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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】点検データの管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240708BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023101365
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2024-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316009175
【氏名又は名称】株式会社KMC
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(72)【発明者】
【氏名】廣田 健治
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 利昌
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/117953(WO,A1)
【文献】特開2008-121194(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1972959(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地に設置された複数の点検対象物であるインフラ構造物を点検し、得られた点検データを管理する点検データの管理装置において、
当該点検対象物に付与されている施設名、設置区域、設置年度、橋長、直近の点検実施年度、直近の点検時の判定状況を数値化した判定区分、補修・保全・改修の各措置の有無に関する措置状況を少なくとも含む複数の分類項目に対応して、前記複数の点検対象物ごとに入力される数値を含む情報を前記点検データとして受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記複数の点検対象物の前記点検データを記憶保持する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶保持された前記複数の点検対象物の前記点検データのうち、少なくとも前記設置年度、前記橋長、前記点検実施年度、前記判定区分それぞれに対応する前記点検データの数値を、前記設置年度、前記橋長、前記点検実施年度、前記判定区分それぞれに予め設定された複数範囲ごとにクラスター化してインデックスをつけて前記記憶手段に記憶保持させるクラスター化手段と、
前記点検データの検索のために、前記各分類項目のうち前記施設名を除く前記分類項目が順次点検データ管理作業者により選択的に入力されることに基づき、入力された順序で前記分類項目を所望のツリー構成に並べるツリー形成手段と、
前記受付手段により受け付けられ、かつ、前記クラスター化手段によりクラスター化されて前記記憶手段に記憶保持された前記複数の点検対象物それぞれの前記各分類項目ごとの前記点検データを、前記ツリー形成手段により形成された前記ツリー構成に配列する配列手段と、
前記配列手段により前記ツリー構成に配列された前記点検データを、表示画面に表示すべく表示手段を制御する表示制御手段と
を備えることを特徴とする点検データの管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各地に設置された複数の点検対象物であるインフラ構造物を点検し、得られた点検データを管理する点検データの管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が各地に設置された点検対象物である橋梁・橋脚・トンネル・高速道路などのインフラ構造物を点検して点検結果を報告書などにまとめることが行われているが、作業者による点検対象物の点検に際しての作業者の負担軽減を図ることを目的として、通信端末のディスプレイに点検日時や点検結果などを入力するための画面を表示し、当該画面に入力された情報を基に所定の様式の報告書を作成する支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種システム等により作成される報告書には、点検日時、点検場所・位置のほか、異常がある場合の点検結果を含む点検データが記録され、例えば橋梁の点検の場合、その橋梁にひび割れが見つかった場合には、当該橋梁のどのような箇所にどのようなひび割れが生じているかを示すひび割れ箇所の画像を含む点検画像も記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-26274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、報告書は国や自治体ごとに様式が異なり、必要な様式の報告書形式に点検データを記載する前の段階において、点検データをコンピュータのメモリやハードディスク、サーバ等に一旦保存されるが、作業者が所望の点検データを検索し易いようにフォルダのツリー構成を設定し、各フォルダに点検データをメモリ等に保存して管理することが一般的に行われている。
