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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】ボタン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240708BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240708BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240708BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240708BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240708BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20240708BHJP
   H01M 50/167 20210101ALI20240708BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240708BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20240708BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/548 201
H01M50/533
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/109
H01M50/167
H01M50/184 E
H01M50/545
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022566496
(86)(22)【出願日】2021-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 CN2021089688
(87)【国際公開番号】W WO2021218868
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】202010367316.X
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522318575
【氏名又は名称】深▲セン▼市合壹新能技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN HYNETECH COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】王曉霞
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0091753(US,A1)
【文献】特開2007-294111(JP,A)
【文献】特開2016-100122(JP,A)
【文献】中国実用新案第210245625(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/04
H01M10/058
H01M50/109
H01M50/153
H01M50/167
H01M50/184
H01M50/548
H01M50/533
H01M50/536
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/471
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の巻芯と、第1の極板耳部と、第1の集電体とを含む極板群ユニットを含むボタン電池であって、
前記第1の巻芯は、第1の電極層と、第2の電極層と、隣接する前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に介在する第1のセパレータと、を含み、前記第1の電極層は、前記第2の電極層と反対の性質を持っており、
前記ボタン電池は、電池ハウジングと、電池カバーと、絶縁の密封リングと、を更に含み、前記電池ハウジングは前記密封リングと前記電池カバーによって密封キャビティを形成し、前記密封キャビティ内に電解液が貯蔵され、前記極板群ユニットは前記密封キャビティ内に設けられ、前記第1の電極層は、前記第1の極板耳部を介して前記電池カバーに 電気的に接続され、前記第2の電極層は、前記第1の集電体を介して前記電池ハウジングに電気的に接続され、
前記極板群ユニットは、第2の巻芯を更に含み、前記第2の巻芯は、前記第1の巻芯と合わせて所定の形状を形成し、前記第2の巻芯は、前記第1の電極層と性質が同一である 第3の電極層と、前記第2の電極層と性質が同一である第4の電極層と、隣接する前記第3の電極層と前記第4の電極層との間に介在する第2のセパレータと、を含み、前記第1の電極層と前記第3の電極層は、いずれも前記第1の極板耳部を介して前記電池カバーに電気的に接続され、前記第2の電極層と前記第4の電極層は、いずれも前記第1の集電体を介して前記電池ハウジングに電気的に接続される、ことを特徴とするボタン電池。
【請求項2】
