(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】フィルタ逆洗用バルブ
(51)【国際特許分類】
B01D 46/71 20220101AFI20240708BHJP
F16K 31/122 20060101ALN20240708BHJP
F16K 1/00 20060101ALN20240708BHJP
【FI】
B01D46/71
F16K31/122
F16K1/00 E
(21)【出願番号】P 2022088081
(22)【出願日】2022-05-30
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598040639
【氏名又は名称】株式会社 ワイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】荒井 竹志
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102961932(CN,A)
【文献】実開昭48-088570(JP,U)
【文献】実公昭43-000800(JP,Y1)
【文献】特開平07-208636(JP,A)
【文献】特開2016-065640(JP,A)
【文献】特開2020-131096(JP,A)
【文献】特開平10-137528(JP,A)
【文献】特開平08-309133(JP,A)
【文献】国際公開第02/078815(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
F16K 31/12-31/165,31/36-31/42
F16K 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ
の逆洗用バルブであって、
シリンダ本体と、
前記シリンダ本体に挿通され、前記シリンダ本体内を二分する円盤状突起部を外周面に備える中空ロッドと、
前記シリンダ本体の下端開口側に接続され、前記中空ロッドの挿通孔を備えるシリンダキャップと、
前記シリンダキャップに配設され、中央部に前記中空ロッドが挿通されるシール部材と、
前記シリンダ本体を前記中空ロッドの軸方向に上下動させるシリンダ本体駆動手段と、
前記中空ロッド内を介して前記フィルタに逆洗エアを噴出する逆洗エア供給手段と、
を含んで構成され、
前記シリンダ本体駆動手段によって前記シリンダ本体を下降させ、前記フィルタの上端開口部を閉塞するように前記シール部材を密着させ、
前記フィルタの上端開口部を閉塞した状態で、前記中空ロッドを介して前記逆洗エア供給手段から前記フィルタに逆洗エアを噴出することを特徴とするフィルタ逆洗用バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵機等が備える各種フィルタの逆洗時に好適なフィルタ逆洗用バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、集塵機や粉体搬送装置、乾燥機等が備えるベントフィルタ等の各種フィルタの逆洗機構に関する技術、及び逆洗機構を備えた集塵機が多数開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。特許文献1に開示された集塵機は、遠心力を利用してダストを除去するサイクロン集じん装置の内筒に、多孔質からなる除じん層を有し通過するガス中のダストをその表面に付着させて除じんし、付着したダストを定期的に高圧の逆風圧をかけて離脱捕集するように構成したフィルタ集じん装置を一体に組み込んでなることを特徴とする。
【0003】
この特許文献1に開示された集塵機によると、一体構造のため容器外筒、捕集灰ホッパが共通となりコンパクト化がはかれ、従って設置スペースの縮小化がはかれ、また、集じん灰のための灰処理設備を一系統とすることができ、その制御運転が簡素化される、と記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、サイクロン本体の内部を、複数の筒状フィルタを取り付けた仕切り部材によって上部空間と下部空間に仕切り、下部空間と連通するように吸気口を設け、上部空間と連通するように共通の排気口を設けると共に、サイクロン本体の下端に集塵物回収ボックスを取り付け、サイクロン本体の排気口に排気用ブロワを接続したサイクロン式集塵機において、前記仕切り部材に設けた複数の開口の周囲にそれぞれストップ弁用の弁座部を固定し、各筒状フィルタは各弁座部から下向きに垂設されており、前記各筒状フィルタの上端部を開閉自在でそれぞれ逆洗用ノズルを備えた逆洗用のストップ弁と、該ストップ弁を上下動させて開閉する圧空シリンダからなるストップ弁駆動機構と、各ストップ弁の逆洗用ノズルに接続した圧空ホース、及び各圧空ホースへの逆洗用圧空の供給・遮断をそれぞれ制御する逆洗用電磁弁を具備し、前記ストップ弁は下面にシールを具備し前記弁座部に対して密封可能な構造をなし、ストップ弁で筒状フィルタの上端部を閉塞した状態で圧空を供給することにより各筒状フィルタに独立に逆洗操作可能としたことを特徴とするサイクロン式集塵機が開示されている。