【0006】
例えば、当該点検対象物に付与されている施設名、設置区域、設置年度、橋長、直近の点検年度、直近の点検時の判定状況を数値化した判定区分、補修・保全・改修等の措置の有無に関する措置状況などの複数の分類項目に対応して点検データを、パソコンの内蔵メモリ、パソコンが接続可能なハードディスクやサーバにより管理する従来の手法について説明する。
【0007】
パソコンの内蔵メモリ、パソコンが接続可能なハードディスクやサーバにより日本各地の点検対象物の点検データを管理する場合、行政区域である都道府県或いは市区町村ごとに、図4に示すように、「直近の点検実施年度」を基本とした管理目的のもと、「直近の点検実施年度」という分類項目を親ツリーとして各年度(西暦)ごとの2014年、2015年、…、2023年といった子ツリーを構成し、各点検実施年度それぞれを親ツリーとして「直近の判定区分」の例えば区分I、区分II、区分IIIという3つの判定区分の子ツリーを構成する。
【0008】
さらに、各3つの判定区分それぞれを親ツリーとして「措置状況」の例えば予防保全段階、措置完了済、措置未着手、調査対象外という4つの措置状況の子ツリーを構成し、4つの措置状況それぞれを親ツリーとして1950年、1980年、2010年、2010年超などの「架設年度」の各年度(西暦)の子ツリーを構成し、「架設年度」の各年度に対応する点検対象物である施設名(例えば、寺田跨線橋)を設定することによって、日本各地の複数の点検対象物の点検データを管理する手法がある。
【0009】
そして、図4に示すツリー構成において、点検データ管理作業者が所望の施設名を持つ点検対象物の点検データを検索しようとする場合、「直近の点検実施年度」から順次「直近の判定区分」、「措置状況」、「架設年度」へと下の階層のツリーを作業者が見ていくことで、所望の施設名(例えば、寺田跨線橋)のデータファイルに辿り着くことができる。
【0010】
しかし、管理目的が異なる別の点検データ管理作業者とって、図4に示す「直近の点検実施年度」を基本とした管理目的のツリー構成において、「直近の点検実施年度」以下の階層のツリーを辿ることに不便に感じることがあり、図4とは異なる管理目的に応じた図5に示すツリー構成による点検データの管理に利便性を感じる場合がある。
【0011】
そこで、図5に示すような別の管理目的のツリー構成で点検データを管理することも考えられている、図5のツリー構成を説明すると、橋長を10m(10m)以下、50m(10~50m)、100m(50~100m)などに範囲分けするとして、行政区域である都道府県或いは市区町村ごとに、「橋長」を親ツリーとして範囲分けした10m,50m,100mなどといった各橋長の子ツリーを構成し、各橋長それぞれを親ツリーとして「直近の判定区分」の区分I、区分II、区分IIIという3つの判定区分の子ツリーを構成する。
【0012】
さらに、各3つの判定区分それぞれを親ツリーとして「行政区域_市区町村名」という分類項目の具体的な市区町村名の子ツリーを構成し、各市区町村名それぞれを親ツリーとして1950年、1980年、2010年、2010年超などの「架設年度」の各西暦の子ツリーを構成し、「架設年度」の各年度(西暦)に対応する点検対象物である例えば、寺田跨線橋などの施設名を設定することによって、日本各地の複数の点検対象物の点検データを管理している。
【0013】
そして、図5のツリー構成に利便性を感じる点検データ管理作業者は、「橋長」から順次「直近の判定区分」、「行政区域_市区町村名」、「架設年度」へと下の階層のツリーを見ていくことで、所望の施設名(例えば、寺田跨線橋)のデータファイルに辿り着くことができる。
【0014】
また、複数の点検データ管理作業者の利便性に配慮して、図6に示すように、図4及び図5に示す2つのツリー構成を合体したツリー構成で点検データを管理することも考えられており、点検データ管理作業者は、利便性を感じる方のツリー構成、つまり「直近の点検実施年度」または「橋長」のいずれかの分類項目を親ツリーとして順次下の階層のツリーを辿ることにより、所望の施設名のデータファイルに辿り着くことができる。
【0015】