前記極板群ユニットは、第3の巻芯を更に含み、前記第3の巻芯は、前記第1の巻芯及び前記第2の巻芯と合わせて所定の形状を形成し、前記第3の巻芯は、前記第1の電極層 と性質が同一である第5の電極層と、前記第2の電極層と性質が同一である第6の電極層と、隣接する前記第5の電極層と前記第6の電極層との間に介在する第3のセパレータと、を含み、前記第1の電極層、前記第3の電極層、及び前記第5の電極層は、いずれも前 記第1の極板耳部を介して前記電池カバーに電気的に接続され、前記第2の電極層、前記第4の電極層、及び第6の電極層は、いずれも前記第1の集電体を介して前記電池ハウジングに電気的に接続される、ことを特徴とする請求項に記載のボタン電池。
【請求項3】
前記極板群ユニットは、絶縁の固定部材を更に含み、前記固定部材は、前記第1の巻芯及び前記第2の巻芯とそれぞれ固定接続される、ことを特徴とする請求項に記載のボタン電池。
【請求項4】
前記極板群ユニットは、第2の集電体を更に含み、前記第1の電極層は、前記第2の集電体を介して前記第1の極板耳部に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のボタン電池。
【請求項5】
前記第1の極板耳部は、接続体と、溶接体と、前記接続体と前記溶接体との間に設けられた弾性シート構造と、を含み、前記接続体は、前記第1の電極層に電気的に接続され、前記溶接体は、前記電池カバーに溶接固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のボ タン電池。
【請求項6】
前記ボタン電池は、第1の絶縁パッドと第2の絶縁パッドと、を更に含み、前記第1の絶縁パッドは、前記極板群ユニットと前記電池カバーとの間に設けられ、前記第2の絶縁パッドは、前記極板群ユニットと前記電池ハウジングの底壁との間に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のボタン電池。
【請求項7】
前記極板群ユニットは、第2の極板耳部を更に含み、前記第2の極板耳部は前記第1の 集電体に電気的に接続され、前記第2の極板耳部は、前記第2の絶縁パッドと前記電池ハウジングとの間に設けられ、且つ前記電池ハウジングの底壁に溶接固定される、ことを特徴とする請求項に記載のボタン電池。
【請求項8】
前記電池ハウジングには、収容キャビティが設けられ、前記電池ハウジングは、環状の受け体と、前記受け体に設けられた押圧体と、を含み、前記受け体は、前記収容キャビティの外側に嵌設され、且つ前記収容キャビティのポートに設けられ、前記電池カバーは、前記密封リングを介して前記受け体と前記押圧体との間に設けられ、前記押圧体は、前記受け体と合わせて、前記電池カバーと前記密封リングをクランピングするために使用される、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のボタン電池。
【請求項9】
前記密封リングは、前記受け体と前記押圧体との間に設けられ、前記電池カバーを包むための凹溝を形成する、ことを特徴とする請求項に記載のボタン電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電池の技術分野に関し、特にボタン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ボタン電池は、移動可能な電源として、様々な場合に広く用いられ、人々の生活に必要不可欠な用品となっている。従来のボタン型の極板群ユニットは、ハウジング、極板群、電解液などを含み、極板群は、更に積層型と巻回型がある。
【0003】
従来の巻回型のボタン電池には導通不良があり、内部抵抗が高くなり、セルのエネルギーが不安定になるといった問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、接触面積を増加させて、充放電性能を向上させ、電池の動作安定性を向上させることができるボタン電池を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その技術案は、以下の通りである。
【0006】
一態様では、本発明は、ボタン電池を提供する。当該ボタン電池は、極板群ユニットを含み、極板群ユニットは、第1の巻芯と、第1の極板耳部と、第1の集電体と、を含み、第1の巻芯は、第1の電極層と、第2の電極層と、隣接する第1の電極層と第2の電極層との間に介在する第1のセパレータと、を含み、第1の電極層は、第2の電極層と反対の性質を持っている。ボタン電池は、電池ハウジングと、電池カバーと、絶縁の密封リングと、を更に含み、電池ハウジングは密封リングと電池カバーによって密封キャビティを形成し、密封キャビティ内に電解液が貯蔵され、極板群ユニットは密封キャビティ内に設けられ、第1の電極層は、第1の極板耳部を介して電池カバーに電気的に接続され、第2の電極層は、第1の集電体を介して電池ハウジングに電気的に接続される。
【0007】