【0005】
この特許文献2に開示されたサイクロン式集塵機によると、サイクロン本体内にフィルタ逆洗機構を組み込み一体化し、また集塵配管などを集約したことにより、部品点数の低減による構造の簡素化と全体のコンパクト化を実現でき、それらによって新規グローブボックスへは無論のこと、既設のグローブボックスにも取り付けることが可能となり、ダストの捕集・回収効率は十分高くでき、内部に組み込んでいるフィルタの逆洗効率も高く、そのためフィルタ等の使用寿命を長くできる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平08-206543号公報
【文献】特許第3108639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
逆洗機構を備えた集塵機等は上述のとおり種々開示されている。特許文献1に開示された集塵機に係る濾筒(フィルタ)も、集塵機内に配設された逆洗ノズルから噴射される高圧ガス(逆洗エア)によって、ある程度の逆洗効果は得られるものと思料する。
【0008】
しかし、逆洗ノズルの噴出口が濾筒の上方に配設されており、濾筒の上方には除塵された排ガスの流路が開放された状態となっている。通常の逆洗機構では、集塵しながら定期的に逆洗エアを噴出するため、特許文献1に開示された集塵機の構成によると、集塵方向の排ガスの流れと高圧ガスがぶつかって逆洗効果が低下することとなる。また、濾筒の目詰まりがひどくなると、高圧ガスを噴射しても濾筒に付着した粉塵が除去できず、粉塵が除去できなければ高圧ガスが逆流してしまい、逆洗効果を得ることができなくなる。
【0009】
その点、特許文献2に開示されたサイクロン式集塵機によると、筒状フィルタの逆洗時にはストップ弁で筒状フィルタの上端部を閉塞した状態で圧空(逆洗エア)を供給しているため、高い逆洗効果が得られるものと思料する。
【0010】
しかし、特許文献2に開示されたサイクロン式集塵機では、ストップ弁が逆洗用ノズルに配設されており、この逆洗用ノズルに圧空ホースが接続されている。つまり、ストップ弁によって筒状フィルタの上端部を開閉する際には、圧空ホースが接続された逆洗用ノズルごと上下動させる必要があり、装置構成が複雑になると共にコンパクト化が困難である。また、逆洗機構を備えた既存の集塵機に適用しようとすると、大幅な改修作業が必要となる。
【0011】
一般的に逆洗エアには大流量かつ高圧(標準で0.5MPa程度)のものが使用されるので、逆洗ノズルは大口径となり、高圧にも耐え得る構造を備える必要がある。従って、大口径で高圧に耐え得る構造の逆洗ノズルを移動させるためには、装置構成も大掛かりなものとなり、既存装置への適用は困難である。
【0012】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、逆洗効果の大幅な向上が図られるとともに、構造をより単純且つコンパクトに構成することによって、既存の集塵機等に係る逆洗ノズルとの交換設置、或いは既存の逆洗ノズルを流用可能なフィルタ逆洗用バルブを提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち、本発明は、集塵機等が備える各種フィルタの逆洗時に好適なフィルタ逆洗用バルブであって、シリンダ本体と、前記シリンダ本体に挿通され、前記シリンダ本体内を二分する円盤状突起部を外周面に備える中空ロッドと、前記シリンダ本体の下端開口側に接続され、前記中空ロッドの挿通孔を備えるシリンダキャップと、前記シリンダキャップに配設され、中央部に前記中空ロッドが挿通されるシール部材と、前記シリンダ本体を前記中空ロッドの軸方向に上下動させるシリンダ本体駆動手段と、前記中空ロッド内を介して前記フィルタに逆洗エアを噴出する逆洗エア供給手段と、を含んで構成され、前記シリンダ本体駆動手段によって前記シリンダ本体を下降させ、前記フィルタの上端開口部を閉塞するように前記シール部材を密着させ、前記フィルタの上端開口部を閉塞した状態で、前記中空ロッドを介して前記逆洗エア供給手段から前記フィルタに逆洗エアを噴出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフィルタ逆洗用バルブによると、構造自体は非常に単純でコンパクトでありながら、集塵機等が備える各種フィルタの上端開口部を閉塞した状態で逆洗エアを噴射することができ、逆洗効果の大幅な向上が図られる。
【0015】
