、左回り略半周回、右回り略半周回、左回り略半周回、右回り略半周回、左回り略半周回、右回り略半周回、左回り略半周回、右回り略半周回、左回り略半周回、の合計10半周回がなされる。
【0065】
ここで、本実施形態のSTEP5では、荷重フィードバック制御が行われ、段差1sからダイヤフラム部材20に与えられる力が、所定の値(例えば20N~30N、好ましくは25N)に維持される。
【0066】
本実施形態では、更にこれに引き続いて、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を再び傾斜させ(例えば傾斜角度10°~30°、好ましくは傾斜角度20°)、当該傾斜角度を維持しながら(そのような円錐面内で)ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線回りにダイヤフラム部材20を回動させる(STEP6)。この回動は、例えば、右回り略5周回程度なされる。
【0067】
ここで、本実施形態のSTEP6でも、荷重フィードバック制御が行われ、段差1sからダイヤフラム部材20に与えられる力が、所定の値(例えば10N~30N、好ましくは20N)に維持される。
【0068】
本実施形態では、更にこれに引き続いて、制御部3がロボットアーム機構2を制御して、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を再び一致させた状態で(傾斜角度を0°に戻して)、ダイヤフラム部材20を当該軸線回りに再び往復回動させる(STEP7)。往復回動は、例えば交互に、右回り略半周回、左回り略半周回、右回り略半周回、左回り略半周回、右回り略半周回、左回り略半周回、の合計6半周回がなされる。
【0069】
ここで、本実施形態のSTEP7でも、荷重フィードバック制御が行われ、段差1sからダイヤフラム部材20に与えられる力が、所定の値(例えば20N~30N、好ましくは25N)に維持される。
【0070】
以上のようにして互いに嵌合されたダイヤフラム部材20及びダイヤフラムボス30を、
図9に示す。
【0071】
以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、エア吸引力を利用してダイヤフラム部材20を把持することにより、不所望な変形を回避しつつダイヤフラム部材20を確実に把持することができる。
【0072】
更に、以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を傾斜させつつダイヤフラム部材20の小径凹部22及び/または大径凹部21をダイヤフラムボス30の拡径部31に接触させてから、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線回りにダイヤフラム部材20の小径凹部22及び/または大径凹部21を回動させつつダイヤフラム部材20の小径凹部22及び/または大径凹部21をダイヤフラムボス30に対して押し当てていくことにより(STEP4)、ダイヤフラム部材20の不所望な変形をより確実に回避しながら、大径凹部21に拡径部31を嵌合させると共に小径凹部22に軸部32を嵌合させることができる。
【0073】
また、以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、STEP4の後に、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を一致させた状態で、ダイヤフラム部材20を当該軸線回りに往復回動させるSTEP5が実施される。これにより、拡径部31の軸部32とは反対側の面と大径凹部21の奥方側の面とをしっかり密着させることができ、ダイヤフラム部材20とダイヤフラムボス30との結合をより堅固なものとすることができる。
【0074】
また、以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、STEP5の後に、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を再び傾斜させ、当該傾斜角度を維持しながらダイヤフラムボス30の軸部32の軸線回りにダイヤフラム部材20を回動させるSTEP6が実施される。これにより、STEP4及びSTEP5による嵌合作業が十分に機能しなかった場合等において、より確実に、大径凹部21に拡径部31を嵌合させると共に小径凹部22に軸部32を嵌合させることができる。
【0075】
また、以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、STEP6の後に、ダイヤフラムボス30の軸部32の軸線に対してダイヤフラム部材20の円柱状本体部23の軸線を再び一致させた状態で、ダイヤフラム部材20を当該軸線回りに往復回動させるSTEP7が実施される。これにより、拡径部31の軸部32とは反対側の面と大径凹部21の奥方側の面とをしっかり密着させることができ、ダイヤフラム部材20とダイヤフラムボス30との結合をより堅固なものとすることができる(STEP5と略同様の効果である)。
【0076】
また、以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、エア吸引部1が、バルブ封止面26に接触することなく、ダイヤフラム部材20を把持可能である。これにより、電磁弁の性能において重要なバルブ封止面26を、より確実に、ダイヤフラム部材20の仕上げ後の状態のまま維持することができる。
【0077】
また、以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、エア吸引部1は、拡径部31の軸部32とは反対側の面に接触することなく、ダイヤフラムボス30(を含む移動コア5)を把持可能である。これにより、ダイヤフラム部材20とダイヤフラムボス30との堅固な結合において重要なダイヤフラムボス30の拡径部31の軸部32とは反対側の面を、より確実に、ダイヤフラムボス30の仕上げ後の状態のまま維持することができる。
【0078】
また、以上のような本実施形態のロボットアーム装置10によれば、段差1sを利用してダイヤフラム部材20に押し当て力を適用することができるため、ダイヤフラム部材20の不所望な変形をより確実に回避しながら、大径凹部21に拡径部31を嵌合させると共に小径凹部22に軸部32を嵌合させることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 エア吸引部
1a 下方大径孔
1b 上方小径孔
1c 縦孔
1d 横孔
1s 段差
2 ロボットアーム機構
3 制御部
5 移動コア
10 ロボットアーム装置
20 ダイヤフラム部材
21 大径凹部
22 小径凹部
23 円柱状本体部
24 薄肉湾曲部
25 厚肉外周部
26 バルブ封止面
30 移動コアの一部であるダイヤフラムボス
31 拡径部
32 軸部
40 グランド
41 下方垂下部
110 電磁弁本体部
110a 流路
110b 流路
112 ダイヤフラム着座面
120 ダイヤフラム部材
121 大径凹部
122 小径凹部
123 円柱状本体部
124 薄肉湾曲部
125 厚肉外周部
130 移動コアの一部であるダイヤフラムボス
131 拡径部
132 軸部