当該ボタン電池は、電子機器の内部スペースの要求に応じて柔軟に設計することができる。具体的には、ボタン電池の外形特徴に応じて、密封キャビティの形状を設計した後に、第1の巻芯を利用して所望の極板群の形状を形成し、第1の電極層は第1の極板耳部を介して電池カバーに電気的に接続され、第2の電極層は第1の集電体を介して電池ハウジングに電気的に接続され、更に、第1の極板耳部を利用して一方の電極を形成し、第1の集電体によって仕上げられて他方の電極を形成することにより、接触面積を増加させ、セルの内部抵抗の低減に寄与する。当該ボタン電池は、接触面積を増加させて、セルの内部抵抗の低減に寄与し、充放電性能を向上させ、電池の動作安定性を向上させることができる。
【0008】
以下、技術案について更に説明する。
【0009】
一つの実施例において、極板群ユニットは、第2の巻芯を更に含み、第2の巻芯は、第1の巻芯と合わせて所定の形状を形成し、第2の巻芯は、第1の電極層と性質が同一である第3の電極層と、第2の電極と性質が同一である第4の電極層と、隣接する第3の電極層と第4の電極層との間に介在する第2のセパレータと、を含み、第1の電極層と第3の電極層は、いずれも第1の極板耳部を介して電池カバーに電気的に接続され、第2の電極層と第4の電極層は、いずれも第1の集電体を介して電池ハウジングに電気的に接続される。このようにして、第1の巻芯と第2の巻芯とを合わせて所定の形状(すなわち、ボタン電池の形状に応じて柔軟に設定することができる所望の極板群形状)を形成し、第1の極板耳部を介して第1の電極層と第3の電極層とを電気的に接続し、第1の集電体を介して第2の電極層と第4の電極層とを電気的に接続することによって、第1の巻芯と第2の巻芯とが相対的に独立し、かつ並列に動作するため、内部抵抗を低減することができる。当該極板群ユニットは、従来の巻回型の極板群と比較すると、内部抵抗がより小さく、積層型の極板群と比較すると、第1の巻芯と第2の巻芯との組み合わせのみによって極板群の構築を完成することができるため、組み立て工程が簡単となる。そして、ボタン電池は、上記の極板群ユニットを採用し、相対的に独立した巻芯を利用して極板群の構築を完成するため、巻芯がその軸方向に沿って膨張しないため、密封構造を破壊せず、密封キャビティの密封を確実にし、液漏れしにくい。それと同時に、第1の巻芯と第2の巻芯を並列に動作させるため、充放電の乗数性能の向上に寄与し、電子製品の高速充電に対する要求を満たすことができる。
【0010】
一つの実施例において、極板群ユニットは、第3の巻芯を更に含み、第3の巻芯は、第1の巻芯及び第2の巻芯と合わせて所定の形状を形成し、第3の巻芯は、第1の電極層と性質が同一である第5の電極層と、第2の電極と性質が同一である第6の電極層と、隣接する第5の電極層と第6の電極層との間に介在する第3のセパレータと、を含み、第1の電極層、第3の電極層、及び第5の電極層は、いずれも第1の極板耳部を介して電池カバーに電気的に接続され、第2の電極層、第4の電極層、及び第6の電極層は、いずれも第1の集電体を介して電池ハウジングに電気的に接続される。
【0011】
一つの実施例において、極板群ユニットは、絶縁の固定部材を更に含み、固定部材は、第1の巻芯及び第2の巻芯にそれぞれ固定接続される。
【0012】
一つの実施例において、極板群ユニットは、第2の集電体を更に含み、第1の電極層は、第2の集電体を介して第1の極板耳部に電気的に接続される。
【0013】
一つの実施例において、第1の極板耳部は、接続体と、溶接体と、接続体と溶接体との間に設けられた弾性シート構造と、を含み、接続体は、第1の電極層に電気的に接続され、溶接体は、電池カバーに溶接固定される。
【0014】
一つの実施例において、ボタン電池は、第1の絶縁パッドと、第2の絶縁パッドと、を更に含み、第1の絶縁パッドは、極板群ユニットと電池カバーとの間に設けられ、第2の絶縁パッドは、極板群ユニットと電池ハウジングの底壁との間に設けられる。
【0015】
一つの実施例において、極板群ユニットは、第2の極板耳部を更に含み、第2の極板耳部は第1の集電体に電気的に接続され、第2の極板耳部は、第2の絶縁パッドと電池ハウジングとの間に設けられ、且つ電池ハウジングの底壁に溶接固定される。
【0016】
一つの実施例において、電池ハウジングには、収容キャビティが設けられ、電池ハウジングは、環状の受け体と、受け体に設けられた押圧体と、を含み、受け体は、収容キャビティの外側に嵌設され、且つ収容キャビティのポートに設けられ、電池カバーは、密封リングを介して受け体と押圧体との間に設けられ、押圧体は、受け体と合わせて、電池カバーと密封リングをクランピングするために使用される。
【0017】
一つの実施例において、密封リングは、受け体と押圧体との間に設けられ、電池カバーを包むための凹溝を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施例におけるボタン電池の半断面模式図である。
図2図1に示された第1の巻芯の模式図である。
図3】一実施例における極板群ユニットの模式図である。
図4】一実施例におけるボタン電池の半断面模式図である。
図5図4に示されたボタン電池の上面模式図である。
図6図4に示されたAの部分拡大模式図である。
図7図4に示されたBの部分拡大模式図である。
【符号の説明】
【0019】