特に、本発明のフィルタ逆洗用バルブに係る中空ロッドを逆洗エアの噴射ノズルとして代用することができるため、従来の集塵機等に係る逆洗エアの噴射ノズルを本発明のフィルタ逆洗用バルブに交換する、或いは既存の逆洗ノズルを流用することによって、容易に逆洗効果の大幅な向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフィルタ逆洗用バルブを備えた集塵機の一例を示す全体構造図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るフィルタ逆洗用バルブの片側断面図である。
【
図3】
図2に示したフィルタ逆洗用バルブの分解構成図である。
【
図4】
図2に示したフィルタ逆洗用バルブに係るシリンダ本体の昇降移動を示す説明図であって、(a)は上昇した状態、(b)は下降した状態を示す。
【
図5】
図2に示したフィルタ逆洗用バルブによるフィルタの逆洗方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のフィルタ逆洗用バルブの一実施形態について、図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルタ逆洗用バルブ10を備えた集塵機1を示す全体構造図である。本実施形態に係る集塵機1は、吸込口2を備えるフィルタ室3と、フィルタ室3内に配設された筒状のフィルタF1,F2と、フィルタ室3と隔壁4で隔てられたクリーン室5内に配設された本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10と、粉塵を含む粉塵エアを吸込口2から吸い込み、フィルタF1,F2によって清浄化された空気を送り出すブロア6と、ブロア6を駆動するモータ7と、ブロア6によって送り出された清浄化された空気を集塵機1外へ排気する排気口8と、を含んで主に構成されている。
【0018】
そして、本実施形態に係る集塵機1が備える本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10は、
図1~
図3に示すように、シリンダ本体11と、シリンダ本体11に挿通され、シリンダ本体11内を二分する円盤状突起部12を外周面に備える中空ロッド13と、シリンダ本体11の下端開口11a側に接続され、中空ロッド13の挿通孔14aを備えるシリンダキャップ14と、シリンダキャップ14に外嵌され、中央部に中空ロッド13が挿通されるシール部材15と、シリンダ本体11を中空ロッド13の軸方向に上下動させるシリンダ本体駆動手段20と、中空ロッド13内を介してフィルタF1,F2に逆洗エアを噴出する逆洗エア供給手段30と、を含んで構成されている。なお、
図2は、本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10に係るシリンダ本体11が上昇した状態を示す。
【0019】
本実施形態に係るシリンダ本体11は、その一端側に下側フランジ16を備え、この下側フランジ16に中空ロッド13が挿通される下端開口11aを備える。下側フランジ16には、後述するシリンダ本体駆動手段20に係る下降時エア供給管23(
図1及び
図4を参照。)の接続口16aを備える。また、シリンダ本体11の他端側には上側フランジ17を備え、この上側フランジ17に中空ロッド13が挿通される上端開口11bを備える。上側フランジ17には、後述するシリンダ本体駆動手段20に係る上昇時エア供給管24(
図1及び
図4を参照。)の接続口17aを備える。なお、上側フランジ17に係る上端開口11b内には、後述する中空ロッド13に係るロッド本体13aが摺接するロッドパッキン17bが配設されている。
【0020】
本実施形態に係る中空ロッド13は、ロッド本体13aの一端に、後述する逆洗エア供給手段30(
図1を参照。)から供給される逆洗エアが噴出される噴出口13bを備え、ロッド本体13aの他端には、逆洗エア供給手段30に係る切替弁32(
図1及び
図5を参照。)との接続口13cを備える。そして、中空ロッド13に係るロッド本体13aの外周面には、この中空ロッド13をシリンダ本体11に挿通した際にシリンダ本体11内を二分する円盤状突起部12を備える。中空ロッド13に係るロッド本体13aの外周面に円盤状突起部12を備えることによって、中空ロッド13をシリンダ本体11に挿通した際、シリンダ本体11における下側フランジ16側に下降室11c、上側フランジ17側に上昇室11dが形成されることとなる。
【0021】
なお、本実施形態に係る円盤状突起部12は、中空ロッド13に係るロッド本体13aの外周面に周設された4つのツバ状凸部12aと、ツバ状凸部12a,12a間に形成される凹溝12bとで形成され、この凹溝12bにシリンダパッキン12c及びシリンダガイドパッキン12dが配設されることによって構成されているが、円盤状突起部12は当該構成に限定されず、シリンダ本体11内を二分してシリンダ本体11内に下降室11c及び上昇室11dを形成することができる構成であれば、具体的な形状等は特に限定されない。
