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特許7515928磁歪式トルクアングルセンサ及び磁歪式トルクアングルセンシングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】磁歪式トルクアングルセンサ及び磁歪式トルクアングルセンシングシステム
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
G01L3/10 301J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023125351
(22)【出願日】2023-08-01
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴広
(72)【発明者】
【氏名】古平 健幸
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和之
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211335(JP,A)
【文献】特開2010-181192(JP,A)
【文献】特開2019-211334(JP,A)
【文献】特開2018-109595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0214239(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/02ー 3/14
G01D 5/12- 5/252
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁歪部を有する軸と、前記軸の周囲に配置される磁極部とを有する磁歪式トルクアングルセンサであって、
前記磁極部は、
第1磁極段と、
前記第1磁極段に対して軸方向に間隔をあけて対向配置された第2磁極段とを備え、
前記第1磁極段は前記軸に向かって径方向に突出する第1突出磁極を有し、
前記第2磁極段は前記軸に向かって径方向に突出する第2突出磁極を周方向に前記第1突出磁極と異なる位置に有し、
前記第1突出磁極には励磁コイルと角度検出コイルとが巻回され、
前記第2突出磁極にはトルク検出コイルが巻回され、
前記磁歪部と前記第1突出磁極との間の磁気抵抗が、前記軸の回転に伴って周期的に変化するように構成される、
磁歪式トルクアングルセンサ。
【請求項2】
前記磁気抵抗は、前記軸の中心軸から前記磁歪部までの半径距離が円周方向で周期的に変化するか、前記磁歪部の軸心に沿う方向の大きさが円周方向で周期的に変化するかにより、変化するように構成される、
請求項1に記載の磁歪式トルクアングルセンサ。
【請求項3】
前記励磁コイルは、少なくとも、前記第1磁極段内で電気角180°となる2箇所の前記第1突出磁極に配置され、
前記角度検出コイルは、少なくとも、前記第1磁極段内で互いに電気角90°になる位置の前記第1突出磁極に配置され、
前記トルク検出コイルは、少なくとも、前記第2磁極段内で電気角180°となる2箇所の前記第2突出磁極に配置される、
請求項1に記載の磁歪式トルクアングルセンサ。
【請求項4】
前記励磁コイルは、少なくとも、前記第1磁極段内で電気角180°となる2箇所の前記第1突出磁極に配置され、
前記角度検出コイルは、少なくとも、前記第1磁極段内で互いに電気角90°になる位置の前記第1突出磁極に配置され、
前記トルク検出コイルは、前記第2磁極段内で1箇所の前記第2突出磁極に配置される、
請求項1に記載の磁歪式トルクアングルセンサ。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の磁歪式トルクアングルセンサと、
前記トルク検出コイルからのトルク検出信号及び前記角度検出コイルからの角度検出信号を処理する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記トルク検出コイルからのトルク検出信号により、前記軸に加わるトルクを検出し、
前記角度検出コイルからの角度検出信号により、前記軸の角度を検出する、
磁歪式トルクアングルセンシングシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の磁歪式トルクアングルセンサと、
前記トルク検出コイルからのトルク検出信号及び前記角度検出コイルからの角度検出信号を処理する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記角度検出コイルからの角度検出信号により、前記軸の角度を検出し、
前記トルク検出コイルからのトルク検出信号を、前記角度検出コイルからの角度検出信号を用いて補正し、前記軸に加わるトルクを検出する、
磁歪式トルクアングルセンシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁歪式トルクアングルセンサ及び磁歪式トルクアングルセンシングシステムに関し、特に、同一のセンサによりトルクと角度とを検出可能な磁歪式トルクアングルセンサ及び磁歪式トルクアングルセンシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
軸の表面に磁歪特性を有する磁歪膜を設けておき、磁歪膜の磁歪特性を検出することにより、軸に作用する回転によるトルクを検出する磁歪式トルクセンサが知られている。この磁歪式トルクセンサは、軸心に対して+45度または-45度の方向の磁路及び巻線を有し、軸の周囲に設けられる。
【0003】
磁歪膜を設けた軸にトルクを作用させると、軸表面の磁歪膜に歪みが生じ、ビラリ(Villari)効果により磁歪膜の透磁率が変化する。このような磁歪膜の透磁率の変化に応じて、磁歪式トルクセンサの巻線のインピーダンスが変化する。この結果、磁歪式トルクセンサは、軸に作用するトルクに応じたインピーダンス変化から、トルクに応じた検出信号を得ることができる。
【0004】