しかしながら、図6に示すものは、2種類のツリー構成を合体したものであるため、例えば寺田跨線橋は、「直近の点検実施年度」を親ツリーとした構成の2023年の下の階層ツリーである「直近の判定区分」の区分III、その下の「措置状況」である措置未着手、その下の「架設年度」である1980年のツリーにデータファイルが保存されるとともに、「橋長」を親ツリーとした構成の橋長100mの下の階層ツリーである「直近の判定区分」の区分III、その下の「行政区域_市区町村名」の宇部市、その下の「架設年度」である1980年のツリーにデータファイルが保存されており、2箇所に同じ「寺田跨線橋」のデータファイルが保存されている。そのため、「寺田跨線橋」という1つの施設名の点検データのデータファイルを更新する必要が生じた場合に、「寺田跨線橋」の点検データを更新するには、2箇所のデータファイルを更新する必要があり、更新作業が煩雑になって簡易なデータ管理を行うことができないという問題がある。また、3種類以上のツリー構成を合体した場合には、1つの施設名の点検データであっても3箇所以上のデータファイルを更新する必要が生じ、更新作業がよりいっそう煩雑になる。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、点検データ管理作業者ごとに異なる管理目的に応じたツリー構成でインフラ構造物の点検データを管理することができ、点検データのデータ更新を簡素化できる点検データの管理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る点検データの管理装置は、各地に設置された複数の点検対象物であるインフラ構造物を点検し、得られた点検データを管理する点検データの管理装置において、当該点検対象物に付与されている施設名、設置区域、設置年度、橋長、直近の点検実施年度、直近の点検時の判定状況を数値化した判定区分、補修・保全・改修の各措置の有無に関する措置状況を少なくとも含む複数の分類項目に対応して、前記複数の点検対象物ごとに入力される数値を含む情報を前記点検データとして受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた前記複数の点検対象物の前記点検データを記憶保持する記憶手段と、前記記憶手段に記憶保持された前記複数の点検対象物の前記点検データのうち、少なくとも前記設置年度、前記橋長、前記点検実施年度、前記判定区分それぞれに対応する前記点検データの数値を、前記設置年度、前記橋長、前記点検実施年度、前記判定区分それぞれに予め設定された複数範囲ごとにクラスター化してインデックスをつけて前記記憶手段に記憶保持させるクラスター化手段と、前記点検データの検索のために、前記各分類項目のうち前記施設名を除く前記分類項目が順次点検データ管理作業者により選択的に入力されることに基づき、入力された順序で前記分類項目を所望のツリー構成に並べるツリー形成手段と、前記受付手段により受け付けられ、かつ、前記クラスター化手段によりクラスター化されて前記記憶手段に記憶保持された前記複数の点検対象物それぞれの前記各分類項目ごとの前記点検データを、前記ツリー形成手段により形成された前記ツリー構成に配列する配列手段と、前記配列手段により前記ツリー構成に配列された前記点検データを、表示画面に表示すべく表示手段を制御する表示制御手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、点検データの検索のために、点検データ管理作業者により各分類項目のうち施設名を除く分類項目が順次選択的に入力されると、入力された順番で分類項目が所望のツリー構成に階層的に並べられ、クラスター化されインデックスが付された点検データを含み記憶手段に記憶保持された複数の点検対象物それぞれの各分類項目ごとの点検データが、並べられた所望のツリー構成に配列されるため、点検データ管理作業者ごとに異なる管理目的に応じたツリー構成で点検データを管理することができ、点検データのデータ更新を行う場合も、1つの保存場所の点検データを更新すればよく、更新作業の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る管理装置のブロック図である。
図2】管理する点検データの一例を示す図である。
図3図1に示す装置の動作説明要フローチャートである。
図4】従来例の動作説明図である。
図5】従来例の動作説明図である。
図6】従来例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る橋梁・橋脚の点検データの管理装置の一実施形態について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、点検対象物がインフラ構造物である橋梁の場合を示す。
【0022】
<管理装置の構成>
まず、本発明の一実施形態に係る管理装置の構成について、図1を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、管理装置1はパーソナルコンピュータ等から成り、入力手段であるキーボード2のほか、液晶ディスプレイから成る表示手段3、各種プリンタ等の印刷手段4、サーバから成る記憶手段(以下、サーバと称する)5が接続されている。