【0022】
また、本実施形態に係るシリンダ本体11と、中空ロッド13との関係において、シリンダ本体11に係る下側フランジ16が備える下端開口11aは、中空ロッド13に係る円盤状突起部12が挿通可能な径を有し、シリンダ本体11に係る上側フランジ17が備える上端開口11bは、中空ロッド13に係るロッド本体13aが挿通可能であって、円盤状突起部12が挿通不可な径を有する。
【0023】
本実施形態に係るシリンダキャップ14は、シリンダ本体11の下側フランジ16側にパッキン19を介して接合されるが、より具体的には、シリンダ本体11にボルト18によって螺着される。シリンダキャップ14は、中空ロッド13に係るロッド本体13aの挿通孔14aを備え、この挿通孔14a内には、ロッド本体13aが摺接するロッドパッキン14bが配設されている。
【0024】
本実施形態に係るシール部材15は、シリンダ本体11に係る下側フランジ16側に配設されたシリンダキャップ14に外嵌されるドーナツ状の部材である。シール部材15の中央部には中空ロッド13が挿通されており、シール部材15に係る外周壁はシール材15aで形成され、シール部材15の下端開口縁がシール部15bとなる。なお、シール材15aの素材としては、例えばシリコンゴム等の弾性部材や、ステンレス、アルミニウム等の金属部材等が挙げられ、本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10の使用環境等に応じて適宜選択される。
【0025】
本実施形態に係るシリンダ本体駆動手段20は、中空ロッド13が挿通されたシリンダ本体11を、中空ロッド13の軸方向に上下動させるための駆動手段であって、
図1に示すように、エアコンプレッサー40から圧縮空気が供給される供給管21と、供給管21に配設される切替弁22,22と、切替弁22から本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10に係るシリンダ本体11が備える接続口16aに接続される下降時エア供給管23と、切替弁22からシリンダ本体11が備える接続口17aに接続される上昇時エア供給管24と、を含んで構成されている。エアコンプレッサー40から供給管21を介して供給される圧縮空気は、切替弁22によって下降時エア供給管23または上昇時エア供給管24に供給される。
【0026】
ここで、本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10に係るシリンダ本体11の駆動方法(昇降移動方法)について詳述する。まず、
図4(a)に示すように、シリンダ本体11が上側に位置している状態を通常時とする。シリンダ本体駆動手段20に係る切替弁22によってエアコンプレッサー40からの圧縮空気を、下降時エア供給管23を介して接続口16aからシリンダ本体11内の下降室11cに供給すると、下降室11c内の体積が増える。このとき、中空ロッド13は移動しないため、
図4(b)に示すように、下降室11c内の体積の増加に伴ってシリンダ本体11が下降することとなる。
【0027】
一方、
図4(b)の状態から、シリンダ本体駆動手段20に係る切替弁22によってエアコンプレッサー40からの圧縮空気を、上昇時エア供給管24を介して接続口17aからシリンダ本体11内の上昇室11dに供給すると、上昇室11d内の体積が増える。このときも中空ロッド13は移動しないため、
図4(a)に示すように、上昇室11d内の体積の増加に伴ってシリンダ本体11が上昇することとなる。
【0028】
本実施形態に係る逆洗エア供給手段30は、中空ロッド13に逆洗エアを供給するためのものであって、
図1に示すように、エアコンプレッサー40から圧縮空気が供給管21を介して供給される逆洗エアタンク31と、逆洗エアタンク31に配設される切替弁32,32と、を含んで構成される。切替弁32,32には、それぞれ本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10,10に係る中空ロッド13が備える接続口13cが接続される。通常時、切替弁32は閉状態となっており、逆洗時に切替弁32を開状態とすることによって、逆洗エアタンク31から逆洗エアが供給され、中空ロッド13内を介して噴出口13bから逆洗エアが噴出される。
【0029】
以上の構成を含んで成る本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10によって、集塵機1に係るフィルタF1,F2(まとめて「フィルタF」という。)の逆洗方法を説明する。
図5は、
図1に示した集塵機1における主要部を図示した説明図である。まず、