100 極板群ユニット;110 第1の巻芯;112 第1の電極層;114 第2の電極層;116 第1のセパレータ;120 第1の極板耳部;122 接続体;124 溶接体;126 弾性シート構造;130 第1の集電体;140 第2の巻芯;142 第3の電極層;144 第4の電極層;146 第2のセパレータ;150 第2の極板耳部;200 電池ハウジング;210 収容キャビティ;220 受け体;230 押圧体;300 電池カバー;400 密封リング;410 凹溝;500 第1の絶縁パッド;600 第2の絶縁パッド。
【0020】
本発明の一部を構成する図面は、本発明のさらなる理解を提供するために使用され、本発明の模式的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するために使用され、本発明の不当な制限を構成するものではない。
【0021】
以下、本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、実施例の説明に必要な図面について簡単に説明する。以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な努力を払わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができることが明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、技術案及び利点を更に明確にするために、以下は図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本発明を更に詳細に説明する。なお、ここで説明した具体的な実施形態は本発明を説明するためのものだけであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0023】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明に属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、本発明を限定するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連するリストされた項目の1つ又は複数の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0024】
図1図2に示されるように、一実施例では、ボタン電池を提供する。当該ボタン電池は、極板群ユニット100を含み、極板群ユニット100は、第1の巻芯110と、第1の極板耳部120と、第1の集電体130とを含み、第1の巻芯110は、第1の電極層112と、第2の電極層114と、隣接する第1の電極層112と第2の電極層114との間に介在する第1のセパレータ116と、を含み、第1の電極層112は、第2の電極層114と反対の性質を持っている。ボタン電池は、電池ハウジング200と、電池カバー300と、絶縁の密封リング400と、を更に含み、電池ハウジング200は密封リング400と電池カバー300によって密封キャビティを形成し、密封キャビティ内に電解液が貯蔵され、極板群ユニット100は密封キャビティ内に設けられ、第1の電極層112は、第1の極板耳部120を介して電池カバー300に電気的に接続され、第2の電極層114は、第1の集電体130を介して電池ハウジング200に電気的に接続される。
【0025】
当該ボタン電池は、電子機器の内部スペースの要求に応じて柔軟に設計することができる。具体的には、ボタン電池の外形特徴に応じて、密封キャビティの形状を設計した後に、第1の巻芯110を利用して所望の極板群の形状を形成し、第1の電極層112は、第1の極板耳部120を介して電池カバー300に電気的に接続され、第2の電極層114は、第1の集電体130を介して電池ハウジング200に電気的に接続され、更に、第1の極板耳部120を利用して一方の電極を形成し、第1の集電体130によって仕上げられて他方の電極を形成することにより、接触面積を増加させ、セルの内部抵抗の低減に寄与する。当該ボタン電池は、接触面積を増加させて、充放電性能を向上させ、電池の動作安定性を向上させることができる。
【0026】
説明すべきものとして、「第1の電極層112は、第2の電極層114と反対の性質を持っている」ということは、第1の電極層112が正極層である場合、第2の電極層114が負極層であり、又は第1の電極層112が負極層である場合、第2の電極層114が正極層であることを意味する。
【0027】
つまり、「第1の電極層112は、第3の電極層142と同一の性質を持っている」ということは、両者とも正極層又は負極層であることを意味する。
【0028】
説明すべきものとして、「第1の集電体130」は金属箔であり、銅箔、アルミニウム箔などを含むが、これらに限定されない。
【0029】
説明すべきものとして、本発明の「極板群ユニット100」は、極板群機能を有するアセンブリの略称である。
【0030】
当該密封リング400は、既に定型された密封素子であってもよいし、密封剤を利用してコーティングして形成されてもよく、具体的な実施過程はここでは説明しない。
【0031】
更に、第1の極板耳部120と電池カバー300を溶接固定する方法、及び、第1の集電体130と電池ハウジング200を溶接固定する方法として、抵抗溶接や、超音波溶接、レーザ溶接がある。超音波溶接により形成する溶接形状としては、単点状、多点状(2点より大きい)、三角形、長方形、円形などがあり、レーザ溶接により形成する溶接スポットとしては、単点、2点、3点、4点、多点、直線形、十字形などがあり、抵抗溶接により形成する溶接形状としては、円形、三角形、長方形などがある。