【0024】
そして、本実施形態における管理装置1は以下のような各機能を実行するものであり、ROM及びRAM(DRAM,SRAM等)を備える内蔵メモリ11のROMには、以下の各機能を実行するための制御プログラムを格納され、該当する制御プログラムが実行されることにより、以下の各機能を果たすようになっている。なお、内蔵メモリ11を構成するRAMには、キーボードにより入力されたデータの一時的な保存や、処理作業用のデータの一時的な保存がなされる。
【0025】
(1)当該点検対象物に付与されている施設名、設置区域である行政区域(都道府県名、及び、市区町村名)、設置年度(西暦)、橋長(メートル単位)、直近の点検実施年度(西暦)、直近の点検時の判定状況をI.II.IIIなどに数値化した判定区分、補修・保全等の措置の有無に関する措置状況(措置未着手、措置完了済、予防保全段階)といった複数の分類項目に対応して、複数の点検対象物ごとに入力される数値を含む情報を点検データとして受け付け、記憶手段であるサーバ5に記憶保持させる受付手段12としての機能。
(2)サーバ5に記憶保持された前記複数の点検対象物の前記点検データのうち、少なくとも設置年度、橋長、点検実施年度、判定区分それぞれに対応する点検データの数値を、設置年度、橋長、点検実施年度、判定区分それぞれに予め設定された複数範囲ごとにクラスター化してインデックスをつけてサーバ5に記憶保持させるクラスター化手段13としての機能。
(3)点検データの検索のために、各分類項目のうち施設名を除く分類項目が順次点検データ管理作業者によるキーボード2の操作により選択的に入力されることに基づき、入力された順序で分類項目を所望のツリー構成に並べて所望のツリー構成を形成するツリー形成手段14としての機能。
(4)受付手段12により受け付けられ、かつ、クラスター化手段13によりクラスター化されインデックスが付されてサーバ5に記憶保持された複数の点検対象物それぞれの各分類項目ごとの点検データを、ツリー形成手段14により形成されたツリー構成に配列する配列手段15としての機能。
(5)配列手段15によりツリー構成に配列された点検データを、表示手段3の表示画面に表示すべく表示手段3を制御する表示制御手段16としての機能。
【0026】
今、例えば図2に示すように施設名が「祝島三浦3号橋」、「祝島三浦2号橋」、「江尻橋」、「祝島三浦B橋」、「祝島三浦1号B橋」、「三浦1号橋」、「羽仁橋」、「鶴甫B橋」、「第1神名橋」の9個の点検対象物である橋梁に関して、各分類項目を含む点検データがキーボード2により入力されると、受付手段12により、入力された点検データが、施設名、分類項目に対応して、行政区域(都道府県名、及び、市区町村名)、設置年度(西暦)、橋長(メートル単位)等の複数の点検対象物ごとの数値を含む情報を点検データとして受け付けられ、サーバ5に記憶保持される。
【0027】
このとき、例えば施設名「祝島三浦3号橋」について、「行政区域/都道府県名」として山口県、「行政区域/市区町村名」として上関町、「架設年度」として1993年、「橋長」として2.3m、「直近の点検実施年度」として2019年、「直近の判定区分」として区分I、「措置状況」として調査対象外を表わす「―」が、作業者によるキーボード2の操作により入力されると、入力された施設名「祝島三浦3号橋」の点検データが受付手段12に受け付けられてサーバ5に記憶保持される。
【0028】
また、例えば施設名「江尻橋」について、「行政区域/都道府県名」として山口県、「行政区域/市区町村名」として柳井市、「架設年度」として1981年、「橋長」として4.2m、「直近の点検実施年度」として2019年、「直近の判定区分」として区分III、「措置状況」として措置未着手が、作業者によるキーボード2の操作により入力されると、図2に示すようにサーバ5に記憶保持される。その他の施設名の点検対象物の点検データも、これらと同様にしてサーバ5に記憶保持される。
【0029】
このとき、クラスター化手段13により、受付手段12によって受け付けられてサーバ5に記憶保持された複数の点検対象物の点検データのうち、数値データである設置年度、橋長、点検実施年度、判定区分それぞれに対応する点検データの数値が、設置年度、橋長、点検実施年度、判定区分それぞれに予め設定された複数範囲ごとに、以下のようにしてクラスター化されてインデックスがつけられる。
【0030】
例えば、架設年度(西暦)は、10年単位の年代範囲に架設年度がクラスター化され、実際の架設年度が1993年の場合には1990年代にクラスター化されて1990のインデックスが付され、1981年の場合1980年代にクラスター化されて1980のインデックスが付され、1981年の場合1980年代にクラスター化されて1980のインデックスが付され、2014年の場合には2010年代にクラスター化されて2010のインデックスが付され、2020年を超える場合は2010年超えにクラスター化されて2010超のインデックスが付され、サーバ5に記憶保持される。