図5(a)に示すように、集塵時は、フィルタ逆洗用バルブ10に係るシリンダ本体11を上昇させた状態で、集塵機1に係るブロア6を駆動すると、吸込口2からフィルタ室3内に粉塵Dを含む粉塵エアを吸い込み、フィルタFを通過する際に粉塵Dが捕集される。フィルタFを通過して清浄化された空気は、フィルタFの上端開口部41に配設された天板42と、フィルタ逆洗用バルブ10に係るシール部材15との間からクリーン室5内に流入し、最終的に排気口8から集塵機1の外部へ排気される。なお、
図5(a)の状態が、
図1におけるフィルタF1側と同じ状態である。
【0030】
図5(b)に示すように、捕集された粉塵DによってフィルタFが目詰まりしてくると集塵効率が著しく低下するため、フィルタFの逆洗を行う。フィルタFの逆洗時には、まず、シリンダ本体駆動手段20に係る切替弁22によってエアコンプレッサー40からの圧縮空気を、下降時エア供給管23を介して接続口16aからシリンダ本体11内の下降室11cに供給する。下降室11cに供給された圧縮空気によって下降室11c内の体積が増加すると、それに伴ってシリンダ本体11が下降し、シリンダ本体11の下方に配設されたシール部材15が備えるシール部15bが天板42に密着することとなる。
【0031】
この状態から、逆洗エア供給手段30に係る切替弁32を開状態とすることによって、
図5(c)に示すように、逆洗エアタンク31から逆洗エアが供給され、中空ロッド13内を介して噴出口13bから逆洗エアがフィルタF内に噴出される。このとき、フィルタFの上端開口部41はシール部材15によって閉塞されているため、ブロア6の駆動を止めなくても粉塵エアの吸い込みは遮断され、フィルタFを通過して清浄化された空気がクリーン室5内に流入することもない。なお、この
図5(c)の状態が、
図1におけるフィルタF2側と同じ状態である。
【0032】
フィルタFの逆洗が終わると、
図5(d)に示すように、逆洗エア供給手段30に係る切替弁32を閉状態としつつ、シリンダ本体駆動手段20に係る切替弁22によってエアコンプレッサー40からの圧縮空気を、上昇時エア供給管24を介して接続口17aからシリンダ本体11内の上昇室11dに供給する。上昇室11dに供給された圧縮空気によって上昇室11d内の体積が増加すると、それに伴ってシリンダ本体11が上昇する。すると、フィルタFの上端開口部41に配設された天板42と、フィルタ逆洗用バルブ10に係るシール部材15との密着状態が解除され、フィルタFの上端開口部41とクリーン室5内が連通し、粉塵エアの浄化が再開されることとなる。
【0033】
以上の構成を含んで成る本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10によると、構造自体は非常に単純でコンパクトでありながら、集塵機1が備えるフィルタFの上端開口部41を閉塞した状態で逆洗エアを噴射することができ、逆洗効果の大幅な向上が図られる。
【0034】
特に、本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10に係る中空ロッド13を逆洗エアの噴射ノズルとして代用することができるため、従来の集塵機等に係る逆洗エアの噴射ノズルを本実施形態のフィルタ逆洗用バルブ10に交換する、或いは既存の逆洗ノズルを本実施形態に係る中空ロッド13として流用することによって、容易に逆洗効果の大幅な向上を図ることができる。
【0035】
以上、本発明のフィルタ逆洗用バルブの実施形態について詳述したが、本発明のフィルタ逆洗用バルブの技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、
図1には、本発明の一実施形態に係る集塵機1において、フィルタF1側は集塵時の状態、フィルタF2側は逆洗時の状態を示しているが、これはそれぞれの作業状態をまとめて図示したものである。つまり、フィルタF1,F2の逆洗作業は、図示したように交互に行うことも可能であるが、同時に行うことも可能である。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0036】
1:集塵機
2:吸込口
3:フィルタ室
4:隔壁
5:クリーン室
6:ブロア
7:モータ
8:排気口
10:フィルタ逆洗用バルブ
11:シリンダ本体
11a:下端開口
11b:上端開口
11c:下降室
11d:上昇室
12:円盤状突起部
13:中空ロッド
13a:ロッド本体
13b:噴出口
13c,16a,17a:接続口
14:シリンダキャップ
15:シール部材
15a:シール材
15b:シール部
16:下側フランジ
17:上側フランジ
18:ボルト
19:パッキン
20:シリンダ本体駆動手段
21:供給管
22,32:切替弁
23:下降時エア供給管
24:上昇時エア供給管
30:逆洗エア供給手段
31:逆洗エアタンク
40:エアコンプレッサー
41:上端開口部
42:天板
D:粉塵
F,F1,F2:フィルタ