軸に加わるトルクだけでなく軸の角度も検出する場合、トルクセンサに加えて同じ軸に角度センサを設ける必要がある。この種の磁歪式トルクアングルセンサは、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-76066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のトルク及び角度センサの場合、物理的に2個のセンサを設ける必要がある。この結果、センサ全体のサイズが大きくなると共に、センサ2台分のコストがかかる問題があった。また、部品点数の増加に伴って故障の発生確率が大きくなる可能性がある。このため、物理的に2個のセンサを設けることなく、1個のセンサによりトルクと角度とを検出できることが望ましい。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、同一のセンサによりトルクと角度とを検出可能な磁歪式トルクアングルセンサ及び磁歪式トルクアングルセンシングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る磁歪式トルクアングルセンサは、磁歪部を有する軸と、軸の周囲に配置される磁極部とを有する磁歪式トルクアングルセンサであって、磁極部は、第1磁極段と、第1磁極段に対して軸方向に間隔をあけて対向配置された第2磁極段とを備え、第1磁極段は軸に向かって径方向に突出する第1突出磁極を有し、第2磁極段は軸に向かって径方向に突出する第2突出磁極を周方向に第1突出磁極と異なる位置に有し、第1突出磁極には励磁コイルと角度検出コイルとが巻回され、第2突出磁極にはトルク検出コイルが巻回され、磁歪部と第1突出磁極との間の磁気抵抗が、軸の回転に伴って周期的に変化するように構成される。
【0008】
この発明に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、磁気抵抗は、軸の中心軸から磁歪部までの半径距離が円周方向で周期的に変化するか、磁歪部の軸心に沿う方向の大きさが円周方向で周期的に変化するかにより、変化するように構成される。
【0009】
この発明に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、励磁コイルは、少なくとも、第1磁極段内で電気角180°となる2箇所の第1突出磁極に配置され、角度検出コイルは、少なくとも、第1磁極段内で互いに電気角90°になる位置の第1突出磁極に配置され、トルク検出コイルは、少なくとも、第2磁極段内で電気角180°となる2箇所の第2突出磁極に配置される。
【0010】
この発明に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、励磁コイルは、少なくとも、第1磁極段内で電気角180°となる2箇所の第1突出磁極に配置され、角度検出コイルは、少なくとも、第1磁極段内で互いに電気角90°になる位置の第1突出磁極に配置され、トルク検出コイルは、第2磁極段内で1箇所の第2突出磁極に配置される。
【0011】
この発明に係る磁歪式トルクアングルセンシングシステムは、トルク検出コイルが第2磁極段内で少なくとも2箇所に配置された上記の磁歪式トルクアングルセンサと、トルク検出コイルからのトルク検出信号及び角度検出コイルからの角度検出信号を処理する処理部と、を備え、処理部は、トルク検出コイルからのトルク検出信号により、軸に加わるトルクを検出し、角度検出コイルからの角度検出信号により、軸の角度を検出する。
【0012】
この発明に係る磁歪式トルクアングルセンシングシステムは、トルク検出コイルが第2磁極段内でいずれか1箇所に配置された上記の磁歪式トルクアングルセンサと、トルク検出コイルからのトルク検出信号及び角度検出コイルからの角度検出信号を処理する処理部と、を備え、処理部は、角度検出コイルからの角度検出信号により、軸の角度を検出し、トルク検出コイルからのトルク検出信号を、角度検出コイルからの角度検出信号を用いて補正し、軸に加わるトルクを検出する。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、トルク検出信号と角度検出信号とが得られるため、同一のセンサによりトルクと角度とを検出可能な磁歪式トルクアングルセンサ及び磁歪式トルクアングルセンシングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの構成を示す斜視図である。
図2図1のII-II線における断面を示す断面図である。
図3図1のIII-III線における断面を示す断面図である。
図4】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの第1突出磁極と第2突出磁極とを展開した状態で示す説明図である。
図5】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの軸の構成を示す構成図である。
図6】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの軸の構成を示す構成図である。
図7】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの軸の構成を示す構成図である。
図8】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの軸の構成を示す構成図である。
図9】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの軸の構成を示す構成図である。
図10】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの軸の構成を示す構成図である。
図11】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサの磁気抵抗の特性を示す特性図である。
図12】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンシングシステムの構成を示す構成図である。
図13】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、軸の回転時に、トルク検出コイルに生じる電圧の特性を示す特性図である。
図14】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、軸の回転時に、角度検出コイルに生じる電圧の特性を示す特性図である。
図15】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、トルク入力時に、トルク検出コイルに生じる電圧の特性を示す特性図である。
図16】実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサにおいて、トルク入力時に、角度検出コイルに生じる電圧の特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の磁歪式トルクアングルセンサ100及び磁歪式トルクアングルセンシングシステム1の実施の形態につき、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一部分には同一符号を付している。
実施の形態1.