【0032】
従来の積層型の極板群の構造は、組み立て工程が非常に複雑であり、かつその極板群の厚さ方向の膨張は封口の信頼性に影響を与え、液漏れを引き起こしやすい。一方、従来の巻回型の極板群は、内部構造の欠陥のため充放電の乗数性能の向上に影響を与えることがある。
【0033】
これに鑑みて、一実施例では、従来技術とは異なる極板群ユニット100を提供する。この極板群ユニット100は、従来の巻回型の極板群と比較すると、内部抵抗がより小さく、積層型の極板群と比較すると、組み立て工程が簡単である。
【0034】
具体的には、図4図6に示されるように、極板群ユニット100は、第2の巻芯140を更に含み、第2の巻芯140は、第1の巻芯110と合わせて所定の形状を形成し、第2の巻芯140は、第1の電極層112と性質が同一である第3の電極層142と、第2の電極層114と性質が同一である第4の電極層144と、隣接する第3の電極層142と第4の電極層144との間に介在する第2のセパレータ146と、を含み、第1の電極層112と第3の電極層142は、いずれも第1の極板耳部120を介して電池カバー300に電気的に接続され、第2の電極層114と第4の電極層144は、いずれも第1の集電体130を介して電池ハウジング200に電気的に接続される。このようにして、第1の巻芯110と第2の巻芯140とを合わせて所定の形状(すなわち、ボタン電池の形状に応じて柔軟に設定することができる所望の極板群形状)を形成し、第1の極板耳部120を介して第1の電極層112と第2の巻芯140を電気的に接続し、第1の集電体130を介して第2の電極層114と第4の電極層144を電気的に接続することによって、第1の巻芯110と第2の巻芯140とが相対的に独立し、かつ並列に動作するため、内部抵抗を低減することができる。当該極板群ユニット100は、従来の巻回型の極板群と比較すると、内部抵抗がより小さく、積層型の極板群と比較すると、第1の巻芯110及び第2の巻芯140との組み合わせのみによって極板群の構築を完成することができるため、組み立て工程が簡単となる。
【0035】
それと同時に、当該ボタン電池は、上記の極板群ユニット100を採用し、相対的に独立した巻芯を利用して極板群の構築を完成するため、巻芯がその軸方向に沿って膨張しないため、密封構造を破壊せず、密封キャビティの密封を確実にし、液漏れしにくいとともに、第1の巻芯110と第2の巻芯140を並列に動作させるため、充放電の乗数性能の向上に寄与し、電子製品の高速充電に対する要求を満たすことができる。
【0036】
説明すべきものとして、「第1の巻芯110」及び「第2の巻芯140」の断面は、半円形、多角形、又は半楕円形などを含むが、これらに限定されない。これに対応して、極板群ユニット100の断面は、円形、多角形、又は楕円形などを含むが、これらに限定されない。
【0037】
なお、「第1の巻芯110」及び「第2の巻芯140」の製造過程では、巻き針を使用し、巻き針の断面形状は、半円形、多角形、半楕円形を含むが、これらに限定されない。
【0038】
上記の多角形は、三角形、四角形、五角形などを含むが、これらに限定されない。
【0039】
更に、上記の実施例に基づき、一実施例では、極板群ユニット100は、第3の巻芯(図示せず)を更に含み、第3の巻芯は、第1の巻芯110及び第2の巻芯140と合わせて所定の形状を形成し、第3の巻芯は、第1の電極層112と性質が同一である第5の電極層(図示せず)と、第2の電極と性質が同一である第6の電極層(図示せず)と、隣接する第5の電極層と第6の電極層との間に介在する第3のセパレータ(図示せず)と、を含み、第1の電極層112、第3の電極層142、及び第5の電極層は、いずれも第1の極板耳部120を介して電池カバー300に電気的に接続され、第2の電極層114、第4の電極層144、及び第6の電極層は、いずれも第1の集電体130を介して電池ハウジング200に電気的に接続される。このようにして、当該極板群ユニット100は、更に、第3の巻芯、第1の巻芯110、及び第2の巻芯140を合わせてより多い形状を得ることができる。それと同時に、更に第3の巻芯を更に並列させることによって、極板群ユニット100の内部抵抗のさらなる低減に寄与する。
【0040】
上記の任意の実施例に基づき、一実施例では、極板群ユニットは、第2の集電体(図示せず)を更に含み、第1の電極層112は、第2の集電体を介して第1の極板耳部120に電気的に接続される。このようにして、第1の電極層112は、第2の集電体を利用して仕上げられた後に、第1の極板耳部120を介して電池カバー300と溶接されてもよい。
【0041】
上記の任意の実施例に基づき、図1図2に示されるように、一実施例では、第1の極板耳部120は、弾性を有する。このようにして、弾性を有する第1の極板耳部120を利用することで、電池カバー300との弾性的な当接を容易にし、第1の極板耳部120と電池カバー300が弾性的に当接するようにして、第1の極板耳部120と電池カバー300との接触を確実にし、溶接するときに、接触面積の増加に寄与する。