【0031】
また、橋長は10m未満、10m以上で50m未満、50m以上で100m未満、100m以上などの長さ範囲にクラスター化され、それぞれ10,50,100,100超のインデックスが付される。点検実施年度(西暦)は、2014年、2015年、…、等の西暦ごとにクラスター化されて各西暦年である2014,2015,…のインデックスが付され、判定区分は区分I、区分II、区分IIIのいずれかにクラスター化されてI,II,IIIのインデックスが付され、サーバ5に記憶保持される。なお、この判定区分は、人間が予め定められた基準に照らして区分I、区分II、区分IIIそれぞれに振り分けられるようになっている
【0032】
そして、点検データを検索するために、点検データ管理作業者によりキーボード2が操作され、上記した複数の分類項目のうち施設名を除く分類項目が選択的に入力されると、ツリー形成手段14により、入力された順序に従った階層で分類項目が順次並べられ、当該点検データ管理作業者が所望するツリー構成が形成され、受付手段12により受け付けられ、かつ、クラスター化手段13によりクラスター化されインデックスをつけてサーバ5に記憶保持された複数の施設名の橋梁(点検対象物)それぞれの点検データが、形成されたツリー構成に配列されてサーバ5に記憶保持される。
【0033】
例えば、点検データ管理作業者が「橋長が100m未満で直近の判定区分が区分IIIで、宇部市にある1980年以前の架設年度(橋齢30年に相当)を超える橋」との検索のために、所望する順序で分類項目を選択的に入力すると、当該点検データ管理作業者による入力条件に基づき、ツリー形成手段14により、上記した複数の分類項目のうち施設名を除き「橋長」を親ツリーとし、その下の階層のツリーを「判定区分」を、その下の階層のツリーを「行政区域・/市区町村名」、さらにその下の階層のツリーを「架設年度」とする順序に並べられて当該点検データ管理作業者が所望するツリー構成が形成される。この場合の検索の条件に基づくツリー構成は、例えば図5に示すようになり、表示制御手段16により表示手段3が制御されて当該ツリーが表示画面に表示されることになる。ここで、表示手段3の表示画面は、印刷手段4により管理装置1の制御により印刷することが可能である。
【0034】
このように、点検データ管理作業者により、「橋長が100m未満で直近の判定区分が区分IIIで、宇部市にある1980年以前の架設年度(橋齢30年に相当)を超える橋」との検索のための条件が入力された場合、図5に示すツリー構成が形成されることから、図5のツリー構成において「橋長」が100m未満で、「直近の判定区分」が区分IIIで、「行政区域/市区町村名」が宇部市で、「架設年度」が1980のインデックスのツリーに含まれる点検データのデータフォルダ名に該当する「施設名」が表示手段3の表示画面に表示され、例えば図5に示すように、片倉高架橋、権現橋、第2西ヶ丘跨線橋、寺田跨線橋の施設名のファイル名の4つのデータファイルが表示され、各データファイルのいずれかを開くことで、その点検データの詳細内容が表示手段3の表示画面に表示される。なお、点検データの詳細内容も印刷手段4により印刷可能である。
【0035】
そのため、例えば片倉高架橋、権現橋、第2西ヶ丘跨線橋、寺田跨線橋の4つの施設名の橋梁のうち、寺田跨線橋の点検データのうちの措置状況のデータを更新する必要がある場合には、上記したように、点検データ管理作業者が「橋長が100m未満で直近の判定区分が区分IIIで、宇部市にある1980年以前の架設年度(橋齢30年に相当)を超える橋」という検索のための条件を入力することで、その入力条件に基づく所望のツリー構成が形成されて表示手段3に表示され、作業者は表示されたツリーを辿ることで寺田跨線橋のデータファイルを開くことが可能な状態になり、寺田跨線橋のデータファイルの「措置状況」のデータ内容を、例えば措置未着手から措置完了済に書き換えることにより更新することができ、1箇所の寺田跨線橋のデータ保存場所のデータを書き換えて更新すればよい。
【0036】
次に、点検データの管理方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
図2に示す各点検対象物である橋梁の点検データが、点検データ管理作業者によるキーボード2の操作によって入力されると、図3に示すように、受付手段12により、入力された各点検データが受け付けられ(ステップS1)、メモリ11に一旦保存されて入力完了後サーバ5に記憶保持される。
【0038】
続いて、点検データの入力が完了すると、サーバ5に記憶保持された複数の橋梁の点検データのうち、設置年度、橋長、点検実施年度、判定区分それぞれに対応する点検データの数値が、設置年度、橋長、点検年度、判定区分それぞれに予め設定された複数範囲ごとにクラスター化され(ステップS2)、クラスター化されたこれらの点検データにインデックスが付され、クラスター化されていないデータとともにサーバ5に記憶保持される(ステップS3)。