はじめに、実施の形態1における磁歪式トルクアングルセンサ100の基本的な構成について、図1図4を用いて説明する。
[磁歪式トルクアングルセンサ100の構成]
図1は、実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100の構成を示す斜視図である。図2は、図1のII-II線における断面を示す断面図である。図3は、図1のIII-III線における断面を示す断面図である。図4は、実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100の第1突出磁極110と第2突出磁極120とを展開した状態で示す説明図である。
【0016】
磁歪式トルクアングルセンサ100は、主に、軸10と、磁極部101とを有する。軸10は、外周面に磁歪部12を有している。軸10は、図示しない軸受等により保持され、磁極部101に対して回転可能に構成されている。軸10は、図示しない被検体と共に回転するか、あるいはトルクを加えられる。磁極部101は、軸10の周囲に配置される。磁極部101は、第1磁極段101Aと、間隔調整部190を介して第1磁極段101Aに対して軸方向に間隔をあけて対向配置された第2磁極段101Bとを備えている。
【0017】
第1磁極段101Aには、軸10に向かって径方向に突出する複数の第1突出磁極110が設けられている。図1に示す具体例では、第1突出磁極110として、4個の第1突出磁極110a、110b、110c、及び110dが、等角度間隔に設けられている。
第2磁極段101Bには、軸10に向かって径方向に突出する第2突出磁極120が、周方向に第1突出磁極110と異なる位置に設けられている。図1に示す具体例では、第2突出磁極120として、4個の第2突出磁極120a、120b、120c、及び120dが設けられている。
【0018】
第1突出磁極110には、励磁コイル130と角度検出コイル150とが巻回されている。図1及び図4に示す具体例では、第1突出磁極110aには励磁コイル130aと角度検出コイル150aとが巻回され、第1突出磁極110bには励磁コイル130bと角度検出コイル150bとが巻回され、第1突出磁極110cには励磁コイル130cと角度検出コイル150cとが巻回され、第1突出磁極110dには励磁コイル130dと角度検出コイル150dとが巻回されている。
第2突出磁極120には、トルク検出コイル140が巻回されている。図1及び図4に示す具体例では、第2突出磁極120aにはトルク検出コイル140aが巻回され、第2突出磁極120bにはトルク検出コイル140bが巻回され、第2突出磁極120cにはトルク検出コイル140cが巻回され、第2突出磁極120dにはトルク検出コイル140dが巻回されている。
【0019】
ここで、第1突出磁極110a~110dと第2突出磁極120a~120dとは、図4に示すように、電気角360°の範囲内にそれぞれ電気角90°間隔であって、周方向に異なる位置に4極ずつ配置されている。なお、電気角90°間隔は、厳密に90°に限定されるものではなく、若干の変更や誤差を含んでもよい。
第1突出磁極110a~磁歪部12~第1突出磁極110bの間、第1突出磁極110b~磁歪部12~第1突出磁極110cの間、第1突出磁極110c~磁歪部12~第1突出磁極110dの間、及び第1突出磁極110d~磁歪部12~第1突出磁極110aの間には、水平磁路Hが形成されている。
第2突出磁極120a~磁歪部12~第1突出磁極110aの間、第2突出磁極120b~磁歪部12~第1突出磁極110bの間、第2突出磁極120c~磁歪部12~第1突出磁極110cの間、及び第2突出磁極120d~磁歪部12~第1突出磁極110dの間には、約45°の第1傾斜磁路Diag_1が形成されている。
第2突出磁極120a~磁歪部12~第1突出磁極110bの間、第2突出磁極120b~磁歪部12~第1突出磁極110cの間、第2突出磁極120c~磁歪部12~第1突出磁極110dの間、及び第2突出磁極120d~磁歪部12~第1突出磁極110aの間には、約-45°の第2傾斜磁路Diag_2が形成されている。
【0020】
励磁コイル130は、励磁コイル130a~130dの4箇所の具体例を図示しているが、少なくとも、第1磁極段101A内で電気角180°となる2箇所に配置されればよい。
角度検出コイル150は、角度検出コイル150a~150dの4箇所の具体例を図示しているが、少なくとも、第1磁極段101A内で互いに電気角90°になる位置の2箇所に配置されればよい。