【0042】
更に、図3及び図4に示されるように、一実施例では、第1の極板耳部120は、接続体122と、溶接体124と、接続体122と溶接体124との間に設けられた弾性シート構造126と、を含み、接続体122は、第1の電極層112に電気的に接続され、溶接体124は、電池カバー300に溶接固定される。このようにして、屈曲して形成された弾性シート構造126を利用することで、第1の極板耳部120は、電池カバー300に弾性的に当接することができ、第1の極板耳部120と電池カバー300との接触を更に確実にし、溶接するときに、接触面積の増加に寄与する。
【0043】
上記の任意の実施例に基づき、図1図4に示されるように、一実施例では、ボタン電池は、第1の絶縁パッド500と、第2の絶縁パッド600と、を更に含み、第1の絶縁パッド500は、極板群ユニット100と電池カバー300との間に設けられ、第2の絶縁パッド600は、極板群ユニット100と電池ハウジング200の底壁との間に設けられる。このようにして、第1の絶縁パッド500及び第2の絶縁パッド600を利用して、極板群ユニット100を密封キャビティ内に確実に設けることができ、短絡状況の発生を回避することができる。それと同時に、第1の絶縁パッド500及び第2の絶縁パッド600を利用することで、極板群ユニット100を電池ハウジング200と電池カバー300との間に弾性的に押し出して固定設置して、極板群ユニット100の固定をより確実にすることができる。
【0044】
更に、図1図4に示されるように、一実施例では、極板群ユニット100は、第2の極板耳部150を更に含み、第2の極板耳部150は第1の集電体130に電気的に接続され、第2の極板耳部150は、第2の絶縁パッド600と電池ハウジング200との間に設けられ、且つ電池ハウジング200の底壁に溶接固定される。このようにして、当該第1の集電体130は、第2の絶縁パッド600を介して極板群ユニット100の端面と絶縁し、且つ電池カバー300、極板群ユニット100などによって生成された圧力を利用して、第2の極板耳部150を電池ハウジング200の底壁に密着させ、溶接固定を容易にし、溶接品質の向上に寄与する。それと同時に、第1の集電体130と電池ハウジング200との密着により導通を形成するとともに、第2の極板耳部150と電池ハウジング200との溶接固定に寄与し、二重導通構造を形成して、第2の電極層114と電池ハウジング200との導通をより確実にする。
【0045】
上記の任意の実施例に基づき、図4図7に示されるように、一実施例では、電池ハウジング200には、収容キャビティ210が設けられ、電池ハウジング200は、環状の受け体220と、受け体220に設けられた押圧体230と、を含み、受け体220は、収容キャビティ210の外側に嵌設され、且つ収容キャビティ210のポートに設けられ、電池カバー300は、密封リング400を介して受け体220と押圧体230との間に設けられ、押圧体230は、受け体220と合わせて、電池カバー300と密封リング400をクランピングするために使用される。
【0046】
更に、当該ボタン電池を組み立てる際に、ハウジングのポートに受け体220及び折り曲げて形成した押圧体230を形成し、続いて定型された密封リング400を受け体220に置き、又は密封剤を受け体220にコーティングして密封リング400を形成し、続いて電池カバー300を密封リング400上に設ける。この時、折り曲げ可能部を利用して押圧体230を形成するだけで、電池カバー300を受け体220に押圧して固定することができ、且つ密封リング400を利用して電池カバー300により収容キャビティ210を密封して、ボタン電池の材料を密封キャビティ内に密封して貯蔵することを実現する。理解できるものとして、当該ハウジングの密封構造は、密封キャビティのポートに設けられるため、かかる工程が簡略化される。また、従来技術と比較すると、密封リング400は、収容キャビティ210に大きく伸ばして密封キャビティの側壁に貼り合わせて密封キャビティのスペースを占用することがないため、密封キャビティを十分に利用して極板群ユニット100及び電解液を貯蔵することに寄与し、同じ条件でより多くのボタン電池の材料を密封することができ、ボタン電池の性能の向上に寄与することができる。
【0047】
上記の任意の実施例に基づき、図7に示されるように、一実施例では、密封リング400は、受け体220と押圧体230との間に設けられ、電池カバー300を包むための凹溝410を形成する。凹溝410を利用して電池カバー300を包み、受け体220と電池カバー300を利用して第1の密封接触を形成し、続いて押圧体230と電池カバー300との間に第2の密封接触を形成することで、電池ハウジング200と電池カバー300との間の密封の信頼性を更に向上させる。従来技術と比較すると、この方式により、ボタン電池の密封性を大幅に向上させ、ボタン電池の信頼性をより高くすることができる。
【0048】
更に、一実施例では、電池カバー300は凹溝410の底壁に当接されるように配置される。このようにして、電池カバー300の側面と凹溝410の底壁を利用して第3の密封を更に形成し、電池ハウジング200と電池カバー300との間の密封の効果を更に向上させることにより、電池カバー300が密封リング400によって包まれ、且つ受け体220と押圧体230によって押圧され、電池ハウジング200と電池カバー300との間に緻密な封口構造が形成される。