【0039】
そして、例えばデータ更新やデータ内容の確認を行う目的で、データ管理作業者により、点検データの検索のために、各分類項目のうち施設名を除く分類項目の選択入力が有るか否かの判定がなされ(ステップS4)、この判定結果がNOであれば判定結果がYESになるまで繰り返され、判定結果がYESであれば、施設名を除く分類項目が選択されて入力されたことに基づき、入力された順序で分類項目を所望のツリー構成に並べたツリーが形成される(ステップS5)。
【0040】
その後、ステップS1の処理で受け付けられ、かつ、ステップS3の処理でクラスター化されインデックスが付されてサーバ5に記憶保持された複数の橋梁(点検対象物)それぞれの各分類項目ごとの点検データが、ステップS5の処理で形成されたツリー構成に配列され(ステップS6)、点検データ管理作業者により入力された検索条件に基づくツリー構成(例えば図4図5のツリー構成)に配列された点検データが表示手段3の表示画面に表示され(ステップS7)、その後動作は終了する。
【0041】
したがって、上記した実施形態によれば、点検データの検索のために、点検データ管理作業者により、施設名、設置区域、設置年度、橋長、直近の点検実施年度、直近の点検時の判定状況を数値化した判定区分、補修・保全等の措置の有無に関する措置状況といった各分類項目のうち施設名を除く分類項目が順次選択的に入力されると、入力された順番で分類項目を階層的に並べた所望のツリー構成が形成され、サーバ5に記憶保持済の複数の点検対象物それぞれの各分類項目ごとの点検データが、形成された所望のツリー構成に配列されるため、作業者ごとに異なる管理目的に応じたツリー構成で点検データを管理することができ、点検データのデータ更新を行う場合も、1箇所の保存場所であるデータファイルの点検データを更新すればよく、更新作業の簡素化を図ることができる。
【0042】
そのため、点検データ管理作業者が、例えば「橋長が100m未満で直近の判定区分が区分IIIで、宇部市にある1980年以前の架設年度(橋齢30年に相当)を超える橋」という検索のための条件を入力することで、所望のツリー構成が形成されて表示手段3に表示され、寺田跨線橋のデータファイルに簡単に開くことが可能になり、開いた寺田跨線橋の点検データのうち「措置状況」等のデータ内容を更新することができ、従来のように、寺田跨線橋に関する2箇所のデータファイルを更新することなく1箇所のデータファイルの構成で済み、更新作業を簡単に行うことができてデータ管理が容易になる。
【0043】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態は点検対象物をインフラ構造物である橋梁とした場合について説明したが、点検対象物は橋脚やトンネル、高速道路等であってもよい。
【0044】
例えば、上記した実施形態では、分類項目を施設名、設置区域、設置年度、橋長、直近の点検実施年度、直近の点検時の判定状況を数値化した判定区分、補修・保全等の措置の有無に関する措置状況として説明したが、これらの分類項目は一例であって、分類項目はこれらに限定されるものではない。
【0045】
また、上記した実施形態では、クラスター化の処理は上記した実施形態の例に限るものではない。
【0046】
そして、各地に設置された複数の点検対象物であるインフラ構造物を点検し、得られた点検データを管理する点検データの管理技術全般に本発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 :管理装置
2 :キーボード
3 :表示手段
4 :印刷手段
5 :サーバ(記憶手段)
12 :受付手段
13 :クラスター化手段
14 :ツリー形成手段
15 :配列手段
16 :表示制御手段
【要約】
【課題】データ管理作業者ごとに異なる管理目的に応じたツリー構成で点検データを管理することができ、点検データのデータ更新も簡素化できる橋梁・橋脚の点検データの管理装置及び方法を提供できるようにする。
【解決手段】点検データの検索のために、作業者により施設名、設置区域、設置年度、橋長、直近の点検実施年度、直近の点検時の判定区分、措置状況といった各分類項目のうち施設名を除く分類項目が順次選択入力されたときに、ツリー形成手段14により、選択入力された順番で分類項目を階層的に並べた所望のツリー構成が形成され、受付手段12により受け付けられクラスター化手段13によりクラスター化されてサーバ5に記憶保持された複数の点検対象物それぞれの各分類項目ごとの点検データが、配列手段15により、形成された所望のツリー構成に配列される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6