トルク検出コイル140は、トルク検出コイル140a~140dの4箇所の具体例を図示しているが、少なくとも、第2磁極段101B内で互いに電気角180°になる位置の2箇所、または、第2磁極段101B内でいずれか1箇所に配置されればよい。
【0021】
[磁気抵抗の特性]
次に、図5図11を参照して、軸10とその磁気抵抗の特性について説明する。図5図10は、実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100の軸10の構成を示す構成図である。図11は、実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100の磁気抵抗の特性を示す特性図である。
【0022】
図5において、軸10は、内軸部11と、内軸部11の外周に設けられた磁歪部12とを備え、軸10の半径が円周方向で周期的に変化するように構成される。これにより、磁歪部12と第1突出磁極110a~110dとの間の第1磁気抵抗、及び磁歪部12と第2突出磁極120a~120dとの間の第2磁気抵抗は、図11に示すように、軸10の回転に伴って周期的に変化するように構成される。なお、軸10は、第1突出磁極110a~110dと第2突出磁極120a~120dとが軸10に対向する位置において図5のような断面形状と磁歪部12を有していればよく、それ以外の部分を真円形状であって磁歪部12を設けない構成としてもよい。
また、第1磁気抵抗と第2磁気抵抗のうち、角度検出に必要となる第1磁気抵抗が軸10の回転に伴って周期的に変化することが望ましい。このため、図6に示すように、軸10において第1突出磁極110a~110dに対向する磁歪領域12aのみにおいて図5のような断面形状を有していればよく、軸10において第2突出磁極120に対向する磁歪領域12bは真円に近い断面形状であってもよい。
【0023】
ここで、軸10は以下のいずれかのようにして形成される。図5の形状の内軸部11の外周面に、磁歪膜としての磁歪部12がコーティングまたは溶射形成等により付与されて、軸10が形成される。もしくは、図5または図6の形状の外筒部としての磁歪部12に、同形状の内軸部11が圧入されて、軸10が形成される。または、内軸部11と磁歪部12とが磁歪材料により構成され、軸10全体が磁歪部12で形成されてもよい。
【0024】
図7において、円柱形状の内軸部11の外周面の一部であって、第1突出磁極110a~110dと第2突出磁極120a~120dとが軸10に対向する位置に、コーティングまたは溶射形成等により磁歪部12が付与されて形成される。または、外筒部としての磁歪部12に内軸部11が圧入されて軸10が形成される。ここで、磁歪部12は、軸方向の大きさが円周方向で周期的に変化するように形成される。これにより、磁歪部12と第1突出磁極110a~110dとの間の第1磁気抵抗、及び磁歪部12と第2突出磁極120a~120dとの間の第2磁気抵抗は、図11に示すように、軸10の回転に伴って周期的に変化するようになる。なお、内軸部11の断面は真円形に限らず、図5のように半径が円周方向で周期的に変化するように構成されていてもよい。
【0025】
図8において、内軸部11の外周面の一部にコーティングまたは溶射形成等により形成された磁歪部12は、磁歪領域12aと磁歪領域12bとを有している。ここで、磁歪領域12aは、第1突出磁極110a~110dに対向する領域である。磁歪領域12bは、第2突出磁極120に対向する領域である。磁歪領域12aは、軸方向の大きさが円周方向で周期的に変化するように形成される。一方、磁歪領域12bは、軸方向の大きさは変化しないように形成される。これにより、磁歪領域12aと第1突出磁極110a~110dとの間の第1磁気抵抗は、図11に示すように、軸10の回転に伴って周期的に変化するようになる。一方、磁歪領域12bと第2突出磁極120との間の第2磁気抵抗は、軸10の回転に伴って変化せず、一定になる。なお、内軸部11の断面は真円形に限らず、図5のように半径が円周方向で周期的に変化するように構成されていてもよい。
【0026】