【0049】
本発明の説明において、理解すべきものとして、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などが指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものだけであり、言及される装置又は素子は特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作しなければならないことを意味又は示唆するものではなく、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0050】
また、用語「第1」、「第2」は説明の目的だけであり、相対的な重要性を意味又は示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも一つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明示的かつ具体的に制限されていない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0051】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になってもよい。また、机械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよい。また、特に明確に限定されない限り、直接接続されてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されてもよいし、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記の用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0052】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1及び第2の特徴が直接に接触されてもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」、及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも大きいことを示すだけであってもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」、及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示すだけであってもよい。
【0053】
説明すべきものとして、素子は、他の素子に「固定される」、「設置される」、「固設される」又は「取り付けられる」と呼ばれる場合、他の素子に直接存在してもよく、又は介在する要素が存在してもよい。一つの素子は、他の素子に「接続される」と考えられる場合、他の素子に直接接続されてもよく、又は介在する要素が存在してもよい。更に、一つの素子が他の素子に「駆動接続固定される」と考えられる場合、両者は着脱可能な接続方式で固定されてもよく、着脱不能な接続方式で固定されてもよく、動力伝達を実現できればよい。例えば、ソケット接続、係着、一体成形固定、溶接等であってもよい。それらは従来技術で実現することができるため、ここでは詳しく説明しない。素子と他の素子とが互いに垂直又は略垂直であるとは、両者の理想的な状態が垂直であるが、製造や組み立ての影響により、一定の垂直誤差が存在し得ることを意味する。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」及び類似の表現は説明の目的だけであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【0054】
上述した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明の簡潔さのために、上述した実施例の各技術的特徴の可能な組み合わせがすべて記載されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせが矛盾しない限り、本明細書の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0055】
以上の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を表現したに過ぎず、より具体的かつ詳細に説明されているが、本発明の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者にとっては、本発明のコンセプトから逸脱することなく、多くの変形や改良が可能であり、これらは本発明の保護範囲に含まれることに留意されたい。したがって、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に規定されるものとする。



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7