図9において、円柱形状の内軸部11の外周面の一部であって、第1突出磁極110a~110dと第2突出磁極120a~120dとが軸10に対向する位置に、コーティングまたは溶射形成等により磁歪部12が付与されて形成される。または、外筒部としての磁歪部12に内軸部11が圧入されて軸10が形成される。ここで、磁歪部12は、軸方向の大きさが円周方向で周期的に変化すると共に、内軸部11から突出するように形成される。これにより、磁歪部12と第1突出磁極110a~110dとの間の第1磁気抵抗、及び磁歪部12と第2突出磁極120a~120dとの間の第2磁気抵抗は、図11に示すように、軸10の回転に伴って周期的に変化するようになる。なお、内軸部11の断面は真円形に限らず、図5のように半径が円周方向で周期的に変化するように構成されていてもよい。
【0027】
図10において、内軸部11の外周面の一部に、コーティングまたは溶射形成等により内軸部11から突出するように形成された磁歪部12は、磁歪領域12aと磁歪領域12bとを有している。ここで、磁歪領域12aは、第1突出磁極110a~110dに対向し、軸方向の大きさが円周方向で周期的に変化するように形成される。磁歪領域12bは、第2突出磁極120に対向し、軸方向の大きさは変化しないように形成される。これにより、磁歪領域12aと第1突出磁極110a~110dとの間の第1磁気抵抗は、図11に示すように、軸10の回転に伴って周期的に変化するようになる。一方、磁歪領域12bと第2突出磁極120との間の第2磁気抵抗は、軸10の回転に伴って変化せず、一定になる。なお、内軸部11の断面は真円形に限らず、図5のように半径が円周方向で周期的に変化するように構成されていてもよい。
【0028】
図5に示す軸10の断面形状、及び図6図10に示す磁歪部12の形状、並びに図11に示す磁気抵抗変化率は、滑らかな正弦波形状に沿ったものを示しているが、これに限定されるものではない。
たとえば、正弦波に代えて、三角波、矩形波、多段階段状波等の各種の周期的形状に基づいて、軸10の断面形状、及び図6図10に示す磁歪部12の形状、並びに図11に示す磁気抵抗変化率を決定してもよい。
【0029】
[磁歪式トルクアングルセンシングシステム1の処理]
ここで、図12を参照して磁歪式トルクアングルセンシングシステム1について説明する。図12は、実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンシングシステム1の構成を示す構成図である。磁歪式トルクアングルセンシングシステム1は、磁歪式トルクアングルセンサ100と、処理部200とを備えている。ここでは、処理部200との関係で、磁歪式トルクアングルセンサ100において、励磁コイル130と、トルク検出コイル140と、角度検出コイル150とを示している。
【0030】
処理部200は、励磁コイル130に励磁信号を供給する。処理部200は、トルク検出コイル140からトルク検出信号の供給を受け、トルク検出信号の電圧変化から軸10に加わるトルクを検出し、トルクデータを出力する。処理部200は、角度検出コイル150から複数の角度検出信号の供給を受け、複数の角度検出信号の振幅の比較に基づいて軸10の角度を検出し、角度データを出力する。
【0031】
以下、図13図16を参照して、軸10の回転時及びトルク入力時における角度検出信号とトルク検出信号とについて詳細に説明する。
【0032】
・トルク入力なしで軸10が回転する際のトルク検出:
図13は、実施形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100において、軸10に対するトルク入力なしで軸10が回転する際における、トルク検出コイル140a~140dに生じる電圧の特性を示す特性図である。図13では、トルク入力なしで軸10が回転する際におけるトルク検出コイル140a~140dに生じる各トルク検出信号を示している。
トルク検出コイル140a~140dに生じる各トルク検出信号は、位相差が90°であって、電気角360°で1サイクルの電圧変化が生じている。よって、トルク検出コイル140a~140dに生じる各トルク検出信号を合成した合成トルク検出信号は、電圧変化なしの平坦な状態になる。これにより、処理部200は、トルク=0を示すトルクデータを出力する。すなわち、軸10が回転時する場合でも、トルク検出に何ら影響を与えることがない。
なお、図13においてトルク検出信号を正弦波形状のものとして示しているが、これに限定されるものではない。処理部200から励磁コイル130に供給する励磁信号の波形と軸10の磁気抵抗変化率とが三角波、矩形波、多段階段状波等の各種の周期的形状である場合、トルク検出信号も同様な形状の波形になる。
【0033】
・トルク入力なしで軸10が回転する際の角度検出:
図14は、実施形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100において、軸10に対するトルク入力なしで軸10が回転する際における、角度検出コイル150a~150dに生じる電圧の特性を示す特性図である。図14では、トルク入力なしで軸10が回転する際における角度検出コイル150a~150dに生じる各角度検出信号を示している。
角度検出コイル150aと150cとに生じる角度検出信号(以下、「第1角度検出信号群」)は、電気角360°で1サイクルの電圧変化が生じている。
角度検出コイル150bと150dとに生じる角度検出信号(以下、「第2角度検出信号群」)は、第1角度検出信号群と位相差が90°であって、電気角360°で1サイクルの電圧変化が生じている。よって、処理部200は、第1角度検出信号群と第2角度検出信号群との振幅値を比較することにより、軸10の回転時の角度を求め、角度データとして出力する。
なお、図14において角度検出信号を正弦波形状のものとして示しているが、これに限定されるものではない。処理部200から励磁コイル130に供給する励磁信号の波形と軸10の磁気抵抗変化率とが三角波、矩形波、多段階段状波等の各種の周期的形状である場合、角度検出信号も同様な形状の波形になる。
【0034】
・軸10の回転なしでトルク入力時のトルク検出:
図15は、実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100において、軸10が回転せずに軸10に対してトルク入力がある際の、トルク検出コイル140a~140dに生じる電圧の特性を示す特性図である。図15では、軸10の回転なし状態であってトルク入力時におけるトルク検出コイル140a~140dに生じる各トルク検出信号を示している。
図4で説明した第1傾斜磁路Diag_1と第2傾斜磁路Diag_2とのそれぞれで得られるトルク検出信号について着目すると、第1傾斜磁路Diag_1で得られるトルク検出信号と第2傾斜磁路Diag_2で得られるトルク検出信号とは、異なる電圧変化率を有している。
第1傾斜磁路Diag_1で得られるトルク検出信号と第2傾斜磁路Diag_2で得られるトルク検出信号との差分により、トルクに応じて直線的な電圧変化率を有する合成トルク検出信号が得られる。よって、処理部200は、合成トルク検出信号に基づいて、軸10への入力トルクを求め、トルクデータとして出力する。
【0035】
・軸10の回転なしでトルク入力時の角度検出:
図16は、実施の形態1に係る磁歪式トルクアングルセンサ100において、軸10が回転せずに軸10に対してトルク入力がある際の、角度検出コイル150a~150dに生じる電圧の特性を示す特性図である。図16では、軸10の回転なし状態であってトルク入力時における角度検出コイル150a~150dに生じる各角度検出信号を示している。
ここで、角度検出コイル150a~150dに生じるそれぞれの角度検出信号は、同一の特性になっている。よって、角度検出コイル150a~150dに生じる各角度検出信号の間で差分を求めることで合成した合成角度検出信号は、電圧変化なしの平坦な状態になる。これにより、処理部200は、角度=0を示す角度データを出力する。すなわち、軸10にトルク入力がある場合でも、角度検出に何ら影響を与えることがない。
【0036】
以上の図13図16は、軸10へのトルク入力なしの軸10の回転時、または軸10の回転なしの軸10へのトルク入力時の特性について説明してきた。実際には、軸10が回転しつつ、軸10にトルクの入力がある状態が発生しうる。このような場合、処理部200は、図13図16を用いて説明した処理を並行して行うことで、角度とトルクとの両方を算出する。
【0037】
[磁極及びコイルの変更]
以上の実施の形態1では、第1磁極段101Aの第1突出磁極110a~110dの全てに励磁コイル130a~130d、及び角度検出コイル150a~150dを巻回し、第2磁極段101Bの第2突出磁極120a~120dの全てにトルク検出コイル140a~140dを巻回していたが、磁歪式トルクアングルセンサ100はこの状態に限定されるものではない。
【0038】
励磁コイル130は、少なくとも、第1磁極段101A内で電気角180°となる2箇所の第1突出磁極110に配置されればよく、励磁コイル130a及び130c、または、励磁コイル130b及び130dを配置すればよい。
角度検出コイル150は、第1磁極段101A内で互いに電気角90°になる位置の2個、すなわち、角度検出コイル150aまたは150bのどちらか1個と、角度検出コイル150cまたは150dのどちらか1個の、合計2個を第1突出磁極110に配置すればよい。
トルク検出コイル140は、少なくとも、第2磁極段101B内で電気角180°となる2箇所の第2突出磁極120に配置されればよく、トルク検出コイル140a及び140c、または、トルク検出コイル140b及び140dを配置すればよい。
トルク検出コイル140は、処理部200において角度検出信号から求めた角度によりトルク検出信号を補正する場合、トルク検出コイル140a~140dのうちの1個のみの配置とすることができる。すなわち、角度検出信号から求めた角度によりトルク検出信号を補正することで、トルク検出コイル140が、1極だけ、あるいは、周方向にアンバランスな位置の複数極であるときでも、軸10の回転によってトルク検出に何ら悪影響を受けることがなくなる。
【0039】
なお、励磁コイル130、トルク検出コイル140、及び角度検出コイル150を減らす場合、励磁コイル130とトルク検出コイル140とが存在しない部分の第1突出磁極110を第1磁極段101Aに設けないようにすることが可能である。同様に、角度検出コイル150が存在しない部分の第2突出磁極120を第2磁極段101Bに設けないようにすることが可能である。
【0040】
以上の説明では、第1突出磁極110a~110dと第2突出磁極120a~120dとを4極にしていたため、電気角360°と機械角360°とが一致していた。
これに対し、第1突出磁極110と第2突出磁極120とを45°毎の8極にすることで、電気角360°を機械角180°に収容することができる。この場合、上述した電気角180°は機械角90°に対応し、上述した電気角90°は機械角45°に対応することになる。
また、第1突出磁極110と第2突出磁極120とを30°毎の12極にすることで、電気角360°を機械角120°に収容することができる。この場合、電気角180°は機械角60°に対応し、電気角90°は機械角30°に対応することになる。また、同様の構造にして、極数を増やすことが可能である。
以上の説明において、90°、180°、360°等の角度の値は、誤差や変更を全く認めないものではなく、発明の効果を奏することが可能な範囲内である程度の誤差や数値の変更を許容するものである。
【0041】
[実施の形態により得られる効果]
以上の実施の形態とその効果を以下に付記として列記する。
付記(1):
以上の実施の形態で説明した磁歪式トルクアングルセンサ100は、磁歪部12を有する軸10と、軸10の周囲に配置される磁極部101とを有する磁歪式トルクアングルセンサ100であって、磁極部101は、第1磁極段101Aと、第1磁極段101Aに対して軸方向に間隔をあけて対向配置された第2磁極段101Bとを備え、第1磁極段101Aは軸10に向かって径方向に突出する第1突出磁極110を有し、第2磁極段101Bは軸10に向かって径方向に突出する第2突出磁極120を周方向に第1突出磁極110と異なる位置に有し、第1突出磁極110には励磁コイル130と角度検出コイル150とが巻回され、第2突出磁極120にはトルク検出コイル140が巻回され、磁歪部12と第1突出磁極110との間の磁気抵抗が、軸10の回転に伴って周期的に変化するように構成される。この磁歪式トルクアングルセンサ100では、同一のセンサにおいて、トルク検出コイル140からトルク検出信号を得られ、角度検出コイル150から角度検出信号を得られる。
【0042】
付記(2):
上記付記(1)の磁歪式トルクアングルセンサ100において、磁気抵抗は、軸10の中心軸から磁歪部12までの半径距離が円周方向で周期的に変化するか、磁歪部12の軸心に沿う方向の大きさが円周方向で周期的に変化するかにより、変化するように構成される。このため、同一の軸10と磁極部101とを用いて、トルクだけでなく角度を検出することが可能になる。
【0043】
付記(3):
上記付記(1)~(2)の磁歪式トルクアングルセンサ100において、励磁コイル130を、少なくとも、第1磁極段101A内で電気角180°となる2箇所の第1突出磁極110に配置し、角度検出コイル150を、少なくとも、第1磁極段101A内で互いに電気角90°になる位置の第1突出磁極110に配置し、トルク検出コイル140を、少なくとも、第2磁極段101B内で電気角180°となる2箇所の第2突出磁極120に配置する。これにより、単一のセンサにより角度とトルクとを干渉することなく検出することが可能になる。
【0044】
付記(4):
上記付記(1)~(2)の磁歪式トルクアングルセンサ100において、励磁コイル130を、少なくとも、第1磁極段101A内で電気角180°となる2箇所の第1突出磁極110に配置し、角度検出コイル150を、少なくとも、第1磁極段101A内で互いに電気角90°になる位置の第1突出磁極110に配置し、トルク検出コイル140を、少なくとも、第2磁極段101B内で1箇所の第2突出磁極120に配置する。この場合、トルク検出コイル140からのトルク検出信号を、角度検出コイル150からの角度検出信号を用いて補正し、軸10に加わるトルクを検出することができる。ここで、角度検出信号によりトルク検出信号を補正することで、トルク検出コイル140が、1極だけ、あるいは、周方向にアンバランスな位置の複数極であるときでも、トルク検出に何ら悪影響を受けることがない。これにより、最低限の構成の単一のセンサにより、角度とトルクとを検出することが可能になる。
【0045】
付記(5):
以上の実施の形態で説明した磁歪式トルクアングルセンシングシステム1は、上記付記(1)~(3)のいずれか一項に記載の磁歪式トルクアングルセンサ100と、トルク検出コイル140からのトルク検出信号及び角度検出コイル150からの角度検出信号を処理する処理部200と、を備える。処理部200は、トルク検出コイル140からのトルク検出信号により、軸に加わるトルクを検出し、角度検出コイル150からの角度検出信号により、軸の角度を検出する。このため、同一のセンサによりトルクと角度とを検出可能な磁歪式トルクアングルセンサ100を用いた磁歪式トルクアングルセンシングシステム1を実現することができる。
【0046】
付記(6):
以上の実施の形態で説明した磁歪式トルクアングルセンシングシステム1は、上記付記(4)に記載の磁歪式トルクアングルセンサ100と、トルク検出コイル140からのトルク検出信号及び角度検出コイル150からの角度検出信号を処理する処理部200と、を備える。処理部200は、角度検出コイル150からの角度検出信号により、軸の角度を検出し、トルク検出コイル140からのトルク検出信号を、角度検出コイル150からの角度検出信号を用いて補正し、軸に加わるトルクを検出する。ここで、角度検出信号によりトルク検出信号を補正することで、トルク検出コイル140が、1極だけ、あるいは、周方向にアンバランスな位置の複数極であるときでも、トルク検出に何ら悪影響を受けることがない。このため、同一のセンサによりトルクと角度とを検出可能な磁歪式トルクアングルセンサ100を用いた磁歪式トルクアングルセンシングシステム1を実現することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 磁歪式トルクアングルセンシングシステム、10 軸、11 内軸部、12 磁歪部、100 磁歪式トルクアングルセンサ、101 磁極部、101A 第1磁極段、101B 第2磁極段、110,110a~110d 第1突出磁極、120,120a~120d 第2突出磁極、130,130a~130d 励磁コイル、140,140a~140d トルク検出コイル、150,150a~150d 角度検出コイル、190 間隔調整部、200 処理部、H 水平磁路、Diag_1 第1傾斜磁路、Diag_2 第2傾斜磁路。
【要約】
【課題】同一のセンサによりトルクと角度とを検出可能な磁歪式トルクアングルセンサ及び磁歪式トルクアングルセンシングシステムを実現する。
【解決手段】磁歪式トルクアングルセンサ100は、磁歪部12を有する軸10と、軸10の周囲に配置される磁極部101とを有し、磁極部101は、第1磁極段101Aと、第1磁極段101Aに対して軸方向に間隔をあけて対向配置された第2磁極段101Bとを備え、第1磁極段101Aは軸10に向かって径方向に突出する第1突出磁極110を有し、第2磁極段101Bは軸10に向かって径方向に突出する第2突出磁極120を周方向に第1突出磁極110と異なる位置に有し、第1突出磁極110には励磁コイル130と角度検出コイル150とが巻回され、第2突出磁極120にはトルク検出コイル140が巻回される。磁歪部12と第1突出磁極110との間の磁気抵抗は、軸10の回転に伴って周期的に変化するように構成される。
【選択図】図1
図1
図2
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図10
図11
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図16